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東京オリンピック 準備遅れ コーツ副会長 水質汚染 トライアスロン お台場海浜公園 江の島ヨットハーバー

2018年10月22日 16時40分17秒 | 東京オリンピック
「準備は1年遅れている」「誠実に疑問に答えない」
警告を受けた2020東京大会組織委 




「誠実に疑問に答えを」 コーツIOC副会長
 2018年4月24日、2020東京五輪大会の準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツIOC副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
 4月15日から20日、タイのバンコクで開かれた国際スポーツ連盟機構(GAISF)のスポーツ・アコード(Sport Accord)会議などで、複数の国際競技連盟(International Sports Federations IFs)が、2020東京大会の準備状況に不満を抱き、公然と批判した。
 これを受けて、IOC調査チームが来日し、4月23日24日の2日間に渡って2020東京大会の準備状況のチェックを行った。

 コーツ副会長は、準備作業は、大部分は順調に進んでいるが、2020東京大会組織員会は進行状況を完全に説明することを躊躇していると懸念を示した。
 その理由について、 コーツ副会長は、直接的で明快な表現をするオーストラリア人と、多くのポイントを留保する曖昧な表現をする日本人の文化的相違があるのではと述べたが、婉曲表現で日本の姿勢を批判した。
 2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京に移る中、大会準備に関して答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうという警告である。

柔道、セーリング、トライアスロンに批判
 国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟は、柔道とセーリング、トライアスロンの種目について、開催準備の遅れに懸念を表明している。国際柔道連盟は、2019年に開催される柔道競技のプレ大会の準備状況の遅れを指摘し、国際セーリング連盟は、江の島で開催されるセーリング競技について、地元漁業者との調整が進まず、コース決定が遅れていることに不満を示した。またトライアスロン競技連盟は東京湾の水質汚染問題について強い懸念が示された。


お台場海浜公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会

マラソン水泳・トライアスロン 深刻な東京湾の水質汚染
 2017年10月、2020東京大会組織員会は、マラソン水泳とトライアスロンが行われるお台場周辺の海域で、大腸菌(Coli)が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌(faecal coliform bacteria)が上限の7倍も検出されたと公表した。
 この調査は、東京都と大会組織委員会が行ったもので、オリンピック開催時期の21日間、パラリンピック開催時期のうち5日間、トライアスロンとマラソンスイミングの競技会場になっているお台場海浜公園周辺の水質・水温を調査したものだ。
 調査を行った2017年8月は、21日間連続で雨が降り、1977年に次いで、観測史上歴代2位の連続降水を記録した。
 調査結果によると、降雨の後は、水質が顕著に悪化すること分かった。今回の調査期間では、国際競技団体の定める水質・水温基準達成日数は、マラソンスイミング基準では10日で約半分、トライアスロン基準はで6日で約3分の1に留まった。
 お台場海浜公園周辺の競技予定水域は、競技を開催する水質基準をはるかに上回る汚水が満ち溢れていることが示されたのである。
参加選手の健康問題を引き起こす懸念が深まった。


お台場海浜公園における水質・水温調査地点  出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 組織委では、雨期に東京湾から流れ込む細菌の量を抑制するために、競技予定水域を水中スクリーンを設置して東京湾から遮断するなど様々の実験を行い、水質改善に努めているとした。
 コーツ副会長は「トライアスロン競技連盟は依然として水質を懸念している。今年と来年に行われる水のスクリーニング、カーテンの入れ方などの実験についてプレゼンテーションを受けた。この姿勢には非常に満足している」としたが、水質問題に依然として懸念が残るとして改善を求めた。




お台場海浜公園における水質・水温調査  出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 東京湾の水質改善は、着々と進んではいるが、とても海水浴ができるような“きれいな海”とはいえない。東京湾に流れ込む川からは大量の汚染水が流れ込む。海底にはヘドロが蓄積している。オリンピック開催期間は真夏、ゲリラ豪雨は避けられない。東京湾は、“汚水の海”になることは必至だ。
そもそも東京湾に、選手を泳がせて、マラソンスイミングやトライアスロンを開催しようとすること自体、無謀なのではないか。

「水面に顔をつけない」が条件の海水浴場
 2017年夏、葛西臨海公園に海水浴場がオープンした。水質改善が進んだ東京湾のシンボルとして話題になった。
かつては東京湾には葛西のほか大森海岸、芝浦など各所に海水浴場があったが、高度経済成長期に臨界工業地帯の工場排水や埋め立て工事で1960年代に水質悪化が進み、海水浴場は姿を消した。
東京湾では、約50年間海水浴が禁止され、房総半島や三浦半島までいかないと海水浴ができなかった。
 港区では、「泳げる海、お台場!」をスローガンに掲げ、お台場海浜公園に海水浴場を開設しようとする取り組みに挑んでいる。
 現在は、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため通常は遊泳禁止である。2017年7月29日(土曜)・30日(日曜)の2日間、範囲を限定し、安全面等に配慮しながら行う“海水浴体験”を開催し、訪れた親子連れは、“海水浴”ではなく、ボート遊びや水遊びを楽しんだという。
 しかし、なんと「水面に顔をつけない」ことが条件の“海水浴体験”だった。
 これでは海水浴場と到底、言えないだろう。
 お台場の海は、「水面に顔をつけない」程度の水質しか保証されていないのである。この海で、マラソンスイミング(水泳)やトライアスロンの競技を開催すれば、参加選手は“汚染”された海水に顔をつけ、海水を口に含まざると得なない。選手の健康問題を組織委員会はどう考えているのだろうか。
 なぜ、素晴らしい自然環境に囲まれたきれいな海で開催しないのか。それまでしてお台場の開催にこだわる姿勢には“良識”を疑う。

マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園 アスリートファーストはどこへいったか


水質汚染問題に直面したリオデジャネイロ五輪
 2016リオデジャネイロ五輪では、セーリングやトライアスロン、ボートなどの会場となるコパカバーナ地区の湾岸部、グアナバラ湾の水質汚染が深刻で選手の健康被害が懸念され、競技の開催が危ぶまれのは記憶に新しい。
 AP通信が行った独自調査によると、2015年3月以降に競技会場で採取された水から、高い数値のアデノウイルスのほか、複数のウイルスや細菌も検出されという。
 汚染の原因は下水処理整備の遅れだ。人口1000万人のリオデジャネイロの生活排水の7割近くがグアナバラ湾に最終的に流れ込むという。
さらに汚染に拍車をかけるのが、リオデジャネイロの貧民街。リオデジャネイロは世界でも有数の観光地だが、人口632万人の23%を占める143万人が貧民街に暮らしているという。ブラジルで最も貧富の差が大きい都市でもある。貧民街では下水処理施設の整備はほとんど手が付けられていない。
 グアナバラ湾は「巨大なトイレ」と揶揄されている。
 招致段階でリオデジャネイロ州政府は五輪開幕までにグアナバラ湾に流入する汚水の80%を下水処理できるようにすると公約した。この処理事業を支援しているのが日本の国際協力機構(JICA)で、現在四つの下水処理場が稼働している。 しかし、各家庭から処理場まで下水を集める配管の整備が遅々として進んでいない。リオ五輪組織委員会は、開催前年の20157月、公約としていた水質浄化が開幕まで不可能と認めている。
 大量のゴミが海面を覆い尽くしているのも汚染の原因とされているが、リオデジャネイロ市では、湾内のごみを回収する「エコポート隊」を投入するなど窮余の対策に追われた。
 水質汚染問題の抜本的な解決はできなかったが、国際オリンピック委員会(IOC)は「環境基準は満たされた」して競技は予定通り行われた。


ゴミが散乱するグアナバラ湾 Antonio Scorza / Agência O Globo
 
絶望的 東京湾の水質改善
 東京23区の下水道のほとんどが合流式で整備され、雨水と汚水を一緒に処理するシステムである。雨が大量に降ると下水道が処理できずに、そのまま河川に放流される可能性がる。東京都は下水処理能力の向上に取り組んでいるが、一瞬で大量の雨が降るようなゲリラ豪雨が発生すると処理能力の限界を超えてしまう。
 再オープンした葛西海浜公園も、大雨が降ればで、COD濃度が一気に跳ね上がり水質基準を超えて、海水浴場が再び閉鎖になる懸念と隣り合わせている。
 水質改善の抜本的な対策は、下水道を合流式から分流式に切り替えることで、分流式は雨水・汚水を区別して処理する方式のため、雨が降っても汚水が未処理のまま雨水に混ざることはない。
東京23区は、下水道整備を急ぎ、昭和30年代に経費のかからない合流式で下水道を整備した。1970年に下水道法が改正されて、下水道はようやく分流式で建設されるようになったが、現在でも合流式で整備した下水道が広いエリアで稼働している。東京都内の下水道が分流式に切り替わるには、あと30年以上はかかるとされている。
 さらに埼玉県や千葉県、茨城県からの生活排水も東京湾に流れ込む。
さらに東京湾の海底には、過去の環境汚染の“負の遺産”である汚染物質が大量に含まれているヘドロが海底には堆積したまま、未だに年間約40回程度の赤潮や4~5回程度の青潮が発生している。
 東京湾に本格的に海水浴場が蘇るのはまだまだ先になる。

 2020年東京大会まであと2年余り、この間に、東京湾の水質改善が飛躍的に進むことはありえないだろう。
 “汚染”された海、東京湾を選手に泳がす東京大会、何がアスリートファーストなのだろうか。


セーリング競技会場 江の島ヨットハーバー 出典 神奈川県


江の島ヨットハーバー 出典 Wikipedia

シラス漁に影響 江の島セーリング
セーリング競技については、バンコクで開かれた夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)の総会で、、国際セーリング連盟は、「準備が1年遅れている」と指摘し、地元の漁業者との交渉が進まず、レース海面決定が遅れていることや津波対策や警備対策に懸念を持っているとした。
 コーツ副会長も、記者会見で、2020東京大会組織委員会に対し、地元の漁業者へ与える影響について懸念を表明したと付け加えた。

 2020東京大会で江の島で開催されるセーリング競技では、ディンギー5艇種(1人ないし2人乗りの小型艇)によるヨットとウインドサーフィンが行われる。海上に設置された3つのブイ(三角形のコース)を周回して、指示された周回方法や周回回数で走る競技で、得点とレースの終了順位で勝者を決まる。
 競技種目には、1人乗りのレーザー級、2人乗りの49er(フォーティーナイナー)級などがあり、1984年のロサンゼルス大会からは、ウインドサーフィン種目も採用された。
 2016リオデジャネイロと同様の10種目が行われることが決まっている。 

▼ 競技種目
 ・RS:X(男子/女子)
 ・レーザー級(男子)
 ・レーザーラジアル級(女子)
 ・フィン級(男子)
 ・470級(男子/女子)
 ・49er級(男子/女子)
 ・フォイリングナクラ17(混合)

 競技を開催する海面は、鎌倉市沖から葉山町沖の相模湾に、直径1852メートルと1574メートルの円形の5つのエリアの設定が計画されている。
 国際セーリング連盟は、レースの実施に当たってはブイを設置するので、水深が深いところではブイを固定しづらいため、水深 40 ㍍以下が望ましいとし、沖合に海面を設定すると選手の移動負担が大きいく、なるべく沿岸に近い浅瀬に設定することを求めている。
 一方この海域は、古くから湘南名物のシラス漁の好漁場として知られている。
 セーリング競技団体はレース海面をなるべく沿岸に近い海域を求めいるのに対し、漁業者はシラス漁への影響を懸念してなるべく沖合にしたいとして調整が継続されていて、未だにレース海面が決まっていない。
 シラス漁の操業海域は、5市1町の8漁業組合に独占的に認めている「共同漁業権」エリアが設定され、さらにその沖合にはどの漁協も操業できる海域が広がっている。
 シラス漁は、元旦から3月10日までは禁漁だが、五輪セーリング競技の公式練習や大会開催期間はシラス漁の漁期と重なり、漁業者への影響は必至である。
 さらに現状で計画されている競技エリア内には、定置網が2箇所設置されていて、定置網を撤去すると巨額の撤去費用や漁業補償が発生する。
 神奈川県ではこうした巨額の費用負担を避けるために、定置網の設置場所を競技エリアから外すことで調整をしたいとしてるが、未だに決着はしていない。
 漁業補償については、五輪期間中の漁業補償を支払う方針だが、ほぼ同じ海面で実施する見通しのテスト大会については、現段階では検討していない」しているが、未解決のままである。
 セーリング競技大会は、2020東京大会の前に、テストイベント(プレプレ大会、プレ大会)が、2018年9月と2019年と大会直前に合計3回の開催が予定されいる。テストイベントは本大会と同様程度の規模で開催される。
 レース海面の決定は漁業補償がからんで難航が予想され、セーリング開催準備は大きな難問を抱えている。


セーリング競技開催予定海域   出典 神奈川県

緊急課題 津波対策
 江の島の東端の海に突き出したエリアに、約5000人収容の観客席が設けられる。約2000~3000人とされている大会関係者も含めると1万人近い大勢の人が集まるだろう。
 海辺のイベントで懸念される災害は、津波である。近くには津波避難施設も少なく、「避難しやすい対岸などに観客席を移すべきだ」との声も出ている。
 神奈川県藤沢市が作成したハザードマップによると、相模湾から房総半島に至る相模トラフで大地震が発生した場合、五輪セーリング会場の江の島ヨットハーバーには8分後に4・5メートルの津波が来ると想定している。さらに「想定外をなくす」方針のもと新たに追加された予測では最大クラスで高さ11・5メートルの津波が来る可能性も指摘している。
 2017年10月には台風21号の影響による激しい風雨に高潮が重なり、高さ約6メートルの堤防を高波が乗り越えた。セーリング会場となる一帯が冠水して、競技用の大型コンテナが流されて横倒しになるなどの被害が出ている
 江の島セーリング会場の緊急課題は、短時間避難可能な避難施設の確保など津波災害対策である。
 しかし現状では、津波や高波の際、すぐ逃げられる場所は江の島ヨットハウスの隣の屋外展望台(400人収容可能)だけといわれている。
 江の島には、標高約60メートルの小山や高台もあるが、避難ルートは、飲食店や土産物店が並ぶ狭い参道など住宅地を抜ける急な上り坂が指定されているが、1万人近い群衆が短時間で避難できるかどうか懸念が多い。
 観客席を対岸に移したり、セーリング会場内に新たな津波避難施設を建設したりする安全対策が求められるのは当然だろう。 
 国際セーリング連盟も津波対策について懸念を表明してる。


セーリング競技       出典 日本セーリング連盟

難題 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約1000艇の移動
 江の島ヨットハーバー(湘南港)を利用している約200艇のクルーザーや約800艇のディンギーは、 2020東京大会開催時だけでなく、テストイベント開催時には移動させなければならい。
 2012ロンドン大会では、参加国56カ国、競技艇273艇、参加選手380人だったが、2020東京大会では、参加国同数56カ国程度、競技艇300艇、参加選手400人を想定している。
 さらに、参加チームには、コーチやスタッフが2000人から3000人参加し、合わせて40フィートコンテナが約100個、運営艇が約300艇持ち込まれる。
 神奈川県では、競技艇300艇は現在のディンギー保管エリア、運営艇300艇は現在のクルーザー係留エリアを使用するとしている。またコンテナリアは駐車場エリアや民間事業者が保有する敷地を利用することで調整しているとしている。
 現在利用している約1000艇や機材置き場を、およそ2年間に渡って移動させることが必須となるが、これが難題だ。
 神奈川県ではクルーザー等は、県内のハーバーを移動候補地として検討し、ディンギーは、県が管理する港湾等の活用について、利便性やコストを精査しながら、検討するとしている。
 利用者にとっては、移動後の係留費用も重要だ。神奈川県では、艇を他の場所に保管する際にどの様な費用が発生するか調査して今後検討していくとしている。
 また、ヨットのメンテナンスなどヨットハーバー関連の仕事に従事している人たちへの影響も深刻だ。 2年近く船が無くなると関連企業は閉鎖しなけばないない事態も起きる懸念がある。
 観光地江の島全体に与える影響もある。大会準備の工事やヨットの移動の影響で江の島自体が“閑散”となる懸念も生まれる。ヨットハーバーを訪れる人は減少し、周辺の飲食店や土産物店への影響も懸念される。
 テストイベントが開催される期間は大会関係者で賑わうだろうが、それは2カ月あまり、残りの2年間余りはは“閑散”とすると思われる。こうした状態が続いたら、なんのために江の島でセーリング競技を開催するのか批判が生れる可能性もある。


セーリング会場整備計画    出典  神奈川県


全体の想定スケジュール    出典  神奈川県

江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念


コーツ副会長から警告された組織員会 
 「あなたたには、率直に質問に答えなければならい」、記者会見でコーツ副会長は述べたが、隣に座った元首相の森喜朗委員長と武藤敏郎事務総長はまったく無表情だった。
「すべてがあなたたちに原因があるとは思わないが、疑念はますます増えるだろう」とコーツ副会長は付け加えた。
 森組織委会長は、コート副会長から個人的に受けたドバイスについて質問された。
 「沢山の案件があった」とし、「いくつかの具体的なアドバイスがあり、1つや2つのポイントだけ取り上げることはできない。 多くのポイントがあった」と内容を明らかにすることを避けた。
 これまでに開催されたいくつかの五輪大会とは異なり、東京大会は、はるかに効率的にスケジュール通りに開催準備を行われることが期待されていた。  
 しかし、東京大会の主催者は、いくつかのスポーツ連盟やオリンピック委員会が満足できる大会準備状況について、なぜか説明することを躊躇しているとIOC調査チームから警告されたのである。

 先週、世界のセーリング、柔道、トライアスロンの国際競技連盟から東京大会の準備状況に懸念を示す声が相次いだ。
 世界セーリング連盟のアンディ・ハント(Andy Hunt)会長からは、1年後に迫った大会を控え、セーリング会場となる海域での漁船の問題を指摘した。
 IOCのクリストファー・ダビ氏は「東京大会の開催準備は進んでいるとは思うが、最終決定するまでは公表しない。 それが問題だ」と述べた。

 コーツ副会長は、今年11月に、東京で開催される世界206のオリンピック国内委員会が集まる会合で、東京大会の主催者が質問攻めにあう可能性があると警告した。
 「どんな質問にも答える明快に準備ができていなければならない。彼らは答えが欲しいと思っている。それができなければ信頼を失う危険がある」と述べた。
 そして、「彼らは選手にとって最良の競技ができる環境を知りたがっている」と語った。 「今、私たちはすべての細かな競技環境がどうなるのかに関心がある。こうした細かな競技環境を高めることが重要なのである」
 東京大会まで2年余り、五輪関係者の関心は、競技場や宿泊施設、輸送、競技や選手に影響を及ぼすあらゆる分野で、極めて現実的で緊急に解決しなければならない段階に突入するのである。

混迷必至、北朝鮮五輪参加問題 
 北朝鮮の2020東京五輪参加問題も取り上げられた。
森組織委会長は、最終的に東京オリンピックで北朝鮮代表団を迎えることになることを懸念していると述べた。 日本は、北朝鮮による拉致問題を抱えていて、未だに解決されてと問題を提起した。
 日本は北朝鮮に「裏切られた」とし、「拉致事件は平和な時代に起こった。そして日本人が拉致された」と述べた。
さらに「日本は朝鮮半島に近く、北朝鮮は隣国である。 そして我々は核兵器の脅威にさらされている。我々はこうした厳しい状況の下で生きていかなければならない」と語った。
 コーツ副会長は、日本は東京オリンピックで北朝鮮の五輪選手団を受け入れることがオリンピック憲章の下で義務づけられていると基本的な姿勢を明らかにした。
 しかし、「五輪開催国の政府が、五輪選手団以外の政治指導者や関係者の受け入れを制限する権利がないと言っているわけではない」とも述べた。
 2020東京大会は、北朝鮮の五輪参加という極めて難解な問題を突き付けられている。




東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!
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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年2月11日
Copyright (C) 2018 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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news zero迷走 有働由美子 ニュースキャスター失格 ニュースは「あさイチ」ではない 報道ステーション ニュース23

2018年10月22日 07時13分01秒 | メディア
迷走! 有働由美子の「news zero」



日本テレビ「news zero」 ウエッブサイト 



「news zero」 有働由美子がメインキャスターに 村尾信尚氏は降板
 2018年10月1日、日本テレビの夜のニュース番組、「news zero」(毎週月~木曜23:00~、金曜23:30~)は、元NHKアナウンサーの有働由美子をメインキャスターに迎えて、キャスター陣も一新して、番組をリニューアルをした。
 これまで、メインキャスターを務めていた村尾信尚氏は降板し、ニュース番組では異色のキャスターを務めた女優、桐谷美玲や芥川賞作家の又吉直樹も降板した。
 筆者は、日本テレビのメインニュースである「news zero」は、テレビ朝日の「報道ステーション」、TBSの「ニュース23」、NHKの「ニュース7」と並んで、毎日のように見ていた。
 村尾信尚キャスターは、安保法制や森友加計問題、財務省セクハラ問題などの政治・社会問題で、批判精神を持ってコメントをしていたことを大いに評価したい。批判精神を持って現代社会と向き合う姿勢を失ったニュース番組は存在意義がない。
 また、桐谷美玲や又吉直樹が取材に出てリポートする積極的な演出も興味深かった。
 とりわけ桐谷美玲のリポートは、女優でありながら大健闘していると大いに評価していていたのに降板は残念である。

「news zero」  初週平均視聴率8.7%、前週比1.3ポイント上昇
 10月1日放送の初回の視聴率は10.0%で2ケタ発進となったが、タモリと有働の対談を放送した翌日はそれを上回る10.4%を記録。以降も、7.9%、8.4%、6.6%と好調に推移。
 村尾信尚キャスターが担当していた9月第4週(24~28日)は、9月28日が24時5分開始とレギュラーより時間が大幅に繰り下がっての放送となったこともあり、週平均は7.4%だった。
 その結果、「news zero」の初週(10月1日~5日)の平均視聴率は8.7%となり、前週から1.3ポイント上昇した。
 視聴率はさまざな条件を加味して比較する必要があるので、「1.3ポイント」の差は、「前週並み」か「微増」程度と考えたほうが良いだろう。とても「出足快調」とは言えない。
 テレビ関係者の間からは、視聴者の好感度が高いNHKの人気女性アナウンサーをキャスターに起用したのだから、視聴率は「10%」の大台に乗ってもよかったのではという声も聞こえる。
 しかしその後の視聴率も低迷している。
 第二週に入り、10月8日(祭日)は8.4%、9日が8.2%、10日6.3%、11日5.9%、12日4.6%で、番組リニューアルから2週間の平均視聴率は7.66%、リニューアル前の最終週の視聴率7.44%をほぼ同じで、「10%」の大台に乗せるという目論見は失敗している。

有働由美子キャスター 「あさいち」の快進撃で大きな業績
 有働由美子キャスターは、神戸女学院大学を卒業し、NHKにアナウンサーとして入局、初任地は大坂放送局、近畿ブロックのニュース・番組を担当した。
 東京のNHK放送センターに移動し、最初に担当したニュースが『NHKニュースおはよう日本』の女性キャスター、若手女性アナウンサーの登竜門である。その後はスポーツキャスターとして活躍し、『サタデースポーツ』、『サンデースポーツ』のスポーツ・ニュースのキャスターや、オリンピックの中継を担当した。
 2001年から2003年までは、『NHK紅白歌合戦』で紅組司会を担当し、アナウンサーとして幅の広さを示し、親しみ安いキャラクターで視聴者からの評価も高かった。2006年4月からは、『スタジオパークからこんにちは』の司会を務め、情報番組の司会の腕を磨いた。
 2007年6月、アナウンサー職のままで、初めてアメリカ総局(ニューヨーク)へ特派員になって赴任。
 NHK放送センターに戻って、『あさイチ』のキャスターとなり、2010年3月から2018年3月まで8年間の長期に渡って番組を支えた。2012年 - 2015年の『NHK紅白歌合戦』に再び登場し、総合司会を務めた。。
 2018年3月31日、27年間在職したNHKを退職した。「一生、現場にいたい」という思いが強かったとされている。

 有働由美子キャスターのNHK時代の最大の業績は「あさイチ」のキャスターとして、番組を支え、朝の時間帯で、これまで圧倒的に強かった民放の「ワードショー」を抑えてトップクラスに躍り出ることに成功したことである。
 これまで、NHKは「おはよう日本」から「朝の連続テレビ小説」までは、民放に常時圧勝してきたが、「連続テレビ小説」が終わると、民放の「ワードショー」に視聴者を奪われてきた。
 
 「あさイチ」では、新しいキャスター、有働由美子を迎え、番組を一新し、40代女性から50台の女性にターゲットを据え、この世代の女性に関心のある料理や家事などの生活情報や、この世代の女性の悩みや不安、不満に答えるテーマを積極的に取り上げた。
 これまでのNHKではあまり取り上げない「セックスレス」や「不妊」、「性暴力」などを特集した。
 また出産後に夫婦仲が冷え込む「産後クライシス」や「発達障害特集」は大きな反響を呼び、『「あさイチ」に「有働あり」』という評価が高まった。
 「あさイチ」は、午前8時15分からの第1部で、視聴率10%前後(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で同時間帯の民放を抑えて首位に立つ。
 番組対する視聴者の評価を高めた牽引車は間違いなく、有働由美子キャスターの他には追随できない稀なキャラクターだ。
 40代女性に寄り添った目線をしっかり打ち出してテーマを扱う姿勢が視聴者の共感を集めた。有働由美子キャスターのいやみのない飾らない率直な人柄も極めて重要だ。
 そして有働由美子キャスターを支える共演者にも恵まれた。
 「イノッチ」と呼ばれ人気の高い「V6」のメンバー、井ノ原快彦の存在は極めて大きい。有働由美子キャスターに増して、視聴者との共感力が高く、視聴者の思いをしっかり受け止めていた。
 直前に放送している「連続テレビ小説」への感想を言い合う「朝ドラ受け」も、キャスター陣の発案で、視聴者の共感を得たという。
 「あさイチ」のキャスターを8年間担当したことで、有働由美子キャスターも円熟味を増して、ますます大きく成長したのは間違いない。
 キャスターが番組を育て、番組がキャスターを育てる、ポジティブなスライラルが展開した格好の例である。

有働由美子はニュースキャスターの顔にはなれない
 情報番組の「あさイチ」のキャスターとして大成功したからといって、ニュース番組のキャスターとして成功するかどうかはまったく別次元である。

 ニュース番組は、政治、経済、社会、国際、科学、文化、あらゆる分野のニュースを処理しなければならない。
 とりわけ政治、経済、国際ニュースは、キャスターは見識と知見が問われる。
 安保法制、北朝鮮問題、森友加計問題、普天間基地移転問題、トランプ政権、とにかく展開が早く、構図は複雑だ。ミスリードはあってはならない。
 
 「news zero」のライバル、テレビ朝日の「報道ステーション」では、元共同通信編集局長の後藤憲謙次氏とテレビ朝日の富川悠太アナウンサーと徳永有美アナウンサーがキャスターを務め、TBSの「ニュース23」では、元朝日新聞の特別編集員の星 浩氏とフリーアナウンサーの雨宮塔子氏がキャスターを務める。
 後藤憲謙次氏も星 浩氏もジャーナリストとしての見識と知見は申し分ない。
 安倍政権に対して、「ものを言う」姿勢を堅持している。
 筆者は、批判精神にないニュース番組は存在意義がないと信じている。単に情報を右から左に伝えるメッセンジャーではない。

 「news zero」には、政治、経済、社会、国際問題の今に向き合う姿勢がまったく感じられない。
 ジャーナリスト、取材者として経験が少ない有働由美子キャスターにそれを求めるのは酷であろう。
 「news zero」」には、しっかりした見識と知見を示すことができる脇を固めるニュース・キャスターが不在だ。ニュース番組は、安保法制、北朝鮮問題、森友加計問題、普天間基地移転問題、トランプ政権にしっかり対峙して、初めてニュース番組となる。
 生活情報や「セックスレス」や「不妊」、「性暴力」といったテーマを取り上げて視聴者の共感を得ればよい情報番組とは次元が違う。
 もう一人のキャスター、櫻井翔がニュースキャスターの役割を担うのも不可能だろう。
 「ワイドショー化」、「女性週刊誌化」した「news zero」はやがて視聴者から見放されるだろう。
 もっとも民放のワイドショーは、以前は芸能情報が中心だったが、最近は小池都政問題や森友加計問題、大蔵省セクハラ問題、日大アメフト問題など政治・社会問題に積極的に取り組んでいて、「第二のニュース情報番組」に成長している。


「news zero」    日本テレビ/Youtube

検証 第一週の「news zero」は?

▼ 10月1日(月)

 「news zero」の番組の冒頭で、番組タイトルはやめて、有働由美子キャスターのワンショットのコメントでいきなり始まる。「news zero」の番組の「顔」として有働由美子キャスターを視聴者に印象付けようとする演出である。
 櫻井翔キャスターと日本テレビ解説委員で国際部デスクの小野高弘氏。小野高弘氏は「NEWS ZERO」のレギラー解説者だ。
 メイン・ニュースは「ノーベル生理・医学賞を受賞した本庶佑氏」、次は「台風24号の影響で入場規制で交通に混乱」のニュース、続いてスポーツ・ニュース。そしてようやくニュースらしいニュースが登場、「内閣改造人事固まる」で国会記者会館から日本テレビ政治部の富田徹記者がリポートした。
 しかし、焦点の沖縄県知事選については、一言も触れていない。ニュース・バリューの判断がまったく欠落している。初回から大失態だろう。
 ちなみに、テレビ朝日「報道ステーション」では、「ノーべル賞本庶佑氏受賞」の他に、「“日本一周”を装い逃避行」、「与党総力戦に誤算 沖縄県知事選」、TBS「ニュース23」では、「玉城氏勝利 政権に動揺広がる」、「内閣改造予想」、「48日目 ついに逮捕 “逃走男”日本縦断中に記念撮影」、「貴乃花部屋消滅」などを取り上げている。
 ニュース番組は現代社会としっかり向き合わなければならない。「news zero」にはそれが欠落している。

▼ 10月2日(火)
 有働由美子キャスターは、冒頭の挨拶では、「そもそも内閣改造、興味ありますか」と視聴者に問いかける。まるで、TwitterなどのSNSの「のり」で、ニュースキャスターならもっと伝えるべきニュース情報があると思えるが?
 この日のゲスト・コメンテーターは筑波大学准教授で若手の科学者の落合陽一氏と日本テレビ解説委員の小野高弘氏。
 落合陽一氏は「草履履き」でスタジオに登場したが、筆者は、「草履」だろうが「サンダル」だろうが、「下駄」だろうが、靴を履いていたほうがマナーとして適切だとは思うが、余り本質的な問題ではない。要はニュース報道番組のコメンテーターとして内容のある納得できるコメントをしてもらえば良いと思っているが、それができたか、いささか疑問が残る。
 メインニュースは、「静岡で続く大停電」、続いて「内閣改造」、国会記者会館から富田徹記者がリポートした。
 ここで、有働由美子キャスターの的外れな発言が早くも飛び出す。
 「そもそも内閣改造とはなんでするんですか?」、これにはさすがに富田徹記者もため息が漏れた。ニュースは短時間に情報をきちんと分析をして伝える必要がある。余計な時間を使いたくない。
 肝心の「内閣改造」の分析はほとんどなく、スタジオのコメンテーターも情報性のあるコメントを言えない。
 挙句の果ては、「大河を観ると武将人気が出るように、現役政治家のドラマを作るとか」という視聴者のお便りを紹介し、スタジオで「雑談」する。そんな時間があるなら「内閣改造」に関する本筋の情報を伝えるべきだろう。早くも、「news zero」の弱点をさらけ出した。
 そして「内閣改造」は早々に切り上げて、「特別対談 名司会者の頭の中は? タモリ×有働由美子」というスペシャル企画を放送する。
 この企画の冒頭で、有働由美子キャスターは、「3月からフリーとなって10月からZEROにお邪魔しているわけで、自分にとっては大変大きな人生の転機だったですが、この機会にどうしてもお話を聞いておきたかった人がいます」とした。
 この日のニュースの重要なテーマは「内閣改造」、有働由美子キャスターの「人生の転機」はこの日のテーマではないと思うが、有働由美子キャスターはどう考えていますか?
 「タモリ×有働由美子」のような企画は、ニュース担当者は「ヒマネタ」と呼んでいることを有働由美子キャスターも知っていると思うが如何ですか?
 ちなみに「ニュース23」では「森友文書改ざん問題 自殺職員の父が語る無念」の特集、「報道ステーション」は「『日本縦断中』の逃走を支えたものは?」を放送した。

▼ 10月3日(水)
 この日のゲストは、義足モデルとして世界で活躍してるGIMOKO氏、ニュース番組としては異色のゲスト起用で、大いに評価したい。
 トップ・ニュースは、「また台風が列島に接近 “計画運休”平日実施も」、続いて「ドウなの? 計画運休どうすればよくなる」についてスタジオでGIMOKO氏、れギラー・コメンテーターの小野高弘氏と、視聴者の声も含めて議論した。しかし、議論にに深まりはなく、情報性の薄い内容となった。議論するなら、専門性と知見を持った出演者を起用して欲しい。GIMOKO氏に“計画運休”を議論させるのは酷なような気もするが? 視聴者の共感を掲げるのはいいが、なにやら庶民の「井戸端会議」の感が否めない。
 続いて「貴ノ岩側 日馬富士に3000万円請求」や「新宿歌舞伎町 女性飛び降り巻き添え」、そして「zero culture ハロウィーン 今年は不気味グルメに注目」が登場する。ほとんど、「ワイドショー」で、とてもニュース番組とは筆者は思えない。
 NHK 「ニュース7」は、「“計画運休”平日実施」に続いて、「“全員野球内閣”本格始動」や「インドネシア地震津波」、テレビ朝日「報道ステーション」は、「中国人気女優脱税」や「トランプ大統領脱税疑惑」、TBSは「インドネシア大津波の謎」を取り上げていた。
 「「news zero」のニュースバリューに対する見識を疑う。

▼ 10月4日(木)
 今日は、日本テレビ金曜ロードSHOWプロデューサーの谷生俊美氏、トランジェンダーを公表し、日本テレビには男性として入社し現在は女性として活躍している個性的なゲストを起用した。
 谷生俊美氏は記者としてカイロ支局長も経験し、LGBT映画に向き合っているという。
 トップ・ニュースは「台風15号 沖縄に接近中」、続いての特集は「自転車で逃走48日間 カメラに顔を隠す 大胆な要求も」である。
 しかし、この「自転車で逃走48日間」のニュースは、「報道ステーション」でも「ニュース23」でも10月1日にすでに同様の内容を伝えている。二日遅れのニュースに鮮度はまったくない。
 谷生俊美氏は「容疑者は性犯罪の容疑者であることは本当に“怖い”ことだ」と指摘したが、肝心の事件の問題点の掘り下げは一切なく、印象論で終わってしまった。
 次は「元貴乃花親方 今後を語る」、「がんの免疫療法で注意 トラブル多発」、有働由美子キャスターは、癌で亡くなった母親の免疫療法についての体験を元に視聴者に注意を促した。この辺は、「あさイチ」で養った感性が発揮できたと感じた。
 「がんの免疫療法」の企画は、この週で唯一の「news zero」の独自企画だ。こうしたファクトを足で取材する地道な努力が「news zero」に課せられる。
 そして、ゲストコメンテーター用の「都がLGBT差別禁止条例案」のニュースを取り上げた。「この条例をきっかけにして市民のこの問題に対する意識が広まり、この問題を考えていくようになって欲しい」と発言した。
 レギラー解説者の小野高弘キャスターは、「これは2年後の東京五輪・パラリンピックを見据えたもので、オリンピック憲章ではいかなる差別もあってはならないとされ、その中には性別、性的志向も含まれている」と指摘した。
 これに対して、有働由美子キャスターもコメントしなければならないと思うが、「視聴者の皆さん、いろんなお考えがると思うのでお便りをお寄せください」とし、何もキャスターとしてコメントせずこの話題を終えてしまった。
 有働由美子キャスターは、「ジャーナリスト」を標ぼうするなら、ニュース番組のキャスターとしての識見と知見を示すべきだろう。
 「zero culture なぜ?タイ映画が異例のヒット!」、このコーナーは熱心に力を入れている。
 これに対して、NHK 「ニュース7」は、「会計検査院 五輪関連経費8000億円支出 五輪開催経費総額は3兆円に」や「トヨタ。ソフトバンク提携」、TBS「ニュース23」は「加計学園理事長会見へ」を取り上げた。
 「五輪開催経費3兆円」はこの日の最大のニュースだろう。


▼  10月5日(金)
 有働由美子キャスターは、「zeroは北海道を西日本豪雨から3か月の被災地を全力を上げて支えます」と冒頭で語った。
 そしてこの日のゲストは、北海道出身の人気俳優、大泉洋氏を登場させた。
 「私たちができること 地震1か月 北海道応援」というタイトルを掲げ、初めて有働由美子キャスターが、現地取材を行った。
 リポートの冒頭は、札幌の繁華街、夜のネオンが輝くすすき野、「このネオンがないと これがすすきのだなぁ」というコメントで始まる。焼き鳥屋に入って地震の影響を店長から聞く。
 そして被害の大きかった厚真町を取材し、収穫直前の稲の刈り取りもできず、未だに避難生活をしている住民を取材、「まずは厚真のコメを食べて欲しい」という農家の声に、遠く離れた場所で、「今、私たちができることは」として「① あつまの米を食べること」とした。あまりにもシンプルすぎて唖然である。わざわざ取材にいくなら、厚真町の災害復興の問題点をしっかり取材して検証して欲しい。
 続いて、被災住宅の片づけを行っているボランティアを取材、「② 土日を利用してボランティアへ」とした。その発想に納得がいかない。
 酪農農家の影響を取材し、停電で搾乳ができず、乳房炎にかかった牛がかなりの頭数になり、牛乳の出荷量は大幅に減っているという窮状を伝えた。
 そして、「③ 乳製品を飲む・食べる」。これで視聴者の共感が得られると思っているのだろうか。
 続いて、「さっぽろオータムフェスト2018」を取材し、北海道の食のフェスティバルを紹介した。会場には、北海道の海産物や厚真町のジンギスカンなど各地の名物グルメが集まる。
 礼文町のうにの踊り焼きに舌鼓を打って、「これまた濃厚な…」、いつのまにかグルメ・リポート番組になっていた。
 リポートのメッセージは「食べて応援」、余りにもお粗末はメッセージだ。地震の影響で落ち込んだ北海道の再興策にいかに取り組むか、国や北海道は何をすべきなのかを伝えようとするジャーナリストの視点が欠落している。
 続いて、西日本豪雨から3か月の被災地、広島・水尻地区を取材した。被災者の一家を訪れ、未だに物置を改装した手作りの家に住んでいる状況を伝えた。「今、私たちができることは」として「① 被災地の現状を知る」とした。その後、訪れた広島・竹原市の藤井酒造では、浸水被害を受けた築250年の蔵で、ようやく仕込みが始まる。「今、私たちができることは」として「② 買い物・観光」とした。
 いささか、「今更」という感が強い企画で、新鮮味はまったくないし、共感も最早ない。
 ちなみにNHK「ニュース7」は、「大停電で171人救急搬送 死者も」というスクープし、「築地市場あす最後の営業 日本の台所 活気に満ちた83年」という企画を放送した。テレビ朝日「報道ステーション」では、「ノーベル平和賞決定」のニュースを速報した。受賞したのは戦時下の性暴力と戦っている二人で、この内、イラク人女性のナディア・ムラード氏、クルド人でヤジディ教徒、過去に過激派組織、イスラム国に拉致され性暴力を受けた経験を持ち、その経験を伝えながら人身売買の撲滅を訴えてきた。もう一人は、医師のデニ・ムクエベ氏は、コンゴ民主共和国で性暴力被害にあった女性を治療し続けている。
 続いて、「五輪開催経費3兆円に」を取り上げ、さらに「麻生大臣の“強気”」、森友学園問題で自殺した近畿財務局職員の父親の告発に対し、麻生氏は「財務省に対応は間違っていなかった」としたニュースを伝えた。週末企画、「金曜特集」は、築地で引退か 寿司職人の苦悩」を伝えた。「ZERO」と違ってグルメ企画ではない、ニュース報道になっている。
 TBSの「ニュース23」では、トップ・ニュースに「原因は海水? 京成線運休に」というタイトルで、東京と成田空港を結ぶ京成電鉄が朝から全線に渡ってストップ、複数の送電線から火が出たためで、出火の原因は台風によって吹き付けられた海水とみられているとした。台風による塩害の脅威を指摘した大きなニュースである。
 「ノーベル平和賞決定」や「佐川氏は極めて有能」という麻生大臣発言などを放送した。
 「都がLGBT差別禁止条例案」を取り上げて、谷生俊美氏をゲスト起用した「NEWS ZERO」が、なぜ「ノーベル平和賞」を無視するのか、ジャーナリストとしての感性を疑う。森友加計問題、五輪開催経費問題、築地市場移転はニュースではないのか。

▼ 10月8日(月) 振替休日 (二週目を一日だけ追加)
 毎週月曜日は、櫻井翔キャスターと有働由美子キャスターが2人で番組を始める。
この日のメイン・ニュースは「築地市場移転」、「news zeroではいろんな方の視点で見ていきたい」とした。
まずは「三連休の天気 コロコロ変化 花火大会で事故 台風の影響か」のニュースを取り上げ、「ホワイトタイガーに襲われ40歳の男性飼育員が死亡」、「日本新 大迫傑 “半端ない”走りの原動力」と続く。
 そして「築地市場 83年の歴史に幕 競りストップ4日間で影響は?」、今日のメイン企画である。「いろんな方の視点」というから、これまで取り上げられていない新たな視点での取材を期待した。結果はまったく期待外れ、何度も、他局のリポートで見たい内容の「焼き直し」で、鮮度はまったくない。
最初に10月7日、夜明け前の環状二号線を通って築地市場から豊洲市場に向かうターレの列、すでに何度も放送された光景だ。続いて築地市場の歴史、これも何回もすでに見せられた。
 築地市場の移転とともに店をたたむ決断をした女性を取材、これも何度も見せられた。
 次は、移転に伴い4日間の空白の間に、築地市場から鮮魚を仕入れていた鮮魚店を取材、産地直送の航空便に頼っているとした。
 場外市場を訪れ、観光客や「場外市場は移転しない」とPRしている様子を取材したが全く鮮度はない。
 続いて豊洲市場の紹介にうつり、豊洲市場は築地市場とは違って、「閉鎖型」で空調で10.5度に保たれていることなどを伝えた。マグロの競りも衛生面に配慮して見学客はデッキの上からに見ることになるとした。同じ内容はすでに取り上げられている。
豊洲市場の屋上緑化を取材したが、この話題は、リポートの中で唯一、新しい情報だった。しかし、余り本論とは関係ない。
 築地市場の跡地利用や再開発についても説明したが、新しい情報はない。
 結果、新しい情報は、屋上緑化だけだった。「いろんな方の視点で見ていきたい」という狙いはなんだったのだろうか。新しさは何もないリポートで残念としかいいようがない。
 この次に、「落札直後“裁断”は作者のメッセージ」、ニュースそのものが極めて面白い。
 「zero culture」は、「22歳の“日本人監督”が快挙」、映画の話題だ。
 これに対し、「報道ステーション」は、「加計学園理事長会見」、安倍総理と加計学園理事長が会ったのかどうかどのように説明するか注目の会見だった。「記録を調べてもらったが事務局の方にもないといっている」としたが、疑念は晴れない。国際的に注目されている「ICPO総裁行方不明事件」も取り上げた。そして「ポンペオ国務長官と金正恩委員長会談」、北朝鮮は核実験場に査察団を招くことを明らかにし、二回目の米朝首脳会談は早期に開く見通しになった。しかし、日程、場所の合意には至らなったとされる。さらに日朝首脳会談の可能性も開かれているとした。
 「ニュース23」でも、「ポンペオ国務長官と金正恩委員長会談」の内容や、「加計学園理事長会見」、「ICPO総裁行方不明事件」を取り上げている。
 「news zero」はまったく素通りをしているが、祭日にも関わらず重要なニュースがあったのである。これでは、「news zero」と見ても、世の中の重要な動きはまったくわからない。さらに加計学園関連のニュースはすべて無視していて、これでは安倍政権への「忖度」ニュース番組だ。
 それでもニュースの看板を掲げるのだろうか?

 
「news zero」はいつまで続くのか?
 「news zero」は、「あさイチ」のような生活情報番組ではない。ニュース報道番組である。ニュース報道番組であるなら、ジャーナリズムとして見識と知見を示すべきだ。
 批判精神を現代社会と向き合い姿勢を失ったニュース報道番組は存在意義はない。
 鮮度のない情報を並べて、視聴者への共感だけを掲げる姿勢は納得できない。
 ニュースは「事実」を徹底して追求し、「事実」に基づいてメッセージを発信しなければならない。

 一方で、これまでのニュース番組では登場してこなかった個性的で多様なゲストが起用されているのは評価ができる。多様な意見を吸収する努力もニュース報道番組には求められるからだ。
 「news zero」がこうした戦略をとった背景には、既存のニュース報道番組とは差別化して、若者や女性など新たな視聴者層を掘り起こしたいという狙いが見える。
 とにかく、新聞を読まないしテレビニュースも見ない若者が激増しているのである。
 確かに難解な政治、経済、国際ニュースを視聴者に分かりやすく、共感を持って視聴できるようにするいう発想はニュース報道番組にとって重要な課題の一つだろう。
「news zero」は「zeroは皆さんと一緒に考えるニュース番組です」というコンセプトを掲げている。
 しかし、実態は、難解な政治、経済、国際ニュースは避けて通って、分かりやすニュースばかり取り上げるという安直な姿勢が目につく。現代社会に正面から向き合いのがニュース報道番組だろう。

 有働由美子キャスターの「news zero」は果たして視聴者に支持されるのか、一体いつまで続くのか、ジャーナリズムとは何かという視点で、大いに注目したい。





東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!
大坂なおみの初優勝を台無しにしたセリーナ 全米オープンテニス決勝戦
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心 豊洲市場開場




「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委
マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園
江の島セーリング会場 シラス漁に影響 ヨットの移設や津波対策に懸念
北朝鮮五輪参加で2020東京オリンピックは“混迷”必至
東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念“世界一コンパクト” 競技会場の全貌
東京オリンピック 競技会場最新情報(下) 膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念“世界一コンパクト” 「3兆円」!の衝撃
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“迷走”海の森水上競技場 負の遺産シンボル
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか





2018年10月22日
Copyright (C) 2018 IMSSR






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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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news zero 迷走 有働由美子 ニュースキャスター失格 ニュースは「あさイチ」とは違う 報道ステーション ニュース23

2018年10月16日 16時44分24秒 | メディア

迷走! 有働由美子の「news zero」








「news zero」 有働由美子がメインキャスターに 村尾信尚氏は降板
 2018年10月1日、日本テレビの夜のニュース番組、「news zero」(毎週月~木曜23:00~、金曜23:30~)は、元NHKアナウンサーの有働由美子をメインキャスターに迎えて、キャスター陣も一新して、番組をリニューアルをした。
 これまで、メインキャスターを務めていた村尾信尚氏は降板し、ニュース番組では異色のキャスターを務めた女優、桐谷美玲や芥川賞作家の又吉直樹も降板した。
 筆者は、日本テレビのメインニュースである「news zero」は、テレビ朝日の「報道ステーション」、TBSの「ニュース23」、NHKの「ニュース7」と並んで、毎日のように見ていた。
 村尾信尚キャスターは、安保法制や森友加計問題、財務省セクハラ問題などの政治・社会問題で、批判精神を持ってコメントをしていたことを大いに評価したい。批判精神を持って現代社会と向き合う姿勢を失ったニュース番組は存在意義がない。
 また、桐谷美玲や又吉直樹が取材に出てリポートする積極的な演出も興味深かった。
 とりわけ桐谷美玲のリポートは、女優でありながら大健闘していると大いに評価していていたのに降板は残念である。

「news zero」  初週平均視聴率8.7%、前週比1.3ポイント上昇
 10月1日放送の初回の視聴率は10.0%で2ケタ発進となったが、タモリと有働の対談を放送した翌日はそれを上回る10.4%を記録。以降も、7.9%、8.4%、6.6%と好調に推移。
 村尾信尚キャスターが担当していた9月第4週(24~28日)は、9月28日が24時5分開始とレギュラーより時間が大幅に繰り下がっての放送となったこともあり、週平均は7.4%だった。
 その結果、「news zero」の初週(10月1日~5日)の平均視聴率は8.7%となり、前週から1.3ポイント上昇した。
 視聴率はさまざな条件を加味して比較する必要があるので、「1.3ポイント」の差は、「前週並み」か「微増」程度と考えたほうが良いだろう。とても「出足快調」とは言えない。
 テレビ関係者の間からは、視聴者の好感度が高いNHKの人気女性アナウンサーをキャスターに起用したのだから、視聴率は「10%」の大台に乗ってもよかったのではという声も聞こえる。
 しかしその後の視聴率も低迷している。
 第二週に入り、10月8日(祭日)は8.4%、9日が8.2%、10日6.3%、11日5.9%、12日4.6%で、番組リニューアルから2週間の平均視聴率は7.66%、リニューアル前の最終週の視聴率7.44%をほぼ同じで、「10%」の大台に乗せるという目論見は失敗している。

有働由美子キャスター 「あさいち」の快進撃で大きな業績
 有働由美子キャスターは、神戸女学院大学を卒業し、NHKにアナウンサーとして入局、初任地は大坂放送局、近畿ブロックのニュース・番組を担当した。
 東京のNHK放送センターに移動し、最初に担当したニュースが『NHKニュースおはよう日本』の女性キャスター、若手女性アナウンサーの登竜門である。その後はスポーツキャスターとして活躍し、『サタデースポーツ』、『サンデースポーツ』のスポーツ・ニュースのキャスターや、オリンピックの中継を担当した。
 2001年から2003年までは、『NHK紅白歌合戦』で紅組司会を担当し、アナウンサーとして幅の広さを示し、親しみ安いキャラクターで視聴者からの評価も高かった。2006年4月からは、『スタジオパークからこんにちは』の司会を務め、情報番組の司会の腕を磨いた。
 2007年6月、アナウンサー職のままで、初めてアメリカ総局(ニューヨーク)へ特派員になって赴任。
 NHK放送センターに戻って、『あさイチ』のキャスターとなり、2010年3月から2018年3月まで8年間の長期に渡って番組を支えた。2012年 - 2015年の『NHK紅白歌合戦』に再び登場し、総合司会を務めた。。
 2018年3月31日、27年間在職したNHKを退職した。「一生、現場にいたい」という思いが強かったとされている。

 有働由美子キャスターのNHK時代の最大の業績は「あさイチ」のキャスターとして、番組を支え、朝の時間帯で、これまで圧倒的に強かった民放の「ワードショー」を抑えてトップクラスに躍り出ることに成功したことである。
 これまで、NHKは「おはよう日本」から「朝の連続テレビ小説」までは、民放に常時圧勝してきたが、「連続テレビ小説」が終わると、民放の「ワードショー」に視聴者を奪われてきた。
 
 「あさイチ」では、新しいキャスター、有働由美子を迎え、番組を一新し、40代女性から50台の女性にターゲットを据え、この世代の女性に関心のある料理や家事などの生活情報や、この世代の女性の悩みや不安、不満に答えるテーマを積極的に取り上げた。
 これまでのNHKではあまり取り上げない「セックスレス」や「不妊」、「性暴力」などを特集した。
 また出産後に夫婦仲が冷え込む「産後クライシス」や「発達障害特集」は大きな反響を呼び、『「あさイチ」に「有働あり」』という評価が高まった。
 「あさイチ」は、午前8時15分からの第1部で、視聴率10%前後(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で同時間帯の民放を抑えて首位に立つ。
 番組対する視聴者の評価を高めた牽引車は間違いなく、有働由美子キャスターの他には追随できない稀なキャラクターだ。
 40代女性に寄り添った目線をしっかり打ち出してテーマを扱う姿勢が視聴者の共感を集めた。有働由美子キャスターのいやみのない飾らない率直な人柄も極めて重要だ。
 そして有働由美子キャスターを支える共演者にも恵まれた。
 「イノッチ」と呼ばれ人気の高い「V6」のメンバー、井ノ原快彦の存在は極めて大きい。有働由美子キャスターに増して、視聴者との共感力が高く、視聴者の思いをしっかり受け止めていた。
 直前に放送している「連続テレビ小説」への感想を言い合う「朝ドラ受け」も、キャスター陣の発案で、視聴者の共感を得たという。
 「あさイチ」のキャスターを8年間担当したことで、有働由美子キャスターも円熟味を増して、ますます大きく成長したのは間違いない。
 キャスターが番組を育て、番組がキャスターを育てる、ポジティブなスライラルが展開した格好の例である。

有働由美子はニュースキャスターの顔にはなれない
 情報番組の「あさイチ」のキャスターとして大成功したからといって、ニュース番組のキャスターとして成功するかどうかはまったく別次元である。

 ニュース番組は、政治、経済、社会、国際、科学、文化、あらゆる分野のニュースを処理しなければならない。
 とりわけ政治、経済、国際ニュースは、キャスターは見識と知見が問われる。
 安保法制、北朝鮮問題、森友加計問題、普天間基地移転問題、トランプ政権、とにかく展開が早く、構図は複雑だ。ミスリードはあってはならない。
 
 「news zero」のライバル、テレビ朝日の「報道ステーション」では、元共同通信編集局長の後藤憲謙次氏とテレビ朝日の富川悠太アナウンサーと徳永有美アナウンサーがキャスターを務め、TBSの「ニュース23」では、元朝日新聞の特別編集員の星 浩氏とフリーアナウンサーの雨宮塔子氏がキャスターを務める。
 後藤憲謙次氏も星 浩氏もジャーナリストとしての見識と知見は申し分ない。
 安倍政権に対して、「ものを言う」姿勢を堅持している。
 筆者は、批判精神にないニュース番組は存在意義がないと信じている。単に情報を右から左に伝えるメッセンジャーではない。

 「news zero」には、政治、経済、社会、国際問題の今に向き合う姿勢がまったく感じられない。
 ジャーナリスト、取材者として経験が少ない有働由美子キャスターにそれを求めるのは酷であろう。
 「news zero」」には、しっかりした見識と知見を示すことができる脇を固めるニュース・キャスターが不在だ。ニュース番組は、安保法制、北朝鮮問題、森友加計問題、普天間基地移転問題、トランプ政権にしっかり対峙して、初めてニュース番組となる。
 生活情報や「セックスレス」や「不妊」、「性暴力」といったテーマを取り上げて視聴者の共感を得ればよい情報番組とは次元が違う。
 もう一人のキャスター、櫻井翔がニュースキャスターの役割を担うのも不可能だろう。
 「ワイドショー化」、「女性週刊誌化」した「news zero」はやがて視聴者から見放されるだろう。
 もっとも民放のワイドショーは、以前は芸能情報が中心だったが、最近は小池都政問題や森友加計問題、大蔵省セクハラ問題、日大アメフト問題など政治・社会問題に積極的に取り組んでいて、「第二のニュース情報番組」に成長している。


「news zero」    日本テレビ/Youtube

検証 第一週の「news zero」は?

▼ 10月1日(月)

 「news zero」の番組の冒頭で、番組タイトルはやめて、有働由美子キャスターのワンショットのコメントでいきなり始まる。「news zero」の番組の「顔」として有働由美子キャスターを視聴者に印象付けようとする演出である。
 櫻井翔キャスターと日本テレビ解説委員で国際部デスクの小野高弘氏。小野高弘氏は「NEWS ZERO」のレギラー解説者だ。
 メイン・ニュースは「ノーベル生理・医学賞を受賞した本庶佑氏」、次は「台風24号の影響で入場規制で交通に混乱」のニュース、続いてスポーツ・ニュース。そしてようやくニュースらしいニュースが登場、「内閣改造人事固まる」で国会記者会館から日本テレビ政治部の富田徹記者がリポートした。
 しかし、焦点の沖縄県知事選については、一言も触れていない。ニュース・バリューの判断がまったく欠落している。初回から大失態だろう。
 ちなみに、テレビ朝日「報道ステーション」では、「ノーべル賞本庶佑氏受賞」の他に、「“日本一周”を装い逃避行」、「与党総力戦に誤算 沖縄県知事選」、TBS「ニュース23」では、「玉城氏勝利 政権に動揺広がる」、「内閣改造予想」、「48日目 ついに逮捕 “逃走男”日本縦断中に記念撮影」、「貴乃花部屋消滅」などを取り上げている。
 ニュース番組は現代社会としっかり向き合わなければならない。「news zero」にはそれが欠落している。

▼ 10月2日(火)
 有働由美子キャスターは、冒頭の挨拶では、「そもそも内閣改造、興味ありますか」と視聴者に問いかける。まるで、TwitterなどのSNSの「のり」で、ニュースキャスターならもっと伝えるべきニュース情報があると思えるが?
 この日のゲスト・コメンテーターは筑波大学准教授で若手の科学者の落合陽一氏と日本テレビ解説委員の小野高弘氏。
 落合陽一氏は「草履履き」でスタジオに登場したが、筆者は、「草履」だろうが「サンダル」だろうが、「下駄」だろうが、靴を履いていたほうがマナーとして適切だとは思うが、余り本質的な問題ではない。要はニュース報道番組のコメンテーターとして内容のある納得できるコメントをしてもらえば良いと思っているが、それができたか、いささか疑問が残る。
 メインニュースは、「静岡で続く大停電」、続いて「内閣改造」、国会記者会館から富田徹記者がリポートした。
 ここで、有働由美子キャスターの的外れな発言が早くも飛び出す。
 「そもそも内閣改造とはなんでするんですか?」、これにはさすがに富田徹記者もため息が漏れた。ニュースは短時間に情報をきちんと分析をして伝える必要がある。余計な時間を使いたくない。
 肝心の「内閣改造」の分析はほとんどなく、スタジオのコメンテーターも情報性のあるコメントを言えない。
 挙句の果ては、「大河を観ると武将人気が出るように、現役政治家のドラマを作るとか」という視聴者のお便りを紹介し、スタジオで「雑談」する。そんな時間があるなら「内閣改造」に関する本筋の情報を伝えるべきだろう。早くも、「news zero」の弱点をさらけ出した。
 そして「内閣改造」は早々に切り上げて、「特別対談 名司会者の頭の中は? タモリ×有働由美子」というスペシャル企画を放送する。
 この企画の冒頭で、有働由美子キャスターは、「3月からフリーとなって10月からZEROにお邪魔しているわけで、自分にとっては大変大きな人生の転機だったですが、この機会にどうしてもお話を聞いておきたかった人がいます」とした。
 この日のニュースの重要なテーマは「内閣改造」、有働由美子キャスターの「人生の転機」はこの日のテーマではないと思うが、有働由美子キャスターはどう考えていますか?
 「タモリ×有働由美子」のような企画は、ニュース担当者は「ヒマネタ」と呼んでいることを有働由美子キャスターも知っていると思うが如何ですか?
 ちなみに「ニュース23」では「森友文書改ざん問題 自殺職員の父が語る無念」の特集、「報道ステーション」は「『日本縦断中』の逃走を支えたものは?」を放送した。

▼ 10月3日(水)
 この日のゲストは、義足モデルとして世界で活躍してるGIMOKO氏、ニュース番組としては異色のゲスト起用で、大いに評価したい。
 トップ・ニュースは、「また台風が列島に接近 “計画運休”平日実施も」、続いて「ドウなの? 計画運休どうすればよくなる」についてスタジオでGIMOKO氏、れギラー・コメンテーターの小野高弘氏と、視聴者の声も含めて議論した。しかし、議論にに深まりはなく、情報性の薄い内容となった。議論するなら、専門性と知見を持った出演者を起用して欲しい。GIMOKO氏に“計画運休”を議論させるのは酷なような気もするが? 視聴者の共感を掲げるのはいいが、なにやら庶民の「井戸端会議」の感が否めない。
 続いて「貴ノ岩側 日馬富士に3000万円請求」や「新宿歌舞伎町 女性飛び降り巻き添え」、そして「zero culture ハロウィーン 今年は不気味グルメに注目」が登場する。ほとんど、「ワイドショー」で、とてもニュース番組とは筆者は思えない。
 NHK 「ニュース7」は、「“計画運休”平日実施」に続いて、「“全員野球内閣”本格始動」や「インドネシア地震津波」、テレビ朝日「報道ステーション」は、「中国人気女優脱税」や「トランプ大統領脱税疑惑」、TBSは「インドネシア大津波の謎」を取り上げていた。
 「「news zero」のニュースバリューに対する見識を疑う。

▼ 10月4日(木)
 今日は、日本テレビ金曜ロードSHOWプロデューサーの谷生俊美氏、トランジェンダーを公表し、日本テレビには男性として入社し現在は女性として活躍している個性的なゲストを起用した。
 谷生俊美氏は記者としてカイロ支局長も経験し、LGBT映画に向き合っているという。
 トップ・ニュースは「台風15号 沖縄に接近中」、続いての特集は「自転車で逃走48日間 カメラに顔を隠す 大胆な要求も」である。
 しかし、この「自転車で逃走48日間」のニュースは、「報道ステーション」でも「ニュース23」でも10月1日にすでに同様の内容を伝えている。二日遅れのニュースに鮮度はまったくない。
 谷生俊美氏は「容疑者は性犯罪の容疑者であることは本当に“怖い”ことだ」と指摘したが、肝心の事件の問題点の掘り下げは一切なく、印象論で終わってしまった。
 次は「元貴乃花親方 今後を語る」、「がんの免疫療法で注意 トラブル多発」、有働由美子キャスターは、癌で亡くなった母親の免疫療法についての体験を元に視聴者に注意を促した。この辺は、「あさイチ」で養った感性が発揮できたと感じた。
 「がんの免疫療法」の企画は、この週で唯一の「news zero」の独自企画だ。こうしたファクトを足で取材する地道な努力が「news zero」に課せられる。
 そして、ゲストコメンテーター用の「都がLGBT差別禁止条例案」のニュースを取り上げた。「この条例をきっかけにして市民のこの問題に対する意識が広まり、この問題を考えていくようになって欲しい」と発言した。
 レギラー解説者の小野高弘キャスターは、「これは2年後の東京五輪・パラリンピックを見据えたもので、オリンピック憲章ではいかなる差別もあってはならないとされ、その中には性別、性的志向も含まれている」と指摘した。
 これに対して、有働由美子キャスターもコメントしなければならないと思うが、「視聴者の皆さん、いろんなお考えがると思うのでお便りをお寄せください」とし、何もキャスターとしてコメントせずこの話題を終えてしまった。
 有働由美子キャスターは、「ジャーナリスト」を標ぼうするなら、ニュース番組のキャスターとしての識見と知見を示すべきだろう。
 「zero culture なぜ?タイ映画が異例のヒット!」、このコーナーは熱心に力を入れている。
 これに対して、NHK 「ニュース7」は、「会計検査院 五輪関連経費8000億円支出 五輪開催経費総額は3兆円に」や「トヨタ。ソフトバンク提携」、TBS「ニュース23」は「加計学園理事長会見へ」を取り上げた。
 「五輪開催経費3兆円」はこの日の最大のニュースだろう。


▼  10月5日(金)
 有働由美子キャスターは、「zeroは北海道を西日本豪雨から3か月の被災地を全力を上げて支えます」と冒頭で語った。
 そしてこの日のゲストは、北海道出身の人気俳優、大泉洋氏を登場させた。
 「私たちができること 地震1か月 北海道応援」というタイトルを掲げ、初めて有働由美子キャスターが、現地取材を行った。
 リポートの冒頭は、札幌の繁華街、夜のネオンが輝くすすき野、「このネオンがないと これがすすきのだなぁ」というコメントで始まる。焼き鳥屋に入って地震の影響を店長から聞く。
 そして被害の大きかった厚真町を取材し、収穫直前の稲の刈り取りもできず、未だに避難生活をしている住民を取材、「まずは厚真のコメを食べて欲しい」という農家の声に、遠く離れた場所で、「今、私たちができることは」として「① あつまの米を食べること」とした。あまりにもシンプルすぎて唖然である。わざわざ取材にいくなら、厚真町の災害復興の問題点をしっかり取材して検証して欲しい。
 続いて、被災住宅の片づけを行っているボランティアを取材、「② 土日を利用してボランティアへ」とした。その発想に納得がいかない。
 酪農農家の影響を取材し、停電で搾乳ができず、乳房炎にかかった牛がかなりの頭数になり、牛乳の出荷量は大幅に減っているという窮状を伝えた。
 そして、「③ 乳製品を飲む・食べる」。これで視聴者の共感が得られると思っているのだろうか。
 続いて、「さっぽろオータムフェスト2018」を取材し、北海道の食のフェスティバルを紹介した。会場には、北海道の海産物や厚真町のジンギスカンなど各地の名物グルメが集まる。
 礼文町のうにの踊り焼きに舌鼓を打って、「これまた濃厚な…」、いつのまにかグルメ・リポート番組になっていた。
 リポートのメッセージは「食べて応援」、余りにもお粗末はメッセージだ。地震の影響で落ち込んだ北海道の再興策にいかに取り組むか、国や北海道は何をすべきなのかを伝えようとするジャーナリストの視点が欠落している。
 続いて、西日本豪雨から3か月の被災地、広島・水尻地区を取材した。被災者の一家を訪れ、未だに物置を改装した手作りの家に住んでいる状況を伝えた。「今、私たちができることは」として「① 被災地の現状を知る」とした。その後、訪れた広島・竹原市の藤井酒造では、浸水被害を受けた築250年の蔵で、ようやく仕込みが始まる。「今、私たちができることは」として「② 買い物・観光」とした。
 いささか、「今更」という感が強い企画で、新鮮味はまったくないし、共感も最早ない。
 ちなみにNHK「ニュース7」は、「大停電で171人救急搬送 死者も」というスクープし、「築地市場あす最後の営業 日本の台所 活気に満ちた83年」という企画を放送した。テレビ朝日「報道ステーション」では、「ノーベル平和賞決定」のニュースを速報した。受賞したのは戦時下の性暴力と戦っている二人で、この内、イラク人女性のナディア・ムラード氏、クルド人でヤジディ教徒、過去に過激派組織、イスラム国に拉致され性暴力を受けた経験を持ち、その経験を伝えながら人身売買の撲滅を訴えてきた。もう一人は、医師のデニ・ムクエベ氏は、コンゴ民主共和国で性暴力被害にあった女性を治療し続けている。
 続いて、「五輪開催経費3兆円に」を取り上げ、さらに「麻生大臣の“強気”」、森友学園問題で自殺した近畿財務局職員の父親の告発に対し、麻生氏は「財務省に対応は間違っていなかった」としたニュースを伝えた。週末企画、「金曜特集」は、築地で引退か 寿司職人の苦悩」を伝えた。「ZERO」と違ってグルメ企画ではない、ニュース報道になっている。
 TBSの「ニュース23」では、トップ・ニュースに「原因は海水? 京成線運休に」というタイトルで、東京と成田空港を結ぶ京成電鉄が朝から全線に渡ってストップ、複数の送電線から火が出たためで、出火の原因は台風によって吹き付けられた海水とみられているとした。台風による塩害の脅威を指摘した大きなニュースである。
 「ノーベル平和賞決定」や「佐川氏は極めて有能」という麻生大臣発言などを放送した。
 「都がLGBT差別禁止条例案」を取り上げて、谷生俊美氏をゲスト起用した「NEWS ZERO」が、なぜ「ノーベル平和賞」を無視するのか、ジャーナリストとしての感性を疑う。森友加計問題、五輪開催経費問題、築地市場移転はニュースではないのか。

▼ 10月8日(月) 振替休日 (二週目を一日だけ追加)
 毎週月曜日は、櫻井翔キャスターと有働由美子キャスターが2人で番組を始める。
この日のメイン・ニュースは「築地市場移転」、「news zeroではいろんな方の視点で見ていきたい」とした。
まずは「三連休の天気 コロコロ変化 花火大会で事故 台風の影響か」のニュースを取り上げ、「ホワイトタイガーに襲われ40歳の男性飼育員が死亡」、「日本新 大迫傑 “半端ない”走りの原動力」と続く。
 そして「築地市場 83年の歴史に幕 競りストップ4日間で影響は?」、今日のメイン企画である。「いろんな方の視点」というから、これまで取り上げられていない新たな視点での取材を期待した。結果はまったく期待外れ、何度も、他局のリポートで見たい内容の「焼き直し」で、鮮度はまったくない。
最初に10月7日、夜明け前の環状二号線を通って築地市場から豊洲市場に向かうターレの列、すでに何度も放送された光景だ。続いて築地市場の歴史、これも何回もすでに見せられた。
 築地市場の移転とともに店をたたむ決断をした女性を取材、これも何度も見せられた。
 次は、移転に伴い4日間の空白の間に、築地市場から鮮魚を仕入れていた鮮魚店を取材、産地直送の航空便に頼っているとした。
 場外市場を訪れ、観光客や「場外市場は移転しない」とPRしている様子を取材したが全く鮮度はない。
 続いて豊洲市場の紹介にうつり、豊洲市場は築地市場とは違って、「閉鎖型」で空調で10.5度に保たれていることなどを伝えた。マグロの競りも衛生面に配慮して見学客はデッキの上からに見ることになるとした。同じ内容はすでに取り上げられている。
豊洲市場の屋上緑化を取材したが、この話題は、リポートの中で唯一、新しい情報だった。しかし、余り本論とは関係ない。
 築地市場の跡地利用や再開発についても説明したが、新しい情報はない。
 結果、新しい情報は、屋上緑化だけだった。「いろんな方の視点で見ていきたい」という狙いはなんだったのだろうか。新しさは何もないリポートで残念としかいいようがない。
 この次に、「落札直後“裁断”は作者のメッセージ」、ニュースそのものが極めて面白い。
 「zero culture」は、「22歳の“日本人監督”が快挙」、映画の話題だ。
 これに対し、「報道ステーション」は、「加計学園理事長会見」、安倍総理と加計学園理事長が会ったのかどうかどのように説明するか注目の会見だった。「記録を調べてもらったが事務局の方にもないといっている」としたが、疑念は晴れない。国際的に注目されている「ICPO総裁行方不明事件」も取り上げた。そして「ポンペオ国務長官と金正恩委員長会談」、北朝鮮は核実験場に査察団を招くことを明らかにし、二回目の米朝首脳会談は早期に開く見通しになった。しかし、日程、場所の合意には至らなったとされる。さらに日朝首脳会談の可能性も開かれているとした。
 「ニュース23」でも、「ポンペオ国務長官と金正恩委員長会談」の内容や、「加計学園理事長会見」、「ICPO総裁行方不明事件」を取り上げている。
 「news zero」はまったく素通りをしているが、祭日にも関わらず重要なニュースがあったのである。これでは、「news zero」と見ても、世の中の重要な動きはまったくわからない。さらに加計学園関連のニュースはすべて無視していて、これでは安倍政権への「忖度」ニュース番組だ。
 それでもニュースの看板を掲げるのだろうか?

 
「news zero」はいつまで続くのか?
 「news zero」は、「あさイチ」のような生活情報番組ではない。ニュース報道番組である。ニュース報道番組であるなら、ジャーナリズムとして見識と知見を示すべきだ。
 批判精神を現代社会と向き合い姿勢を失ったニュース報道番組は存在意義はない。
 鮮度のない情報を並べて、視聴者への共感だけを掲げる姿勢は納得できない。
 ニュースは「事実」を徹底して追求し、「事実」に基づいてメッセージを発信しなければならない。

 一方で、これまでのニュース番組では登場してこなかった個性的で多様なゲストが起用されているのは評価ができる。多様な意見を吸収する努力もニュース報道番組には求められるからだ。
 「news zero」がこうした戦略をとった背景には、既存のニュース報道番組とは差別化して、若者や女性など新たな視聴者層を掘り起こしたいという狙いが見える。
 とにかく、新聞を読まないしテレビニュースも見ない若者が激増しているのである。
 確かに難解な政治、経済、国際ニュースを視聴者に分かりやすく、共感を持って視聴できるようにするいう発想はニュース報道番組にとって重要な課題の一つだろう。
「news zero」は「zeroは皆さんと一緒に考えるニュース番組です」というコンセプトを掲げている。
 しかし、実態は、難解な政治、経済、国際ニュースは避けて通って、分かりやすニュースばかり取り上げるという安直な姿勢が目につく。現代社会に正面から向き合いのがニュース報道番組だろう。

 有働由美子キャスターの「news zero」は果たして視聴者に支持されるのか、一体いつまで続くのか、ジャーナリズムとは何かという視点で、大いに注目したい。





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2018年10月12日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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