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石造美術紀行

石造美術の探訪記

解脱上人貞慶展に行ってきました

2012-04-16 20:16:05 | お知らせ

解脱上人貞慶展に行ってきました。

奈良国立博物館に"御遠忌800年記念特別展解脱上人貞慶-鎌倉仏教の本流-"を見てきました。解脱上人貞慶(1155年~1213年)といえば平安時代最末期から鎌倉時代前期に活躍された南都仏教界のエース、石造を考えていくうえでも欠くことができない超重要キーパーソンのお一人です。その上人の没後800年を記念する、待ってましたの特別展です。貞慶上人を中心に大所高所に立った視点から当時の仏教や社会を、実物を通じて見据える幅広く濃ーい内容です。上人の信仰や活躍の軌跡を知ることは、単に石造への理解を進めるうえで不可欠であるのみならず、石造というマニアックな狭い了見にとどまらず当時の社会や人々の心を理解するうえからも極めて意義深いものです。

とにかく上人の肉筆や着ておられた袈裟をすぐ間近に見られて感激一入。唐招提寺秘蔵の金亀舎利塔、大和文華館の笠置曼荼羅をはじめとする多数の絵画資料、関係の深かった俊乗房重源上人の像(浄土寺蔵)、高山寺明恵上人の肉筆等々これでもか!!という展示のクオリティの高さと物量作戦で、とても一回の観覧では消化し切れません(ゲップ…)。奈良博では5月27日まで、6月8日からは横浜の金沢文庫に場所を移しご覧になれるようです。是非お薦めです。

 

(※笠置寺の上人廟五輪塔記事もご参照)

 

ちなみに貞慶上人はNHK大河ドラマ平清盛でいうと阿部サダヲさんのお孫さんに当たります。


あけましておめでとうございます。

2012-01-01 02:37:01 | お知らせ

あけましておめでとうございます。拙ブログサイトもおかげさまをもちまして早6年目に突入、日頃のご愛顧に改めて御礼申し上げます。

 さて、昨年UPできたのは結局32件、紹介記事としては28件にとどまりました。内訳は奈良が13件、滋賀が8件、京都が5件、三重2件、その他が4件でした。奈良が滋賀を抜いて初めてトップとなっています。過去にエントリ実績のあった和歌山、岐阜はゼロ、それと何とかしたいとずっと思っている大阪も結局ゼロでした。最近の傾向としては石仏の躍進が目立っています。石仏はひなびた味があって訪ねて楽しいものです。また、お顔があるせいか石塔に比べると親しみやすいものですが、一層ディープな世界、取り扱いは難しいですね。造形が複雑でより美術的な傾向が強く、それだけに時代色が出にくい事例が少なくないように思います。細部の表現にヒントが隠されていることもあるので注意深い観察が大切ですが、一方で全体のまとめ方、衣文や面相表現、醸し出される雰囲気など「作風」をつかみとることも忘れてはならない気がします。しかし何でこれが鎌倉でこっちが江戸やねん?というのがけっこうあって難しいです。

 それにしても石造物は依然として等閑視されています。小生の住む近くでも最近、大きい由緒ある墓地で無縁墓標の整理が行なわれ古い石造物がごっそり無くなってしまった例がありました。寂しい限りです。

 身近にあって次第に失われてゆく石造物ですが、そもそも「石」という素材が古人にチョイスされた理由の一つには、堅牢な材質がもたらす永遠性への期待感があったからに他ならないと思います。何かを長く後世に伝えようとしたわけで、そうした祖先の思いを汲み取ってあげるのは我々子孫の努めかもしれません。また、石造物の大部分は信仰対象であることから、単にモノとしてだけでなく内なる世界、ココロの世界をも垣間見る材料になりうるものです。忘れ去られた往昔の社会の様子や心の世界を紐解く貴重な資料になりうる潜在性を秘めたまま、次第に失われゆく石造物の価値はもっと顕彰されて然るべきではないかと思います。というわけで、余暇を利用してのマニアックな道楽は今年も続きます。まぁボチボチとやっていきますので、どうかよろしくお付き合いの程、お願いいたします。恐惶謹言

 

P.S.はなはだ心もとない内容ですので、勘違いや遺漏等のおそれこれなきにしもあらず、ご批正、ご意見、疑義、情報提供等の建設的なコメントをお待ちしております。(ただし内容に関係のないコメントはご遠慮ください。(2008年6月15日付お知らせ記事参照))


あけましておめでとうございます

2011-01-01 11:52:57 | お知らせ

あけましておめでとうございます。拙ブログサイトもとうとう5年目に突入。改めまして皆様の日頃のご愛顧に感謝いたします。

さて、2007年1月以来4年間で230件余の記事を載せてまいりました。はじめの2年間は1年でだいたい80件、3年目で半減し約40件、4年目の昨年はわずか30件余になっています。それにしても年々減ってますね。すぐにUPできそうな記録のストックが減ってきたこともありますが、とりもなおさず小生の怠慢だと思います。しかし、一方で記事の内容は新しくなるにしたがってより濃いものになっているのではないかとも思っております(単に駄文を弄して行数を稼いでいるだけとの見方もなきにしもあらず…(汗))。

過去の記事を改めてみてみると、滋賀県が約120件、奈良県と京都府を合わせて70件、その他記事と和歌山、三重、岐阜の各県を合わせて約40件。記事のうち50%強を滋賀が占め、奈良と京都がそれぞれ15%程、和歌山、三重、岐阜を合わせて約3%、残りがその他の記事といった内訳になります。内容は、数字はあたってませんが石塔系が圧倒的でしょうね。今後は何とか府県や種別を拡げるとともに石造美術に関する基本的な事柄も折に触れUPできればと思っています。

身近にあって等閑視されてきた石造物を歩くと高い確率で何がしかの発見や感動があります。発見や感動に出会うためには、単に姿や形の美しさやおもしろさを見るだけでなく、それが作られた歴史的背景や地域性なども加味した幅広い視点を持つことが大切です。つまり石造美術の泰斗である故川勝政太郎博士のおっしゃる「奥行きのある鑑賞態度」で石造物に接すること、そうすることで発見や感動を体験できる確率は一層高いものになること請け合いです。

黙して語らない石造物は、幾百年の風雪に耐えながら祖先の思いを伝える身近な生き証人なのですから、我々の方で彼らに語りかけ、聴く耳を持てるようにしっかり勉強しないといけないということだと思います。そうすることで普段は寡黙な石造物が時に雄弁に祖先たちの声を伝えてくれるでしょう。

不肖小生、石造美術に対する関心はいささかも冷めやらず、元より微力ながらその面白さや大切さをもっともっと発信していければと考えています。一方、そもそも余暇を利用してのマニアックな道楽ですので、仕事とよき家庭人を両立しつつこれを続けるのには限界もあります。質量ともにさらなるサイトの充実を図るベクトルは持ちつつも、のんびり取り組んでまいりたいと存じます。本年も引き続きよろしくお願いいたします。


あけましておめでとうございます

2010-01-03 20:06:49 | お知らせ

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。拙ブログもいよいよ4年目を迎えます。記事も通算200件を越えたところですが、まだまだぜんぜんというのが率直なところです。とはいうものの、何か年々紹介記事が少なくなっていっているような気がします。公私とも何かと忙しくなってきたということもありますが、やはり怠慢でしょうかね。気合を入れ直して取り組みたいと思います。それにしても、石造物というのは見れば見るほど、知れば知るほど謎が謎を呼ぶというか、ちょっと待てよ、ん?これでいいのか?っていうか、そんなの気付かなかったぁとか、そういう場面が多くなってきた気がします。つまり石造美術の奥の深さというものを思い知らされているわけです。川勝博士のいう「奥行きのある鑑賞態度」につとめ、「正しい理解」に向けて地道に考えを整理する以外にないと今更ながら痛感する次第です。そのためには、独りよがりではダメだということ、いろんな意見や説に耳を傾けて虚心坦懐にのぞむ。複数の「目利き」によるブレインストーミングが有効だと考えています。あと、先学の学恩を忘れないことも大切だと感じます。昔の人が自分の足で歩き、苦労して収集し共有してくれた情報を、座って餅を食うがごとく、結論だけを抽出して机上で軽々に論じ、簡単に葬り去っていいのでしょうか。それで導かれた理屈は恐らく見栄えはしても何か薄っぺらな理屈になってしまうはずです。そしてそういう理屈はきっと経年劣化が激しいはずです。何よりもまずは自分で現地を訪ね、自分の眼で石造物をしっかり見てから慎重に考えをめぐらせていくべきだと自戒するようにしています。・・・まぁ、そんなこむずかしいことはさておき、初めて石造美術の素晴らしさに心を奪われた新鮮な感動は今も色あせていません。マニアックな紹介記事だけでなく、なるべくわかりやすく石造美術の魅力を広く伝えていけるよう、あわてずのんびりやっていきたいと思っておりますので、引き続きご愛顧ご教導いただきますようお願い申し上げます。六郎


デザインを変更してみました

2009-06-03 21:31:01 | お知らせ

気分をかえて、デザインを変えてみました。ちょっと暗い感じですが、どうでしょうかね。

月がいい感じでしょ。しっとりとした夜風が感じられ、涼しげで気に入ってます。これから蒸し暑く、時に太陽が眩し過ぎる季節が到来しますが、当サイトをご覧になる皆様には、清々しく、しっとりと落ち着いたご気分で過ごしていただきますよう願っております。願主六郎敬白


あけましておめでとうございます

2009-01-04 19:56:42 | お知らせ

あけましておめでとうございます。

一昨年の正月に当ブログを初めて早、3年目を迎えます。今年も引き続き石造美術の紹介をいたしてまいりたいと存じております。皆様のご愛顧を賜りますようお願い申し上げる次第です。これまで、たまっていた過去の探訪記録も紹介記事としてまとめやすいものから順次アップしてきましたので、まとめやすい過去の記録がだんだん数少なくなって、まとめにくいものが積み残ってくるという具合です。加えて今でも休暇を利用しては石造美術を求めて近畿を中心に探訪していますので記録はたまる一方で紹介しきれないところもあります。紹介する以上は写真だけでなく、先人の苦労の跡である記録や文献もなるべくあたりたいとも思いますし、できるかぎり詳しく紹介したいと思っています。とはいうものの人並みに家庭人でもあり仕事もしていますので忙しい時もあり、そうこうしている間に、消化しきれずに、なんというかどんどんドツボにはまっていくようなところもあります。ま、あまり難しく考えず、また、あわてずこつこつとやっていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。そもそもがただの道楽者の小生、リスペクトする川勝博士がおっしゃられた「奥行きのある鑑賞態度」に努めながら石造美術への理解を深めていきたいと考えていますが、もとより研究者や専門家ではありませんので、記事内容には勘違いや錯誤が溢れているものと危惧しております。そこはそれ、所詮はブログです。その点何卒ご容赦いただくとともに、諸雅の厳しいご批正を請うものであります。恐惶謹言。


コメントについて

2008-06-15 23:58:20 | お知らせ

ご意見、ご指導・ご叱正、情報提供等々建設的なコメントを募集いたしております。ご愛顧いただいております皆様、ぜひコメントくださいますようお願い申し上げます。

 なお、いただいたコメントは、小生が「承認」をクリックするまでは掲載されない設定になっております。掲載までに若干時間がかかる場合がございます。また、当然、厳しいご意見やご叱正であっても、いただいた場合はそのまま「承認」しますが、コメントをされた方が掲載を希望されない場合や悪戯・誹謗中傷の類は「承認」いたしません。恐惶謹言

 

 

当サイトは石造美術、石造物がテーマですので、原則として頂くコメントはこのテーマに関する事柄に限定させていただきます。

遺漏や間違いのご指摘、訂正あるいは追加すべき点、情報提供、薀蓄を語っていただく等々の建設的なコメントを歓迎します。記事に関するご質問等も受け付けます。

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※ スパムコメント防止のため、一部記事については、当分の間コメント投稿ができないよう設定しましたのでご諒承ください。


『近江の石造遺品』の著者 故・池内順一郎先生の展覧会行ってきました。

2008-02-20 23:09:22 | お知らせ

故・池内順一郎先生の展覧会行ってきました。『近江の石造遺品』の著者 故・池内順一郎先生の展覧会、雪をついて草津市の「しが県民芸術創造館」に行ってきました。会場のプロフィール紹介で知ったのですがお生まれは大阪だったんですね。仏足石や格狭間孔雀文などの拓本がメインでした。湖西市の少菩提寺跡の多宝塔や朝国の観音寺跡宝篋印塔(伝時頼塔)の拓本は一見の価値があります。使ってみえた拓本道具、特に黒いバッグの色つやや質感は印象的でした。地域の歴史や文化財に関する講演やセミナーの講師も数多く務められたようで、その際のレジュメ、手持ち原稿、さらには『湖国と文化』の編集過程の原稿は読みやすい癖のないタッチの肉筆も生々しいものでした。故人を偲ぶ遺品の数々を目の当たりにでき、雪をついて来た甲斐がありました。先生のライフワークであった石造物の美術的、文化財的な価値や調査の魅力が観る人に伝わり、近江に第二、第三の池内先生が出てくることに期待したいです。でも展覧会は2008年2月24日(日)までです。近江の石造マニアは必見!ぜひ観覧されたし。入場無料です。

ただ、ちょっと気になったのは、個々の拓本に解説がなかったことです。池内先生が調査され記録を残された数多くの石造物の中には、現在は既に失われたものもあるかもしれません。どこのどういう価値がある石造物の拓本なのか、わからないままでは先生が本当に伝えたかったことがちょっと届かないのでは?と思いました。ひょっとすると石造物の場所がわかると盗難などの危険性があるので、わざとそうしているのでしょうか・・・。


池内順一郎氏(近江の石造物研究者)の業績をしのぶ展覧会が開催されます

2008-02-08 08:20:42 | お知らせ

池内順一郎氏(近江の石造物研究者)の業績をしのぶ展覧会が開催されます

故・池内順一郎氏の業績をしのぶ展覧会が開催されます。平成20年2月14日(木)~2月24日(日)、草津市野路町の県民芸術創造館において、『故池内順一郎氏の足跡からたどる文化財調査の魅力知・楽・探 近江の石造遺品-拓本などを中心に-』と題して行なわれるとの由、小生がリスペクトする池内先生は、昭和41年頃から高校教員の傍ら旧神崎・甲賀・蒲生郡など近江の石造文化財調査・研究をライフワークとされ、多大な成果を残されました。また平成12年に亡くなられるまでの間、淡海文化を育てる会の事務局長や『湖国と文化』編集長をつとめられるなど広く近江の文化振興に尽くされました。京都の川勝博士や西宮の田岡氏はいわば全国区ですが、池内先生は地元旧蒲生町の方で、バイクを駆って颯爽と石造物を廻られていたとの話です。日野町の瀬川欣一先生(この方は元・日野町の教育長)などとともに、地域から内発的に石造物の価値を発揚された点に偉大さを感じます。小生なども学恩の余慶に与かる身、ぜひとも見に行きたいと思っています。