Media Close-up Report 東京オリンピック ラグビーW杯 五輪レガシー 放送・通信・ICT 

4K8K 5G AR/VR AI 新国立競技場 FIFAW杯 メディア評論 国際メディアサービスシステム研究所

五輪エンブレム 迷走 白紙撤回 商標権 著作権 盗用疑惑

2016年01月30日 08時16分04秒 | 五輪エンブレム

“迷走”五輪公式エンブレム




 12月7日、2020年東京五輪・パラリンピックの新エンブレムの公募受け付けが締め切られ、大会組織委員会は、応募総数が1万4599点だったと発表した。
 エンブレム委員会の宮田亮平委員長(東京芸術大学長)は「多くの人に参画してもらい感激。皆さんに納得してもらえるプロセスでしっかりと審査していく」とのコメントを発表した。
 旧エンブレムは、国内外のデザインコンテストでの複数の受賞歴を応募条件としたため応募作品は104点にとどまり、「専門家だけで閉鎖的」との批判を受けた。新エンブレムは受賞歴を撤廃した上で、子供やグループなど幅広い応募を認めた。
 デザイナーの佐野研二郎氏(43)が制作した旧エンブレムについては、発表直後から、エンブレムが盗作ではないかとする声や、無断転用した画像で使用イメージ図を作製したのではないかとの指摘が相次ぎ、大会組織委員会は1日、使用を中止して取り下げることを決めた。 新しいエンブレムは公募で選ばれることになった。

 12月15日、応募作品を審査するエンブレム委員会(委員長=宮田亮平・東京芸術大学長)は第一次デザイン審査を始め、応募総数が1万4599点を311点に絞り込んだ。選考過程の透明性を高めようと、審査の様子を公開するインターネットのライブ配信も初めて行った。 デザイン審査は、「共感性」や「独創性」など6項目を審査基準としている。12月21日からは第二次審査が行われ、審査員は、モニターに映し出された作品の展開例や、その場で読み上げられる作品のコンセプトを聞いて審査を行い、更に応募作品を絞り込む。
 年明けには全委員による第三次の本格審査を行い、3~4点まで絞り込み、商標登録の手続きを終えたのちに最終審査で1点を選ぶ。なお商標登録の手続を終えた候補作品は最最終審査の前に公開するとしている。
 旧エンブレムを決定する際には、商標登録調査は実施したが、商標登録の手続きは実施せずに発表したため混乱を増幅した。

 仕切り直しの公募では「国内外のデザインコンテストでの複数の受賞歴を応募条件」を取り払い、国民に幅広く応募を認めた姿勢は評価したい。
 しかし、国民に幅広く応募を求め、大量の応募を確保すれば、卓越したデザインにたどり着けるというほど単純ではない。筆者は、デザインはプロのデザイナーの“仕事”だと思うが……。
さらに問題は、応募作品を審査する側の“見識”と“力量”である。
 デザインの選定は極めて難しい。国民投票で多数を得たデザインが必ずしも、“最良”のデザインになるとは筆者は思わない。そもそも全員が一致することはありえないし、国民の支持は割れるに間違いない。三者三様だ。
 五輪エンブレムなど50年、100年先にもシンボルとして残るものである。国民の記憶に残る“斬新”で“インパクト”なデザインが求められるのではないか。それを選び抜くのは一般の人たちではなく、プロ中のプロの目線だろう。
 1964年東京五輪の亀倉雄策氏が制作した五輪エンブレムは、50年後の現在でも強烈なインパクトを与える作品だ。
 「あれ、どこかで見たようだ」とか「何かユニークさに欠けて平凡だ」という印象を与える五輪エンブレムは、如何なものかと筆者は考える。
 次世代に残るような“先駆的”な“インパクト”のあるデザインを期待する。
 応募作品を審査するエンブレム委員会の責任は重い。



2020年東京オリンピック・パラリンピック組織員会


1964年東京オリンピック組織員会

東京五輪エンブレム A案の「組市松紋」に決定

旧五輪エンブレム選考 「不適切な投票」
 2015年12月18日、東京五輪組織委員会は、2015年9月に白紙撤回した旧エンブレムの選考過程について、「1次審査において、事前に参加を要請した8人中2人に対して、不適切な投票があった」とする外部有識者の調査結果を公表した。8人は結果的に全員が1次審査を通過した。
 報告書によると、審査委員代表だった永井一正氏が槙英俊・マーケティング局長と、高崎卓馬・企画財務局クリエイティブディレクターの2人(いずれも当時)に、8人全員を自動的に2次審査に進めるよう事前に要望していた。1次審査は審査委員が104作品に対して1人1票、最大20作品を選び、2票以上を得た作品が2次審査に進む仕組みだったが、8人の作品番号を事前に知っていた槙氏と高崎氏が投票締め切り直前、8人中2人の作品は1票しか入っていないことに気づき、永井氏に該当作品の番号作品を伝えた。票を使い切っていなかった永井氏がこの2作品に投票したため、8人の1次通過が確定したという。
 報告書は同時に、「2次審査以降は適切に審査が行われた」とし、審査で1位になった佐野研二郎氏を含む入選作品の決定に影響を与えた事実はないと結論づけた。

(出典 2015年12月18日 朝日新聞)

“模倣”の批判にさらされた旧五輪エンブレム
 2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと5年余りになった2015年7月24日、大会組織委員会と東京都が大会のシンボルマークとなる五輪公式エンブレムを発表した。
 五輪とパラリンピックの2種類で、多様性を示す黒と、鼓動を表す赤の円が特徴的なシンプルなデザインで、五輪は東京などの頭文字の「T」、パラリンピックは平等を表す記号の「=(イコール)」をイメージした。
 デザインを制作したのはアートディレクターの佐野研二郎氏(42)、104件の応募作品から選ばれた。東京都庁舎前の都民広場でイベントが開催され、エンブレレムは集まった大勢の参加者に華やかにお披露目された。これから2020年東京オリンピック・パラリンピックのPRやイベント、協賛企業の広告などに使用され、五輪ムード盛り上げに一役買うことになる。
 しかし、発表直後から、ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークなどと「似ている」とネット上で話題になった。



(左) 2020年東京五輪旧エンブレム   東京五輪組織員会ホームページ
(右) リエージュ劇場のロゴマーク     リエージュ劇場ホームページ


フェイスブックに“模倣”批判
 五輪エンブレムが発表された直後の7月27日、ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークが似ているロゴを制作したベルギーのデザイナー、オリビエ・デビー氏が、リエージュ劇場のロゴマークと五輪エンブレムのデザインを並べて「不思議」とフェイスブックに投稿した。すぐさまインターネット上で話題になり、波紋が一気に広がった。
 リエージュ劇場のロゴは2011年制作され、制作を担当したデザイン会社のホームページにも掲載されている。フランス語で劇場とリエージュのそれぞれの頭文字「T」と「L」を組み合わせたという。
 その後、オリビエ・デビー氏は、ロゴマークは劇場側でベルギーをはじめヨーロッパ各国で商標登録をしており、商標権の侵害であると主張した。


“商標権侵害”はないと反論
 オリビエ・デビー氏の“商標権侵害”の主張を受けて、五輪組織員会は、『国際商標調査を済ませているので問題ない』というコメントを発表した。商標登録を行う際に実施する事前に行う調査で、類似の商標があるかどうかを調査するものである。この国際商標調査は五輪組織員会とIOCと共同で実施したとしている。
 その後、IOCの調査で、リエージュ劇場は商標登録を行っていないと確認が取れ、8月1日、クアラルンプールのIOC総会で、IOCを代表するコメントとして『先方は国際商標登録しておらず、全く問題ない』と発表した。“商標件侵害”に関する議論は、リエージュ劇場が商標権を登録していないということで“解決済み”とした。

 ここで問題になるのは、五輪組織委員会は、商標権登録を終えていたかである。実は五輪組織委員会は、国際商標調査は終了し、類似の商標は見つからなかったとしているが商標権登録はおろか申請もしていなかったことが明らかになっている。つまり、商標権登録を済ませていない同士が、“商標権侵害”を巡って応酬をしていたというなんとも、双方とも“お粗末”な展開だったようである。
 商標権は、いわゆる先願主義で、先に登録をした権利者に優先権がある。商標権登録を終えていなければ、実際に使用していても何の権利も発生しない。


“著作権侵害”で提訴
  オリビエ・デビー氏は、商標登録はしていないが、リエージュ劇場のロゴマークは広く公開されているので、それを“模倣”しているとして、“著作権侵害”にあたると主張をした。
 論争は、“商標権侵害”から“著作権侵害”に移ったのである。
 ここで肝要なのは、商標権と著作権は、同じ知的所有権ではあるが、基本的に法的性格が違うことだ。
 著作権は、イラストや写真、音楽、文章等の著作物が対象で、主として著作者の人格的な利益の保護が目的である。重要なのは、著作権は創作と同時に自動的に発生する権利であることだ。登録されることで権利が発生する商標権とは違う。
 8月14日、リエージュ劇場とオリビエ・デビー氏側は、「著作権が侵害された」として、国際オリンピック委員会(IOC)に対して、エンブレム使用の差し止めと、使用された場合に1回につき5万ユーロ(約690万円)を支払うよう求めて、ベルギー・リエージュの民事裁判所に提訴した。
オリビエ・ドビ氏は「結果的に2つは極めて似ている。どうやって創作したかではなく、結果が大事だ」として、商標登録ではなく著作権が優先されるべきだと主張した。
 提訴した側の弁護士によると、7月31日付でIOCに対して使用差し止めを求める文書を送ったが拒否する回答が来たため提訴したという。弁護士は公式スポンサーなどがエンブレムを使用した場合でも「違反ごとに」5万ユーロを支払うことをIOCに求めたが「金銭獲得が目的ではない」としている。9月22日に訴訟手続きを開始するとした。
 IOCは五輪組織委員会と連名で「完全にオリジナルな作品」との認識を示した書簡を劇場とデザイナー側に送ったことを明らかにしている。


“著作権侵害”は成立するか?
  “著作権侵害”が成立するのは、いくつかの要件を満たす必要がある。
 「他人の著作物を模倣する意図があったこと」という「依拠性」と「他人の著作物と同一又は類似の著作物であること」という「同一・類似性」である。
 「依拠性」とは、“模倣”や“盗作”を故意に行ってかどうかだが、この立証責任は提訴した側にあるが、訴えられた側が自ら告白しない限りほとんど不可能に近いだろう。そこで、「同一・類似性」が極めて高く、ほとんど同一の著作物とされた場合は、「依拠性」が“推定”で認められる。そして今度は、訴えられた側が「依拠していないことを積極的証明」する必要が課せられ、立証ができなければ“著作権侵害”を否認できなくなるのである。
 
 佐野研二郎氏は、「自分はベルギーに行ったことも、(模倣とされる)ロゴを一度も見たこともない。デザインの参考にはしていない」と「依拠性」と否定し、「同一・類似性」ついては、「『T』と『L』という要素は同じものがあるが、デザインに対する考えが全く違うので、全く似ていない。デザインの考え方も違うので、背景の色などもすべて違う」と否定した。
また8月5日に大会組織委で開いた記者会見でも佐野研二郎氏は「日本人としての誇りを持って作った。盗用との指摘はまったくの事実無根」と独自性を強調した。


佐野研二郎氏のデザインには著作権があるのか?
 “著作権侵害”は成立するかどうかを検証する以前に、そもそもリエージュ劇場のロゴマークや佐野研二郎氏のデザインに著作権は成立するのかという疑問が投げかけられている。
 著作権を主張できる著作物は、創作物であり、単純な文字や図形の組み合わせやありふれた表現の文章はその対象ではないとされている。
デザインや文章などの表現を誰かに独占させると、他の人たちの創作活動が制約される。 しかも著作権は保護期間が長く、全世界で無条件に保護されるという強い知的財産権である。そこで自由な創作活動の妨げにならないように対象を厳しく絞っているのである。
今回の騒動になった比較的シンプルなロゴマークやデザインは、そもそも著作物性自体に疑いが出されている。
 佐野研二郎氏のデザインは、「東京(Tokyo)」「チーム(Team)」「トゥモロー(Tomorrow=明日)に共通する頭文字の「T」、パラリンピックは平等を表す記号の「=(イコール)」とベースに多様性を示す黒と、鼓動を表す赤の円が目を引くシンプルなデザインで、円はすべて包み一つになった世界。赤は日の丸とハートの鼓動を表しているという。しかし、基本的には、アルファベットと単純な図形を組み合わせである。
リエージュ劇場のロゴマークも同様であろう。
世界には無数のロゴマークやエンブレムがあり、シンプルなデザインの場合、イメージが似ている程度で権利侵害を認めると、多くのデザインが、世界中の何かの著作権を侵害しているということになりかねない。
仮に日本の裁判所では、こうしたデザインでは創作性に疑問があり、著作物として認められないとする専門家が多い。
しかし、司法判断がどうなるかは、訴訟になってみなければわからないだろう。また今回、リエージュ劇場とオリビエ・デビー氏側が提訴したのは、ベルギー・リエージュの民事裁判所である。どのようや司法判断が下されるか、さらに不透明である。


“創作性”に疑問が出されるデザインをなぜ選んだ
 五輪組織委員会は五輪エンブレム選考のコンペに際して、2つの課題を念頭に置いた。1つ目は五輪とパラリンピックのエンブレムが、ひと目見て違うものではあるが、デザインの関連性があること。2つ目は、「デザインの展開力」で、街並みでのさまざまの形での展開やライセンスグッズの展開、動画やデジタルメディアへの拡張性などがあることである。
 佐野研二郎氏の作品は五輪・パラのデザイン的な連動性、動画ですとか、デジタルメディアまでと含めたデザインの拡張性、展開力という点で、非常に優れた提案とし評価した。
 その結果、「T」と「〇」を組み合わせてシンプルなデザインの佐野研二郎氏の作品を採用したのである。
 筆者は、このデザインを見た第一印象は、随分シンプルなデザインで、どこかで見たようなロゴマークといったという感じだった。残念ながら斬新でインパクトのある印象はほとんどない。

佐野氏デザイン サントリー賞品撤回 “盗用”認める
 佐野研二郎氏がデザインしたサントリーのキャンペーン賞品となっているトートバッグのデザインに“盗用”問題が発覚した。
佐野氏に対する“疑惑”がさらにに高まり、2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの“盗用”疑惑が再燃している。
 8月13日、サントリーは、佐野研二郎氏が手がけたキャンペーン賞品の一部を取り下げ、発送を中止すると発表した。佐野氏側からの申し出を受けた対応という。キャンペーン賞品の一部のデザインはインターネット上などで「ネット投稿画像や既存デザインに酷似している」との指摘が相次いでいた。
 取り下げたのは、ノンアルコールビールのキャンペーン賞品となっているトートバッグ30種類のうち8種類。フランスパンのデザインは、ブログに掲載されているパンの画像に酷似しており、回転させて一部を切り取った可能性があると指摘された。また矢印の中に「BEACH」と書かれて看板や泳いでいる「人」のデザインなど、“模倣”の疑念が生まれている。
 8月14日、佐野氏が模倣を認め、謝罪した。代表を務める事務所の公式ホームページで「複数のデザイナーと共同で制作した。事実関係を調査した結果、デザインの一部に関して第三者のデザインをトレース(描き写し)していたことが判明した」と明らかにした。
“トレース”というデザイン業界用語を使用しているが、ようするに、いわゆる“コピー&ペースト(コピペ)”で、“盗用”を認めたのであろう。
 一方で、東京五輪公式エンブレムについては「私が個人で応募したもので、模倣は一切ないと断言していたことに変わりはない」としている。
佐野氏は「私としては渡されたデザインが第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていなかった」とし、「私自身のプロとしての甘さ、スタッフ教育が不十分だったことに起因すると認識している。責任は痛感しており、このような結果を招いてしまったことを厳しく受け止める」と陳謝した。
 サントリーのキャンペーン賞品での“模倣”を認めたことで、佐野研二郎氏に対する“疑念”が一気に高まっている。
たとえば、小説や論文などで、その著作者が“盗用”を認めたら、“不信感”が高まり、その著作者の作品全体の評価が下がるのは当然だろう。芥川賞や直木賞を選定する際には、その著作者の作品はしばらく除外すると思うが……。いくら「東京五輪のエンブレムは別の作品で問題はない」と主張しても、“不信感”は高まる一方である。

佐野研二郎氏制作の東京五輪エンブレム 原案公開
 2015年8月28日、大会組織委員会は28日、都内で記者会見を開き、アートディレクターの佐野研二郎氏が制作したエンブレムの原案を公開した。
原案は2度修正され現在のデザインになったとし「原案は(ベルギーの劇場ロゴに)全く似ていなかった」として盗用したとの指摘を全面否定した。
 組織委によると、選考過程で、世界中の商標登録を確認したところ、原案と類似のデザインを発見。このため、組織委の要請で佐野氏が原案を修正し、赤い丸の位置が変わり、白抜きの円が加わった。すると、審査委員から「円が強調され、躍動感がなくなった」との指摘があり、佐野氏が再度修正して最終案となったという。
 審査委員の代表を務めた永井一正氏は「(原案と)似たようなものがほかにあったようだ。そのため佐野さんの案は、元のイメージを崩さない範囲でパーツを一部動かすなど、組織委の依頼で何度か微修正された」と述べている。


(左)佐野研二郎氏がデザインした2020年東京五輪のエンブレム原案
(右)佐野研二郎氏による2020年東京五輪のエンブレム修正案
                                 東京五輪組織員会


佐野研二郎氏の原案エンブレムは“類似”のデザインがあった!
 この日の会見で明らかになったのは、佐野研二郎氏の原案エンブレムは“類似”のデザインがすでに商標登録されていたことが分かっていて、当初から、懸念が出されていたというポイントが重要だ。 “盗用”かどうかの問題とは別に、佐野研二郎氏のデザインの“独創性”に深い疑念を持った。要は誰でも“考え付く”程度の特徴のないデザインだったのだろうか?
 最終案に至るまで、“類似”のトラブルを避けるために、2回の修正が行われたというのも驚きである。もっともデザインの専門家は、よくあることで異例なことではないとしているが、釈然としない。記者会見で武藤敏郎東京五輪組織員会事務総長は、「(原案は)若干類似する商標が見つかったので、この案(原案)のまま申請するのは断念した」としていることだ。
 その後、会見で言及された「原案と“若干類似する商標”」と思われるデザインが何かが明らかになってきた。2年前の展覧会で使用されたデザインで、“原案”と酷似しているとインターネットネット上で疑問視され、また新たな“疑惑”が巻き起こっている。
 “類似する商標”とされたのは、2013年11月に東京・銀座で開かれた“Jan Tchichol展(ヤン・チヒョルト展)”で使用されたもので、ヤン氏のイニシャルの“T”と“〇”をあしらったデザインだとされている。
 要は、原案には “類似”のデザインがあって、それを回避するために修正したら、ベルギーの劇場のロゴマークに似てしまったということなのではないか。
 どう修正しても、アルファベットや図形を使用したシンプルなデザインは、すでに使用されている他デザインに“類似”しまう、要するに佐野氏にデザインに“オリジナリティ”がなかったからだということだろう。
 “疑惑”解消を狙って開催された記者会見の釈明が、まったく逆効果で、むしろ“疑惑”を増してしまった。

旧五輪エンブレム原案、審査会通さず“無断”修正
 旧五輪エンブレムの原案の修正は2回に渡って修正されたことが明らかになっているが、いずれもエンブレムの審査委員らには伝えられていなかったと複数の関係者が証言しているという。
旧エンブレムの審査会があったのは、昨年11月17、18日。104案の応募があった。「インパクトの強さ、展開例が非常に優れていた」との理由で佐野氏の案を選んだ。だが、組織委が国内外の商標登録を確認したところ、案と「若干類似する作品が見つかった」(組織委関係者)ため、修正を迫られた。
 複数の関係者によると、「日の丸」発言があったのは昨年12月ごろ。数人の組織委幹部が協議するなかで、「これはおかしい。日の丸を足元に置くなんて」と案への強い違和感を訴える意見が出たという。Tの字の右下に赤い丸が置かれるデザインだった。
 指摘を受けた佐野氏は今年2月、組織委に1度目の修正案を提示。赤い丸を右上に移した。だが、組織委幹部らは再び、「躍動感がなくなった」と指摘。4月上旬、佐野氏から受け取った2度目の修正案を組織委は正式な国際商標調査にかけたという。 
協議の場にいた幹部は取材に対し、「佐野氏にもいろいろ言ったが、意見として言っただけ。指示したわけではない」と話した。
 審査委員代表だった永井一正氏(86)が、修正が加えられているのを知ったのはこの直後。組織委から「4月初めには公表したい」と説明を受けていたが公表されなかったため、問い合わせたという。(出典 朝日新聞 9月28日)
 問題は、五輪エンブレムの選定を行う審査会がこの修正の経緯を知らなかったことである。新国立競技場の国際デザインコンク-ルでは、審査の不明瞭さが厳しく批判されたが、それに引き続き、五輪エンブレムの選考でも不明瞭な選考過程が繰り返されていた。余りにもお粗末な2020年東京オリンピック・パラリンピックの運営体制である。


エンブレム使用例のイラスト、他サイトに写真 無断転用
 2015年8月31日、エンブレムの使用イメージ・イラストとして佐野研二郎氏が大会組織委員会にコンペ応募の資料に使用された画像2点が、他人のサイトから無断で転用されたことが発覚した。
 イラストの一つは空港施設の天井近くにエンブレムが掲げられた画像で、背景に使用されている成田空港のロビーの画像、もう一つは繁華街のビルの壁面や屋上にエンブレムが飾られているイラストで、背景の街並みの画像だ。
いずれも大会組織委が28日の記者会見で、エンブレムの選考過程を説明する際に公開された。記者会見の様子は動画サービス「ニコニコ生放送」などで中継され、終了後からネット上で転用を指摘する声が出始めた。大会組織委にも問い合わせが相次いで寄せられたという。
 空港施設の画像の転用元と指摘されているのは、外国人女性が東京・羽田空港のロビーを撮影し、自身のブログに掲載した写真。写真の下部に著作権が自らに帰属することを明記していた。 繁華街の画像の転用元と指摘されているのは、上部が英国人男性が自らのサイトで公開した東京・渋谷駅前のスクランブル交差点の風景写真、下部が世界最大級の野外音楽フェスティバル「Tomorrowland」のサイトの写真。それぞれ写真の使用には引用元の明示や同意が必要としている。
(参考 2015年9月1日 朝日新聞)

 この写真を無断不正使用が指摘されたことが、五輪エンブレム撤回の“決定打”になったとされている。

五輪エンブレム撤回
 2015年9月1日、大会組織委員会は、佐野研二郎氏(43)がデザインしたエンブレムの撤回を決めた。大会組織委はこれまで独自性を主張してきたが、類似したデザインが次々と指摘されて、国民やスポンサーからの不信が高まり続け、一転して「国民の支援がないと、使い続けることはできない」(武藤敏郎事務総長)と追い込まれた。 新国立競技場の“白紙撤回”に引き続き大失態となった。
 政府関係者によると、組織委が撤回の決断をしたのは31日。官邸にも同日中に連絡があった。組織委は事態の収拾を図ろうと28日に原案を公開したが、ここで公開した画像で佐野氏も認めた新たな流用が即座にネット上から発覚した。政府関係者は「ネットで次々と似ているものが指摘される。10年前では考えられないことだ。火の粉を振り払うはずが燃え広がった」とため息をつく。ただちに組織委は佐野氏からも事情聴取。佐野氏が撤回を申し出て一気に決着した。
(出典 毎日新聞 2015年9月2日)

 大会組織委の武藤敏郎事務総長は記者会見で、「佐野氏は使用イメージ画像の無断転用は認めたが、エンブレムの模倣や盗作は否定している。組織委も盗作とは考えていないが、今や一般国民の理解を得られなくなった」と使用中止を決めた理由を述べた。
 また佐野研二郎氏(43)から取り下げの意向が示されたことも明らかにし「このままでは国民の理解が得られない」と撤回の理由を説明した。佐野氏も同日夜、「模倣や盗作は断じてしていないが、批判やバッシングで今の状況を続けるのは難しい」とのコメントを出した。

対応が後手後手にまわった五輪エンブレム問題
 五輪エンブレム問題は、著作権や商標権上の法的な問題として片づけるのは間違いである。
 「盗作」や「模倣」にはあたらなくても、結果と指定“似ている”と、多くの市民が疑念を感じた場合は、そのデザインを五輪エンブレムとし採用するのは如何なものかである。
 “似ている”、“似ていない”は、まさに“見る人”の主観によって決まる。
 法的な問題はクリヤーできてもこの問題は尾を引く。
 さらに日本とベルギーでは、デザインに関する“感性”も違うだろう。日本では「似ていると言われれば似ているかもしれない。似ていないと言われれば似ていないだろう」というのが大方の見方だろうが、ベルギーや欧州の市民はどう感じているのか、主観的な問題は、日本人だけで決めつけない方が良い。
 要は、五輪エンブレムは、50年先、100年先の残る2020年東京オリンピック・パラリンピックのシンボルなのである。
 しかし、何か釈然としない“疑念”を抱えたエンブレムを使い続けて、世界に向けて2020年東京オリンピック・パラリンピックを発信するにはふさわしくないと筆者は考える。





「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園
北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念 “世界一コンパクト”
東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 競技会場の全貌
“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革に暗雲
四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか
相次いだ撤退 迷走!2024年夏季五輪開催都市






国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




2015年12月18日
Copyright (C) 2015 IMSSR




******************************************************
廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
******************************************************
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京オリンピック レガシー 国際放送センター IBC メインプレスセンター MPC 再活用策

2016年01月22日 10時59分32秒 | 国際放送センター(IBC)
国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC)
設営場所と使用後の再活用策


■ 東京ビックサイトに建設される2020東京五輪のIBC・IMC
 オリンピックの施設は、開会式・閉会式、陸上競技などが開催されるオリンピック・スタジアムを始め、サッカー競技場、水泳競技場、自転車競技場、体操競技場などの競技会場、それに選手村などが整備される。
 実は、オリンピック開催にもっとも重要な施設は国際放送センター(IBC/International Broadcasting Center)とメインプレスセンター(MPC/Main Press Center)、オリンピック報道拠点である。
 とりわけ、オリンピックなどのスポーツ・イベントでは、国際放送センター(IBC)が最重要視されている。競技映像がスポーツ・イベントでは、キーになるからである。その理由は明確、いまやIOCの収入の約25%は放送権収入だからである。放送権収入なしでは、ビックスポーツ・イベントは存在できない。
 国際放送センター(IBC)では、すべての競技会場からの独占生中継映像・音声を集め、その信号を調整・管理して、世界各国の放送機関等のライツホルダー(RHB/Rights Holding Broadcaster)に配信する。テレビスタジオ、編集、送出、伝送機能も設置され、まさに放送サービスの拠点である。

 東京オリンピックの国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC)は東京ビッグサイトに設置されことになっている。
東京ビックサイトは、江東区有明地区の東京湾ベイエリアにある国際展示場で、延べ床面積23万平方メートル、会議棟、西展示棟、東展示棟からなる日本で最大のコンベンションセンターである。都心に隣接しているというロケーションから、人気が高い。催事開催件数や入場者数では、圧倒的に“日本一”の座を誇る。
当初計画ではこの東京ビッグサイトは、東展示棟の一部にレスリングやフェンシング、テコンドーの競技場で使用し、残りのすべてのスペースにIBC/MPCを設置するとした。
IBCは、東展示棟(競技場エリアを除く)と西展示棟の1階と2階を中心に整備される。
このスペースに、世界の各放送機関に対し国際映像(ホスト映像)を配信するOBS(Olympic Broadcasting Services )エリアや、世界の各放送機関が使用する専用スペース・エリアが用意される。
また共用サービスエリア(IBC/MPCの共用)が、会議棟を中心に設置される。24時間体制で幅広いサービスを提供し、インフォメーションデスク、ツーリスト・サービス、ショッピング・アーケード、コンビニ、カフェ、銀行、郵便局等が設置される。
 この他、メディア専用のケータリング施設(食堂)や会議室、ブリーフィングルーム、事務局スペースなども設けられる。
MPCは、東京都が新たに建設する「増設棟」に設置する計画だ。
 西展示棟の南側には新たに、敷地面積約3平方メートルに、延床面積約6万5000平方メートルの5層階の「増設棟」を、約228億円の整備費で建設する予定である。広さ約2万平方メートルの展示ホールや会議施設、事務所などが設けられる。
当初計画では、この「増設棟」の3階には約1000席の会見室、1階、2階にはプレス・ワーキング・エリアとして約3万㎡のスペースを整備し、光ファイバーを使った高速インターネット・サービスなども備えた専用オフイスも用意する計画だ。
また、IBCはOBS(オリンピック放送サービス)や放送機関等のライツホルダーがテレビスタジオの設営や機材搬入のために占有できる開始時期は、2019年7月からとしている。 MPCについは、2020年1月引渡しとした。


(出典 出典 東京オリンピック・パラリンピック招致委員会 14 メディア)

■ “迷走”を始めたIBC/MPCの配置計画
 当初計画では、東京ビックサイトは、競技会場としても利用することになっており、東展示棟の一部にレスリングやフェンシング、テコンドーの競技場として予定されていた。
 しかしその後、IBCの設営・運営の責任を持つOBS(Olympic Broadcasting Service)から当初の計画では手狭だとの指摘を受けたため、組織委はレスリングやフェンシング、テコンドーの競技場を幕張メッセ(千葉市)に移すことで、東展示場はすべてIBCで使用することとしてスペースを拡張した。
 一方、東京ビックサイトでは、東展示棟臨時駐車場に、総床面積約2万平方メートル、展示面積1万6平方メートルの仮設の「拡張棟」の建設を進めている。
 東京五輪のIBC/MPCの設置や今後予定している老朽化に伴う大規模修繕で、既存展示会場の利用が大幅に制限されることが見込まれることから、「拡張棟」の建設で、展示会開催などへの影響を最小限に抑えたいとしている。2016年10月の完成をめざして工事を行い、完成後は10年間程度、展示場として使用した後、取り壊す計画である。この「拡張棟」もIBCの設置スペースとして利用する計画としている。
 2015年10月、東京ビッグサイトは、展示会の主催団体向けに説明会を開き、展示場面積の六割前後が五輪の一年四カ月前から使えなくなる可能性があることを明らかにし、当初予定より更に長期期間、“閉鎖”される懸念が出てきた。
 2015年11月、舛添知事は、レスリングやフェンシング、テコンドーの競技場が幕張メッセに移されたことで、IBC/MPCの配置計画を見直して、IBCの設置は東展示場のみとし、MPCは西展示場に設置し、「増設棟」MPCでは使用しないとした。展示場開催への影響を最小限に抑える措置であろう。しかし、東京ビックサイトにはIBC/MPCが設置され事には変わりはないので、事実上「増設棟」も五輪開催時には展示会では使用できなくなるだろう。また「増設棟」は、展示場面積全体のわずか20%程度なので、IBC/MPC設置による影響の深刻さは変わらないとみられている。
 IBC/MPC設置を巡る“混迷”はまだ続きそうな雲行きである。


東京都オリンピック・パラリンピック準備局


東京オリンピック・パラリンピック招致委員会 14 メディア IBC/MPC配置図

■ ロンドン五輪のIBC/IBCは“オリンピック・パーク”内に新設
 2012年に開催されたオリンピック・ロンドン大会は、1908年の第4回大会、1948年の第14回に続き、3回目の開催である。この年は、エリザベス女王の即位60周年にあたり、英国にとっては記念すべき大会である。
大会のメイン会場として、オリンピック・スタジアムや競技会場や選手村施設などを備えた「オリンピック・パーク」を、ロンドンで最も貧困な地域で、開発の遅れていたロンドン東部のロウアー・リー・バレー地区(Lower Lea Valley)に建設し、この地域を再開発する戦略をとった。
 この「オリンピック・パーク」の一画に2階建ての国際放送センター(IBC)が建設された。広さ約6万平方メートル、映像素材を扱う拠点のため太陽光が入らないよう窓がほとんどない建物である。総工費約500億円(当時の為替レート)、約2年3ヶ月かけて整備された。
 IBCには、147の放送機関等のライツホルダーが参加、204ヵ国にオリンピックの映像を配信し、48億人の視聴者に向けて放送した。
 世界各国に配信した映像フォーマットはすべてHDフォーマット、2,200時間の競技映像と500時間の競技ハイライトをサービスした。
 またIBC の中に3Dのオペレーション・センターを設営し、3D映像の競技映像を配信するとともに、スーパー・ハイビジョン(8K)もパブリックビューイングも行われた。

■ デジタル・クリエイティブ・ビジネスの拠点として再生されたIBC/IMC
 IBC/IMCの建物は、五輪終了後、改修され、ヒア・イースト(Here East)と呼ばれる東部ロンドンの新たなイノベーターやデジタル企業家の拠点として再生された。
デジタル・ビジネス、クリエイティブ・ビジネス関連の企業や大学などの教育機関が進出し、起業支援スペース、コンベンションセンターなども建設されている。
 スポーツ専門放送局のBT Sportのスタジオ・放送設備や、InfinitySDCのデータセンター、ラフバラ大学(Loughborough University)大学院のビジネス・スポーツ・健康関連の研究施設、ハックニー・コミュニティ・カレッジ(Hackney Community College)のデジタル技術実習施設が設置されている。
Here Eastには、欧州で最高水準のデータ・センターと通信インフラを備えているがキャッチフレーズである。
IBC/IMCをロンドン五輪の“レガシー(未来への遺産)”にしようとする明確な戦略と周到な準備があったのである。



(出典 “Here East”ホームページ)

■ “戦略”なき東京五輪のIBC/IMC設営
 東京ビックサイトは、都心に近接した展示場ホールして、年間300会の展示会やコンベンションなどが開催され、約1400万人が訪れるエキジビション施設である。東京ビックサイトにIBC・IMCを設営するとなると最低1年間程度は、設営・準備期間で占有され、年間約300回の展示会やセミナーは開催できなくなりその影響は深刻だ。
展示会やコンベンション開催の団体、2015年9月、展示会業界の最大組織、「日本展示会協会」(日展協/石積忠夫会長)は、東京都に要望書を提出し、隣接地の空き地に、IBC/IMCを建設することを提案した。
東京五輪開催に伴い、海外からスポーツ関係者、メディア関係者、観光客など大勢の訪日者が想定される。それは大きな“ビジネスチャンス”でもある。日本の先端技術やデジタル技術、4K/8Kなどの映像技術、5Gなどの通信技術をPRする格好の場であることを忘れてはならない。1年間の空白は、余りにももったいない。


(出典 株式会社東京ビックサイト ホームページ 利用実績)

 また、五輪開催後、IBC/IMCの“遺産”を再活用する戦略は何も持っていない。
IBC/IMCの整備のために膨大な放送機器や通信インフラを設置しても、五輪終了後の利用をどうするかは何も考えていない。
 東京五輪の開催まで後5年を切った。五輪開催の“レガシー(未来への遺産)”を次世代に残すという発想を持って欲しいものだ。五輪の準備には全体で約2兆円に達するとも言われている巨額の費用が使われるのである。

★ 「月刊ニューメディア」(2015年12月号)掲載 
「TokyoOlyPara NewsCenter① 国際放送センター(IBC) メインプレスセンター(MPC) 設置場所と使用後の再活用策」 加筆修正





★最新情報
4K/8K 試験放送 NHKと民放各社等で実施へ
伊勢志摩サミット 最新情報 2016年サミット開催地
エルマウ サミット ドイツ G7 Germany2015 Schloss Elmau
北海道洞爺湖サミット国際放送センター(IBC)

★ 東京オリンピック 関連情報
東京オリンピック競技場 最新情報 東京ベイソーン ヘリテッジゾーン
“迷走”五輪公式エンブレム
新国立競技場 新デザイン案決定 大成建設・梓設計・建築家の隈研吾氏のチーム 維持管理費・長期修繕費 ライフサイクルコストはどうなる?
新国立競技場は“負のレガシー”(負の遺産)になるのか?
新国立競技場建設費 2520億円破綻
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか?
リオデジャネイロ五輪 競技場の全貌が明らかに 開催まであと半年 準備は間に合うか?
オリンピックのメディア施設 国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC)はこうして整備される ~その機能・システムと概要~
IBC(国際放送センター)・MPC(メインプレスセンター)
“迷走”を始めた2020年東京オリンピック・パラリンピックのメディア施設整備

ロンドン五輪 リオ五輪 北京五輪 オリンピックのメディア拠点 IBC(国際放送センター) MPC(メイン・プレス・センター)/ MPC(メイン・プレス・センター)




2015年11月1日(加筆修正 11月29日)
Copyright (C) 2015 IMSSR


**************************************************
廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
Mobile 81-(0)80-5059-3261
**************************************************
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2020 Tokyo Olympics Problem IBC International Broadcasting Center Tokyo Big Sight

2016年01月14日 07時36分21秒 | 国際放送センター(IBC)


Tokyo May Loose Its Status as an Exhibition City
 The Tokyo Metropolitan Government(TGM) is planning to use Tokyo Big Sight as the International Broadcasting Center (IBC) and Main Press Center (MPC) for the 2020 Tokyo Olympics and Paralympics ("Tokyo 2020") for the period of 20 months. (Text provided by Reed Japan)

 The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games (TOCOG) is planning to use Tokyo Big Sight as the media centers-- i.e., the International Broadcasting Center (IBC) and Main Press Center (MPC) ─for Tokyo 2020. According to the current plan announced by the Tokyo Metropolitan Government (TMG), the site preparation will begin in April 2019, and the Japan's largest exhibition center is planned to be occupied for 20 months through November, 2020.
 If they stay with their current plan, about 500 exhibitions which have been held at Tokyo Big Sight will have to be cancelled for the said period. Seriously concerned that TGM's current plan will cause serious problems, the Japan Exhibition Association (JEXA), Japan's largest association for the exhibition industry (headed by Chairman Tad Ishizumi) has proposed a new plan in which they are proposing to the construction of a new facility to serve as the IBC and MPC.
 In order to reveal the truth and understand the substance of their proposal, we interviewed two of JEXA's executives and an expert of IBC/MPC arrangement.


(Layout and interviewed by Akira Amano, Photos by Fujio Kifuji. All data are current as of November 15, 2015.)
Architectural rendering of IBC and MPC Source: Tokyo Olympics and Paralympics Bid Committee 14 mass media companies



─ When did you first learn the fact that the exhibitions at Tokyo Big Sight will be cancelled for an extended period of time in order to use the venue as the IBC and MPC of Tokyo Olympics 2020?

Ishizumi:
 We first learned the fact in the beginning of this year (2015).
Back then, the rumor got around thatTokyo Big Sight is going to be used as the IBC and MPC for Tokyo Olympics 2020 and all the exhibitions which have been held there for many yearswill be cancelled for about a year. We became very concerned because if this was true, about 300 exhibitions which have been held at Tokyo Big Sight for many years would have to be cancelled, which would lead to serious damages because there are no alternative venues for the cancelled exhibitions.
 We were shocked by the news.

Hiroya:
 The Candidature File (a written plan for hosting the Games) which the 2020 Tokyo Olympic and Paralympic Bid Committee submitted to the International Olympic Committee (IOC) includes the plan to set the IBC and MPC at Tokyo Big Sight.
 Their initial plan was to use part of the exhibition halls at Tokyo Big Sight to host the wrestling, fencing, and taekwondo events while using the rest of the space as the IBC and MPC.
However, after Tokyo was awarded the Games, the IOC pointed out that the space prepared for the IBC was too small. To satisfy the IOC's requirement, they changed the plan and decided to use all the exhibition halls and conference halls at Tokyo Big Sight as the IBC (conference halls will be also used as the MPC) and host these three games at Makuhari Messe. As to the MPC, a new building is planned to be constructed in the vacant space adjacent to the West Exhibition Hall.
 And furthermore, Tokyo Big Sight has confirmed that they are going to construct a temporary exhibition hall with a total floor area of 20,000 square meters right next to the East Exhibition Hall to ensure some exhibition space, but it is inevitable that we will face the repercussions of having the IBC at Tokyo Big Sight.

Ishizumi:
 Since the beginning of 2015, the rumor had been around that Tokyo Big Sight is going to be used as a competition venue or press center for an extended period of time.
 As more and more concerns were raised regarding this issue, we became worried about possible negative consequences. After a series of consultations by JEXA's Board of Directors, we submitted a petition to Governor of Tokyo on September 11, 2015. The substance of the petition was to "construct a new media facility inside the Tokyo Rinkai Disaster Prevention Park so that all exhibitions can be held as usual during the 2020 Tokyo Olympics".
 It does not mean that we are against Tokyo hosting the Olympic and Paralympic Games in 2020. We want the Tokyo Olympic and Paralympic Games to be successful.
But at the same time, we take the position that the TMG should construct new press and broadcast centers for the Olympic Games somewhere else.
We also proposed a possible location for a new media facility (See the proposal for an alternative location on page 27).
 When we submitted our petition to the TMG, we told them that we do not really care about where to have a new facility-- if they have a better idea on where to build a new facility, it does not have to be where JEXA has proposed.
 Since the beginning




─ Now, I'd like to ask for your opinion, Mr. Hiroya, from the perspective of an expert of IBC and MPC.

Hiroya:
 First, let me talk about how the IBC and MPC were set up in the 2008 Beijing Olympics and the 2012 London Olympics.
For the 2008 Beijing Olympics, the Chinese government constructed an Olympic Park within which they also constructed the famous Olympic stadium known as the "Bird's Nest", competition centers ⇒venues for the gymnastics and swimming events, and a huge convention center to serve as the IBC and MPC for the Games.
The main building is 400 meter long with a total floor area of approximately 220,000 square meters, and the IBC and MPC were placed in there. After the Olympic Games, this building was renovated into China National Convention Center, a state-of-the art integrated exhibition center that includes exhibition halls, international conference halls, and an international hotel. This convention center is now serving as the new base for commercial facilities in Beijing.
 As to the 2012 London Olympics, the IBC and MPC were also newly constructed inside the Olympic Park constructed in East London. The newly constructed building that served as the IBC has a total floor area of 60,000 square meters-- it could store 5 jumbo jet airplanes.
The MPC has a floor area of 29,000 square meters, and a catering bldg. (served as a temporary restaurant for those who worked at the press center) with a total floor of 12,000 square meters was also constructed. Their IBC and MPC were renovated after the Olympic Games into a state-of-the-art digital media center in London, including the studio for BT Sport (a satellite TV station), university facilities, research facilities, training facilities, an area to support businesses for their innovation and incubation.
 Furthermore, the IBC and MPC for the Rio de Janeiro Olympics are going to be newly constructed inside their Olympic Park. The facility to serve as the IBC will have a total floor area of about 85,000 square meters, while the other (separate) facility to serve as the MPC will have a total floor area of about 27,000 square meters. After the Olympic Games, the management and operation of these facilities are to be contracted to a private company, and they will be used as a commercial facility containing exhibition halls and event venues.
 As you can see from the case of Beijing, London, and Rio de Janeiro, they have constructed (are constructing) new facilities to serve as the IBC and MPC and transformed (transforming) them into a legacy of their Olympic Games, taking into consideration how they can utilize them after the Olympic Games.
The TMG presented their plan to occupy Tokyo Big Sight for 20 months.
The press and broadcast centers for the Olympic Games were newly constructed in the Beijing, London,and Rio de Janeiro Olympics and Paralympics.
 Tokyo 2020 is a great opportunity for Japan to draw attentions from the rest of the world, and many people from overseas including not only tourists but also business persons, researchers, and government staff will be visiting Japan. Japan is putting all of its effort into "realizing the world's most advanced ICT in 2020".
2020 will be the year when Japan can effectively advertise its advanced technologies including IoT, fifth-generation mobile network (5G), and ultra-high definition video (4K and 8K) to the rest of the world. It will give us a great opportunity to advertise the presence of our country to the rest of the world through international conferences and exhibitions.
We can also consider renovating a new facility to serve as the IBC and MPC into a base for ICT development after Tokyo 2020, just like London did. 
 The government should consider the substance of JEXA's official statement from the perspective of promoting Japan's growth strategy.
 It boils down to think about what we should leave behind as a legacy of Tokyo 2020, in anticipation of how Tokyo and Japan will change in the next 50 years.



─ Major cities in the world are competing against each other in enhancing its functions as a MICE city as well as an exhibition/convention city.

Ishizumi:
 Exactly. Focusing on boosting the economy with inbound tourism consumptions and developing plans to enhance exhibition cities are part of the important national strategy.
 The issue of the TMG's current plan would not only cause economic problems but also lead to the loss of Japan's international credibility. If exhibitions are to be cancelled at Tokyo Big Sight for 20 months, other exhibition cities and MICE cities in Asia would benefit more.
 In this aspect, Japan is still not one of the world's top exhibition/MICE cities. We will continuously appeal what this issue really means to many politicians including Prime Minister Abe.

Hiroya:
 Exactly. The MICE strategy is the key in Japan's growth strategy. It is said that Japan is lagging behind other countries in the internationalization of human relations, that is, internationalization of 'interaction between people".
 Japan should see Tokyo Olympics 2020 not as an opportunity to attract more foreign tourists, but as part of its internationalization strategy that will become the key in the growth strategy in the next generation. It could attract business persons, researchers, engineers, and government representatives to international conferences, academic conferences, exhibitions, and events to establish international human relationship through face-to-face interaction.
 The point for ICT and IoT is the integration of "cyberspace" and "real space". We should remember that the more cyberspace expands dramatically, the more "real space" will become important. The basis of business is "face-to-face interaction" in "real space".
 The MICE strategy encourages this type of interaction.

Ishizumi:
 As what we are advocating is gradually understood by more people, I am confident that the TMG will accept our request in the end.







★ 日本展示協会 公式声明文 2015 年 11 月 16 日




New Media (Monthly Magazine Japan) Jan. 2016 Reprint

2016年1月4日(月刊ニューメディア 2016年1月号 転載)





“迷走” 2020年東京オリンピック・パラリンピックのメディア施設整備~IBC(国際放送センター)・MPC(メインプレスセンター)~
2020東京五輪大会 国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC) 設営場所と使用後の再活用策
平昌五輪のメディア拠点 国際放送センター(IBC)
ロンドン五輪 リオ五輪 北京五輪 オリンピックのメディア拠点 IBC(国際放送センター) MPC(メイン・プレス・センター)/ MPC(メイン・プレス・センター)
オリンピックのメディア施設(IBC/MPC)はこうして整備される ~ロンドン五輪・その機能・システムと概要~
伊勢志摩サミット 最新情報 2016年G7主要国首脳会議
国際放送センター(IBC) IMF世銀総会 東京国際フォーラム 2012年10月
北海道洞爺湖サミット国際放送センター(IBC)
国際放送センターIBC(International Broadcasting Centre)サービス・システム ~機能と設備~
国際放送センター(IBC)で使用される映像信号フォーマット(Video Signal Format
IBC International Center System (English)





国際放送センター(IBC) 設営・運営業務実績
国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)






**************************************************
廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
Mobile 81-(0)80-5059-3261
**************************************************

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする