「準備は1年遅れている」「誠実に疑問に答えない」
警告を受けた2020東京大会組織委
警告を受けた2020東京大会組織委
「誠実に疑問に答えを」 コーツIOC副会長
2018年4月24日、2020東京五輪大会の準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツIOC副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
4月15日から20日、タイのバンコクで開かれた国際スポーツ連盟機構(GAISF)のスポーツ・アコード(Sport Accord)会議などで、複数の国際競技連盟(International Sports Federations IFs)が、2020東京大会の準備状況に不満を抱き、公然と批判した。
これを受けて、IOC調査チームが来日し、4月23日24日の2日間に渡って2020東京大会の準備状況のチェックを行った。
コーツ副会長は、準備作業は、大部分は順調に進んでいるが、2020東京大会組織員会は進行状況を完全に説明することを躊躇していると懸念を示した。
その理由について、 コーツ副会長は、直接的で明快な表現をするオーストラリア人と、多くのポイントを留保する曖昧な表現をする日本人の文化的相違があるのではと述べたが、婉曲表現で日本の姿勢を批判した。
2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京に移る中、大会準備に関して答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうという警告である。
柔道、セーリング、トライアスロンに批判
国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟は、柔道とセーリング、トライアスロンの種目について、開催準備の遅れに懸念を表明している。国際柔道連盟は、2019年に開催される柔道競技のプレ大会の準備状況の遅れを指摘し、国際セーリング連盟は、江の島で開催されるセーリング競技について、地元漁業者との調整が進まず、コース決定が遅れていることに不満を示した。またトライアスロン競技連盟は東京湾の水質汚染問題について強い懸念が示された。
お台場海浜公園 出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会
マラソン水泳・トライアスロン 深刻な東京湾の水質汚染
2017年10月、2020東京大会組織員会は、マラソン水泳とトライアスロンが行われるお台場周辺の海域で、大腸菌(Coli)が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌(faecal coliform bacteria)が上限の7倍も検出されたと公表した。
この調査は、東京都と大会組織委員会が行ったもので、オリンピック開催時期の21日間、パラリンピック開催時期のうち5日間、トライアスロンとマラソンスイミングの競技会場になっているお台場海浜公園周辺の水質・水温を調査したものだ。
調査を行った2017年8月は、21日間連続で雨が降り、1977年に次いで、観測史上歴代2位の連続降水を記録した。
調査結果によると、降雨の後は、水質が顕著に悪化すること分かった。今回の調査期間では、国際競技団体の定める水質・水温基準達成日数は、マラソンスイミング基準では10日で約半分、トライアスロン基準はで6日で約3分の1に留まった。
お台場海浜公園周辺の競技予定水域は、競技を開催する水質基準をはるかに上回る汚水が満ち溢れていることが示されたのである。
参加選手の健康問題を引き起こす懸念が深まった。
お台場海浜公園における水質・水温調査地点 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局
組織委では、雨期に東京湾から流れ込む細菌の量を抑制するために、競技予定水域を水中スクリーンを設置して東京湾から遮断するなど様々の実験を行い、水質改善に努めているとした。
コーツ副会長は「トライアスロン競技連盟は依然として水質を懸念している。今年と来年に行われる水のスクリーニング、カーテンの入れ方などの実験についてプレゼンテーションを受けた。この姿勢には非常に満足している」としたが、水質問題に依然として懸念が残るとして改善を求めた。
お台場海浜公園における水質・水温調査 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局
東京湾の水質改善は、着々と進んではいるが、とても海水浴ができるような“きれいな海”とはいえない。東京湾に流れ込む川からは大量の汚染水が流れ込む。海底にはヘドロが蓄積している。オリンピック開催期間は真夏、ゲリラ豪雨は避けられない。東京湾は、“汚水の海”になることは必至だ。
そもそも東京湾に、選手を泳がせて、マラソンスイミングやトライアスロンを開催しようとすること自体、無謀なのではないか。
「水面に顔をつけない」が条件の海水浴場
2017年夏、葛西臨海公園に海水浴場がオープンした。水質改善が進んだ東京湾のシンボルとして話題になった。
かつては東京湾には葛西のほか大森海岸、芝浦など各所に海水浴場があったが、高度経済成長期に臨界工業地帯の工場排水や埋め立て工事で1960年代に水質悪化が進み、海水浴場は姿を消した。
東京湾では、約50年間海水浴が禁止され、房総半島や三浦半島までいかないと海水浴ができなかった。
港区では、「泳げる海、お台場!」をスローガンに掲げ、お台場海浜公園に海水浴場を開設しようとする取り組みに挑んでいる。
現在は、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため通常は遊泳禁止である。2017年7月29日(土曜)・30日(日曜)の2日間、範囲を限定し、安全面等に配慮しながら行う“海水浴体験”を開催し、訪れた親子連れは、“海水浴”ではなく、ボート遊びや水遊びを楽しんだという。
しかし、なんと「水面に顔をつけない」ことが条件の“海水浴体験”だった。
これでは海水浴場と到底、言えないだろう。
お台場の海は、「水面に顔をつけない」程度の水質しか保証されていないのである。この海で、マラソンスイミング(水泳)やトライアスロンの競技を開催すれば、参加選手は“汚染”された海水に顔をつけ、海水を口に含まざると得なない。選手の健康問題を組織委員会はどう考えているのだろうか。
なぜ、素晴らしい自然環境に囲まれたきれいな海で開催しないのか。それまでしてお台場の開催にこだわる姿勢には“良識”を疑う。
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園 アスリートファーストはどこへいったか
水質汚染問題に直面したリオデジャネイロ五輪
2016リオデジャネイロ五輪では、セーリングやトライアスロン、ボートなどの会場となるコパカバーナ地区の湾岸部、グアナバラ湾の水質汚染が深刻で選手の健康被害が懸念され、競技の開催が危ぶまれのは記憶に新しい。
AP通信が行った独自調査によると、2015年3月以降に競技会場で採取された水から、高い数値のアデノウイルスのほか、複数のウイルスや細菌も検出されという。
汚染の原因は下水処理整備の遅れだ。人口1000万人のリオデジャネイロの生活排水の7割近くがグアナバラ湾に最終的に流れ込むという。
さらに汚染に拍車をかけるのが、リオデジャネイロの貧民街。リオデジャネイロは世界でも有数の観光地だが、人口632万人の23%を占める143万人が貧民街に暮らしているという。ブラジルで最も貧富の差が大きい都市でもある。貧民街では下水処理施設の整備はほとんど手が付けられていない。
グアナバラ湾は「巨大なトイレ」と揶揄されている。
招致段階でリオデジャネイロ州政府は五輪開幕までにグアナバラ湾に流入する汚水の80%を下水処理できるようにすると公約した。この処理事業を支援しているのが日本の国際協力機構(JICA)で、現在四つの下水処理場が稼働している。 しかし、各家庭から処理場まで下水を集める配管の整備が遅々として進んでいない。リオ五輪組織委員会は、開催前年の20157月、公約としていた水質浄化が開幕まで不可能と認めている。
大量のゴミが海面を覆い尽くしているのも汚染の原因とされているが、リオデジャネイロ市では、湾内のごみを回収する「エコポート隊」を投入するなど窮余の対策に追われた。
水質汚染問題の抜本的な解決はできなかったが、国際オリンピック委員会(IOC)は「環境基準は満たされた」して競技は予定通り行われた。
ゴミが散乱するグアナバラ湾 Antonio Scorza / Agência O Globo
絶望的 東京湾の水質改善
東京23区の下水道のほとんどが合流式で整備され、雨水と汚水を一緒に処理するシステムである。雨が大量に降ると下水道が処理できずに、そのまま河川に放流される可能性がる。東京都は下水処理能力の向上に取り組んでいるが、一瞬で大量の雨が降るようなゲリラ豪雨が発生すると処理能力の限界を超えてしまう。
再オープンした葛西海浜公園も、大雨が降ればで、COD濃度が一気に跳ね上がり水質基準を超えて、海水浴場が再び閉鎖になる懸念と隣り合わせている。
水質改善の抜本的な対策は、下水道を合流式から分流式に切り替えることで、分流式は雨水・汚水を区別して処理する方式のため、雨が降っても汚水が未処理のまま雨水に混ざることはない。
東京23区は、下水道整備を急ぎ、昭和30年代に経費のかからない合流式で下水道を整備した。1970年に下水道法が改正されて、下水道はようやく分流式で建設されるようになったが、現在でも合流式で整備した下水道が広いエリアで稼働している。東京都内の下水道が分流式に切り替わるには、あと30年以上はかかるとされている。
さらに埼玉県や千葉県、茨城県からの生活排水も東京湾に流れ込む。
さらに東京湾の海底には、過去の環境汚染の“負の遺産”である汚染物質が大量に含まれているヘドロが海底には堆積したまま、未だに年間約40回程度の赤潮や4~5回程度の青潮が発生している。
東京湾に本格的に海水浴場が蘇るのはまだまだ先になる。
2020年東京大会まであと2年余り、この間に、東京湾の水質改善が飛躍的に進むことはありえないだろう。
“汚染”された海、東京湾を選手に泳がす東京大会、何がアスリートファーストなのだろうか。
セーリング競技会場 江の島ヨットハーバー 出典 神奈川県
江の島ヨットハーバー 出典 Wikipedia
シラス漁に影響 江の島セーリング
セーリング競技については、バンコクで開かれた夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)の総会で、、国際セーリング連盟は、「準備が1年遅れている」と指摘し、地元の漁業者との交渉が進まず、レース海面決定が遅れていることや津波対策や警備対策に懸念を持っているとした。
コーツ副会長も、記者会見で、2020東京大会組織委員会に対し、地元の漁業者へ与える影響について懸念を表明したと付け加えた。
2020東京大会で江の島で開催されるセーリング競技では、ディンギー5艇種(1人ないし2人乗りの小型艇)によるヨットとウインドサーフィンが行われる。海上に設置された3つのブイ(三角形のコース)を周回して、指示された周回方法や周回回数で走る競技で、得点とレースの終了順位で勝者を決まる。
競技種目には、1人乗りのレーザー級、2人乗りの49er(フォーティーナイナー)級などがあり、1984年のロサンゼルス大会からは、ウインドサーフィン種目も採用された。
2016リオデジャネイロと同様の10種目が行われることが決まっている。
▼ 競技種目
・RS:X(男子/女子)
・レーザー級(男子)
・レーザーラジアル級(女子)
・フィン級(男子)
・470級(男子/女子)
・49er級(男子/女子)
・フォイリングナクラ17(混合)
競技を開催する海面は、鎌倉市沖から葉山町沖の相模湾に、直径1852メートルと1574メートルの円形の5つのエリアの設定が計画されている。
国際セーリング連盟は、レースの実施に当たってはブイを設置するので、水深が深いところではブイを固定しづらいため、水深 40 ㍍以下が望ましいとし、沖合に海面を設定すると選手の移動負担が大きいく、なるべく沿岸に近い浅瀬に設定することを求めている。
一方この海域は、古くから湘南名物のシラス漁の好漁場として知られている。
セーリング競技団体はレース海面をなるべく沿岸に近い海域を求めいるのに対し、漁業者はシラス漁への影響を懸念してなるべく沖合にしたいとして調整が継続されていて、未だにレース海面が決まっていない。
シラス漁の操業海域は、5市1町の8漁業組合に独占的に認めている「共同漁業権」エリアが設定され、さらにその沖合にはどの漁協も操業できる海域が広がっている。
シラス漁は、元旦から3月10日までは禁漁だが、五輪セーリング競技の公式練習や大会開催期間はシラス漁の漁期と重なり、漁業者への影響は必至である。
さらに現状で計画されている競技エリア内には、定置網が2箇所設置されていて、定置網を撤去すると巨額の撤去費用や漁業補償が発生する。
神奈川県ではこうした巨額の費用負担を避けるために、定置網の設置場所を競技エリアから外すことで調整をしたいとしてるが、未だに決着はしていない。
漁業補償については、五輪期間中の漁業補償を支払う方針だが、ほぼ同じ海面で実施する見通しのテスト大会については、現段階では検討していない」しているが、未解決のままである。
セーリング競技大会は、2020東京大会の前に、テストイベント(プレプレ大会、プレ大会)が、2018年9月と2019年と大会直前に合計3回の開催が予定されいる。テストイベントは本大会と同様程度の規模で開催される。
レース海面の決定は漁業補償がからんで難航が予想され、セーリング開催準備は大きな難問を抱えている。
セーリング競技開催予定海域 出典 神奈川県
緊急課題 津波対策
江の島の東端の海に突き出したエリアに、約5000人収容の観客席が設けられる。約2000~3000人とされている大会関係者も含めると1万人近い大勢の人が集まるだろう。
海辺のイベントで懸念される災害は、津波である。近くには津波避難施設も少なく、「避難しやすい対岸などに観客席を移すべきだ」との声も出ている。
神奈川県藤沢市が作成したハザードマップによると、相模湾から房総半島に至る相模トラフで大地震が発生した場合、五輪セーリング会場の江の島ヨットハーバーには8分後に4・5メートルの津波が来ると想定している。さらに「想定外をなくす」方針のもと新たに追加された予測では最大クラスで高さ11・5メートルの津波が来る可能性も指摘している。
2017年10月には台風21号の影響による激しい風雨に高潮が重なり、高さ約6メートルの堤防を高波が乗り越えた。セーリング会場となる一帯が冠水して、競技用の大型コンテナが流されて横倒しになるなどの被害が出ている
江の島セーリング会場の緊急課題は、短時間避難可能な避難施設の確保など津波災害対策である。
しかし現状では、津波や高波の際、すぐ逃げられる場所は江の島ヨットハウスの隣の屋外展望台(400人収容可能)だけといわれている。
江の島には、標高約60メートルの小山や高台もあるが、避難ルートは、飲食店や土産物店が並ぶ狭い参道など住宅地を抜ける急な上り坂が指定されているが、1万人近い群衆が短時間で避難できるかどうか懸念が多い。
観客席を対岸に移したり、セーリング会場内に新たな津波避難施設を建設したりする安全対策が求められるのは当然だろう。
国際セーリング連盟も津波対策について懸念を表明してる。
セーリング競技 出典 日本セーリング連盟
難題 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約1000艇の移動
江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約200艇のクルーザーや約800艇のディンギーは、 2020東京大会開催時だけでなく、テストイベント開催時には移動させなければならい。
2012ロンドン大会では、参加国56カ国、競技艇273艇、参加選手380人だったが、2020東京大会では、参加国同数56カ国程度、競技艇300艇、参加選手400人を想定している。
さらに、参加チームには、コーチやスタッフが2000人から3000人参加し、合わせて40フィートコンテナが約100個、運営艇が約300艇持ち込まれる。
神奈川県では、競技艇300艇は現在のディンギー保管エリア、運営艇300艇は現在のクルーザー係留エリアを使用するとしている。またコンテナリアは駐車場エリアや民間事業者が保有する敷地を利用することで調整しているとしている。
現在利用している約1000艇や機材置き場を、およそ2年間に渡って移動させることが必須となるが、これが難題だ。
神奈川県ではクルーザー等は、県内のハーバーを移動候補地として検討し、ディンギーは、県が管理する港湾等の活用について、利便性やコストを精査しながら、検討するとしている。
利用者にとっては、移動後の係留費用も重要だ。神奈川県では、艇を他の場所に保管する際にどの様な費用が発生するか調査して今後検討していくとしている。
また、ヨットのメンテナンスなどヨットハーバー関連の仕事に従事している人たちへの影響も深刻だ。 2年近く船が無くなると関連企業は閉鎖しなけばないない事態も起きる懸念がある。
観光地江の島全体に与える影響もある。大会準備の工事やヨットの移動の影響で江の島自体が“閑散”となる懸念も生まれる。ヨットハーバーを訪れる人は減少し、周辺の飲食店や土産物店への影響も懸念される。
テストイベントが開催される期間は大会関係者で賑わうだろうが、それは2カ月あまり、残りの2年間余りはは“閑散”とすると思われる。こうした状態が続いたら、なんのために江の島でセーリング競技を開催するのか批判が生れる可能性もある。
セーリング会場整備計画 出典 神奈川県
全体の想定スケジュール 出典 神奈川県
江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念
コーツ副会長から警告された組織員会
「あなたたには、率直に質問に答えなければならい」、記者会見でコーツ副会長は述べたが、隣に座った元首相の森喜朗委員長と武藤敏郎事務総長はまったく無表情だった。
「すべてがあなたたちに原因があるとは思わないが、疑念はますます増えるだろう」とコーツ副会長は付け加えた。
森組織委会長は、コート副会長から個人的に受けたドバイスについて質問された。
「沢山の案件があった」とし、「いくつかの具体的なアドバイスがあり、1つや2つのポイントだけ取り上げることはできない。 多くのポイントがあった」と内容を明らかにすることを避けた。
これまでに開催されたいくつかの五輪大会とは異なり、東京大会は、はるかに効率的にスケジュール通りに開催準備を行われることが期待されていた。
しかし、東京大会の主催者は、いくつかのスポーツ連盟やオリンピック委員会が満足できる大会準備状況について、なぜか説明することを躊躇しているとIOC調査チームから警告されたのである。
先週、世界のセーリング、柔道、トライアスロンの国際競技連盟から東京大会の準備状況に懸念を示す声が相次いだ。
世界セーリング連盟のアンディ・ハント(Andy Hunt)会長からは、1年後に迫った大会を控え、セーリング会場となる海域での漁船の問題を指摘した。
IOCのクリストファー・ダビ氏は「東京大会の開催準備は進んでいるとは思うが、最終決定するまでは公表しない。 それが問題だ」と述べた。
コーツ副会長は、今年11月に、東京で開催される世界206のオリンピック国内委員会が集まる会合で、東京大会の主催者が質問攻めにあう可能性があると警告した。
「どんな質問にも答える明快に準備ができていなければならない。彼らは答えが欲しいと思っている。それができなければ信頼を失う危険がある」と述べた。
そして、「彼らは選手にとって最良の競技ができる環境を知りたがっている」と語った。 「今、私たちはすべての細かな競技環境がどうなるのかに関心がある。こうした細かな競技環境を高めることが重要なのである」
東京大会まで2年余り、五輪関係者の関心は、競技場や宿泊施設、輸送、競技や選手に影響を及ぼすあらゆる分野で、極めて現実的で緊急に解決しなければならない段階に突入するのである。
混迷必至、北朝鮮五輪参加問題
北朝鮮の2020東京五輪参加問題も取り上げられた。
森組織委会長は、最終的に東京オリンピックで北朝鮮代表団を迎えることになることを懸念していると述べた。 日本は、北朝鮮による拉致問題を抱えていて、未だに解決されてと問題を提起した。
日本は北朝鮮に「裏切られた」とし、「拉致事件は平和な時代に起こった。そして日本人が拉致された」と述べた。
さらに「日本は朝鮮半島に近く、北朝鮮は隣国である。 そして我々は核兵器の脅威にさらされている。我々はこうした厳しい状況の下で生きていかなければならない」と語った。
コーツ副会長は、日本は東京オリンピックで北朝鮮の五輪選手団を受け入れることがオリンピック憲章の下で義務づけられていると基本的な姿勢を明らかにした。
しかし、「五輪開催国の政府が、五輪選手団以外の政治指導者や関係者の受け入れを制限する権利がないと言っているわけではない」とも述べた。
2020東京大会は、北朝鮮の五輪参加という極めて難解な問題を突き付けられている。
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2018年2月11日
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廣谷 徹
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