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東京オリンピック 北朝鮮 北朝鮮参加 南北合同選手団 金正恩 バッハ会長 拉致問題 安倍首相

2018年11月29日 07時10分05秒 | 東京オリンピック

北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至





北朝鮮閣僚 異例の日本訪問 体育相ら五輪総会出席へ
 11月27日、北朝鮮オリンピック委員長を務める金日国(キムイルグク)体育相を団長とした同委員会代表団が、東京で28日から29日まで東京で開かれる各国オリンピック委員会連合(ANOC)総会に出席するために訪日した。
 菅官房長官は会見で、「国際スポーツ界においては、“国籍等による差別は禁止”との考え方が浸透し、オリンピック憲章にも同様の規定がある」と述べ、北朝鮮の金日国(キム・イルグク)体育相について、「例外的な特別事情」として入国を許可したことを明らかにした。
 北朝鮮の閣僚が日本を訪問するのは極めて異例である。
 28日に開始した各国オリンピック委員会連合(ANOC)総会には、206の国と地域の国内オリンピック委員会や国際競技団体などからおよそ1,400人が参加したが、金氏ら代表団も出席した。
 北朝鮮と韓国は、東京2020大会に南北合同チームを結成して出場するとして、IOC=国際オリンピック委員会や各競技団体との協議を進めていくことで一致している。
 さらに2032年の夏のオリンピック・パラリンピックを南北で共同開催したいとしていて、今回の総会でもスポーツ分野での南北の融和をアピールする狙いもあるとされている。
 東京2020大会に南北合同チームで、北朝鮮が参加する可能性が現実味を帯びてきた。
(出典 朝日新聞 NHKニュース FNNニュース)


平壌を訪問したバッハIOC会長を出迎える金日国(キム・イルグク)体育相 2018年3月30日 聯合ニュース)
 




 「歴史的」な南北首脳会談が板門店に建設された「平和の家」で行われた


握手する韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長


板門店軍事境界線(MDL)を超える南北首脳  出典 大韓民国大統領府


儀仗兵を閲兵する南北首脳


芳名帳に記帳する金正恩朝鮮労働党委員長  出典 大韓民国大統領府


南北首脳会談  出典 大韓民国大統領府


首脳会談場に掲げられた金剛山の絵画をバックに握手する南北首脳  出典 大韓民国大統領府

南北首脳が歴史的な握手
韓国大統領府 Youtube
「南北首脳会談」 ムン・ジェイン大統領 - キム・ジョンウン委員長、歴史的の最初の出会いのプールの映像
MBN NEWS Youtube
会談は笑いの海 キム・ジョンウンのユーモアは?
VIDEOMUG Youtube



歴史的な南北首脳会談 「非核化」実現へ 「板門店宣言」
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日、南北の軍事境界線をまたぐ板門店で11年ぶりの首脳会談を行い、朝鮮半島の「完全な非核化」実現を目標に掲げた「朝鮮半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言」に署名した。1953年7月から休戦状態にある朝鮮戦争を年内に終わらせる意思を確認。文氏が今秋、平壌を訪問することでも合意した。
 南北首脳による会談は、2000年に金大中(キムデジュン)大統領、07年に盧武鉉(ノムヒョン)大統領が、それぞれ北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記と平壌で会談したのに続いて3回目。北朝鮮の指導者が韓国側に入ったのは史上初めてだ。
朝鮮半島の南北融和は一気に加速した。
 4月29日、トランプ米大統領は、ミシガン州の支持者の集会で、3~4週間以内に米朝首脳会談が行われるだろうと述べた。
 「非核化」、「朝鮮戦争終戦」、南北融和は一気に正念場を迎える。
 こうした歴史的な流れが急展開しているなかで、安倍政権は、「拉致問題」や「核ミサイル問題」などの解決をトランプ大統領や文在寅大統領に“仲介”を要請することしかできていない。北朝鮮との独自の外交チャンネルを失っているからである。日本にとって極めて重要な外交問題と日朝間で交渉できない政権は“お粗末”と言わざるを得ない。
 安倍政権だけが「かやの外」に置かれている懸念を抱くのは筆者だけであろうか。



金正恩朝鮮労働党委員長と握手するバッハIOC会長   出典 IOC NEWS


金正恩朝鮮労働党委員長と会談するバッハIOC会長   出典 NORTH KOREA TODAY

Kim Jong Un and the President of the International Olympic Committee

NORTH KOREA TODAY(2018年3月31日)

北朝鮮 東京五輪参加に意欲  IOCは参加を支援
 2018年3月19日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は北朝鮮を訪問し、翌30日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と平壌で会談した。
 バッハ会長は、「北朝鮮が東京五輪と北京冬季五輪への参加準備ができるよう長期的に協力する」と表明したのに対し、金委員長は、「今後もIOCと前向きな協力関係を発展させたい」と述べ、参加に意欲を示した。金委員長が東京、北京五輪への参加に前向きな意思を表明したのは初めてである
朝鮮中央通信の報道によると、金委員長は、IOCが平昌五輪に出場枠がなかった北朝鮮に対して特例枠で認めたことに謝意を示し、「凍り付いた北南関係が(平昌)五輪を契機に劇的な雪解けを迎えられたのは、全面的にIOCの功労である」と述べたという。

 バッハ会長は、「打ち解けた雰囲気で実り多い議論」を金委員長と行ったと述べ、北朝鮮の東京五輪、北京冬季五輪参加について「北朝鮮の最高指導者から全面的な支持を得た」ことを明らかにし、「われわれは緊張を緩和し、朝鮮半島の平和な未来に向けた解決策を模索している」と述べた。
韓国と北朝鮮の合同入場行進については、今後適切な時期に韓国と北朝鮮に、2020年の東京五輪や22年の北京冬季五輪でも南北合同入場行進などの実施を提案することを検討していると明らかにした。
 バッハ会長は、2月の平昌冬季五輪開会式での南北合同入場行進が世界に「平和の象徴」を示し、朝鮮半島の緊張緩和に向けた協議につながったと指摘。東京五輪や北京五輪での再度の実施に期待を示した。
 IOCは、オリンピックを通して南北朝鮮の融和を促す積極姿勢をはっきりと示している。この方針は、2020年東京大会でも貫かれるのは間違いない。


南北朝鮮女子サッカーの試合を観戦する金正恩朝鮮労働党委員長とバッハIOC会長

北朝鮮の五輪参加に慎重姿勢の安倍首相
 これに対し日本側の北朝鮮の五輪参加に対する姿勢は極めて消極的である。
4月2日、大会組織委員会の森喜朗会長は、「拉致問題は大変大きな問題。日本人の気持ちも承知して、今後の話を進めてほしい」と注文をつけた。
 森氏は「バッハ会長は平昌大会で大変な努力をされた」と評価した上で、「何も具体的なことは示されていない。これからは政治マターの話」と述べた。
 4月4日、安倍晋三首相は北朝鮮を訪れていた国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話で協議した。政府関係者によると、首相はバッハ氏から北朝鮮が2020年東京五輪への参加に意欲を示していると聞かされ「(日本には)拉致問題がある。国民感情に配慮してほしい」と応じて慎重な対応を促した。電話協議はバッハ氏が呼びかけたという。
 4月13日、小池百合子都知事は定例会見で、拉致、核問題の懸念材料を挙げ「東京大会に参加するならば、これら懸念の払拭(ふっしょく)を北朝鮮がなすべきこと」と述べた。

IOC調査チームも北朝鮮の五輪参加問題を指摘
 4月24日、2020年東京オリンピックの準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツIOC副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
開催準備をめぐり複数の国際競技団体から不満の声が上がっていたのである。2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京に移る中、大会準備に関して答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうと警告である。
この中には北朝鮮の五輪参加問題も含まれている。

 森組織委会長は、最終的に東京オリンピックで北朝鮮代表団を迎えることになることを懸念していると述べた。 日本は、北朝鮮による拉致問題を抱えていて、未だに解決されてと問題を提起した。
日本は北朝鮮に「裏切られた」とし、「拉致事件は平和な時代に起こった。そして日本人が拉致された」と述べた。
さらに「日本は朝鮮半島に近く、北朝鮮は隣国である。 そして我々は核兵器の脅威にさらされている。我々はこうした厳しい状況の下で生きていかなければならない」と語った。
 コーツ副会長は、日本は東京オリンピックで北朝鮮の五輪選手団を受け入れることがオリンピック憲章の下で義務づけられていると基本的な姿勢を明らかにした。
 しかし、「五輪開催国の政府が、五輪選手団以外の政治指導者や関係者の受け入れを制限する権利がないと言っているわけではない」とも述べた。
平昌冬季五輪では、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キムヨジョン)氏や金永南(キムヨンナム)・最高人民会議常任委員長が開会式に参加した。また北朝鮮芸術団や“美女応援団”も訪れて話題になったのは記憶に新しい。

 米朝首脳会談の結果次第では、2020東京大会の最大の焦点は、金正恩朝鮮労働党委員長が開会式に出席するかどうかになってくると思わわれる。
 仮に金委員長が出席するれば、トランプ大統領や習近平主席の出席の可能性も出てくる。2020東京大会は、最早、スポーツの祭典でなく、歴史的な「政治ショー」の舞台になりそうだ。2020東京大会招致の際に掲げた「復興五輪」の看板は影もかけらもなくなる。
 もし金委員長が開会式に出席するという意向が示されたら、安倍首相、どうしますか?

東京2020大会は「北朝鮮」五輪?、吹き飛ぶ「復興五輪」
 バッハ氏は南アフリカの人種隔離政策の撤廃闘争を率い、ノーベル平和賞を受賞した故ネルソン・マンデラ氏の言葉、「スポーツは世界を変える力がある」を好んで引用しているという。(朝日新聞 2018年4月2日)
 北朝鮮を2020東京大会に参加させ、平昌冬季五輪と同様に南北合同入場行進や南北合同チームを実現させて朝鮮半島に平和を呼び戻す、IOCのバッハ会長は指導力を発揮して実現させる意欲に満ち溢れている。
 しかし、拉致問題やミサイル問題を抱える日本は、こうした問題に解決の目途が立たなければ、北朝鮮の五輪参加にもろ手を挙げて歓迎するわけにはいかない状況にある。拉致問題は置き去りにしていいのかという批判が巻き起こるだろう。
 仮に北朝鮮選手団が東京を訪れたら、これに反対するグループがデモや集会を行ったり、競技場内で非難行動を行ったりして、大混乱は必至であろう。
 開会式には、北朝鮮の要人の参加の可能性もあるだろう。また平昌冬季五輪で話題を独占した女性応援団も来日するかもしれない。
 一方で、北朝鮮を排除すれば、「平和の祭典の五輪に政治を持ち込んだ」として、世界各国から激しい非難が巻き起こるに間違いない。
 どちらにしても、2020東京大会は、北朝鮮を巡って、否応なしに「政治オリンピック」に巻き込まれる。まさに安倍首相の政治力が問われる正念場となる。
 2020年東京大会は、北朝鮮参加問題を巡って、泥沼の混乱に陥る懸念も漂い始めている。






東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 競技会場の全貌

東京五輪開催経費「3兆円超」へ 国が8011千億円支出 組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘
「1725億円」は五輪開催経費隠し 検証・国の会計検査院への反論 青天井体質に歯止めがかからない
“もったいない”五輪開催費用「3兆円」 青天井体質に歯止めがかからない! どこへ行った「世界一コンパクトな大会」
四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如
開催経費1兆8000億円で合意

主導権争い激化 2020年東京オリンピック・パラリンピック 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル

“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック 難題!交通対策 渋滞マップ 15%削減 渋滞・混雑は解消できるか?

東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか
相次いだ撤退 迷走!2024年夏季五輪開催都市
東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!





国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)






2018年4月27日(初稿)
Copyright (C) 2018 IMSSR





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント

東京オリンピック 競技会場 競技場 最新情報 東京ベイゾーン ヘリテッジゾーン 見直し (上)

2018年11月26日 19時34分19秒 | 東京オリンピック

膨張する開催経費 どこへいった五輪開催理念
“世界一コンパクトな大会”(上)
最新情報 2020東京五輪大会の競技会場の全貌




★ 「有明テニスの森公園」のテニスコート17面と照明設備の改修工事中断 受注した建設会社エム・テック(さいたま市)が経営破綻

★ KYBのデータ改ざん免震・制振装置 東京五輪施設にも
 小池東京都知事は、油圧機器メーカーKYBと子会社による免震・制振装置のデータ改ざん問題について、都庁の他に東京オリンピック・パラリンピックの競技会場として建設中のオリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナでも不正が発覚した装置と同じ型の製品が使われていることを明らかにした。
 同社は不正の疑いがある装置を原則全て交換する方針だが、交換用部品の生産が追いつかないため、不正の疑いのある装置の交換は最短でも2020年9月までかかる可能性が浮上した。 東京五輪大会開催までに装置の設置が完了しない懸念が深まった。
 2019年末からはテストイベントも開催される。また一つ難題を抱えた。



 2020東京オリンピック・パラリンピックの競技は、1964年の東京オリンピックでも使用された代々木競技場や日本武道館など過去の遺産を活かした「ヘリテッジゾーン」と、有明・お台場・夢の島・海の森など東京湾に面した「東京ベイゾーン」を中心開催する計画である。
 選手村から半径8キロメートルの圏内に85%の競技会場を配置するという「世界一コンパクトな大会」がキャッチフレーズだったが、相次ぐ「建設中止」や「会場変更」で、「世界一コンパクトな大会」は完全に消え去った。
 競技会場は、「既存施設」と「新設」で対応するとし、「既存施設」については改修や増設工事が伴う場合があり、「新規建設」は「恒久施設」と「仮設施設」に分けられている。

 2018年5月2日、国際オリンピック委員会(IOC)は、スイス・ローザンヌで開いた理事会で2020年東京五輪大会のサッカー7会場を一括承認した。これで東京オリンピック・パラリンピックの43競技会場がすべて決まった。
 この内、オリンピッックは42会場、パラリンピックで21会場(ボッチャ競技のみ幕張メッセでパラリンピック単独で開催 その他はオリンピックと共通競技会場を使用)で開催される。
 オリンピックで開催される競技数は、東京大会組織委員会が提案した追加種目、5競技18種目を加え、合計競技数は33競技、種目数は339種目で、選手数の上限を11,900人とすることが決定されている。
 一方、パラリンピックは22の競技が開催される。
 今回、承認されたのは「札幌ドーム」、「宮城スタジアム」、「茨城カシマスタジアム」、「埼玉スタジアム」、「横浜国際総合競技場」、「新国立競技場」、「東京スタジアム」の7会場で、決勝は男子が「横浜国際総合競技場」、女子は「新国立競技場」で行う案が有力とされている。
 43の競技会場の内、新設施設18か所(恒久施設8/仮設施設10)、既設施設25か所を整備するとしている。既設施設の利用率は約58%となり、大会組織委員会では最大限既存施設を利用したと胸を張る。
 しかし、競技会場の決定に至る経過は、相次いだ“迷走”と“混迷”繰り返した結果であった。

「3兆円」! 膨張する開催経費 どこへいった五輪開催理念 “世界一コンパクトな大会”(下)


2020東京五輪大会競技場の恒久施設

 2020東京大会競技場の「新設」(恒久施設)は、6万8000人収容可能なスタジアムへ建て替えられる「新国立競技場」(メインスタジアム)を始め、オリンピック アクアティックセンター(水泳・飛び込み・シンクロナイズドスイミング)、有明アリーナ(バレーボール)、海の森水上競技場(ボート、カヌー)、大井ホッケー競技場(ホッケー)、夢の島公園(アーチェリー)、カヌー・スラローム会場、武蔵野の森 総合スポーツ施設(近代種、バドミントン)の8施設である。
 国が建設するのは新国立競技場だけで、7か所の施設整備は東京都が担当し約1828億円で整備を行う。但し、「新国立競技場」については東京都も整備の総計約1849億円(本体工事と関連経費を含む)の内、約448億円を負担することが決まっている。

“迷走” 「新国立競技場」
 競技場の整備経費については、「新国立競技場」は国(主管は日本スポーツ振興センター[JSC])、その他の恒久施設は東京都、仮設施設は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会が責任を持つことが決められていた。
 「新国立競技場」は、2012年にデザイン競技公募を開始した際は、総工費は「1300億円を目途」としていたが、ザハ・ハディド案を採用して、施工予定者のゼネコンが総工費を見積もると「3088億円」に膨張することが判明し、世論から激しい批判を浴びた。
 2015年7月、開閉式の屋根の設置の先送りなど設計見直しを行い「2520」億円に圧縮したが、それでも当初予定の倍近い額となり批判は一向に収まらず、ザハ・ハディド案の白紙撤回に追い込まれた。最終的には、安倍首相が収拾に乗り出し、2015年8月、屋根の設置を止めたり観客席を見直すなどして総工費を「1550億円」(上限)とすることで決着した。“迷走”に“迷走”を繰り返して、“醜態”を演じたのは記憶に新しい。
 2015年9月、新たな整備計画に基づき、総工費と工期を重視した入札事業者向けの募集要項を公開し、公募を開始した。
 新整備計画ではコンサートやイベントなども開催する「多目的利用」は放棄され、陸上競技やサッカー、ラグビーなどのスタジアムへ転換することを打ち出した。
 観客席は五輪開催時には約6万8000席(旧国立競技場 約54000人)とし、五輪後に陸上トラック上部に増設して8万席以上確保する。屋根は開閉式を取りやめ、増設後の観客席全体を覆うようにする。建物の最高高さは70m以下。フィールドを含む面積は約19万4500平方メートル(同 7万2000平方メートル)で、旧整備計画の約22万4500平方メートルから約3万平方メートル削減するとした。
 公募には、大成建設を中心に梓設計、建築家の隈研吾氏で構成するグループと、竹中工務店、清水建設、大林組の3社の共同企業体と日本設計、建築家の伊東豊雄氏で構成するグループが応募した。
 2015年12月22日、審査の結果が公表され、「木と緑のスタジアム」をコンセプトにした大成建設、梓設計、建築家の隈研吾氏で構成するグループが選ばれた。
 木材と鉄骨を組み合わせた屋根で「伝統的な和を創出する」としているのが特徴のデザインで、地上5階、地下2階建て、スタンドはすり鉢状の3層にして観客の見やすさに配慮する。高さは49・2メートルと、これまでの案の70メートルに比べて低く抑え、周辺地域への圧迫感を低減させた。
 総工費は約1490億円、完成は19年11月末としている。


技術提案書A案のイメージ図  新国立競技場整備事業大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体作成/JSC提供

「新国立競技場」はサッカーやラグビーなどの球技専用スタジアムに 陸上競技の“聖地”の“夢”は無残にも消えた
 2017年11月14日、「新国立競技場」の整備計画を検討する政府の関係閣僚会議(議長・鈴木俊一五輪担当相)は14日、五輪大会後はサッカーやラグビーなどの球技専用スタジアムに改修する計画案を了承した。22年後半の供用開始をめざす。
 計画案では、大会後に陸上競技のトラックをなくし、収益性を確保するため、観客席を6万8千席から国内最大規模の8万席に増設する。
 運営方針として、(1)サッカーのワールドカップ(W杯)の招致にも対応できる規模の球技専用スタジアムに改修し、サッカーやラグビーなどの日本代表戦や全国大会の主会場とするともに、国際大会を誘致する。(2)イベントやコンサート、子供向けスポーツ教室、市民スポーツ大会等を積極的に開催する(3)運営権を民間に売却する「コンセッション方式」の導入し、契約期間は10~30年間を想定して、20年秋頃に優先交渉権者を選定する。(4)収益を確保するためにJSCが管理する秩父宮ラグビー場と代々木競技場と合わせて運営することや命名権の導入も今後検討するなど掲げた。
 新国立競技場の維持管理費は長期修繕費を含めて年間約24億円とされている。収入が確保できなければ、50年、100年、延々と赤字を背負うことになる。
 結局、「新国立競技場」が“負のレガシー”(負の遺産)になるのは避けられそうもない。



オリンピックアクアティクスセンター
 オリンピックアクアティクスセンターは、「競泳」、「シンクロナイズド・スイミング」、「飛び込み」の競技会場として、大規模な国際大会が開催可能な“国際水準の水泳場”として整備計画が立てられた。整備費は招致計画では総工費321億円としていたが、その後の見直しで683億円と約倍以上経費が膨れ上がった。
 整備計画では、建設時には延床面積5万7850平方㍍、約2万席の観客席とするが、大会後は屋根を低くして3階席を撤去するなどして観客席を5000席まで減らし、延床面積を3万2920平方㍍まで縮小する“減築”を行うとした。“減築”も国際大会開催時には観客席は1万席から最大1万5000席(仮設席を含む)に拡張可能とした。メインプール(50m×25m)、サブプール(50m×25m)、飛込プール(25m×25m)が整備される。
 その後、2016年の「四者協議」トップ級会合で、座席数を2万から1万5000席に減らし、大会後の「減築」は取りやめて建設することで、683億円から567億円に削減する方針を明らかにした。
 五輪開催後は都民のための水泳場としても活用するとしている。メーンプールとサブプールの床や壁を可動式にすることで多様な目的に使えるようにした。
 2016年1月、本体工事については、大林・東光・エルゴ・東熱異業種特定建設共同企業体が、469億8000万円(税込価格)で設計・施工工事を落札した。予定価格は538億円(本体工事)で落札率は87%だった。
 しかし、約300メートルほどの近接した場所に東京辰巳国際水泳場があるのに、なぜ巨額の税金を投じて「二つ」も整備するのか、当初から“過剰施設”の象徴だとして批判にさらされていた。
 東京辰巳国際水泳場は1993年に開館し、世界水泳や五輪選考会など国内外の主要大会が開かれてきた水泳競技の“聖地”。50メートルのメインとサブのプール、飛び込みのプールがあり、一般にも開放している。事業費は181億円、維持費は年間4億7000万円である。2008年には五輪競泳の金メダリスト北島康介選手が、200メートル平泳ぎで世界新記録を出したことで有名な水泳競技場である。
 ところが、辰巳水泳場は、観客席は固定席が約3600席、仮設席が約1400席、合わせて約5000席が限界である。国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準は観客席1万2000席、この基準を満たすためには、大幅な拡張工事が必要だが、建物が運河に面していて工事は不可能とされていた。またこの水泳場は、水深が両サイドの約半分は2メートルしかなく、国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準「水深2メートル」は満たしているが、推奨基準「水深3メートル」は満たしていない。「水深2メートル」の部分があるとシンクロナイズドスイミングの競技開催では支障が生じるとされている。さらに辰巳水泳場は、国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準、コース幅2.5メートルも満たしていない。
 このため東京都は、一回り大きい“国際水準の水泳場”として辰巳の森海浜公園内にオリンピックアクアティクスセンターを新設することとし、東京辰巳国際水泳場は水球競技場として使うことにした。当初は水球競技場は、オリンピック アクアティクスセンターに併設してウォーターポロアリーナを建設する計画だったが建設は中止された。

四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
主導権争い激化 2020年東京五輪大会 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長

 

オリンピックアクアティクスセンター  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

都政改革本部調査チーム オリンピック アクアティクスセンターの大幅な見直しを提言
 調査チームは、国際水泳連盟や国際オリンピック委員会(IOC)の要求水準から見ると五輪開催時の観客席2万席という整備計画は過剰ではないかとし、大会開催後は減築するにしても、レガシーが十分に検討されているとは言えず、「国際大会ができる大規模な施設が必要」以上の意義が見出しづらいとした。
 「5000席」に減築するしても、水泳競技の大規模な国際大会は、年に1回、開催されるかどうかで、国内大会では、観客数は2700人程度(平均)とされている。(都政改革本部調査チーム)
 また「2万席」から「5000席」に減築する工事費も問題視されている。現状の整備計画では総額683億円の内、74億円が減築費としている。
 施設の維持費の想定は、減築前は7億9100円、減築後は5億9700万円と、減築による削減額はわずか年間2億円程度としている。(都政改革本部調査チーム) 減築費を償却するためにはなんと37年も必要ということになる。批判が起きるのも当然だろう。
 施設維持費の後年度負担は、深刻な問題で、辰巳水泳場だけでも年5億円弱が必要で、新設されるオリンピックアクアティクスセンターの年6億円弱を加えると約11億円程度が毎年必要となる。国際水泳競技場は赤字経営が必至で、巨額の維持費が、毎年税金で補てんされることになるのだろう。
 大会開催後のレガシーについては、「辰巳国際水泳場を引き継ぐ施設」とするだけで検討が十分ではなく、何をレガシーにしたいのか示すことができていない。
 また辰巳国際水泳場も大会後の利用計画が示されず、まだ検討中であることも問題だした。
 辰巳国際水泳場の観客席を増築する選択肢は「北側に運河があるから」との理由だけで最初から排除されており、検討が十分とは言えないとし、
オリンピックアクアティクスセンターは、恒久席で見ると一席あたりの建設費が1000万円近くも上りコストが高すぎるとした。
 結論として、代替地も含めてすべての可能性を検証すべきで、オリンピックアクアティクスセンターの現行計画で整備する場合でも、さらなる大幅コスト削減のプランを再考することが必要だと指摘した。
 2016年11月29日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が東京都内で開かれ、アクアティクスセンターは観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、683億円から514~529億円に削減して建設することで決着した。
 
有明アリーナ
 有明アリーナは、地上5階建てで、延べ面積約4万5600平方メートル。座席数は仮設席を含めて大会開催時には仮設を含めて約1万5000席を確保するが、五輪開催後は、約1万2700席に縮小する。メインアリーナはバレーボールコート4面又はハンドボールコート3面で競技可能な規模に、サブアリーナ はバスケットボールコート2面が配置可能な規模とする。整備費は、招致計画では、総工費約176億円としていたが、見直し後は約404億円に膨れ上がった。
 五輪開催後は、ワールドカップや日本選手権といった国内外の主要な大会の会場として利用するほか、コンサートなどの各種イベント会場としても活用するとした。そのためメーンアリーナの床はコンクリート製とし、機材搬入用の大型車が通れるようになっている。 またショップやレストランを充実させたりすることで、五輪開催後は、首都圏での新たな多目的施設を目指す。
 2016年1月、本体工事は、竹中・東光・朝日・高砂異業種特定建設共同企業体が360億2880万円(税込価格)で設計・施工工事を落札した。

都政改革本部調査チーム 既存施設で開催 有明アリーナ建設中止も
 都政改革本部調査チームでは、バレーボール会場は既存のアリーナや大規模展示場を改修するなどして開催は可能とし、まず競技開催計画の変更を検討すべきと提言した。
 既存のアリーナに会場変更する場合の候補として、「横浜アリーナ」を改修して使用する案を有力視している。
 また新設する場合でも、五輪開催後は他の既存施設でバレーボール競技大会の開催は十分運用可能なことから、有明アリーナの開催があまり見込めないとし、イベントやコンサートなど多目的展示会場の施設を目指すべきだとした。
 関東圏ではコンサートなどの利用に関しては、数万人を収容するアリーナクラスへの需要は高い水準が続くと見込まれているとしている。
 しかしイベント会場を目指すにしても、建設費については類似施設に比べ高く、404億円からさらにコストダウンの努力が必要とした。
 一方で2020年以降の適切な座席数を見積もる必要や、コンサート会場として施設整備など民間事業者を巻き込んだ事業計画の詰めが必要としている。既存施設での利用など開催計画の再検討や、新設の場合にもイベント利用に向けた計画の詰めやコストの見直しが求められた。
 これに対し、10月13日、日本バレーボール協会の木村憲治会長は、都政改革本部の調査チームのヒアリングに出席し、「国際基準である1万5000人を収容できる体育館が欲しい」と述べ、計画通り有明アリーナの建設を求めた。
 有明アリーナ建設用地については、約183億円の用地取得費を有明アリーナの整備費とは別枠で処理していることから、“五輪経費隠し”として批判されている。
 2016年12月21日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が東京都内で開かれ、前回結論を先送りしたバレーボール会場は小池都知事が「有明アリーナ」を計画通り建設する方針を表明した。
 “ARIAKE LEGACY AREA”と名付けて、その拠点に「有明アリーナ」に据えて、有明地区を再開発して“五輪のレガシー”にする計画を示した。
 「有明アリーナ」はスポーツ・音楽などのイベント会場、展示場として活用し、周辺には商業施設や「有明体操競技場」も整備する。
 焦点の整備費は404億円を339億円に圧縮し、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入して、民間資金を活用し経費圧縮に努めるとした。


有明アリーナ  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

海の森水上競技場
 海の森水上競技場(ボート、カヌー)は、防波堤内の埋立地の間を締め切る形で競技施設を建設するが、会場レイアウトの変更や護岸延長の縮小などにより整備費を大幅に圧縮し、延床面積3万2170平方メートル規模とする。建設費については、招致ファイルでは、約69億円としたが、地盤強化や潮流を遮る堤防の追加工事が必要とわかり、五輪開催決定後、改めて試算すると、約1038億円の膨れ上がることが明らかになり、世論から激しい批判を浴び、“無駄遣い”の象徴となった。舛添元都知事は防波堤工事などを見直して約491億円に縮減した。
 五輪開催後は、国際大会開催可能なボート、カヌー場として活用するとともに、海の森公園と連携した“緑のネットワーク”を構成し、サイクリングコースや整備都民のレクリエーションの場、憩いの場とする計画だ。水辺を生かした水上イベントなどのイベントも開催して、多目的に活用するとしている。
 海の森水上競技場の本体工事については、大成・東洋・水ing・日立造船異業種特定建設共同企業体が248億9832万円(税込価格)で設計・施工を落札し着工した。
 しかし、その後も、整備費が巨額に上る上に、埋め立て地の先端に立地するた強風や波の影響を受けやすく、海水によるボートへの塩害の懸念や航空機の騒音問題などでも批判が止まず、小池都知事が設立した都改革本部の五輪調査チームは宮城県の長沼ボート場に会場変更をして建設中止をする提案をした。
 2016年11月29日、国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が東京都内で開かれ、小池都知事海の森水上競技場を20年程度存続の“スマート施設”(仮設レベル)として、整備費は当初の491億円から298億円に縮減して建設することを明らかにした。都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は事前合宿地とすることをコーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。


海の森水上競技場  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心

カヌー・スラローム会場(葛西臨海公園隣接地)
 カヌー(スラローム)の競技場は、水路に人工的に流れを作り出し、競技を実施することができる国内で初めてのカヌー・スラロームコースである。葛西臨海公園に建設する計画だったが、隣接地の都有地(下水道処理施設用地)に建設地を変更した。葛西臨海公園の貴重な自然環境を後世に残すという設置目的などに配慮して、公園内でなく隣接地に移して整備する。 大会後は、葛西臨海公園と一体となったラフティングも楽しめるレジャー・レクリエーション施設となるように計画を練り直した。東京都の施設として整備するので、整備経費、約73億円は東京都が負担する。




カヌー・スラローム会場  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

大井ホッケー競技場
 大井ホッケー競技場は、大井ふ頭中央海浜公園内のサッカー用の第一球技場敷地にメーンピッチ(決勝など)を新設、サッカーやアメフト用の第二球技場敷地にサブピッチ(予選)を改修整備する計画である。
座席数は、メーンピッチが大会時には仮設を含めて約1万席、大会後は約2600席、サブピッチは仮設を含めて大会時5000席、大会後は536席とする。
 立候補ファイルでは、公園内の野球場6面をつぶしてメーンピッチ、サブピッチを整備する計画でいたが、地元の軟式野球連盟などが3万8千人分の反対署名を提出したため東京都で見直し作業を進めていた。 野球場は五輪開催時は一時閉鎖し大会運営に使うが、大会後はこれまでどおりの利用が可能となる。
 総事業費は約48億円を見込んでいる。


大井ホッケー競技場  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

アーチェリー場(夢の島公園)
 アーチェリー場も夢の島公園内(新木場)の緑地を極力減らさない方向で会場計画を見直した上で建設することとした。
 当初計画では、円形広場南側の緑地部分に新設するとしていた「予選会場」「決勝会場」を、公園内にある陸上競技場にスタンドを仮設するなどして決勝会場として整備し、円形広場に予選会場を作るよう計画を変更した。取り壊す予定だった「東京スポーツ文化館」も大会の選手控室として活用する。整備費は約24億円。
 夢の島公園は、運河と水路に囲まれた43haの総合公園、ごみの最終処分場であった東京港埋立地夢の島を整備して作られた。熱帯植物館や各種スポーツ施設、バーベキュー広場などが整備され、四季折々の花が咲き乱れる都会のオアシスに生まれ変わっている。せっかく整備した緑地を潰して五輪施設を建設することに対しては都民から強い批判を受けている。


夢の島公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

武蔵野総合スポーツプラザ
 武蔵野総合スポーツ施設(仮称)は、東京都調布市の東京スタジアムの隣接地の約3万3500平方メートルの敷地にメインアリーナとサブアリーナを建設する。
 メインアリーナは、バレーボール4面、バスケットボール4面が可能な競技フロアを備え、観客席は固定席で6662席、仮設席対応も含めると約11000席が収容可能である。大規模なスポーツ大会やイベントの開催も可能である。
 サブアリーナは、バレーボール2面、バスケットボール2面が設営可能なフロアが整備され、可動畳で武道競技の開催も可能である。屋内プールも設置し、50m、8コースの国際公認プールとなる計画である。さらにトレーニングルームやフィットネススタジオ、カフェ等も設ける。 隣接地には陸上競技場、「西競技場」(既設)も整備されている。
 整備費は351億円。 近代五種[フェンシング、バドミントン]の競技場となる。


武蔵野総合スポーツプラザ  出典:東京都

有明テニスの森公園
 有明テニスの森公園は、当初計画では既存の屋内外のコート計49面を、35面のコートや観客席などに再整備し、ショーコートを2面、建設するとしていた。しかし、日本プロテニス協会ら複数の競技団体から「コートの減少を最小限にとどめてほしい」といった要望や、ショーコートを整備予定のイベント広場についても、近隣住民らから存続を希望する声が寄せられていた。こうした要望を受け、新計画では、コートの配置を変更することで大会開催時には37面を整備し、大会終了後には元の49面に復元。また、2面整備予定のショーコートは1面を大会後撤去し、イベント広場に戻すとした。また観客席を仮設とすることで34億円縮減し、改修費は約110億円となった。


有明テニスの森公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

建設中止や会場変更をする競技施設
 恒久施設では、「夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)」、「夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)」、「若洲オリンピックマリーナ(セーリング)」、仮設施設では、「ウォーターポロアリーナ(水球)」、「有明ベロドローム(自転車・トラック)」、「有明MTBコース(マウンテンバイク)」、「夢の島競技場(馬術)」は建設中止となり、他の既存施設に振り替える。
 「夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)」と「夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)」は、招致計画では、建設費を364億円としたが、見直しの結果、683億に膨張し建設中止に追い込まれた。
 バトミントンは、武蔵野森総合スポーツ施設(東京都調布市)、バスケットはさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)に会場変更された。
 「若洲オリンピックマリーナ(セーリング [ヨット・ウンドサーフィン])」は、招致計画では建設費を92億円としたが、見直しの結果、土手の造成費が新たに必要となることが明らかになり、417億円に膨れ上がり建設は取りやめられた。セーリング会場は江の島ヨットハーバー[藤沢市]に変更となった。
 水球は「東京辰巳国際水泳場」に変更となった。
 自転車(トラック)は、日本サイクルスポーツセンター内の「伊豆ベロドローム」に会場変更し、マウンテンバイク(MTB)は同じ日本サイクルスポーツセンター内のMTBコースを改修して開催することが決まった。
 また馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)は夢の島競技場内(新木場)に仮設施設を建設する予定だったが、建設は中止され、馬事公苑(世田谷区)に会場を変更した。
 カヌー・スラローム会場は、葛西臨海公園から、公園に隣接する都有地に建設地が変更された。

“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革に暗雲
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか



五輪競技場の仮設施設

 「仮設施設」では、皇居外苑コース(自転車・ロードレース)、お台場海浜公園(トライアスロン・水泳)、潮風公園(ビーチバレー)、海の森クロスカントリーコース(馬術・クロスカントリー)、有明BMXコース(自転車[BMX])、陸上自衛隊朝霞訓練場(射撃)が整備される。当初は整備にかかる経費は原則として五輪組織員会が負担するとしていたが、結局、組織員会は約950億円を負担し、東京都が2100億円負担することになった。 さらに東京都は周辺整備費や道路などの交通基盤整備費の負担も背負うことになる。
 馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)は夢の島競技場内に仮設施設を建設する予定だったが、建設を中止し馬事公苑に会場を変更した。
 また馬術(クロスカントリー)については、計画通り、「海の森クロスカントリーコース」が仮設施設として整備される。
 マラソンは、スタート、ゴール共に新国立競技場で開催され、競歩は、皇居外苑の周回コースで行われる。
 そのほかの「仮設施設」では、お台場海浜公園(トライアスロン[水泳]、マラソン水泳)、潮風公園(ビーチバレー)、青海アーバンスポーツ会場(バスケットボール3×3、スポーツクライミング)が整備される。
 自転車(ロードレース)は、当初計画ではスタート地点が皇居、ゴール地点が武蔵野の森公園としていたが、テレビ映りや景観を重視した国際自転車連合(UCI)から富士山を背景に走るコースを強く要請され、スタート地点を東京・武蔵野の森公園、ゴール地点を富士スピードウェイ(静岡県小山町)とすることが決まった。いた理事会で2020年東京五輪の会場計画変更を承認し、自転車ロードレースはを出発し、富士山近くのにゴールすることが決まった。



有明体操競技場
 有明体操競技場は鉄骨造・一部木造の地上3階建てで、敷地面積は約9万6400平方メートル(都有地)、延べ面積約3万9300平方メートル、観客席1万2000席の計画で整備される。3万2000平方メートルの体操競技場と約5000平方メートルのウオームアップ施設などが建設される。
 大会後は、敷地面積を3万6500平方メートル、延べ面積を約2万7600平方メートルに縮小し、面積は約1万平方メートルの展示場とする。ウオームアップ施設は撤去され、バックスペースは駐車場となる。
 有明体操競技場は当初計画では、「仮設施設」として、組織委員会が総工費約89億円で整備し、大会後は取り壊す方針だったが、「大会後に有効活用せずに取り壊すのはもったいない」との意見が出ていた。その後、資材の高騰などでさらに総工費が膨れ上がり、「恒久施設」として建設する場合と比較してもあまり経費に大きな差がなくなったが判明し、大会終了後、10年間をメドに存続させ、再活用する“半恒久”施設として整備することになった。 展示場やイベント会場などで10年程度利用され、都の関連企業の「東京ビッグサイト」が管理運営を行う方針である。
 東京都では、組織委員会が管理する「仮設施設」として仕分けしているので、「五輪開催費用」に計上していない。
 整備費の総額は「約253億円」とし、「後利用に相当する部分」を「193億円」、「大会時のみ使用する部分」を「60億円」に仕分けすることで組織委員会と合意している。「193億円」は東京都が負担することが決まったが、「60億円」の負担の割合は調整がついていない。
 2016年11月、清水建設が205億2000万円で本体工事を落札した。


有明体操競技場  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

海の森クロスカントリーコース
 海の森クロスカントリーコースは、東京湾の最先端にある中央防波堤の埋め立て地に建設される。この埋め立て地では緑化事業が進められ、海の森公園が整備され、公園内に馬術のクロスカントリーコースが仮設施設として整備され、総合馬術(クロスカントリー)が開催される。
海の森公園からは東京ゲートブリッジなど東京湾と巨大都市、東京の景観が一望に見渡すことができ、大会開催後は、「海の森」として、都民のレクレーション・エリアとなる。
ボートとカヌー競技が開催される海の森水上競技場が隣接している。


海の森クロスカントリーコース  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

青海アーバンスポーツ会場 
 選手村からも近い青海エリアの敷地に、仮設で整備される競技会場。東京湾が見える場所に位置し、都市型スポーツ競技のバスケットボールの3×3やスポーツクライミングが開催され、世界中の若者のアスリートが集う東京2020大会を象徴する会場のひとつとなる。
パラリンピックでは、5人制サッカーの競技会場となる。


青海アーバンスポーツ会場の建設地  出典 2020東京大会組織委員会

潮風公園
 潮風公園の前身は、東京港改造計画に基づいて造成された13号埋立地の一画の「13号地公園」で、この地域が臨海副都心として整備されるに伴い、全面改修工事が行われ「潮風公園」として生まれ変わった。臨海副都心内では最大の海辺の公園で、レインボーブリッジを背景とした東京湾の景観も素晴らしい。お台場海浜公園と隣接している。
 潮風公園の中心にある「太陽の広場」にビーチバレーボールの競技会場が仮設で建設される。


潮風公園 ビーチバレー競技会場 (資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

BMXコース
 BMXについては、組織委では、「日本サイクルスーツセンター」に変更したいとしたが、国際自転車連合は観客が集まりやすい首都圏での開催にこだわって難色を示し、当初計画通り東京都江東区有明周辺で開催されることになった。有明地区に約5000席の観客席を備えた「有明BMXコース」を建設することが決まった。


有明BMXコース 出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会


有明BMXコース建設地  出典 江東区スポーツ公社

陸上自衛隊朝霞訓練場
 陸上自衛隊朝霞訓練場は、陸上自衛隊朝霞駐屯地に隣接して設置された施設で、訓練場内は自動車教習所、屋内射撃場、弾薬庫等が設置されており、一部の区域で陣地構築等の小規模な訓練も可能である。3年に一度、自衛隊記念日に中央観閲式が実施されことで知られている。
 屋内射撃場は、射撃の競技場・練習場として使用され、1964年東京五輪大会では射撃競技の会場となった。
 2020東京五輪大会時には訓練場内に仮設施設が整備され、オリンピックとパラリンピックの射撃競技が開催される。


陸上自衛隊朝霞訓練場  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

既存施設の五輪競技会場

東京辰巳国際水泳場
 水球の競技会場となる東京辰巳国際水泳場は、東京都の水泳競技場の代表的な施設として建設され、1993年にオープンした。
50m×25mで公認8レーンで、水深を1.4mから3mまで変えられる可動床が設置されているメインプールや50m×15mで7レーンのサブプール、25m×25mで水深5mの国際公認ダイビングプールを備え、全国規模の大会などが多数開催されている。観覧席は固定で3,600席、仮設で1,400席、あわせて5,000席がある。ダイビングプールの観客席はメインプールと共通である。
 この水泳場のメインプールでは、2008年に北島康介選手が世界新記録を樹立し、2017年には渡辺一平選手がその記録を塗り替えるなど、大きな話題になった。


東京辰巳国際水泳場  出典 清水建設

伊豆ベロドローム
 伊豆ベロドロームは、国際自転車競技連合(UCI)規格の周長250m木製走路を有する屋内型自転車トラック競技施設として2011年に開業した。観客席は、常設で1,800席、仮設で1,200席。全日本選手権自転車競技大会トラック・レースなど多くの国内主要大会で使用されている。また ナ  ショナルトレーニングセンターとしての役割を果たすとともに、広く一般の方も利用できる施設になっている。
 自転車(トラック)は当初計画では、「有明ベロドローム」(仮設施設)を建設する予定だったが、建設費の高騰で、会場見直しを2020東京大会組織委員会が提案し、伊豆・修善寺にある「日本サイクルスポーツセンター」内にある「伊豆ベロドローム」に会場変更することが承認された。伊豆ベロドロームでは、パラリンピックで自転車競技(トラック)も開催される。
 またマウンテンバイク(MTB)も、「海の森マウンテンバイクコース」の建設を中止して、「日本サイクルスポーツセンター」内の既存の「伊豆MTBコース」を改修して使用することが決まった。
 このコースは全長2,500m、高低差85mのオフロードコースで全日本選手権大会なども開催されている。初級者から上級者までが利用できるように、エリアやルートが分かれている。コースの途中には、富士山を望むことができるビューポイントもある。
 五輪大会のマウンテンバイク(MTB)競技は、クロスカントリーが行われ、起伏に富む山岳コースを舞台に全選手が一斉にスタートして着順を競うものでパワーとテクニックが必要である。
 1周5km以上のコースを使用し、周回数は予想競技時間(男子2時間)にあわせた周回数となる。

* 「ベロドローム」とは自転車競技場の意味で、『Velo(ベロ)』はラテン語が語源のフランス語で自転車、『drome(ドローム)』はラテン語で競技場を意味する。




伊豆ベロドローム  出典 日本サイクルスーツセンター


日本サイクルスーツセンター 出典 日本サイクルスーツセンター

 ロードレースのコースは、当初は、スタートとゴール共に、観客の集まりやすい皇居外苑としていた。
 しかし、ロードレースのコースは選手の実力差が出るように勾配のある難しいコース設定が求められ、リオ五輪では終盤は高低差約500メートルの山岳ルートを周回するコースが選ばれている。競技団体から、こうした条件を満たす富士山麓のコースが求められた。しかもテレビ映りの絶好な富士山を背景にすることができることも大きな要因だった。ゴールは富士スピードウェイ(静岡県小山町)が決まり、出発点は武蔵の森公園となった。
 組織委員会としても、都内の周回コースは一般交通への影響や警備の負担が大きく、“富士山コース”を受け入れた。
 それにしても“テレビ五輪”を象徴する計画変更である。


富士スピードウェイ  出典 富士スピードウェイ 

お台場海浜公園 

マラソン水泳・トライアスロン 深刻な東京湾の水質汚染
 2017年10月、2020東京大会組織員会は、マラソンの水泳とトライアスロンの会場で、大腸菌(Coli)が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌(faecal coliform bacteria)が上限の7倍も検出されたと公表した。
 組織委では、雨期に海岸から流出する細菌の量を抑制するために、お台場マリンパークに水中スクリーンを設置するなど多数の実験を行い、水質改善に努めているとした。
 コーツ副会長は「トライアスロン競技連盟は依然として水質を懸念している。今年と来年に行われる水のスクリーニング、カーテンの入れ方などの実験についてプレゼンテーションを受けた。この姿勢には非常に満足している」としたが、水質問題に依然として懸念が残るとして改善を求めた。


お台場海浜公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

江の島ヨットハーバー
 江の島ヨットハーバーは神奈川県藤沢市の沖にある島「江の島」の中にある。
1964東京オリンピックのヨット競技の会場となり、江の島の北東側海岸にあった岩場を埋め立てて、ヨットハーバーを整備した。
埋め立て地の内、約330平方メートルにヨット係留施設を建設し、鉄筋3階建クラブハウスや約500台駐車可能の駐車場なども整備された。また2000t級の観光船なども発着できる岸壁も建設した。
 2020東京五輪大会ではセーリング(ヨットとウインドサーフィン)の競技会場となる。

シラス漁に影響 江の島セーリング会場
 セーリング競技については、バンコクの会議で、国際セーリング連盟は、「準備が1年遅れている」と指摘し、地元の漁業者との交渉が進まず、レース海面決定が遅れていることや津波対策や警備対策に懸念を持っているとした。
 コーツ副会長も、記者会見で、2020東京大会組織委員会に対し、地元の漁業者へ与える影響について懸念を表明したと付け加えた。
江の島で開催されるセーリング競技では、ディンギー5艇種によるヨットとウインドサーフィンが行われる。海上に設置された3つのブイ(三角形のコース)を周回して争われる競技である。
 レース海面は、鎌倉市沖から葉山町沖の海域に、直径1852メートルと1574メートルの円形の5つのエリアの設定が計画されている。
 一方この海域は、古くから湘南名物のシラス漁の好漁場として知られている。
セーリング競技団体はレース海面をなるべく沿岸に近い浅瀬に設定することを求めているのに対し、漁業者はシラス漁への影響を懸念してなるべく沖合にしたいとして調整が継続されていて、未だにレース海面が決まっていない。
 シラス漁の操業海域は、5市1町の8漁業組合に独占的に認めている「共同漁業権」エリアが設定され、さらにその沖合にはどの漁協も操業できる海域が広がっている。
 シラス漁は、元旦から3月10日までは禁漁だが、五輪セーリング競技の公式練習や大会開催期間はシラス漁の漁期と重なり、漁業者への影響は必至である。
 そこで浮上するのが漁業補償の問題だが、神奈川県と関連漁協の間の具体的な協議は始まっていない。
 漁業補償がからんでレース海面の決定は難航が予想され、セーリング開催準備も難問を抱えている。


江の島セーリング会場 出典 2020大会組織委


セーリング  出典 日本セーリング連盟

「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委

釣ヶ崎海岸サーフィン会場
 釣ヶ崎海岸(通称志田下ポイント)は九十九里浜(千葉県一宮町)の南端の海岸で、「世界最高レベル」ともいわれる良質な波が、年間を通じて打ち寄せる海岸として知られ、多くのサーファーが訪れる。
 プロサーファーやハイレベルなサーファーが集まることから「波乗り道場」とも呼ばれ、地元出身の多くの有力選手が活躍している。
ハイレベルな大会も多数開催されており、平成28年5月と平成29年5月にはこれまで国内で開催された国際大会の中でも最高レベルにあたる「QS6000 ICHINOMIYA CHIBA OPEN」が開催され、世界トップレベルの選手達がライディイグを披露した。
 2020東京五輪大会ではサーフィン競技の会場になる。


釣ヶ崎海岸  出典  2020大会組織委員会


釣ヶ崎海岸  出典 一宮町 ホームページ

迷走 霞ケ浦CCゴルフ会場
 2017年1月4日、森喜朗組織委会長は、ゴルフ会場の霞ケ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)について「輸送を計画通りにできるのかどうか。選手の疲労なども考えると、運営側としては心配だ」と述べ、アクセス面の懸念を示した。
 東京晴海の選手村から会場までは40キロ以上も離れている上に、渋滞の激しい関越自動車道を通るため、期間中に設置される五輪専用レーンを設置しなければならない。専用レーンを利用しても1時間半程度かかるとし、「強い(上位)選手ほど帰るのが遅くなる。遅ければ選手村に午後10時ごろ。翌朝6時(始動)となれば大変だ」と述べ、4日間の日程で選手の疲労度を懸念した上で、輸送計画の精査を求めた。 
さらに、内陸部で真夏には気温が40度近くになることもあり暑さ対策の懸念も指摘した。
 森会長は、問題の解決が難しい場合、2012年招致計画の会場だった江東区の若洲ゴルフリンクス(都営パブリックコース)や、千葉県などにゴルフ場があることも指摘し、会場変更の検討にも言及した。
 一方、小池都知事は、「21世紀に女性が正会員になれないということに違和感がある」と述べ。男女平等をうたう五輪憲章に反するという懸念を示した。国際オリンピック委員会(IOC)は日本ゴルフ協会(JGA)など4団体で構成する五輪ゴルフ対策本部や大会組織委員会に対応を求めた。
また2013年の立候補ファイルでは、若洲から霞ケ浦へ変更されたが、なぜ変更されたのか、その経緯が不明朗だという批判がこれまでも巻き起こっていた。「誰がどう考えても若洲の方が良い」とする意見も強い。
 2017年3月20日、「霞ヶ関カンツリー倶楽部」は、臨時の理事会を開き、規則を改定し、女性正会員を容認することを出席した理事が全員一致で議決した。
 これまで霞ヶ関カンツリー倶楽部は、女性がすべての営業日を通じて利用できる正会員になることを認めていなかった。
 「霞ヶ関カンツリー倶楽部」は「時代に沿った対応をすすめるため、自主的に改定の判断をした」とのコメントを出した。


霞ヶ関カンツリー倶楽部  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

サッカーの予選開催競技場 
 サッカーの予選開催競技場は、札幌ドーム(札幌市)、宮城スタジアム(宮城県利府町)、埼玉スタジアム2002(さいたま市)、横浜国際総合競技場(横浜市)の4か所がすでに決まっている。組織員会では、4か所に加えて、茨城県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)、豊田スタジアム(愛知県豊田市)、吹田市立スタジアム(大阪府吹田市)の3か所を追加したいとして国際サッカー連盟と調整したが、最終的に、札幌ドーム(札幌市)、宮城スタジアム(宮城県利府町)、茨城立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)、埼玉スタジアム2002(さいたま市)、横浜国際総合競技場(横浜市)、新国立競技場、東京スタジアムの7か所で開催することが決まった。
 決勝は男子が「横浜国際総合競技場」、女子は「新国立競技場」で行う案が有力とされている。
 
選手村
 中央区晴海の東京ドーム3個分に及ぶ広大な都有地、約13万4000ヘクタールの敷地に、14~17階建ての21棟のマンション型の選手村と商業施設が建設される。工事費は約954億円。選手村の居住ゾーンは3街区に分けて、約1万7000人の五輪関係者が宿泊可能な施設となる。各住戸は、東京湾の風景が望めるつくり。周辺環境、海からのスカイラインを考慮し、様々な高さの建物を配置するとしている。
 大会終了後は分譲マンションとして販売する計画で、超高層住宅棟2棟を建設し、住宅棟21棟、商業棟1棟に整備して、5650戸のニュータウンに衣替えする。2016年7月、三井レジデンスなど11社で構成する民間事業者グループが開発事業を受注し、2017年1月には着工する。基本的に国や都の財政負担なしに整備する方針だ。日本の気候に応じた伝統的な建築技術と最先端の環境設備と融合した環境負荷の少ない街づくりを体現する1つのモデルとなることを目指す。
 しかし、東京都は選手村用地の盛り土や防潮堤の建設を始め、上下水道や周辺道路の整備に410億円を投入して計画だ。大会後は臨海ニュータウンになるので、社会資本整備投資経費として理解できるが、東京都の五輪開催経費、選手村整備費にはまったく算入していない。
 また都有地約13万4000ヘクタールを、周辺価格の約10分の1という“破格の優遇措置”で事業者グループに売却したことで、疑念が生まれて批判が集まった。


選手村  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

IBC/MPC
 東京オリンピックの世界の報道機関の拠点、国際放送センター(IBC International Broadcasting Center)とメインプレスセンター(MPC Main Press Center)は東京ビッグサイト(江東区有明地区 東京湾ベイエリア)に設置される。
 国際放送センター(IBC / International Broadcasting Center)は、世界各国。の放送機関等のオペレーションの拠点となる施設である。IBCの設営・運営は、五輪大会のホスト・ブロードキャスター(Host Broadcaster)であるOBS(Olympic Broadcasting Services )が行う。
 IBCには、国際映像・音声信号のコントロール(Contribution)、分配(Distribution)、伝送(Transmission)、ストレージ(VTR Logging)など行うシステムが設置されるエリアや各放送機関等がサテライト・スタジオや放送機材、ワーキング・ブースなどを設置する放送機関エリアなどが整備される。
 メインプレスセンター(MPC / Main Press Center)は、新聞、通信社、雑誌等の取材、編集拠点である。共用プレス席、専用ワーキングスペース、フォト・ワーキングルーム、会見室・ブリーフィングルームなどが準備される。
IBCとMPCには、約2万人のジャーナリストやカメラマン、放送関係者などのメディア関係者が参加する。
世界の各放送機関に対し、国際映像(ホスト映像)を配信するOBS(Olympic Broadcasting Services )エリアや、世界の各放送機関が使用する専用スペース・エリアが用意される。
 東京ビックサイトは、江東区有明地区の東京湾ベイエリアにある国際展示場で、敷地面積24万平方メートル、延べ床面積23万平方メートル、会議棟、西展示棟、東展示棟からなる日本で最大のコンベンションセンターである。
 さらに五輪大会開催のために、既設の西展示棟南側に、延床面積約6万5000平方メートルの5層階の「増設棟」を、約228億円の整備費で建設している。広さ約2万平方メートルの展示ホールや会議施設、事務所などが設けられる。
 この「増築棟」は、当初はメイン・プレス・センター(MPC)を設置する計画だったが、その後の見直しで、MPCは西展示棟に移し、五輪施設としては使用しないとして、五輪施設整備予算の枠から除外した。
 東京ビックサイトをIBC/MPCに使用すると、最大20カ月に渡って占有されるため、毎年開催されているさまざな業種の約230の見本市・展示会が中止となり、約2兆円の売り上げを失うとして、見本市・展示関連企業から反発を受けている。


国際放送センター・メインプレスセンター  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

何処へ行った「世界一コンパクトな大会」
 新規に競技場を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費などの後年度負担が確実に生まれる。施設利用料などの収入で賄えるのであれば問題ないが、巨額の赤字が毎年生まれるのでは、“レガシー”(未来への遺産)どころか次世代への“負の遺産”になる懸念が大きい。五輪開催期間は、オリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。新規の施設整備は極力止めるのが基本だ。
 また忘れてはならないのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、“ヘリテッジゾーン”と“東京ベイゾーン”の選手村から半径8キロメートル圏内に85%の競技場を配置して開催するとしていた。「世界一コンパクトな大会」の“公約”は消え去ってしまった。

 それにしても東京五輪の「招致ファイル」は一体、なんだったのだろうか?
舛添要一東京都知事は、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」と述べている。
 結局、杜撰な招致計画のツケを負担させられるのは国民である。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと2年余り、新国立競技場の迷走、五輪エンブレムの撤回、政治とカネにまつわるスキャンダルで舛添前都知事の辞任、そして、海の森水上競技場などの競技場見直しを巡るバトル、混迷はまだ収まる気配はない。



東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 競技会場の全貌





2016年12月7日 2018月5月1日改訂
Copyright (C) 2018 IMSSR





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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東京オリンピック ボランティア批判 タダ働き やりがい搾取 動員 混迷 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!

2018年11月25日 14時39分06秒 | 東京オリンピック

ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!


大会ボランティアの募集 2020東京大会組織員会


都市ボランティアの募集 東京都
東京都は広瀬すずが出演したボランティアの募集のCMの制作に約4000万円かけた。

「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 ボランティア募集」CM 広瀬すず 、10代学生とサプライズCM撮影

ORICON NEWS/Youtube




東京2020大会ボランティア、目標の8万人達成 外国籍の応募者44%
 2018年11月21日、大会組織委員会は、大会ボランティアの応募者が、20日午前9時時点で8万1035人に上り、目標の8万人を達成したと発表した。 注目されるのは応募者の4割超が外国籍で、希望活動分野は「競技」が最も多く、「式典」「運営サポート」も人気が高かった。これに対して「移動サポート」などは希望者が少なく12月21日まで募集を継続するとしている。
 大会ボランティアの募集は9月26日に開始し、当初は「1日8時間程度、合計10日以上」といった応募条件が「厳しすぎる」との懸念が出ていたが、2カ月弱で目標に達した。
 募集にあたっては、英語サイトも開設し応募を受け付けた。日本語を話せることは条件はない。結果、外国籍に応募者が半数近くの44%にも達した。 
 大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は「多くの方に応募していただき、感謝している」と述べた上で、外国籍の人が多かった理由については「確たることを言うのは難しい。海外でのボランティア活動への積極的な受け止め方もあるのだろう」との見方を示し、「(応募者と活動内容の)マッチングを適切にしたい」と語った。
 組織委によると過去の大会では、採用された外国籍の人の割合は10%以下が多かったという。
 応募者の全体で見ると、男女別では女性が60%、男性が40%。年齢層は20代が最多の32%で、10代から80歳以上まで幅広い年代にわたった。
 しかし、日本国籍の応募者に限ると50代(22%)が最も多く、20代(12%)、30代(11%)は少なかったという。
 応募後は2019年2月から順次、説明会や面談が始まり、10月からは共通研修などに入り、2020年3月には活動場所や役割が決まる予定だ。
 海外に住む応募者への説明会や面談はテレビ電話などを使い個別に行い、ボランティアに採用された場合、必要な研修は2020年6月以降、来日してから受けられることになっている。

 東京2020大会のボランティア募集がこれだけ海外から注目を浴びたのは喜ばしいことではあるが、日本語を話せることが条件ではないため、活動分野のカテゴリーによっては、大会関係者とのコミュニケーションがうまく行かない懸念も生じる。また、「土地勘」がない場所でのボランティア体験には、ボランティア自身がとまどう状況も十分想定しなければんらない。
 さらに、国内籍の応募者は、2019年1月~7月の間にオリエンテーション(説明会・面接)や2019年10月からは共通研修、2020年4月からは役割別・リーダー研修、そして6月からは会場別研修に参加しなければならないが、外国籍の応募者は2020年6月の会場別研修から参加すれば良いことになっている。明らかに日本籍と外国籍の応募者の間には研修内容に有意差がある。(下記 ボランティアジャーニー参照)
 大会運営上の観点だけで考えると、日本国籍の応募者を主体にする方が効率的かもしれない。
 また来日する外国籍のボランティアに対して、大会組織委員会はきめ細かなサポート体制を整える必要も迫られてきた。
 大会組織委員会では、「マッチングを適切にしたい」とし、暗に外国籍ボランティアの採用を厳しく審査する方向性を示唆している。
 しかし、応募者の半分近くに達した外国籍のボランティアの採用数が、日本国籍と外国籍との間で大幅な格差が生じた生じると、国際社会からは「差別」だと見られて大きな批判を招く可能性がある。大会組織委員会が採用の審査を適切に実施した結果だと説明にしても、審査の結果、外国籍の採用数が何人になるかが問われることになるだろう。外国籍のボランティアの採用数を抑えることは、国境を越えた連帯を掲げるオリンッピク精神に明らかに背くことになる。
 「外国籍の応募者44%」、大会組織委員会は大きな難題を抱えた。 

 一方、東京都の都市ボランティアの応募は、11月21日の時点で1万5180人にとどまり、募集人数の2万人には到達していない。東京都は12月5日としていた締め切りを12月21日に延長して参加を募集することにしている。


東京五輪開催経費「3兆円超」へ 組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘
 2018年10月4日、会計検査院は2020東京オリンピック・パラリンピックの開催経費ついて、平成25年度から29年度までの5年間に国が支出した開催経費が約8011億円に上ったと指摘した。
 これまで大会組織委員会が明らかにしていた開催経費は、総額約1兆3500億円で、このうち大会組織員会は約6000億円を、東京都が約6000億円、国が新国立競技場の建設費の一部1200億円やパラリンピック経費の一部300億円の合わせて約1500億円を負担するとしていた。
 これに対し会見検査院は、各省庁の関連施策費を集計した結果、国は1500億円を含めて25~29年度に8011億9000万円を支出していると指摘した。
 五輪開催費用については、今年1月、東京都は組織委公表分の都の予算約6000億円とは別に約8100億円を関連予算として支出する計画を明らかにしている。検査院によると、組織委が公表した予算、1兆3500億円には「大会に直接必要なもの」に限られ、国の省庁や都庁が、五輪開催経費とせず、一般の行政経費として組んだ予算は含まれていないという。
 組織員会、東京都、国の五輪関連経費を改めて合計すると、約2兆8100億円となり、今後に支出が予定される経費も含めると、「3兆円」超は必至である。
 やはり懸念していた通り、一気に「1兆3500億円」の倍以上に膨らむことが明らかになった。五輪開催経費は、国民の批判を避けるために、本来は経費に含めるのが妥当な支出も、一般の行政経費に潜らせる国や都の姿勢を筆者は疑問視していた。五輪開催経費を不透明化しブラックボックスにして、「青天井体質」を止めなければならない。


東京五輪開催経費「3兆円超」へ 国が8011千億円支出 組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘
「1725億円」は五輪開催経費隠し 検証・国の会計検査院への反論 青天井体質に歯止めがかからない



都市ボランティア応募者6012人 大会ボランティア応募者5万2249人
 東京都は、9月26日から募集を開始した都市ボランティアの応募者が、約1カ月を経過して、6012人(10月23日現在)とした。女性が約60%を占め、10台から40代の層が約半数を占めているという。都市ボランティアの募集数は約2万人、12月上旬で受付が終了する。
 これに対して、東京2020組織員会が募集する大会ボランティアは、これまでに5万2249人(10月22日現在)の応募者があり、さらに大会マイページの登録者が9万2920人に達した。
 組織委員会の武藤敏郎事務総長は、2018年10月17日、日本記者クラブで講演し、「不足する事態になるとは思っていない」とした上で「絶対にその人数(八万人)がいなければらならないというものではない。集まらないなら集まる範囲でやっていくべきもの」と述べ、早くも予防線を張っている。
 


東京2020大会ボランティア募集開始
 2018年9月26日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会と東京都は、大会を支えるボランティアの募集を開始した。インターネットなどで12月上旬まで応募を受け付け、計11万人の人員確保を目指す。
 大会組織委は競技会場や選手村などで競技や運転など各種運営をサポートする「大会ボランティア」8万人、東京都は空港や駅、観光地で、国内外から訪れる人たちへ観光や交通の案内を行う「都市ボランティア」3万人を募集する。
 「都市ボランティア」3万人の内、1万人は東京都観光ボランティアや2019年に開催されるワールドカップで活動したボランティア、都内大学からの希望による参加者、都内区市町村 からの推薦者(5,000 人程度)などが含まれるとしている。
 対象は20年4月1日時点で18歳以上の人。原則として大会ボランティアは休憩や待機時間を含めて1日8時間程度で計10日以上、都市ボランティアは1日5時間程度で計5日以上の活動が条件となる。
 食事やユニホーム、けがなどを補償する保険費用は支給され、交通費補助の名目で全員に1日1000円のプリペイドカードを提供するが、基本的に交通費や宿泊費は自己負担となる。また、大会ボランティアは希望する活動内容を三つまで選択できるが、希望順を伝えることはできない。
 ボランティアの応募者は、書類選考を得て、説明会や面接、研修などに参加した後、2020年3月頃に最終的に採用が決まる。4月からは役割や会場に応じて複数回の研修を受けて、7月からの本番に臨む。
 いずれもユニホームや食事が提供されるほか、交通費についても有識者会議で「近郊交通費ぐらいは出せないか」との意見が出たため、1日1千円のプリペイドカードを支給するこことが決まった。
 応募期間は12月上旬までとしているが、必要数に達しない場合は再募集も行う。
 大会ボランティアは組織委ホームページ(https://tokyo2020.org/jp/special/volunteer/)から、都市ボランティアはボランティア情報サイト「東京ボランティアナビ」(http://www.city-volunteer.metro.tokyo.jp/)などで申し込みができる。
 組織委と都は26日午後1時の募集開始に合わせ、新宿駅西口広場でPRチラシを配布し、応募を呼びかけた。
 募集担当者は「今後はボランティアに関する情報をきちんと伝えていきたい。大会を自分の手で成功させたいと思っている人にぜひ応募してほしい」と話している。
 しかし、東京2020大会ボランティア募集については、早くから「10日以上拘束されるのに報酬が出ない」とか「交通費や宿泊費が自己負担」などの待遇面や募集条件が厳しいことで、「タダ働き」、「やりがい搾取」、「動員強制」との批判が渦巻いている。
 東京オリンピックは、果たしてボランティアが支える対象としてふさわしい大会なのだろうか、疑念が湧いてくる。

大会ボランティアの活動内容は?
 大会ボランティアは、競技会場や選手村、その他の大会関連施設で、観客サービスや競技運営のサポート、メディアのサポート等、大会運営に直接携わる活動をする。
 大会ボランティアの活動分野は9つのカテゴリーに分かれている。








出典 2020東京大会組織員会 募集リーフレット 

大会ボランティアは「経験」と「スキル」を要求する業務 ボランティアの役割の域を超えている
 大会ボランティアの活動分野の内、「案内」(1万6000人~2万5000人)は、“日本のおもてなし”の思いやりあふれたホスピタリティを実現させるサービスとして、ボランティアの本来活動分野としてふさわしいだろう。また「式典」(1000人~2000人)も同様と思える。
 しかし、「競技」(1万5000人~1万7000人)、「移動サポート」(1万人~1万4000人)、「アテンド」(8000人~1万2000人)、「運営サポート」(8000人~1万人)、「ヘルスケア」(4000人~6000人)、「テクノロジー」(2000人~4000人)、「メディア」(2000人~4000人)ともなると、相応の経験をスキルが要求され、明らかにボランティアの活動領域を超えている。大会運営に関わるまさに根幹業務で基本的に大会スタッフが担当すべきだ。
 「運営サポート」では、IDの発行もサポートするとしているが、IDの発行は、セキュリティ関わるまさに重要な業務で、個人情報の管理も厳しく問われる。ボランティアが携わる業務として適切でない。組織委員会が責任を持って雇いあげた大会専任スタッフが行うべきだ。
 また「案内」のセキュリティーチェックに関わる業務もボランティアがやるべきではない。大会専任スタッフが担当すべきだ。
 「競技」では、競技の運営そのものに関わるとしているが、これは競技運営スタッフが行うものでボランティアが担う役割ではないだろう。競技運営スタッフは事前に十分なトレーニングと習熟を得なければならない。当然、経験とスキルが要求される。
 「移動サポート」は、運転免許証を要求するので、「補助」ではなく、「ドライバー」なのである。大会開催時には、組織委員会は輸送バス2200台、輸送用車両2500台を運行する予定で、ドライバーなどの輸送支援スタッフを3万人/日を有償で確保する。さすがに輸送用バスをボランティアのドライバーが運転することはないだろうが、8人乗り程度のVANの運転はボランティアに頼ることになりそうだ。大会車両の運転は安全性の確保の責任が大きく、運転はボランティアではなく、大会運営スタットとして雇われた「ドライバー」が担うべきだ。安易なボランティア頼みは問題である。
 海外からの選手が多い五輪大会の「アテンド」は語学のスキルが要求される。英語はもとより、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、中国語、韓国語、アラビア語、多様な言語のスキルを持ったスタッフを揃えなければならない。言語のスキルを持つ人に対しては、スキルに対して相応の報酬を払うが当然だ。
 例えば、大会スタッフとして雇用された通訳には1日数万円の報酬が支払わられ、その一方でボランティア通訳は「ただ働き」、これは差別としかいいようがない。スキルと経験に差があるというなら、スキルと経験や業務内容に応じて報酬は支払うべきだろう。仕事の内容は程度に差はあれほぼ同一なのに、「現場監督」は有償で、「部下」はボランティアという名目で「タダ働き」、あまりにも理不尽である。
 「ヘルスケア」、「テクノロジー」はまさに専門職のスキルが必要で、ボランティアの活動領域に当たらない。
 「メディア」対応も、運営スタッフの専門領域だ。もっともメディアの人混み整理程度の仕事ならボランティアで可能だろう。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、2013年から2016年の期間(ソチ五輪、リオデジャネイロ五輪)に、世界の放送機関から41億5700万ドル(約4697億円)という巨額の放送権料を手に入れている。国際オリンピック委員会(IOC)や組織員会は、責任を持ってメディア対応スタッフを有償で雇い上げて、メディアにサービスをしてしかるべきだ。

 大会の運営にあたって、組織委員会はさまざまな分野で大勢の大量の大会運営スタッフを雇い入れる。輸送、ガードマン、医師・看護婦、通訳、競技運営、その数は10万人近くになるだろう。大会運営スタッフは、業務経験やスキル、業務内容に応じてその待遇は千差万別だが、報酬が支払わられ、交通費や出張を伴う業務を行う場合には宿泊費、日当も支払われるだろう。
 業務内容に程度の差はあれ、ほとんど同じ分野の業務を担って、ボランティアは無報酬で「タダ働き」、交通費も宿泊費も自己負担というスキームは納得がいかない。有償の大会運営スタッフとボランティアの差は一体なにか、組織委員会は果たして明確に説明でるのだろうか?

ウエッブの応募サイトを開くと更に疑問が噴出 
 「東京2020大会ボランティア」の応募登録サイト(https://tokyo2020.org/jp/special/volunteer/method/)
を開くと、まず驚くのは「応募フォームの入力には約30分かかります」という注意書きが赤い文字で書かれていることだ。
 入力フォームは、STEP 6まであり、入力しなければならない情報はかなり多い。
▼ STEP1 氏名、性別、生年月日、写真、必要な配慮・サポート 等
▼ STEP2 住所・連絡先、緊急連絡先 等
▼ STEP3 ボランティア経験、就学・就労状況
▼ STEP4 語学、スポーツに関する経験、運転免許証の有無 等
▼ STEP5 希望する活動(期間、日数、場所、分野) 等
▼ STEP6 参加規約・プライバシーポリシーへの同意
 STEP 1とSTEP2は、常識的な入力項目だが、STEP3になると、これがボランティア応募の入力フォームかと疑念がわき始めた。
 STEP3では、「ボランティア経験がありますか?」とボランティア経験が聞かれる。
 「はい」と答えると、「ボランティア経験の種類」、「活動内容」が聞かれる。
 また「ボランティアリーダーの経験ありますか?」と聞かれ、同様に「活動内容」が訊ねられる。
 さらにスポーツに関わる活動を選択した人に対しては、「国際レベルの大会に選手として参加」、「全国レベルの大会に選手として参加」、「その他の大会に選手として参加」など選手として競技大会に参加経験があるが聞かれる。
 そして「審判としての経験」、「指導経験」、「競技運営スタッフとしての経験」などが問われる。
 語学のスキルや希望する活動分野(10項目から選択)についても聞かれる。
 これを元に書類選考し、まずふるいにかけるのである。

 この「応募フォーム」はまるで大会スタッフ応募のエントリーシートのようである。就職試験のエントリーシートとも見間違う。
 業務経験とスキルを重視する姿勢は、善意と奉仕を掲げるボランティア精神とはまったくかけ離れている。
 やはり、「大会ボランティア」の募集とは到底考えられず、「大会スタッフ」の募集フォームなのである。
 本来は、大会スタッフとして、報酬を払い、交通費、宿泊費を支払って雇用すべき業務分野なのである。
 それを「ただ働き」させるのは、筆者はまったく納得がいかない。
 「大会ボランティア」は善意と奉仕の精神を掲げボランティアの活動領域ではない。ボランティアに応募する善意と奉仕の精神に甘えきった「やりがい搾取」である。

事前の説明会、研修で大幅に拘束されるボランティア
 ボランティアとして採用されるには、事前に何回も説明会や研修に参加することが義務付けられている。
 大会ボランティアの場合、2019年1月から7月頃までに、オリエンテーション(説明会)や面談に呼び出される。
 10月からは共通研修が行われ、2020年4月からは役割別の研修やリーダーシップ研修が始まる。6月からは会場別の研修が行われ、ようやく本番に臨むことになる。
 実は、ボランティアとして活動するためには、オリンピック開催期間中に最低10日間(都市ボランティアは5日間)を確保すれば済むわけではないのである。頻繁に、説明会や面談、研修などに参加しなければならない。そのスケジュールは、現時点ではまったく不明で、組織委員会の都合で、一方的に決められるだろう。
 約1年半程度、あれこれ拘束されるのである。
 仮に地方からボランティアとして活動しようとしている人は、そのたびに交通費や宿泊費などの自己負担をしいられる。首都圏在住の人も交通費は負担しなければならないし、なによりスケジュールを空けなければならない。1日1000円のプリぺードカードが支給されるかどうかも不明だ。
 組織委員会が雇い上げる大会スタッフには、事前のオリエンテーション(説明会)や研修に対しても1日いくらの報酬が支払わられるだろう。
 要するに、大会開催経費を圧縮するために、ボランティアというツールを利用する構図なのである。
 「オリンピックの感動を共有したい」、「貴重な体験をしたい」、「人生の思い出に」、ボランティアに応募する人は、善意と奉仕の精神に満ち溢れている。
 こうした人たちへの「甘え」の構図が見えてくる。
 やはり、「やりがい搾取」という疑念が筆者には拭い去れない。
 ボランティアは「自発的」に「任意」で参加しているから問題ないとするのではなく、オリンピックが「やりがい搾取」という構図で成り立っていることが問題なのである。
 無償のボランティアが11万人も働いている一方で、オリンピックというビック・ビジネスで膨大な利益を上げている企業や高額の報酬を得ている人が存在することが問題なのである。
 
 
出典 2020東京大会組織員会 募集リーフレット 

都市ボランティアは、ボランティアにふさわしい活動領域
 経験とスキルが要求される大会ボランティアに比べて、東京都が募集している都市ボランティアの活動領域は、本来ボランティアが担うのにふさわしい領域だろう。世界最高の「おもてなし」、優しさあふれたホスピタリティ、まさに東京大会レガシーにしたい。世界各国や日本各地から東京を訪れる人たちに、東京のよさをアピールする恰好の機会だ。
 筆者も海外各国を出張や旅行でたびたび訪れたが、初めての都市では、地下鉄やバスの切符の買い方、目的地までの道順など戸惑うことがたびたびである。空港や駅、繁華街、観光地、競技場周辺など、ボランティアが活躍する場は多い。
 外国人に接する場合も、簡単な日常会話ができれば問題なく、高度な語学力の専門知識も不要で、年齢、職業、スキルを問わず活動ができる。
 「5日間以上」とか事前の説明会や研修等への出席などの要求条件は若干厳しいが、ボランティアの本来の概念に合致している。
 東京大会でボランティアの参加を目指す学生の皆さん、「ブラックボランティア」の疑念が多い大会ボランティアでなく、都市ボランティアを目指すのをお勧め!

「企業ボランティア」はボランティアではない
 9月7日、大会ボランティアとして参加予定の社員324人を集めてキックオフイベントを開いて気勢を上げて話題になった。
 富士通は東京大会に協賛するゴールドパートナーで、語学力などなどを生かしたボランティア活動を社員に呼びかけ、手を挙げた約2千人から選抜したという。
 今後、リーダー役を担うための同社独自の研修や、他イベントでの実地訓練などを行う予定という力の入れようだ。
 ボランティア活動には積み立て休暇や有休を利用して参加してもらう予定だという。
 富士通の広報担当者は「当社はこれまでにも、さまざまなボランティア活動に参加しており、今回もボランティア活動を通じて良い経験を積んで、仕事に生かして欲しい」と話している。
 大会組織委員会は、8万人のボランティアの公募に先だって、大会スポンサーになっている45社の国内パートナーに1社当たり300人のボランティアを参加してほしいと要請を出したという。公募だけで8万人を確保するのが難しいと考えたと思える。

 しかし、冷静によく考えてみると、富士通のボランティアは、「企業派遣ボランティア」で、本来のボランティアではなく、企業のイメージアップを狙う「社会貢献」の範疇だろう。富士通のボランティアは、休暇を利用するにしても、有給休暇で、給料は保証されているである。
 大会組織委員会には、電通、JTB、NTT、東京都などから派遣されたスタッフが大量に働いている。いずれも、組織委員会からは報酬を受け取っていない。しかし、給料は派遣元の組織からしっかり支払われているので「奉仕」でもなんでもない。
 電通、JTB、NTTからボランティアが参加したにしても、富士通のボランティアと同様に給料はしっかり保証されている。さらに、こうした企業は、大会開催の業務を組織員会から受注し、数千億円の収入を得る「業者」なのである。
 もはや、そこには善意も奉仕も感じ取ることはできない。
 巨大なオリンピック・ビジネスの一端を担っている企業のビジネス活動の一環と見なすのが妥当だろう。

「平成の学徒動員」? 文科省とスポーツ庁 ボランティア参加を促す通知
 7月26日、文部科学省とスポーツ庁は、東京オリンピックのボランティアの参加を促す通知を全国の大学や高等専門学校に出した。
 通知では、東京オリンピックのボランティアの参加は、「競技力の向上のみならず、責任感などの高い倫理性とともに、忍耐力、決断力、適応力、行動力、協調性などの涵養の観点からも意義がある」とし、「学生が、大学等での学修成果等を生かしたボランティア活動を行うことは、将来の社会の担い手となる学生の社会への円滑な移行促進の観点から意義がある」とした。そして「特例措置」として、東京オリンピック・パラリンピックの期間中(2020年7月24日~8月9日、8月25日~9月6日)は、「授業・試験を行わないようにするため、授業開始日の繰上げや祝日授業の実施の特例措置を講ずることなどが可能であり、学則の変更や文部科学大臣への届出を要しない」とした。
 学生がボランティアに参加しやすくするために、大会期間中は授業は休みにし、期末試験も行わなず、連休などの祝日に授業を行って欲しいという要請で、こうした対応は文科省への届け出なしに各大学や高等専門学校の判断で自由にできるとしたのである。
 また、これに先立って、4月下旬には、「各大学等の判断により、ボランティア活動が授業の目的と密接に関わる場合は、オリンピック・パラリンピック競技大会等の会場や、会場の周辺地域等におけるボランティア活動の実践を実習・演習等の授業の一環として位置付け、単位を付与することができる」とする通知を出し、学生のボランティア参加を促すために、単位認定を大学に求めるている。
 とにかく異例の通知である。
 東京オリンピックのボランティアは、大会ボランティアが8万人、都市ボランティアが3万人、合計11万人を確保する計画だが、これだけ大量の人数が確保できるかどうか疑問視する声が起きて、危機感が漂っていた。
 ボランティアの要求条件は、大会ボランティアで「10日間以上」、都市ボランティアで「5日間以上」、さらに事前の説明会や研修への参加義務があり、働いている人にとってはハードルが高い。一方で「2020年4月1日で18歳以上」という年齢制限がある。そこで大学生や高等専門学校、専門学校の学生が「頼みの綱」となる。
 この「特例措置」対して、明治大、立教大、国士舘大などが東京五輪期間中の授業、試験の取りやめを決定した
 明治大は「自国でのオリンピック開催というまたとない機会に、本学学生がボランティア活動など、様々な形で大会に参画できる機会を奪ってしまう可能性がある」(7月26日)として、五輪期間中の授業を取りやめ、穴埋めとして同年のゴールデンウィークの祝日をすべて授業に振り替えるという。
 立教大も「学生のボランティア活動をはじめとする『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会』への多様な関わりを支援するため」(8月9日)休講に。国士舘大も「学生の皆さんがボランティアに参加しやすいよう2020年度の学年暦では以下の特別措置を準備しています。奮って応募してください」(18年8月9日)と呼びかけている。(WEBRONZA 小林哲夫 8月31日)
 しかし、一方で「平成の学徒動員」と反発する声も強い。
 大会組織委員会や東京都が、ボランティアへの参加を呼びかけるのは当然だが、文科省やスポーツ庁が乗り出し、「特例措置」まで設けてボランティアの参加を後押しするのは行き過ぎだろう。「平成の学徒動員」という批判だ巻き起きるのも理解できる。
 善意と奉仕の精神と自発性を重んじるボランティアの理念と相いれない。


オリンピックは巨大なスポーツ・ビジネス
 国際オリンピック委員会(IOC)は、2013年から2016年の4年間(ソチ冬季五輪とリオデジャネイロ夏季五輪)で51億6000万ドル(約5830億8000万円)の収入を得た。2017年から2020年の4年間(平昌冬季五輪、東京夏季五輪)では60億ドルを優に超えるだろう。また、IOCとは別に2020東京大会組織員会の収入は6000億円を見込んでいるので両者を合わせると1兆円を上回る巨額の収入が見込まれているのである。
 もはやオリンピックは巨大スポーツ・ビジネスで、非営利性とか公共性とは無縁のイベントといっても良い。スポーツの感動を商業化したビック・イベントなのである。
 オリンピックの過度な商業主義と膨張主義は、批判が始まってから久しい。
 そもそも、善意と奉仕を掲げるボランティアの精神とオリンピックは相いれない。
 東日本大震災や熊本地震、北海道胆振地震、西日本豪雨で活躍している災害ボランティアとは本質的に違う。
 
 2012年ロンドン五輪では、7万人の大会ボランティアと8000人に都市ボランティアが参加し、2016年リオデジャネイロ五輪では、5万人の大会ボランティアと1700人のシティ・ホストが参加した。
 リオデジャネイロ五輪では、5万人の大会ボランティアの内、1週間で1万5000人が消えてしまい、大会運営に支障が出て問題になったのは記憶に新しい。
 また平昌冬季五輪では、2万2000人のボランティアが参加したが、組織委員会から提供された宿泊施設(宿泊料は組織委員会が提供し無料)の温水の出る時間が制限されたり、氷点下の寒さの中で1時間以上、送迎バスを待たされたりして、2400人が辞めてしまった。
 勿論、ボランティアは無償(リオ五輪のシティ・ホストは有償 但しリオ市内の貧困層を対象とした福祉政策の一環)、報酬は一切支払われていない。国際オリンピック委員会(IOC)の方針なのである。
 無報酬のボランティアの存在がなければオリンピックの開催は不可能だとIOCは認識しているのである。
 東京大会組織委の担当者が日当を払うことの是非について、IOCに尋ねた際、「それだとボランティアではなくなる」などと言われたという。IOCのコーツ副会長は9月12日の記者会見で「今後もボランティアに日当を払うことはない。やりたくなければ応募しなければいい」と強い調子で話した。(朝日新聞 9月27日)
 一方、「ブラックボランティア」の著書がある元広告代理店社員の本間龍氏は「今のオリンピックはアマチュアリズムを装った労働詐欺だ」と多額の金が集まるオリンピックでボランティアは大きな役割を担うのだから必要な人員は給料を払って雇うべきだと主張する。(TBS ニュース23 9月26日 「五輪ボランティア募集開始 『ブラックだ』批判のワケ」)
 これに対し、小池東京都知事は、「ボランティアへの待遇は過去の大会と遜色のないものになっている。何をもってブラックだと言うのか分からない」と真っ向から反論した。

 
五輪開催経費、1兆3500億円の削減を迫られている大会組織委と東京都
 2017年12月22日、2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、大会の総費用について1兆3500億円(予備費を除く)とする予算案(V2)を発表した。2017年5月に東京都、組織委、国で総額1兆3850億円とした大枠合意から、350億円削減した。
 負担割合は組織委が6000億円、東京都が6000億円、国が1500億円となる。
 費用の内訳は、競技会場の整備や電源の敷設など会場整備費(ハード)が7050億円で、選手の輸送やセキュリティー、マーケティングなど大会運営費(ソフト)が6450億円。
 5月の合意時から計画を見直した結果、会場の運営にかかる人員費などは300億円の経費増となった。一方、会場整備費の抑制や大会関係者の車両費用の見直しなどで650億円を減らし、差し引き350億円の削減となっている。
  これに対し、国際オリンピック委員会(IOC)はさらなる経費削減を求めており、IOC調整委員会のコーツ委員長(IOC副会長)は「10億ドル(約1100億円)の削減が可能」と指摘した。大会組織員会は、 今後もコスト削減の努力を約束している。
 
 2020東京大会の開催費用は、「2兆円」から「3兆円」に達するのではとされ、とどまることを知らない経費膨張に強い批判が浴びせられていた。国際オリンピック委員会(IOC)もオリンピックの膨張主義批判を意識して、2020東京大会の開催費用の膨張に危機感を抱いて、その削減を強く要請しているのである。
 大会ボランティアの8万人に、仮に1日8000円で10日間、一人当たり8万円を支払うと総額は64億円に達する。
 組織委員会が無償ボランティアにこだわる背景が見えてくる。
 有償の大会スタッフの雇い上げをなるべく少なくして、無償のボランティアで対応し、人件費を削減する、そんな思惑が垣間見える。

 一方、2020東京大会の組織委員会が手に入れるローカル・スポンサー料収入は極めて好調で、2020年2月7日、コーツ副会長は50社に迫る国内協賛契約による収入が約29億ドル(約3160億円)に達したことを明らかにしている。
 2020東京大会の予算総額は6000億円、64億円はそのわずか1%なのである。なんとか捻出できる額と思えるが……。巨大スポーツビジネスイベント、オリンピックの「甘えの構造」を転換するチャンスだ。

 2012ロンドン大会、2016リオデジャネイロ大会にはともに20万人を超えるボランティアの応募があったとされている。
 2020東京大会のボランティアに果たして何人の応募があるのだろうか。



ボランティア募集 大会組織委員会/日本財団



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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)






2018年9月27日
Copyright (C) 2018 IMSSR





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント

東京オリンピック 豊洲市場 築地市場移転 環状2号線 五輪道路 BRT 選手村 陸の孤島 交通渋滞

2018年11月22日 12時29分28秒 | 東京オリンピック

“陸の孤島” 東京五輪施設
“頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都都心 環状二号線完全開通は五輪開催後



 ★ 11月4日、午後2時過ぎ、環状二号線の豊洲市場-新大橋通汐先橋付近間の未開通区間、2.8キロメートルが暫定開通した。環状二号線は、築地市場跡地内の未完成区間が残されているが、築地大橋を渡った後に、築地川沿いに暫定迂回道が完成した。これで、とりあえず環状二号線は、豊洲から晴海、築地大橋までは完成した環状二号線、築地大橋から汐先橋交差点付近までは暫定迂回道路、汐先橋から東新橋一丁目(日比谷神社前)までは地上暫定道路、築地虎ノ門トンネルに入って虎ノ門までの区間が走行可能になった。しかし、暫定迂回道は片側一車線、新大橋通りや第一京浜の交差点の信号を通過しなければならないため、渋滞発生が懸念される。
 小池都知事は、豊洲市場の渋滞解消のために、予定より1週間前倒して11月4日(日)に暫定開通させることを明らかにしていた。
 築地大橋から暫定迂回道路に入るには急カーブを通過しなければならないため通行量は制限されるため、2020東京大会開催までに、築地大橋から築地市場跡地を通り青果門に至る直線的な地上仮設道路を建設する計画だ。しかし、この地上仮設道も片側1車線のため、臨海部と都心部を往来する膨大な五輪関連や豊洲市場関連車両を処理するのは絶望的である。
 地下トンネルが完成し、片側2車線で虎ノ門まで全通するのは、五輪開催後の2022年になる。







環状二号線暫定開通区間 東京都

東京オリンピック 難題!交通対策 渋滞マップ公表 交通量15%削減で、渋滞・混雑は解消できるか?


豊洲市場開場 交通渋滞で混乱 築地市場解体開始
「日本の台所」として食生活を支えた築地市場は10月6日、83年の歴史に幕を閉じ、11日豊洲市場が築地に代わる中央卸売市場として誕生した。
 環状二号線がまだ開通していないため交通渋滞が予想されていたが、懸念通り、勝どき橋を渡る晴海通りは激しい交通渋滞に見舞われた。豊洲市場では、晴海通りは渋滞しているので迂回道路を通るようにと指導したそうが、豊洲市場からはかなり離れた佃通りやレインボー・ブリッジしか、都心部と結ぶ道路はない。市場関係者も「われわれが危惧していた以上にひどい」と話していて、仲卸からも「お客さんが時間通りに来られない」、「配達が間に合わない」などの声が聞かれたという。(FNN ニュース 10月11日)
 市場関係者は大渋滞に悩まされる毎日が、当分続きそうだ。
 築地市場は解体工事が10月11日から始まり、東京2020大会で選手や大会関係者を輸送するバスや乗用車約2700台分を駐車するための車両基地として整備される。そして、大会開催の最大の懸案課題である五輪選手村や国際放送センター(IBC)や競技施設と都心部を結ぶ環状2号線の未開通分の工事が始まる。






環状二号線築地大橋を通るターレ 築地大橋は開通していないが、東京都は特別措置としてターレを豊洲市場へ移動させた  出典 ANNニュース(10月6日)


「配達が間に合わない!渋滞が課題」 FNNプライム(10月11日)


閉場した築地市場水産物部 10月10日


閉場した築地市場水産物部 10月10日



豊洲市場 10月11日に開場 交通渋滞で混乱必死
 2018年7月31日、小池百合子都知事は、築地市場(中央区)から移転を目指す豊洲市場(江東区)について、汚染された地下水対策のために東京都が実施していた追加の安全対策工事が終了し、「安心、安全な市場として開場する条件を整えられた」と述べ、「安全・安心宣言」を行った。
 そして、翌8月1日、東京都は農林水産相に豊洲市場の開設認可申請を行い、9月10日、農林水産相は中央卸売市場として開設することを認可した。
 これで約30年にわたる議論を経た市場移転が正式に決まった。
 豊洲市場は、計画より2年遅れて、10月11日に開場することが決まった。
  豊洲の汚染問題では、舛添要一知事(当時)が汚染対策終了後の2014年に「安全宣言」をしたが、小池知事が移転を凍結。汚染対策の柱とされた建物の下の「盛り土」がないことが分かり、地下水から環境基準値を超えるベンゼンも検出されたとして安全性に疑念が噴出した。
 東京都は有害物質が揮発して建物に入るのを防ぐために地下の床をコンクリートで覆い、地下水位を下げるポンプの増設をするなどの追加工事を実施した。
 7月30日、都の専門家会議は、追加工事が完了し、安全性について、「科学的な安全は確保されている」との見解を示した。これを受けての小池都知事の「安全宣言」である。
 今回の追加工事費は38億円。汚染対策費は総額で897億円に上っている。今後もコンクリート補修や地下水くみ上げ設備の維持に年間数億円かかるという。
 豊洲の汚染問題のもたらしたツケは大きく、東京都民への重い負担が残された。
 豊洲市場移転と築地市場の再開発は、東京2020大会をターゲットに完成させる予定だったが、その目論見は外れた。
 臨海部と都心を結ぶ環状二号線は、東京2020大会開催時の交通渋滞対策の切り札として、臨海部と都心を結ぶ「信号のないスムーズな輸送」を目指して建設が進められていたが、築地市場の跡地に建設される地下部分の工事が間に合わず、地上仮設道路の「暫定開通」に追い込まれた。
 選手村とメイン会場となる新国立競技場は、5万人近くの選手や大会関係者、メディア関係者が移動するメインの動線だ。その輸送ルートとして環状二号線を整備する計画だった。
 そして選手村の後方には、豊洲市場がある。豊洲市場の開場で市場関係者の車両も加わり、五輪大会関係車両も合わせると収拾がつかなくなる懸念がある。
 東京2020大会の最大の課題は、酷暑対策とならんで交通渋滞対策に絞られた。
 このままでは、首都圏は交通渋滞で麻痺状態になるの必死の様相だ。


環状二号線と築地市場






出典 環状二号線事業概要 東京都第一工事建設事務所

五輪開催時 環状2号線、地下トンネルは断念 地上暫定道路で対応
 2018年6月7日、東京都は豊洲市場への移転が大幅にずれ込んだことで、2020年東京五輪・パラリンピックで五輪のメイン会場となる新国立競技場など都心と選手村やMPC(国際メディアセンター)などを結ぶ「五輪道路」として計画されていた環状2号線を、地下トンネル(片側2車線)での開通を断念し、地上につくる片側1車線の仮設道路で五輪を迎えることを決めた。
 第一段階として、暫定迂回道路を豊洲市場開場の約1か月後の11月4日に、浜離宮恩賜庭園に面した築地川沿いの道路を利用し、臨海部から都心に向かう「上り」の一方通行で開通させる。そして築地市場の青果門を入り口として築地市場跡地を横切り、築地川沿いの暫定迂回道路に接続させる「下り」の片側1車線道路も開通させる。
 しかし、暫定迂回道路は片側1車線でカーブもきつく、スムーズな車両の通行が確保できず、往来する大量の車両で激しい交通渋滞が巻き起こるのは必至で、輸送力は大幅に低下するのは明らかである。豊洲市場関係者の車両の交通渋滞に対応する応急対策にすぎない。
 第二段階は、2019年末までに、築地市場の青果門を入り口として築地市場跡を横切る地上仮設道路を、環状二号線の本線建設エリアの両側に片側1車線で建設し、築地大橋とほぼ直線で結ぶ。第一段階の暫定迂回道路に比べて、きついカーブはなくなり直線の道路となるが、片側1車線であり渋滞は避けられない。これは2020東京大会関連車両の応急措置である。
 しかし、地上仮設道路の大量の車両が殺到しする汐先橋は、交通量の多い新大橋通りとの交差点で、しかも首都高速の出入り口があり、激しい渋滞が予想されるだろう。また都心に向かうには、次に通過しなければならない東新橋交差点はこれも平時から渋滞している第一京浜との交差点で激しい渋滞は必至である。東新橋交差点を抜けると、ようやくすでに完成している築地虎ノ門トンネルの出入り口に到達し、虎ノ門までは地下トンネルで通行できる。
 東京都では築地市場移転後の跡地に建設する地下トンネルの出入り口が完成して、虎ノ門まで至る環状二号線が片側2車線で全線正式に開通するのは2022年になるとした。

 環状二号線は、JR秋葉原駅周辺(千代田区)と江東区有明地区を結ぶ全長約14キロの都道で、この内、築地市場跡地を通る新橋―豊洲間(3.4キロメートル)が未開通の「事業中区間」で、その他の区間は開通している。また3.4キロメートルの未開通区間の内、工事が完了していないのは、築地市場付近の約500メートルだけで、他の区間はすべて工事は完了している。
 環状二号線の虎ノ門から築地市場跡地までの区間は、「築地虎ノ門トンネル」と名付けられた全長約1.84キロメートルの片側二車線の地下トンネルが建設され、築地市場跡地にトンネルの出入り口が建設される。この内、虎ノ門・新橋の区間の1.25キロメートルの地下トンネルの一部が完成し、2018年3月に供用がすでに始まったいる。
 地下トンネルの一部完成で、地上区間も含めて虎ノ門・新橋の区間の1.4キロメートルが開通し、「新虎通り」と名付けられた。
 「築地虎ノ門トンネル」が全通すれば、虎ノ門から晴海の選手村や豊洲まで「信号のないスムーズな輸送」の確保が可能となる。
 環状2号線は、築地市場移転後の跡地に建設する地下トンネルの出入り口で地上に出て、高架道路となり築地大橋で隅田川を渡り、勝どき陸橋や黎明大橋を経て晴海地区に入り、さらに豊洲大橋を渡って豊洲市場に至る。そして東雲運河を渡って終点の有明地区に至り、臨海道路に接続する。
 1993年、環状二号線は、新橋・豊洲までの区間から、新橋・晴海までの区間に延長され、工事対象区間は3.4キロメートルから、4.7キロメートルとなった。豊洲から晴海の延伸区間は工事は完成し、すでに供用が始まっている。
 環状二号線は、2020東京大会開催時には選手や大会関係者、メディア関係者などを輸送する約6000台の車両が往来する臨海部と都心を結ぶ大動脈とする計画で建設が進められ、大会組織委員会ではオリンピック・ルート・ネットワーク(ORN)の幹線に指定している。片側二車線で完全開通していれば、専用レーンや優先レーンの設置も計画され、晴海の選手村と新国立競技場の間は10分、他の都内の競技場のほとんどと20分以内で結ぶ「切り札」であった。
 また10月11日に開場した豊洲市場と都心部を結ぶ幹線としても期待されていた。

 築地市場跡地を通る地下トンネルの建設は、工期がかかる開削工法で地下部分を建設することや、換気装置の設置、地盤工事などで、3年以上は必要とされていた。勿論、築地市場移転が完了しなければ工事は始められない。その築地市場移転が土壌汚染問題で約2年遅れて「2018年10月11日」が決まり、五輪大会開催までのトンネル開通は不可能となった。地下トンネル、片側2車線での全線の開通は五輪大会開催後の2022年に延期された。
 東京都は、その間は、「暫定道路」を整備して、暫定開通させることを決めた。しかし、片側1車線の地上道路で、交通量の多い新大橋通りや第一京浜の交差点を通過しなければならないため、激しい渋滞に巻きまれ、輸送能力は極めて限定的になることが懸念される。

 このため、東京都や大会組織員会では、「交通需要マネージメント:TDM」を行い、全体の通行量を「15%削減」して「休日並み」の通行量に抑える施策を進めている。また特定のエリアや道路への流入を規制する「交通システムマネージメント:TSM」も取り入れて、信号調整や、料金所の流入規制、車線規制など行い、一般車の通行を抑えて交通量の削減を図るなどの対策の検討を進めている。
 しかし、「15%削減」は、強制力を持って実施するもではなく、企業や一般市民に呼びかけて協力ベースで交通量抑制を図る計画なので、果たして「15%」の削減が本当に実現できるのか疑問が残る。
 いずれも渋滞対策の決め手を欠くと思われる。

 環状二号線の内、虎ノ門から豊洲までの2003年に着工した4.2キロメートルの区間で建設費は約1260億円、1キロメートル当たりの建設費はなんと300億円の巨額に上る。「五輪道路」として巨費を投じて整備している環状2号線、五輪大会開催までに完成できず、「五輪道路」の大動脈にという目論見は、事実上、“破綻”した。
 築地市場移転延期で、また一つ、東京五輪準備に大きな失態が生まれている。





第一段階(2018年11月10日ごろ)供用開始 東京都建設局

一足先に環状二号線豊洲市場-築地市場間を走行体験
 2018年10月10日、翌日の豊洲市場開場を前に、移転作業があわただしく行われている中に、築地市場を訪れた。10月10日の午後6時までの期間限定で、豊洲市場への移転作業の便宜をはかるため、築地市場-豊洲市場間に大型バスを使用してシャトル便が運航されていた。コースは、豊洲市場から工事は完成したがまだ未開通部分の環状二号線にはいり、晴海、勝どきを経て、築地大橋を渡り、急カーブで築地川沿いに建設された暫定迂回道路を通り築地市場に至る。
 豊洲から築地大橋を渡るまでは片側二車線か三車線の臨海部と都心部を結ぶ大動脈に相応しい道路が完成していた。この日はシャトルバスだけでなく、市場関係者の車両の通行も、移転作業の便宜をはかり特別に許可され、資材を積んだトラックやVANなどが頻繁に往来し、4日間の最終日を迎え移転作業の最後の追い込みに入っていた。



豊洲市場から環状二号線に入った付近 片側3車線


勝どき高架橋 防音壁に囲まれている


隅田川を渡る築地大橋


築地大橋を渡ると急カーブして暫定迂回道路に


環状二号線は築地市場で行き止まり(築地市場側から築地大橋を見る)


築地川沿いに建設された暫定迂回道路


築地市場と築地大橋、臨海部



“陸の孤島”東京ベイエリア  頓挫する交通インフラ整備
 東京2020大会の競技場や選手村、IBC/MPCが集中する臨海部と都心部を結ぶ道路や鉄道などの交通機関の輸送力不足の懸念が深刻化することが明らかになった。このままでは、一般車両に加えて、約6000台とされる選手や大会関係者、報道関係者の車両で、道路は大渋滞、バスや乗用車、トラックはまったく動かず、「りんかい線」や「ゆきかもめ」は観客で超満員でホームに人が溢れるという光景が繰り広げられるのは必至の様相である。
 築地市場の豊洲市場移転を巡って、汚染対策の柱とされた建物の下の「盛り土」がなく、謎の“地下空間”が広がっていることが明らかになったり、地下水から環境基準値を超えるベンゼンが検出されたりして、豊洲市場の安全性に疑念が噴出し、豊洲市場移転は頓挫寸前の瀬戸際に立たされた。
 仮に予定通り豊洲市場移転が実施されても、予定より大幅に遅れて、築地市場の跡地に建設される環状2号線の完成を2020年五輪開催に間に合わせるのは絶望的になった。 環状2号線は、都心部と五輪競技場や選手村、IBC/MPCなどが集中する東京ベイエリアを結ぶ重要な交通路、「五輪道路」として建設が進められてきたのである。
 開催まであと4年を切った2020年東京オリンピック・パラリンピック、新国立競技場や五輪エンブレムの迷走に続き、膨れ上がった開催経費問題の深刻化、それに追い打ちをかけているのが豊洲市場移転に端を発したこの輸送問題だ。
 東京五輪招致が決まったIOC総会で、安倍首相を始め、猪瀬元東京都知事や五輪招致関係者は、高らかに五輪運営のマネージメント力の高さを世界各国に訴えたが、あれは一体何だったのだろうか。







2020年東京オリンピック・パラリンピック招致ファイル  招致委員会


2020年東京オリンピックの輸送計画について 東京オリンピック・パラリンピック招致本部


交通機関の整備が貧弱な東京湾臨海部
 2020年東京オリンピック・パラリンピック招致にあたって、招致委員会では、競技場や選手村、IBC/MPCの施設を「東京ベイエリア」と名付け、開発途上で用地が容易に確保可能な臨海部に集中させる戦略をとった。東京都は、東京湾に埋め立て地の造成を着々と進め、臨海部には、約7000haと東京区部の約12%を占める広大な土地が生まれていた。その大半がまだ利用されていない空き地で、五輪大会開催をきっかけに臨海部の再開発を一気に加速させようとする狙いがあった。



東京ベイエリア21 東京湾臨海地域の持つ潜在力 東京都都市整備局

 しかし、東京湾臨海部は、まだ開発途上で、公共交通機関や道路の整備が十分になされていない。東京都は、かつて都市博覧会の開催で、開発に弾みをつけることを目論んだが、開催は中止、そしてバブル経済も崩壊し、これまで交通インフラ整備はなかなか進まなかった。
 鉄道については、1988年に月島、豊洲、辰巳、新木場を結ぶ東京メトロ有楽町線が開通、2000年に月島や勝どき駅を設置した都営地下鉄大江戸線が完成、2002年に「りんかい線」が新木場-大崎間で全通、2006年には「ゆりかもめ」が新橋-豊洲間が全通し、交通インフラ整備の整備は徐々には進んでいる。 現存する主な公共交通機関は、東京臨海高速鉄道「りんかい線」と地下鉄都営大江戸線、東京メトロ有楽町線、東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」である。
 しかし、臨海部と都心部を結ぶ道路整備は遅れていた。 

 東京ベイエリアの道路インフラの中核は、東京湾横断する大動脈、首都高速湾岸線である。一日の通行台数は全国の高速道路でNO1、約17万台(辰巳JCT 平成22年)で、成田空港や羽田空港と都心部を結ぶ幹線道路で、乗用車、大型トラック、バスなどで常に渋滞する高速道路だ。
 さらに東京湾臨海部の最南端には東京港臨海道路があり、大田区城南島から江東区新木場まで通行可能だ。
 東京港臨海道路は、城南島から臨海トンネル(全長3.1キロメートル)で、東京湾を渡り、中央防波堤外側埋め立て地に入り、東京ゲートブリッジで、若狭海浜公園に至る。そして新木場で首都高速湾岸線に接続する。
 この二本の幹線道路は都心部と臨海部を結ぶルートではなく、横浜方面から千葉方面に都心部を迂回するいわゆる湾岸バイパスである。
 2018年3月10日、首都高速晴海線(10号線)が開通し、晴海から首都高速湾岸線に接続する動脈が完成した。五輪大会開催期間は成田空港から選手村を結ぶルートとして建設を急いだのである。 首都高速晴海線は五輪大会開催時はともかく、通常時はほとんど通行量のない閑散とした路線だろう。
 しかし、首都高速晴海線(10号線)は晴海が終点で、晴海通りに接続する。隅田川を渡って都心部の環状線に接続される計画はあるが、まだまったく具体化していない。相変わらず都心部と臨海部を結ぶ道路交通網は改善されないのである。
 現状では、臨海部と都心部を結ぶ幹線道路は、墨田川にかかる勝どき橋を通る晴海通りと佃大橋を通る佃大橋通り、そしてお台場経由のレインボーブリッジの3ルートしかない。臨海部と都心部を結ぶ道路は、隅田川や東京湾を渡らなければならないことがネックになっているのだ。佃大橋通りやレインボーブリッジは、都心部に向かうには大きく迂回するので時間がかかるので敬遠される。都心中心部に直結するのは晴海通りだが、通常でも膨大な通行台数でも渋滞の“名所”である。そこで期待されているのが第4のルートの建設で、環状二号線の開通が期待を集めていたのである。


完成した墨田川にかかる環状二号線築地大橋 東京都第一建設事務所

 その環状二号線の開通が、築地市場の豊洲市場移転が2年遅れたことで、五輪大会開催時には間に合わないのは確実になった。
 豊洲市場への移転は、東京臨海部の交通インフラ整備と深くからんでいることを忘れてはならない。築地市場の跡地は、東京ベイエリアに立地する選手村や競技場、IBC/MPCなど施設と都心を結ぶ交通インフラの“切り札”、環状2号線の建設に必須なのである。
 東京都が築地市場の移転を急いだのは“東京五輪”があったのである。


“頓挫”寸前 “五輪道路” 環状2号線
 環状2号線は、JR秋葉原駅近くから都心を半円状に進み、虎ノ門や新橋、汐留、築地市場を経由して、隅田川に架かる築地大橋を通り、晴海地区の選手村、豊洲市場、有明地区の競技会場、東京ビックサイトのIBC/MPCを結ぶ全長約14キロの都道、総工費は1790億円である。東京ベイエリアの五輪施設と都心部を結ぶ重要な交通インフラとされているため、“五輪道路”と呼ばれている。
 東京2020大会のメインスタジアム、新国立競技場や都心部の競技施設と臨海部の選手村やIBC/MPCを結ぶ五輪開催の最重要路線として建設が計画された。
 招致ファイルでは、「環状第2号線は、2020年までに完成し、オリンピックスタジアムパーク、選手村、IOCホテル間を結ぶ大動脈で、大会開催時には、オリンピック・レーンも設置することにより、移動時間を大幅に短縮させる。例えば、選手村からオリンピックスタジアムまでの所要時間は、15分短縮し、10分となる」と公約している。
 しかし、環状二号線は、新橋から築地市場を経て豊洲までの区間(3・4キロ)がまだ未開通である。
 2014年3月、環状2号線の虎ノ門─新橋間(「新虎通り」)、1.4キロメートルが開通した。東京五輪組織委員会がある虎ノ門ビルの脇から「築地虎ノ門トンネル」で新橋に至る区間の部分開通である。新橋から先の築地大橋に至るまで区間は、築地市場の跡地に現在建設中、完成は五輪大会後の2022年である。築地大橋から有明までの区間はすでに完成している。東京都では、未完成の区間を仮設道路を建設して「暫定開通」させて、東京2020大会を迎えるとしている

 環状2号線は、JR神田駅前の神田佐久間町から虎ノ門までは「外堀通り」と呼ばれているが、虎ノ門から臨海部に抜ける部分は通称「マッカーサー道路」と呼ばれている。
 終戦直後の1946年、戦災復興院が、神田佐久間町から新橋まで約9.2キロ、幅100メートルの道路として都市計画決定した。GHQが虎ノ門のアメリカ大使館から東京湾の竹芝桟橋までの軍用道路を要求したという説もあったことから、いつしか「マッカーサー道路」と呼ばれるようになった。  そして「マッカーサー道路」は“五輪道路”となった。
 10月11日に開場する豊洲市場も環状2号線沿いにある。
 環状2号線は、虎ノ門から地下トンネルで新橋、汐留を通過し、築地市場の敷地内の浜離宮恩賜庭園側に地下トンネルの出口を建設して地上に出る。そして高架道路にり、築地大橋で墨田川を渡り、黎明大橋、豊洲大橋を経て、有明で湾岸道路に接続させる計画である。道路の開通のためには、築地市場の移転が条件だ。有明から豊洲までの区間はすでに供用が始まっていて、隅田川の渡る築地大橋など豊洲から築地までの区間の工事はほぼ完成し共用開始を待つばかりである。また汐留から虎ノ門の区間も供用が始まっている。ネックは築地市場区間だけに絞られた。



環状二号線事業概要 東京都第一工事建設事務所


2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた国土交通省の取り組み 国土交通省

 しかし東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転が2年延期となり、12月に予定されていた環状2号線の築地―豊洲間(約2・8キロ)の完成は挫折し、暫定開通に追い込まれた。2020年東京五輪・パラリンピックまでに全線開通させ、臨海部と都心部を結ぶ“五輪道路”のメインルートにするという目論見はもろくも崩れ去った。。
 立候補ファイルでは、環状2号線は、五輪開催時の主要輸送道路として、大会関係者の車両専用通行レーン、「オリンピック・レーン」が設置され、晴海に整備される選手村から10分で新国立競技場に行くことができると公約していた。さらに72%の選手が選手村から各競技会場へ10分以内に確実にアクセス可能な快適な輸送環境を提供するとした。
 しかし、片側1車線の仮設道路の暫定開通で東京2020大会を迎えると、「オリンピック・レーン」を環状二号線に設置はすることは不可能になる。片側1車線しかないと、一般車両が通行止めにしなければならい。豊洲市場関係者の車両を始め一般車両の通行量が多いと予想される環状二号線で、一般車両を通行止めにすれば、周辺は激しい渋滞が発生して収拾できなくなるからだ。
 結局、大会期間中は、1車線の道路を、数千台の輸送バスや大会関連車両は、一般車両に混ざって激しい渋滞の中を通行する光景が繰り広げられることになる。競技の開始時間に合わせて、選手や大会関係者、メディア関係者などを適格に輸送することが果たして可能なのだろうか、深い疑念を抱く。
 「10分で選手村から新国立競技場に」という公約は不可能になった。招致ファイルの公約違反がまた一つ増えそうだ。
 環状二号線以外に、東京ベイエリアと都心部を結ぶ幹線道路は、勝どき橋を渡る晴海通りとお台場経由のレインボーブリッジ、佃大橋を通る佃大橋通りの3ルートしかない。
 晴海通りは、通常でも膨大な通行台数でも渋滞の“名所”で、信号も多く、五輪大会関係の車両が加わったらまったく動きがとれない状況が発生する懸念があり、立候補ファイルでは、大会関係者の輸送ルートから外されていた。
 レインボーブリッジは、立候補ファイルでは、環状二号線とともに「オリンピック・レーン」を設置し、臨海部と都心を結ぶ主要輸送道路としていたが、片側2車線のため「オリンピック・レーン」の設置は困難で、大会関係車両は一般車両に混ざって通行になる可能性が強い。
 佃大橋通りは、迂回距離が長くなり、時間短縮につながらず、大会関係者車両の通行ルートからは除外されている。


「オリンピック・レーン」「オリンピック・プライオリティ・レーン」の設置計画 首都高速を中心に広範囲に設定 
立候補ファイル 2013年1月7日


「オリンピック・レーン」「オリンピック・プライオリティ・レーン」の設置計画 都心部と臨海部を結ぶルートは環状二号線とレインボーブリッジ
立候補ファイル 2013年1月7日

 また首都高速道路の渋滞も深刻な問題である。
 選手や大会関係者、メディア関係者の輸送は、首都高速道路に頼らざるを得ない。東京都と大会組織員会では、首都高速道路の渋滞は約1.8倍になると予測している。
 渋滞を避けて円滑な輸送を実現させるためには「オリンピック・レーン」の設置である。招致ファイルでは、首都高速道路の都心環状線全線、4号線、5号線、9号線、10号線、11号線、それに湾岸線の一部、そして中央自動車道路の調布インターチェンジまでの区間などに、2車線の内、1車線に「オリンピック・レーン」を設置する計画だった。
 しかし、首都高速道路は片側2車線だが、ジャンクション区間ではほとんどが1車線となるので、専用レーンは設置できないため、ジャンクション区間は、一般車両に混ざって通行しなければならない。このため、本線に「オリンピック・レーン」を設置しても、ジャンクション区間を先頭に大渋滞が本線上に発生し、首都高速道路全体がマヒ状態に陥る可能性がある。首都高速道路で「オリンピック・レーン」を設置すると、むしろ渋滞に巻き込まれて、悪影響が出ることことが明らかになっている。
 結局、首都高速道路では、五輪大会関係の車両は、ほとんどの区間を一般車両に混ざって通行せざるを得ない。
 残された首都高速道路の渋滞解消対策は、通行量を削減することだある。
 東京都と大会組織員会では、大会期間中の交通量を、全体で「15%削減」することを目標に「交通需要マネージメント(TDM)」に取り組むが、果たして「15%削減」が実現するのか、確実とはまったくいえない。「15%削減」は物流関連、企業、市民などに、協力を依頼するあくまで「お願い」ベースで達成しようとする施策で、強制力を伴う施策ではない。
 また「15%削減」が実現できても、朝夕の時間帯やエリアによっては渋滞が発生する可能性が大きい。
 このため東京都と大会組織委員会では、朝夕のピーク時などには、入り口の閉鎖や車線規制、一部区間の通行止め規制や、東名高速など首都圏外から流入する一般車両を規制する方針も検討している。
 ところが、入り口の閉鎖や車線規制、通行止め、流入規制を行うと大量の車両が一般道路に殺到し大渋滞になることは明らかだ。
 五輪大会開催のために、一般市民の生活に大きな影響を及ぼす交通規制は問題が多い。誰のための東京2020大会なのか、激しい批判を浴びるのは必至である。
 築地市場の移転が2年遅れたことで、東京大会の輸送対策問題に一気に暗雲が立ち込めている。

臨海部交通幹線の“切り札” BRT 本格運行は五輪開催後
 東京都では、環状2号線を利用して、都心から勝どきを経由して選手村、豊洲市場、国際展示場、豊洲に至る地域において、五輪開催時には五輪関係者の輸送力を確保し、五輪開催後は、通勤・通学・観光、企業活動などの需要に対応するために、都心と臨海部とを結ぶBRT整備計画を具体化していた。とりわけ五輪開催後の選手村再開発で誕生するニュータウンの住民の重要な交通インフラにする計画である。
 BRTとは、「Bus Rapid Transit」の略で、連節バスやICカードシステムを導入し、道路改良等により路面電車と比較して遜色のない乗り心地と大きな輸送力の実現が可能だ。またバスを使用するので柔軟性兼ね備えた新しい都市交通システムで、地下鉄建設に比べて整備投資の負担がはるかに少ない。
 BRTは都心部と臨海部を結ぶ新たな交通幹線として期待を集めている。



リオデジャネイロ五輪で導入されたBRT ITDP


都心と臨海副都心を結ぶBRTに関する基本計画 東京都都市整備局

BRTの運行計画は?
 BRTサービスは、表定速度を現状の都バスの約11kmに対して、倍の速度の約20km/h以上を目標として、運行回数は朝夕のピーク時では最短で3分~4分間隔、地下鉄並みに朝5時頃から夜12時頃までの運行とし、定員130人の連節バスを使用することで、将来的には一日10万人以上の輸送力の確保が可能としている。
 BRTの運行は、虎ノ門や新橋から、勝どき、選手村、国際展示場、豊洲の4路線を開設し、ピーク時輸送力(時間)は、新橋-勝どきで4000人以上、新橋-選手村で3000人~3999人、新橋-国際展示場で1000人~1999人を想定し、1日の輸送力は合計10万人以上を確保、都心部と臨海部を結ぶ主要幹線にする計画だ。
 BRTの都心部の拠点は、虎ノ門である。環状二号線の「築地虎ノ門トンネル」の脇にある虎ノ門ビルズの1階には、面積約1000平方メートルのバスターミナルが設置され、BRTの都心部の拠点となる。バスターミナルには成田・羽田空港シャトルバスの発着や地下鉄日比谷線の新駅、虎ノ門駅(2020年供用開始予定)が直結される。東京2020大会に向けた交通網整備の中核である。


虎ノ門ヒルズの1階に設けられるバスターミナル 森ビル

 BRTの停留所は、都心部には虎ノ門、新橋、東京、銀座(検討中)、臨海部には、勝どき、晴海三丁目、選手村(晴海五丁目)、豊洲駅、市場前駅、有明テニスの森駅、国際展示場駅、東京テレポート駅、東京国際クルーズターミナル(検討中)に設置する予定である。またターミナル兼車庫を晴海二丁目に整備する計画だ。
 2019年春には、京成バスと東京都などで新会社を設立し、2020年度、東京大会前に、プレ運行(第一次)として、第一次運行ルート(虎ノ門-新橋-勝どき-晴海二丁目)を開設する予定だ。新橋-勝どき間の目安所要時間は約10分、使用するバスは、燃料電池バス(単車)と連結バス(BRT)である。
 当初計画では、2019年度にプレ運行を開始するとしていたが1年遅れのスタートである。
 そして2020年東京大会開催時も第一次運行ルートのサービスに留まることが決まった。
 2020年東京大会開催後には、幹線ルート(虎ノ門-新橋-勝どき-市場前-有明テニスの森-国際展示場-東京テレポート)や晴海・豊洲ルート(虎ノ門-新橋-勝どき-晴海三丁目-晴海二丁目-豊洲-市場前)、勝どきルート(新橋-勝どき)が加わり、プレ運行(第二次)を開始する。
 東京ビックサイトへの延伸はイベント開催時に検討するとともに、国際クルーズターミナルへの延伸も今後検討するとしている。
 そして選手村再開発が終わり、環状二号線が完全開通後の2022年以降には、選手村ルート(新橋-選手村地区[晴海五丁目])を開設し、最終的には合計4ルートを運行する計画である。
 さらに銀座・東京駅への延伸も今後検討するとしている。
 運行本数と輸送力(平日ピーク時)でについては、勝どき-新橋間で、プレ運行開始時は、1時間に6本で約600人、しかし運行速度は、一般車両に混ざってい走行するために時速11~15キロメートルとなり、BRTのメリットは発揮できない。
 五輪開催後の本格運行開始時には、1時間に20便(幹線ルート/6便、晴海・豊洲ルート/6便、勝どきルート/2便、選手村ルート/2便 約3分間隔)で、約2000人という運行計画をたてている。環状二号線が片側二車線で完全開通するので、BRTの専用レーンが設置可能で、運行速度は、路線バスの倍の時速約20キロメートルで運行が可能になるとしている。
 連結バスを使用するBRTのスムーズな運行を確保するためには、BRT専用レーンの設置が必須で、BRTの本格運行は、環状二号線の片側二車線の完全開通を待たなければ
ならないのである。
 五輪大会開催時は、環状二号線は片側1車線の暫定開通でBRTの運行に必要な専用レーンの設置は不可能になった。
 肝心の五輪大会開催時には、BRTは目論見に反して、臨海部と都心部の輸送力改善にほとんど役立たないことが明らかになり、五輪開催の輸送対策に痛手となった






プレ運行(第一次)


プレ運行(第二次)


本格運行開始時


BRT停留所


都心と臨海副都心を結ぶBRTに関する事業計画 東京都都市整備局/京成バス株式会社   2016年4月

選手村は“陸の孤島”?
  環状2号線が開通しないと、都心部と臨海部の道路は大渋滞になるだろう。新たな公共交通機関として期待されているBRTの運行は頓挫する懸念も生まれている。運行は開始できたにしても、大幅なサービス低下は必至である。

 一番の問題は、公共交通機関のない選手村エリアだ。
 晴海地区の埋め立て地に建設される選手村は、工事費約954億円を想定して、14~17階建ての22棟のマンション型の施設を建設する。選手村の居住ゾーンは3街区に分けて、約1万7000人の五輪関係者が宿泊可能な施設となる。各住戸は、東京湾の風景が望めるつくり。周辺環境、海からのスカイラインを考慮し、様々な高さの建物を配置するとしている。選手村の整備計画は素晴らしい。
 五輪開催時は、選手村の選手や大会関係者は専用バスで移動するので、BRTへの依存度は少ないだろう。
 しかし、五輪開催後の選手村再開発にあたってはBRTの開通は必須である。
 選手村は、大会後、住宅として供給する計画で、住宅棟22棟、超高層住宅棟2棟、商業棟1棟を整備して、約5600戸、1万2000人が暮らすのニュータウンに衣替えする。開発経費は、民間事業者の出資を促し、国や都の財政負担なしに整備する方針だ。
 日本の気候に応じた伝統的な建築技術と最先端の環境設備と融合した環境負荷の少ない街づくりを体現する1つのモデルとなることを目指すとしている
 しかし、このニュータウンは、環状2号線が完成しないと“陸の孤島”になる恐れが大きい。輸送力の大きなBRTの運行が始まらないと1万人を超える市民の足が確保できない。路線バスでは輸送力が追いつかないだろう。

 問題は選手村のニュータウンだけではない。臨海部では、各所でマンション、高層オフイスビル、商業施設の建設ラッシュが続いている。臨海部は、日中や夜間の人口が急激に増加し、輸送力が追いつかなる懸念が大きい。そこでBRTのような新都市交通システムに期待が集まっているのである。
 しかし、環状二号線が片側1車線の暫定道路では、たとえBRTの運行が始まってもBRT専用レーンが設置できず、激しい交通渋滞に見舞われて十分なサービスを維持できない。臨海部の住民にとって悲惨なのは環状二号線が完全開通する2022年までの間である。

問題はさらに深刻 “陸の孤島”海の森公園 
 東京五輪のボート・カヌー競技場が整備される海の森公園は、ごみと建設残土で作られた中央防波堤内側の埋立地で、1230万トンのごみが高さ約30メートルにわたって積み上げられた“ごみ山”だった。
 この土地を東京都は緑あふれる森林公園にして東京湾の玄関口にふさわしい臨海部のランドマークにしようとするのが海の森プロジェクトである。工事は2007年から始まった。広さ約88ヘクタール、日比谷公園の約5.5倍の広大なスペースに約48万本の木々が植えられ、「海の森」にする計画だ。
 この海の森公園の防波堤内の埋立地に挟まれた水路を締め切る形でボート・カヌー競技場施設を約491億円で整備する計画だ。
 しかし、この開催計画には、現状では大きな問題がある。選手や大会関係者、観客の輸送機関の整備である。
 海の森公園は、東京湾の埋めた地の最先端、とにかく都心部から遠い。しかも地下鉄などの鉄道がない。道路は、江東区若洲と大田区城南島結ぶ東京港臨海道路とお台場経由で都心部に至る東京港臨海道路(青海縦貫線)、更に2021年には、有明地区に至る東京港臨海道路(南北線)が、総工費約1100億円の巨費を投じて完成する。この内、東京港臨海道路は、城南島から海の森公園を抜けて、東京ゲートブリッジを通り、若狭海浜公園経由で千葉臨海部につながる。東京港臨海道路は、基本的に大田区や羽田空港、京浜地区から千葉臨海部に抜けるバイパスであり、都心部と海の森公園を結ぶ道路ではない。
 海の森公園と都心部を結ぶ道路は、東京港臨海道路(青海縦貫線)と建設中の東京港臨海道路(南北線)である。しかも、隅田川を渡って都心部に入るには、環状二号線の暫定道路や晴海通り、レインボーブリッジ、佃大橋しかない。
 朝晩に集中する選手や大会関係者、観客などの都心部からの輸送はどうするのだろうか?
 いずれにしてシャトルバスの臨時便で対応する他ないが、湾岸部の激しい渋滞でスムーズな運行は確保できるのだろうか、海の森公園の“陸の孤島”問題は深刻である。
 


海の森水上競技場 出典 東京都五輪準備事務局

臨海部の公共交通機関の大動脈「りんかい線」
「りんかい線」は、大崎駅から新木場まで、全長12.2km、大井町、品川シーサード、天王洲アイル、東京テレポート、国際展示場、東雲の8駅がある東京臨海副都心の大動脈だ。
長さ20メートルの車両の10両編成、1両編成の定員は約1300人である。ピーク時には4分間隔で、1時間に最大15本程度、運転可能としている。現状では、ピーク時には1時間に11本、1日143本が運転されている。輸送能力は、1時間に最大1万9500人、1日で約20万人程度とされている。
 しかし、沿線にはフジテレビや東京ビックサイト、商業施設や物流施設、工場などがあり、朝晩の通勤時間帯は既に相当混雑している。
有明テニスの森や有明BMXコース、有明体操競技場、有明アリーナ、お台場海浜公園、それに東京ビックサイトに設置されるIBC/MPCに行く利用客が多いだろう。
 五輪開催時には、臨海部の主力交通機関になるだろう。




観光客に大人気 「ゆりかもめ」 輸送力には難点
「ゆりかもめ」は、新橋駅から豊洲駅まで、全長14.6km、お台場海浜公園、台場、国際展示場正面、有明テニスの森、市場前(豊洲市場)などの駅がある。
ピーク時には4分間隔で、1時間に最大15本の運行が可能で、1両編成の定員は300人~350人、輸送能力は1時間で最大約5250人程度、1日で約11万人程度とされている。
「ゆりかもめ」の沿線にはフジテレビや東京ビックサイト、有明テニスの森、お台場海浜公園、船の科学館など施設があり、土日・祝日は大勢の乗客で、車体のサイズが小さく、編成も短いので、車内はいつも満杯。地下を走る「りんかい線」とはちがって、高架の軌道を走るゆりかもめは臨海部が見渡せるので、観光客には圧倒的な人気だ。
 五輪開催時には、競技場を訪れる観客を始め、大会関係者やメディア関係者でホームは乗客であふれ、車内は超満員で、いつ乗れるのかわからないような状況が発生する懸念が大きい。とりわけ乗客の集中する朝晩は深刻だろう。
 「ゆりかもめ」は将来の輸送能力増強を見込んで、ホームの延長用に駅周辺のスペースに余裕を持たせてあり、線路の間に駅を伸ばすスペースを残している。現在6両編成を10両編成程度にすることは可能と見られている。それでも輸送力は不足し混雑緩和にはつながらない懸念が残る。五輪競技場集中地域の主力輸送機関としては十分な輸送能力に欠くと思われる。






晴海エリアのアクセス 都営地下鉄大江戸線
 大江戸線は門前仲町、月島、勝どき、築地市場などに駅があるが、沿線に東京五輪の施設はなく、選手村も海を隔てた隣の晴海エリアで駅から遠く、東京五輪開催時の輸送力にはあまり貢献しないだろう。
 2016年9月28日、森組織委員会会長は、突然、築地市場の豊洲市場移転後に生まれる跡地に乗用車約4000台とバス約1000台、合計約5000台の五輪関係車両の駐車場を設けるとテレビ番組で発言し波紋を呼んだ。
 2017年12月26日、東京都はバスや乗用車を収容する車両基地として築地市場跡地を含め、都内や臨海部などに7カ所を整備する計画を明らかにした。
 築地市場跡地は、メインの車両基地となり、バスと車両、計約2700台、江東区若洲にはバス約700台、江東区新砂には車両、約600台を駐車できるようにする。また中央区や港区、新宿区の4カ所は一時待機場として整備し
、車両基地の総面積は約30ヘクタールとなり、その大半が都有地としている。
 東京都では、築地市場跡地には駐車場の他に運転手の食堂、管理事務所なども整備する計画である。
 築地市場跡地に車両基地が整備されることになり、築地市場駅のある大江戸線は輸送関係者の有力な交通機関になると思われる。



辰巳、夢の島のアクセスを確保 東京メトロ有楽町線
  有楽町線は、辰巳地区にあるオリンピック アクアティクスセンターや辰巳国際水江場、夢の島公園のアチェリー会場にアクセス可能な唯一の公共交通機関である。
 しかし、臨海副都心地区の有明エリアや晴海・豊洲エリアにとっては、距離があるため五輪開催時には公共交通機関としての役割はあまり果たさせない。
 江東区では、有楽町線の豊洲駅から、東陽町を経て、住吉駅まで至る地下鉄8号線の建設計画の検討を進め、2010年から江東区では建設基金の積み立てを開始している。全長約2.5キロメートル、総工費約900~1200億円で、一日約20万人の利用客を見込む。しかし、まだ建設開始の見込みはたっていなしい。





オリンピックアクアティクスセンター  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

 次世代へのレガシー(未来への遺産)を目指した臨海副都心開発の目論見も十分な交通インフラが整備されていない限り“陸の孤島”となり、負のレガシー(負の遺産)の象徴になるだろう。
 リオデジャネイロ五輪の準備で、東京大会関係者やメディアは五輪施設の整備の遅れや大会運営の不備、治安の悪さ、政治混乱などネガティブ・チェックを頻繁に報道した。リオデジャネイロの市街地からオリンピックパークを結ぶ鉄道の完成が開会式直前になったことも批判の対象だった。しかし、開幕直前に完成すればまだ上々だろう。振り返って東京五輪の準備状況を冷静に見てみよう。原因はともあれ五輪の交通インフラの要である環状2号線はそもそも五輪開催までに完成しない。五輪大会開催の輸送幹線となる首都高速は、開催時には約1.8倍の渋滞が発生するとして、交通量全体の「15%削減」を掲げ、物流業界、企業、市民に協力を要請し始めているが、「15%削減」が達成できるかどうか、まだ確実ではない。2020東京大会の課題は、暑さ対策と交通渋滞対策に絞られてきた。
 そしてその双方の課題に決め手が未だに見いだせない。
 日本にリオデジャネイロ五輪を批判する資格はない。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと2年を切った。まさに正念場である。




東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!
有働由美子 news zero批判 ニュースになっていないnews zero ニュースキャスター失格 あさイチの成功




“もったいない”五輪開催費用「3兆円」 青天井体質に歯止めがかからない! どこへ行った「世界一コンパクトな大会」
東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 競技会場の全貌
東京オリンピック 競技会場最新情報(下)膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園
江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念

北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
主導権争い激化 2020年東京オリンピック・パラリンピック 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか








国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2016年9月28日 初稿 
Copyright (C) 2016 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント

東京オリンピック レガシー 負のレガシー 負の遺産 White Elephant ホワイト・エレファント Legacy

2018年11月21日 12時08分05秒 | 東京オリンピック

東京オリンピック レガシー(未来への遺産)
次世代に何を残すのか?




東京五輪開催経費「3兆円超」へ 国が8011千億円支出 組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘
「1725億円」は五輪開催経費隠し 検証・国の会計検査院への反論 青天井体質に歯止めがかからない




2020年東京オリンピック・パラリンピック
“レガシー”の実現こそ最優先の課題だ

 国際オリンピック員会(IOC)は、オリンピック競技大会を開催するにあっって、“Legacy(レガシー)”という理念を強調する。
 「レガシー」とは、単にスポーツの分野だけでなく、社会の様々な分野に、“有形”あるいは“無形”の“未来への遺産”を積極的に残し、それを発展させて、社会全体の活性化に貢献しようとするものである。 
 その背景には、毎回、肥大化する大会規模や商業主義への批判、開催都市の巨額の経費負担などへの危機感がある。
オリンピックは、単に競技大会を開催し、成功することがけが目的ではなく、開催によって、次世代に何を残すか、何が残せるか、という理念と戦略が求められる。
 2020年東京五輪・パラリンピックでは、直接経費だけでも「1兆3500円」(予備費を入れると1兆6500億円)、東京都のインフラ整備などの五輪関連経費が「8100億円」、会計検査院が指摘したこれまでの国の支出が「8000億円」、今後の支出を加えると「3兆円」の巨費が投入される大イベントである。「3兆円」のレガシーを一体どんな形で実現しようとしているのか? 大会開催で「負のレガシー」(負の遺産)を残すことは決して避けなければならない。残された時間はあと2年を切った。



東京都 五輪関連経費 8100億円計上 開催経費総額は2兆円超
 2018年1月、東京都は新たに約8100億円を、「大会関連経費」として計上すると発表した。これまで公表していた「大会経費」の1兆3500億円、これで五輪開催経費は総額で約2兆1600億円に達することが明らかになった。
 「大会関連経費」の内訳は、バリアフリー化、や多⾔語化、各種ボランティアの育成・活⽤、教育・⽂化プログラムなどや都市インフラの整備(無電柱化等)、観光振興、東京・⽇本の魅⼒発信などである。
 問題は、膨張した五輪開催経費を削減するためのこれまでの東京都、国、組織委員会の取り組みが一瞬にして消え去ったことである。“コンパクトな五輪”の約束は一体、どこにいったのだろうか。
 未だに明らかにされていない国の“五輪開催経費”も含めると3兆円は優に超えることは必至だろう。
 依然として五輪開催経費の“青天井体質”に歯止めがかからない。

  国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪の肥大化批判に答えるために「2013 OLYMPIC LRGACY」を採択した。巨額な開催経費の負担に耐え切れず立候補する開催地がなくなるのではという危機感があった。
 そのポイントは、「開催費用を削減して運営の柔軟性を高める」、「既存の施設を最大限活用する」、「一時的(仮設)会場活用を促進する」、「開催都市以外、さらに例外的な場合は開催国以外で競技を行うことを認める」などである。 
 そして2020東京大会を「アジェンダ2020」を最初に適用する大会と位置付けている。2020東京大会は「世界一コンパクト」な大会を宣言している。その意気込みはどこにいったのか?



五輪開催経費 1兆3500億円 350億円削減 組織委
 2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は12月22日、大会経費について、今年5月に国や東京都などと合意した経費総額から更に350億円削減し、1兆3500億円(予備費を含めると最大で1兆6500億円)とする新たな試算(V2)を発表した。
 施設整備費やテクノロジー費など会場関係費用については仮設会場の客席数を減らしたり、テントやプレハブなど仮設施設の資材については海外からも含めて幅広く見積もりを取り、資材単価を見直したりして250億円を削減して8100億円とし、輸送やセキュリティーなどの大会関係費用については100億円削減して5400億円とした。
 開催経費の負担額は東京都と組織委が6000億円、国が1500億円でV1と同様とした。
 2016年末のV1予算では1兆5000億円(予備費を含めると最大で1兆8000億円)としたが、IOC調整委員会のコーツ委員長は10億ドル(約1100億円)の圧縮を求めており、組織委の武藤敏郎事務総長はV3ではさらに削減に努める考えを示した。



東京都の五輪施設整備費 1828億円 413億円削減
 2017年11月6日、東京都は新たに建設する8つ競技会場の整備費は合計1828億円で、これまでの2241億円から413億円削減すると公表した。

 五輪施設整備費は、五輪招致後の策定された当初計画では4584億円だったが、舛添元都知事が経費削減を行い、夢の島ユース・プラザ゙・アリーナA/Bや若洲オリンピックマリーナの建設中止を行うなど2241億円に大幅に削減している。
 2016年夏、小池新都知事は、五輪施設整備費の「見直し」に再び乗り出し、「オリンピック アクアティクスセンター」(水泳)、「海の森競技場」(ボート/カヌー)、「有明アリーナ」(バレーボール)の3競技場は、合計2125億円の巨費が投じられるとして再検討に取り組んだ。とりわけ「海の森競技場」は、巨額の建設費に世論から厳しい批判を浴び、「見直し」対象の象徴となった。
 小池都知事は都政改革本部に調査チーム(座長上山信一慶応大学教授)を設置し、開催計画の“徹底”検証を進め、開催費総額は「3兆円を超える可能性」とし、歯止めがなく膨張する開催費に警鐘を鳴らした。そして3競技場の「見直し」を巡って、五輪組織員会の森会長と激しい“つばぜり合い”が始まる。
 一方、2020年東京大会の開催経費膨張と東京都と組織委員会の対立に危機感を抱いた国際オリンピック委員会(IOC)は、2016年末に、東京都、国、組織委員会、IOCで構成する「4者協議」を開催し、調停に乗り出した。
 「4者協議」の狙いは、肥大化する開催経費に歯止めをかけることで、組織委員会が開催経費の総額を「2兆円程度」としたが、IOCはこれを認めず削減を求め、「1兆8000億円」とすることで合意した。しかし、IOCは“更なる削減”を組織委員会に強く求めた。
 小池都知事は、結局、焦点の海の森競技場は建設計画は大幅に見直して建設することし、水泳、バレーボール競技場も見直しを行った上で整備することを明らかにし、「アクアティクスセンター」(水泳)は、514~529億円、「海の森水上競技場」(ボート/カヌー)は 298億円、「有明アリーナ」(バレーボール)は339億円、計1160億円程度で整備するとした。

 今回、公表された整備計画では、小池都知事が見直しを主導した水泳、バレーボール、ボート・カヌーの3競技会場の整備費は計1232億円となり、「4者協議」で公表した案より約70億円増えた。
 「アクアティクスセンター」では、着工後に見つかった敷地地下の汚染土の処理費38億円、「有明アリーナ」では、障害者らの利便性を高めるためエレベーターなどを増設、3競技場では太陽光発電などの環境対策の設備費25億円が追加されたのが増加した要因である。
 一方、経費削減の努力も見られた。
 「有明テニスの森」では、一部の客席を仮設にして34億円を減らしたり、代々木公園付近の歩道橋新設を中止したりして23億円を削減した。
 この結果、計413億円の削減を行い、8つ競技会場の整備費は合計1828億円となった。
 五輪大会の競技場整備費は、当初計画では4584億円、舛添元都知事の「見直し」で2241億円、そして今回公表された計画では1828億円と大幅に削減された。

 新たな競技場の整備費が相当程度削減されたことについては評価したい。
 しかし最大の問題は、“五輪開催後”の利用計画にまだ疑念が残されていることである。
 海の森競技場では、ボート/カヌー競技大会の開催は果たしてどの位あるのだろうか。イベント開催を目指すとしているが成果を上げられるのだろうか。
 「アクアティクスセンター」は、すぐ隣に「辰巳国際水泳場」に同種の施設があり過剰な施設をどう有効に利用していくのか疑念が残る。
 さらに8つの競技場の保守・運営費や修繕費などの維持費の負担も、今後、40年、50年、重荷となってのしかかるのは明らかである。
 小池都知事は、膨張する五輪開催経費を「もったいない」とコメントした。
 8つの競技会場を“負のレガシー”(負の遺産)にしないという重い課題が東京都に課せられている。











東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!

冬季五輪の“宿命” “負のレガシー”(負の遺産)を抱える平昌冬季五輪
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リオデジャネイロ五輪開会式 Rio2016

破綻 リオデジャネイロ五輪の“レガシー”
 <2016年8月に開催されたリオデジャネイロ五輪では、日本は過去最多の金12、銀8、銅21の計41個のメダルを獲得し、テレビ中継にくぎ付けになった。
 そのリオデジャネイロで、半年足らずで、オリンピック施設の崩壊が急速に始まっている。開催都市が掲げたレガシー・プランは一体どこへ行ったのだろうか。
 「宴の後」は、冷酷である。
 リオデジャネイロ五輪の競技場は、マラカナン地区(4競技場)とコパカバーナ地区(選手村、4競技場)、バーラ・ダ・チジュッカ地区(オリンピック・パーク 15競技場)、デオドロ総合会場(9競技場)の三つに地区に32の競技施設が整備された。
 市や大会組織委員会は、オリンピック開催後のレガシーについて、開催都市や国は、長期にわたってレガシーの恩恵が残されると宣言していた。
ニューヨーク・タイムズの報道によると、オリンピックパークにあるいくつかのスタジアムの入り口は板で封鎖され、ネジなどがグラウンドに散乱し、ハンドボールの競技場は鉄製の棒でふさがれている。IBC(国際放送センター)は半壊状態、練習用の水泳プールはゴミや泥にまみれていると伝えている。
 リオ五輪のシンボル、開会式と閉会式が開かれたマラカナン・スタジアムでは今では芝生が枯れて茶色になり、観客席は数千席も壊されてしまい、100万ドル近い電気代が滞納状態になっている。
 1900万ドル(約21億円)で建設したゴルフコースは、今ではプレーをする人はいなく、打球の音よりも鳥の声がけたたましく聞こえているという。 採算が合わず管理会社が即時撤退する可能性が浮上している。
 リオ市郊外のデオドロ地区は、主会場に次いで2番目に多くの五輪施設がつくられた。カヌーのスラロームコースは、スイミングプールとして一般に開放された。しかし、昨年暮れから一般の利用は止めている。
 選手村の計31棟の高層宿舎ビル(17階建て、計3604戸)は、五輪後、高級マンションとして売却されるはずだった。ところが、実際に売れたのは全体の10%に満たない。
 リオデジャネイロ市は「ホワイト・エレファント(white elephant=維持費がかかるだけの無用の長物)にはならない」と公約していた。 
 テコンドーやフェンシングの競技場は五輪後、学校の校舎に改装することになっていた。他の二つの競技場も別の場所に移築し、四つの学校として再利用する計画だった。しかし、どれもまだ実現していない。
 リオ市は五輪後、オリンピックパークの運営を民間に任せるためのオークションを開いた。だが、入札に加わった会社は一つもなかった。このため運営経費などの財政負担は、結局、中央政府のスポーツ省が担うことになった。
 競技場施設の荒廃が進む背景には、開催都市や国の深刻な財政的危機がある。
 レガシーを実現するための新たな支出がまったく不可能なのである。レガシーの実現にはさらに追加経費が必要ことを忘れてはならない。

新設競技場 維持管理は次世代の負担に 東京大会のレガシーは?
 東京大会の競技場や施設では、新国立競技場、オリンピック アクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナ、葛西臨海公園、大井ホッケー競技場、武蔵野森総合スポーツ施設などが整備される。
 五輪開催後、施設をレガシーとして維持するためには、維持管理費や修繕費、大規模改修費などの後年度負担が確実に生まれる。入場料収入や施設使用料で採算をとることができれば問題ないが、結局、公費負担をせざるを得ないだろう。次世代の「負のレガシー」になる懸念が生まれる。

 1964年東京大会のレガシーは、東海道新幹線、首都高速道路、地下鉄日比谷線、そしてカラーテレビだったとされている。
 そして2020年東京大会のレガシーとしてクローズアップされているのは「世界最先端のICT社会の実現」である。2020年をターゲットに、スマート都市、AI/IoT社会の実現、自動走行自動車、ロボット、自動翻訳機、4K/8K、AR/VR、第五世代移動通信5Gなど国、企業、研究機関が総力を挙げ取り組んでいる。
 いずれも次世代の日本の経済基盤を支える大黒柱で、世界各国に後れをとることは許されないだろう。
 1964年東京五輪では、大会開催を契機に日本の高度成長を確かなものにした。
 2020年東京五輪では、確実に少子高齢化を迎える次の時代の安定成長を確かなものにするレガシーを残すことを期待したい。

2017年7月1日 (月刊ニュメディア 8月号 加筆)





クローズアップされた“負のレガシー(負の遺産)”

 「“負の遺産”を都民におしつけるわけにはいきませんので」
 小池都知事は、こう宣言した。

 2016年9月29日、東京五輪・パラリンピックの開催経費の妥当性を検証している東京都の「都政改革本部」の調査チームは、大会経費の総額が「3兆円を超える可能性がある」とする報告書を小池百合子知事に提出した。都が整備を進めるボート会場など3施設の抜本的見直しや国の負担増、予算の一元管理なども求めた。
 これに先立ったって、 東京五輪・パラリンピックの関係組織、大会組織委員会や東京都、国、JOCなどのトップで構成する調整会議が午前中に、文部科学省で開かれ、小池都知事は、調査チームのまとめた調査報告書を報告した。
会議で小池都知事は、「改革本部の報告書については、大変に中味が重いものなので、それぞれ重く受け止めていると思う。これまでどんどん積みあがってきた費用をどうやってコストカットし、同時に、いかにレガシーを残すか、そういう判断をしていきたい」と述べた。
 これに対し、森組織委会長は「IOCの理事会で決まり、総会でも全部決まっていることを、日本側からひっくり返してしまうということは極めて難しい問題だろうと申し上げておいた」苦言を呈した。
 小池都知事は、「“負の遺産”を都民におしつけるわけにはいきませんので」と応じた。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催経費は、「3兆円超」とされている。これだけ巨額の経費を使い開催する東京五輪は、レガシー(未来への遺産)にしなければならないのは疑問の余地はない。決して、負のレガシー(負の遺産)として次世代に残してはならいのは明白だ。大会が開催されるのは、オリンピックで17日間、パラリンピックで13日間、合わせてもわずか30日間に過ぎない。五輪開催後のことを念頭に置かない施設整備やインフラ整備計画はあまりにも無責任である。
 日本は、これから少子高齢化社会がさらに加速する。2040年には総人口の36・1%が65歳以上の超高齢者社会になる。また人口も、2048年には1億人を割って9913万人となり、2060年には8674万人になると予測されている。五輪開催で整備される膨大な競技施設は果たして次世代に必要なのだろうか? また新たに整備される施設の巨額の維持管理費の負担は、確実に次世代に残される。毎年、赤字補てんで公費投入は必至だろう。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪の肥大化批判に答えるために「2013 OLYMPIC LRGACY」を採択して、開催都市に対して、大会開催にあたってレガシー(未来への遺産)を重視する開催準備計画を定めることを義務付けた。
 リオデジャネイロ五輪の直前の2016年7月に、大会組織委員会では、「東京2020 アクション&レガシープラン2016」を策定した。
「スポーツ・健康」、「文化・教育」、「復興・オールジャパン・世界への発信」、「街づくり・持続可能性」、「経済・テクノロジー」の5つの柱をあげて、取り組みを進めている。
 しかし、最も肝要な施設整備を巡るレガシー(未来への遺産)については、ほとんど記述がない。新国立競技場を始め、競技施設の相次ぐ建設中止、整備計画の見直しなど“迷走”と“混乱”が深刻化している中で、「アクション&レガシープラン」どろこではないだろう。膨れ上がった開催経費の徹底した見直しを行うべきという都民や国民の声に、どう答えるかが、“レガシー”を語る前提なのは明らかだ。“美辞麗句”の並んだ「アクション&レガシープラン」には“虚しさ”を感じる。
 「世界一コンパクト」な五輪大会を宣言した意気込みはどこにいったのか?
 「都政改革本部」の調査チームの大胆な“見直し”提言で、再び、クローズアップされた“レガシー(未来への遺産)”を、もう一度、考える直すタイミングであろう。
 大会開催まで、後4年を切った。


“肥大化批判” IOC 存続の危機
 国際オリンピック委員会(IOC)もその存在を揺るがす深刻な問題を抱えている。オリンピックの“肥大化”批判である。巨額な開催経費の負担に耐え切れず立候補する開催地がなくなるのではという懸念だ。五輪大会の存続すら危ぶまれている。問われているのは国際オリンピック委員会(IOC)だ。
 2022年冬季五輪では最終的に利候補した都市は、北京とアルマトイ(カザフスタン)だけで実質的に競争にならなかった。2024年夏季五輪でも立候補を断念する都市が相次ぎ、結局、パリとロサンゼルスしか残らなかった。

 2013年、リオデジャネイロの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ロゲ前会長と交代したバッハ会長は、オリンピックの肥大化の歯止めや開催費用の削減に取り組み、翌年の2014年の「アジェンダ2020」を策定する。
 「アジェンダ2020」は、合計40の提案を掲げた中長期改革である。
 そのポイントは以下の通りだ。
* 開催費用を削減して運営の柔軟性を高める
* 既存の施設を最大限活用する
* 一時的(仮設)会場活用を促進する
* 開催都市以外、さらに例外的な場合は開催国以外で競技を行うことを認める
* 開催都市に複数の追加種目を認める 
 そして2020東京大会を「アジェンダ2020」を最初に適用する大会と位置付けている。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピックの存在をかけて改革に取り組む瀬戸際に立たされているのである。

「3兆円」は「モッタイナイ」!
 「3兆円」、都政改革本部が試算した2020東京オリンピック・パラリンピックの開催費用だ。これまでオリンピックを取り巻く最大の問題、“肥大化批判”にほとんど向きあわないないままで、開催準備を進めてきたツケが表面化したのある。
 2020東京大会の開催にあたって最も重要なポイントは、次の世代を視野にいれた持続可能な“コンパクト”なオリンピックを実現することである。
 「アジェンダ2020」はどこへいったのか。国際オリンピック委員会(IOC)は、2020東京大会を「アジェンダ2020」の下で開催する最初のオリンピックとするとしていたのではないか。 招致委員会が世界に宣言した「世界一コンパクな大会」はどこへいったのか。
 開催費用を徹底的削減して次世代の遺産になるレガシーだけを整備すべきだ。今の日本に世界が目を見張る壮大な競技施設は不要だし、“見栄”もいらない。真の意味で“コンパクト”な大会を目指し、今後のオリンピックの手本を率先して示すべきだ。
 日本は超少子高齢化社会が突入する。1964年の東京五輪とは“時代”が違う。その“時代認識”を踏まえた東京オリンピック・パラリンピックでなければならない。
 「3兆円」は「モッタイナイ」!



“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革”
東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 競技会場の全貌
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル



「五輪開催の負担に苦しみ続けている長野」
 長野五輪の開催都市、長野市はもともと堅実な財政の自治体とされ、1992年度には約602億円もの基金を蓄えていた。長野市は、五輪開催に向けてこの基金を取り崩し、それでも足りない分を、市債を発行して開催経費をまかなった。
長野市の市債発行額は1992 年度に127億円だったが、1993 年度には 406億円と 3 倍強に膨れ上がった。1997年度末、市債の発行残高は1921億円に膨張した。この借金は市民1人あたり約53万円、1世帯あたり154万円にも上った。長野市の借金の償還ピークは2002年前後で、償還額は年間約230億円にも達した。以後、約20年間、長野市は財政難に苦しみながら、借金を払い続け、ようやく2017年度に完済するとしている。
 さらに長野市には整備した競技場施設の維持管理の重荷がのしかかっている。長野市は、エムウエーブ、ビックハットなど6つの競技場施設を、約1180億円を拠出して整備した。しかし、競技場施設からの収入は約1億円程度でとても施設の維持管理費をまかなうことはできない。毎年、長野市は約10億円の経費を負担し続けている。競技場施設を取り壊さない限りこの負担は永遠に続くだろう。そして、2025年頃にやってくる大規模修繕工事では、さらに巨額の経費負担が発生する。
 そのシンボルになっているのが長野オリンピックのボブスレー・リュージュ会場として使用された“スパイラル”、長野市ボブスレー・リュージュパークである。
 “スパイラル”はボブスレー・リュージュ・スケルトン競技施設として長野県長野市中曽根に建設された。コースの全長は1,700m、観客収容人数は約1万人、101億円かけて整備された。“アジアで唯一のボブスレー・リュージュ競技の開催が可能な会場”がそのキャッチフレーズだ。
 しかし大会開催後は維持管理費の重荷に悩まされている。コースは人工凍結方式のため、電気代や作業費など施設の維持管理に年間2億2000万円もの費用がかかる。ボブスレー・リュージュ・スケルトン、3つの競技の国内での競技人口は合わせて130人から150人、施設が使用される機会は少なく、利用料収入はわずか700万円程度にとどまる。毎年約2億円の赤字は長野市や国が補填している。
 そして建設から20年経って、老朽化も進み、補修費用も増加した。長野市の試算では、今後20年間で、施設の維持管理で約56億円が必要としている。
 長野市では、平昌冬季五輪までは存続させるが、大会終了後は、存続か廃止かの瀬戸際に立たされている。
 一方、長野県も道路などのインフラ整備や施設整備に巨額の経費を拠出した。それをまかなうために県債を発行したが、県債の発行残高は1997年度末で約1兆4439億円、県民一人当り約65万円の借金、1世帯あたり約200万円の借金とされている。借金額は長野県の一般会計予算の規模より大きくなってしまった。
 長野県が借金を完済するのは平成36年度(2025年)、 長野五輪開催から約30年間、払い続けることになる。
 長野五輪の教訓は、一体、どう活かされているのだろうか?

新国立競技場は“負のレガシー”(負の遺産)第一号か?
 2020年東京大会のキャッチフレーズは「DiscoverTomorrow(未来をつかむ)」である。
 新国立競技場の建設にtotoの財源を充当する方針が進められているが、totoは、地域スポーツ活動や地域のスポーツ施設整備の助成や将来の選手の育成など、スポーツの普及・振興に寄与するという重要なミッションがある。Totoは“スポーツ振興くじ”なのである。仮にtotoを財源に1000億円を新国立競技場の建設に拠出するとしたらtotoの創設精神に反するのではないか?
 オリンピックの精神にも反するだろう。IOCの“レガシー”では、開催地は、大会開催をきっかけに国民のスポーツの振興をどうやって推進していくのかが重要な課題として問われている。東京大会の“レガシー”は、どこへいったのだろうか?
 東京大会コンセプトは「コンパクト」、繰り返し強調しているキーワードである。過去からの資産を大切にしながら明日に向かって進んでいく都市の姿を世界に伝えていくとしている。
 2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたIOC総会での2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致演説は何だったのだろうか。
 新国立競技場が“負のレガシー”のシンボルになる懸念が拭い去れない。

 “レガシーはお金の問題でなく「心」の問題”とする発想も余りにもお粗末だ。美辞麗句だけが並んだ“レガシー・プラン”は無意味だろう。
 次世代に大きな負担を残す五輪開催はもう止めにしたらどうか。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックを“負のレガシー”にしないためにも。




レガシー(Legacy)とヘリテージ(Heritage

 レガシー(Legacy)の単語の意味は、「遺産」、「受け継いだもの」とされ、語源はラテン語の“LEGATUS” (ローマ教皇の特使)という。「キリスト教布教時にローマの技術・文化・知識を伝授して、特使が去ってもキリスト教と共に文化的な生活が残る」という意味が込められているという。どこか宗教的なニュアンスのある言葉である。また、legacy は,財産や資産などや、業績など成果物的なものも言う。遺言によって受け取る「遺産」という意味にも使われる。
 一方、heritage は,先祖から受け継いでいくものというような意味の遺産で,「(先祖代々に受け継がれた)遺産」などと訳されていて、お金に換算したりしない「遺産」をいう。「世界文化遺産」とか「世界自然遺産」は“Heritage”を使用している。
 また、“Legacy”は、「負の遺産」(Legacy of Tragedy)という意味でも使われ、“legacy of past colonial rule”=「植民地支配の『後遺症』」とか、“legacy of the bubble economy”=「バブル経済の名残」とかマイナスの意味が込められた表現にも使用され幅が広い。
 レガシー(未来への遺産)は、正確には“Positive Legacy”と“Positve”を付けて使用している。


登場したオリンピック“レガシー”
 国際オリンピック員会(IOC)は、毎回、オリンピック競技大会を開催するにあっって、“Legacy”という理念を強調する。
 ここでは「未来への遺産」と訳したい。
 この“Legacy”(レガシー)という言葉は、オリンピック100年にあたる2002年に定められた「オリンピック憲章」の中に、新たに掲げられた。

<第1章第2項「IOCの使命と役割」>の14.
・To promote a positive legacy from the Olympic Games to the host cities and countries.
・「オリンピック競技大会の“遺産”を、開催都市ならびに開催国に残すことを推進すること」

 「レガシー」とは、オリンピック競技大会を開催することによって、単にスポーツの分野だけでなく、社会の様々な分野に、“有形”あるいは“無形”の“未来への遺産”を積極的に残し、それを発展させて、社会全体の活性化に貢献しようとするものである。開催都市や開催国にとって、開催が意義あるものにすることがオリンピックの使命だとしている。

 その背景には、毎回、肥大化する開催規模や商業主義への批判、開催都市の巨額の経費負担、さらにたびたび起きる不祥事などへの批判などで、オリンピックの存在意味が問い直され始めたという深刻な危機感がある。

 その反省から、IOCは、開催都市に対して、単に競技大会を開催し、成功することだけが目的ではなく、オリンピックの開催によって、次の世代に何を残すか、何が残せるか、という理念と戦略を強く求めるようになった。


レガシー(“未来への遺産”)の理念は
 IOCは2013年に、“Olympic Legacy”という冊子を公表した。
 その冒頭に、“What is Olympic Legacy?”というタイトルで、“Legacy”(“未来への遺産”)の理念が記されている。


IOC “Olympic Legacy Booklet”


▼A lasting legacy
 The Olympic Games have the power to deliver lasting benefits which can considerably change a community, its image and its infrastructure.
As one of the world’s largest sporting events, the Games can be a tremendous catalyst for change in a host city with the potential to create far more than just good memories once the final medals have been awarded.

▼持続的」なレガシー(未来への遺産)
 オリンピックは、社会のコミュニティを変え、イメージを変え、生活基盤を変えていく持続的な“恩恵”を与える力がある。オリンピックは世界で最も大規模なスポーツイベントとして、力強いパワーを秘めており、メダル獲得の素晴らしい記憶よりはるかに大きな意味を持つ社会の変革を生み出す“刺激剤”なのである。

 さらに、“Legacy”(“未来への遺産”)の具体的な指標として「5つのタイプ」を挙げている。

・Sporting Legacy         スポーツ・レガシー(未来への遺産)
                          Sporting venues(競技施設)
                          A boost to sport(スポーツの振興)
・Socia Legacy          社会レガシー(未来への遺産)
                          A place in the world(世界の地域)
                          Excellence, friendship and respect (友好と尊崇)
                          Inclusion and Cooperation(包括と協力)

・Environmental Legacy    環境レガシー(未来への遺産)
                         Urban revitalisation(都市の再活性化)
                         New energy sources(新エネルギー)

・Urban Legacy          都市レガシー(未来への遺産)
                         A new look(新たな景観)
                         On the move(交通基盤)
・Economic Legacy       経済レガシー(未来への遺産)
                         Increased Economic Activity(経済成長)

ロンドン・オリンピックのレガシー
 2012年ロンドンオリンピックの開催にあたって、ロンドン市とイギリス政府は次のようなレガシー・プランとアクション・プランを策定した。

ロンドン市が発表したレガシー・プラン、
▼ロンドン市民がスポーツする機会を増やす、
▼ロンドン市民の新たな雇用、ビジネス、ボランティアの機会を増やす
▼東ロンドン中心部の変革
▼持続可能な大会の実現と持続可能な地域社会の発展
▼ロンドンを多様性、創造性、おもてなしのショウケースとする

イギリス政府が策定したアクション・プラン、
▼ イギリスを世界有数のスポーツ大国に
▼ ロンドン東部地域を再開発
▼ 若者世代を活性化
▼ オリンピックパークを環境に配慮した持続可能な生活モデル地域に
▼ イギリスの創造性、協調性、生活・観光・ビジネスのしやすさを世界にアピール

 そして、2013年にイギリス政府とロンドン市の合同報告によれば、
▼スポーツのある健康的な生活
▼ロンドン東部の再生
▼経済成長
▼地域社会を一つに コミュニティー
▼パラリンピック
 以上をロンドン・オリンピック開催の主な“成果”として上げている。



A joint UK Government and Mayor of London report
FACTSHEET LONDON 2012 FACTS & FIGURES NOVEMBER 2012





破綻したTOKYO 2020 招致ファイルのレガシー
 2013年1月7日、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会は、14項目から成る招致ファイルを国際オリンピック委員会(IOC)に提出した。
  “DISCOVER TOMORROW”というキャッチフレーズを掲げたこの招致ファイルの冒頭には「ビジョン、レガシー及びコミュニケーション」と章を設け、4ページに渡って大会開催についての基本姿勢を記述している。


東京2020オリンピック・パラリンピック招致ファイル

 その中で「物理的なレガシー」として、施設整備やインフラ整備で首都東京の再活性化を唱えている。
「11の恒久施設」を整備すると宣言しているが、「夢の島ユース・プラザ・アリーナA」は建設中止、「国立霞ヶ丘競技場」は“迷走”に“迷走”を繰り返し当初計画は白紙撤回、「海の森水上競技場」、「オリンピックアクアティクスセンター」は膨れ上がった整備費で、見直しを迫られた。「ポジティブなレガシー」として立候補ファイルに挙げられている競技会場のほとんどすべてが、“混迷”する東京五輪のシンボルになってしまった。
 以後のレガシーファイルでは競技会場関連の記述は消えた。

▼ 物理的レガシー: 東京の新しい中心の再活性化(招致ファイルの抜粋)
 東京の新しい長期計画と完全に一致して、2020年東京大会は東京に有益な物理的レガシーを残す。
2020年東京大会は、新設または改修された競技やエンターテイメントのための会場や施設、新たな緑地を地域にとって重要なポジティブなレガシーとして提供する。それらのレガシーには次のものが含まれる。
・ 2020年東京大会に向けて国立霞ヶ丘競技場、海の森水上競技場、夢の島ユース・プラザ・アリーナA及びB、オリンピックアクアティクスセンターなど、11の恒久会場が整備される。
・ 国立代々木競技場、東京体育館、日本武道館など、1964年オリンピック大会時の施設を含む15の主要コミュニティ・スポーツ施設が改修される。
2020年東京大会の競技会場のうち、21会場は東京の新しい中心となる再生された東京ベイエリアに設置され、主要スポーツエンターテイメント・イベント用の新しい施設とともにレジャーエリアを備える。
 新たに建設される2020年大会の選手村の一部は、大会後、国際交流研究、イベント、共同プロジェクトのためのハブの役割を果たす国際交流プラザとなり、ここには国内外の文化、スポーツ、教育関連の機関が拠点を置くことが検討されている。
 また、重要な国際的レガシーとして、東京にイベント及びスポーツ技術・科学機関を創設することが検討されている。この機関は国際交流プラザに拠点を構える可能性がある。同機関はスポーツやイベントのプレゼンテーション、会場、レガシーの国際的な研究ユニットとなり、オリンピック・ムーブメントやスポーツとイベント・セクターが常に変化を続ける技術や持続可能性の要請に遅れをとらないための一助となる。


大会開催基本計画で示されたアクション&レガシープランの基本理念
 2015年1月23日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会(森喜朗会長)は、東京都内で理事会を開き、大会開催基本計画案を承認した。
 基本計画では、開催開催のスローガンとして““DISCOVER TOMORROW”を掲げ、大会ビジョンの3つのコンセプトして、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」を示し、アクション&レガシー」の基本理念を明らかにした。そして「2020年は市場最もイノベーティブで、世界にポジティブな変革をもたらす大会」を目指すとした。

■ 全員が自己ベスト
・万全の準備と運営によって、安全・安心で、すべてのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮し、自己ベストを記録できる大会を実現。
・世界最高水準のテクノロジーを競技会場の整備や大会運営に活用。
ボランティアを含むすべての日本人が、世界中の人々を最高の「おもてなし」で歓迎。

■ 多様性と調和
・人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩。
・東京2020大会を、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする。

■ 未来への継承
・東京1964大会は、日本を大きく変え、世界を強く意識する契機になるとともに、高度経済成長期に入るきっかけとなった大会。
・東京2020大会は、成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく


アクション&レガシープランの基本理念 2020年東京大会組織委員会

 この基本理念に基づいて、(1)スポーツ・健康(2)街づくり・持続可能性(3)文化・教育(4)経済・テクノロジー(5)復興・オールジャパン・世界への発信-を5つの柱とし、地域スポーツの活性化やスマートエネルギーの導入、東日本大震災の復興状況の世界への発信などに取り組むとし、アクションプランのロードマップも明らかにした。
 16年リオデジャネイロ五輪開幕前に具体的な行動計画をとりまとめ、東京五輪後にもレポートを策定する方針だ。またパラリンピックを2度開催する初の都市となることから、武藤敏郎事務総長は「共生社会、多様性と調和を大会ビジョンに入れているので、重視したい」と話した。




2020年東京大会組織委員会

アクション&レガシープランの「5本の柱」

▼ スポーツ・健康
(1) 国内外へのオリンピック・パラリンピックの精神の浸透
(2) 健康志向の高まりや地域スポーツの活性化が及ぼす好影響
(3) トップアスリートの国際競技力の向上
(4) アスリートの社会的・国際的地位やスポーツ界全体の透明性・公平性の向上
(5) パラリンピックを契機とする人々の意識改革・共生社会の実現

▼ 街づくり・持続可能性
(1)大会関連施設の有効活用
(2) 誰もが安全で快適に生活できる街づくりの推進
(3) 大会を契機とした取組を通じた持続可能性の重要性の発信

▼ 文化・教育
(1) 文化プログラム等を通じた日本や世界の文化の発信と継承
(2) 教育プログラム等を通じたオリンピック・パラリンピックの精神の普及と継承
(3) 国際社会や地域の活動に積極的に参加する人材の育成
(4) 多様性を尊重する心の醸成

▼ 経済・テクノロジー
(1) 大会開催を通じた日本経済の再生と本格的成長軌道への回復への寄与
(2) 大会をショーケースとすることによる日本発の科学技術イノベーションの発信

▼ 復興・オールジャパン・世界への発信
(1) 東日本大震災の被災地への支援や復興状況の世界への発信
(2) 「オールジャパン」体制によるオリンピック・パラリンピックムーブメントの推進
(3) 大会を契機とする日本各地の地域活性化や観光振興
(4) オリンピック・パラリンピックの価値や日本的価値観の発信


アクション&レガシープラン2016を公表
 リオデジャネイロ五輪の直前の2016年7月、組織委員会では、「5本の柱」に基づいて、2016 年から2020 年までの具体的なアクションプランを記述して、「アクション&レガシープラン2016」として策定し公表した。IOC総会で採択された「アジェンダ2020」の趣旨も具体的に大会運営に反映し、東京2020大会を「アジェンダ2020」によるオリンピック改革のスタートの年にするとしている。
 このプランは、2020年まで毎年夏を目処に更新しながら「アクション」を実施し、2020東京大会終了後、「アクション&レガシーレポート」をまとめる。













アクション&レガシープラン2016 東京2020大会組織委員会

 アクション&レガシープランの策定する重要な視点として、「参画」、「パラリンピック」、「2018~2022年の間の大規模大会との連携」を挙げている。
 「参画」では、各ステークホルダーのアクション(イベント・事業等)に対して「認証」する仕組みをリオ大会前までに構築し、多くのアクションが全国で実施され、できるだけ多くの方々、自治体や団体に主体的に参画してもらい大会の盛り上げを図りたいとしている。
 「パラリンピック」では、障がい者の社会参加の促進や多様性への理解の推進などを推進する。
 「大規模大会との連携」では、大会を単なる一過性のイベントとするのではなく、東京、オールジャパン、そしてアジア・世界にポジティブな影響を与え、レガシーとして創出されることを企図し、2018年平昌五輪、2019年ラグビーワールドカップ、2022年北京(中国)などの大規模スポーツ大会との連携を図る計画だ。

アクション&レガシープランの推進体制 

アクション&レガシープラン2016 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

アクション&レガシープラン2016全文
アクション&レガシープラン2017全文

出典  東京2020組織委員会 


「3兆円」のレガシーをどうする?
 2018年10月17日、幕張メッセで開催されたCEATECで、KEYNOTESセッション、「東京2020大会に向けテクノロジー&イノベーション」が催された。モデレーターは太田弘子氏(政策研究大学院教授)、パネラーは古宮正章氏(東京大会組織委員会副事務総長)、黒田 亮氏(内閣府大臣官房審議官)、栗山浩樹氏(オリパラ等経済界協議会運営員会座長)、テクノロジー&イノベーションの観点から、東京五輪大会のレガシーを議論した。
 政府は、2020東京大会開催に向けて、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース」を立ち上げた。
 2020年の東京大会のアクション&レガシープランでは、①全員が自己ベスト、②多様性の調和、③未来への継承の3つの基本コンセプトを掲げ、「史上最もイノベーティブでで世界にポジティブな改革をもたらす大会」にするという目標を打ち出している。
 タスクフォースでは、「Innovation for Everyone」というキャッチフレーズのもとに、「1964年大会は日本を変えた。2020大会は世界を変える」といういささか力の入りすぎた感があるスローガンを掲げている。そして、 競技観戦・観光を「快適」に楽しむ、「環境」の負荷を低減したクリーンな大会の実現、選手・観客・来訪者の「安全」の確保を柱にした9つのプロジェクトを推進するとした。


2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース

 このプロジェクトの責任者の黒田 亮氏は、まず、1964年東京大会のレガシーを①交通インフラ(東海道新幹線、首都高速道路、東京モノレール)、②コンピューターを始めて利用して競技の記録を整理、③衛星放送技術、④国立競技場、代々木体育館などを指摘した。
 そして、2020東京大会のレガシーの基本概念は、“Society 5.0”、すべてのモノがつながるIoT、AI=人工知能、ロボット、多言語自動翻訳、顔認証システム、自動走行車、VR/ARなどの新臨場映像体験、水素エネルギー、イノベーションで様々なニーズをサポートする技術であるとした。
 この9つのプロジェクトは、すべて超高齢化社会に突入する日本の持続的な発展に欠かせないイノベーションで、「世界で最高水準のICT社会の実現」という政府のICT戦略そのものである。2020東京五輪大会があろうがなかろうが、日本の成長戦略にとって必須のICTイノベーション戦略である。ICTやSociety 5.0戦略は、すでに官民あげてオールジャパンで取り組みが進んでいる。これを2020東京五輪大会のレガシーとするのは違和感がある。
 一方、古宮正章氏は、日本ならではの細やかな「思いやり」や「おもてなし」の心を養い、レガシーとして残したいとした。こうした発想の方が、次世代のレガシーを考えるにふさわしい。
 2020東京大会のレガシーを考えるにあたって、競技場施設や交通インフラ、社会資本、テクノのロジーなどの有形のレガシーはさることながら、「思いやり」や「おもてなし」などの無形のレガシーを育む姿勢には大賛成である。“箱物主義”レガシーは前世代の遺物である。
 しかし、筆者にとって最大の疑問は、2020東京大会の開催経費、「3兆円」のレガシーはどうなるのかである。新国立競技場、海の森競技場、オリンピックアクアティクスセンターの“赤字”は、誰が負担するのか。本当に市民のための施設になるのか。
 今回のKEYNOTESセッションを聞いていて、2020東京大会の現実の問題と向き合っていないレガシー論議に虚しさを覚えた。
 要は、「3兆円」のレガシーをどうしてくれるのかである。


どこへ行った「世界一コンパクトな大会」
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、“ヘリテッジゾーン”と“東京ベイゾーン”と名付けた選手村から半径8キロメートル圏内に85%の競技場を配置して開催するとしていた。「世界一コンパクトな大会」の“公約”を掲げて東京に招致に成功したのである。
 「ヘリテッジソーン」には、現在の東京の首都機能があり、1964年東京オリンピックの際に主要な競技場として利用され、2020年東京オリンピックでも主要な競技場となる国立競技場や武道館、東京体育館、代々木競技場もあるからそう名付けたのであろう。国立競技場は、その“巨大”建物が議論になったが、約1625億円(周辺整備を含む)という巨額の経費をかけて建替えられることになっている。新国立競技場は、オリンピック終了後、スポーツ競技会やイベント会場として利用する計画だが、年間約35億円という巨額な維持費をまかなえる収入が確保できるか疑問視する意見もある。また、完成後50年で必要な大規模改修費は約656億円に上るという試算も明らかにしている。はたして、“レガシー”(未来への遺産)になるのか、それとも“負の遺産”になるのか?
 一方、「東京ベイゾーン」、湾岸地区は、2020年東京オリンピック開催をきっかけに、新たに競技場や選手村を建設したり、既存の施設を改修したりするなどなど、開発・整備を進め、“レガシー”(未来への遺産)にしたいとしているが、膨れ上がった施設整備費で、建設中止や整備計画見直しで、“頓挫”寸前だ。
 それにしても東京五輪の「招致ファイル」は一体、なんだったのだろうか?
舛添要一東京都知事は、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」と述べている。
 結局、杜撰な招致計画のツケを負担させられるのは国民である。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック、あと2年、“混迷”はまだ収まりそうもない。

東京オリンピックの“レガシー”(未来への遺産)は?
 1964年の東京オリンピックの“レガシー”は、「東海道新幹線」、「首都高速道路」、「地下鉄日比谷線」、そして「カラーTV」だったと言われている。東京オリンピックをきっかけに、日本は「戦後復興」から、「高度成長期」に入り、そして「経済大国」を登りつめていく。そして「公害と環境破壊」、「バブル崩壊」。
“レガシー“”(未来への遺産)は“有形”のものだけでなく“無形”のものも求められている。
 日本では、「高度成長」の名残りだろうか、ビック・プロジェクトというといまだに“箱モノ”至上主義の神話から脱却できないでいる。競技場や選手村の建設や交通基盤の整備などの必要性については、勿論、理解できる。
 しかし、膨れ上がった開催経費への危機感から、施設整備やインフラ整備は徹底した見直しが必須の状況で、このままでは東京五輪は“破産”する懸念が生まれている。壮大な競技場を建設して、“国威発揚”を図る発想は、“時代錯誤”なのは明白だろう。大会が開催されるのは、オリンピックで17日間、パラリンピックで13日間、合わせてもわずか30日間に過ぎない。五輪開催後のことを念頭に置かない施設整備やインフラ整備計画はあまりにも無責任である。
日本は、これから少子高齢化社会がさらに加速する。2040年には総人口の36・1%が65歳以上の超高齢者社会、2048年には1億人を割って9913万人となると予測されている。五輪開催で整備される膨大な競技施設は果たして次世代に必要なのだろうか?
 2020年東京オリンピックの“レガシー”(未来への遺産)は、“無形”の“レガシー”や“草の根”の“レガシー”をどう構築するかに重点を置いたらと考える。
 今年2月策定された基本計画では、「オリンピック・パラリンピックの価値や日本的価値観の発信」の項目には、“アクションの例”として、「『和をもって尊しとなす』や『おもてなしの心』など日本的価値観の大会への反映」をあげている。
 こうした価値観を、どのように大会に“反映”させるのだろうか? 言葉だけのスローガンにして欲しくないポイントだ。
 “超高齢化社会”を前提にするなら、壮大な競技施設を建設より、一般市民が利用するプールやグランドなどのスポーツ施設を充実させる方が、次世代にはよほど有益で、“レガシー”になるだろう。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、“レガシー“”(未来への遺産)として、我々は次の世代に何が残せるのだろうか?




ロンドン五輪 東京五輪への教訓 ~周到に準備されたロンドン五輪レガシー戦略~~






国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2016年10月7日 2018年10月20日改



Copyright (C) 2018 IMSSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
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コメント

五輪経費隠し 1725億円 反論 レガシー経費 五輪開催経費に含めるべきだ

2018年11月09日 06時45分03秒 | 東京オリンピック

「1725億円」は五輪経費隠し 検証・国の会計検査院への反論
青天井体質に歯止めがかからない! 



出典 新国立整備スケジュール 2018年10月12日 JCS


筆者撮影  2018年10月31日


出典 新国立整備スケジュール 2018年9月18日 JCS


出典 新国立整備スケジュール 2018年9月18日 JCS



 11月30日、桜田義孝五輪担当相は、2020東京五輪大会に、国が2013~2017年の5年間に支出した経費は53事業で「1725億円」とする調査結果を公表した。会計検査院の「8011億円」という指摘に対し、内閣官房が精査して反論したものである。
 しかし、国は「五輪開催経費」をまったく理解していない。いや理解していながら、世論の反発を避けるために、膨れ上がった「五輪開催経費」をなるべく低く見せるための「偽装」をしていると言ってもよいと思える。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、「五輪開催経費」を、大会開催に直接関わる一過性の「大会開催経費」と大会開催後も持続的に社会の発展に寄与する「レガシー経費」に分けて、「大会開催経費」のみ「五輪開催経費」とするとしている。
 「大会開催経費」は、もっぱら大会開催時に必要とされる一過性の経費で、競技施設では、大会後には取り壊される仮設施設やオーバーレイ、会場の警備費、シャトルバス運行などの輸送費、大会運営費などである。一方、恒久施設の競技場建設費や周辺整備費、道路などのインフラ整備費などの五輪関連経費は「レガシー経費」としている。
 ところが、国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪大会の開催を一過性のものとせず、持続的に社会の発展に寄与する「レガシー」を残すことを義務付けている。
 ここ数年、巨額に膨れ上がった五輪開催経費の負担に開催地の住民が反発し、相次いで開催都市に立候補しようとしていた準備を進めていた都市が辞退に追い込まれている。
 国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織員会は、巨額に膨れ上がった五輪開催費への世論の反発を避けるために、五輪開催経費を抑制するとともに、なるべく低額に見せる必要があった。
 その便法として、「大会開催経費」と「レガシー経費」を分離させ、「大会開催経費」を「五輪開催経費」としていると考えるべきだ。一方で「レガシー」を残すことを義務付けているのはまったく論理矛盾だろう。
 2020東京五輪大会の開催経費と検証するにあたって、「大会開催経費」も「レガシー経費」も「五輪開催経費」とすべきである。国民が知りたいのは、一体、五輪大会開催の「五輪開催経費」は総額でいくらになり、何に使われるかである。
 「レガシー経費」は、極めて広範囲に渡る事業が含まれるので、「五輪便乗の無駄遣い」がないかどうかを厳しくチェックする必要がある。
 また、「五輪開催経費」をなるべく低く抑えるために、本来は「五輪開催経費」に該当するのに、一般行政経費として処理する「五輪経費隠し」も監視しなければならない。
 「五輪経費隠し」、「無駄遣い」、「五輪便乗」、国民の信頼感を失わないために、五輪予算の全体像を明らかにすることが必須である。
 2020東京五輪大会のスローガンは、““DISCOVER TOMORROW”、大会ビジョンの3つのコンセプトは、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」である。そして「2020年は市場最もイノベーティブで、世界にポジティブな変革をもたらす大会」を目指すとしている。
 
 「3兆円」のレガシーをどう実現してくれるのだろうか。次世代の日本のために、五輪大会開催を「負の遺産」にしてはならない。

東京五輪開催経費「3兆円超」へ 国が8011億円支出 組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘
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登場したオリンピックの“レガシー(Legacy)”
 国際オリンピック員会(IOC)は、オリンピック競技大会を開催するにあっって、“Legacy”という理念を強調し、IOCの使命と役割として、「オリンピック競技大会の“遺産”を、開催都市ならびに開催国に残すことを推進すること」(To promote a positive legacy from the Olympic Games to the host cities and countries)を「オリンピック憲章」の中で掲げている。
 この“Legacy”(レガシー)という言葉は、オリンピック100年にあたる2002年に定められた「オリンピック憲章」に新たに登場した。
  「レガシー」とは、オリンピック競技大会を開催することによって、単にスポーツの分野だけでなく、社会の様々な分野に、“有形”あるいは“無形”の“未来への遺産”を積極的に残し、それを発展させて、社会全体の活性化に貢献しようとするものである。開催都市や開催国にとって、大会開催が意義あるものにすることがオリンピックの使命だとしているのである。
 その背景には、毎回、肥大化する開催規模や商業主義への批判、開催都市の巨額の経費負担、さらにたびたび起きる不祥事などへの批判などで、オリンピックの意味が問い直され始めたという深刻な危機感があった。
 その反省から、IOCは、開催都市に対して、単に競技大会を開催し成功することだけが目的ではなく、オリンピックの開催によって、次の世代に何を残すか、何が残せるか、という理念と戦略を強く求めこととした。
 そして、国際オリンピック委員会(IOC)は、「2013 OLYMPIC LRGACY」を採択して、開催都市に対して、レガシー(Legacy)を重視する開催準備計画を定めることを義務付けた。
 
五輪改革、「アジェンダ2020」
 2013年、リオデジャネイロで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ロゲ前会長と交代したバッハ会長は、オリンピックの肥大化の歯止めや開催費用の削減に取り組み、翌年の2014年の「アジェンダ2020」を策定する。
 「アジェンダ2020」は、合計40の提案を掲げた中長期改革である。
 そのポイントは以下の通りだ。
* 開催費用を削減して運営の柔軟性を高める
* 既存の施設を最大限活用する
* 一時的(仮設)会場活用を促進する
* 開催都市以外、さらに例外的な場合は開催国以外で競技を行うことを認める
* 開催都市に複数の追加種目を認める 
 そして2020東京大会を「アジェンダ2020」を最初に適用する大会と位置付けた。
 バッハ会長のオリンピックの生き残りをかけての五輪改革である。

大会開催基本計画で示されたアクション&レガシープランの基本理念
 2015年1月23日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会(森喜朗会長)は、東京都内で理事会を開き、大会開催基本計画案を承認した。
 基本計画では、開催開催のスローガンとして““DISCOVER TOMORROW”を掲げ、大会ビジョンの3つのコンセプトして、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」を示し、「アクション&レガシー」の基本理念を明らかにした。そして「2020年は市場最もイノベーティブで、世界にポジティブな変革をもたらす大会」を目指すとした。
 この基本理念に基づいて、(1)スポーツ・健康(2)街づくり・持続可能性(3)文化・教育(4)経済・テクノロジー(5)復興・オールジャパン・世界への発信-を5つの柱とし、地域スポーツの活性化やスマートエネルギーの導入、東日本大震災の復興状況の世界への発信などに取り組むとし、アクションプランのロードマップも明らかにした。
 16年リオデジャネイロ五輪開幕前に具体的な行動計画をとりまとめとしている。またパラリンピックを2度開催する初の都市となることから、武藤敏郎事務総長は「共生社会、多様性と調和を大会ビジョンに入れているので、重視したい」と話した。

アクション&レガシープラン2016を公表
 リオデジャネイロ五輪の直前の2016年7月、大会組織委員会では、「5本の柱」に基づいて、2016 年から2020 年までの具体的なアクションプラン、「アクション&レガシープラン2016」を策定した。IOC総会で採択された「アジェンダ2020」の趣旨も具体的に大会運営に反映させ、東京2020大会を「アジェンダ2020」によるオリンピック改革のスタートの年にするとしている。
 このプランは、2020年まで毎年夏を目処に更新しながら「アクション」を実施し、2020東京大会終了後、「アクション&レガシーレポート」をまとめるとしている。

 「アクション&レガシープラン」のキャッチフレーズは「東京 2020 大会に参画しよう。そして、未来につなげよう」で 、2020東京大会は「東京を中心に開催」される、 「スポーツの祭典」で、大会そのものは、①分野的、② 地域的、③時間的に限られたイベントだが、これを単なる一過性 のイベントとするのではなく、できるだけ多くの人が参画し、多く の分野で東京 2020 大会がきっかけとなって変わったと言われる ような、広がりのある大会としたいしている。
 そして具体的には、 スポーツだけでなく、文化・教育、経済・テクノロジーなど様々 な分野と連携し、 東京だけでなく、オールジャパン、そしてアジア・世界に ポジティブな影響を与えたいとしている。 こうした取組はリオ 大会後の 2016 年の秋から開始して、大会後の2020 年以降にもつなげるとしている。
 2020東京大会のレガシーは、スポーツだけでなく「文化・教育、経済・テクノロジーなど様々 な分野」をターゲットにし、一過性のものではなく持続的に次世代につなげていくことを目指しているのである。
 「アクション&レガシープラン」を実現するためには、国を始め、東京都や地方自治体、企業、組織などに経費負担が発生する。その中核となる国は、巨額の「レガシー経費」を予算化することが必須となる。「レガシー経費」は「五輪開催経費」なのである。


アクション&レガシープランの推進体制 国は「各分野のアクションを推進」する義務を負っている 推進予算は大会開催のレガシー実現のための「五輪開催経費」












アクション&レガシープラン 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

五輪大会開催経費 「1725億円」 国、会計検査院に反論
 11月30日、桜田義孝五輪担当相は、2020東京五輪大会に、国が2013~2017年の5年間に支出した経費は53事業で「1725億円」とする調査結果を公表した。会計検査院の「8011億円」という指摘に対し、内閣官房が精査した。
 桜田氏は、五輪関係の経費とそれ以外の経費の線引きを明確に示したと説明し、「透明性を確保し、国民の理解を得るために今後も支出段階で集計、公表していく」と述べた。
 2020東京五輪大会に開催経費については、2017年12月22日、大会会組織委員会は、総額「1兆3500億円で、東京都が「6000億円」、大会組織委員会が「6000億円」、国が「1500億円」を負担するとした。
 これに対し、11月4日、会計検査院は「1500億円」を大幅に上回る「8011億円」が、すでにこの5年間で支出されたとの指摘を国会に報告し、政府に経費の全体像を分かりやすく示すよう求めた。

 東京都は、すでに「8000億円」の他に、五輪関連経費として「8100億円」を投入することを明らかにしていて、会計検査院の指摘の「8011億円」や、今後支出する経費も加えて試算すると、「3兆円」に膨れあがることが明らかになった。
 
 内閣官房では、大会に関連すると指摘された計8011億円の286事業について、(1)選手への支援など「大会の準備、運営に特に資する事業」(1725億円)(2)気象衛星の打ち上げなど「本来の行政目的のために実施する事業」(826億円)(3)道路整備など「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」(5461億円)の三つに分類し、五輪大会開催のための国の支出は(1)の「1725億円」だとした。

(1) には、新国立競技場の整備費の国の負担分(744億円)やパラリンピックの準備費(300億円)が、(2)は気象衛星の打ち上げ関連費用(371億円)など29事業、826億円が含まれている。
 (3)は首都高速などの道路整備費(1390億円)、水素社会実現のための燃料電池自動車などの購入補助費(569億円)など208事業で合わせて5461億円と大半を占めている。
 このほか、会計検査院が指摘した8011億円に含まれていないが、大会に直接関連する事業として国立代々木競技場など5施設の整備や改修のための国庫補助金を直近5年間で約34億円支出したと明らかにした。

「レガシー経費」は「五輪開催経費」
 国際オリンピック委員会(IOC)は、開催都市に対して、単に競技大会を開催し成功することだけが目的ではなく、オリンピックの開催によって、次の世代に何を残すか、何が残せるか、という理念と戦略を強く求め、開催都市に対して、レガシー(Legacy)を重視する開催準備計画を定めることを義務付けている。
 レガシーを実現する経費、「レガシー経費」は、開催都市に課せられた「五輪開催経費」とするのが当然だ。
 五輪大会は、一過性のイベントではなく、持続可能なレガシー(Legacy)を残さなければならないことが開催地に義務付けられていることを忘れてはならない。
 気象衛星の打ち上げ関連費用も首都高速などの道路整備費も水素社会実現のための燃料電池自動車などの購入補助費も、ICT化促進や先端ロボット、自動走行技術開発、外国人旅行者の訪日促進事業、日本文化の魅力発信、アスリート強化費、暑さ対策、バリアフリー対策、被災地の復興・地域活性化事業、すべて2020東京大会のレガシーとして次世代に残すための施策で、明らかに「レガシー予算」で「五輪開催予算」だ。
 とりわけ「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」は「五輪開催経費」から除外したが、事業内容を見るとすべて「レガシー経費」に含まれるのは明らかだ。

 新国立競技場の建設費を「五輪開催経費」に含めて、「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」は五輪開催経費が除外する姿勢はまったく論理矛盾である。
 新国立競技場は、大会開催時は、開会式、閉会式、陸上競技の会場として使用されるが、その期間はわずか2週間ほどである。しかし、新国立競技場は大会開催後、50年、100年、都心中心部のスポーツの拠点にする「レガシー」として整備するのではないか。 
 国の仕分けに基づけば、まさに「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」の事業、「レガシー経費」の範疇であろう。ところが新国立競技場の経費だけは「大会の準備、運営に特に資する事業」に分類し、「五輪開催経費」だとしている。国の仕分けはまったく整合性に欠け、ご都合主義で分類をしたとしか思えない。単に五輪大会への関与の濃淡で、仕分けすべきではない。「レガシー経費」をまったく理解していない姿勢には唖然とする。
 東京都が建設するオリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナ、海の森水上競技場なども同様で、「レガシー経費」である。

 通常の予算では通りにくい事業を、五輪を「錦の御旗」にして「五輪開催経費」として予算を通し、膨れ上がる開催経費に批判が出ると、その事業は五輪関連ではなく、一般の行政経費だとする国の省庁の姿勢には強い不信感を抱く。これでは五輪開催経費「隠し」と言われても反論できないだろう。
 2020東京大会のレガシーにする自信がある事業は、正々堂々と「五輪開催経費」として国民に明らかにすべきだ。その事業が妥当かどうかは国民が判断すれば良い。
 東京都が五輪開催経費を「6000億円」のほかに、「大会に関連する経費」として、バリアフリー化や多言語化、ボランティアの育成、「大会の成功を支える経費」として無電柱化などの都市インフラ整備や観光振興などの経費、「8100億円」を支出することをすでに明らかにしている。国の姿勢に比べてはるかに明快である。

 「3兆円」、かつて、都政改革本部が試算した2020東京オリンピック・パラリンピックの開催費用の総額だ。今回の会計検査院の指摘で、やっぱり「3兆円」か、というのが筆者の実感だ。
 いまだに「五輪開催経費」の“青天井体質”に歯止めがかからない。
 開催1年前の2019年度には、国の五輪開催予算がピークに達すると思われる。
  

「3兆円」は「モッタイナイ」!
 「3兆円」、都政改革本部が試算した2020東京オリンピック・パラリンピックの開催費用だ。これまでオリンピックを取り巻く最大の問題、“肥大化批判”にほとんど向きあわないないままで、開催準備を進めてきたツケが表面化したのである。
 2020東京大会の開催にあたって最も重要なポイントは、次の世代を視野にいれた持続可能な“コンパクト”なオリンピックを実現することである。
 「アジェンダ2020」はどこへいったのか。国際オリンピック委員会(IOC)は、2020東京大会を「アジェンダ2020」の下で開催する最初のオリンピックとするとしていたのではないか。 招致委員会が世界に宣言した「世界一コンパクな大会」はどこへいったのか。
 開催費用を徹底的削減して次世代の遺産になるレガシーだけを整備すべきだ。今の日本に世界が目を見張る壮大な競技施設は不要だし、“見栄”もいらない。真の意味で“コンパクト”な大会を目指し、今後のオリンピックの手本を率先して示すべきだ。
 日本は超少子高齢化社会が突入する。1964年の東京五輪とは“時代”が違う。その“時代認識”を踏まえた東京オリンピック・パラリンピックでなければならない。
 「3兆円」は「モッタイナイ」!





東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!

「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園
江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念
北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念“世界一コンパクト” 競技会場の全貌
東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念“世界一コンパクト” 「3兆円」!の衝撃
四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
主導権争い激化 2020年東京五輪大会 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか





国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




2018年11月8日
Copyright (C) 2018 IMSSR





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント

東京オリンピック 開催費用 小池都知事 開催経費 負の遺産 負のレガシー

2018年11月08日 10時31分30秒 | 東京オリンピック

“もったいない”五輪開催費用「3兆円」
青天井体質に歯止めがかからない!
どこへ行った「世界一コンパクトな大会」


★ 最新記事 東京五輪開催経費「3兆円超」へ 国が「8011億円」支出 組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘

★ 最新記事 「1725億円」は五輪開催経費隠し 検証・国の会計検査院への反論 青天井体質に歯止めがかからない



東京都 五輪関連経費 8100億円計上 開催経費総額は2兆円超
 2018年1月、東京都は新たに約8100億円を、「大会関連経費」として計上すると発表した。これまで公表していた「大会経費」の1兆3500億円、これで五輪開催経費は総額で約2兆1600億円に達することが明らかになった。
 「大会関連経費」の内訳は、バリアフリー化、や多⾔語化、各種ボランティアの育成・活⽤、教育・⽂化プログラムなどや都市インフラの整備(無電柱化等)、観光振興、東京・⽇本の魅⼒発信などである。
 問題は、膨張した五輪開催経費を削減するためのこれまでの東京都、国、組織委員会の取り組みが一瞬にして消え去ったことである。“コンパクトな五輪”の約束は一体、どこにいったのだろうか。
 未だに明らかにされていない国の“五輪開催経費”も含めると3兆円は優に超えることは必至だろう。
 依然として五輪開催経費の“青天井体質”に歯止めがかからない。



五輪開催経費 1兆3500億円 350億円削減 組織委
 2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は12月22日、大会経費について、今年5月に国や東京都などと合意した経費総額から更に350億円削減し、1兆3500億円(予備費を含めると最大で1兆6500億円)とする新たな試算(V2)を発表した。
 施設整備費やテクノロジー費など会場関係費用については仮設会場の客席数を減らしたり、テントやプレハブなど仮設施設の資材については海外からも含めて幅広く見積もりを取り、資材単価を見直したりして250億円を削減して8100億円とし、輸送やセキュリティーなどの大会関係費用については100億円削減して5400億円とした。
 開催経費の負担額は東京都と組織委が6000億円、国が1500億円でV1と同様とした。
 2016年末のV1予算では1兆5000億円(予備費を含めると最大で1兆8000億円)としたが、IOC調整委員会のコーツ委員長は10億ドル(約1100億円)の圧縮を求めており、組織委の武藤敏郎事務総長はV3ではさらに削減に努める考えを示した。



東京都の五輪施設整備費 1828億円 413億円削減
 2017年11月6日、東京都は新たに建設する8つ競技会場の整備費は合計1828億円で、これまでの2241億円から413億円削減すると公表した。

 五輪施設整備費は、五輪招致後の策定された当初計画では4584億円だったが、2014年11月、舛添元都知事が経費削減乗り出し、夢の島ユース・プラザ゙・アリーナA/Bや若洲オリンピックマリーナの建設を中止するなど2241億円に大幅に削減した。
 2016年夏、小池新都知事は、五輪施設整備費の「見直し」に再び乗り出し、「オリンピック アクアティクスセンター」(水泳)、「海の森競技場」(ボート/カヌー)、「有明アリーナ」(バレーボール)の3競技場は、合計2125億円の巨費が投じられるとして再検討に取り組んだ。とりわけ「海の森競技場」は、巨額の建設費に世論から厳しい批判を浴び、「見直し」対象の象徴となった。
 小池都知事は都政改革本部に調査チーム(座長上山信一慶応大学教授)を設置し、開催計画の“徹底”検証を進め、開催費総額は「3兆円を超える可能性」とし、歯止めがなく膨張する開催費に警鐘を鳴らした。そして3競技場の「見直し」を巡って、五輪組織員会の森会長と激しい“つばぜり合い”が始まる。
 一方、2020年東京大会の開催経費膨張と東京都と組織委員会の対立に危機感を抱いた国際オリンピック委員会(IOC)は、2016年末に、東京都、国、組織委員会、IOCで構成する「4者協議」を開催し、調停に乗り出した。
 「4者協議」の狙いは、肥大化する開催経費に歯止めをかけることで、組織委員会が開催経費の総額を「2兆円程度」としたが、IOCはこれを認めず削減を求め、「1兆8000億円」とすることで合意した。しかし、IOCは“更なる削減”を組織委員会に強く求めた。
 小池都知事は、結局、焦点の海の森競技場は建設計画は大幅に見直して建設することし、水泳、バレーボール競技場も見直しを行った上で整備することを明らかにし、「アクアティクスセンター」(水泳)は、514~529億円、「海の森水上競技場」(ボート/カヌー)は 298億円、「有明アリーナ」(バレーボール)は339億円、計1160億円程度で整備するとした。

 今回、公表された整備計画では、小池都知事が見直しを主導した水泳、バレーボール、ボート・カヌーの3競技会場の整備費は計1232億円となり、「4者協議」で公表した案より約70億円増えた。
 「アクアティクスセンター」では、着工後に見つかった敷地地下の汚染土の処理費38億円、「有明アリーナ」では、障害者らの利便性を高めるためエレベーターなどを増設、3競技場では太陽光発電などの環境対策の設備費25億円が追加されたのが増加した要因である。
 一方、経費削減の努力も見られた。
 「有明テニスの森」では、一部の客席を仮設にして34億円を減らしたり、代々木公園付近の歩道橋新設を中止したりして23億円を削減した。
 この結果、計413億円の削減を行い、8つ競技会場の整備費は合計1828億円となった。
 五輪大会の競技場整備費は、当初計画では4584億円、舛添元都知事の「見直し」で2241億円、そして今回公表された計画では1828億円と大幅に削減された。

 新たな競技場の整備費が相当程度削減されたことについては評価したい。
 しかし最大の問題は、“五輪開催後”の利用計画にまだ疑念が残されていることである。
 海の森競技場では、ボート/カヌー競技大会の開催は果たしてどの位あるのだろうか。イベント開催を目指すとしているが成果を上げられるのだろうか。
 「アクアティクスセンター」は、すぐ隣に「辰巳国際水泳場」に同種の施設があり過剰な施設をどう有効に利用していくのか疑念が残る。
 さらに8つの競技場の保守・運営費や修繕費などの維持費の負担も、今後、40年、50年、重荷となってのしかかるのは明らかである。
 小池都知事は、膨張する五輪開催経費を「もったいない」とコメントした。
 8つの競技会場を“負のレガシー”(負の遺産)にしないという重い課題が東京都に課せられている。







開催経費「1兆3850億円」 都・国・組織委・関係自治体で費用負担大枠合意

組織委、6000億円、国、1500億円、都、6000億円
 2017年5月31日、2020年東京五輪大会の開催経費について、東京都、国、大会組織委員会、それに都外に会場がある7道県4政令市の開催自治体(「関係自治体」)は連絡協議会を開き、総額「1兆3850億円」の費用分担の大枠で合意した。
 組織委員会が6000億円、国が1500億円、東京都が6000億円としている。残りの350億円については、誰が負担するのかは、結論を先送りした。
 都外の会場の「仮設経費」は「立候補ファイル」通りに、全額東京都が負担することにした。
 しかし、東京都が「350億円」と試算した「警備、医療、輸送など開催に必要な事項」の開催関連経費については、東京都は「開催自治体」に負担を求めたが、積算根拠が不明朗で受け入れられないなどと反発が相次いで、調整がつかず、今後、整理・精査した上で、再協議をするとした。
 立候補ファイルでは、「関係自治体」は「警備や医療サービス、会場への輸送など大会開催に必要な事項を実施する」と記載されている。今回の協議会ではその負担原則を確認したが、合意の中に各自治体の具体的な負担額を盛り込むことはできなかった。
また都外の会場使用に伴う営業補償や移転補償については、都が負担し、国も補助金などの措置で「関連自治体」の負担分の軽減を検討するとした。

 協議会では、今後の経費負担のルールを確認するために「経費分担に関する基本的な方向」が了承された。
▼ 東京都
(1)会場関係費 都内・都外の仮設施設、エネルギーとテクノロジーのインフラ費、賃貸料 
(2)都内会場周辺の輸送、セキュリティ経費 
(3)パリンピックの4分の1の経費
(4)都所有の恒久施設整備費や既存施設の改修費。
▼ 組織委員会
(1)会場関係費 オーバーレイ 民間や国(JSCを含む)所有施設の仮設費
(2)エネルギーとテクノロジーのインフラ費、賃貸料
(3)大会関係費 輸送、セキュリティ、オペレーション日
(4)パリンピックの2分の1の経費 
▼ 国
(1)パリンピックの4分の1の経費 
(2)セキュリティ対策費、ドーピング対策費
(3)新国立競技場の整備費
▼ 関係自治体
(1)輸送、セキュリティ対策費
(2)関係自治体が所有する恒久施設の改修費

 東京都の小池百合子知事は「地は固まった」と評価した。
 丸川珠代五輪担当相は「地方がオールジャパンで進めていることを実感できるように国も支援したい」と述べ、補助金の活用などを検討する考えを示した。
 また、4者で仮設整備の発注などを一括で管理する「共同実施事業管理委員会」(仮称)を設置することでも合意した。

小池都知事 「1000億円」削減を強調  実質は最大「1兆6850億円」
 今回明らかになった2020東京大会の開催経費の総額は、「1兆3850億円」である。2016年12月、組織委員会が四者協議で明らかにした開催経費(V1)では「1兆5000億円」、それに予備費を1000億~3000億円とし、「1兆6000億円~1兆8000億円」とした。
 実は「1兆3850億円」も、予備費を1000億~3000億円を加えると、最大「1兆6850億円」となる。
小池都知事は「1000億円を超える額の圧縮」と強調し、負担軽減につなげたとしている。しかし、圧縮経費の詳細については、会場使用期間短縮による賃借料の縮減などを挙げたが、詳細な説明は避けた。
小池都知事にとって、五輪開催予算の圧縮は、豊洲市場問題と並んで最重要課題である。

“青天井”? 五輪開催経費 どこへ行った「世界一コンパクトな大会」
 2020東京五輪大会の開催経費については、「1兆3850億円」では、到底、収まらないと思われる。
国が負担するセキュリティーやドーピング対策費は「1兆3850億円」には含まれてはいない。経費が膨張するのは必至とされているが、見通しもまったく示されていない。唖然とするような高額の経費が示される懸念はないのだろうか。
また今後、計画を詰めるに従って、輸送費や交通対策費、周辺整備費、要員費等は膨れ上がる可能性がある。
 「予備費3000億円」はあっという間に、使い果たす懸念がある。
組織委員会の収入も、2016年12月の試算から1000億円増で「6000億円」を目論んでいるが、本当に確保できるのであろうか。
 五輪関係経費は、国は各関連省庁の政府予算に振り分ける。各省庁のさまざまな予算項目に潜り込むため、国民の眼からは見えにくくなる。大会経費の本当の総額はさらに不透明となる。東京都の五輪関係経費も同様であろう。
また大会開催関連経費、周辺整備費、交通対策費などは、通常のインフラ整備費として計上し、五輪関連経費の項目から除外し、総額を低く見せる“操作”が横行するだろう。
 あと3年、2020東京五輪大会に、一体、どんな経費が、いくら投入されるのか監視を続けなければならいない。ビックプロジェクトの経費は、“大会成功”という大義名分が先行して、“青天井”になることが往々にして起きる。
新国立競技場整備費を巡っての迷走を忘れてはならない。
 2020東京大会のキャッチフレーズ、“世界一コンパクな大会”の開催理念はどこへ行ったのか。



第2回2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた関係自治体等連絡協議会の資料




4者協議トップ級会合 コーツIOC副会長はシドニーからテレビ電話で参加 2016年12月21日 Tokyo 2020 / Shugo TAKEMI


東京五輪の経費 最大1兆8000億円
 2016年12月21日、東京都、組織委員会、政府、国際オリンピック委員会(IOC)の4者協議のトップ級会合が開かれ、組織委員会が大会全体の経費について、最大1兆8000億円になると説明しました。組織委員会が大会全体の経費を示したのは今回が初めてである。
会議には、テレビ会議システムを使用され、コーツIOC副会長がシドニーで、クリストフ・デュビ五輪統括部長がジュネーブで参加した。
 冒頭に、小池都知事が、先月の会議で結論が先送りされたバレーボールの会場について、当初の計画どおり「有明アリーナ」の新設を決めとした。「有明アリーナ」は、五輪開催後はスポーツ・音楽などのイベント会場、展示場として活用すると共に、有明地区に商業施設やスポーツ施設も整備し、地区内に建設される「有明体操競技場」も加えて、、“ARIAKE LEGACY AREA”と名付けた複合再開発を推進して五輪のレガシーしたいと報告し了承された。
 「有明アリーナ」の整備費は約404億円を約339億円に圧縮し、東京都、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入して、民間資金を活用する。競技場見直しを巡る経緯について、小池都知事は「あっちだ、こっちだと言って、時間を浪費したとも思っていない」と述べた。
 これに対して、コーツIOC副会長は「協議を通して3つの会場に関して予算が削減できたし、有明アリーナの周りのレガシープランについても意見が一致した。こうした進展を喜ばしく思っている」と称賛した。



 一方、組織委員会は大会全体の経費について、1兆6000億円から1兆8000億円となる試算をまとめたことを報告し、組織委員会が5000億円、組織委員会以外が最大1兆3000億円を負担する案を明らかにした。
小池都知事は「IOCが示していたコスト縮減が十分に反映されたものということで、大事な「通過点」に至ったと認識している」と述べた。
これに対して森組織委会長は「小池都知事は『通過点』と行ったが、むしろ『出発点』だと思っている。今回の件に一番感心を持っているのは、近県の知事の皆さんである」とした。
一方、コーツIOC副会長は、「1兆8000億円にまで削減することができて、うれしく思っている。IOC、東京都、組織委員会、政府の4者はこれからも協力してさらなる経費削減に努めて欲しい」と「1兆8000億円」の開催予算を評価した。
 また開催経費分担について、小池都知事は、「コストシェアリングというのは極めてインターナルというかドメスティックな話なので、この点については、4者ではなく3者でもって協議を積み重ねていくことが必要だ」とし、「東京都がリーダーシップをとって、各地域でどのような形で分担ができるのか、早期に検討を行っていきたい」と述べ、年明けにも都と組織委員会、国の3者による協議を開き、検討を進める考えを示した。







開催経費「1兆8千億円」は納得できるか? 
 12月21日開催された4者協議で、武藤事務総長は「組織委員会の予算が、膨れ上がったのではないかいという報道があったが、そのようなものではない。ただ今申し上げた通り、IOCと協議をしつつ、立候補ファイルでは盛り込まれてはいなかった経費(輸送費やセキュリティ費)を計上して今回初めて全体像を示したものだ」と胸を張った。
 “膨れ上がってはいない”と責任回避をする認識を示す組織委員会に、さらに“信頼感を喪失した。
 東京大会の開催経費は、立候補ファイル(2012年)では、「大会組織予算」(組織委員会予算)と「非大会組織予算」(「その他」予算)の合計で7340億円(2012年価格)、8299億円(2020年価格)とした。これが、最大「1兆8千億円」、約2.25倍に膨れ上がったのは明白だ。組織委員会は“膨れ上がった”ことを認めて、その原因を説明する義務がある。
 さらに最大の問題は「1兆8千億円」の開催経費の総額が妥当かどうかである。
 海の森水上競技場の整備費の経緯を見ると大会準備体制のガバナンスの“お粗末さ”が明快にわかる。
 招致段階では、「約69億円」、準備段階の見直しで「約1038億円」、世論から強い批判を浴びると、約半分の「491億円」に縮減、小池都知事の誕生し、長沼ボート場への変更案を掲げると、「300億円台」、最終的に「仮設レベル」なら「298億円」で決着した。
 やはり東京五輪大会の運営組織のガバナンスの欠如が露呈している。
 海の森水上競技場以外に、同様に“杜撰”に処理されている案件が随所にある懸念が生まれる。「1兆8千億円」の開催経費の中に、縮減可能な経費が潜り込んでいると見るのが適切だろう。組織委員会の予算管理に対する“信用”は失墜している。
 「1兆8千億円」の徹底した精査と検証が必須でだ。
 「1兆8千億円」という総額は明らかにしたが、その詳細な内訳については、公表していない。「1兆8千億円」が妥当な経費総額なのかどうか、このままでは検証できない。まず詳細な経費内訳を公表する必要があるだろう。
 その上で、東京都、国、開催自治体の間で、誰が、いくら負担するかの議論をすべきだ。

「開催費用 1兆8千億円」だったら東京五輪招致を世論は支持した?
 組織委員会は「開催経費は決して膨れ上がっていない」と胸を張っているが、当時想定できなかった経費がその後加わったのか、想定はしていたが大会開催経費をなるべく少なく見せるために意識的に加えなかったのかはよく分からない。しかし、森喜朗会長自らTBSのニュース番組(2016年5月16日)に出演し、当初の大会予算について「最初から計画に無理があったんです。「3000億でできるはずないんですよ」と述べていた。
 舛添前都知事も「舛添要一東京都知事は、「『目の子勘定』で(予算を作り)、『まさか来る』とは思わなかったが『本当に来てしまった』という感じ」とした上で、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」とテレビ番組に出演して話している。
 あっさり「1兆8000億円」と言ってもらいたくない。
 開催費用を巡ってはまさに“無責任体制”のまま進められていたのである。
 2020東京五輪大会に立候補する際に、「開催費用 1兆8千億円」としたら、都民や国民は招致を支持しただろうか。招致の責任者の説明責任が問われてもやむを得ないだろう。

「組織委員会 5000億円」 “収支均衡”は“帳尻合わせ”の“まやかし”か?
 12月21日に開催された4者協議で、森組織委会長は「決して組織委員会のお金が5000億で、それより大きくなったので、その負担をなにか東京都と国に押し付けているのではないかいという報道がよくあるが、これはまったく違う」と述べた。
 組織委員会の提示した予算は、「組織委員会」が「5000億円」で「収支均衡予算」、東京都や国、開催自治体が「1兆3000億円」とした。
しかし、実態は、組織委員会の収入は「約5000億円」、収入から逆算して組織委員会の負担を「5000億円」に“調整”して、残りの「1兆3000億円」を、組織委員会以外の東京都、国、開催地方自治体の負担としたのであろう。なりふり構わず苦し紛れの“帳尻合わせ”予算と見るのが合理的である。
 組織委員会が負担すべき経費は、精査して積み上げたとしているが、どの経費を、いくらを合理的に積算したかは明らかでされていない。
その象徴が、仮設関連経費だ。予算書では、「組織委員会」が「800億円」、「その他」が「2000億円」としたが、どんな根拠で、どのように仕分けしたのか明らかにしていない。その他、「ソフト[大会関係]」の輸送、セキュリティ、テクノロジー、オペレーションも同様だ。「予備費」を全額「その他」に計上するのも、組織委員会の予算管理の責任を曖昧にすることにつながりかねない。
新国立競技場や海の森水上競技場、オリンピック アクアティクスセンター、有明アリーナなどの東京都が整備する恒久施設の経費は、すでに整備費が見直され、誰がどれだけ負担するか明らかになっている。同様のプロセスが必須だ。
 組織委員会の予算を、なにがなんでもなりふり構わず“均衡予算”にしないと、IOCの了解が得られなかったからであるからであろう。“みせかけ”の“均衡予算”になった。その“矛盾”は直ちに露呈するだろう。
 組織委員会が本来負担すべき経費を適正に積算して、総額がいくらなのかをまず明らかにするべきだろう。その上で、立候補ファイルの「3013億円」と比較して、経費が膨れ上った原因を明らかにすべきだ。
その上で、“帳尻”合わせの“操作”をしないで、“組織委員会の“赤字”は一体、どのくらいになるのかを明らかにし、責任の所在を明確にすることが必要だ。東京都や国、開催自治体に負担を要請するのはその後である。
 このままでは、組織委員会の開催予算管理の“杜撰”な体質が一向に改まらない懸念が大きい。

「1兆8000億円」の“仕分け”は妥当か
 そもそも「1兆8千億円」には、組織委員会が負担する経費ではなく、東京都や国が負担するのが当然と思われる経費も含まれている。立候補ファイル(2012年)でも、「大会組織予算」(組織委員会予算)と「非大会組織予算」(「その他」予算)に分けて開催予算を提示している。
 「警備費」は、「組織委員会」が「200億円」、「その他」が「1400億円」とした。 競技会場や選村、IBC/MPCなどの施設内の警備費は、組織委員会が負担するのは当然で、「200億円」は妥当な額なのだろうか疑問が残る。
 一方VIP関連、交通機関や主要道路、成田空港や羽田空港、さらに霞が関の政府機関、東京都庁や主要公共機関、電力・通信などの主要インフラ施設などの警備まで組織委員会の経費で負担させるのは合理性を欠く。また2020東京五輪の大きな課題であるサイバー攻撃対策の経費は国全体で取り組む必要があり、経費は国も応分の負担するのが適切だろう。
 伊勢志摩サミットでは国が約340億円の警備費を負担した。東京五輪大会の規模ともなるとこの数倍は楽に超えるだろう。国の負担も巨大になる。
 「輸送費」ついては、「組織委員会」が「100億円」、「その他」が「1300億円」としたが、選手や大会関係者のシャトルバス運行に伴う経費などは組織委員会が負担するのは当然だろう。地方開催の場合の選手や大会関係者の輸送も同様である。1300億円も組織委が負担すべきだ。
 しかし、VIPの選手や大会関係者の輸送に伴うオリンピック専用レーンの設置は、首都高速道路、湾岸道路などに広範囲に必須とされているが、約200億弱とされている通行制限に伴う高速道路会社への補てん費等は、東京都や国なども応分の負担するのは当然だろう。組織委員会と案分するのが筋である。
 「テクノロジー」や「オペレーション」については、それぞれ総額「1000億円」としたが、 内訳が示されていないため、経費総額の根拠が極めて曖昧になっている。
 「組織委員会」と「その他」の仕分けは、ほぼ折半とされているがこれも不明瞭だ。
 しかし今回は、「1000億円」は総額だけが記入されているまったく“白紙”同様の“請求書”を組織委員会が国、東京都に出したのである。これでは到底、納得することはできないだろう。
 「その他」の経費、「1150億円」は巨額だが内訳が明らかでない。精査する必要が必須である。
 また「3000億円」としている予備費を国や東京都などの「その他」に計上していることは納得できない。組織委員会の予算管理責任を曖昧にするからである。
 森組織委会長は「そして運営だとか場所の設定だとかその他もろもろのことがこれからある。改装の問題、エネルギーの問題、セキュリティの問題、いろいろある。セキュリティひとつにしてもどこが持つのか、やってみなければわからない。何が起きるのか不確定要素は多い。この東京大会は、特に夏だし、あるいは台風の多い時だ。何があるかこれからわからない。まだ3年、4年先の話だ」と述べている。
 自然災害や不測の事態が発生して、開催経費が膨れ上がり、予備費で補填するのはやむを得ないだろう。一方、組織委員会の予算管理を厳重に監視する必要がある。東京五輪大会の開催経費を巡る“混迷”を振り返ると、新国立競技場や海の森水上競技場など、その“青天井”体質への歯止めが必須だ。













開催費用の分担 “混迷”はさらに深刻化
 東京五輪大会開催経費の負担を巡っては、“混迷”を極めている。
 「あくまでも主催は東京都」(森組織委会長)、 「都と国の負担を注視する」(小池都知事)、「なぜ国でなければならないのか」(丸川珠代五輪担当相)、「開催経費は組織委員会が負担すべき」、互いを牽制(けんせい)する発言が飛びかい、費用負担を巡って険悪な雰囲気が立ち込めている。
12月26日、東京都以外で競技を開催する自治体の知事などが東京都を訪れ、関係する自治体のトップらが東京都の小池知事に対し、計画どおり組織委員会が全額負担するように要請した。
 これに対して、小池都知事は「年明けから関係自治体との連絡体制を強化する協議会を立ち上げる。東京都・国・組織委員会で協議を本格化させ費用分担の役割について年度内に大枠を決める」とした。
 2020東京大会では、東京都以外の競技会場が現時点で合わせて6つの道と県の13施設・15会場に及ぶ。
 その後、組織委員会を訪れ、森組織委会長と会談した。
 会議の冒頭、黒岩神奈川県知事が「費用負担は、立候補ファイルを確認して欲しい」と口火を切った。立候補ファイルには「恒久施設は自治体負担、仮設施設は組織委員会」と記載されている。
これに対して、森組織委会長は費用分担の話し合いが遅れたことを謝罪した上で、「小池さんが当選された翌日ここに挨拶に来られた。早くリオオリンピックが終わったら会議を始めて下さいとお願いした。待つこと何カ月、東京都が始めない、それが遅れた原因だ」とその責任は会場見直し問題を優先させた東京都にあるとした。
 さらに「(開催費用分担の原則を記載した)立候補ファイルは、明確に申し上げておきますが、私でも遠藤大臣でもなく東京都が作った。もちろん組織委員会さえなかったこれで組織委員会と怒られてもね。僕らがあの資料をつくったわけではないんです。私が(会長)になった時は、あれができていた」と述べた。
 サッカー競技の開催が決まっている村井宮城県知事に対しては、「村井さんの場合はサッカーのことでお見えになったんですよね。これは実は組織委員会ができる前に決まっていたんです。村井さんの立場はよく分かるけれども私どもに文句を言われるのはちょっと筋が違う」とした。
そしてボート・カヌー会場の見直しで宮城県の「長沼ボート場」が浮上した際に、村井氏が受け入れる姿勢を示したことにも触れ、「(長沼に決まっても)東京都がその分の費用を出せるはずがない。だからあなたに(当時)注意した」と牽制した。
 これに対して、村井宮城県知事は、「あの言い方ちょっと失礼な言い方ですね。組織委員会ができる前に決まったことは、僕は知らないというのは無責任な言い方ですね。オリンピックのためだけに使うものというのは当然でききますのでそれについては宮城県が負担するというのは筋が通らない」と反論した。
 12月21日の4者協議で、組織委員会、東京都、国の開催費用分担を巡って対立する雰囲気を感じ取ったコーツIOC副委員長は、組織委員会、東京都、国、開催自治体で「“経費責任分担のマトリクス”」を次の4者協議までに示して欲しい。これはクリティカルだ」と強調した。IOCからも東京五輪大会のガバナンスの“お粗末”さを、またまた印象づける結果となった。
 「準備が半年は遅れたのは東京都の責任」(森組織委会長)などと“無責任”な発言を繰り返しているようでは、東京五輪大会の“混迷”は一向に収まること知らない。

世界に“恥”をかいた東京五輪 “ガバナンス”の欠如
 2016年11月29日、国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者協議トップ級会合が、東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリントは計画通り海の森水上競技場を整備し、水泳はアクアティクスセンター(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して建設する方針を決めた。一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さず、12月のクリスマス前まで先送りすることになった。しかし横浜アリーナの活用案は、競技団体の有明アリーナ意向が強いとして、「かなり難しい」(林横浜市長)情勢だ。
 「大山鳴動鼠一匹」、「0勝3敗」、小池都知事の“見直し”に対してメディアの見出しが躍り始めた。しかし会場変更は手段であって目的はない。目的は“青天井”のままで膨れ上がり、“闇”に包まれたままの開催経費の削減と透明化だ。
 海の森水上競技場については、11月30日放送の報道ステーションに出演した小池都知事は、「仮設というと安っぽい響きがあるので、“スマート”に名前を変えたらどうか。名前を変えるだけで随分スマートになる」とし、20年程度使用する「仮設レベル」の“スマート”施設として、建設費298億円で整備することを明らかにした。これまでの計画では約491億円とされていたのが約200億円も圧縮されたのである。
 海の森水上競技場の整備問題は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの準備体制の“杜撰さ”を象徴している。唖然とする“お粗末”としか言いようがない。整備費の変遷を見るとその“杜撰さ”は明快だ。
 招致段階の「69億円」、見直し後の「1038億円」、舛添前都知事の見直しの「491億円」、「仮設レベル」最終案の「298億円」、その余りにも変わる整備費には“唖然”とする。「69億円」は“杜撰”を極めるし、「1038億円」をそのまま計画に上げた組織の良識を疑う。そして小池都知事が「長沼ボート場案」を掲げたら、一気に300億円台に削減されたのも“唖然”だ。やはり東京大会の運営組織のガバナンスの欠如が露呈している。海の森水上競技場以外にも同様に“杜撰”に処理されている案件が随所にある懸念が生まれる。事態は、予想以上に深刻だ。
 4者協議のトップ級会談で、組織委員会の武藤事務総長は“2兆円”を切る”と言明したが、コーツIOC副会長に「“2兆円“の上限だが、それも高い。節約の余地が残っている。2兆円よりずっと下でできる。IOCは、それははっきりさせたい」と明快に否定された。
 実は、“2兆円”の中で、新国立競技場や東京都が建設する競技場施設の整備費は20%弱程度で、大半は、組織委員会が予算管理する仮設施設やオーバーレイ、貸料、要員費などの大会運営費を始め、暴騰した警備費や輸送費などで占められているのである。IOCからはオーバーレイや施設の貸料が高すぎると指摘され、“2兆円”を大幅に削減した開催経費を年内にIOCに提出しなければならない。勿論、経費の内訳も明らかにするのは必須、都民や国民の理解を得るための条件だ。
 組織委員の収入は約5千億程度とされている。開催経費の残りの1兆円5000億円は、国、都、関係地方自治体が負担するという計算になる。一体、誰が、何を、いくら負担するのか調整しなければならない。しかし未だに実は何もできていないことが明らかになっている。
 ガバナンスの欠如が指摘されている今の組織委員会の体制で調整が可能なのだろうか?
 国際オリンピック委員会(IOC)にも危機感が生まれているだろう。世界は東京大会の運営をじっと見つめているに違いない。
 2020年まで4年を切った。


会見終了後、自ら進んで笑顔で握手して報道陣に“親密さ”アピール 12月2日 筆者撮影

海の森水上競技場、アクアティクスセンターは新設 バレー会場は先送り 4者協議
 2016年11月29日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が日、東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は計画通り海の森水上競技場を整備し、水泳競技場はアクアティクスセンター(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、建設する方針を決めた。 一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さす、12月のクリスマス前まで先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は、ボート・カヌー競技の事前合宿地とすることを、コーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。
 海の森水上競技場は当初の491億円から298億円前に整備費を縮減。アクアティクスセンターは座席数を2万から1万5000席に減らし、大会後の減築も取りやめたことで683億円から514~529億円に削減されると試算している。

 高騰が懸念されている開催経費について、組織委員会の武藤敏郎事務総長は「総予算は2兆円を切る」との見通しを示し、「これを上限としてこれ以下に抑える」とした。
 これに対し、IOCのコーツ副会長は「2兆円が上限というのは高過ぎる。削減の余地が残っている。2兆円よりはるかに下でできる」と述べ、さらに削減に努めるよう求めた。さらにコーツ副会長は、会合終了後、記者団に対し、組織委員会が示した2兆円という大会予算の上限については、「特に国際メディアの人に対して」と強調した上で、「IOCが2兆円という額に同意したと誤解してほしくない」と了承していないことを強調した。その理由については、「大会予算は収入とのバランスをとることが大切で、IOCとしては、もっと少ない予算でできると考えている。現在の予算では、調達の分野や賃借料の部分で通常よりもかなり高い額が示されているが、その部分で早めに契約を進めるなどすれば、節約の余地がある」と述べた。


小池都知事と上山特別顧問 4者協議トップ級会合 筆者撮影

小池都知事が“主導権” トップ級会合
 四者協議トップ級会合は当初、一部非公開で議論される予定だったが、小池百合子都知事の意向で完全公開となった。会合後に記者団に対して、小池知事は、「フルオープンでない部分があると聞いて、だったら最初から結論を言ったほうがいいと思って、そのようにした」と述べ、変更した理由を明らかにした。まずは異例の“全面公開”の会合にすることで小池都知事のペースで始まった。
 小池都知事は、議論を後回しにして、冒頭で「ボート・カヌー会場は海の森水上競技場、オリンピック アクアティクスセンターは予定通り建設、バレーボール会場は先送り」の東京都案を明らかにした。これに対して組織委員会は不満の意を唱えたが、進行役のコーツIOC副会長が引き取って、IOCとして東京都案を支持すると表明し、東京都案はあっさり承認された。
 小池都知事は会合開始直前に、コーツ副会長に“直談判”をして、“全面公開”と“バレーボール会場の先送り”を承諾してもらったことを、報道ステーション(11月30日)に出演して、明らかにしている。小池都知事は、ボート・カヌー会場を海の森水上競技場することの“見返りに”、バレーボール会場の先送りをIOCに認めさせたのであろう。IOCは、渋々認めたというニュアンスが、「(横浜アリーナの検証作業は)大変な作業になる。野心のレベルが高い作業だ」(コーツ氏)という発言から伺える。
 また小池都知事は、「日常的にメールでコーツ副会長とは連絡を取り合っている」(報道ステーション)と、コーツ副会長とのホットラインが築かれていることを明らかにした。どうやらIOCとのパイプは、森氏だけではなくなったようである。会合が終わって、真っ先に小池都知事がコーツ副会長に近づいて笑顔で握手をしていた。
 森組織委会長は、東京都のバレーボル会場の横浜アリーナ案について強く反発し、「クリスマスまで何を検証するのか」とか「僕の知りうる情報では横浜の方が迷惑していると聞いている」としたが、これに対して小池都知事は「横浜市にも賛同してもらったところで、お決め頂いたら是非やりたいという言葉を(横浜市から)もらっていた」と反論した。
 双方、言い分がまったく違うので、一体どうなっているのかと思ったら、会合終了後、組織委員会から記者団に対して、「先ほどの森組織委会長の発言は、“迷惑”としているのは事前に何の相談もなかった競技団体で、『横浜』ではありません」と訂正要請がされた。森組織委会長は小池都知事にボート・カヌー会場の見直しや横浜アリーナ案に対して、たびたび強い口調で批判をし、両者の間に“火花”が散っていた。
 ちなみに林横浜市長は「困惑はしていない。要請があればそこからスタートする。積極的に是非やってほしいという言い方はとてもできない」と微妙な立場を述べている。また横浜市は東京都と組織委員会に対して、書面(11月25日付)で「国際、国内の競技団体、さらにIOCの意向が一致していることが重要」とか「(民有地を利用する際の住民理解や周辺の道路封鎖などは)一義的に東京都や組織委員会が対応すべき」と事実上難色を示した内容を通知しているこが明らかになった。横浜市は、四者協議の資料として提出したもので、具体的な内容は「配慮のお願い」で新たな意思決定ではないとした。
 さらに開催費用の議論については、東京五輪大会をめぐる“迷走”ぶりを象徴している。
 森組織委会長は、「“3兆円”を国民に言われるとはなはだ迷惑だ」と都政改革本部を批判した。これに対して小池都知事は「“3兆円”は予算ではなく、大会終了後、結果として総額でいくらかかったかを試算するものだ。予算段階では公にできないものもある」と反論した。また森組織委会長は、「警備費や輸送費などは国が持つことを検討してほしい」と述べたのに対し、丸川五輪相は「平成23年の閣議了解で大会運営費は入場料収入や放送権収入でまかなうとしている」と述べ、否定的な姿勢を示した。IOCのメンバーを前に、開催費用や費用負担を巡って、組織委員会、国、都がバトルを繰り広げたのである。コーツIOC副会長は、「関心を持って聞いた」としたが、本音、何ともお粗末な東京五輪の運営体制と唖然としたに間違いないだろう。東京大会の招致で高らかに世界各国に訴えた“マネージメント力の卓越さ”は一体、どこへいったのか? 
 組織委員会は、開催費用“2兆円”とし、その概要をトップ級会合でコンセンサスを得たいという思惑があったと思える。しかし、IOCから“2兆円”は高額過ぎると厳しい批判を浴び、結局、“2兆円を切る”という程度の表現しかできず、組織委員会は東京五輪の開催経費の総額と概要を今回も示せなかった。その“2兆円”もIOCから否定されさらに大幅に削減するように求められ、組織委員会の面目はまるつぶれお粗末さを露呈した。 IOCにとって、“経費削減”、“肥大化の歯止め”は、五輪大会の持続性を確保するために至上命題なのである。“2兆円”を1兆円以上切り込む必要が迫られている。 その対象は競技場の建設費ではなく、組織委員会が管理する大会運営費である。瀬戸際に立たされたのは組織委員会だ。
 東京五輪の“迷走”と“混乱”はまだまだ続きそうだ。


海の森水上競技場 東京都オリンピック・パラリンピック準備局


オリンピック アクアティクスセンター 東京都オリンピック・パラリンピック準備局


有明アリーナ 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

“密室”四者協議 問われる国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢 “オープンな形” “リーダーはいない” バッハ会長の“約束”はどこへいった?

小池都知事VSバッハIOC会長 “軍配”は? 
 小池都知事とバッハIOC会長の会談は、当初は、冒頭のみ報道陣に公開する予定だったが、小池都知事の要請で異例の全面公開となった。殺到した取材陣は合計139人、午後2時過ぎに行われたこともあって、民放の情報番組では生中継で会談の模様を伝えた。
 11月に開催される4者協議も、小池都知事はオープンにしたいと要請し、バッハ会長もこれを承諾したとされている。
 翌朝の朝刊各紙は、「同床異夢」(朝日新聞)、「四者協議 都にクギ」(読売新聞)、「IOC会長 先制パンチ」(毎日新聞)、スポーツ紙では「小池知事タジタジ、IOC会長にクギ刺されまくる」(日刊スポーツ)などの見出しが並んだ。
 小池都知事は、都政改革本部が主導して海の森水上競技場など3会場の抜本的な見直しをまとめ、東京都が主導権をとって、IOCや競技団体と協議を行うという作戦だったと思える。ところがコーツIOC会長は、経費削減という総論には賛同しながら、具体的な方策については、「四者協議」の設置を提案し、東京都、組織委員会、政府、IOCの四者で競技場の見直し協議を行うことを提案した。「四者協議」の設置が合意された。国際オリンピック委員会(IOC)からはコーツ副会長が、出席し、IOCの代表を一任される。コーツ副会長は、元オリンピック選手で国際ボート連盟の“ドン”と言われ、五輪開催地の競技場整備の指導・監督をするIOCの調整委員会の委員長で、大きな権限を握る実力者だ。コーツ副会長は、「シドニー(コーツ氏の地元)では海水でボート・レースをやっているから問題はない。日本人は気にすべきでないしIOCとしても問題ない」とし、海の森水上競技場を暗に支持する発言を繰り返している。
 小池都知事の思惑からすれば、「四者協議」は誤算だったに違いない。小池都知事と森組織委会長の対立激化に懸念を深めたバッハIOC会長が業を煮やして混乱の収拾に乗り出して、小池都知事にクギを刺して、組織委員会に“助け船”を出したということだろう。
 これまで五輪を巡るさまざま局面で難題を処理してきたコーツIOC会長の巧みな対応は、さすがということだ。
 しかし、小池都知事は決して“敗北”はしていいない。
 「四者協議」で、都政改革本部が提案した3つ競技場の見直しがたとえうまくいかなくても、“失点”にならないと思える。
海の森水上競技場の見直しでいえば、小池都知事が“仕掛けている”長沼ボート場への変更についても、仮に現状のまま、海の森水上競技場の開催で決着しても、それは、組織委員会や競技団体、IOCが反対したからだと説明すれば、責任回避ができる。
 また、海の森水上競技場は、埋め立て地という地盤条件や自然条件を無視して建設計画が進められていて、極めて難しい整備工事になるのは間違いない。海面を堰き止めて湖のような静かな水面を保つのも至難の業で、難題、風と波対策がうまくいくかどうがわからないし、施設の塩害対応も必要だろう。つまり、海の森水上競技場は計画通り建設しても、実際に競技を開催しようとすると不具合が次々と露見して、追加工事や見直しは必須だろう。まだ誰もボート・カヌーを実際に漕いだ選手はいないのである。競技運営も天気まかせで、開催日程通り進められるかどうか、極めてリスクも多い。
 その責任は、海の森水上競技場を推進した組織委員会や競技団体がとるべきだろうと筆者は考える。整備費、約491億円の中に、なんと約90億円の巨額の予備費が計上されている。つまりかなりの追加工事が必要となる難工事になると想定しているからである。経費削減で予備費も無くそうとしているが、追加工事が必要となったらどうするのか? 風や波対策の追加工事の必要になったらその請求書を東京都は組織委員会や競技団体送り付けたら如何だろうか?
 ボート・カヌー競技の長沼ボート場への誘致に力を入れて取り組んだ宮城県にとっても、たとえ誘致がうまくいかなくても、いつのまにか忘れさられていた「復興五輪」という東京五輪のスローガンを国民に蘇らせることができたのは大いにプラスだろう。これまでほとんど誰も知らなかった長沼ボート場は一躍に全国に名前が知られるようになった。
 また、バッハIOC会長は安倍総理との会談で、追加種目の野球・ソフトボールの被災地開催を検討したいと述べ、結果として「復興五輪」は更に前進することになりそうである。小池都知事が強調した「復興五輪」は、野球・ソフトボールの被災地開催が実現する方向で検討されることになり、形は変わるが小池都知事の“功績”に間違いない。
 開催経費削減についても、海の森水上競技場でいえば、小池都知事と都政改革本部が「長沼ボート場」移転案を掲げたことで、あっという間に、整備費用が約491億円から約300億円に、なんと約190億円削減されることになりそうだ。小池都知事が動かなかったら、東京都民は約190億円ムダにしていたところだ。さらに東京都が再試算すると、オリンピック アクアティクスセンターで約170億円、有明アリーナで約30億円、3施設の合わせて、最大で約390億円削減できる見通しとなったとされている。
 約390億円は“巨額”だ。これも小池都知事の大きな“功績”、東京都民は“感謝”しなければならないだろう。
 小池都知事は「四者協議」の設置で、IOCと同じテーブルにつき、直接、議論をする場を確保した。また「四者協議」で具体的な見直し案を提出できるのは東京都しかと思われる。組織委員会や競技者団体は、経費削減の具体的な対案を提出する能力はないだろう。結局、“受け身”の姿勢をとらざるを得ない。やはり都政改革本部が見直しの主導権を握っているのだろう。しかし、IOCも絡んできたことで、“混迷”は更に深刻化したことは間違いない。一体、誰がどのように収束させるのだろうか?まったく見通せない状況になった。



五輪ボート・カヌー会場見直し 3案に絞り込み検討 彩湖は除外
 2016年10月20日、都政改革本部の調査チームは、ボート・カヌーの会場について「海の森水上競技場」を現在の計画どおり整備するだけでなく、大会後に撤去する仮設施設として整備することを新たな提案として加え、宮城県のボート場に変更する提案とともに、3つの案に絞り込んで検討を進めることを明らかにした。
 1案は、海の森水上競技場をコスト削減したうえで現在の計画通り、恒久的な施設として整備するという案、2案は、海の森水上競技場を大会後に撤去する仮設施設として整備する案、3案は、宮城県登米市にある「長沼ボート場」に変更する案でこの3つの案に絞り込んで検討を進めているとした。
 また調査チームは、これまで候補地として提案されていた埼玉県の彩湖については、洪水や渇水対策のための調整池であり、国土交通省の管轄のため難しいという見解を示し、検討をすすめる候補地から除外するとした。
 都政改革本部の上山信一特別顧問は「海の森水上競技場は工事が始まっているので明らかに本命であるが、今回はそれ以外も考えようとしている。アスリートの声は大前提として重要だが、実現可能性の確率が高く、時間がかからないことが絶対的な条件だ」と述べた。
 さらに都の調査チームは、3つの案について、公表されている資料を基に、整備費用などを示した。
 「海の森水上競技場」を現在の計画どおり、恒久的な施設として整備する場合は、都がコストを見直した結果として300億円前後とする試算に加え、観客席など仮設の設備のための整備費用が加わるとしている。
 「海の森水上競技場」を大会後に撤去する仮設施設として整備する場合は、どのような施設にするかなどについて、チームで精査している状況とした。
 宮城県の「長沼ボート場」に変更する場合は、県の試算として150億円から200億円としている。
 調査チームは競技会場の建設費を始め、大会後にレガシー・遺産として残るかや大会後に必要な維持費も検討したうえで、さらに詳細な報告書を小池知事に提出し判断材料にしてもらうとしている。

小池知事がコスト削減説明 バッハIOC会長は理解示す 4者会合開催で合意
 2016年10月18日、会談は東京都庁にバッハ会長が訪れて開かれた。
 冒頭、“3兆円”に膨れ上がったとされる開催費用のコスト削減について、小池都知事は「(競技場)の見直しについては80%以上の人たちが賛成をしているという状況にある。都政の調査チームが分析し、3つの競技会場を比較検討した。そのリポートを受け取ったところで、今月中には都としての結論を出したい。オリンピックの会場についてはレガシー(未来への遺産)が十分なのか、コストイフェクティブ(費用対効果)なのか、ワイズスペンディングになっているのか、そして招致する際に掲げた『復興五輪』に資しているかということがポイントになる」と述べた。
 これに対し、バッハ会長は「“もったいない”ことはしたくない。IOCとしてはオリンピックを実現可能な大会にしていきたい。それが17億ドル(約1770億円)を(組織委員会に)拠出する理由だ」と語り、小池都知事は親指を挙げて笑顔で答えた。
 そして、バッハ会長は、コスト削減を検討する新たな提案として、「東京都、組織委員会、日本政府、IOCの四者で作業部会を立ち上げ、一緒にコスト削減の見直しを行うということだ。こうした分析によってまとめられる結果は必ず“もったいない”ということにはならないと確信している」とした。
 これに対して小池都知事は、「来月(11月)にも開けないか」と応じた。
 また抜本的な見直しの検討が進められている海の森水上競技場については、会談に中では、長沼ボート場や彩湖の具体的な候補地は出されなかった。
 バッハ会長は、「東京が勝ったのは非常に説得力のある持続可能で実行可能な案を提示したからです。東京が開催都市として選ばれた後に競争のルールを変えないことこそ日本にとっても東京にとってもIOCにとっても利益にかなっていると思う」と暗に海の森水上競技場の見直しを牽制した。
 会談は、当初は、冒頭のみ報道陣に公開する予定だったが、小池都知事の要請で異例の全面公開となった。殺到した取材陣は合計139人、午後2時過ぎに行われたこともあって、民放の情報番組では生中継で会談の模様を伝えた。
 11月に開催される4者協議も、小池都知事はオープンにしたいと要請し、バッハ会長もこれを承諾したとされている。
 翌朝の朝刊各紙は、「同床異夢」(朝日新聞)、「四者協議 都にクギ」(読売新聞)、「IOC会長 先制パンチ」(毎日新聞)、スポーツ紙では「小池知事タジタジ、IOC会長にクギ刺されまくる」(日刊スポーツ)などの見出しが並んだ。
 小池都知事は、東京都が主導で3会場の抜本的な見直しをまとめ、その後、組織委員会やIOCと協議を行うという作戦だったが、コーツ会長の「四者協議」提案で、思惑通りいかない状況になってきたのは誤算だっただろう。しかし、「四者協議」の具体的な見直し案を提出できるのは東京都しかないだろう。東京都の掲げる「復興五輪」を組織委員会も国も反対できない。しかし、IOCも絡んできたことで、“混迷”は更に深刻化したことは間違いない。一体、誰がどのように収束させるのだろうか?まったく見通せない状況になった。

東京五輪費用「3兆円超」 都チーム推計 3施設見直し案 ボート・カヌー会場は長沼(宮城県)を提言
★ 東京五輪費用「3兆円超」
 「結果から申し上げると今のやり方のままでやっていると3兆円を超える、これが我々の結論です」
 2016年9月29日、2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の検証する都政改革本部の調査チーム座長の上山信一慶応大学教授はこう切り出し、大会経費の総額が「3兆円を超える可能性がある」とする報告書を小池都知事に提出した。
 大会経費は、新国立競技場整備費(1645億円)、都の施設整備費(2241億円)、仮設整備費(約2800億円)、選手村整備費(954億円)に加えて、ロンドン五輪の実績から輸送費やセキュリティー費、大会運営費などが最大計1兆6000億円になると推計。予算管理の甘さなどによる増加分(6360億円程度)も加味し、トータルで3兆円を超えると推計した。 招致段階(13年1月)で7340億円とされた大会経費は、その後、2兆円とも3兆円とも言われたが、これまで明確な積算根拠は組織委員会や国や東京都など誰も示さず、今回初めて明らかにされた。
調査チームは「招致段階では本体工事のみ計上していた。どの大会でも実数は数倍に増加する」と分析。その上で、物価上昇に加えて、国、都、組織委の中で、全体の予算を管理する体制が不十分だったことが経費を増加させたと結論付けた。 

★ 「司令塔」不在
 上村座長は、「お金の管理ですが、そもそも一体いくらかかるのか誰も計算していない。内訳なども全く情報開示されず積み上げもどれだけされているのかよく分からない。都民の負担を考えるとこれでは際限なく各組織が良い仕事をすればするほど請求書が全部東京都に回ってくる」とし、「今回の準備体制は驚いたことに社長がいない、財務部長がいないという構造になっている。全体を『こう変えていこう』、『こうしよう』と先取りしてビジョンを出す役割の人がそもそも存在しない状況になっている」として司令塔不在の運営体制を強く批判した。
そして、「国と都と組織委員会が別々に予算を管理する『持ち寄り方式』にある。総額に上限を定めた上で、国か都が予算を一元管理すべき」と提言した。
 小池都知事も「「ガバナンスの問題が、結局、ここ一番、難しいところだと思っている。この辺も加速度的に進めていくためにガバナンスの問題は極めて大きな問題だ」と語り、東京都が主導権をとっていく姿勢を明確にした。


都政改革本部 調査チーム調査報告書

★ 3施設の整備見直しを提言 
 ボート、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」は、当初計画の7倍の約491億円に膨れ上がった経費に加えて、「一部の競技者が会場で反対している」「大会後の利用が不透明」だとして、宮城県長沼ボート場を代替地に提言した。「復興五輪」の理念にも合致するとしている。
 観客席2万席で設計した水泳会場「オリンピックアクアティクスセンター」は、大会後に74億円をかけて5000席に減らす計画を疑問視し、規模縮小や近くにある「東京辰巳国際水泳場」の活用の検討を提言した。バレーボール会場の「有明アリーナ」は、規模縮小のほか、展示場やアリーナの既存施設の活用を提案した。「有明アリーナ」については、既存施設の「横浜アリーナ」への変更を検討していることが報道されている。
仮設施設整備については、約2800億円に膨れ上がった整備について、国や組織委、東京都の費用負担の見直しにも言及し、都内に整備する仮設施設の内、最大1500億円は都が負担し、都外については「開催自治体か国」が負担するよう提言した。
 また東京都は、組織委に58億5000万円の拠出金を出し、245名もの東京都職員を出向させていることから、組織委を「管理団体」にするなど、都の指導監督を強化する必要性も指摘した。
これに対し、森組織委会長は、「IOCの理事会で決まり総会でも決まっていることを日本側からひっくり返すということは極めて難しい問題」と述べた。
 また海の森水上競技場については、「宮城県のあそこ(長沼ボート場 登米市)がいいと報道にも出ているが我々も当時考えた。しかし選手村から三百何十キロ離れて選手村の分村をつくることはダメなことになっているし経費もかかる。また新しい地域にお願いしてみんな喜ぶに決まっているが、金をどこから出すのか。東京都が代わりに整備するのか。それはできないでしょう法律上」と語った。
 一方、IOCのバッハ会長は、東京五輪の開催費用の増加について、「東京における建設費の高騰はオリンピック計画だけでなく、東日本大震災からの復興など、そのほかの理由もあるだろう」とし「建設的な議論をしたい」として柔軟に対応する姿勢で、今後東京都や組織委員会と協議を始める意向を示した


都政改革本部 五輪調査チーム調査報告書

オリンピックの“感動”は競技場からは生まれない
 2016年8月に行われたリオデジャネイロ五輪、日本選手の活躍に大いに沸き、感動を残した。
感動を残したのは、マツタカペアの金メダル、女子卓球団体で銅メダルを手にした“愛ちゃん”、伊調選手の5連覇、水泳陣の活躍、そして男子400目メートルリレーの銀メダル、選手の活躍だ。
 しかし、陸上競技場やオリンピックプール、バドミントンや卓球、レスリングの競技場の施設がどんな建物だったか記憶にある人はいるのだろうか。オリンピックで感動を与えるのは、競技場ではない。
 北京五輪のオリンピックスタジアムとして“鳥の巣”が建設された。そのユニークなデザインと壮大な規模に世界は目を見張った。しかし、立派な施設を造ったなと感心はしたが、感動した人はだれもいないだろう。“鳥の巣”は、直後は観光の名所になったが、その後は競技会の開催も少なく、閑散としているという。北京市は施設の維持管理費の重荷に悩まされている。「世界で一番をめざそう!」というキャッチフレーズで始まった新国立競技場の建設計画は“迷走”に“迷走”を重ねたうえ、挫折したのは記憶に新しい。ザハ・ハディド氏の斬新な流線形のデザインは確かに目を見張るものがあった。 しかし、当初予算の約1300億円を大幅に超える3000億円超に膨れ上がった建設費は国民から拒否された。
 東京オリンピック・パラリンピックが開催されるのは、わずか30日間、大会後に膨大な次世代への負担を残すのは無責任だろう。
 やはり東京オリンピック・パラリンピックは“負のレガシー”を残すことになるのだろうか。


月刊ニューメディア(2016年10月号)掲載 加筆>






2018年1月20日
Copyright (C) 2018 IMSSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント (9)

東京オリンピック 4者協議 トップ級会合 コーツ副会長 小池都知事 森組織委会長 実務者会合

2018年10月31日 06時09分25秒 | 東京オリンピック




開催経費「1兆3850億円」 都・国・組織委・関係自治体で費用負担大枠合意

組織委、6000億円、国、1500億円、都、6000億円
 2017年5月31日、2020年東京五輪大会の開催経費について、東京都、国、大会組織委員会、それに都外に会場がある7道県4政令市の開催自治体(「関係自治体」)は連絡協議会を開き、総額「1兆3850億円」の費用分担の大枠で合意した。
 組織委員会が6000億円、国が1500億円、東京都が6000億円としている。残りの350億円については、誰が負担するのかは、結論を先送りした。
 都外の会場の「仮設経費」は「立候補ファイル」通りに、全額東京都が負担することにした。
 しかし、東京都が「350億円」と試算した「警備、医療、輸送など開催に必要な事項」の開催関連経費については、東京都は「開催自治体」に負担を求めたが、積算根拠が不明朗で受け入れられないなどと反発が相次いで、調整がつかず、今後、整理・精査した上で、再協議をするとした。
 立候補ファイルでは、「関係自治体」は「警備や医療サービス、会場への輸送など大会開催に必要な事項を実施する」と記載されている。今回の協議会ではその負担原則を確認したが、合意の中に各自治体の具体的な負担額を盛り込むことはできなかった。
また都外の会場使用に伴う営業補償や移転補償については、都が負担し、国も補助金などの措置で「関連自治体」の負担分の軽減を検討するとした。

 協議会では、今後の経費負担のルールを確認するために「経費分担に関する基本的な方向」が了承された。
▼ 東京都
(1)会場関係費 都内・都外の仮設施設、エネルギーとテクノロジーのインフラ費、賃貸料 
(2)都内会場周辺の輸送、セキュリティ経費 
(3)パリンピックの4分の1の経費
(4)都所有の恒久施設整備費や既存施設の改修費。
▼ 組織委員会
(1)会場関係費 オーバーレイ 民間や国(JSCを含む)所有施設の仮設費
(2)エネルギーとテクノロジーのインフラ費、賃貸料
(3)大会関係費 輸送、セキュリティ、オペレーション日
(4)パリンピックの2分の1の経費 
▼ 国
(1)パリンピックの4分の1の経費 
(2)セキュリティ対策費、ドーピング対策費
(3)新国立競技場の整備費
▼ 関係自治体
(1)輸送、セキュリティ対策費
(2)関係自治体が所有する恒久施設の改修費

 東京都の小池百合子知事は「地は固まった」と評価した。
 丸川珠代五輪担当相は「地方がオールジャパンで進めていることを実感できるように国も支援したい」と述べ、補助金の活用などを検討する考えを示した。
 また、4者で仮設整備の発注などを一括で管理する「共同実施事業管理委員会」(仮称)を設置することでも合意した。

★ Time Line 2017年12月22日、2020年東京大会組織委員会は、開催経費について1兆3500億円(予備費を除く)とする予算計画第2版を発表した。今年5月に東京都、組織委、国で総額1兆3850億円とした大枠合意から、350億円削減した。負担割合は組織委と都がそれぞれ6千億円、国は1500億円となる。


小池都知事 「1000億円」削減を強調  実質は最大「1兆6850億円」
 今回明らかになった2020東京大会の開催経費の総額は、「1兆3850億円」である。2016年12月、組織委員会が四者協議で明らかにした開催経費(V1)では「1兆5000億円」、それに予備費を1000億~3000億円とし、「1兆6000億円~1兆8000億円」とした。
 実は「1兆3850億円」も、予備費を1000億~3000億円を加えると、最大「1兆6850億円」となる。
小池都知事は「1000億円を超える額の圧縮」と強調し、負担軽減につなげたとしている。しかし、圧縮経費の詳細については、会場使用期間短縮による賃借料の縮減などを挙げたが、詳細な説明は避けた。
小池都知事にとって、五輪開催予算の圧縮は、豊洲市場問題と並んで最重要課題である。

“青天井”? 五輪開催経費
 2020東京五輪大会の開催経費については、「1兆3850億円」では、到底、収まらないと思われる。
国が負担するセキュリティーやドーピング対策費は「1兆3850億円」には含まれてはいない。経費が膨張するのは必至とされているが、見通しもまったく示されていない。唖然とするような高額の経費が示される懸念はないのだろうか。
また今後、計画を詰めるに従って、輸送費や交通対策費、周辺整備費、要員費等は膨れ上がる可能性がある。
 「予備費3000億円」はあっという間に、使い果たす懸念がある。
組織委員会の収入も、2016年12月の試算から1000億円増で「6000億円」を目論んでいるが、本当に確保できるのであろうか。
 五輪関係経費は、国は各関連省庁の政府予算に振り分ける。各省庁のさまざまな予算項目に潜り込むため、国民の眼からは見えにくくなる。大会経費の本当の総額はさらに不透明となる。東京都の五輪関係経費も同様であろう。
また大会開催関連経費、周辺整備費、交通対策費などは、通常のインフラ整備費として計上し、五輪関連経費の項目から除外し、総額を低く見せる“操作”が横行するだろう。
 あと3年、2020東京五輪大会に、一体、どんな経費が、いくら投入されるのか監視を続けなければならいない。ビックプロジェクトの経費は、“大会成功”という大義名分が先行して、“青天井”になることが往々にして起きる。
新国立競技場整備費を巡っての迷走を忘れてはならない。
2020東京大会のキャッチフレーズ、“世界一コンパクな大会”はどこへ行ったのか。



第2回2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた関係自治体等連絡協議会の資料






4者協議トップ級会合 コーツIOC副会長はシドニーからテレビ電話で参加 2016年12月21日 Tokyo 2020 / Shugo TAKEMI

東京五輪の経費 最大1兆8000億円
 2016年12月21日、東京都、組織委員会、政府、国際オリンピック委員会(IOC)の4者協議のトップ級会合が開かれ、組織委員会が大会全体の経費について、最大1兆8000億円になると説明した。組織委員会が大会全体の経費を示したのは今回が初めてである。
会議には、テレビ会議システムを使用され、コーツIOC副会長がシドニーで、クリストフ・デュビ五輪統括部長がジュネーブで参加した。
 冒頭に、小池都知事が、先月の会議で結論が先送りされたバレーボールの会場について、当初の計画どおり「有明アリーナ」の新設を決めとした。「有明アリーナ」は、五輪開催後はスポーツ・音楽などのイベント会場、展示場として活用すると共に、有明地区に商業施設やスポーツ施設も整備し、地区内に建設される「有明体操競技場」も加えて、、“ARIAKE LEGACY AREA”と名付けた複合再開発を推進して五輪のレガシーしたいと報告し了承された。
 「有明アリーナ」の整備費は約404億円を約339億円に圧縮し、東京都、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入して、民間資金を活用する。競技場見直しを巡る経緯について、小池都知事は「あっちだ、こっちだと言って、時間を浪費したとも思っていない」と述べた。
 これに対して、コーツIOC副会長は「協議を通して3つの会場に関して予算が削減できたし、有明アリーナの周りのレガシープランについても意見が一致した。こうした進展を喜ばしく思っている」と称賛した。
 一方、組織委員会は大会全体の経費について、1兆6000億円から1兆8000億円となる試算をまとめたことを報告し、組織委員会が5000億円、組織委員会以外が最大1兆3000億円を負担する案を明らかにした。
小池都知事は「IOCが示していたコスト縮減が十分に反映されたものということで、大事な「通過点」に至ったと認識している」と述べた。
これに対して森組織委会長は「小池都知事は『通過点』と行ったが、むしろ『出発点』だと思っている。今回の件に一番感心を持っているのは、近県の知事の皆さんである」とした。
一方、コーツIOC副会長は、「1兆8000億円にまで削減することができて、うれしく思っている。IOC、東京都、組織委員会、政府の4者はこれからも協力してさらなる経費削減に努めて欲しい」と「1兆8000億円」の開催予算を評価した。
 また開催経費分担について、小池都知事は、「コストシェアリングというのは極めてインターナルというかドメスティックな話なので、この点については、4者ではなく3者でもって協議を積み重ねていくことが必要だ」とし、「東京都がリーダーシップをとって、各地域でどのような形で分担ができるのか、早期に検討を行っていきたい」と述べ、年明けにも都と組織委員会、国の3者による協議を開き、検討を進める考えを示した。








開催経費「1兆8千億円」は納得できるか?
 12月21日開催された4者協議で、武藤事務総長は「組織委員会の予算が、膨れ上がったのではないかいという報道があったが、そのようなものではない。ただ今申し上げた通り、IOCと協議をしつつ、立候補ファイルでは盛り込まれてはいなかった経費(輸送費やセキュリティ費)を計上して今回初めて全体像を示したものだ」と胸を張った。
 “膨れ上がってはいない”と責任回避をする認識を示す組織委員会に、さらに“信頼感を喪失した。
 東京大会の開催経費は、立候補ファイル(2012年)では、「大会組織予算」(組織委員会予算)と「非大会組織予算」(「その他」予算)の合計で7340億円(2012年価格)、8299億円(2020年価格)とした。これが、最大「1兆8千億円」、約2.25倍に膨れ上がったのは明白だ。組織委員会は“膨れ上がった”ことを認めて、その原因を説明する義務がある。
 さらに最大の問題は「1兆8千億円」の開催経費の総額が妥当かどうかである。
 海の森水上競技場の整備費の経緯を見ると大会準備体制のガバナンスの“お粗末さ”が明快にわかる。
 招致段階では、「約69億円」、準備段階の見直しで「約1038億円」、世論から強い批判を浴びると、約半分の「491億円」に縮減、小池都知事の誕生し、長沼ボート場への変更案を掲げると、「300億円台」、最終的に「仮設レベル」なら「298億円」で決着した。
やはり東京五輪大会の運営組織のガバナンスの欠如が露呈している。
 海の森水上競技場以外に、同様に“杜撰”に処理されている案件が随所にある懸念が生まれる。「1兆8千億円」の開催経費の中に、縮減可能な経費が潜り込んでいると見るのが適切だろう。組織委員会の予算管理に対する“信用”は失墜している。「1兆8千億円」の徹底した精査と検証が必須である。
 「1兆8千億円」という総額は明らかにしたが、その詳細な内訳については、公表していない。「1兆8千億円」が妥当な経費総額なのかどうか、このままでは検証できない。まず詳細な経費内訳を公表する必要があるだろう。
 その上で、東京都、国、開催自治体の間で、誰が、いくら負担するかの議論をすべきだ。


「開催費用 1兆8千億円」だったら東京五輪招致を世論は支持したか?
 組織委員会は「開催経費は決して膨れ上がっていない」と胸を張っているが、当時想定できなかった経費がその後加わったのか、想定はしていたが大会開催経費をなるべく少なく見せるために意識的に加えなかったのかはよく分からない。しかし、森喜朗会長自らTBSのニュース番組(2016年5月16日)に出演し、当初の大会予算について「最初から計画に無理があったんです。「3000億でできるはずないんですよ」と述べていた。
 舛添前都知事も「舛添要一東京都知事は、「『目の子勘定』で(予算を作り)、『まさか来る』とは思わなかったが『本当に来てしまった』という感じ」とした上で、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」とテレビ番組に出演して話している。
 あっさり「1兆8000億円」と言ってもらいたくない。
開催費用を巡ってはまさに“無責任体制”のまま進められていたのである。
 2020東京五輪大会に立候補する際に、「開催費用 1兆8千億円」としたら、都民や国民は招致を支持しただろうか。招致の責任者の説明責任が問われてもやむを得ないだろう。


「組織委員会 5000億円」 “収支均衡”は“帳尻合わせ”の“まやかし”か?
 12月21日に開催された4者協議で、森組織委会長は「決して組織委員会のお金が5000億で、それより大きくなったので、その負担をなにか東京都と国に押し付けているのではないかいという報道がよくあるが、これはまったく違う」と述べた。
 組織委員会の提示した予算は、「組織委員会」が「5000億円」で「収支均衡予算」、東京都や国、開催自治体が「1兆3000億円」とした。
しかし、実態は、組織委員会の収入は「約5000億円」、収入から逆算して組織委員会の負担を「5000億円」に“調整”して、残りの「1兆3000億円」を、組織委員会以外の東京都、国、開催地方自治体の負担としたのであろう。なりふり構わず苦し紛れの“帳尻合わせ”予算と見るのが合理的である。
組織委員会が負担すべき経費は、精査して積み上げたとしているが、どの経費を、いくらを合理的に積算したかは明らかでされていない。
その象徴が、仮設関連経費だ。予算書では、「組織委員会」が「800億円」、「その他」が「2000億円」としたが、どんな根拠で、どのように仕分けしたのか明らかにしていない。その他、「ソフト[大会関係]」の輸送、セキュリティ、テクノロジー、オペレーションもどうようだ。「予備費」を全額「その他」に計上するのも、組織委員会の予算管理の責任を曖昧にすることにつながりかねない。
新国立競技場や海の森水上競技場、オリンピック アクアティクスセンター、有明アリーナなどの東京都が整備する恒久施設の経費は、すでに整備費が見直され、誰がどれだけ負担するか明らかになっている。同様のプロセスが必須だ。
 組織委員会の予算を、なにがなんでもなりふり構わず“均衡予算”にしないと、IOCの了解が得られなかったからであるからであろう。“みせかけ”の“均衡予算”になった。その“矛盾”は直ちに露呈するだろう。
 組織委員会が本来負担すべき経費を適正に積算して、総額がいくらなのかをまず明らかにするべきだろう。その上で、立候補ファイルの「3013億円」と比較して、経費が膨れ上った原因を明らかにすべきだ。
その上で、“帳尻”合わせの“操作”をしないで、“組織委員会の“赤字”は一体、どのくらいになるのかを明らかにし、責任の所在を明確にすることが必要だ。東京都や国、開催自治体に負担を要請するのはその後である。
 このままでは、組織委員会の開催予算管理の“杜撰”な体質が一向に改まらない懸念が大きい。


開催経費の赤字負担は東京都、そして国 
 2013年、2020東京五輪招致委員会がIOCに提出した立候補ファイルには次のような内容が記載されている。これが2020東京大会の“国際公約”である。


TOKYO 2020 立候補ファイル 「財政」

十分に保証されている大会組織委員会予算
大会組織委員会予算についての保証
 東京2020は大会組織委員会の予算が均衡の取れたものであることを強く確信している。
しかし、万が一、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は、IOC が大会組織委員会に支払った前払金その他の拠出金のIOCに対する 払い戻しを含めて、東京都が補填することを保証する。
また、東京都が補填しきれなかった場合には、最終的に、日本国政府 が国内の関係法令に従い、補填する。
東京都は、大会組織委員会予算約3,010億円に対し、非常に大規 模な財政規模(2012年度の予算で11・8兆円)を有しており、万一の 大会組織委員会の資金不足に対しても十分に補填することができる。


「1兆8000億円」の“仕分け”は妥当か
 そもそも「1兆8千億円」には、組織委員会が負担する経費ではなく、東京都や国が負担するのが当然と思われる経費も含まれている。立候補ファイル(2012年)でも、「大会組織予算」(組織委員会予算)と「非大会組織予算」(「その他」予算)に分けて開催予算を提示している。

 「警備費」は、「組織委員会」が「200億円」、「その他」が「1400億円」とした。 競技会場や選村、IBC/MPCなどの施設内の警備費は、組織委員会が負担するのは当然で、「200億円」は妥当な額なのだろうか疑問が残る。
一方VIP関連、交通機関や主要道路、成田空港や羽田空港、さらに霞が関の政府機関、東京都庁や主要公共機関、電力・通信などの主要インフラ施設など警備まで組織委員会の経費で負担させるのは合理性を欠く。また2020東京五輪の大きな課題であるサイバー攻撃対策の経費は国全体で取り組む必要があり、経費は国も応分の負担するのが適切だろう。
伊勢志摩サミットでは国が約340億円の警備費を負担した。東京五輪大会の規模ともなるとこの数倍は楽に超えるだろう。国の責任も重大だ。

「輸送費」ついては、「組織委員会」が「100億円」、「その他」が「1300億円」としたが、選手や大会関係者のシャトルバス運行に伴う経費などは組織委員会が負担するのは当然だろう。地方開催の場合の選手や大会関係者の輸送も同様である。これも「100億円」は妥当なのだろうか。
しかし、VIPの選手や大会関係者の輸送に伴うオリンピック専用レーンの設置は、首都高速道路、湾岸道路などに広範囲に必須とされているが、その約200億弱とされている通行制限に伴う高速道路会社への補てん費等は、東京都や国なども応分の負担するのは当然だろう。組織委員会と案分するのが筋である。

 「テクノロジー」や「オペレーション」については、それぞれ総額「1000億円」としたが、 内訳が示されていないため、経費総額の根拠が極めて曖昧になっている。
 「組織委員会」と「その他」の仕分けは、ほぼ折半とされているがこれも不明瞭だ。
しかし今回は、「1000億円」は総額だけが記入されているまったく“白紙”同様の“請求書”を組織委員会が国、東京都に出したのである。これでは到底、納得することはできないだろう。
「その他」の経費、「1150億円」は巨額だが、内訳が明らかでない。精査する必要が必須である。
また「3000億円」としている予備費を国や東京都などの「その他」に計上していることは納得できない。組織委員会の予算管理責任を曖昧にするからである。
 森組織委会長は「そして運営だとか場所の設定だとかその他もろもろのことがこれからある。改装の問題、エネルギーの問題、セキュリティの問題、いろいろある。セキュリティひとつにしてもどこが持つのか、やってみなければわからない。何が起きるのか不確定要素は多い。この東京大会は、特に夏だし、あるいは台風の多い時だ。何があるかこれからわからない。まだ3年、4年先の話だ」と述べている。
自然災害や不測の事態が発生して、開催経費が膨れ上がり、予備費で補填するのはやむを得ないだろう。一方、組織委員会の予算管理を厳重に監視する必要がある。東京五輪大会の開催経費を巡る“混迷”を振り返ると、新国立競技場や海の森水上競技場など、その“青天井”体質への歯止めが必須だ。













開催費用の分担 “混迷”はさらに深刻化
 東京五輪大会開催経費の負担を巡っては、“混迷”を極めている。
 「あくまでも主催は東京都」(森組織委会長)、 「都と国の負担を注視する」(小池都知事)、「なぜ国でなければならないのか」(丸川珠代五輪担当相)、「開催経費は組織委員会が負担すべき」、互いを牽制(けんせい)する発言が飛びかい、費用負担を巡って険悪な雰囲気が立ち込めている。
12月26日、東京都以外で競技を開催する自治体の知事などが東京都を訪れ、関係する自治体のトップらが東京都の小池知事に対し、計画どおり組織委員会が全額負担するように要請した。
これに対して、小池都知事は「年明けから関係自治体との連絡体制を強化する協議会を立ち上げる。東京都・国・組織委員会で協議を本格化させ費用分担の役割について年度内に大枠を決める」とした。
2020東京大会では、東京都以外の競技会場が現時点で合わせて6つの道と県の13施設・15会場に及ぶ。
その後、組織委員会を訪れ、森組織委会長と会談した。
 会議の冒頭、黒岩神奈川県知事が「費用負担は、立候補ファイルを確認して欲しい」と口火を切った。立候補ファイルには「恒久施設は自治体負担、仮設施設は組織委員会」と記載されている。
これに対して、森組織委会長は費用分担の話し合いが遅れたことを謝罪した上で、「小池さんが当選された翌日ここに挨拶に来られた。早くリオオリンピックが終わったら会議を始めて下さいとお願いした。待つこと何カ月、東京都が始めない、それが遅れた原因だ」とその責任は会場見直し問題を優先させた東京都にあるとした。
 さらに「(開催費用分担の原則を記載した)立候補ファイルは、明確に申し上げておきますが、私でも遠藤大臣でもなく東京都が作った。もちろん組織委員会さえなかったこれで組織委員会と怒られてもね。僕らがあの資料をつくったわけではないんです。私が(会長)になった時は、あれができていた」と述べた。
 サッカー競技の開催が決まっている村井宮城県知事に対しては、「村井さんの場合はサッカーのことでお見えになったんですよね。これは実は組織委員会ができる前に決まっていたんです。村井さんの立場はよく分かるけれども私どもに文句を言われるのはちょっと筋が違う」とした。
そしてボート・カヌー会場の見直しで宮城県の「長沼ボート場」が浮上した際に、村井氏が受け入れる姿勢を示したことにも触れ、「(長沼に決まっても)東京都がその分の費用を出せるはずがない。だからあなたに(当時)注意した」と牽制した。
 これに対して、村井宮城県知事は、「あの言い方ちょっと失礼な言い方ですね。組織委員会ができる前に決まったことは、僕は知らないというのは無責任な言い方ですね。オリンピックのためだけに使うものというのは当然でききますのでそれについては宮城県が負担するというのは筋が通らない」と反論した。
 12月21日の4者協議で、組織委員会、東京都、国の開催費用分担を巡って対立する雰囲気を感じ取ったコーツIOC副委員長は、組織委員会、東京都、国、開催自治体で「“経費責任分担のマトリクス”」を次の4者協議までに示して欲しい。これはクリティカルだ」と強調した。IOCからも東京五輪大会のガバナンスの“お粗末”さを、またまた印象づける結果となった。
 「準備が半年は遅れたのは東京都の責任」(森組織委会長)などと“無責任”な発言を繰り返しているようでは、東京五輪大会の“混迷”は一向に収まること知らない。



★ Time Line 2016年12月7日、スイスのローザンヌで開催された国際オリンピック委員会(IOC)理事会で追加5競技会場承認された。野球・ソフトボールのメイン会場は横浜球場、空手は武道館、サーフィンは千葉一宮町「釣ヶ崎海岸サーフィン会場」、スケートボード・ロッククライミングは東京・お台場「青海アーバンスポーツ会場」(仮設)、「福島開催」については、競技団体(WBSC)が、候補地とされた3球場の内野の芝生化や施設改修を求めていて、了解が得られず先送りとなった。
 2017年3月17日、韓国の平昌で開催されたIOC理事会で、福島あづま球場が、野球・ソフトボールの会場に追加されることが承認され、「福島開催」が決まった。
 2018年5月2日、ローザンヌで開催されたIOC理事会で、サッカーの7会場を一括承認され、2020東京大会の47の競技場がすべて決まった。





世界に“恥”をかいた東京五輪 “ガバナンス”の欠如
 2016年11月29日、国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者協議トップ級会合が日、東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリントは計画通り海の森水上競技場を整備し、水泳はアクアティクスセンター(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して建設する方針を決めた。一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さず、12月のクリスマスまで先送りすることになった。しかし横浜アリーナの活用案は、競技団体の有明アリーナ意向が強いとして、「かなり難しい」(林横浜市長)情勢だ。
 「大山鳴動鼠一匹」、「0勝3敗」、小池都知事の“見直し”に対してメディアの見出しが躍り始めた。しかし会場変更は手段であって目的はない。目的は“青天井”のままで膨れ上がり、“闇”に包まれたままの開催経費の削減と透明化だ。
 海の森水上競技場については、11月30日放送の報道ステーションに出演した小池都知事は、「仮設というと安っぽい響きがあるので、“スマート”に名前を変えたらどうか。名前を変えるだけで随分スマートになる」とし、20年程度使用する「仮設レベル」の“スマート”施設として、建設費297億円で整備することを明らかにした。これまでの計画では約491億円とされていたのが約200億円も圧縮されたのである。
 海の森水上競技場の整備問題は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの準備体制の“杜撰さ”を象徴している。唖然とする“お粗末”としか言いようがない。整備費の変遷を見るとその“杜撰さ”は明快だ。
 招致段階の「69億円」、見直し後の「1038億円」、舛添前都知事の見直しの「491億円」、最終案の「298億円」、その余りにも変わる整備費には“唖然”とする。「69億円」は“杜撰”を極めるし、「1038億円」をそのまま計画に上げた組織の良識を疑う。そして小池都知事が「長沼ボート場案」を掲げたら、一気に300億円台に削減されたのも“唖然”だ。やはり東京大会の運営組織のガバナンスの欠如が露呈している。海の森水上競技場以外に同様に“杜撰”に処理されている案件が随所にある懸念が生まれる。事態は、予想以上に深刻だ。
 4者協議のトップ級会談で、組織委員会の武藤事務総長は“2兆円”を切る”と言明したが、コーツIOC副会長に「“2兆円“の上限だが、それも高い。節約の余地が残っている。2兆円よりずっと下でできる。IOCは、それははっきりさせたい」と明快に否定された。
 実は、“2兆円”の中で、新国立競技場や東京都が建設する競技場施設の整備費は20%程度で、大半は、組織委員会が予算管理する仮設施設やオーバーレイ、貸料、要員費などの大会運営費を始め、暴騰した警備費や輸送費などで占められているのである。IOCからはオーバーレイや施設の貸料が高すぎると指摘され、“2兆円”を大幅に削減した開催経費を年内にIOCに提出しなければならない。勿論、経費の内訳も明らかにするのは必須、都民や国民の理解を得るための条件だ。
 組織委員の収入は約5千億程度とされている。開催経費の残りの1兆円3000億円以上を、国、都、関係地方自治体が負担しなければならない。一体、誰が、何を、いくら負担するのか調整しなければならない。しかし未だに実は何もできていないことが明らかになっている。
 ガバナンスの欠如が指摘されている今の組織委員会の体制で調整が可能なのだろうか?
 国際オリンピック委員会(IOC)にも危機感が生まれているだろう。世界は東京大会の運営をじっと見つめているに違いない。
 2020年まで4年を切った。

会見終了後、自ら進んで笑顔で握手して報道陣に“親密さ”アピール 2016年12月2日 筆者撮影

海の森水上競技場、アクアティクスセンターは新設 バレー会場は先送り 4者協議
 2016年11月29日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が、東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は計画通り海の森水上競技場を整備し、水泳競技場はアクアティクスセンター(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、建設する方針を決めた。一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さす、12月のクリスマスまで先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は、ボート・カヌー競技の事前合宿地とすることを、コーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。
 海の森水上競技場は当初の491億円から300億円前後に整備費を縮減。アクアティクスセンターは座席数を2万から1万5000席に減らし、大会後の減築も取りやめたことで当初の683億円から513億円に削減された。
 高騰が懸念されている開催経費について、組織委員会の武藤敏郎事務総長は「総予算は2兆円をきる」との見通しを示し、「これを上限として、予算を管理しなければならない」とした。
 これに対し、IOCのコーツ副会長は「2兆円が上限というのは高過ぎる。それよりはるかに削減する必要がある」と述べ、さらに削減に努めるよう求めた。
 またコーツ副会長は、会合終了後、記者団に対し、組織委員会が示した2兆円という大会予算の上限については組織委員会が示した2兆円という大会予算の上限については、「特に国際メディアの人に対して」と注釈を付けた上で、「IOCが2兆円という額に同意したとは誤解してほしくない」と、了承していないことを強調した。その理由については、「大会予算は収入とのバランスをとることが大切で、IOCとしては、もっと少ない予算でできると考えている。現在の予算では、調達の分野や賃借料の部分で通常よりもかなり高い額が示されているが、その部分で早めに契約を進めるなどすれば、節約の余地がある」と述べた。


四者協議トップ級会合 東京・台場 2016年11月29日 筆者撮影


上山都政改革本部調査チーム座長と小池都知事 四者協議トップ級会合 東京・台場 2016年11月29日 筆者撮影


海の森水上競技場 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル

小池都知事が“主導権” 四者協議トップ級会合
 四者協議トップ級会合は当初、一部非公開で議論される予定だったが、小池百合子都知事の意向で完全公開となった。会合後に記者団に対して、小池知事は、「フルオープンでない部分があると聞いて、だったら最初から結論を言ったほうがいいと思って、そのようにした」と述べ、変更した理由を明らかにした。まずは異例の“全面公開”の会合にすることで小池都知事のペースで始まった。
 小池都知事は、議論を後回しにして、冒頭で「ボート・カヌー会場は海の森水上競技場、オリンピック アクアティクスセンターは予定通り建設、バレーボール会場は先送り」の東京都案を明らかにした。これに対して組織委員会は不満の意を唱えたが、進行役のコーツIOC副会長が引き取って、IOCとして東京都案を支持すると表明し、東京都案はあっさり承認された。
 小池都知事は会合開始直前に、コーツ副会長に“直談判”をして、“全面公開”と“バレーボール会場の先送り”を承諾してもらったことを、報道ステーション(11月30日)に出演して、明らかにしている。小池都知事は、ボート・カヌー会場を海の森水上競技場することの“見返りに”、バレーボール会場の先送りをIOCに認めさせたのであろう。IOCは、渋々認めたというニュアンスが、「(横浜アリーナの検証作業は)大変な作業になる。野心のレベルが高い作業だ」(コーツ氏)という発言から伺える。
 また小池都知事は、「日常的にメールでコーツ副会長とは連絡を取り合っている」(報道ステーション)と、コーツ副会長とのホットラインが築かれていることを明らかにした。どうやらIOCとのパイプは、森氏だけではなくなったようである。会合が終わって、真っ先に小池都知事がコーツ副会長に近づいて笑顔で握手をしていた。 
 森組織委会長は、東京都のバレーボル会場の横浜アリーナ案について強く反発し、「クリスマスまで何を検証するのか」とか「僕の知りうる情報では横浜の方が迷惑していると聞いている」としたが、これに対して小池都知事は「横浜市にも賛同してもらったところで、お決め頂いたら是非やりたいという言葉を(横浜市から)もらっていた」と反論した。
 双方、言い分がまった違うので、一体どうなっているのかと思ったら、会合終了後、組織委員会から記者団に対して、「先ほどの森組織委会長の発言は、“迷惑”としているのは事前に何の相談もなかった競技団体で、『横浜』ではありません」と訂正要請がされた。森組織委会長は小池都知事にボート・カヌー会場の見直しや横浜アリーナ案に対して、たびたび強い口調で批判をし、両者の間に“火花”が散っていた。
 ちなみに林横浜市長は「困惑はしていない。要請があればそこからスタートする。ちなみに林横浜市長は「困惑はしていない。要請があればそこからスタートする。積極的に是非やってほしいという言い方はとてもできない」と微妙な立場を述べている。
 また横浜市は東京都と組織委員会に対して、書面(11月25日付)で「国際、国内の競技団体、さらにIOCの意向が一致していることが重要」とか「(民有地を利用する際の住民理解や周辺の道路封鎖などは)一義的に東京都や組織委員会が対応すべき」と事実上難色を示しているこが明らかになった。横浜市は、四者協議の資料として提出したもので、具体的な内容は「配慮のお願い」で新たな意思決定ではないとした。
 さらに開催費用の議論については、東京五輪大会をめぐる“迷走”ぶりを象徴している。
 森組織委会長は、「“3兆円”を国民に言われるとはなはだ迷惑だ」と都政改革本部を批判した。これに対して小池都知事は「“3兆円”は予算ではなく、大会終了後、結果として総額でいくらかかったかを試算するものだ。予算段階では公にできないものもある」と反論した。また森組織委会長は、「警備費や輸送費などは国が持つことを検討してほしい」と述べたのに対し、丸川五輪相は「平成23年の閣議了解で大会運営費は入場料収入や放送権収入でまかなうとしている」と述べ、否定的な姿勢を示した。IOCのメンバーを前に、開催費用や費用負担を巡って、組織委員会、国、都がバトルを繰り広げたのである。コーツIOC副会長は、「関心を持って聞いた」としたが、本音、何ともお粗末な東京五輪の運営体制と唖然としたに間違いないだろう。東京大会の招致で高らかに世界各国に訴えた“マネージメント力の卓越さ”は一体、どこへいったのか? 
 組織委員会は、開催費用の総額を“2兆円”とトップ級会合で明らかにして四者協議でコンセンサスを得たいという思惑があったと思える。しかし、IOCから“2兆円”は高額過ぎると批判を浴び、結局、“2兆円を切る”というおおまかなことしか明らかにできなかった。組織委員会は東京五輪の開催経費の総額と詳細を今回も示せなかった。その“2兆円”もIOCから否定され、さらに大幅に削減するように求められた。組織委員会の面目はまるつぶれ、お粗末さを露呈した。IOCにとって、“経費削減”、“肥大化の歯止め”は、五輪大会の持続性を確保するために至上命題なのである。“2兆円”を1兆円以上切り込む必要が迫られている。その対象は競技場の建設費ではなく、組織委員会が管理する大会運営費である。瀬戸際に立たされたのは組織委員会だ。
 一体の東京五輪の開催経費の総額は、いつ明らかにされるのだろうか? 個々の競技場の建設費問題よりはるかに重要だ。
 東京五輪の“迷走”と“混乱”はまだまだ続きそうだ。


主導権争い激化 2020年東京オリンピック・パラリンピック 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長


問われる国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢
四者協議は“オープンな形” “リーダーはいない” バッハ会長の“約束”はどこへいった?

 2016年10月19日、組織委員会を訪れたバッハIOC会長は、記者会見で、経費削減に向けて提案した国・東京都・組織委員会・IOCとの四者協議について、緊密に連携していきたいという考えを示した。
バッハIOC会長は、「四者協議については組織委員会とも合意した。四者協議は技術的な作業部会であり、さまざまな数字や異なる予算を提示して協議していく」と述べた上で、記者団から四者協議の進め方について問われたのに対し、「作業グループは誰が仕切るとか役割分担を考えるグループではない。政治的なグループではない」と4者協議にリーダーはいないと強調した。
 さらに、11月1日から3日まで開かれた四者協議の作業部会は、国際オリンピック委員会(IOC)の意向で、全非公開とし、「会合の内容については一切公にしない」という密室の場の会議となった。しかも、会議を完全非公開にすると決めたのは、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会と相談して決めたとしている。その理由について、協議は事務レベルによるもので、11月末まで継続される見込みで、「最終的な結論となる予定はないため」としている。
 これについて、丸川五輪担当者相は「、「今回は中身が最終結論に直結しないので公開しないと聞いており、IOCと組織委員会で決めたことで、私どもは尊重したい」と述べた。四者協議における国の存在感の薄さを象徴する発言だろう。
 一方、小池都知事は、「基本的に公開すべきだ」と苦言を呈した。
「4者協議」は10月18日、バッハ会長が小池都知事と会談した際に申し入れた。小池知事はその際、「ご提案があった4者の会議は、ぜひ国民や都民に見える形で情報公開を徹底できるのであれば、よろしい提案なのではないかと思う」と、議論の透明性を要請した。
 これに対し、バッハIOC会長は、「この会談のようなオープンな形で進めていきたい。われわれとしては、どこでとか、何をとかいうことを決めているのではなく、あくまで先ほど申し上げたフェアの精神でないといけないと考えている」と答えた。
 四者協議は、基本的に“公開”するという条件で、バッハIOC会長と小池都知事は開催に合意をしたのではないか。バッハIOC会長も了解をしたはずである。
 その2週間後に開かれた作業部会は、早くも非公開、会議の内容も公表しないという方針に変換した。国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会の“密室体質”は、従来からも強く批判をされてきた。政策決定の議論は、結論もさることながら議論の経緯が重要なのはいうまでもない。やっぱりかと、国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会への信頼感を失った。
 また会議を非公開にすることは、「IOCと組織委員会で決めたこと」(丸川五輪担当相)としていることも問題だろう。バッハIOC会長は、四者協議は、「誰が仕切るとか役割分担を考えるグループではない」とリーダーのいない四者が平等な会議としていたが、実態は早くも違う。非公開を決めるなら、せめて“四者”で協議して決めるべきだろう。はやくも会議の進めかたで国際オリンピック委員会(IOC)の“力ずく”の姿勢が見え隠れしている。
 11月下旬に予定されている四者協議責任者会合は、当然、公開すべきだろう。四者協議は公開するという約束で始まったのである。

* 11月29日開催される四者協議トップ級会合は、「テクニカルグループミーティング関する報告とまとめ」と「今後についてについては公開され、「議事整理」は非公開としたが、小池都知事の直前の提案ですべて公開に変更

実務者作業部会 会場見直しや経費削減を議論
隔たりは埋まらず トップ級会合 “結論”は先送りの可能性も

 11月27日、東京都、政府、組織委員会、IOC=国際オリンピック委員会の4者協議作業部会が開かれ、競技会場の見直しや開催経費削減などについて議論が行われた。
 作業部会はIOCのデュビ五輪統括部長、都の調査チームの上山信一慶応大教授、組織委の武藤敏郎事務総長などが出席し出席非公開で行われ、焦点のボートとカヌー、バレーボール、水泳の3つの競技会場を中心に、6時間に渡って議論が行われた。競技会場の見直しについては、東京都の提案を元に、11月初めの第一回会議で課題の洗い出しが行われ、その後、候補となっている会場の視察や費用の分析が進められてきた。
 会議終了後、IOCのクリストフ・デュビ五輪統括部長は「各競技会場について詳細に検討した結果をトップ級会合に提示する。その場で最終的な決断するのか、さらに検討を求めるかは彼ら次第だ」と述べ、トップ級会合で最終的な“結論”を出すとしたが、先送りされる可能性も示唆した。一方、小池都知事も「決まるものは決まるかもしれないし、決まらないものは先に送ることになるかもしれない。明日の協議次第だと思っている」と先送りの可能性について述べている。仮に海の森水上競技場や有明アリーナが、計画は変更されるにしても予定通り建設されることになれば、それと“引き換え”に、小池都知事はIOCや組織委員会に経費削減策の具体策を求めることになるのは必至だろう。
 最終的な“結論”に至るかどうかの主導権は小池都知事に握られているのである。
 29日のトップ級会合は公開予定で、民放の午後の情報番組やNHKでは生中継も行われる。
 3会場のうち、バレーボールは当初計画の有明アリーナ(江東区)新設、横浜アリーナ(横浜市)活用の2案を中心に最終調整している。最も時間を費やして議論をしたとされている。東京都案としてバレーボール会場に急浮上した国立代々木競技場は、結局、議題には上がらなかったとされ、事実上、代々木案は消滅したと見るむきもあるが、トップ級会合で浮上する可能性もあり、。議論は難航しそうだ。ボート・カヌー会場は湾岸部に新設する海の森水上競技場を仮設施設として整備する方向が有力、大会開催後の利用の見通しについても議論された。オリンピック アクアティクスセンターは、観客席を計画の2万席から1万5千席に削減する案が検討されたが、特に異論はなかった模様だ。
 また、大会経費を抑える新たな仕組みについて具体策の検討が行われた。資材を安く調達したり、第三者による専門家チームが費用の妥当性を検証したりするなど、民間の手法を取り入れる方針だ。
 東京大会の開催費用については、東京都の調査チームは総予算が“3兆円”を超える可能性があるとしたが、四者協議作業部会は、“2兆円”との試算のをまとめ、トップ級会合に報告する予定だ。IOCは組織委の資材調達費用が高すぎる点などを見直し、経費削減を指示していたと伝えられている。
 これでようやく東京大会の開催経費の総額が初めて公式に明らかにされることになった。しかし、これが開催経費問題の“終着点”ではなく、これから開催経費の具体的な項目を個別に厳しくチェックし、経費削減をさらに図る努力が必須だ。これまでの予算管理のの“青天井”体質とは決別しなければならない。
(参考 朝日新聞 読売新聞 毎日新聞 NHK 時事通信 2016年11月28日)

五輪開催経費は誰が責任をもって管理するのか
 2016年9月下旬、東京オリンピック・パラリンピックの予算などを検証している東京都の調査チームは、開催費用を独自に推計した結果、3兆円を超えるとしたうえで、コスト削減に向け、都内に整備する予定の3つの競技会場を都外の施設へ変更するなど計画の大幅な見直しを提案し、五輪開催経費を巡って“迷走”が始まった。
 これまで開催費用については、「2兆円を超える」(森大会組織委委員会長)、「3兆円は必要だろう」(舛添要一前都知事)など曖昧な発言が繰り返されただけで、誰も開催費用の総額を明らかにしてこなかった。招致計画では約7340億円(資材費・人件費の暴騰で約8000億と試算)、関係者からは「足りるはずがないと皆で話していた」「招致のために低く見積もっていた」との声が聞こえてきたという。一体、大会開催費用は誰が責任を持つべきなのだろうか。
 2007年3月、イギリスのジョーウエル文化・メディア・スポーツ相はロンドン五輪の開催経費は約93億3500億ポンド(1兆2975億円)になる見込みだと発表した。招致計画の予算24億ポンド(約3029億円)の約4倍に膨れ上がるとした。
 経費が膨れ上がった原因は、再開発経費やインフラ投資経費も見込んでいな
かったことだと説明した。この内、約53億ポンド(約7367億円)をオリンピックパークの建設費(競技場建設を含む)、約27億ポンド(約3753億円)を予備費としている。その後、下院や監査局が予算のチェックを実施、使途の内訳や推移は定期的に公表された。そして2012年10月、英政府はロンドン五輪の総費用は予算(最終予算額92億9800万ポンド)を約3億7700万ポンド(約524億円)下回り、89億2000万ポンド(1兆1240億円)と発表した。この他に大会組織委員会の運営費が約20億ポンドかかったので、ロンドン五輪の開催経費の総額は約109億ポンド(約1兆5151「億円)としている。ヒュー・ロバートソン(Hugh Robertson)スポーツ閣外大臣は、予算内に収めた運営当局を賞賛し、「2012年ロンドン五輪が、将来の五輪およびパラリンピックの運営の新たな基準となるのは間違いない。90億ポンド以内での大会運営はほぼ達成された」と語った。
 重要なポイントは五輪開催の約5年前には、英政府は政府の責任で五輪開催費用の総額の見通しを公表し、定期的にチェックしていたことだ。ふりかえって東京大会の開催費用は総額で一体いくらになるのか、これまでは“青天井”のままで開催準備が進められ、都政改革本部が初めて、“推計”で“3兆円”を明らかにしたという経緯がある。
 競技施設整備やインフラ整備、大会運営費など開催費用は、国や都、組織委員会などがバラバラに管理し、開催費用の総額は、“青天井”で、まったくの無責任体制と批判されても致し方ない。ロンドン五輪では国が責任を持って行った。東京大会の開催費用管理の責任体制はどうするのだとうか、これからが正念場だろう。このままでは無責任体制のツケを東京都民や国民が払わされることに追い込まれる。新国立競技場の“失態”が再び繰り返されるのだろうか?

* 使用為替レート(ポンド=円)
(為替レート 1ポンド=235.6円 2007年平均)       93億3500億ポンド(2兆1993億円)
(為替レート 1ポンド=126.1円 2012年平均)       93億3500億ポンド(1兆1771億円)
(為替レート 1ポンド=139.0円 11月28日)        本稿で使用レート
*    参考
 都政改革本部調査チームの報告書は、ポンド=円の為替レートを「過去10年の最小値である2012年平均1£=126円と、最大値である2007年平均1£=236円の中間値:1£=181円で換算」し、組織委員会の経費も含めて総額を「2兆1137億円」としている。

四者協議の実務者作業部会 見直しの結論の方向性は出さず
主導権を失った組織委員会 存在感が無い国

 東京オリンピック競技会場の見直し案などを議論する四者協議の実務者会合が、11月1日から3日までの3日間に渡って行われた。
会合には、クリストフデュビIOC五輪統括部長や東京都調査チーム統括の上山信一特別顧問、武藤敏郎組織委員会事務総長、IOCのアスリート委員のコベントリー氏や組織委員会のスポーツディレクターの室伏広治氏らオリンピックのメダリストも参加した。
 2日目の会合では、上山信一特別顧問が、東京都のボート・カヌー、水泳、バレーボールの3つの競技場の見直し案を説明した。
国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会は会場変更については慎重な姿勢を示しているとされている中で、会合では、ボート・カヌーとバレーボール競技場の見直し案について議論が行われた。
 この内、海の森水上競技場については、海の森水上競技場の選定に深くかかわった国際ボート連盟の担当者も出席し、大会運営の専門的な立場から意見を述べたが、見直し案の結論の方向性は議論されなかったとされている。
またIOCの出席者からは、施設、輸送、警備費など経費が高額な組織委側の見積もりに対し、IOCから甘さを指摘する意見や、レガシー(遺産)となる部分については、地方自治体の費用負担も必要との意見も出たとされている。
 実務者会合に出席したクリストフデュビIOC五輪統括部長は、会合終了後、記者団に、「とても良い会合だった。3日間の協力について満足している。特定の方向性を打ち出すというよりも事実をつかむための情報交換を行った。東京都民や東京都にとってレガシーを残すための努力はどんなものでも歓迎する。(長沼ボート場や横浜アリーナの)選択肢は残っている。作業部会の目的は決定することではない。決定は四者協議の代表が今月末に行う」と述べ、今回の作業部会では競技会場の見直しの方向性は決めず、作業部会で出た議論を文書にまとめた上で、結論は11月30日に行う予定の四者協議の代表者会合で出すとした。
 これに対して、小池都知事は、「東京都として複数の案を示した。東京都とIOCが同じ舞台で直接会話し、同じ考えを共有できた。大変に敬意を表したい」の述べ、東京都が国際オリンピック委員会(IOC)と直接、話し合いができる場ができたことを評価した。これまで、国際オリンピック委員会(IOC)は組織委員会を窓口に大会開催計画を話し合って、事実上、決めてきた。 東京都が“交渉相手”として加わったことで、組織委員会が完全に影に隠れ始めた。 組織委員会は“主導権”を失い、東京都に表舞台に躍り出た。
 それにしても“四者協議”の“四者”の看板が泣いている。





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
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コメント

海の森水上競技場 負の遺産 負のレガシー レガシー 長沼ボート場 彩湖 陸の孤島 小池都知事 都政改革本部

2018年10月30日 15時07分04秒 | 東京オリンピック

“迷走” 海の森水上競技場





▼ 海の森水上競技場 20年程度使用の“スマート施設”(仮設レベル) 約298億円で整備 工事再開
▼ 四者協議トップ級会談 海の森水上競技場整備で合意 長沼ボート場は事前キャンプ地に
▼ 小池都知事 海の森案の経費削減した恒久施設案と仮設施設案、長沼案の3案 「決め打ち」せず四者協議に提案
▼ 海の森水上競技場、長沼ボート場、彩湖、“三つ巴”の争い激化 日本ボート協会と日本カヌー連盟 “海の森”支持
▼ 小池都知事 長沼ボート場や仮設住宅を視察 村井宮城県知事 「整備費は約200億円で収まる」
▼ 都政改革本部 調査チーム 宮城県長沼ボート場を代替地に提言
  森組織委会長 激しく反発 国際ボート連盟ロラン会長 不快感を示す 連盟として“海の森”整備を正式に要請 
  コーツIOC副会長 「これまでの都の説明と違う。改革本部の提言は信頼関係を壊す」と不快感
▼ 海の森水上競技場の整備費1038億円に膨張 “無駄遣い”の象徴として強い批判 舛添元都知事491億円に削減




海の森水上競技場  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局


海の森水上競技場の建設現場 出典 2020東京大会組織委員会




海の森水上競技場は“スマート施設”として整備
 2016年11月29日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が、東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は計画通り海の森水上競技場を整備し、水泳競技場はアクアティクスセンター(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、建設する方針を決めた。一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さす、12月のクリスマスまで先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は、ボート・カヌー競技の事前合宿地とすると、コーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。
 海の森水上競技場は、当初案では“恒久施設”として整備する計画だったが、“スマート施設”と名付けた20年間程度使用する「仮設レベル」に見直すとした。小池都知事は、「仮設というと安っぽい響きがあるので、“スマート”に名前を変えたらどうか。名前を変えるだけで随分スマートになる」述べている。
 この見直しでグランドスタンド棟や艇庫棟などを仮設レベルにしたり、テレビ中継施設を簡素化したり、追加工事費を縮減したりして、整備費を193億円縮減し、298億円(見直し前は約491億円)で整備するとした。大会後は競技団体と連携し、利用者の増加と維持費の削減を目指す。20年目以降の大規模修繕の投資判断は、運営収支、利用状況なども勘案した上で判断するとした。
小池都知事は「コーツ副会長がボートの選手で一番よくご存じだ。これについては今回宮城の長沼のボート場、これは即使えるところだが、ぜひ事前キャンプの場所として活用することをセキュアーすると言っていただいている。長沼については知事が積極的に取り組み、復興五輪という一番初めのキーワードを実現するには良い会場だと考えたが、さまざまな費用の面、ロケーションの面考えると、海の森の予定地で進めていくという案をとりたい」と述べた。その上で「(海の森水上競技場の)その後の運営を考えると、毎年かなりのコストもかかる。これについて競技連盟、競技協会がどれくらいコミットするか確認したい」とくぎを刺すことも忘れなかった。
東京都は海の森水上競技場の大会後の維持・運営費などの収支の試算を公表した。年間維持費が2億6600万円で、年間収入は約1億円、年間収支は約1億6000万円の赤字としている。 しかし、戸田ボートコースの年間収入が約900万円、海の森水上競技場の年間収入「1億円」の実現は、かなり困難だという見方が強い。
 さらに海の森水上競技場の耐用年数は50年とされているが、今後50年間の公費負担額の見込みも明らかにされている。維持管理費の公費負担が約50億円(毎年1億円の赤字補填)と大規模修繕費約102億円で、約152億円が必要としている。
海の森水上競技場は2020年東京オリンピックの“負のレガシー”のシンボルになる懸念はどうしても拭えない。





東京都オリンピック・パラリンピック準備局

小池知事 “海の森”と“長沼”案を四者協議”へ提案を表明 「決め打ちはしない」
 11月1日、都政改革本部の会合が開かれ、経費削減に向けた競技会場の見直し案の最終報告が示された。
 ボート・カヌーの競技会場については、海の森水上競技場の建設計画を見直して経費削減を行った上で「恒久施設」として整備する案と、観客席などを“仮設施設並み”にする「仮設レベル」として整備する案、さらに長沼ボート場に変更する案の3つの案について建設費や施設維持費などを示した。
 現行計画の491億円から、「恒久施設」案では328億円、「仮設レベル」では298億円に削減できるとしている。
 調査チームは、これまで候補地として提案されていた埼玉県の彩湖については、洪水や渇水対策のための調整池であり、国土交通省の管轄のため難しいという見解をすでに示しており、最終報告からは除外した。
 都政改革本部の上山信一特別顧問は「海の森水上競技場は工事が始まっているので明らかに本命であるが、今回はそれ以外も考えようとしている。アスリートの声は大前提として重要だが、実現可能性の確率が高く、時間がかからないことが絶対的な条件だ」と述べている。
 宮城県の「長沼ボート場」に変更する場合は、県の試算として150億円から200億円としている。





バッハIOC会長 「複数種目を被災地で」提案 安倍総理と会談
 2016年10月19日、バッハIOC会長は、総理官邸で安倍総理と会談し、東京オリンピック・パラリンピックの複数の種目を東日本大震災の被災地で行う構想を提案した。
 会談後、バッハIOC会長は、記者団の質問に答え、「イベントの中のいくつかを被災地でやるアイデアを持っているという話をした」と語り、東京オリンピック・パラリンピックの複数の種目を東日本大震災の被災地で行う構想を安倍総理に提案したことを明らかにした。これに対し安倍総理は、「そのアイデアを歓迎する」と応じたという。
 またバッハ会長は 「復興に貢献したい。世界の人たちに、復興はこれだけ進捗していることを示すことができる」とし、大会組織委員会が福島市での開催を検討している追加種目の野球・ソフトボールについては、選択肢の1つとした上で、 「日本のチームが試合をすれば、非常にパワフルなメッセージの発信につながる」と述べた。
 野球・ソフトボールの開催地を巡っては、福島県の福島、郡山、いわきの3市が招致している。
 このほか宮城県利府町でサッカーの1次リーグが開催されることがすでに決まっている。また聖火リレーの出発地には、宮城県石巻市の経済団体などが名乗りをあげ、被災地と東京をつなぐルートを提案している。
しかし、ボート・カヌーの会場見直しについては安倍総理との会談で話題にはならなかったとした。


小池知事がコスト削減説明 バッハIOC会長は理解示す 4者会合開催で合意
 2016年10月18日、会談は東京都庁にバッハ会長が訪れて開かれた。
 冒頭、“3兆円”に膨れ上がったとされる開催費用のコスト削減について、小池都知事は「(競技場)の見直しについては80%以上の人たちが賛成をしているという状況にある。都政の調査チームが分析し、3つの競技会場を比較検討した。そのリポートを受け取ったところで、今月中には都としての結論を出したい。オリンピックの会場についてはレガシー(未来への遺産)が十分なのか、コストイフェクティブ(費用対効果)なのか、ワイズスペンディングになっているのか、そして招致する際に掲げた『復興五輪』に資しているかということがポイントになる」と述べた。
 これに対し、バッハ会長は「“もったいない”ことはしたくない。IOCとしてはオリンピックを実現可能な大会にしていきたい。それが17億ドル(約1770億円)を(組織委員会に)拠出する理由だ」と語り、小池都知事は親指を挙げて笑顔で答えた。
 そして、バッハ会長は、コスト削減を検討する新たな提案として、「東京都、組織委員会、日本政府、IOCの四者で作業部会を立ち上げ、一緒にコスト削減の見直しを行うということだ。こうした分析によってまとめられる結果は必ず“もったいない”ということにはならないと確信している」とした。
 これに対して小池都知事は、「来月(11月)にも開けないか」と応じた。
 また抜本的な見直しの検討が進められている海の森水上競技場については、会談に中では、長沼ボート場や彩湖の具体的な候補地は出されなかった。
 バッハ会長は、「東京が勝ったのは非常に説得力のある持続可能で実行可能な案を提示したからです。東京が開催都市として選ばれた後に競争のルールを変えないことこそ日本にとっても東京にとってもIOCにとっても利益にかなっていると思う」と暗に海の森水上競技場の見直しを牽制した。
 会談は、当初は、冒頭のみ報道陣に公開する予定だったが、小池都知事の要請で異例の全面公開となった。殺到した取材陣は合計139人、午後2時過ぎに行われたこともあって、民放の情報番組では生中継で会談の模様を伝えた。
 11月に開催される4者協議も、小池都知事はオープンにしたいと要請し、バッハ会長もこれを承諾したとされている。
 翌朝の朝刊各紙は、「同床異夢」(朝日新聞)、「四者協議 都にクギ」(読売新聞)、「IOC会長 先制パンチ」(毎日新聞)、スポーツ紙では「小池知事タジタジ、IOC会長にクギ刺されまくる」(日刊スポーツ)などの見出しが並んだ。
 小池都知事は、東京都が主導で3会場の抜本的な見直しをまとめ、その後、組織委員会やIOCと協議を行うという作戦だったが、コーツ会長の「四者協議」提案で、思惑通りいかない状況になってきたのは誤算だっただろう。しかし、「四者協議」の具体的な見直し案を提出できるのは東京都しかないだろう。東京都の掲げる「復興五輪」を組織委員会も国も反対できない。しかし、IOCも絡んできたことで、“混迷”は更に深刻化したことは間違いない。一体、誰がどのように収束させるのだろうか?まったく見通せない状況になった。

 
海の森水上競技場、整備費300億円程度に削減 都が試算
 東京都が2020年東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場に計画している「海の森水上競技場」の整備費について、現行計画の491億円から300億円前後に削減する試算をまとめていたことが明らかになった。テレビ中継用桟橋設置をやめることで約60億円、予備費90億円の削減、屋根付きの観客席の縮小や艇庫を仮設施設にするこことで約40億円、合わせて約200億円の事業費を抑制するとしている。

小池都知事 長沼ボート場や仮設住宅を視察
 2015年10月15日、小池都知事は宮城県登米市の長沼ボート場を視察した。村井宮城県知事が同行した。
長沼ボート場への開催については、大会組織委員会は交通事情や整備経費増大の懸念など9つの問題を指摘し難色を示したが、村井知事は9つの問題はいずれも解決できるとした上で、「会場の整備は都の試算(約350億円)を下回る約200億円で収まる見込み」と述べ、被災地での開催に強い意欲を示した。
 また小池知事は、長沼ボート場から約7キロ離れた仮設住宅団地を訪れ、県が選手村の宿泊施設用に改装した部屋を視察した。2世帯分を1部屋にリフォームした部屋で、11畳のダイニングルームも備えられていてバリアフリーにも対応しているという。
 視察後、小池都知事は「やはり復興五輪というメッセージは私はパワフルなメッセージと思っているし、被災地で使われた仮設住宅が今度は五輪・パラリンピック用によみがえるというのは、一つの大きなメッセージとなり得ると思った。今日の現地視察をベースに東京都としての選択をしっかり定めていきたいと思っている」と述べた。
 これに対し、村井知事は「小池都知事には長沼の良い面がしっかりインプットされたのではないかと思う」と語った。
 さらに都政改革本部がボート・カヌー会場見直し案を発表する前に、小池都知事が村井知事と事前に話し合いを行っていたことが明らかにされたことを巡り、大会組織委員会は「水面下で他の県知事と話し合うのは極めて不透明なやり方」と反発した。これに対して、村井知事は「決して小池都知事と私が水面下でいろいろ話をしたということではなくて、あれを聞いて非常に組織委員会に不信感をもった。逆にね。結局なんでもかんでもいちゃもんをつけているようにしか見えない。あれじゃオリンピックはうまくかないと思う」と述べた。また小池都知事は、「知事同士情報交換をするのは当然、不透明という批判は当たらない。透明にすべきことはたくさんある。だからこの見直しを多くの都民が望んでいる」とした。
 一方、上田埼玉県知事は、ボート・カヌー会場として、彩湖の受け入れを改めて表明した。上田知事は「受け入れる気持ちがないと小池都知事が判断されたんだったらそれ誤解だということだから、正式に私たちも、国交省の理解があれば、しっかり受け入れるということを表明した」と彩湖開催に前向きな姿勢を示した。(出典 TBS報道特集 2015年10月15日)


五輪ボート会場、埼玉も誘致へ
 2016年10月14日、小池都知事は、記者会見で、ボート・カヌー会場を彩湖(埼玉県戸田市)に計画変更する案を埼玉県の上田清司知事が「十分です」と断ってきたと述べた。一方、上田氏は「(小池氏から)打診を受けたことはない」と否定し、誘致の意向を表明した。
 小池氏は「上田知事から『主要な競技がすでに会場として(埼玉県内に)来るので十分だ』と聞いた」と明かした。この発言を受け、上田氏は記者団に対し、「申し入れが全くないのに辞退のしようがない。とんでもない話です」と述べた。小池氏と五輪の話は「していない」という。
 その後、上田氏は「大会組織委員会の顧問という立場から誘致を自粛していたが、(小池氏の発言を受けて)考えを変えざるを得ない」とする談話を出し、積極的な誘致に転じる考えを示した。
 こうしたやりとりに大会組織委員会は同日夜、「国際競技連盟や国内競技団体に意見を聞いていないのに、小池氏が水面下で他県知事とだけ話し合うのは極めて不透明なやり方だ。混乱した事態を収拾していただきたい」と異例の文書で発表し、報道各社に一斉に送り、小池氏への反発を強めている
 小池都知事、森喜朗組織委会長、宮城県、埼玉県、日本ボート協会、戸田監督会などの競技者組織、それに国際ボート連盟や国際オリンピック委員会(IOC)、関係者で合意に至るのは至難の技だ。
 また「復興五輪」の理念をどうするかという問題も重要で、こうなると単にスポーツ関係者の判断だけでなく国の関与も不可欠だろう。
 海の森水上競技場を巡る問題は、一気に“混迷”を深めていきそうだ。


小池都知事 村井宮城県知事と会談 海の森水上競技場見直し
  2016年10月12日、小池都知事は海の森水上競技場の見直しを巡り村井宮城県知事と会談した。村井宮城県知事は、都政改革本部が宮城県登米市の長沼ボート場を代替候補地として提案したことを歓迎するとしたうえで、長沼ボート場での開催へ協力を求めた。
会談では、村井氏は用意していた資料を差し示して説明しながら、東日本大震災の仮設住宅をボート・カヌー競技選手の選手村として再利用することや、整備中の自動車道による交通アクセスの確保、大会関係者の宿舎に近隣のホテルを活用するなどの計画を示した。 また高校総体のボート会場として毎年活用したいという構想も明らかにした。
 会談後、村井宮城県知事は、「被災者の皆さまと話をすると忘れ去られてしまう記憶の風化が非常に怖いとおっしゃる。2020年はちょうど震災から丸10年、多くの皆さまに来ていただいて改めて被災地の復興した姿を見ていただき、改めて被災者を激励してもらいたい」と語った。
 これに対し小池知事は、「選択肢としての一つだが、思い入れは十分に受け止めた」と述べた。

 これに先立ち、村井宮城県知事は前オリンピック・パラリンピック担当大臣で組織委員会理事の遠藤利明氏や武藤敏郎事務総長と会談した。
 会談では、組織委が長沼ボート場について9つに課題を指摘した。

・選手村の分村の設置
長沼ボート場は東京・有明地区の選手村から遠距離にあるため、選手村の分村の設置が必要で、オリンピックで1300人以上、パラリンピックで250人以上の宿泊施設を用意しなければならない。仮設住宅の転用で対応すると、パラリンピックの選手に使ってもらうためには利便性に課題が残る。
・パラリンピックへのバリアフリー対応
 競技会場には車いすの選手が利用できる間口の広いトイレや、すぐ横にシャワースペースも必要になるとし、会場についても高低差10メートルほどの斜面もあり、パラリンピックの開催に適さない。
・輸送に問題点
仙台から85キロあり、パラリンピックの選手に負担が大きく、最寄り駅の1つにはエレベーターやエスカレーターがない。
・会場に斜面が多く、整備が困難
 会場周辺は斜面が多く、放送設備を置くためのスペースの確保などが難しく、周辺道路も狭い。
・電力通信インフラが未整備
国際映像を配信するための電力や通信関係のインフラが整備されていない。
・観客や大会関係者の宿泊施設不足
・選手の移動などに負担大
 空港から距離があり、選手の移動に負担がかかることや、カヌーはスラロームとスプリントが別の会場で実施されることになるためコーチなどスタッフの対応が難しくなる。
・整備経費増大の可能性
都政改革本部の調査チームの試算ではおよそ350億円とされているが、バリアフリー化や電力・通信、宿泊関係などにかかる費用が含まれていないので整備経費は更に膨れ上がる可能性がある。一方、海の森水上競技場はコスト削減の余地があり結果的に低コストになるのではないか。
・レガシー(遺産)が残らない
 
 会談後、遠藤理事は、「東京都を含めてそれぞれの組織や団体が時間をかけて丁寧に精査し、現在の計画が最良の場所だと決めた。その中でIOC=国際オリンピック委員会などの理解を得られるのかどうか、難しい課題がいっぱいある。問題点のうち、いくつかはすでにクリアしているということだが、いちばん大きい問題は、現地で負担する費用の問題だと思う」と述べた。
これに対して村井宮城県知事は「組織委員会は消極的で『しょせん無理だ』という感じだった。長沼のボート場でできない9つの理由を挙げていたが、すべてクリアできると考えている。1000年に一度と言われる震災から立ち直ったのだから、やる気を出せば4年あればできる。できない理由よりもやれる方法を考えるべきで、森会長のリーダーシップに期待したい」と述べた。

「復興五輪」は国の責任
 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は招致の段階から、東日本大震災からの“復興”を掲げ、「復興五輪」を国や組織委員会は繰り返し強調してきた。
 2015年11月27日、政府は2020年東京オリンピック・パラリンピックについて基本的な考え方、施策の方向を閣議決定した。 その中で、「世界の注目が日本に集まる機会を活かし、『復興五輪』として、復興の後押しと なる取組を進める」とした。そして「国民総参加による『夢と希望を分かち合う大会』を目指し、「大会の効果が東日本大震災の被災地を含む日本全体に波及し、国民全体に参加 意識が醸成されるよう努める」とした。
 政府は大会開催にあたって、「復興五輪」を国民に“公約”したのである。2020年東京オリンピック・パラリンピックは「復興五輪」を高らかに掲げた大会なのである。 
 しかし、開催準備が進められる中で、「復興五輪」は雲消霧散してしまっている。カヌー・ボート競技会場の見直し問題をきっかに「復興五輪」という理念にどう取り組むのか、もう一度、考え直す必要があるのはないか。「復興五輪」の理念を具体化する取り組みを牽引するのは、組織委員会や都もさることながら、国であろう。丸川五輪相は、組織委員会や都の対応に委ねるのではなく、主体的に「復興五輪」に向けて取り組む責任がある。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックをレガシー(未来への遺産)にするためにも……。




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都政改革本部「海の森水上競技場」抜本的見直し
宮城県長沼ボート場を代替地に提言

 2016年9月29日、2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の検証する都政改革本部の調査チームは調査報告書を小池都知事に提出し、「海の森水上競技場」にも言及し、当初計画の7倍の約491億円に膨れ上がった経費に加えて、「一部の競技者が会場で反対している」「大会後の利用が不透明」などとして、宮城県長沼ボート場を代替地に提言した。長沼ボート場は「復興五輪」の理念にも合致するとしている。


アイエス総合ボートランド(宮城県長沼ボート場)  宮城県登米市
延長2000m、幅13.5m、8コース  (日本ボート協会A級コース認定 国内で唯一) 
1999年 シドニー五輪アジア予選大会開催
カナダが東京五輪の事前合宿地の候補地として視察


 海の森水上競技場の整備経費の高騰については、湾岸エリアの水路に整備するため様々な課題が存在し、その対策のための整備費が予算の高騰を招いたと指摘し、招致段階では69億円が、その後の現地調査等の結果、1038億円を超える整備費が見積もられ、削減努力後も491億円が必要された。


都政改革本部 調査チーム 調査報告書
 
 調査チームでは、ボート協会(NF)は海の森水上競技場を恒久施設として整備することを訴えているが、首都圏のボート・チームや全国の選手の一部からその立地に疑義が出され、競技会場として有用性・利便性について疑問が残されているとした。
 さらに五輪開催後のレガシーとしては、収入、ランニングコストなど具体的な収支計画は現時点では不透明な部分が多いと指摘した。


都政改革本部 調査チーム 調査報告書

 他の会場への代替の可能性については、オリンピックのような国際大会が開催可能な河川、湖は国内他地域に複数存在し、これまでも他代替候補地の検討が行われた。代替候補地がオリンピック要件を満たすためには、改修費用や高額の仮設費用が必要とされており。現在は海の森水上競技場が国際競技団体(IF)や IOCが承認した開催地として妥当とされている。
 しかし、仮設費用の大部分が観客席やTVカメラレーン等を設置する仮桟橋工事等のためであり、競技団体との交渉次第では、他代替候補地がより低コストで整備できる可能性はあるとした。
 また、整備費の試算額がまったく不明瞭で、仮設費の項目で、他の候補地が約170~180億円計上しているに対し、海の森水上競技場の約28億円とし、仮設費の内、「観客席・外溝・仮桟橋等」は協議中として、経費を計上していない。余りにも杜撰で不公平な整備費試算の比較である。海の森水上競技場の整備額を不当に低く見せていると批判されてもしかたがないだろう。
 問題は仮桟橋で、海の森水上競技場以外は、約140億円の設置費用を計上している。仮桟橋は、ボート・カヌー競技する中継カメラの移動トラック・レールを設営するためのもので、2000メートルのコースの両側に仮設で建設するものだ。もちろん大会開催時のみ使用する仮設施設である。
海の森水上競技場は陸上部分に中継カメラの移動トラック・レーンが設営可能なので仮桟橋は設置しなくても済む。ところが国際オリンピック委員会(IOC)の基準によれば仮桟橋の設置は義務でななく、コースの幅を135メートル確保すればよいとしている。リオデジャネイロ五輪では、中継カメラを積んだモーターボートが並走して競技を生中継している。つまり140億円の仮桟橋はあってもなくてもいいのである。
 唖然とするほど杜撰な見積もりである。東京都が試算した海の森水上競技場、長沼ボート場、彩湖の整備費の試算全体が、果たして適正に行われたのか深い疑念が生まれる。まず、第三者機関が3つの候補地について、整備費のきちんとした試算を実施すべきであろう。
 都政改革本部調査チームでは、競技開催地については海の森水上競技場に加え、その他代替候補地も含めて再度検証すべきだと結論づけた。


都政改革本部 調査チーム 調査報告書


都政改革本部 調査チーム 調査報告書


 今後の課題と必要なアクションとして
▼ 海の森競技会場のコスト削減、レガシー収支改善の再検討
例:水位維持のための恒久的な締切堤、遮水工は必要か? 例:仮設化によるコストダウンは可能か?
▼ ボート協会(NF)と都オリンピックパラリンピック準備局による具体的なレガシーとしての需要予測の精査
例:ボート施設利用競技団体、利用者予測は? 例:恒久施設としてのランニングコストと収入予測は?
▼ 代替候補地の再検討
例:候補会場の整備費用、大会後のランニングコストと収入予測は? 例:仮設シナリオの場合コスト試算の再検討 (高額な仮桟橋設備は本当に必要か?等)
 調査チームでは、以上のような項目を挙げている。


“混迷” 組織委・競技団体の反発
 都政改革本部の調査チームは調査報告書のこうした提言に対し、激しい反発が起きている。
 森組織委会長は、「IOCの理事会で決まり総会でも決まっていることを日本側からひっくり返すということは極めて難しい問題」と述べ、海の森水上競技場については、「宮城県のあそこ(長沼ボート場 登米市)がいいと報道にも出ているが我々も当時考えた。しかし選手村から三百何十キロ離れて選手村の分村をつくることはダメなことになっているし経費もかかる。また新しい地域にお願いしてみんな喜ぶに決まっているが、金をどこから出すのか。東京都が代わりに整備するのか。それはできないでしょう法律上」と否定的な考えを示した。
 10月3日、海の森水上競技場の視察に来日していた国際ボート競技連盟のロラン会長は、視察後、「(海の森水上競技場は)ボート会場には適切だ。非常に満足しているし、このプロジェクトにも満足だ。今のところ、1つのプロジェクトしか存在しない」と述べた。さらにロラン会長は、「立地もよく、検討すべき点もあるが、最良ということで決定され、現在の準備状況に満足している」と強調した。
その後、ロラン会長は小池都知事と会談し、小池都知事は「都政改革を訴えて今回の知事選に当選をした私として、もう一度オリンピック・パラリンピックにかかる経費、そしてまた、さまざまな環境整備を見直すべきではないか、実はこのことを訴えて知事になったようなものだ。費用の見直しについての世論調査は、80%以上の方が見直しということに賛成をしている。東京オリンピック・パラリンピックを成功させる最善の方法を見出すことを短期間で努めたい」と述べた。
 これに対し、ロラン会長は「直前に海の森から変わるかもしれないと報道で知って驚いた。承認済みのことに関して、我々に事前に相談がなかったことが残念。なぜこうなったのか深く知りたい」と不快感を示した。
 そして「決定ではなくこれから検証段階であると聞いたが、これは非常に重要なことだ。この報告書は第1ステップであり、報告書を改善するための手伝いをしたい。一部分だけでなく、すべての要素を全面的に検討して結論を出してもらいたい」とけん制した。長沼ボート場に変更する案については、「競技会場は、いろいろな基準を満たさないといけないが、東京から遠く、アスリートにとってベストの経験にならないのではないか。2年前にIOCや東京都などが調査をして専門家がまとめた分析では、宮城開催が将来にわたって地元によい効果をもたらすのかという点で、ほかの候補地に比べて評価が低かった」とした。
 また日本ボート協会の大久保尚彦会長は、「単に東北復興支援ということでは本当にワンポイントになってしまう。将来のレガシーにまったくならない。私はまだまったく理解できない」と強く反発している。また原理事は「海の森水上競技場でもう少しコストを下げられないかということをまず先に勧化ルのが筋であって、競技団体に一言の相談もなく突然マスコミの中で世論を誘導しているような状況に今なっているのが残念だ」と述べた。
 一方、IOCのバッハ会長は、東京五輪の開催費用の増加について、「東京における建設費の高騰は我々も把握している。東日本大震災からの復興などそのほかの理由もあるだろう」とし「建設的な議論をしたい」として柔軟に対応する姿勢で、今後東京都や組織委員会と協議を始める意向を示した。
 スポーツ・ジャーナリストの二宮清純氏は、「アスリート・ファーストなら彩湖、復興五輪ファーストなら長沼ボート場、IOC・IF(国際競技連盟)ファーストなら海の森水上競技場」としている。
 報告書の提案を実行していくためには、国際競技団体や国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受け直す必要がある上に、海の森水上競技場にこだわっている国内の競技団体や大会組織委員会、そして国などとの調整も必要で、実現には難関は多いと思われる。
 小池都知事は難しい決断を迫られている。

唖然とする“専門家”の“言い訳” 膨れ上がった施設整備費
  2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催費用は招致段階では、全体で約7340億円としたが、それが“3兆円”に7倍以上膨れ上がる可能性があると指摘され、激しい批判が浴びせさられている。
 これに対して、日本スポーツ法学会理事の専門家は、招致ファイルの段階では、“本体工事”のみを算出して“周辺工事”は算定していないので“当然”とする発言を繰り返している。また建築費の値上がりや入札制度が原因だと発言などとしている。
 本当にそうなのだろうか、発言する前にきちんと事実関係を把握してこそ専門家だろう。見識を疑う。
 海の森水上競技場で検証してみよう。招致段階では約69億円、その内訳は陸上施設64億円、水上施設15億円、消波装置1億円、防風林3億円である。
 額は少ないが、周辺整備費として防風林3億円が計上されているのである。
 これに対して現在の整備計画の経費は約491億円を検証してみると、内訳は本体工事費が251億円、インフラ整備費が86億円、調査設計費が19億円、工事中のセキュリティ費が21億円、建設費の値上がり91億円、消費税増分が23億円としている。本体工事だけで比較しても約4倍に膨れ上がっているのである。 コースを海から遮断する「締め切り堤・水門」や「護岸遮水・揚排水」工事はボート・カヌー競技場建設の本体工事だろう。まさか、招致段階では海から遮断しないで競技を開催できるとでも思っていたのだろうか。“周辺整備”を入れていないから約4倍に膨れ上がったという説明はまったく説得力がない。インフラ整備費は全体の20%程度なのである。
 そうすると必ず建設経費の暴騰を理由に挙げる。
 しかし、建設費の値上がりだけでは、整備費は2倍、3倍にならない。
 海の森水上競技場で言えば、建設費の値上がり分は91億円と明らかにしている。約20%程度である。新国立競技場の建設計画見直しに際も、建設費値上がり分は約25%程度としている。
 9月放送のNHKの番組、「リオから東京へ オリンピック・パラリンピック」の中でで、NHK解説委員は、「招致段階では開催費は7340億円だったが、その後資材や人件費の高騰ということもあって、森組織委員会会長も“2兆円”や“3兆円”になるのではないか発言している」とコメントした。開催経費が膨れ上がった原因を“資材や人件費の高騰”にしている。ほかのニュース番組でも同じような発言をしている。“資材や人件費の高騰”では7倍超にはならいのは明らかだ。事実関係を踏まえた説得力のあるコメントをしてほしい。
 総合評価方式や設計・施工一括方式など入札制度の責任にする専門家もいるが、発注側が定める入札前の予定価格の段階ですでに何倍にも高騰しているのである。落札率が99%台という高止まりになるという問題はあるが、そもそも予定価格が2倍、3倍なっているのである。
 招致の競争を勝ち抜くために開催経費はなるべく安く記載しなければならないとする専門家もいるが、オリンピック・パラリンピック招致を都民や国民が賛同するための判断材料にするためには開催経費は極めて重要なポイントとなる。東京オリンピック・パラリンピックの招致を決める際に、“2兆円”、“3兆円”という数字を明らかにしたら、都民や国民は納得しただろうか?
 都民や国民を欺いたことにはならないだろうか?
 海の森水上競技場を巡って、「そもそも69億円をベースに考えるとこまる。はっきりいって69億円はいいかげんなものだから」、元宮城県知事の発言である。簡単に言ってほしくない。このような認識で税金を投入する施設整備計画がまかり通って良いはずがないのは常識である。
 百歩譲って、招致が決まって準備作業が本格化した段階で、早期に開催費用を都民や国民を明らかにしなければならない。杜撰な開催計画のツケがまた都民や国民に回されそうとしている。
 新国立競技場の“迷走”が再び繰り返えされ始めた。


“疑念”噴出 海の森水上競技場

 東京五輪のボート・カヌー競技場が整備される“海の森公園”は、ごみと建設残土で作られた中央防波堤内側の埋立地で、1230万トンのごみが高さ約30メートルにわたって積み上げられた“ごみ山”だった。
 この土地を東京都は緑あふれる森林公園にして東京湾の玄関口にふさわしい臨海部のランドマークにしようとするのが“海の森”プロジェクトである。工事に2007年から始まった。広さ約88ヘクタール、日比谷公園の約5.5倍の広大なスペースに約48万本の木々が植えられる計画だ。
 高度成長期の“負の遺産”を、未来への遺産(レガシー)に変えようという狙いは大いに評価したい。


海の森公園 出典 東京都港湾局 Dream Imagination


 ボートとカヌーの競技場となる海の森水上競技場は、この“海の森公園”の防波堤内の埋立地に挟まれた水路を締め切る形で施設を整備する計画である。
 招致計画では、水門や観客席の工事で整備費を約69億円とした。当然必要とされる工事費が含まれていない極めて杜撰な整備計画だった。
 その後の東京都の調査で、軟弱な地盤強化や潮流を遮る堤防の追加工事、コースの途中にある中潮橋の付け替え工事、護岸からの跳ね返り波を防止する消波装置の設置などが必要とわかり、あらためて整備を積算すると当初計画の15倍の1038億円に膨れ上がることが判明した。
 舛添前知事は、東京都の施設整備費が、全体で当初計画では938億円だったが、その後の見直しで約5倍の4584億円に膨れ上がる分かり、これでは東京の財政がもたないと施設整備費の大幅削減に乗り出した。
 「海の森水上競技場」は杜撰な整備計画のシンボルとなり、仮設施設への変更や水門の形状の変更や護岸延長の縮小、観客席の移設など会場レイアウトの変更などにより整備費を約491億円に約半分に圧縮ことした。
 見直された計画では、延長約350メートルの締め切り堤などの港湾施設や、水門2基、揚排水施設各1カ所を整備、実施設計では会場周辺の水面や空を引き立たせるために、水門などの土木施設については、鮮やかさを抑えた色彩を採用することとした。また風速シミュレーションの結果を踏まえて、防風林の整備や、ボートの航行時に発生する波を弱める消波装置の設置も行う。建築棟は、グランドスタンド棟(S造2階建て延べ5613平方メートル)、艇庫棟(S造2階建て延べ5977平方メートル)、フィニッシュタワー(S造5階建て延べ746平方メートル)などを整備する。
観客席は、恒久施設のグランド棟2000席と大会開催時には仮設施設で関係者席2000席、一般観客席1万席、一般立見席1万席、合わせ2万4000席を確保し、五輪開催後は2000席(グランドスタンド棟のみ)まで減らす。
 しかし、この約500億円の巨額な経費で整備される海の森水上競技場巡って、数々の疑念が噴出している。


海の森水上競技場基本計画 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


海の森水上競技場基本計画ゾーニング 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局




ボート・カヌー競技の“天敵” 強い風と波 航空機の騒音 沿岸部での開催は無謀?
 カヌー・ボート競技関係者から最も批判の声が強いのが、海の森水上競技場の“強風と波”である。
カヌー・ボート競技の会場は、沼や川を利用したり、人工のコースを整備したりするがが、いずれも内陸で、強い風が吹き、波の懸念が大きい沿岸部で開催されるのは「史上初」という。
 “海の森公園”には、風力発電の風車が立ち並んでいる。沿岸部独特の強い風が常に吹いているからだ。強い風が吹けば波が発生する。 海の森水上競技場は、埋め立て地に挟まれた東西の水路がコースになる。五輪が開かれる夏場は南風が多く、競技に不向きな横風になる。護岸が垂直なため波の打ち返しがあり、護岸近くのコースと中央のコースでは不公平になる懸念が生まれる。
 都が昨年十月に公表した基本設計では、波風対策として、コース両側を水門で仕切り、コース周囲の護岸に消波装置を取り付ける。風上の南岸に高さ五メートルの防風林も植えるとしている。
 当初からアンフェアな競技運営になりかねないという懸念が、関係者から根強く出されているのである。
 加えて無視できないのが、近くの羽田空港を頻繁に離発着する航空機の騒音、離発着に備えて、低空で飛行するのでとにかくうるさい。選手や観客にとって、とてもボート・カヌー競技に集中できる環境ではないのである。
 また海水であることから、淡水と違って浮力が違うことで競技に与える微妙な影響やボートが塩害で腐食する懸念などの問題点も噴出している。
 オリンピックのシングルスカル元日本代表の武田大作氏は、「五輪を含め国際大会が海で行われることは信じられない。ボートやカヌーはバランスが重要。横風は非常に影響を受けやすい。(海の森水上競技場は)選手の立場からはやりにくい」とし、「東京の団体は戸田の漕艇場を利用している。大学の寮のような生活をしていて1階がボート置き場、2階が居住できるようになっており食事もできるので環境が良い。わざわざ環境が悪い海の森水上競技場に行く人はないと思う」(ひるおび! TBS 2016年10月4日)と述べている。
 また戸田漕艇場を拠点にしているボート競技団体で構成する戸田監督会の和田卓事務局長は「(海の森水上競技場)は居住できないんじゃないかな。極端にいうとなかなか難しい。騒音もひどいし、周りになにもないし、移動するための経費だとか環境だとかを考えたら100%いかないと思う」(報道ステーション テレビ朝日 2016年10月3日)と語っている。


戸田漕艇場 出典 blogs.c.yimg.jp

 こうした中で、埼玉県戸田市は、戸田監督会と連携して、戸田ボートコース(戸田漕艇場)の隣にある彩湖での開催を提案している。彩湖は荒川の遊水地で、全長は8.1キロメートルもあり、2000メートルのコース設営には十分だ。高規格の堤防に囲まれ、風は静かで波の影響もほとんどない。淡水湖なので塩害もない。敷地内にはプロ野球ヤクルトの2軍練習施設やサッカー場などがありスペースは十分確保できる。戸田市が元建設業者に見積りを依頼したところ、国際規格のコースが約47億円の費用で整備が可能という試算がされたという。海の森水上競技場の整備経費の約10分の1である。そこで、戸田市では彩湖での競技場計画を立て、図面も完成させて、舛添要一前知事時代の2014年9月に東京都や五輪組織委員会に要望したが、「五輪組織委員会、日本ボート協会で海の森で合意している」との回答のみだったという。五輪組織委員会では、彩湖は荒川が増水した場合に水を逃がす調整池なので競技場造るのは難しく、施設の工事には陸域の掘削など大規模な整備が必要となるなど大きな問題がり、検討はしたが断念したとしている。
 これに対して、戸田監督会の和田卓事務局長は「近くの戸田ボートコース場は、貯水池に作ったもので今も貯水池として機能を有している。同じように彩湖をボート場にしても貯水池の機能を阻害するものではない。そもそも海の森水上競技場は海水で競技には不向き」と語っている。(ワイドスクランブル テレビ朝日 2016年10月5日)
 ちなみに1964年東京オリンピックのボート・カヌー競技会場となった戸田ボートコース(戸田漕艇場)は、6コースしかなく、8コースが必要とされている国際規格を満たさないので五輪開催は不可能だ。
 ボート競技はコースに白波が立っただけでレースを行うか行わないという判断をするほど、風と波の影響は受けやすい。
 海の森水上競技場で、果たして円滑な競技運営を行う確固たる自信が五輪組織委員会や日本ボート協会にあるのだろうか。
 真夏の東京は、台風やゲリラ豪雨など気象が極めて不安定な季節であることも見逃せない。

「彩湖」を要望する戸田監督会
 戸田監督会は、昨年、競技者の声として「2020年東京オリンピックボート・カヌー競技会場の変更要望について」というコメントを出し、「彩湖」への会場変更を要望した。
その理由として、海の森水上競技場の「劣悪な自然環境」、「巨額の会場整備費」、「五輪後の活用不安」の3つの問題点を指摘している。
この内、「五輪後の活用不安」について、「五輪開催後にレガシーとして有効活用されていくとは到底考えられません。競技団体も五輪後に新たな競技普及拠点として活用する意向は皆無であり、競技会場整備費用が税金の無駄遣いとなる可能性が極めて高いです」としている。
そして代替会場として「彩湖」が最適だとした。
 「彩湖」は、「戸田ボートコースに近く、内陸部に位置するため、自然環境は良く、コース水面、公平性、環境面、経済性、アクセス等どれをとってもメリットがあり、ボート・カヌーの競技会場として、計り知れぬ可能性を秘めています。良好な水面(淡水)は十分に確認されており、またコースとして南北に設置できる点も見逃せず、『海の森競技場』に不可欠の静水化対策、防風対策等は一切不要です。「彩湖」を会場とすることにより、現在の戸田ボートコースに備わる様々な資産を活用できることは何よりのメリットです。」とした。
 更に交通機関については、首都圏や関東周辺からのアクセスは格段に良好で、選手村から若干離れるとしても、オリンピックで4競技(バスケットボール、サッカー、ゴルフ、射撃)とパラリンピックで1競技(射撃)埼玉開催となっていることから「海の森競技場」に固執する必要はないと指摘した。
 戸田漕艇場と「彩湖」を合わせて、東京都オリンピック・パラリンピック開催後、ボート・カヌー競技の“聖地”としてレガシー(未来への遺産)にするというコンセプトは、最も説得力があると筆者は考える。“復興五輪”を掲げる「長沼ボート場」案は、五輪開催の意味合いからすれば重要だと思うが、レガシー(未来への遺産)の視点で見るとどうしても疑問が残る。既存の施設が利用可能なサッカー(予選)や追加競技の野球やソフトボールの開催することで、“復興五輪”を推進したらどうか。


リオデジャネイロ五輪のボート・カヌー競技会場になったロドリゴ・デ・フレイタス湖(Lagoa Rodrigo de Freitas) コパカバーナ地区


“疑惑”の目が向けられている海の森水上競技場の入札
 「海の森水上競技場」のグランドスタンド棟や水門などの整備工事は、入札が行われ、2016年1月、新国立競技場を受注した大成建設を中心とする異業種共同企業体(JV)が248億9832万円で受注した。
しかし、入札は異例づくめで、 “疑惑”の目が向けられている。
応札したのは、大成建設など4社(河川工事)、東洋建設など2社(建築工事)、水ing(ポンプ据え付け)、水門門扉(日立造船)の共同企業体(JV)だけであった。
 また、落札価格が248億9832万円、予定価格は248億9863万9860円、落札率は99.9%、異例の落札率だった。
応札した事業体が1つだけであったことについて、東京都の担当者はポンプの据え付けや水門などの工事は専門性が高く「施工条件が厳しかったのでは」と話しているという。
 その一方で、技術点は60点満点で36点、他の五輪競技場の落札者の点数と比較すると極めて低いのが目立つ。
 今回は技術審査委員の6人のうち5人は東京都港湾局の職員、1人は五輪準備局職員、全員が都庁の職員で、第三者の委員は誰もいない。審査の公平性や不明朗さへの疑念が生まれてくる。 さらに“官製談合”と指摘する声さえも囁かれている。
 こうした“疑惑”に対し、東京都は十分な説明性が求められるのは当然だろう。


海の森水上競技場基本計画 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


“491億円”で本当に収まるのか?
 海の森水上競技場の基本計画の整備費の内訳をみると、今回、発注される約249億円の工事は、グランドスタンド棟や水門などの“本体工事”で、整備費全体の約半分にすぎない。実は当初計画の69億円に加えて、平成28年度以降措置する想定額として182億円の整備費がすでに算出されていて、合計249億円をすでに見込んでいた。それに加えて、国際競技団体等と協議中の施設整備、約60億円、工事中のセキュリティへの対応費、10億円、大会後の改修費12億円、今後追加工事が生じた場合の対応費、90億円などを想定額として計上している。この想定額というのが曖昧な数字で根拠を明らかにしていない。
 風や波の影響が懸念されている海の森水上競技場については、開催準備がさらに進みと、国際競技団体から追加工事要請が次々と舞い込むことが予想される。約60億円の想定で本当に収まるのだろうか?
 また地盤補強工事や護岸工事は難工事が予想され、想定外の工事追加の発生が懸念される。まだまだ整備費の不確定要素は大きいと見るのが自然である。
 みるみる内に整備経費が膨れ上がった新国立競技場の“迷走”の二の舞になるのではと不安視するのは筆者だけであろうか?


海の森水上競技場基本計画 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


“陸の孤島” 海の森公園 問題は深刻
 東京五輪のボート・カヌー競技場が整備される“海の森公園”は、ごみと建設残土で作られた中央防波堤内側の埋立地で、1230万トンのごみが高さ約30メートルにわたって積み上げられた“ごみ山”だった。
 この土地を東京都は緑あふれる森林公園にして東京湾の玄関口にふさわしい臨海部のランドマークにしようとするのが“海の森”プロジェクトである。  2007年工事は2007年から始まった。広さ約88ヘクタール、日比谷公園の約5.5倍の広大なスペースに約48万本の木々が植えられる計画だ。
 この“海の森公園”の防波堤内の埋立地に挟まれた水路を締め切る形でボート・カヌー競技場施設を約491億円で整備する計画だ。
 しかし、この開催計画には、現状では大きな問題がある。選手や大会関係者、観客の輸送機関の整備である。
 “海の森公園”は、とにかく都心部から遠い。しかも公共交通機関がない。道路は江東区若洲と大田区城南島結ぶ東京港臨海道路とお台場経由で都心部に行東京港く臨海道路(青海縦貫線)しかない。東京港臨海道路は、首都高速臨海線(羽田空港線)から、 “海の森公園”を抜けて、東京ゲートブリッジを通り、若狭海浜公園経由で千葉臨海部につながる。臨海道路は、基本的に大田区や羽田空港、京浜地区から千葉臨海部に抜けるバイパスであり、都心部と“海の森公園”を結ぶ道路ではない。
朝晩に集中する選手や大会関係者、観客などの輸送はどうするのだろうか?
いずれにしてシャトルバスで対応する他ないと思われるが、激しい渋滞でスムーズな運行は確保できるのだろうか、“陸の孤島”問題は深刻である。

海の森水上競技場は“負のレガシー(負の遺産)”のシンボルか?
五輪後も施設の運用に疑問が残されている。
 東京都では、競技場水面はボート・カヌーのほかさまざまな水上イベントに活用し、2000席に観客席はレストランやショップ、セミナールームに、浮桟橋はイベントスペースに、運営管理棟は宿泊施設やトレーニングルーム、艇庫などに利用するという計画で、年間35万人の来場者を見込む。
 しかし、ボート・カヌーの競技団体のほとんどは、交通の便が悪く、海風や波の影響が大きい海の森水上競技場に拠点を移す計画はないとしている。また大規模な国際大会を誘致できる保証もない。ボートの競技人口で見れば、日本国内で約8000人、内80%以上が大学生・高校生である。大学選手権など国内の大規模なボート競技大会は戸田ボートコース(戸田漕艇場)1つあれば十分であろう。
 その一方で、水門の管理や海水で建物の腐食が進む塩害対策でで維持管理費はかさむとされている。
 東京都は運営を民間委託したが、委託先は国営公園の管理を行う一般財団法人「公園財団」。イベント開催や集客のノウハウがあるとは思えない。スポーツ施設の運営管理に詳しい関係者は「アクセスが悪く、使用団体もなく、イベントもない。負の遺産になることは明白」と指摘する声も出ているという。 海の森水上競技場は、負のレガシー(負の遺産)のシンボルの道を歩むのだろうか。






海の森水上競技場五輪後利用計画 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


海の森水上競技場完成予想図 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


豊洲市場の“盛り土”問題で大混乱の東京都 五輪準備の遅れの懸念が深刻化
 豊洲市場の“盛り土”問題を巡って東京都の“大失態”が明らかになり、築地市場移転問題は大混乱に陥っている。その収拾に都政は麻痺寸前だ。リオデジャネイロ五輪が終わってあと4年を切って、2020年東京都オリンピック・パラリンピックの準備に全力疾走しないと間に合わなくなるタイミングに入った。東京都の行政マネージメント力の“お粗末”さが露呈している中で、本当に大丈夫なのだろうか? 重大な懸念が深刻化している。
 新国立競技場の“迷走”、五輪エンブレムの“白紙撤回”、政治と金のスキャンダルで辞任した舛添前都知事、そして今回の競技場整備大幅見直し、混乱はとどまることを知らない。




東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!

「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園
江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設、津波対策も課題
北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至







国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2016年10月9日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
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コメント

五輪開催経費 3兆円! 会計検査院 青天井 五輪予算隠し

2018年10月25日 08時36分46秒 | 東京オリンピック



東京五輪開催経費「3兆円超」へ 国が8011億円支出
組織委公表の倍以上に膨張 会計検査院指摘


 2018年10月4日、会計検査院は2020東京オリンピック・パラリンピックの開催経費ついて、平成25年度から29年度までの5年間に国が支出した開催経費が約8011億円に上ったと指摘した。
 これまで大会組織委員会が明らかにしていた開催経費は、総額約1兆3500億円で、このうち大会組織員会は約6000億円を、東京都が約6000億円、国が新国立競技場の建設費の一部1200億円やパラリンピック経費の一部300億円の合わせて約1500億円を負担するとしていた。
 これに対し会見検査院は、各省庁の関連施策費を集計した結果、国は1500億円を含めて25~29年度に8011億9000万円を支出していると指摘した。
 今回の指摘で、組織委が公表した国の負担分1500億円から除外した競技場周辺の道路輸送インフラの整備(国土交通省)やセキュリティー対策(警察庁)、熱中症に関する普及啓発(環境省)などの約280事業に対し、約6500億円が使われていたことが明らかになった。
 五輪開催費用については、今年1月、東京都は組織委公表分の都の予算約6000億円とは別に約8100億円を関連予算として支出する計画を明らかにしている。検査院によると、組織委が公表した予算、1兆3500億円には「大会に直接必要なもの」に限られ、国の省庁や都庁が、五輪開催経費とせず、一般の行政経費として組んだ予算は含まれていないという。
 組織員会、東京都、国の五輪関連経費を改めて合計すると、約2兆8100億円となり、今後に支出が予定される経費も含めると、「3兆円」超は必至である。




出典「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等に関する会計検査の結果についての報告書」 会計検査院

東京2020競技会場マップ



五輪大会開催経費 「1725億円」 国、会計検査院に反論

 11月30日、桜田義孝五輪担当相は、2020東京五輪大会に、国が2013~2017年の5年間に支出した経費は53事業で「1725億円」とする調査結果を公表した。会計検査院の「8011億円」という指摘に対し、内閣官房が精査した。
 桜田氏は、五輪関係の経費とそれ以外の経費の線引きを明確に示したと説明し、「透明性を確保し、国民の理解を得るために今後も支出段階で集計、公表していく」と述べた。
 2020東京五輪大会に開催経費については、2017年12月22日、大会会組織委員会は、総額「1兆3500億円で、東京都が「6000億円」、大会組織委員会が「6000億円」、国が「1500億円」を負担するとした。
 これに対し、11月4日、会計検査院は「1500億円」を大幅に上回る「8011億円」が、すでにこの5年間で支出されたとの指摘を国会に報告し、政府に経費の全体像を分かりやすく示すよう求めた。

 東京都は、すでに「8000億円」の他に、五輪関連経費として「8100億円」を投入することを明らかにしていて、会計検査院の指摘の「8011億円」や、今後支出する経費も加えて試算すると、「3兆円」に膨れあがることが明らかになった。
 
 内閣官房では、大会に関連すると指摘された計8011億円の286事業について、(1)選手への支援など「大会の準備、運営に特に資する事業」(1725億円)(2)気象衛星の打ち上げなど「本来の行政目的のために実施する事業」(826億円)(3)道路整備など「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」(5461億円)の三つに分類し、五輪大会開催のための国の支出は(1)の「1725億円」だとした。

 (1)には、新国立競技場の整備費の国の負担分(744億円)やパラリンピックの準備費(300億円)が、(2)は気象衛星の打ち上げ関連費用(371億円)など29事業、826億円が含まれている。
 (3)は首都高速などの道路整備費(1390億円)、水素社会実現のための燃料電池自動車などの購入補助費(569億円)など208事業で合わせて5461億円と大半を占めている。
 このほか、会計検査院が指摘した8011億円に含まれていないが、大会に直接関連する事業として国立代々木競技場など5施設の整備や改修のための国庫補助金を直近5年間で約34億円支出したと明らかにした。
 しかし、五輪大会開催経費を「1725億円」する国の主張は、明らかに「五輪経費隠し」、膨れ上がった五輪開催経費をなるべく低く見せかけて、世論の批判をかわそうとする姿勢が見え隠れする。

「1725億円」は五輪開催経費隠し 国、会計検査院に反論 青天井体質に歯止めがかからない

“もったいない”五輪開催費用「3兆円」 青天井体質に歯止めがかからない! どこへ行った「世界一コンパクトな大会」



「青天井体質」は止まらない!
 やはり懸念していた通り、一気に「1兆3500億円」の倍以上に膨らむことが明らかになった。五輪開催経費は、国民の批判を避けるために、本来は経費に含めるのが妥当な支出も、一般の行政経費に潜らせる国や都の姿勢を筆者は疑問視していた。五輪開催経費を不透明化しブラックボックスにして、「青天井体質」を許すのは絶対に避けなければならない。
 「3兆円」の経費の中には、五輪との関連性が薄い施策があり、開催経費とするよ、一般の行政投資とするのが適切だと指摘する声がある。しかし、五輪開催との関連性の「濃淡」の問題で、その施策がもっぱら五輪開催ためだけではなくて、大会後の日本にとって有益な施策であったにしても、大会開催時に利用される項目であれば五輪開催経費に組み入れるべきだと考える。これが五輪開催の“レガシー”で、“レガシー”創出経費も含めるべきだ。新国立競技場も、五輪開催だけのものではない。その後、50年、100年使用する“レガシー”そのものだろう。同様に暑さ対策に役立つとしている「気象衛星の予測精度向上の費用」(約371億円)や環境に配慮した五輪実現のためとする「電気自動車などの購入補助金」(約568億円)、「無電柱化の促進」、「天然痘ワクチン対策事業」、「エネファーム実用化推進技術開発」など、すべて五輪開催を契機として実現させる2020東京大会の“レガシー”である。なぜ新国立競技場は五輪開催経費に組み入れて、その他は除外するのかまったく理解に苦しむ。 真に次世代の“レガシー”にする施策であれば、各省庁は胸を張って堂々と支出の必要性を主張して、国民の納得を得れば良い。「隠し立て」する必要はまったくない。要は説明性の問題だ。
 一方で、五輪の便乗支出も大量に生まれていると思われる。五輪開催を「錦の御旗」にして、なりふり構わず予算獲得に奔走した省庁の姿が見え隠れする。東日本大震災の復興予算の際も、その予算項目が本当に被災地の復興に役立つのか、疑問視される項目が続出したのは記憶に新しい。
 
「五輪便乗」? すべての施策を精査する必要
 会計検査院では、「大会の円滑な準備・運営に資する」関連施策(8分野45施策)と「大会を通じた日本の創造」資する関連施策(7分野45施策)に分けて各省別にリストアップしている。
 「大会の円滑な準備・運営」に資する関連施策では、セキュリティーの万全と安全・安心の確保(10施策)、アスリート、顧客等の円滑な輸送及び外国人受け入れ対策(13)、暑さ対策、環境問題への配慮(3)、メダル獲得に向けた競技力の強化(4)、アンチ・ドーピング対策の体制整備(4)、新国立競技場の整備(1)、教育・国際貢献等によるオリンピックムーブメントの普及、ボランティア等の機運醸成(4)、その他(9)の合計148事業、5879億1300万円(平成25年~29年)とした。
 項目を見る限り、「濃淡」に差はあると思えるが、すべてが東京五輪開催経費そするのが当然だろう。この経費は、組織委員会は、「直接経費ではない」として、除外している。また、個別の施策は詳細に精査し、「五輪便乗」の不要な施策かどうかもチェックしなければならないだろう。 




出典「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等に関する会計検査の結果についての報告書」 会計検査院


 一方、「大会を通じた新しい日本の創造」に資する関連施策では、「被災地の復興・地域の活性化」(4施策)、「日本の技術力の発信」(7)、「外国人旅行者の訪日促進」(2)、「日本文化の魅力発信」(4)、「スポーツ基本法が目指すスポーツ立国の実現」(1)、「ユニバーサルデザイン・心のバリアフリー」(5)の136事業、2330億180万円としている。
 「大会の円滑な準備・運営」の施策とは明らかに有意差があって、ほとんどが五輪開催をきっかけに事業がする必要があるかどうかの疑念がある。「日本の技術力の発信」、「外国人旅行者の訪日促進」、「日本文化の魅力発信」は、今の日本の成長戦略の骨格で、毎年、各省庁は最優先で取り組みを進め、しっかり予算化している。五輪開催に合わせてさらに何を事業化しようとしてるのだろうか。「スポーツ基本法が目指すスポーツ立国の実現」や「ユニバーサルデザイン・心のバリアフリー」も継続して取り組んでいる課題だろう。「五輪便乗」の「無駄遣い」になっていないだろうか。その成果は大会開催後、しっかり精査すべきだ。










会計検査院の検査結果に対する所見は?
▼ 大会組織員会
 国が担う必要がある業務について国民に周知し、理解を求めるために、大会組織委員会が公表している大会経費の試算内容において国が負担することとされている業務や、オリパラ事務局がオリパラ関係予算として取りまとめて公表している業務はもとより、その他の行政経費によるものを含めて、大会との関連性に係る区分及びその基準を整理した上で大会の準備、運営等に特に資すると認められる業務については、各府省等から情報を集約して、業務の内容、経費の規模等の全体像を把握して、対外的に示すことを検討すること

▼ JSC
 JSCは、新国立競技場の整備等の業務に係る確実な財源の確保等のために、財源スキームに基づく東京都の負担見込額395億円について東京都と協議を進めて、速やかに特定業務勘定への入金時期等を明確にするなどしていくこと
 (JSCの財政状況については、会計検査院は懸念を示している)

▼ 新国立競技場 
 早期に新国立競技場の大会終了後の活用に係る国及びJSCの財政負担を明らかにするために、JSCは、大会終了後の改修について文部科学省、関係機関等と協議を行うなどして速やかにその内容を検討して、的確な民間意向調査、財務シミュレーション等を行うこと、また、文部科学省は、その内容に基づき民間事業化に向けた事業スキームの検討を基本的考え方に沿って遅滞なく進めること
 (新国立競技場の大会開催後の維持管理には課題が多いと指摘している)

▼ 地方自治体
 大会の関連施策を実施する各府省等は、大会組織委員会、東京都等と緊密に連携するなどして、その実施内容が大会の円滑な準備及び運営並びに大会終了後のレガシーの創出に資するよう努めること。また、オリパラ事務局は、引き続き大会の関連施策の実施状況について政府の取組状況報告等の取りまとめにより把握するとともに、各府省等と情報共有を図るなどしてオリパラ基本方針の実施を推進すること

 会計検査院としては、大会が大規模かつ国家的に特に重要なスポーツの競技会であることなどに鑑み、要請後、大会の準備段階のできるだけ早期に、大会の開催に向けた取組等の状況及び各府省等が実施する大会の関連施策等の状況について分析して報告することとした。そして、今後、大会の開催に向けた準備が加速化し、32年には大会の開催を迎えることになることから、引き続き大会の開催に向けた取組等の状況及び各府省等が実施する大会の関連施策等の状況について検査を実施して、その結果については、取りまとめが出来次第報告することとする。


 会計検査院の指摘に関して大会関係者は、「関連するにしてすべて五輪経費として積み上げるのはおかしい」とか「数字が一人歩きしているだけで、これで無駄遣いしていると思われたらミスリードになる」など、反発する声が上がっているとされている。
 しかし、五輪開催経費は、五輪開催との関連性の「濃淡」に関わらず、組織委や東京都や国はすべてを明らかにすべきだ。そして国民に対しその施策の必要性を説明する責任を負うだろう。その上で、その支出項目が無駄遣いなのか、妥当なのかどうかは国民が判断していくべきだ。全体像の実態が見えなければ経費膨張のコントロールも不可能で、五輪開催経費の「青天井体質」は止められない。



“もったいない”五輪開催費用「3兆円」 青天井体質に歯止めがかからない! どこへ行った「世界一コンパクトな大会」
 




2018年10月23日
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東京オリンピック 準備遅れ コーツ副会長 水質汚染 トライアスロン お台場海浜公園 江の島ヨットハーバー

2018年10月22日 16時40分17秒 | 東京オリンピック

「準備は1年遅れている」「誠実に疑問に答えない」
警告を受けた2020東京大会組織委 




「誠実に疑問に答えを」 コーツIOC副会長
 2018年4月24日、2020東京五輪大会の準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツIOC副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
 4月15日から20日、タイのバンコクで開かれた国際スポーツ連盟機(GAISF)のスポーツ・アコード(Sport Accord)会議などで、複数の国際競技連盟(International Sports Federations IFs)が、2020東京大会の準備状況に不満を抱き、公然と批判した。
 これを受けて、IOC調査チームが来日し、4月23日24日の2日間に渡って2020東京大会の準備状況のチェックを行った。

 コーツ副会長は、準備作業は、大部分は順調に進んでいるが、2020東京大会組織員会は進行状況を完全に説明することを躊躇していると懸念を示した。
 その理由について、 コーツ副会長は、直接的で明快な表現をするオーストラリア人と、多くのポイントを留保する曖昧な表現をする日本人の文化的相違があるのではと述べたが、婉曲表現で日本の姿勢を批判した。
 2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京に移る中、大会準備に関して答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうという警告である。

柔道、セーリング、トライアスロンに批判
 国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟は、柔道とセーリング、トライアスロンの種目について、開催準備の遅れに懸念を表明している。国際柔道連盟は、2019年に開催される柔道競技のプレ大会の準備状況の遅れを指摘し、国際セーリング連盟は、江の島で開催されるセーリング競技について、地元漁業者との調整が進まず、コース決定が遅れていることに不満を示した。またトライアスロン競技連盟は東京湾の水質汚染問題について強い懸念が示された。


お台場海浜公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

マラソン水泳・トライアスロン 深刻な東京湾の水質汚染
 2017年10月、2020東京大会組織員会は、マラソン水泳とトライアスロンが行われるお台場周辺の海域で、大腸菌(Coli)が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌(faecal coliform bacteria)が上限の7倍も検出されたと公表した。
 この調査は、東京都と大会組織委員会が行ったもので、オリンピック開催時期の21日間、パラリンピック開催時期のうち5日間、トライアスロンとマラソンスイミングの競技会場になっているお台場海浜公園周辺の水質・水温を調査したものだ。
 調査を行った2017年8月は、21日間連続で雨が降り、1977年に次いで、観測史上歴代2位の連続降水を記録した。
 調査結果によると、降雨の後は、水質が顕著に悪化すること分かった。今回の調査期間では、国際競技団体の定める水質・水温基準達成日数は、マラソンスイミング基準では10日で約半分、トライアスロン基準はで6日で約3分の1に留まった。
 お台場海浜公園周辺の競技予定水域は、競技を開催する水質基準をはるかに上回る汚水が満ち溢れていることが示されたのである。
参加選手の健康問題を引き起こす懸念が深まった。


お台場海浜公園における水質・水温調査地点  出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 組織委では、雨期に東京湾から流れ込む細菌の量を抑制するために、競技予定水域を水中スクリーンを設置して東京湾から遮断するなど様々の実験を行い、水質改善に努めているとした。
 コーツ副会長は「トライアスロン競技連盟は依然として水質を懸念している。今年と来年に行われる水のスクリーニング、カーテンの入れ方などの実験についてプレゼンテーションを受けた。この姿勢には非常に満足している」としたが、水質問題に依然として懸念が残るとして改善を求めた。




お台場海浜公園における水質・水温調査  出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 東京湾の水質改善は、着々と進んではいるが、とても海水浴ができるような“きれいな海”とはいえない。東京湾に流れ込む川からは大量の汚染水が流れ込む。海底にはヘドロが蓄積している。オリンピック開催期間は真夏、ゲリラ豪雨は避けられない。東京湾は、“汚水の海”になることは必至だ。
そもそも東京湾に、選手を泳がせて、マラソンスイミングやトライアスロンを開催しようとすること自体、無謀なのではないか。

「水面に顔をつけない」が条件の海水浴場
 2017年夏、葛西臨海公園に海水浴場がオープンした。水質改善が進んだ東京湾のシンボルとして話題になった。
かつては東京湾には葛西のほか大森海岸、芝浦など各所に海水浴場があったが、高度経済成長期に臨界工業地帯の工場排水や埋め立て工事で1960年代に水質悪化が進み、海水浴場は姿を消した。
東京湾では、約50年間海水浴が禁止され、房総半島や三浦半島までいかないと海水浴ができなかった。
 港区では、「泳げる海、お台場!」をスローガンに掲げ、お台場海浜公園に海水浴場を開設しようとする取り組みに挑んでいる。
 現在は、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため通常は遊泳禁止である。2017年7月29日(土曜)・30日(日曜)の2日間、範囲を限定し、安全面等に配慮しながら行う“海水浴体験”を開催し、訪れた親子連れは、“海水浴”ではなく、ボート遊びや水遊びを楽しんだという。
 しかし、なんと「水面に顔をつけない」ことが条件の“海水浴体験”だった。
 これでは海水浴場と到底、言えないだろう。
 お台場の海は、「水面に顔をつけない」程度の水質しか保証されていないのである。この海で、マラソンスイミング(水泳)やトライアスロンの競技を開催すれば、参加選手は“汚染”された海水に顔をつけ、海水を口に含まざると得なない。選手の健康問題を組織委員会はどう考えているのだろうか。
 なぜ、素晴らしい自然環境に囲まれたきれいな海で開催しないのか。それまでしてお台場の開催にこだわる姿勢には“良識”を疑う。

マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園 アスリートファーストはどこへいったか


水質汚染問題に直面したリオデジャネイロ五輪
 2016リオデジャネイロ五輪では、セーリングやトライアスロン、ボートなどの会場となるコパカバーナ地区の湾岸部、グアナバラ湾の水質汚染が深刻で選手の健康被害が懸念され、競技の開催が危ぶまれのは記憶に新しい。
 AP通信が行った独自調査によると、2015年3月以降に競技会場で採取された水から、高い数値のアデノウイルスのほか、複数のウイルスや細菌も検出されという。
 汚染の原因は下水処理整備の遅れだ。人口1000万人のリオデジャネイロの生活排水の7割近くがグアナバラ湾に最終的に流れ込むという。
さらに汚染に拍車をかけるのが、リオデジャネイロの貧民街。リオデジャネイロは世界でも有数の観光地だが、人口632万人の23%を占める143万人が貧民街に暮らしているという。ブラジルで最も貧富の差が大きい都市でもある。貧民街では下水処理施設の整備はほとんど手が付けられていない。
 グアナバラ湾は「巨大なトイレ」と揶揄されている。
 招致段階でリオデジャネイロ州政府は五輪開幕までにグアナバラ湾に流入する汚水の80%を下水処理できるようにすると公約した。この処理事業を支援しているのが日本の国際協力機構(JICA)で、現在四つの下水処理場が稼働している。 しかし、各家庭から処理場まで下水を集める配管の整備が遅々として進んでいない。リオ五輪組織委員会は、開催前年の20157月、公約としていた水質浄化が開幕まで不可能と認めている。
 大量のゴミが海面を覆い尽くしているのも汚染の原因とされているが、リオデジャネイロ市では、湾内のごみを回収する「エコポート隊」を投入するなど窮余の対策に追われた。
 水質汚染問題の抜本的な解決はできなかったが、国際オリンピック委員会(IOC)は「環境基準は満たされた」して競技は予定通り行われた。


ゴミが散乱するグアナバラ湾 Antonio Scorza / Agência O Globo
 
絶望的 東京湾の水質改善
 東京23区の下水道のほとんどが合流式で整備され、雨水と汚水を一緒に処理するシステムである。雨が大量に降ると下水道が処理できずに、そのまま河川に放流される可能性がる。東京都は下水処理能力の向上に取り組んでいるが、一瞬で大量の雨が降るようなゲリラ豪雨が発生すると処理能力の限界を超えてしまう。
 再オープンした葛西海浜公園も、大雨が降ればで、COD濃度が一気に跳ね上がり水質基準を超えて、海水浴場が再び閉鎖になる懸念と隣り合わせている。
 水質改善の抜本的な対策は、下水道を合流式から分流式に切り替えることで、分流式は雨水・汚水を区別して処理する方式のため、雨が降っても汚水が未処理のまま雨水に混ざることはない。
東京23区は、下水道整備を急ぎ、昭和30年代に経費のかからない合流式で下水道を整備した。1970年に下水道法が改正されて、下水道はようやく分流式で建設されるようになったが、現在でも合流式で整備した下水道が広いエリアで稼働している。東京都内の下水道が分流式に切り替わるには、あと30年以上はかかるとされている。
 さらに埼玉県や千葉県、茨城県からの生活排水も東京湾に流れ込む。
さらに東京湾の海底には、過去の環境汚染の“負の遺産”である汚染物質が大量に含まれているヘドロが海底には堆積したまま、未だに年間約40回程度の赤潮や4~5回程度の青潮が発生している。
 東京湾に本格的に海水浴場が蘇るのはまだまだ先になる。

 2020年東京大会まであと2年余り、この間に、東京湾の水質改善が飛躍的に進むことはありえないだろう。
 “汚染”された海、東京湾を選手に泳がす東京大会、何がアスリートファーストなのだろうか。


セーリング競技会場 江の島ヨットハーバー 出典 神奈川県


江の島ヨットハーバー 出典 Wikipedia

シラス漁に影響 江の島セーリング
セーリング競技については、バンコクで開かれた夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)の総会で、、国際セーリング連盟は、「準備が1年遅れている」と指摘し、地元の漁業者との交渉が進まず、レース海面決定が遅れていることや津波対策や警備対策に懸念を持っているとした。
 コーツ副会長も、記者会見で、2020東京大会組織委員会に対し、地元の漁業者へ与える影響について懸念を表明したと付け加えた。

 2020東京大会で江の島で開催されるセーリング競技では、ディンギー5艇種(1人ないし2人乗りの小型艇)によるヨットとウインドサーフィンが行われる。海上に設置された3つのブイ(三角形のコース)を周回して、指示された周回方法や周回回数で走る競技で、得点とレースの終了順位で勝者を決まる。
 競技種目には、1人乗りのレーザー級、2人乗りの49er(フォーティーナイナー)級などがあり、1984年のロサンゼルス大会からは、ウインドサーフィン種目も採用された。
 2016リオデジャネイロと同様の10種目が行われることが決まっている。 

▼ 競技種目
 ・RS:X(男子/女子)
 ・レーザー級(男子)
 ・レーザーラジアル級(女子)
 ・フィン級(男子)
 ・470級(男子/女子)
 ・49er級(男子/女子)
 ・フォイリングナクラ17(混合)

 競技を開催する海面は、鎌倉市沖から葉山町沖の相模湾に、直径1852メートルと1574メートルの円形の5つのエリアの設定が計画されている。
 国際セーリング連盟は、レースの実施に当たってはブイを設置するので、水深が深いところではブイを固定しづらいため、水深 40 ㍍以下が望ましいとし、沖合に海面を設定すると選手の移動負担が大きいく、なるべく沿岸に近い浅瀬に設定することを求めている。
 一方この海域は、古くから湘南名物のシラス漁の好漁場として知られている。
 セーリング競技団体はレース海面をなるべく沿岸に近い海域を求めいるのに対し、漁業者はシラス漁への影響を懸念してなるべく沖合にしたいとして調整が継続されていて、未だにレース海面が決まっていない。
 シラス漁の操業海域は、5市1町の8漁業組合に独占的に認めている「共同漁業権」エリアが設定され、さらにその沖合にはどの漁協も操業できる海域が広がっている。
 シラス漁は、元旦から3月10日までは禁漁だが、五輪セーリング競技の公式練習や大会開催期間はシラス漁の漁期と重なり、漁業者への影響は必至である。
 さらに現状で計画されている競技エリア内には、定置網が2箇所設置されていて、定置網を撤去すると巨額の撤去費用や漁業補償が発生する。
 神奈川県ではこうした巨額の費用負担を避けるために、定置網の設置場所を競技エリアから外すことで調整をしたいとしてるが、未だに決着はしていない。
 漁業補償については、五輪期間中の漁業補償を支払う方針だが、ほぼ同じ海面で実施する見通しのテスト大会については、現段階では検討していない」しているが、未解決のままである。
 セーリング競技大会は、2020東京大会の前に、テストイベント(プレプレ大会、プレ大会)が、2018年9月と2019年と大会直前に合計3回の開催が予定されいる。テストイベントは本大会と同様程度の規模で開催される。
 レース海面の決定は漁業補償がからんで難航が予想され、セーリング開催準備は大きな難問を抱えている。


セーリング競技開催予定海域   出典 神奈川県

緊急課題 津波対策
 江の島の東端の海に突き出したエリアに、約5000人収容の観客席が設けられる。約2000~3000人とされている大会関係者も含めると1万人近い大勢の人が集まるだろう。
 海辺のイベントで懸念される災害は、津波である。近くには津波避難施設も少なく、「避難しやすい対岸などに観客席を移すべきだ」との声も出ている。
 神奈川県藤沢市が作成したハザードマップによると、相模湾から房総半島に至る相模トラフで大地震が発生した場合、五輪セーリング会場の江の島ヨットハーバーには8分後に4・5メートルの津波が来ると想定している。さらに「想定外をなくす」方針のもと新たに追加された予測では最大クラスで高さ11・5メートルの津波が来る可能性も指摘している。
 2017年10月には台風21号の影響による激しい風雨に高潮が重なり、高さ約6メートルの堤防を高波が乗り越えた。セーリング会場となる一帯が冠水して、競技用の大型コンテナが流されて横倒しになるなどの被害が出ている
 江の島セーリング会場の緊急課題は、短時間避難可能な避難施設の確保など津波災害対策である。
 しかし現状では、津波や高波の際、すぐ逃げられる場所は江の島ヨットハウスの隣の屋外展望台(400人収容可能)だけといわれている。
 江の島には、標高約60メートルの小山や高台もあるが、避難ルートは、飲食店や土産物店が並ぶ狭い参道など住宅地を抜ける急な上り坂が指定されているが、1万人近い群衆が短時間で避難できるかどうか懸念が多い。
 観客席を対岸に移したり、セーリング会場内に新たな津波避難施設を建設したりする安全対策が求められるのは当然だろう。 
 国際セーリング連盟も津波対策について懸念を表明してる。


セーリング競技       出典 日本セーリング連盟

難題 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約1000艇の移動
 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約200艇のクルーザーや約800艇のディンギーは、 2020東京大会開催時だけでなく、テストイベント開催時には移動させなければならい。
 2012ロンドン大会では、参加国56カ国、競技艇273艇、参加選手380人だったが、2020東京大会では、参加国同数56カ国程度、競技艇300艇、参加選手400人を想定している。
 さらに、参加チームには、コーチやスタッフが2000人から3000人参加し、合わせて40フィートコンテナが約100個、運営艇が約300艇持ち込まれる。
 神奈川県では、競技艇300艇は現在のディンギー保管エリア、運営艇300艇は現在のクルーザー係留エリアを使用するとしている。またコンテナリアは駐車場エリアや民間事業者が保有する敷地を利用することで調整しているとしている。
 現在利用している約1000艇や機材置き場を、およそ2年間に渡って移動させることが必須となるが、これが難題だ。
 神奈川県ではクルーザー等は、県内のハーバーを移動候補地として検討し、ディンギーは、県が管理する港湾等の活用について、利便性やコストを精査しながら、検討するとしている。
 利用者にとっては、移動後の係留費用も重要だ。神奈川県では、艇を他の場所に保管する際にどの様な費用が発生するか調査して今後検討していくとしている。
 また、ヨットのメンテナンスなどヨットハーバー関連の仕事に従事している人たちへの影響も深刻だ。 2年近く船が無くなると関連企業は閉鎖しなけばないない事態も起きる懸念がある。
 観光地江の島全体に与える影響もある。大会準備の工事やヨットの移動の影響で江の島自体が“閑散”となる懸念も生まれる。ヨットハーバーを訪れる人は減少し、周辺の飲食店や土産物店への影響も懸念される。
 テストイベントが開催される期間は大会関係者で賑わうだろうが、それは2カ月あまり、残りの2年間余りはは“閑散”とすると思われる。こうした状態が続いたら、なんのために江の島でセーリング競技を開催するのか批判が生れる可能性もある。


セーリング会場整備計画    出典  神奈川県


全体の想定スケジュール    出典  神奈川県

江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念


コーツ副会長から警告された組織員会 
 「あなたたには、率直に質問に答えなければならい」、記者会見でコーツ副会長は述べたが、隣に座った元首相の森喜朗委員長と武藤敏郎事務総長はまったく無表情だった。
「すべてがあなたたちに原因があるとは思わないが、疑念はますます増えるだろう」とコーツ副会長は付け加えた。
 森組織委会長は、コート副会長から個人的に受けたドバイスについて質問された。
 「沢山の案件があった」とし、「いくつかの具体的なアドバイスがあり、1つや2つのポイントだけ取り上げることはできない。 多くのポイントがあった」と内容を明らかにすることを避けた。
 これまでに開催されたいくつかの五輪大会とは異なり、東京大会は、はるかに効率的にスケジュール通りに開催準備を行われることが期待されていた。  
 しかし、東京大会の主催者は、いくつかのスポーツ連盟やオリンピック委員会が満足できる大会準備状況について、なぜか説明することを躊躇しているとIOC調査チームから警告されたのである。

 先週、世界のセーリング、柔道、トライアスロンの国際競技連盟から東京大会の準備状況に懸念を示す声が相次いだ。
 世界セーリング連盟のアンディ・ハント(Andy Hunt)会長からは、1年後に迫った大会を控え、セーリング会場となる海域での漁船の問題を指摘した。
 IOCのクリストファー・ダビ氏は「東京大会の開催準備は進んでいるとは思うが、最終決定するまでは公表しない。 それが問題だ」と述べた。

 コーツ副会長は、今年11月に、東京で開催される世界206のオリンピック国内委員会が集まる会合で、東京大会の主催者が質問攻めにあう可能性があると警告した。
 「どんな質問にも答える明快に準備ができていなければならない。彼らは答えが欲しいと思っている。それができなければ信頼を失う危険がある」と述べた。
 そして、「彼らは選手にとって最良の競技ができる環境を知りたがっている」と語った。 「今、私たちはすべての細かな競技環境がどうなるのかに関心がある。こうした細かな競技環境を高めることが重要なのである」
 東京大会まで2年余り、五輪関係者の関心は、競技場や宿泊施設、輸送、競技や選手に影響を及ぼすあらゆる分野で、極めて現実的で緊急に解決しなければならない段階に突入するのである。

混迷必至、北朝鮮五輪参加問題 
 北朝鮮の2020東京五輪参加問題も取り上げられた。
森組織委会長は、最終的に東京オリンピックで北朝鮮代表団を迎えることになることを懸念していると述べた。 日本は、北朝鮮による拉致問題を抱えていて、未だに解決されてと問題を提起した。
 日本は北朝鮮に「裏切られた」とし、「拉致事件は平和な時代に起こった。そして日本人が拉致された」と述べた。
さらに「日本は朝鮮半島に近く、北朝鮮は隣国である。 そして我々は核兵器の脅威にさらされている。我々はこうした厳しい状況の下で生きていかなければならない」と語った。
 コーツ副会長は、日本は東京オリンピックで北朝鮮の五輪選手団を受け入れることがオリンピック憲章の下で義務づけられていると基本的な姿勢を明らかにした。
 しかし、「五輪開催国の政府が、五輪選手団以外の政治指導者や関係者の受け入れを制限する権利がないと言っているわけではない」とも述べた。
 2020東京大会は、北朝鮮の五輪参加という極めて難解な問題を突き付けられている。




東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!
有働由美子 news zero批判 ニュースになっていないnews zero ニュースキャスター失格 あさイチの成功




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東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 競技会場の全貌 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革に暗雲
四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
主導権争い激化 2020年東京五輪大会 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか
“選手村は一つ”、“選手村はオリンピックの魂” の矛盾 どこへ行った五輪改革
東京オリンピック 海の森水上競技場 Time Line Media Close-up Report
相次いだ撤退 迷走!2024年夏季五輪開催都市







国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年2月11日
Copyright (C) 2018 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント

東京オリンピック 競技場 競技会場 最新情報(下)

2018年10月11日 08時14分39秒 | 東京オリンピック

「3兆円」! 膨張する開催経費 どこへいった五輪開催理念
“世界一コンパクトな大会”(下)




会計検査院 国の五輪関連支出「8000億円」と指摘(10月4日) 開催経費の総額は約「3兆円」に









東京オリンピック・パラリンピックの全競技会場決まる IOC承認
 2018年5月2日、国際オリンピック委員会(IOC)は、スイス・ローザンヌで開いた理事会で2020年東京五輪大会のサッカー7会場を一括承認した。これで東京オリンピック・パラリンピックの43競技会場がすべて決まった。
 オリンピッックは42会場、パラリンピックで21会場(ボッチャ競技のみ幕張メッセCでパラリンピック単独で開催 その他はオリンピックと共通競技会場を使用)で開催される。
 この内、オリンピックで開催される競技数は、東京大会組織委員会が提案した追加種目、5競技18種目を加え、合計競技数は33競技、種目数は339種目で、選手数の上限を11,900人とすることが決定されている。
 一方、パラリンピックは22の競技が開催される。
 今回、承認されたのは「札幌ドーム」、「宮城スタジアム」、「茨城カシマスタジアム」、「埼玉スタジアム」、「横浜国際総合競技場」、「新国立競技場」、「東京スタジアム」の7会場で、決勝は男子が「横浜国際総合競技場」、女子は「新国立競技場」で行う案が有力とされている。
 今回承認された43の競技会場の内、新設施設18か所(恒久施設8/仮設施設10)、既設施設25か所を整備するとしている。既設施設の利用率は約58%となり、大会組織委員会では最大限既存施設を利用したと胸を張る。
 しかし、競技会場の決定に至る経過は、相次いだ“迷走”と“混迷”繰り返した結果である。国際オリンピック委員会(IOC)や世界各国からも厳しい視線が注がれた。
 当初計画の約3倍の「3088億円」の建設に膨張し世論から激しい批判を浴び、ザハ・ハディド案を撤回して“仕切り直し”に追い込まれた「新国立競技場」、東京都の整備費が「4584億円」にも達することが判明して、「建設中止」や「会場変更」、「規模縮小」が相次いだ競技会場建設、「無駄遣い」の象徴となった「海の森水上競技場」の建設問題、唖然とする混乱が繰り返された。
 2020東京大会の開催にあたって掲げられたキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、そのキャッチフレーズはどこかに吹き飛んでしまった。
 競技場やインフラを建設すると、建設費だけでなく、維持管理、修繕費などの膨大な後年度負担が生れることは常識である。施設の利用料収入で収支を合わせることができれば問題は生まれないが、「赤字」になると、今後40年、50年、大きな負担を都民や国民が背負わされることになる。
 日本は、今後、超高齢化社会に突入することが明らかな中で、コンパクトでスリムな社会の求められている中で、競技場やインフラ整備は必要最小限にとどめるべきであろう。
 2020年東京都オリンピック・パラリンピックの開催を、負のレガシー(負の遺産)にすべきではない。

東京2020競技会場マップ

東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 競技会場の全貌 


五輪開催経費「1兆3500億円」 350億円削減 組織委
2017年12月22日、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は、大会経費について、今年5月に国や東京都などと合意した開催経費から350億円を削減し、総額1兆3500億円(予備費を含めると最大で1兆6500億円)とする新たな試算(V2)を発表した。
 試算によると、施設整備費やテクノロジー費など会場関係費用については、仮設会場の客席数を減らしたり、テントやプレハブなど仮設施設の資材について海外からも含めて幅広く見積もりを取り、資材単価を見直したりして250億円を削減して8100億円とし、輸送やセキュリティーなどの大会関係費用については、100億円削減して5400億円とした。
 開催経費の負担額は東京都と組織委が6000億円、国が1500億円となった。
 2016年末のV1予算では1兆5000億円(予備費を含めると最大で1兆8000億円)としていたが、IOC調整委員会のコーツ委員長は10億ドル(約1100億円)の圧縮を求めており、組織委の武藤敏郎事務総長はV3ではさらに削減に努める考えを示した。



東京都の五輪施設整備費「1828億円」 413億円削減
 2017年11月6日、東京都は新たに建設する8つ競技会場の整備費は合計1828億円で、舛添元都知事の「見直し」案の2241億円から、413億円削減すると公表した。
 今回公表された整備計画では、小池都知事が見直しを主導した水泳、バレーボール、ボート・カヌーの3競技会場の整備費を計1232億円とし、計1160億円程度とした「4者協議」で明らかにした案より約70億円増えた。
 「オリンピックアクアティクスセンター」では、着工後に見つかった敷地地下の汚染土の処理費38億円、「有明アリーナ」では、障害者らの利便性を高めるためエレベーターなどを増設、3競技場では太陽光発電などの環境対策設備費25億円が追加されたのがその要因である。
 一方、経費削減の努力も行い、「有明テニスの森」では、一部の客席を仮設にして34億円を減らし、代々木公園付近の歩道橋新設を中止して23億円を削減した。
 この結果、413億円の削減が実現し、8競技会場の整備費は合計1828億円となった。
 五競技場整備費は、当初計画では4584億円、舛添元都知事の“見直し”で2241億円、そして今回公表された小池都知事の“改革”で1828億円となった。
 新たな競技場の整備費が相当程度削減されたことについては評価したい。
 最大の問題は、“五輪開催後”の利用計画にまだ疑念が残されていることである。
たとえば海の森競技場では、ボート/カヌー競技の開催は果たしてどの位あるのだろうか。イベント開催を目指すとしているが、成果を上げられるのだろうか。
 「アクアティクスセンター」は、すぐ隣に「辰巳国際水泳場」に同種の施設があり過剰な建設計画という批判を拭い去ることはできない。
 さらに保守・運営費や修繕費などの維持費の負担も、今後、40年、50年、重荷となってのしかかるのは明らかである。
 小池都知事は、かつて膨張する五輪開催経費を「もったいない」とコメントした。
 8競技会場を“負のレガシー”(負の遺産)にしないという重い課題が東京都に課せられている。



開催経費「1兆3850億円」 都・国・組織委・関係自治体で費用負担大枠合意
都「6000億円」 組織委「6000億円」、国「1500億円」、350億円は先送り

 2017年5月31日、2020年東京五輪大会の開催経費について、東京都、国、大会組織委員会、それに都外に会場がある7道県4政令市の開催自治体(「関係自治体」)は連絡協議会を開き、総額1兆3850億円(予備費含めると最大で1兆6850億円)とし、その費用分担の大枠で合意した。
 焦点の都外の会場の「仮設経費」は「立候補ファイル」通りに、全額東京都が負担することにした。
 小池都知事は、「「四者協議」で公表された2200億円から、「1000億円を超える額の圧縮」と強調し、負担軽減につなげたとした。しかし圧縮経費の詳細については、会場使用期間短縮による賃借料の縮減などを挙げたが、詳細な説明は避けた。
 「「四者協議」で示された開催経費(V1)では「1兆5000億円」、それに予備費が1000億~3000億円加わり、最大で「1兆8000億円」とした。 
 
大会開催経費 最大「1兆8千億円」 有明アリーナは建設 4者協議トップ級会合
 2016年12月21日、国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の「4者協議トップ級会合」が再び開かれ、組織委が大会経費を約1兆6000億~1兆8000億円とする予算案(V1)を提示した。大会予算が公表されるのは初めてである。小池都知事は今後、焦点となる費用負担や役割分担を決める政府、組織委との3者協議を年明けから再開する方針を示した。
 大会予算の内訳は選手や観客の輸送などの運営費8200億円▽施設整備費6800億円▽資材の高騰などに備えた予備費が1000億~3000億円。
 前回結論を先送りしたバレーボール会場は小池都知事が「有明アリーナ」(東京都江東区)を新設する方針を表明した。
 “ARIAKE LEGACY AREA”と名付けて、その拠点に「有明アリーナ」に据えて、有明地区を再開発して“五輪のレガシー”にする計画を示した。
 「有明アリーナ」はスポーツ・音楽などのイベント会場、展示場として活用し、周辺には商業施設や「有明体操競技場」も整備する。
 焦点の整備費は404億円を339億円に圧縮し、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入して、民間資金を活用し経費圧縮に努めるとした。

「4者協議トップ級会合」 「海の森水上競技場」、「アクアティクスセンター」は建設 バレー会場は先送り

 2016年7月、東京都知事に就任した小池百合子氏は、膨張する2020年東京五輪大会の開催経費に歯止めをかけるため、都政改革本部の中に「調査チーム」を設立し、開催計画の見直しに乗り出した。その中でターゲットにしたのは、開催経費削減と競技会場整備の再検討で、海の森水上競技場やオリンピック アクアティクスセンター、有明アリーナの“見直し”が行われた。(下記参照)
 競技会場“見直し”については、小池都知事、森組織委会長が激しく対立して、決着が着かず、国際オリンピック委員会(IOC)が調整に乗り出し、東京都、大会組織委員会、国、国際オリンピック委員会(IOC)で構成する「四者協議」を開催し、この問題の解決を図ることになった。
 2016年11月29日、小池都知事、森組織委会長、丸山五輪担当相、コーツIOC副会長による「4者協議トップ級会合」が東京都内で開かた。
 この会合で、小池都知事は見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は、森水上競技場を20年程度存続の“スマート施設”(仮設レベル)として、整備費は当初の491億円から298億円に縮減して建設することを明らかにした。
 また水泳競技場は「アクアティクスセンター」(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、683億円から514~529億円に削減して建設するとした。
 一方、バレーボール会場については、「有明アリーナ」を新設するか、既存施設の「横浜アリーナ」を活用するか、最終的な結論を出さず、先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は事前合宿地とすることをコーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。

四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委




“迷走”と“混迷”を繰り返した競技場整備


競技場整備費、約4594億円 招致計画の約3倍に膨張
 2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪大会の開催都市を決める最終投票が行われた。投票に先立つ最終プレゼンテーションでは、招致“Cool Tokyo”アンバサダーの滝川クリステル氏の「お・も・て・な・し」スピーチやパラリンピアンの佐藤真海氏のスピーチが行われ話題になったのは記憶に新しい。結果、ライバル都市のマドリードとイスタンブールを破り、劇的な勝利を手にした。
 しかし、招致成功に沸いた「祭り」ムードは、開催準備に乗り出すと厳しい「現実」に直面し、瞬く間に吹き飛んでしまう。
 競技会場問題の第一幕の主役は、舛添都元知事だった。

 東京都は、招致成功後、直ちに招致計画に基づく競技場整備計画の再検討を行った。 
 その結果、東京都が担当する競技場(恒久施設)整備費は、招致計画では約1538億円としたが、改めて試算すると当初予定の約3倍となる約4584億円まで膨らむことが判明したのである。
 中には、「海の森水上競技場」(ボート、カヌー)のように、招致計画では約69億円としていたが、改めて試算すると、約1038億円と10倍以上に膨れ上ったケースも含まれていた。
 招致計画時の余りにも杜撰な予算の作成にあきれる他はない。
 舛添要一東京都知事は、「『目の子勘定』で(予算を作り)、『まさか来る』とは思わなかったが『本当に来てしまった』という感じ」とテレビ番組に出演して話している。
 競技場の整備経費については、「新国立競技場」は国(主管は日本スポーツ振興センター[JSC])、その他の恒久施設は東京都、仮設施設は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会が責任を持つことが決められていた。
 「新国立競技場」は、2012年にデザイン競技公募を開始した際は、総工費は「1300億円を目途」としていたが、ザハ・ハディド案を採用して、施工予定者のゼネコンが総工費を見積もると「3088億円」に膨張することが判明し、世論から激しい批判を浴びた。
 その後、設計見直しを行い「2520」億円に圧縮したが、それでも当初予定の倍近い額となり批判は一向に収まらず、ザハ・ハディド案の白紙撤回に追い込まれた。最終的には、安倍首相が収拾に乗り出し、2015年8月、屋根の設置を止めたりや観客席の数を見直すなどして総工費を「1550億円」(上限)とすることで決着した。“迷走”に“迷走”を繰り返して、“醜態”を演じたのは記憶に新しい。
 ところが、問題は新国立競技場にとどまっていなかったのである。

経費削減に動いた舛添都知事
 2014年11月、舛添要一東京都知事は、競技会場建設費の削減に動き、恒久施設では「夢の島ユースプラザ・アリーナA・B」と「若洲オリンピックマリーナ」、仮設施設では「ウォーターポロアリーナ」、「有明ベロドローム」、「有明MTB(マウンテンバイク)コース」、「夢の島競技場(馬術)」の建設を中止し、他の既存施設に競技場を変更した。また「オリンピックアクアティクスセンター」や「海の森水上競技場」、「大井ホッケー競技場」などは整備計画を縮小して経費を削減した。
 これにより約2000億円を削減し、約4584億円まで膨らんだ整備経費を約2469億円までに圧縮するとした。
 さらに2015年11月、IBC/MPCが設営される東京ビックサイトに建設する「拡張棟」は計画を変更してIBC/MCPとして利用しないとして、その建設費、約228億円を五輪施設整備費枠からはずして、約2241億円までに圧縮したとしている。 もっとも東京都は、東京ビックサイトの「拡張棟」を建設することには変わりはないのだから、“みせかけ”の操作と思われてもしかたがない。
 2241億円のうち、新規整備費が約1846億円、既存施設の改修費などが約395億円とした。
 東京都は、開催都市として、2006から2009年度に「開催準備基金」を毎年約1000億円、合計約3870億円をすでに積み立てていた。この「基金」で、競技施設の整備だけでなく、周辺整備やインフラの整備経費などをまかなわなければならない。東京都が負担する五輪施設整備費は、4000億円の枠内で収まらないのではという懸念が生まれている。競技場の建設だけで2241億円を使って大丈夫なのだろうか?
 また、新規に施設を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費など後年度負担が生まれることを忘れてはならない。
 五輪開催後は、整備された壮大な競技施設の収支は“赤字”にならないのだろうか? 利用料収入などで賄える展望があるのだろうか? 
 巨額の“赤字”が毎年生まれるのであれば、今後約50年間以上に渡って、東京都民は負担し続けなければならない。
 五輪開催期間はオリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。施設の新設は極力抑制しなければならない。
 日本は確実に少子高齢化社会を迎える。五輪開催は、“レガシー”(未来への遺産)どころか“負のレガシー(負の遺産)”になる懸念が強まった。



小池都知事の“五輪改革”
 第二幕は、小池百合子東京都知事の登場で始まった。
 2016年7月、公費流用問題で激しい批判を浴びた舛添要一前都知事の辞職に伴い、都知事選挙が行われ、小池百合子氏が元総務相の増田寛也氏を破り、当選した。いわゆる“小池劇場”の開幕である。
 小池氏は、知事に就任すると、2020東京五輪大会の計画再検討に素早く乗り出した。
 小池氏は、都政改革を進める司令塔、「都政改革本部」を設立し、その中に東京五輪改革を進める「調査チーム」(座長上山信一慶応大学教授)を立ち上げた。
 「調査チーム」のターゲットは、巨額に膨れ上がった開催経費の圧縮や競技会場整備の“見直し”である。
 競技会場整備の“見直し”では、海の森水上競技場やオリンピック アクアティクスセンター、有明アリーナ(バレーボル会場)がその対象となった。

「3兆円を超える」 調査チーム報告書
 「結果から申し上げると今のやり方のままでやっていると3兆円を超える、これが我々の結論です」
 2016年9、2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の検証する都政改革本部の「調査チーム」座長の上山信一慶応大学教授はこう切り出し、大会経費の総額が「3兆円を超える可能性がある」とする報告書を小池都知事に提出した。
 大会経費は、新国立競技場整備費(1645億円)、都の施設整備費(2241億円)、仮設整備費(約2800億円)、選手村整備費(954億円)に加えて、ロンドン五輪の実績から輸送費やセキュリティー費、大会運営費などが最大計1兆6000億円になると推計。予算管理の甘さなどによる増加分(6360億円程度)も加味し、トータルで「3兆円」を超えると推計した。 
 招致段階(13年1月)で7340億円とされた大会開催経費は、「2兆円」とも「3兆円」とも言われたが、これまで明確な積算根拠は組織委員会や国や東京都など誰も示さず、今回初めて明らかにされた。
 調査チームは「招致段階では本体工事のみ計上していた。どの大会でも実数は数倍に増加する」と分析。その上で、物価上昇に加えて、国、都、組織委の中で全体の予算を管理する体制が不十分だったことが経費を増加させたと結論付けた。

3施設の整備 大幅見直しを提言
 ボート、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」は、当初計画の7倍の約491億円に膨れ上がった経費に加えて、「一部の競技者が会場で反対している」「大会後の利用が不透明」だとして、宮城県長沼ボート場を代替地に提言した。「復興五輪」の理念にも合致するとしている。
 観客席2万席で設計した水泳会場「オリンピックアクアティクスセンター」は、大会後に74億円をかけて5000席に減らす計画を疑問視し、規模縮小や近くにある「東京辰巳国際水泳場」の活用の検討を提言した。バレーボール会場の「有明アリーナ」は、規模縮小のほか、展示場やアリーナの既存施設の活用を提案した。
 仮設施設整備については、約2800億円に膨れ上がった整備について、国や組織委、東京都の費用負担の見直しにも言及し、都内に整備する仮設施設の内、最大1500億円は都が負担し、都外については「開催自治体か国」が負担するよう提言した。
 また東京都は、組織委に58億5000万円の拠出金を出し、245名もの東京都職員を出向させていることから、組織委を「管理団体」にするなど、都の指導監督を強化する必要性も指摘した。
 これに対し、森組織委会長は、「IOCの理事会で決まり総会でも決まっていることを日本側からひっくり返すということは極めて難しい問題」と述べた。
 また海の森水上競技場については、「宮城県のあそこ(長沼ボート場 登米市)がいいと報道にも出ているが我々も当時考えた。しかし選手村から三百何十キロ離れて選手村の分村をつくることはダメなことになっているし経費もかかる。また新しい地域にお願いしてみんな喜ぶに決まっているが、金をどこから出すのか。東京都が代わりに整備するのか。それはできないでしょう法律上」と語った。
 一方、IOCのバッハ会長は、東京五輪の開催費用の増加について、「東京における建設費の高騰はオリンピック計画だけでなく、東日本大震災からの復興など、そのほかの理由もあるだろう」とし「建設的な議論をしたい」として柔軟に対応する姿勢で、今後東京都や組織委員会と協議を始める意向を示した
 小池知事は報告書を受けて、都が整備を進めるボート会場など3施設の抜本的見直しや国の負担増、予算の一元管理など、各提案を実行するには、国際競技団体や国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受け直す必要がある上で、国や大会組織委員会などと調整が必要で、実現には難関は多いと多いと思われる。
 “混迷”と“迷走”はさらに深刻化した。やはり新国立競技場や五輪エンブレムだけではなかった。
 競技場問題は、小池都知事、森組織委会長が激しく対立して、決着が着かず、国際オリンピック委員会(IOC)や国も加えた四者協議の場に持ち越された。

“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革”

膨張する2020東京五輪大会 追加種目 野球・空手など5競技決まる
 2015年9月28日、大会組織委員会は、追加5競技を国際オリンピック委員会(IOC)に提案することを決めた。
 組織委の種目追加検討会議座長の御手洗冨士夫・経団連名誉会長は「若者へのアピールと日本中を盛り上げるに資する競技かどうかで決めた」と説明し、野球・ソフトボールと空手については「国内で広く普及しており観客動員力が大きい」とした。ローラースポーツ(スケートボード)、突起のついた人工壁をよじ登るスポーツクライミング、サーフィンは「時代の先端を行く若者へのアピールが期待できる」と話した。
 2016年8月3日、リオデジャネイロで開催されたIOC総会で、開催都市に提案権が与えられている追加競技・種目について、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ(スケートボード)、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目が採択され決定した。総会の質疑応答で、野球を巡って、米大リーグ所属選手の参加が保証されていない点を不安視する意見などが出たが、最終的には全会一致で採択された。日本が強く推した野球・ソフトボールと空手に、「若者へのアピール度が高い」とIOCがこだわったスケートボードなど新興3競技を組み合わせて一括審議とした“戦略”をとったことが功を制した。バッハIOC会長は「この決定はマイルストーン(記念碑)となる」と誇らしげに語った。
 これにより1競技に統合された野球・ソフトボールは2008北京五輪以来、3大会ぶりの復帰、他の4競技は初の実施になる。
 追加競技については、2015年12月に採択されたIOCの五輪改革プラン「アジェンダ2020」の中で、開催都市による提案権が盛り込まれ、東京五輪がこの改革プランの初めての適用となった。 
 しかしこの開催都市の追加競技提案権で、五輪大会の“膨張体質”に歯止めがかからなくなったのも事実である。
 IOCの五輪改革プラン「アジェンダ2020」は、五輪大会の“膨張体質”に歯止めをかけることが主目的だったのではないか。
 「世界一コンパクト」な大会を目指した2020東京大会のスローガンはどこにいったのだろうか。




“迷走”海の森水上競技場整備
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
巨額の負担が次世代に 日本は耐えきれるか? ライフサイクルコスト
デザインビルド方式 設計施工一括発注方式は公正な入札制度か?



「建設中止」、「会場変更」、“迷走”した競技開催計画
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技開催計画は変更が相次ぎ、招致計画から大きく変わってしまった。一体、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画はなんだったのだろうか? 新国立競技場の“迷走”も加えると、その杜撰な開催計画に唖然とさせられる。

 最終的に決まった2020東京五輪大会の開催計画では、オリンピックでは33競技、パラリンピックでは22競技をあわせて43会場で開催する。 その内、新設施設は18か所(恒久施設8/仮設施設10)、既設施設は24か所を整備するとしている。既設施設の利用率は約58%となり、大会組織委員会では最大限既存施設を利用し、大会開催の効率化に成功したと胸を張る。
 しかし競技会場の変更が相次ぎ、予定通り建設される競技場についても相次ぐ“見直し”で、“迷走”と“混乱”を繰り返した。

 建設中止の競技場(恒久施設)は、夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)、夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)、若洲オリンピックマリーナ(セーリング)の2施設、仮設施設では、ウォーターポロアリーナ(水球)(新木場・夢の島エリア)、、有明ベロドローム(自転車・トラック)、「有明MTB(マウンテンバイク)」、「夢の島競技場(馬術)」である。
 バトミントンは、「武蔵野森総合スポーツ施設」(東京都調布市)、バスケットは「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市)で開催することになった。
 水球については、辰巳の森海浜公園内に、「オリンピック アクアティクスセンター」に併設して総工費約76億円で約6500人の観客席を備えた水球競技場、「ウォーターポロアリーナ」(仮設施設)を建設予定だったが、これを中止し、隣接する「東京辰巳国際水泳場」に会場変更した。
 セーリング会場は、総工費322億円で建設予定の「若洲オリンピックマリーナセーリング」(恒久施設)を取りやめて、「江の島ヨットハーバー」に会場変更した。
 自転車競技4種目については、建設費の高騰で、大会組織委員会が会場見直しを提案し、トラックは「有明ベロドローム」(仮設施設)の整備を中止し、伊豆・修善寺にある「日本サイクルスポーツセンター」内にある「伊豆ベロドローム」に会場変更し、マウンテンバイク(MTB)は、「有明MTBコース」に整備を中止して、「日本サイクルスポーツセンター」内の既存コースを改修して使用することが決まった。
 しかし、BMX(フリースタイル、レーシング)については、組織委ではBMXも「日本サイクルスーツセンター」に変更したいとしたが、国際自転車連合は観客が集まりやすい首都圏での開催にこだわって難色を示し、当初計画通り東京都江東区有明周辺で開催されることになった。有明地区の“東京ベイゾーン”に5000席の観客席を備えた「有明BMXコース」(仮設施設)を予定通り建設することが決まった。
 大会組織委では「日本サイクルスーツセンター」の改修費を含めてもこの2つの会場変更で約100億円の削減につながるとしている。
 一方、ロードレースについては、当初計画では、スタート地点が皇居、ゴール地点が武蔵野の森公園としていたが、スタートとゴール共に都心で大勢の観客が訪れやすい皇居外苑に変更した。その後、競技団体の要望で、選手の実力差が出る勾配のある難しいコースが設定できるとして富士山麓が選ばれた。富士山を背景にしてテレビ映りが良いのもコース決定のポイントだった。スタートは武蔵の森公園、ゴールは富士スピードウエーに決まった。
 また個人タイムトライアルも富士スピードウェイで開催する。
 競歩については、「皇居外苑」で開催することが決まった。
 また、夢の島競技場内に仮設施設を建設する予定だった馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)の会場は整備を取りやめ、「馬事公苑」に変更した。
 馬術(クロスカントリー)は「海の森クロスカントリーコース」で予定通り行われる。
 また東京ビックサイトに設営されるIBC/MPCの設置計画が変更になり、「東京ビッグサイト・ホールA 」で開催を予定したレスリングと「東京ビッグサイト・ホールB」で開催と予定したフェンシングとテコンドー)」は「幕張メッセ」(千葉市)に変更され、「幕張メッセ」では、レスリングとフェンシング、テコンドーの3つの競技の会場となった。
 幕張メッセではパラリンピックのゴードボールも開催される。
 7人制ラグビーは、「新国立競技場」から「東京スタジアム」(東京都調布市)に変更となった。
 カヌーは、「葛西臨海公園」に建設する仮設施設計画だったが、隣接地の都有地(下水道処理施設用地)に建設地を変更した。「葛西臨海公園」の貴重な自然環境を後世に残すという設置目的などに配慮して、公園内でなく隣接地に移し、大会後は、公園と一体となったレジャー・レクリエーション施設となるように整備計画を練り直した。
 一方、トライアスロンは、「お台場海浜公園」で変更せず、計画通り行うこととなった。
 こうした会場整備計画の見直しなどで、組織委では約700億円の経費削減につながるとしている。

 追加5競技の会場については、ソフトボールの主会場は横浜スタジアム、空手が本武道館(東京都千代田区)、スポーツクライミングとスケートボードは仮設の青海アーバンスポーツ会場(東京都江東区)、サーフィンは釣ケ崎海岸サーフィン会場(千葉県一宮町)となった
 野球・ソフトの福島開催については、福島あずま球場で野球とソフトボールの予選の日本戦、二試合を開催とすることで決着した。

 一方で仮設整備経費が膨れ上がっていることも大きな問題である。有明体操競技場、有明BMXコース、海の森カントリーコース、潮風公園などの仮設競技場の建設費やオーバーレーと呼ばれる競技会場に設置されるプレハブやテント、警護用柵などの仮設施設経費、既存施設の改装費が、当初計画の732億円から、約4倍の3050億の巨額に上ることが大会組織委のV2予算で明らかになった。東京都は、恒設競技場の建設の他に、こうした仮設整備費を約2100億円、大会組織員会は約950億円を負担することになった。国際オリンピック委員会(IOC)は巨額の仮設費を縮減することを求めた。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、選手村を中心に半径8キロメートルの圏内に85%の競技場を配置すると“公約”していた。

出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

(参考)立候補ファイルの競技場プラン

出典 2020東京オリンピック・パラリンピック招致委員会


何処へ行った「世界一コンパクトな大会」
 新規に競技場を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費など“後年度負担”が確実に生まれる。施設利用料などの収入で賄えるのであれば問題ないが、巨額の“赤字が毎年生まれるのでは、“レガシー”(未来への遺産)どころか“次世代”への“負の遺産”になる懸念が大きい。“新設”は極力抑えなければならない。五輪開催期間は、オリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。
 また忘れてはならないのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、“ヘリテッジゾーン”と“東京ベイゾーン”の選手村から半径8キロメートル圏内に85%の競技場を配置して開催すると公約していた。1964年大会のレガシーが現存する“ヘリテッジゾーン”と東京を象徴する“東京ベイゾーン”、そして2つのゾーンの交差点に選手村を整備するという開催計画である。
 しかし、相次ぐ変更で「世界一コンパクトな大会」の“公約”は完全に吹き飛んだ。

 それにしても東京五輪の「招致ファイル」は一体、なんだったのだろうか?
舛添要一東京都知事は、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」と述べている。
 結局、杜撰な招致計画のツケを負担させられるのは国民である。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと2年余り、新国立競技場の迷走、五輪エンブレムの撤回、政治とカネにまつわるスキャンダルで舛添前都知事の辞任、そして、競技場見直しを巡っての小池都知事と森組織委員長の対立、“混迷”はまだ収まる気配はない。

「準備は1年遅れている」「誠実に疑問に答えない」 警告を受けた2020東京大会組織委
 2018年4月、2020年東京オリンピックの準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツIOC副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
 これに先立ってタイのバンコクで開かれた国際スポーツ連盟機(GAISF)のスポーツ・アコード(Sport Accord)会議で、複数の国際競技連盟(International Sports Federations IFs)が、2020東京大会の準備状況に不満を抱き、公然と批判した
 これを受けて、IOC調査チームが来日し、4月23日24日の2日間に渡って2020東京大会の準備状況をチェックしたのである。
 コーツ副会長は、準備作業は、大部分は順調に進んでいるが、2020東京大会組織員会は進行状況を完全に説明することを躊躇していると懸念を示した。
 その理由について、 コーツ副会長は、直接的で明快な表現をするオーストラリア人と、多くのポイントを留保する曖昧な表現をする日本人の文化的相違があるのではと述べたが、婉曲表現で日本の姿勢を批判した。
 2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京大会に移る中で、大会準備に関して誠実な答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうという警告である。
 準備の遅れが指摘された競技種目は、柔道とセーリング、トライアスロンで、開催準備の遅れに懸念を表明した。柔道競技では、2019年に開催されるプレ大会の準備状況、セーリング競技では地元漁業者との調整の問題、トライアスロンでは東京湾の水質汚染問題が指摘されている。
 日本のビックイベントのマネージメント力は、世界から高い評価を得ていたが、どうやら海外の五輪関係者の間では、その評価は失われ、“韓国より劣る”という批判が生れているように感じられる。
 あと2年余り、2020東京五輪大会は正念場を迎えている。



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
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東京オリンピック 水質汚染 トライアスロン お台場海浜公園 マラソンスイミング

2018年10月10日 08時03分00秒 | 東京オリンピック

マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園



お台場海浜公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会





お台場海浜公園 水質対策に疑念
 2020東京大会で、トライアスロンやオープンウォータースイミング(OWS マラソンスイミング)の競技会場になるお台場海浜公園で、2018年夏、ポリエステル製の膜、「水中スクリーン」を海中に張って大腸菌などが流れ込むのを防ぐ実験を行った。3重に「水中スクリーン」で囲った水域ではすべての日で基準値を下回り、「水中スクリーン」で囲う水質対策は効果的だとした。


出典 東京都


出典 東京都

 お台場海浜公園は、2017年夏に行われた水質調査で競技団体が定める基準値を大幅に上回る大腸菌などが検出され、水質対策が迫られていた。
 東京湾には、雨が降ると、隅田川などの河川から、生活排水などの汚水が浄化処理されないまま流れ出ることが原因で、首都圏の下水浄化システムを改善しない限り、抜本的な水質改善は不可能である。
 今回の実証実験は、組織委員会と東京都が、大会の開催期間にあたる7月から9月にかけての27日間で行い、お台場海浜公園の入り江内の2か所にポリエステル製の「水中スクリーン」を張って、大腸菌などが流れ込むのを防ぐ実験を実施した。
 「水中スクリーン」は1重に張ったエリアと3重に張ったエリアの2か所を設け、それぞれのエリアで水質改善効果を検証した。
 今年の夏は、首都圏は台風や豪雨に見舞われ、首都圏の下水が東京湾に流れ込み、「水中スクリーン」が張っていない水域では、半数近い13日間で大腸菌が基準値を上回った。台風の影響で7月29日はトライアスロンの基準値の142倍の数値を示した。
 五輪大会が開催されるのは時期は真夏、毎年、台風や集中豪雨の襲われるのは必至である。依然としてお台場海浜公園周辺の水域の水質レベルは、極めて危険なレベルにあることが明らかになった。
 一方、「水中スクリーン」スクリーンを1重に張ったエリアでは大腸菌の基準値を上回ったのがわずか2日で、3重に張ったエリアではすべての日で基準値を下回った。
 組織委員会と東京都は「『水中スクリーン』の効果が確認できた」として、2年後の東京大会で「水中スクリーン」を設置する方向で進めるとした。


出典 東京都

 しかし、今回の実証実験では、泳げる範囲がわずか60メートル四方で設置経費は7500万円だったとされる。
 トライアスロンのスイム(水泳)のコースは1.5キロメートル、周回コースだが、ほぼお台場海浜公園の入り江全域に設定されるだろう。水質改善効果を上げるためには3重の「水中スクリーン」が必須だが、広範囲に設置した場合、水質改善効果が維持できるかどうかは未知である。また設置経費も膨大なり、10億円近くにも達する懸念がある。
 さらにオープンウォータースイミング(OWS)(マラソンスイミング)では、お台場海浜公園周辺の海域に10キロメートルのコースを準備しなければならない。
 往復のコースを設定するにしても、かなり沖合まで出る必要があり、「水中スクリーン」をコースのすべてに設置するのは不可能に近い。
 マラソンスイミングの水質基準は、トライアスロンとは異なり、大腸菌数250個/100ミリリットル以下、腸球菌数100個/ミリリットル以下などが国際水泳連盟(FINA)によって定められている。これまでの東京都が実施した水質調査では、「水中スクリーン」設置などの水質改善対策を実施しないと、競技実施の水質基準が達成できないのは明らかだ。
 10キロメートルのマラソンスイミングのコースにすべて3重の「「水中スクリーン」を設置することができるのだろうか。
 このままでは大腸菌が漂っている「汚染水」の中を、マラソンスイミングの選手は長時間、泳ぐことになる。
 こうした競技運営は、「アスリートファースト」とは到底言えない。

 そもそも、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため、「遊泳禁止」、海水浴場として認められていないのある。海に入って、いわゆる「磯遊び」は可能だが、「顔を海水につけて」遊ぶことはできないのである。
 しかし、港区はトライアスロンなどのイベント開催は特別に許可をしている。
 2016年にトライアスロンにお台場海浜公園を泳いだ井ノ上陽一氏によると、「トライアスロンのスイムは、レースによっては、それほどきれいな海で泳げず、それに耐えることも大事」としている。特に東京、関東近辺の大会では、きれいな海は望めず、川や湖だともっと視界が悪い場合もあるという。必ずしも、きれいな水域を選んでレースが開催されるのではないようだ。
 井ノ上陽一氏のウエッブには、お台場海浜公園の泳いだ様子の写真が掲載されている。


お台場海浜公園の水中  出典 井ノ上陽一氏 「お台場で泳いでみた!トライアスロンスイム(海)の現実」
 
  筆者は、ほとんど泥水の中を泳いでいる様子に唖然としたが、井ノ上陽一氏によると視界が悪いのは別に驚くには当たらないとしている。
 しかし、問題なのは、水質汚染が悪化しているかどうかで、海水浴場として環境基準を満たしていない「汚染水域」で、五輪大会の競技を開催して、選手を泳がせることである。
 これまでたびたび、小池都知事や森組織委員会長から「アスリートファースト」という言葉を聞いた。「アスリートファースト」を掲げるなら、競技会場を水質基準をクリヤーしている鎌倉や房総半島のビーチに変更したら如何か? いまからでも遅くはない。
 また十億円近い無駄な追加経費が生まれる懸念がある。



リオデジャネイロ五輪のマラソンスイミング 出典 Rio2016/Youtube


リオデジャネイロ五輪のマラソンスイミング 出典 Rio2016/Youtube




お台場周辺の海域 大腸菌が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌が上限の7倍も検出
 2017年10月、2020東京大会組織員会は、マラソン水泳とトライアスロンが行われるお台場周辺の海域で、大腸菌(Coli)が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌(faecal coliform bacteria)が上限の7倍も検出されたと公表した。
 この調査は、東京都と大会組織委員会が行ったもので、オリンピック開催時期の21日間、パラリンピック開催時期のうち5日間、マラソンスイミングとトライアスロンの競技会場になっているお台場海浜公園周辺の水質・水温を調査したものである。
 調査を行った2017年8月は、21日間連続で雨が降り、1977年に次いで、観測史上歴代2位の連続降水を記録した。
 調査結果によると、降雨の後は、水質が顕著に悪化すること分かった。今回の調査期間では、国際競技団体の定める水質・水温基準達成日数は、マラソンスイミング基準では10日で約半分、トライアスロン基準はで6日で約3分の1に留まった。
 お台場海浜公園周辺の競技予定水域は、競技を開催する水質基準をはるかに上回る汚水が満ち溢れていることが示されたのである。
参加選手の健康問題を引き起こす懸念が深まった。


お台場海浜公園における水質・水温調査地点  東京都オリンピック・パラリンピック事務局


水質調査結果(トライアスロン) 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


水質調査結果(マラソンスイミング) 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 組織委では、雨期に東京湾から流れ込む細菌の量を抑制するために、競技予定水域を水中スクリーンを設置して東京湾から遮断するなど様々の実験を行い、水質改善に努めているとした。
 コーツ副会長は「トライアスロン競技連盟は依然として水質を懸念している。今年と来年に行われる水のスクリーニング、カーテンの入れ方などの実験についてプレゼンテーションを受けた。この姿勢には非常に満足している」としたが、水質問題に依然として懸念が残るとして改善を求めた。
 しかし、マラソンスイミングに関しては言及がない。


お台場海浜公園における水質・水温調査地点  東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 東京湾の水質改善は、着々と進んではいるが、とても海水浴ができるような“きれいな海”とはいえない。東京湾に流れ込む川からは大量の汚染水が流れ込む。海底にはヘドロが蓄積している。オリンピック開催期間は真夏、ゲリラ豪雨は避けられない。東京湾は、“汚水の海”になることは必至だ。
そもそも東京湾に、選手を泳がせて、マラソンスイミングやトライアスロンを開催しようとすること自体、無謀なのではないか。

「水面に顔をつけない」が条件の海水浴場
 2017年夏、葛西臨海公園に海水浴場がオープンした。水質改善が進んだ東京湾のシンボルとして話題になった。
かつては東京湾には葛西のほか大森海岸、芝浦など各所に海水浴場があったが、高度経済成長期に臨界工業地帯の工場排水や埋め立て工事で1960年代に水質悪化が進み、海水浴場は姿を消した。
東京湾では、約50年間海水浴が禁止され、房総半島や三浦半島までいかないと海水浴ができなかった。
 港区では、「泳げる海、お台場!」をスローガンに掲げ、お台場海浜公園に海水浴場を開設しようとする取り組みに挑んでいる。
 現在は、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため通常は遊泳禁止である。2017年7月29日(土曜)・30日(日曜)の2日間、範囲を限定し、安全面等に配慮しながら行う“海水浴体験”を開催し、訪れた親子連れは、“海水浴”ではなく、ボート遊びや水遊びを楽しんだという。
 しかし、なんと「水面に顔をつけない」ことが条件の“海水浴体験”だった。
 これでは海水浴場と到底、言えないだろう。
 お台場の海は、「水面に顔をつけない」程度の水質しか保証されていないのである。この海で、マラソンスイミング(水泳)やトライアスロンの競技を開催すれば、参加選手は“汚染”された海水に顔をつけ、海水を口に含まざると得なない。選手の健康問題を組織委員会はどう考えているのだろうか。
 なぜ、素晴らしい自然環境に囲まれたきれいな海で開催しないのか。それまでしてお台場の開催にこだわる姿勢には“良識”を疑う。

水質汚染問題に直面したリオデジャネイロ五輪
 2016リオデジャネイロ五輪では、セーリングやトライアスロン、ボートなどの会場となるコパカバーナ地区の湾岸部、グアナバラ湾の水質汚染が深刻で選手の健康被害が懸念され、競技の開催が危ぶまれのは記憶に新しい。
 AP通信が行った独自調査によると、2015年3月以降に競技会場で採取された水から、高い数値のアデノウイルスのほか、複数のウイルスや細菌も検出されという。
 汚染の原因は下水処理整備の遅れだ。人口1000万人のリオデジャネイロの生活排水の7割近くがグアナバラ湾に最終的に流れ込むという。
さらに汚染に拍車をかけるのが、リオデジャネイロの貧民街。リオデジャネイロは世界でも有数の観光地だが、人口632万人の23%を占める143万人が貧民街に暮らしているという。ブラジルで最も貧富の差が大きい都市でもある。貧民街では下水処理施設の整備はほとんど手が付けられていない。
 グアナバラ湾は「巨大なトイレ」と揶揄されている。
 招致段階でリオデジャネイロ州政府は五輪開幕までにグアナバラ湾に流入する汚水の80%を下水処理できるようにすると公約した。この処理事業を支援しているのが日本の国際協力機構(JICA)で、現在四つの下水処理場が稼働している。 しかし、各家庭から処理場まで下水を集める配管の整備が遅々として進んでいない。リオ五輪組織委員会は、開催前年の20157月、公約としていた水質浄化が開幕まで不可能と認めている。
 大量のゴミが海面を覆い尽くしているのも汚染の原因とされているが、リオデジャネイロ市では、湾内のごみを回収する「エコポート隊」を投入するなど窮余の対策に追われた。
 水質汚染問題の抜本的な解決はできなかったが、国際オリンピック委員会(IOC)は「環境基準は満たされた」して競技は予定通り行われた。


ゴミが散乱するグアナバラ湾 Antonio Scorza / Agência O Globo
 
絶望的 東京湾の水質改善 アスリートファーストはどこへいった?
 東京23区の下水道のほとんどが合流式で整備され、雨水と汚水を一緒に処理するシステムである。雨が大量に降ると下水道が処理できずに、そのまま河川に放流される可能性がる。東京都は下水処理能力の向上に取り組んでいるが、一瞬で大量の雨が降るようなゲリラ豪雨が発生すると処理能力の限界を超えてしまう。
 再オープンした葛西海浜公園も、大雨が降ればで、COD濃度が一気に跳ね上がり水質基準を超えて、海水浴場が再び閉鎖になる懸念と隣り合わせている。
 水質改善の抜本的な対策は、下水道を合流式から分流式に切り替えることで、分流式は雨水・汚水を区別して処理する方式のため、雨が降っても汚水が未処理のまま雨水に混ざることはない。
東京23区は、下水道整備を急ぎ、昭和30年代に経費のかからない合流式で下水道を整備した。1970年に下水道法が改正されて、下水道はようやく分流式で建設されるようになったが、現在でも合流式で整備した下水道が広いエリアで稼働している。東京都内の下水道が分流式に切り替わるには、あと30年以上はかかるとされている。
 さらに埼玉県や千葉県、茨城県からの生活排水も東京湾に流れ込む。
さらに東京湾の海底には、過去の環境汚染の“負の遺産”である汚染物質が大量に含まれているヘドロが海底には堆積したまま、未だに年間約40回程度の赤潮や4~5回程度の青潮が発生している。
 東京湾に本格的に海水浴場が蘇るのはまだまだ先になる。

 2020年東京大会まであと2年余り、この間に、東京湾の水質改善が飛躍的に進むことはありえないだろう。
 “汚染”された海、東京湾に選手を泳がす2020東京大会、何が「アスリートファースト」なのだろうか。






“もったいない”五輪開催費用「3兆円」 青天井体質に歯止めがかからない! 「世界一コンパクトな大会」はどこへいった?
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江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念


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北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
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四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
主導権争い激化 2020年東京五輪大会 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか
“選手村は一つ”、“選手村はオリンピックの魂” の矛盾 どこへ行った五輪改革
唖然とする“五輪専門家”の無責任な発言 膨れ上がった施設整備費
相次いだ撤退 迷走!2024年夏季五輪開催都市




国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年5月9日
Copyright (C) 2018 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
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コメント

東京オリンピック セーリング会場 シラス漁 江の島ヨットハーバー ヨットレース ウインドサーフィン

2018年09月16日 19時51分10秒 | 東京オリンピック

江の島セーリング会場 シラス漁に影響
ヨットの移設や津波対策に懸念
「準備は1年遅れている」 警告を受けた2020東京大会組織委 





2020東京大会のテストイベント第1弾
セーリングのワールドカップ(W杯)開催 はやくも開催時間を巡ってトラブルに


 9月11日、2020東京五輪のテスト大会の第1弾となるセーリングのワールドカップ(W杯)江の島大会の競技が神奈川県の相模湾で始まった。江の島は2020東京五輪大会のセーリング会場となるため、このプレイベントの開催で問題点を洗い出していくのがその目的だ。
 今回のセーリングのW杯にあたって、大会組織委は延べ200人の職員を派遣。輸送や警備など36分野に分かれ、主催のワールドセーリング(WS)などから、運営のノウハウを直接学んでいる。
 今回の大会の開催にあたっては、相模湾名物のシラスの漁場に配慮して、地元漁業者への影響をどうやって最小限に抑えるかが最大の課題だ。
 その結果、レース当日もシラス漁ができるよう、通常午前10時に設定することが多い競技開始時間を午後1時から5時までに遅らせることで実行員会は地元漁業者と合意した。
 コースは定置網を避けた六つを設定。その上で、漁業者がアクセスしやすいよう、漁港から漁場への漁船の走行ルートも確保した。地元漁協の協力を得て、英語のナレーション付きでレース地点付近の漁場の様子を説明する動画もつくられた。
 大会組織委の内藤拓也・地方会場調整担当部長は「コース設定に関しては、(シラス漁などに)十分に配慮した形になっているのではないか」と話す。今大会がうまくいけば、今回のコースが五輪本番でも使われる可能性は高くなる。
 しかし、早くも競技時間開始を巡って、地元漁業者とトラブルが発生した。
 午後1時から同5時の間に行うという合意、9月11日の初日は、一部のレースが午前11時ごろ開始された。地元漁業者の抗議を受け、実行委は、翌12日からは正午以降の開始とした。
 実行委は、事前に漁業団体と合意した開始時間をレース開始時間を決める団体「ワールドセーリング」に十分に説明できていなかったという。実行委の末木創造委員長は「一部のスタッフに業務が集中してしまった。大変申し訳ない」と語った。
 また神奈川県しらす船曳網漁業連絡協議会の杉山武会長は「漁業補償もない中で、譲歩し合って定めたルールではなかったのか。こんなことでは先が思いやられる」と語った。
 五輪大会中は、一定期間、漁ができない期間が発生する可能性もある。漁業者への営業補償が発生した場合、東京都が負担することになっているが、補償額やどこまでを対象とするかは未だに決まっていない。(参考 朝日新聞 産経新聞 9月11日/14日)









出典 World Saling Japan 2018




「誠実に疑問に答えを」 コーツIOC副会長
 2018年4月24日、2020東京五輪大会の準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツ国際オリンピック委員会(IOC)副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
 4月15日から20日、タイのバンコクで開かれた国際スポーツ連盟機(GAISF)のスポーツ・アコード(Sport Accord)会議などで、複数の国際競技連盟(International Sports Federations IFs)が、2020東京大会の準備状況に不満を抱き、公然と批判した。
 これを受けて、IOC調査チームが来日し、4月23日24日の2日間に渡って2020東京大会の準備状況のチェックを行った。

 コーツ副会長は、準備作業は、大部分は順調に進んでいるが、2020東京大会組織員会は進行状況を完全に説明することを躊躇していると懸念を示した。
 その理由について、 コーツ副会長は、直接的で明快な表現をするオーストラリア人と、多くのポイントを留保する曖昧な表現をする日本人の文化的相違があるのではと述べたが、婉曲表現で日本の姿勢を批判した。
 2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京に移る中、大会準備に関して答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうという警告である。

柔道、セーリング、トライアスロンに批判
 国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟は、柔道とセーリング、トライアスロンの種目について、開催準備の遅れに懸念を表明している。国際柔道連盟は、2019年に開催される柔道競技のプレ大会の準備状況の遅れを指摘し、国際セーリング連盟は、江の島で開催されるセーリング競技について、地元漁業者との調整が進まず、コース決定が遅れていることに不満を示した。またトライアスロン競技連盟は東京湾の水質汚染問題について強い懸念が示された。


江の島ヨットハーバー センリング競技会場  出典 神奈川県


江の島ヨットハーバー 出典 2020東京大会組織委員会

シラス漁に影響 江の島セーリング
 セーリング競技については、バンコクで開かれた夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)の総会で、、国際セーリング連盟は、「準備が1年遅れている」と指摘し、地元の漁業者との交渉が進まず、レース海面決定が遅れていることや津波対策や警備対策に懸念を持っているとした。
 コーツ副会長も、記者会見で、2020東京大会組織委員会に対し、地元の漁業者へ与える影響について懸念を表明したと付け加えた。

 2020東京大会で江の島で開催されるセーリング競技では、ディンギー5艇種(1人ないし2人乗りの小型艇)によるヨットとウインドサーフィンが行われる。海上に設置された3つのブイ(三角形のコース)を周回して、指示された周回方法や周回回数で走る競技で、得点とレースの終了順位で勝者を決まる。
 競技種目には、1人乗りのレーザー級、2人乗りの49er(フォーティーナイナー)級などがあり、1984年のロサンゼルス大会からは、ウインドサーフィン種目も採用された。
 2016リオデジャネイロと同様の10種目が行われることが決まっている。 

▼ 競技種目
 ・RS:X(男子/女子)
 ・レーザー級(男子)
 ・レーザーラジアル級(女子)
 ・フィン級(男子)
 ・470級(男子/女子)
 ・49er級(男子/女子)
 ・フォイリングナクラ17(混合)

 競技を開催する海面は、鎌倉市沖から葉山町沖の相模湾に、直径1852メートルと1574メートルの円形の5つのエリアの設定が計画されている。
 国際セーリング連盟は、レースの実施に当たってはブイを設置するので、水深が深いところではブイを固定しづらいため、水深 40 ㍍以下が望ましいとし、沖合に海面を設定すると選手の移動負担が大きいく、なるべく沿岸に近い浅瀬に設定することを求めている。
 一方この海域は、古くから湘南名物のシラス漁の好漁場として知られている。
 セーリング競技団体はレース海面をなるべく沿岸に近い海域を求めいるのに対し、漁業者はシラス漁への影響を懸念してなるべく沖合にしたいとして調整が継続されていて、未だにレース海面が決まっていない。
 シラス漁の操業海域は、5市1町の8漁業組合に独占的に認めている「共同漁業権」エリアが設定され、さらにその沖合にはどの漁協も操業できる海域が広がっている。
 シラス漁は、元旦から3月10日までは禁漁だが、五輪セーリング競技の公式練習や大会開催期間はシラス漁の漁期と重なり、漁業者への影響は必至である。
 さらに現状で計画されている競技エリア内には、定置網が2箇所設置されていて、定置網を撤去すると巨額の撤去費用や漁業補償が発生する。
 神奈川県ではこうした巨額の費用負担を避けるために、定置網の設置場所を競技エリアから外すことで調整をしたいとしてるが、未だに決着はしていない。
 漁業補償については、五輪期間中の漁業補償を支払う方針だが、ほぼ同じ海面で実施する見通しのテスト大会については、現段階では検討していない」しているが、未解決のままである。
 セーリング競技大会は、2020東京大会の前に、テストイベント(プレプレ大会、プレ大会)が、2018年9月と2019年と大会直前に合計3回の開催が予定されいる。テストイベントは本大会と同様程度の規模で開催される。
 レース海面の決定は漁業補償がからんで難航が予想され、セーリング開催準備は大きな難問を抱えている。


セーリング競技開催予定海域   出典 神奈川県

緊急課題 津波対策
 江の島の東端の海に突き出したエリアに、約5000人収容の観客席が設けられる。約2000~3000人とされている大会関係者も含めると1万人近い大勢の人が集まるだろう。
 海辺のイベントで懸念される災害は、津波である。近くには津波避難施設も少なく、「避難しやすい対岸などに観客席を移すべきだ」との声も出ている。
 神奈川県藤沢市が作成したハザードマップによると、相模湾から房総半島に至る相模トラフで大地震が発生した場合、五輪セーリング会場の江の島ヨットハーバーには8分後に4・5メートルの津波が来ると想定している。さらに「想定外をなくす」方針のもと新たに追加された予測では最大クラスで高さ11・5メートルの津波が来る可能性も指摘している。
 2017年10月には台風21号の影響による激しい風雨に高潮が重なり、高さ約6メートルの堤防を高波が乗り越えた。セーリング会場となる一帯が冠水して、競技用の大型コンテナが流されて横倒しになるなどの被害が出ている
 江の島セーリング会場の緊急課題は、短時間避難可能な避難施設の確保など津波災害対策である。
 しかし現状では、津波や高波の際、すぐ逃げられる場所は江の島ヨットハウスの隣の屋外展望台(400人収容可能)だけといわれている。
 江の島には、標高約60メートルの小山や高台もあるが、避難ルートは、飲食店や土産物店が並ぶ狭い参道など住宅地を抜ける急な上り坂が指定されているが、1万人近い群衆が短時間で避難できるかどうか懸念が多い。
 観客席を対岸に移したり、セーリング会場内に新たな津波避難施設を建設したりする安全対策が求められるのは当然だろう。 
 国際セーリング連盟も津波対策について懸念を表明してる。

難題 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約1000艇の移動
 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約200艇のクルーザーや約800艇のディンギーは、 2020東京大会開催時だけでなく、テストイベント開催時には移動させなければならい。
 2012ロンドン大会では、参加国56カ国、競技艇273艇、参加選手380人だったが、2020東京大会では、参加国同数56カ国程度、競技艇300艇、参加選手400人を想定している。
 さらに、参加チームには、コーチやスタッフが2000人から3000人参加し、合わせて40フィートコンテナが約100個、運営艇が約300艇持ち込まれる。
 神奈川県では、競技艇300艇は現在のディンギー保管エリア、運営艇300艇は現在のクルーザー係留エリアを使用するとしている。またコンテナリアは駐車場エリアや民間事業者が保有する敷地を利用することで調整しているとしている。
 現在利用している約1000艇や機材置き場を、およそ2年間に渡って移動させることが必須となるが、これが難題だ。
 神奈川県ではクルーザー等は、県内のハーバーを移動候補地として検討し、ディンギーは、県が管理する港湾等の活用について、利便性やコストを精査しながら、検討するとしている。
 利用者にとっては、移動後の係留費用も重要だ。神奈川県では、艇を他の場所に保管する際にどの様な費用が発生するか調査して今後検討していくとしている。
 また、ヨットのメンテナンスなどヨットハーバー関連の仕事に従事している人たちへの影響も深刻だ。 2年近く船が無くなると関連企業は閉鎖しなけばないない事態も起きる懸念がある。
 観光地江の島全体に与える影響もある。大会準備の工事やヨットの移動の影響で江の島自体が“閑散”となる懸念も生まれる。ヨットハーバーを訪れる人は減少し、周辺の飲食店や土産物店への影響も懸念される。
 テストイベントが開催される期間は大会関係者で賑わうだろうが、それは2カ月あまり、残りの2年間余りはは“閑散”とすると思われる。こうした状態が続いたら、なんのために江の島でセーリング競技を開催するのか批判が生れる可能性もある。
 2018年9月6日から16日には、本大会さながらのテストイベント(プレプレ大会)が始まる。
 江の島ヨットハーバーでセーリング競技を開催する準備に残された時間はわずかである。


セーリング会場整備計画   出典 神奈川県


全体の想定スケジュール   出典 神奈川県

コーツ副会長から警告された組織員会 
 「あなたたには、率直に質問に答えなければならい」、記者会見でコーツ副会長は述べたが、隣に座った元首相の森喜朗委員長と武藤敏郎事務総長はまったく無表情だった。
「すべてがあなたたちに原因があるとは思わないが、疑念はますます増えるだろう」とコーツ副会長は付け加えた。
 森組織委会長は、コート副会長から個人的に受けたドバイスについて質問された。
 「沢山の案件があった」とし、「いくつかの具体的なアドバイスがあり、1つや2つのポイントだけ取り上げることはできない。 多くのポイントがあった」と内容を明らかにすることを避けた。
 これまでに開催されたいくつかの五輪大会とは異なり、東京大会は、はるかに効率的にスケジュール通りに開催準備を行われることが期待されていた。  
 しかし、東京大会の主催者は、いくつかのスポーツ連盟やオリンピック委員会が満足できる大会準備状況について、なぜか説明することを躊躇しているとIOC調査チームから警告されたのである。

 先週、世界のセーリング、柔道、トライアスロンの国際競技連盟から東京大会の準備状況に懸念を示す声が相次いだ。
 世界セーリング連盟のアンディ・ハント(Andy Hunt)会長からは、1年後に迫った大会を控え、セーリング会場となる海域での漁船の問題を指摘した。
 IOCのクリストファー・ダビ氏は「東京大会の開催準備は進んでいるとは思うが、最終決定するまでは公表しない。 それが問題だ」と述べた。

 コーツ副会長は、今年11月に、東京で開催される世界206のオリンピック国内委員会が集まる会合で、東京大会の主催者が質問攻めにあう可能性があると警告した。
 「どんな質問にも答える明快に準備ができていなければならない。彼らは答えが欲しいと思っている。それができなければ信頼を失う危険がある」と述べた。
 そして、「彼らは選手にとって最良の競技ができる環境を知りたがっている」と語った。 「今、私たちはすべての細かな競技環境がどうなるのかに関心がある。こうした細かな競技環境を高めることが重要なのである」
 東京大会まで2年余り、五輪関係者の関心は、競技場や宿泊施設、輸送、競技や選手に影響を及ぼすあらゆる分野で、極めて現実的で緊急に解決しなければならない段階に突入するのである。

混迷必至、北朝鮮五輪参加問題 
 北朝鮮の2020東京五輪参加問題も取り上げられた。
森組織委会長は、最終的に東京オリンピックで北朝鮮代表団を迎えることになることを懸念していると述べた。 日本は、北朝鮮による拉致問題を抱えていて、未だに解決されてと問題を提起した。
 日本は北朝鮮に「裏切られた」とし、「拉致事件は平和な時代に起こった。そして日本人が拉致された」と述べた。
さらに「日本は朝鮮半島に近く、北朝鮮は隣国である。 そして我々は核兵器の脅威にさらされている。我々はこうした厳しい状況の下で生きていかなければならない」と語った。
 コーツ副会長は、日本は東京オリンピックで北朝鮮の五輪選手団を受け入れることがオリンピック憲章の下で義務づけられていると基本的な姿勢を明らかにした。
 しかし、「五輪開催国の政府が、五輪選手団以外の政治指導者や関係者の受け入れを制限する権利がないと言っているわけではない」とも述べた。
 2020東京大会は、北朝鮮の五輪参加という極めて難解な問題を突き付けられている。





東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園


北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
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“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革に暗雲
四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
主導権争い激化 2020年東京五輪大会 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか
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唖然とする“五輪専門家”の無責任な発言 膨れ上がった施設整備費
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東京オリンピック 海の森水上競技場 Time Line Media Close-up Report
相次いだ撤退 迷走!2024年夏季五輪開催都市

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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年2月11日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
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コメント

2018FIFAワールドカップ 国際放送センター IBC 4K HDR VAR 8K HBS UHD

2018年07月03日 08時59分26秒 | 東京オリンピック
2018FIFAワールドカップ 4K/HDRサービスに乗り出したHBS
国際放送センターはクロクス・エキスポに設置
VARが“勝敗の分かれ目”を決める その威力と功罪


▼ 219の国と地域から79のライツホルダー((MRLs:media rights licensees)、約5000人が参加するIBC
▼ 放送機関の拠点、IBCの設備と機能
▼ 初めて導入されたVideo Assistant Refree(VAR)は威力を発揮するか
▼ VARが“勝敗の分かれ目”を決める その威力と功罪
▼ 日本対コロンビア戦で登場 “Goal Line Technology”
▼ 全64試合はUHD/HDR(4K/HDR)で配信
▼ スタジアムのカメラ配置はこうなる
▼ NHKは全64試合をBS1、32試合を総合TV、4K8Kは12試合を放送
▼ 民放は日本戦、決勝トーナメント戦を放送





巨額を投入したスタジアム建設 “負の遺産”に転落するのは必至
止まらないW杯の膨張体質を支える放送権料 FIFAの収入の約62%は放送権料
Ultra HDとVRサービスに挑むBBC 2018 FIFA World Cup Russia

空前の汚職スキャンダルに見舞われたFIFA 再生は果たせるか?
2022カタール大会 65億6000万ドル(約7200億円)の巨額収入 目を見張る新スタジアム建設 新機軸eスポーツ



ロシアで開催される2018 FIFA World Cup
 2018 FIFA World Cup Russiaは、2018年6月14日から7月15日まで、世界各国から32のチームが参加し、32日間に渡って合計64試合が行われる。
 この大会で放送権を獲得したメディア(MRLs:media rights licensees)は、世界219の国と地域、260の放送機関で、FIFAでは各試合平均で2億人の視聴者(20分以上視聴)がいて、決勝戦は10億人の視聴者(20分以上視聴)がいると推定している。
 競技会場は、7つのスタジアムを新たに建設し、4つのスタジアムは改築して、11都市にある12のスタジアムを使用する。
 大会に参加するチームは、世界各地区の予選を勝ち抜いた31チームと開催国ロシア・チームの32チーム、ロシア国内にそれぞれチームキャンプ地が設けられ、30のトレーニング場も準備された。
 大会開催のハブとなる都市は、モスクワで、Luzhniki とSpartakの2つのスタジアムと5000人のメディアを収容するIBCが整備された。
 Luzhnikiスタジアムは72,385人、Spartakは41,262人を収容可能なスタジアムにリノベーションした。
 Luzhnikiスタジアムでは、開幕第1戦のロシア対サウジアラビア戦や決勝戦が行われる。
 その他のスタジアムは、Ekaterinburg、 Kaliningrad、 Kazan、 Nizhny Novgorod、 Rostov-on-Don、 St Petersburg、 Sochi、 Samara、Saransk、Volgogradで、合わせて11都市12か所の会場で開催される。



Luzhnikiスタジアム  出典 Goal.com

MOSCOW - 2018 FIFA World Cup™ Host City
Youtube

Russia 2018: Magic is in the air
Youtube

1億8900万ドルの巨額赤字を出したFIFA(2017年) ロシア大会開催で黒字転換に
 2018年7月、空前の汚職スキャンダルに見舞われていたFIFAは、財政報告を公表し、「信頼性喪失」で、2017年度の収支は、収入が7億3400万ドル(約800億円)に対し、支出9億2300万ドル(約1000億円)で、1億8900万ドル(約200億円)の赤字になったことを明らかにした。
 2016年度の3億9100万ドル赤字は約半分に縮小したもの、1億1700万ドルの赤字に転落した2015年から、3年連続の赤字を記録し、この結果、2015年から2017年の累積赤字額は6億9700万ドル(約770億円)となり、汚職スキャンダルの後遺症の深刻さを露呈した。
 この巨額の赤字によって、FIFA年の準備金は、2015年の14億1000万ドル(約1550億円)から2016年には10億4100万ドル(1152億円)に減少し、2017年には9億3000万ドル(約1000億円)に落ち込んだとした。
 しかし、FIFAは、2018年は、FIFAワールドカップ・ロシア大会の開催などで、38億7600万ドル(約4260億円)の巨額の収入を上げることができると強気の見通しを明らかにしている。
 その収入の“大黒柱”は、放送権収入で、2018年は24億1700万ドル(約2660億円)を見込んでいて、収入の約62%を占める。なんと60%を超えるFIFAの収入は放送権収入支えられるいるのである。
 これによって、2018年の収支は7億2300万ドル(約800億円)以上の黒字になるとし、2015年からの累積赤字は一掃して、4年間の収支計算で1000万ドル(約11億円)以上の黒字に転換になるとしている。
 その結果、FIFAの準備金は2015年末の14億1000万ドルから、2018年末には16億5300万ドル(約1820億円)に回復すると予想し、空前の汚職スキャンダルがもたらした「信頼性喪失」の後遺症から完全に回復できたとしている。




Crocus Expoに設営された国際放送センター(IBC)
 モスクワの北西、MKADリングの外側に位置し、競技会場になるSpartak Stadiumの近くにあるCrocus Expo International Exhibition Centerに国際放送センター(IBC)が設営された。2018年6月9日、関係者が出席しオープニング・セレモニーが行われた。


Crocus Expo International Exhibition Center


Crocus Expo International Exhibition Center Pavilion


出典 The International Broadcasting Center at the 2018 FIFA World Cup Russia FIFA TV Service

 国際放送センター(IBC)は、2018 FIFA World Cup Russiaの全世界のテレビやラジオなどの放送機関の拠点となる施設である。
 IBCでは、今回の大会で開催される64試合のライブ中継を始め、毎日のハイライト映像や各チームの最新情報、関連特集などが配信される。
 
 IBCには、全世界、219の国と地域から、78のライツホルダー((MRLs:media rights licensees)、約5000人が参加して、スタジオや編集・送出設備、ワーキング・スペースなどを設置して各国に向けてオペレーションを行う。
 IBCの設営・運営はFIFA傘下のHBS(Host Broadcast Service)が担当し、大会開催中の32日間、24時間サービスを実施する。

 IBCの総面積は5万4000平方メートル、HBS/FIFAエリアと各放送機関の専用エリア、サービスエリアなどに分かれていて、その内HBS/FIFAなどのスペース(multilateral areas)が8613平方メートル、各放送機関の専用スペース(unilateral production areas)が9054平方メートル、各放送機関の専用スペースで最大は1680平方メートル、最小は22平方メートルとなっている。またテレビスタジオが7つ設けられ、Fox U.S.、Fox Brazil、Telemundo、Televisa、Caracol TV、TYC Sports Argentina、CCTVがオペレーションを行う。テレビスタジオの中で、最大のスタジオは400平方メートルである。
 FOXやBBC、CCTVを始め、SBS Australia、 Globo and GloboSat(Brazil)、 TV Azteca(Mexico)、 DirecTV Latin America,、ITV(UK)、 Telemundo(U.S.)、 beIN(中東)の13の放送機関は、ビジュアルでアトラクティブなスタジオ建設を目指し、「赤の広場」にサテライトスタジオを設営してオペレーションを行う。


「赤の広場」に設置されたFOXのスタジオはロシアの雰囲気を重視したデザイン

 2017年12月1日に、IBCはCrocus ExpoからHBSに引き渡され、2018年5月14日にIBCとしてオープン、6月5日からIBCサービスが開始、7月15日の決勝戦の翌日、7月16日にIBCサービスは終了し、機材を撤収して8月15日にCrocus Expoに戻される。
 IBCの設営には133日間、撤去には30日間かけるとしている。

IBCの設備と機能

■ テクニカル・コンパウンド(Technical Compound)
 テクニカル・コンパウンドは、パビリオン1と2の間に設置され、電力や空調の仮設施設やバックアップ設備が整備される。

■ サテライト・ファーム(Satellite Farm)
 サテライト・ファームはIBCの駐車場に隣接して設置され、衛星が見通し可能な場所が確保されている。

■ 共通エリア(Multilateral Areas)
 共通エリアは、Master Control Room(MCR)/Central Equipment Room(CER)、コンテンツ制作センター、オフイスの3つのエリアに大きく分かれている。
 これらの施設は、パビリオン1と2に分散されているいるが、お互いに密接に連携してオペレーションを行うようにする。
  2018 FIFA World Cup Russiaで、IBCで初めてLive Infotaiment Content(情報・娯楽情報)が制作される。

■ マスターコントロール・ルーム(MCR)
 マスターコントロール・ルーム(Master Control Room MCR)は、映像・音声信号をコントロールするIBCの中枢の機能を担う。
 各都市の12のスタジアムや関連施設からIBCに送信されてくる映像・音声信号やIBCから光回線や衛星にアップリンクされるすべての映像・音声信号を監視して制御する。
 IBCに送信されてくる信号は、試合中継などの国際映像(Multilateral Feed/World Feed)と各ライツホルダー(MRLs:media rights licensees)が独自に制作したユニー映像・音声信号(Unilateral Feed)の二種類がある。
 ホストブロードキャスターのHBSは、こうした信号をすべてMCRで一括管理をし、ライツホルダー(MRLs:media rights licensees)に配信したり、HBSの制作センターへ配信したりして、さまざまな映像コンテンツを制作する。
 今回の大会では、UHD/HDR、UHD/SDR、3G-SDI(1080P)、HD/SDI(1080i)などの多様な信号が処理されることになったが、HBSは、こうした信号をすべてMCRで集中的に制御し、国際映像(Multilateral Feed)についてはラツホルダー(MRLs:media rights licensees)にニーズに応じて、多様な信号フォーマットのコンテンツで配信する。
 またMCRでは、ライツホルダー(MRLs:media rights licensees)のユニー映像・音声信号(Unilateral Feed)の入力・出力もコントロールし、各ライツホルダーに配信する。
 MCRは、送信コントロールも担い、国際映像(Multilateral Feed)やユニー映像・音声信号は、サテライトファームのSNGに送り衛星にアップリンクしたり、光回線にアップリンクして、世界各国の放送機関等に伝送する。

■ MCR Multivewer System
 これまでのMCR Multivewer Systemは、今回の大会で一新された。
 UHD/HDR、UHD/SDRの配信が始まったからである。
 すべてのフォーマットの信号は、ルーター・コントロール・システム(VSM)で制御され、MCRに設置されたモニターで表示可能なシステムを構築した。

■ Satelitte Distribution System
 MCRにはワールド・フィード・コントロール機能が整備され、サテライトファームにある衛星アップリンク車からオペレーションの制御可能にした。IBCから世界各国のライツホルダー(MRLs:media rights licensees)に送信される映像・音声信号はこの機能によって制御される。
 衛星アップリンク・オペレーションは24時間可能で、ライツホルダー(MRLs:media rights licensees)はMCRのサポートを得ることができる。
 ワールド・フィード・コントロール機能は、ルーター制御パネルと連結していて、IBCのすべての入力・出力の二つのオペレーションはMCRが管理する。



Master Control Room(MCR)



Pavilion1/2



Pavilion1
出典 The International Broadcasting Center at the 2018 FIFA World Cup Russia FIFA TV Service

■ スタジアムからIBCへの伝送(Stadium Feed)
 ロシア国内の各都市に分散した12のスタジアムからIBCへのライブ伝送は、ホスト・ブロードキャスターの重要なオペレーションである。
 各スタジアムからIBCへのフィードは、ベースバンドで10回線が準備され、Clean Stadium Feed(CSF)/UHD、Extended Stadium Feed(ESF)/3G-SDI、Clean Stadium Feed(CSF)/3G-SDI、Tactical Camera Feed、Player Camera Feed(A/B)、Team Camera Feed(A/B)、Clip Channel Action、Clip Channel Emotionの伝送が行われる。さらにIOS回線11回線でデジタル情報が伝送される。
 フィードされた映像・音声信号は、ラツホルダー(MRLs:media rights licensees)に配信される。

■ 制作センター(Production Center)
 ホスト・ブロードキャスターのHBSは、スタジアムから伝送された映像素材やHBSが40クルーのENGで取材する映像素材を元に、Extemded Basic International Stadium Feed Show(EBIF)やハイライト、5.1サラウンド音声、ストリーミングやVOD、Data Feed、VRなどのデジタル・コンテンツの制作センターで編集・制作を行い、ライツホルダー(MRLs:media rights licensees)に配信する。




VARが“勝敗の分かれ目”を決める その威力と功罪


Video Assistant Refree(VAR)




2018 FIFA World Cup Russiaで初めて導入されたVideo Assistant Refree(VAR)
出典 FIFA TV

 2018 FIFA World Cup Russiaでは、最先端の映像技術を駆使したVideo Assistant Refree(VAR)システムが初めて導入された。
 VARシステムは、モスクワのIBC内に設置されたVideo Operation Room(VOR)で、VARスタッフが、各都市にある12のスタジアムから光回線で伝送されてくるライブ中継映像をモニターして、試合の結果を左右するような重大な主審の判定ミスを監視するシステムである。
 VARの対象となるのは、「得点」、「PK」、「一発退場」、「退場・警告の人定」の4項目である。
 試合の進行を極力妨げないように、3回以上リプレーをして確認しなければならない微妙な判定は対象としない。
 FIFAは2018 FIFA World Cup Russiaのプレ大会として昨年ロシアで行われたコンフェデレーションズカップなどで試験的にVARを導入し、検討を進めていた。


出典 FIFA TV


出典 FIFA TV


出典 VAR at the 2018 FIFA World Cup Russia

 このシステムでは、VARチームを統括して判定を行い主審と連絡をとるVideo Assistant Refree(VAR)と試合を常時監視しているアシスタントVAR(AVAR)、映像を管理するリプレーオペレーター(Replay Operator)が一チームとなってオペレーションを担う。
 アシスタントVARは、メインカメラで試合の状況を常時、モニターしているAVAR1、テレビ中継映像を監視しているAVAR2、オフサイド・カメラを常時監視しているAVAR3の3人がいて、それぞれのAVARがインシデントを認識した場合にVARに伝える。
 リプレーオペレーターは、2人が該当するインシデントのベスト・カメラアングル映像をプレセレクトし、2人が最終的にVARに見せるベスト・カメラアングル映像を決める。
 VARは、リプレーオペレーターの選んだ該当の映像を見て判定を行う。
 VARはスタジアムの主審と直接、対話が可能で、判定の内容は主審に伝えられる。
 VARの判定の結果は、スタジアムの大型ディスプレーでもビデオ映像付きで観衆に伝えられる。
 判定を巡って紛糾するケースが多いオフサイドについては、“Vertial Offside Line”を複数の異なるアングルのカメラを映像を合成して画面に表示して、VARが判定を行う。“Vertial Offside Line”も大型クリーンで観衆に見せて判定の公平性を示す。
 また人間の「眼」の判定では限界があるゴールの判定は、FIFAは“Goal Line Technology”を導入した。フィールドに設置された7台の異なったアングルのカメラの映像を解析し、ゴールを判定して、Vertual Realityで表示する。そのシステムとして“Hawk-Eye”を採用し、音声技術は“Crescent Comms”を使用することになった。
 “Hawk-Eye”はイギリスの会社が開発した技術だが、2011年に日本企業のソニーが買収した。

 映像で判定を補助するビデオ判定システムは、選手やコーチが要求できる「チャレンジ制」と、VARと同じようにジャッジ・アシスタントが判定を要求できる二つに分けられる。
 「チャレンジ制」はNFL(アメリカンフットボール)、野球(MLB、韓国プロ野球)、テニス、バレーボール、レスリングなどで導入されている。
これに対して「チャレンジ制」は、「チャレンジ」可能な回数制限が設けられ、試合進行の妨げにならないように配慮されている。
テニスでは、各選手に1ゲームあたり3回の「チャレンジ」権が与えられるが、「チャレンジ」が成功した場合は、回数制限の枠の外になり、何回でも「チャンレンジ」が可能である。
 また「チャレンジ」で「明確な誤審」がなかった場合は、ペナルティが課される競技もある。レスリングではチャレンジが失敗した場合、1ポイント失うルールだ。
 一方、VARは試合の映像をモニターして、「インシデント」を察知した場合、さまざまなアングルのカメラ映像を検証して判定を下し、主審に伝える。しかし、VARは、あくまで主審の判定の“補助”で、判定の最終判断は主審が行うのである。
 しかし、VARがさまざまなアングルからの映像を検証しても判定ができない極めて微妙なプレーも残る。ハンドの反則は、「故意」かどうか決めてである。「故意」か「不可避」か、選手同士の接触プレーでは、激しいぶつかり合いなのかファールなのか、判定に苦しむケースが多い。ハンドの反則では「故意」かどうかがファウルの決め手になる。結局、主審の判定に頼らざるを得ないケースも現実には多発する可能性もあり、判定を巡る混乱は収まらない懸念は依然として残る。


VARチームの構成
出典 FIFA TV

VAR適用「第一号」 フランス対オーストラリア戦 フランスにPK


スタジアムの大型ディスプレーで表示されたVARの判定 フランス対オーストラリア戦 6月17日
出典 TASS 2018 FIFA World Cup Russia

 6月16日、サッカーW杯ロシア大会一次リーグBのポルトガル対スペイン戦で、 大会ポルトガル3―3スペイン サッカーW杯ロシア大会で、今大会から導入された映像で審判の判定を補助するVARが初めて使用された。
 判定されたのは前半24分にスペインが同点ゴールを決める直前のプレー。ペナルティーエリア近くの競り合いで倒れたポルトガルのペペがファウルを主張し、主審が耳元に手を当てるしぐさを見せた。通信機器で交信し、反則の有無を確認する合図だった。
 判定は変わらなかったが、VAR判定中もプレーが続行されていたため、見た目には分かりづらい「適用第1号」となった。(2018年6月16日 時事通信)
 続いて、スタジアムの観衆にも見える形での事実上の「第1号」となったのは6月17日に行われたフランス対オーストラリア戦である。審判は反則をとらなかったがVARによりファールが判定された。
 後半戦から開始から10分頃、フランスのグリーズマンがペナルティーエリア内に進入した場面で、オーストラリアのリスドンが滑り込んでタックルし、グリーズマンは倒された。主審はその場では即座に反則を取らず、プレーが続いたが、VAR判定が発動され、VARとのやりとりをした主審がピッチ脇にあるモニターで映像を確認するなどし、オーストラリアのファールを認め、フランスにPKを与えた。
 このPKでフランスは1ゴールを獲得し、さらにもう1ゴールを奪い、試合はフランスが2対1で勝利を収めた。
 FIFAは、VARの判定の結果について、「満足している」と語った。


オーストラリアのリスドンのタックルを受けるフランスのグリーズマン  出典 FIFA TV


VARシステムの映像を見る主審  出典 FIFA TV


VARシステム映像  出典 FIFA TV

“Goal Line Technology” 日本対コロンビア戦
6月19日に行われた日本対コロンビア戦で、開始直後、日本が香川選手のペナルティキックのゴールで1点を先行した後、前半の39分に、今度はコロンビアが吉田選手のファイルでフリーキンックを得て、キンテロ選手が右のゴールポスト隅にグランドを這うように転がるシュートを放ち、ゴールを決めた。ゴールキーパーの川島はゴールポスト上隅の弾丸シュートを予想していたと思われるが、その裏を取られ、懸命にセーブするもわずかに及ばず、シュートはゴール・ラインを割った。
 スロー再生で見ても、ゴール・ラインを割ったのは明らかだったが、初めてVARの“Goal Line Technology”を使用して、Vertial Realityの画面でキンテロ選手のシュートgゴール・ラインを割っていたことを明示し、コロンビアの得点を認めた。
 ゴールの判定は、スタジアムの巨大スクリーンでも表示され、スタンドにいる観衆やテレビの視聴率は大いに納得したようである。


コロンビアのフリーキックによるゴールはGoal Line Technologyの判定に    出典 FIFA TV/NHK


Goal Line Technologyの判定結果 ゴールラインを割っていたシュート  出典 FIFA TV/NHK 

ノー・ファール ネーマールは"シュミレーション"?
 6月22日にサンクトペテルブルグ・スタジアムで行われたブラジル対コスタリカ戦では、主審のファールの判定が、VARによって覆されNOペナルティの判定になった。
 試合の終盤近く、ペナルティエリア内の絶好の位置でパスを受けたブラジルのエース、ネイマール選手は、コスタリカのゴンザレス選手のディフェンスを受け、シュートをできずに倒れる、主審は、ゴンザレス選手のファールをとって笛を吹いたが、VARは主審にビデオ判定を要求した。
 スロー再生の中継映像を見ればはっきり分かるが、ゴンザレス選手の腕がわずかにネイマール選手の触れたが、ネイマール選手が倒れたのは、腕が触れてからしばらくして、接触プレーとは関係なく、見るからに“オーバー”なジェスチャーで“倒された”かのように振る舞ったのである。主審の眼は欺くことができても、映像御術の眼は欺くことができなかった。ネイマールにはシュミレーションの反則が与えれてもふさわしいプレーだろう。NOペナルティの判定が下された直後の中継映像には苦笑するネイマールの顔が映されていた。世界一のストライカーの看板が泣いている。


ペナルティエリア内のネイマール選手とディフェンスをするゴンザレス選手 出典 FIFA TV


VARのモニターを見る主審  出典 FIFA TV


VARの画面  出典 FIFA TV


NO ファールの判定後、苦笑するネイマール選手  出典 FIFA TV

“Vertial Offside Line” スペイン対モロッコ戦
 6月26日、カリーリングラードで開催されたB組の予選リーグ、スペイン対モロッコ戦の後半46分、コーナーキックを得たスペインはショートコーナーで挑み、DFのカルバハル選手中央に鋭いパスを入れ、これを合わせたFWのアスパス選手が鮮やかなヒールキックでゴール決めた。しかし、主審はオフサイドの判定をして得点は認めなかったが、VARが発動し、“Vertial Offside Line”で、オフサイドではないことを明らかにした。結果、主審は判定を覆し、スペインのゴールが認められた。
 これに対しモロッコの控えの選手がピッチになだれ込み抗議をし、スタンドではブーイングが響き渡り、スタンドからはペットボトルが投げ入れられるなど騒然とした。
 ところが、VARの“Vertial Offside Line”の画面を見れば、オフサイドではないことが明らかでである。
 シュートをしたアスパス選手の前にいたモロッコのDF、ハキミ選手(2)やすぐ背後にいたディラル選手(17)やダコスタ選手(4)に対しては明らかにオフサイドの位置にいたが、もう一人、最後方にもう一人、モロッコのDF、ブスファ選手(14)がいて、このDFの選手の足はは、アスパス選手よりゴール側にあったことがはっきりと分かった。
 肉眼でプレイを見ていると、背後のモロッコの選手の位置は、手前のモロッコの選手に気がとられて気が付かないし、一瞬の動きなので、選手の体の位置に気をとられて足の位置まで分からない。しかし、VARの“眼”はこれを見逃さなかった。
 オフサイドの判定が覆された結果、スペインのゴールが認められ、2対2の同点引き分けとなり、スペインは首位で決勝トーナメントに進出し、モロッコは予選リーグで敗退した。






モロッコDF、ブスファ選手(14)の位置は線審からは見えなかった可能性


画面に表示されたVertual Offsideline
出典 FIFA TV

“VARで覆った判定14件、正確性99.3% 一次リーグ48試合 FIFA発表
 2018年6月29日、FIFAは記者会見を開き、FIFA審判委員会委員長とPierluigi Collina元審判が、一次リーグを終了して、これまで試合でのVARシステムがどう使われたのか総括した。
 VARシステムは、一次リーグの48試合で、335件のインシデント(122のゴールを含む)を分析した。これは1試合あたり6.9回に相当する。
VARが映像をレビューしたのは17件で、そのうち14件は主審がフィールド・サイドでレビューを行い、当初の主審の判定が覆った。3件はオフサイドのような疑問の生じない明らかなファイルだった。
 その結果、審判の判定精度は、“VARなし”では95%、“VAR使用”で99.3%に上昇したとFIFAは総括した。

■ incidents analysed by VAR during the World Cup stage    335

■ reviews made by VAR                        17

■ decisions changed by VAR                     14


 Collina氏は「VARは完璧を意味するわけではない 。 間違った解釈や間違いがあるかもしれないが、99.3%の精度が確保されたので完璧に近いと思う」と述べ、VARの導入は成功だったとした。
 FIFAはVARの成果に満足している根拠に、VARコントロールルームからの映像とVARと審判の間のコミュニケーションの音声を、一次リーグ戦の4つのケースの激しいやりとりの瞬間を記者にクリップを示した。
 記者から、「FIFAは、このVARと審判のやりとりの音声を中継放送で使用することを検討するか」と尋ねられると、「実行には、様々な角度から慎重に検討することが必要だ」とし、「それは興味深いだろう。それを受け入れるかどうかは、サッカー界が意思決定をするだろう」と述べた。

「スイス戦でVAR適用拒まれた」ブラジル・サッカー連盟が主張
 ブラジル・サッカー連盟は6月20日、スイスとの1次リーグE組初戦で微妙な判定に対するビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の適用を要求したものの、拒否されたと明らかにした。
 同連盟はスイスが同点ゴールを挙げる直前と、FWガブリエルジェズスに対するペナルティーエリア内でのプレーについて、いずれもファウルがあり、VARを用いていればブラジルに不利な誤審が避けられたはずだと主張している。(共同 2018年6月20日)
 ブラジル代表のチッチ監督も、試合後の会見で、「言い訳をしたくはないが、(スイスのゴールの場面で)ミランダが押されていたのはとても明らかだった。VARシステムは評価できるが、公平にこのシステムが使えるように働きかけなくてはならない」とビデオ判定を採用する基準を疑問に感じていると述べたという。
 現状のVARの発動は、VAR側が一方的に判断して行うシステムであり、審判の判定に不満を抱いたベンチやプレーヤーが要求する権利は認められていない。
 しかし、公平な試合を担保するために、テニスの「チャレンジ制度」のようにプレーヤー側からの疑義に、何らかの形で答える必要があると思われる。VARシステムを根付かせるためにには運用上の問題を検討する必要がありそうだ。 

イランのクロイズ監督はVARの判定に激怒
 6月26日、イラン代表のカルロス・クイロズ監督は、引き分けに終わった対ポルトガル戦でのVARの対応に20分間以上激怒した。
ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド選手が、イランのモテエザ・プアリガンジ選手を“肘打ち”をしたにもかかわらず、審判がレッドカードを出さなかったことに怒ったのである。  ロナウド選手は、背後からプアリガンジ選手に迫りラフプレーを行うという悪質なファールだとした。
 ロナウド選手はイランのセアド・エザトラーヒと接触プレーで、ペナルティキックを得た後に、この怒りが爆発したのである。ロナウド選手のペナルティキックは失敗した。
ク イロズ監督は、「私は、特定の一人の審判について話をしているのではなく、VARというシステムについて話している。何千ドルももらっている5人がVARロームに座っていて、ロナウドの“肘打ち”を見逃している」と語った。

ま たクイロズ監督は、6月21日に行われた1-0で敗れたスペイン戦でのVARオフサイド判定も批判している。この試合でイランのゴールがVARのオフサイド判定で、ノー・ゴールになった。 クイロズ監督は、VARの導入は明確な判定が可能だとして支持を表明していたが、このオフサイド判定を受けて、議論の余地のあるプレーに対して、行き過ぎた判定をしていることに反対する明言した。
クイロズ監督は、「コーチもリアルタイムで情報を提供されなければならないし、プレーのレビューを見ることができなければならない。観客も何が起きたかを知りたがっている」と語った。
 更に「人間に間違いがあるのは疑問の余地はない。人間の間違いはVAR以前からあった。我々はそれを受け入れていた。それはゲームの一部だった。プレイヤーは間違いを犯す。コーチはミスを犯し、レフリーはミスをする。しかし今、膨大な経費をかけてハイテクという一つのシステムを手にしたが、このシステムに誰も責任を取らない」とVARシステムを批判した。

VARの解決しなければならない課題は
 シミュレーション(ファールを装うプレー)や審判の目線の外で行われるラフプレー、人間の「眼」で見ても分からない微妙なゴール判定などで、審判の「誤審」がなくなり、観客の疑念が一掃されるとVARの導入に期待が集まる。
 FIFAのインファンティノ会長は「主審の判定を手助けできる。より公平で透明なスポーツになる。とても重要で歴史的な決定だ」と意義を強調している。
 マラドーナの「神の手」は人間の「眼」は欺くことができても、最先端技術の「眼」はこれを見逃さないだろう。

 しかし、課題はまだ残る。
 ゴールの判定やオフサイドの判定は、“物理的”なもので、先端画像技術で判定は明らかになり、疑念は残らない。
 ところが、プレーヤー同士の接触プレーに伴うファールの判定は、極めて難しく、映像を何度もリプレーして見ても、ファールかどうか明らかに判定できない微妙なケースが多い。ボールを奪いにいってタックルをして相手プレイヤーの足をかけて倒した場合も、ボールにタックルにいって相手の足にからんだのか、相手を倒す目的で足をかけにいったのか、映像を解析してどちらともいえる場合がある。また腕で相手をブロックしたり、押し倒したりするケースもあるが、お互いに競り合っていていてファールといえるかどうか、判定が難しいケースもある。ハンドの反則も、故意なのかアクシデントなのかで一発退場かイエローカードなのか、“天と地”ほどペナルティの内容に差が出る。
 結局、最終的な判定は、主審の判断、主観に委ねられことになる。
 リプレーを視聴しても最終的に判断ができない部妙なケースがあるからだ。VARはあくまで主審の判断を補佐する“Video Assistant Refree”で、

 一方で、主審が見逃したファールや、肉眼では判別不能の一瞬のプレーなどは、超スローモーションやマルチアングル映像を見れば明らかに分かる場合も多い。こうした場合の判定には明らかに有効な機能だ。
 いずれにして、判定伴う疑念が巻き起こらないように、映像で情報をスタジアムの観衆やテレビの視聴者に映像情報を開示する姿勢は、公平性を保つ必要があるスポーツ・イベントには不可欠で歓迎したい。


VAR - The System Explained
FIFA TV/Youtube

Video Assistant Referee (VAR): Match-changing Incidents explained
FIFA TV/Youtube

Video Assistant Referee (VAR): The Virtual Offside Line
FIFA TV  Youtube




UHD 4K/HDRに乗り出したHBS
 2018 FIFA World Cup Russiaでは、FIAFは初めて、全64試合をUHD 4K/HDRで国際映像(World Feed)としてサービスすることに乗り出した。
 しかし、FIFAが映像サービスをどんな形で行うか決めたのは2年前、当時は4K/HDRの規格が策定されていなかったので、本格的なUHD 4K/HDRサービスの立ち上げは準備が間に合わず、「暫定的」なUHD 4K/HDRサービスとなった。
 結局今回の大会では、UHD 4K/HDRは、カメラ1セット、編集システム1セットのみの対応と極めて限定的な制作体制に留まり、3G-SDI(2160p/50[解像度](BT.2020[色域]、HDR[輝度]、4×2970Mbps[ビットレート])の映像制作をベースにして、4K/HDRへのアップコンバートで基本的に国際映像の配信を実施する。
 それでも3G-SDI(2160p/50)ベースの中継の解像度は、従来のHD-SDI(1080i)の解像度の約倍に増すだろう。
 FIFAの目指す本格的なUltra HDサービスに一歩近づいたと言える。
 ハイライト映像(EBIF、Highlights)の制作や、40クルーを投入した取材するENGベースの映像素材(FIFAチームクルー、ストーリークルー)も3G-SDI(1080P)で実施する。
 すべての3G-SDI(1080P)信号は、2160p/50[解像度]、BT.2020[色域]、HDR[輝度]、4×2970Mbps[ビットレート]、Slog 3の4K・HDRにアップコンバートされ、国際映像(World Feed)としてライツホルダー(MRLs:media rights licensees)に、ホスト映像・音声信号、Extended Stadium Feed(ESF)として配信される。
 こうした映像・音声信号はFIFA MAX Serverを中軸にしてコントロールされる。
 IBCでは、4K/HDRの他に、4K/SDR、3G-SDI(1080P/50[解像度]  Rec.709[色域」 SDR[輝度] 2970Mbps[ビットレート])やHD-SDI(1080i/50 Rec.709 SDR 14785Mbps)の映像信号もライツホルダー(MRLs:media rights licensees)に配信される。
 FIFA World Cupでこうした複数のフォーマットの映像信号が同時に配信されるのは初めてである。
 またすべてのコンテンツは、1080iにダウン・コンバートして配信するので、放送機関は従来通りのシステムに対応が可能である。

 試合の中継で使用する中継カメラは基本的に3G-SDI(1080P BT.2020 HDR)で信号制作が行われるのに対し、特殊カメラ(スローモーションカメラ、RF Steadycam、Spidercam)はすべてのカメラは1080P、Rec.709[色域]、SDR[輝度]で撮影が行われる。これらのカメラも高性能のCMOSセンサーを搭載しているので、従来より高画質の映像が得られるという。
 ホストブロードキャスターのHBSは、同時にHD-SDI(1080i REC709 SDR)のフルHD規格の信号を配信するので、各局が備えている現在の標準HD制作フローを変更する必要はないとしている。

 UHD/HDR中継については、UHDテレビの大画面サイズの利点を考慮して通常のHDカメラよりも広いフレーミングを持つUHD専用中継カメラ1台とUHD/ HDRとUHD/HDRと1080pのサイマル出力が可能な7台のカメラを使用し4K/HDR信号を制作する。
 また1080P/HDRと1080P/SDRのサイマル出力が可能な8台の中継カメラを使用し、色域はBT.2020、輝度はHDRで信号制作を行う。
 残りのすべての中継カメラや、スローモーションカメラ、steadycam、Spidercamは1080pで信号を制作し、色域はREC 709、輝度はSDRでキャプチャーされるが、最新鋭のコンバータを使用し、解像度だけでなく、色域はREC 709からBT 2020に、輝度についても、SDRをHDR(Slog 3)に変換され、すべての試合がUHD/HDRフォーマットの信号に統一される。
 2018 FIFA World Cup Russiaの組織員会のMiodownik氏は、「私たちは15放送機関のUHD/HDRユーザーを抱えている。実際には期待していたものの2倍だ」と語った。

スタジアムのカメラ配置

▼ Super Slowmotion Camera     8台(中継カメラ)
▼ Ultra Slowmotion Camera     2台(中継カメラ)   4台(小型カメラ)
▼ UHD(4K) Camera         1台(中継カメラ)     1台(小型カメラ)
▼ HD Camera(1080P)        11台((中継カメラ)   1台(小型カメラ)
▼ Goal Camera                          2台(小型カメラ)
▼ Crane Camera                          2台(小型カメラ)
▼ Steadycam                           2台(小型カメラ)
▼ Spidercam(空中懸架ワイヤーカメラ)            1台(小型カメラ)
▼ Offiseide Camara(VAR専用)                 2台(小型カメラ)
▼ Beaty Vamera(汎用)                     1台(小型カメラ)
▼ Cineflex heli-cam(空撮)                  1台(小型カメラ)

合計37台(1スタジアム)  放送中継カメラ  33台


スタジアムのカメラ配置
出典 VAR at the 2018 FIFA World Cup Russia  

NHKはBS1で全64試合、総合TVで32試合放送 日本戦・決勝戦は8Kで中継
 NHKは、2018 FIFA World Cup Russiaで、BS1で64試合の全てを放送し、総合テレビは32試合を放送する。 6月19日に行われる日本の初戦、コロンビア戦は、午後8時45分から総合テレビで放送する。また7月15日の決勝戦も総合テレビで放送する。
 BS1は全64試合を放送。日本の第2戦、6月25日午前0時からのセネガル戦はライブで中継放送、その他の63試合は中継録画放送となる。
 8K放送は、NHKが8K中継車や22.2.サラウンド音声中継車をロシアに送り込み8K中継をを行い、日本戦の初戦、日本対コロンビア戦では8Kライブ中継に挑む。その他は8K中継録画放送で、ロシア対サウジアラビア戦(6月15日)、ベルギー対チェニジア戦(6月23日)、セルビア対ブラジル戦(6月28日)、決勝トーナメント1回戦(7月2日)、準々決勝(7月7日)、準決勝(7月12日)、決勝(7月16日)の8試合は8K/22.2サラウンド音声で放送する。放送波は4K8K試験放送のBS17チャンネルだが、8Kチューナーがまだ市販されていないので、家庭では視聴できない。
 また、ワールドカップとしては初めて、FIFAは国際信号(World Feed)として4K/HDRで、全64試合を制作/配信を行う。
 NHKでは、4K8K試験放送で、日本対セネガル戦(6月25日)、日本対ポーランド戦(6月28日)、準決勝(7月11日)、3位決定戦の4試合を、4K/HDR、5.1サラウンド音声で放送する。
 インターネット配信は、パソコンやスマートフォンのワールドカップサイトや専用アプリで実施。
 総合テレビで中継する32試合は、FIFAが提供するマルチアングルの動画や試合の経過やシュート、ファウルなどの情報サービスがついた映像をライブ配信する。
 マルチアングル・サービスは、試合中継、戦術カメラ、ワーヤーカメラ、4分割A(Aチームの選手やコーチ・カメラ)、4分割B(Bチームの選手やコーチ・カメラ)などを視聴者が選択して見ることができる。
 全64試合の見逃し配信や、ハイライト動画の配信も実施する。
 また、大会期間中は総合テレビで放送する中継番組をのネット同時配信実験を行う「試験的提供A」も行う。
 放送同時配信サービスは、NHKの“悲願”だが、民放等の反対でなかなか実現はできない中でのネット同時配信実験である。
 平昌冬季五輪でも実施し、NHKは放送同時配信サービスの実績を着々と積み重ねていて、2020東京オリンピックまでにどのような形にするのか注目される。

日本初戦や決勝など東京と大阪で8K/4Kパブリックビューイング
 NHKは、東京・大阪の6会場において、4K/8K映像でパブリックビューイングを行なう。
8Kパブリックビューイングが行わるのは全64試合のうち、NHKが8K/22.2サラウンド音声中継を行う開幕戦のロシア対サウジアラビア戦(6月15日)、コロンビア対日本戦(6月19日)、ベルギー対チェニジア戦(6月23日)、セルビア対ブラジル戦(6月28日)、決勝トーナメント1回戦、準々決勝(7月7日)、準決勝(7月12日)、決勝(7月16日)などの8試合。
さらに国際映像として配信される4K映像/5.1ch音声でサービスされる4試合と合わせてサービスされる。
 4K/8Kパブリックビューイングを実施する会場は、東京・渋谷のNHKみんなの広場 ふれあいホールや、東京ミッドタウン日比谷 アトリウム、世田谷区のiTSCOMスタジオ&ホール二子玉川ライズ、千駄ヶ谷(JR新宿駅直結)のLUMINE O、グランフロント大阪 ナレッジシアター、渋谷のヒカリエホールBの6会場。
 全国のNHKの放送局のロビーでも4K/8Kパブリックビューイング・サービスが行われる。

日本戦、日テレ、フジテレビが放送 決勝トーナメントはTBS、テレビ朝日が放送
 6月25日の第2戦、セネガル戦は、日本テレビが放送、6月28日の第3戦、ポーランド戦はフジテレビが放送する。
グループリーグは、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビで放送する。
決勝トーナメントはTBSとテレビ朝日でそれぞれ4試合放送する。

2018FIFAワールドカップ ロシア大会 NHK・民放 放送予定






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2018年6月15日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
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President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
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