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東京オリンピック 競技場 会場 最新情報 東京ベイゾーン ヘリテッジゾーン 見直し 整備計画 仮設施設 

2016年11月30日 12時18分59秒 | 東京オリンピック
膨張する開催経費 どこへいった競技開催理念
“世界一コンパククトな大会”


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海の森水上競技場、オリンピック アクアティクスセンターは新設 バレー会場は先送り
4者協議トップ級会合

 2016年11月29日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が日、東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は計画通り海の森水上競技場を整備し、水泳競技場はアクアティクスセンター(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、建設する方針を決めた。一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さす、さらに検討をしたいとして12月のクリスマスまで先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は、ボート・カヌー競技の事前合宿地とすることをコーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。
 海の森水上競技場は、「常設施設」か「仮設レベル」かは更に検討するとしたが、当初の491億円から300億円前後に整備費を縮減。アクアティクスセンターは座席数を2万から1万5000席に減らし、大会後の減築も取りやめたことで当初の683億円から513億円に削減された。

小池知事 調査チームの見直し案を“四者協議”に提案
現行計画を軸に経費削減が焦点に 追い込まれたのはIOC

11月1日、都政改革本部の会合が開かれ、経費削減に向けた競技会場の見直し案の最終報告が示された。
 ボート・カヌーの競技会場については、海の森水上競技場の建設計画を見直して経費削減を行った上で恒久施設として整備する案と、観客席などを“仮設施設並み”にする「仮設レベル」として整備する案、さらに長沼ボート場に変更する案の3つの案について建設費や施設維持費などを示した。
 「恒久施設」案では328億円、「仮設レベル」では298億円に削減できるとしている。
 水泳会場については、東京辰巳国際水泳場に会場変更する案も示していたが、観客席の拡張工事ができないとして断念した。 オリンピックアクアティクスセンターについては、観客席の「減築工事」を取りやめて、2万席のままで整備するか案と、はじめから1万5000席に縮小して整備する案を提示した。
 当初は683億円としていた整備費用は2万席の場合は530億円、1万5000席の場合は470億円から512億円に削減できるとしている。
 バレーボールの会場については、有明アリーナを規模縮小して整備する案と、「有明アリーナ」の新設を取りやめ「横浜アリーナ」を活用する案を示した。
 現行では404億円としていた有明アリーナの整備費用について、建設工事費やセキュリティー対策の費用を圧縮することで、30億円から34億円程度のコスト削減が見込めるとしている。
 「横浜アリーナ」を活用する案について、報道機関向けの設備やスペースの確保に課題はあるが、立地がよくコストも限定的であることから、大会会場の選択肢として引き続き検討することを提案した。
 報告書では、3つの競技会場について規模を縮小して整備した場合、最大で約440億円のコストが削減できるとしている。
 小池知事はこれらの複数の案を、都の提案として採用することを表明し、今日の“4者実務者協議”に提案する。
 “肥大化批判”にさらされているIOCにとって、“経費削減”は至上命題、追い込まれているのは小池都知事ではなくIOC、そしてほとんど“機能不全”の大会組織委員会だ。協議では、現行計画を軸にどこまで経費圧縮できるかが焦点になると思われるが、今日終了する3日間の実務者協議では見直しの結論の方向性は打ち出さないとされている。実務者会合は完全非公開、密室協議となる。

バッハIOC会長 「複数種目を被災地で」提案 安倍総理と会談
 2016年10月19日、バッハIOC会長は、総理官邸で安倍総理と会談し、東京オリンピック・パラリンピックの複数の種目を東日本大震災の被災地で行う構想を提案した。
 会談後、バッハIOC会長は、記者団の質問に答え、「イベントの中のいくつかを被災地でやるアイデアを持っているという話をした」と語り、東京オリンピック・パラリンピックの複数の種目を東日本大震災の被災地で行う構想を安倍総理に提案したことを明らかにした。これに対し安倍総理は、「そのアイデアを歓迎する」と応じたという。
 またバッハ会長は 「復興に貢献したい。世界の人たちに、復興はこれだけ進捗していることを示すことができる」とし、大会組織委員会が福島市での開催を検討している追加種目の野球・ソフトボールについては、選択肢の1つとした上で、 「日本のチームが試合をすれば、非常にパワフルなメッセージの発信につながる」と述べた。
 野球・ソフトボールの開催地を巡っては、福島県の福島、郡山、いわきの3市が招致している。
 このほか宮城県利府町でサッカーの1次リーグが開催されることがすでに決まっている。また聖火リレーの出発地には、宮城県石巻市の経済団体などが名乗りをあげ、被災地と東京をつなぐルートを提案している。
 しかし、ボート・カヌーの会場見直しについては安倍総理との会談で話題にはならなかったとした。



28種目の内27種目の競技場が決まる
 2015年12月9日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会はスイス・ローザンヌで開催中の国際オリンピック委員会(IOC)理事会にテレビ会議で参加し、建設費の高騰で会場見直しが検討されていた自転車4種目のうち、トラックとマウンテンバイク(MTB)の2種目の会場を静岡県伊豆市の既存施設に変更することを提案、承認された。
 トラックとマウンテンバイク(MTB)の2種目は招致段階では東京都江東区に仮設競技場を整備する計画だったが、トラックは伊豆ベロドローム、マウンテンバイク(MTB)は日本サイクルスポーツセンター内のコースを改修して開催することとした。組織委では2つの既設施設の改修費を含めても、この変更で約100億円の削減につながるとしている。
 一方、自転車の他の2種目については、ロードレースは、スタート地点が皇居、ゴール地点が武蔵野の森公園としていたが、スタートとゴール共に都心で大勢の観客が訪れやすい皇居外苑に変更することとした。またBMXは組織委では伊豆の日本サイクルスポーツセンターに変更したいとしたが、国際自転車連合は観客が集まりやすい首都圏での開催にこだわって難色を示し、当初計画通り東京都江東区有明周辺に建設される5000席の観客席を備えた仮設コースで開催されることになった。
 すでに6月8日の理事会で、水球、バドミントン、トライアスロン、セーリング、7人制ラグビー、レスリング、フェンシング、テコンドーの8つの競技場が承認されている。いずれも組織委が当初計画を変更した競技場で約700億円の経費削減になるとしている。6月の理事会では自転車とサッカー(予選)の2つの競技ついては結論を出せず、今後さらに検討すると先延ばししていた。
 難航していた自転車競技の交渉がようやく決着して、28の正式競技のうちサッカーを除く27種目が決定した。サッカーは1次リーグの会場を地方都市に数か所増やすことを組織委員会は提案しているが、国際サッカー連盟の決定は先延ばしになっている。












変更が相次いだ競技開催計画
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技開催計画は変更が相次ぎ、招致計画から大きく変わってしまった。一体、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画は、なんだったのだろうか? 新国立競技場の“迷走”も加えると、その杜撰な開催計画に唖然とさせられる。

 競技開催計画では、既存施設15か所、新設施設22か所(恒久施設11 仮設施設11)としていたが、競技場の変更は9か所にも及んでいる。
 建設中止の競技場(恒久施設)は、夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)、夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)、ウォーターポロアリーナ(水球)(新木場・夢の島エリア)、若洲オリンピックマリーナ(セーリング)、有明ベロドローム(自転車・トラック)の5施設である。
 バトミントンは、武蔵野森総合スポーツ施設(東京都調布市)、バスケットはさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)、 セーリングは江の島ヨットハーバー(藤沢市)、水球は東京辰巳国際水泳場で開催する。
 東京ビッグサイト・ホールA (レスリング)と東京ビッグサイト・ホールB (フェンシング・テコンドー)は幕張メッセ(千葉市)となり、幕張メッセでは、レスリングとフェンシング、テコンドーの3つの競技の会場となった。
 7人制ラグビーは、新国立競技場から味の素スタジアム(東京都調布市)に変更となった。
 カヌーは、葛西臨海公園に建設する仮設施設計画だったが、隣接地の都有地(下水道処理施設用地)に建設地を変更した。葛西臨海公園の貴重な自然環境を後世に残すという設置目的などに配慮して、公園内でなく隣接地に移し、大会後は、公園と一体となったレジャー・レクリエーション施設となるように施設計画を練り直した。
 また、夢の島競技場内に仮設施設を建設する予定だった馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)は、建設を中止し、会場を馬事公苑に変更した。
 馬術(クロスカントリー)は海の森クロスカントリーコースで予定通り行われる。
 一方、トライアスロンは、お台場海浜公園で変更せず、計画通り行うこととなった。
自転車については、トラックは伊豆ベロドローム、マウンテンバイク(MTB)は日本サイクルスポーツセンター内のコースと静岡県伊豆市の施設に変更することが決まった。しかし、BMXは、競技団体の強い意向で、当初予定通り、有明地区の“東京ベイゾーン”に仮設施設を建設して開催予定である。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画の“キャッチフレーズ”は、「世界一コンパクトな大会」、選手村を中心に半径8キロメートルの圏内に85%の競技場を配置すると“公約”した。1964年大会のレガシーが現存す“ヘリテッジゾーン”と東京を象徴する“東京ベイゾーン”、そして2つのゾーンの交差点に選手村を整備するという開催計画である。  しかし、相次ぐ変更で、「世界一コンパクトな大会」の“公約”はどこへ行ったのだろうか?


東京都オリンピック・パラリンピック準備局


東京五輪立候補時の競技場計画 2020東京オリンピック・パラリンピック招致委員会 立候補ファイル 競技場プラン


2020東京オリンピック・パラリンピック招致委員会 立候補ファイル 競技場プラン

五輪の施設整備の基本ルールは?
 競技場の整備経費については、新国立競技場は国、恒久施設は東京都、仮設施設は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会が責任を持つことが決められていた。
 東京都が担当する恒久施設は、招致計画では約1538億円としたが、招致決定後に改めて試算すると、当初予定の約3倍となる約4584億円まで膨らむことが判明した。
 中には、海の森水上競技場(ボート、カヌー)にように、招致計画では、約69億円としていたが、五輪開催決定後、改めて試算すると、約1038億円と10倍以上に膨れ上ったケースも含まれていた。招致計画時の余りにも杜撰な予算の作成にあきれる他はない。
 舛添要一東京都知事は、「『目の子勘定』で(予算を作り)、『まさか来る』とは思わなかったが『本当に来てしまった』という感じ」とテレビ番組に出演して話している。
 問題は新国立競技場にとどまっていなかったのである。


経費削減に動いた舛添都知事
 舛添要一東京都知事は、経費節減に動き、夢の島ユースプラザ・アリーナAとB、ウォーターポロアリーナ、若洲オリンピックマリーナ、有明ベロドロームの5施設建設を中止し、他の既存施設に競技場を変更した。また、オリンピックアクアティクスセンターや海の森水上競技場、大井ホッケー競技場などは整備計画を縮小した。
 これにより約2000億円削減し、約4584億円まで膨らんだ整備経費を約2469億円までに圧縮した。
さらにIBC/MPCが設営される東京ビックサイトに、建設する増設棟は、IBC/MCPとして利用しないことに計画を変更し、その建設費約228億円を五輪施設整備の枠からはずすことで、さらに削減し、約2241億円までに圧縮したとしている。 もっとも東京都は建設費を負担することには変わりはないのだから、「みせかけ」の操作と思われてもしかたがない。
 2241億円のうち、新規整備費が約1846億円、既存施設の改修費などが約395億円とした。
東京都は、開催都市として、2006から2009年度に「開催準備基金」を毎年約1000億円、合計約3870億円をすでに積み立てていた。この「基金」で、競技施設の整備だけでなく、周辺整備やインフラの整備経費などをまかなわなければならない。東京都が負担する五輪施設整備費は、4000億円の枠内で収まらないのではという懸念が生まれている。競技場の建設だけで2241億円を使って大丈夫なのだろうか?
 また、新規に施設を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費など“後年度負担”が生まれることを忘れてはならない。五輪開催後は、整備された壮大な競技施設の収支は赤字にならないのだろうか? 利用料収入などで賄える展望があるのだろうか? 巨額の“赤字”が毎年生まれるのであれば、今後約50年間以上に渡って、東京都民は負担し続けなければならない。 五輪開催期間は、オリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。新設の施設は、極力抑制しなければならない。日本は確実に少子高齢化社会を迎える。“レガシー”(未来への遺産)どころか”“次世代”への“負の遺産”になる懸念が大きい。


(資料 東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

東京五輪追加種目 野球・空手など5競技決まる
 2015年9月28日、大会組織委員会は、国際オリンピック委員会(IOC)に提案することを決めた。
 組織委の種目追加検討会議座長の御手洗冨士夫・経団連名誉会長は「若者へのアピールと日本中を盛り上げるに資する競技かどうかで決めた」と説明し、野球・ソフトボールと空手については「国内で広く普及しており観客動員力が大きい」と評価した。ローラースポーツ(スケートボード)、突起のついた人工壁をよじ登るスポーツクライミング、サーフィンは「時代の先端を行く若者へのアピールが期待できる」と話した。
 2016年8月3日、リオデジャネイロで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会で、開催都市に提案権が与えられている追加競技・種目について、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ(スケートボード)、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目が採択され決定した。総会の質疑応答で、野球を巡って、米大リーグ所属選手の参加が保証されていない点を不安視する意見などが出たが、最終的には全会一致で採択された。日本が強く推した野球・ソフトボールと空手に、「若者へのアピール度が高い」とIOCがこだわったスケートボードなど新興3競技を組み合わせて一括審議とした“戦略”をとったことが功を制した。バッハIOC会長は「この決定はマイルストーン(記念碑)となる」と誇らしげに語った。
 これにより1競技に統合した野球・ソフトボールは08年北京五輪以来、3大会ぶりの復帰、他の4競技は初の実施になる。
 追加競技については、2015年12月に採択されたIOCの五輪改革プラン「アジェンダ2020」の中で、開催都市による提案権が盛り込まれ、東京五輪がこの改革プランの初めての適用となるた。 
 総会では5競技の開催候補地も明らかとなり、野球・ソフトは横浜スタジアム、空手は日本武道館、サーフィンは千葉県の外房にある一宮町の通称志田下(しだした)ポイント、スポーツクライミングとスケートボードは東京・お台場と紹介された。今年12月のIOC理事会で正式決定する。
 しかし、さらに5つの競技場を確保しなければならない。既存の施設を最大限、利用するにしても、施設の改修費やコースの整備費、輸送や警備などの大会運営費で、開催経費はさらに数百億円程度は膨らむだろう。

新国立競技場新デザイン A案に決定 大成建設・梓設計・建築家の隈研吾氏のチーム
 “迷走”を繰り返して国民から強い批判を浴びて“白紙撤回”された新国立競技場の建設計画は、新たな建設計画を作り、設計・施工業者を公募した。
 2015年12月22日、政府の関係閣僚会議(議長・遠藤五輪相)は、日本スポーツ振興センター(JSC)が設置した審査委員会の報告に基づき、新国立競技場の整備で2グループから提案されていた設計・施工案のうち、「木と緑のスタジアム」をコンセプトにしたA案で建設することを決めた。
 安倍総理大臣は、「新整備計画で決定した基本理念、工期やコスト等の要求を満たす、すばらしい案であると考えている。新国立競技場を、世界最高のバリアフリーや日本らしさを取り入れた、世界の人々に感動を与えるメインスタジアム、そして、次世代に誇れるレガシー=遺産にする。そのため、引き続き全力で取り組んでいただきたい」と述べた。
 その後に会見した遠藤利明五輪担当相は、これまで非公表だったA案の提案者は、大成建設・梓設計・建築家の隈研吾氏で構成するチームだと明らかにした。競争相手としてA案としのぎを削ったB案は竹中工務店・清水建設・大林組の共同企業体と日本設計・建築家の伊東豊雄氏のチーム。
 日本スポーツ振興センター(JSC)が関係閣僚会議に報告した審査委員会(委員長=村上周三東京大名誉教授)の審査結果は、A案が610点、B案が602点だった。A案は工期短縮の項目で177点(B案は150点)と高い評価を得たのが決め手となった。注目されるのは、デザインや日本らしさ、構造、建築の項目ではB案が上回っていることである。B案に参加した建築家の伊東豊雄氏は採点結果の妥当性について疑問を投げかけている。
また、白紙撤回された旧計画を担当した女性建築家のザハ・ハディド氏は、事務所を通して声明を発表し、「新デザインはわれわれが2年かけて提案したスタジアムのレイアウトや座席の構造と驚くほど似ている」とし、「デザインの知的財産権は、自分たちが持っている」と主張した。さらに「悲しいことに日本の責任者は世界にこのプロジェクトのドアを閉ざした。この信じ難い扱いは、予算やデザインが理由ではなかった」とし、建設計画見直しへの対応を批判した。 
 採用されたA案は、木材と鉄骨を組み合わせた屋根で「伝統的な和を創出する」としているのが特徴。地上5階、地下2階建てで、スタンドはすり鉢状の3層として観客の見やすさに配慮。高さは49・2メートルと、旧計画(実施設計段階)の70メートルに比べて低く抑えた。総床面積19万4010平方メートル、収容人数は6万人(五輪開催時)。総工費は約1489億9900万円、工期は36か月で、完成は19年11月末である。
 一方採用されなかったB案の総工費は、「純木製の列柱に浮かぶ白磁のスタジアム」を掲げ、地3階、地下2階建てで、スタンドは2層、高さは約54.3メートル、総床面積18万5673平方メートル、収容人数は6万8000人。総工費は約1496億8800万円、工期は34か月で、完成は19年11月末である。
 結局、ラグビーワールドカップの開催は、新国立競技場の完成が間に合わず断念する羽目になった。
 それにしても、相次ぐ競技会場の変更、新国立競技場建設計画の“白紙撤回”、世界各国から賞賛を浴びたあの2020年東京オリンピック・パラリンピック招致演説はなんだったのだろうか?






技術提案書A案のイメージ図  新国立競技場整備事業大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体作成/日本スポーツ振興センター(JSC)提供

「3兆円を超える」 調査チーム報告書
 「結果から申し上げると今のやり方のままでやっていると3兆円を超える、これが我々の結論です」
 2016年9月29日、2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の検証する都政改革本部の調査チーム座長の上山信一慶応大学教授はこう切り出し、大会経費の総額が「3兆円を超える可能性がある」とする報告書を小池都知事に提出した。
 大会経費は、新国立競技場整備費(1645億円)、都の施設整備費(2241億円)、仮設整備費(約2800億円)、選手村整備費(954億円)に加えて、ロンドン五輪の実績から輸送費やセキュリティー費、大会運営費などが最大計1兆6000億円になると推計。予算管理の甘さなどによる増加分(6360億円程度)も加味し、トータルで3兆円を超えると推計した。 招致段階(13年1月)で7340億円とされた大会経費は、その後、2兆円とも3兆円とも言われたが、これまで明確な積算根拠は組織委員会や国や東京都など誰も示さず、今回初めて明らかにされた。
 調査チームは「招致段階では本体工事のみ計上していた。どの大会でも実数は数倍に増加する」と分析。その上で、物価上昇に加えて、国、都、組織委の中で、全体の予算を管理する体制が不十分だったことが経費を増加させたと結論付けた。

3施設の整備 大幅見直しを提言
 ボート、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」は、当初計画の7倍の約491億円に膨れ上がった経費に加えて、「一部の競技者が会場で反対している」「大会後の利用が不透明」だとして、宮城県長沼ボート場を代替地に提言した。「復興五輪」の理念にも合致するとしている。
 観客席2万席で設計した水泳会場「オリンピックアクアティクスセンター」は、大会後に74億円をかけて5000席に減らす計画を疑問視し、規模縮小や近くにある「東京辰巳国際水泳場」の活用の検討を提言した。バレーボール会場の「有明アリーナ」は、規模縮小のほか、展示場やアリーナの既存施設の活用を提案した。
 仮設施設整備については、約2800億円に膨れ上がった整備について、国や組織委、東京都の費用負担の見直しにも言及し、都内に整備する仮設施設の内、最大1500億円は都が負担し、都外については「開催自治体か国」が負担するよう提言した。
 また東京都は、組織委に58億5000万円の拠出金を出し、245名もの東京都職員を出向させていることから、組織委を「管理団体」にするなど、都の指導監督を強化する必要性も指摘した。
これに対し、森組織委会長は、「IOCの理事会で決まり総会でも決まっていることを日本側からひっくり返すということは極めて難しい問題」と述べた。
 また海の森水上競技場については、「宮城県のあそこ(長沼ボート場 登米市)がいいと報道にも出ているが我々も当時考えた。しかし選手村から三百何十キロ離れて選手村の分村をつくることはダメなことになっているし経費もかかる。また新しい地域にお願いしてみんな喜ぶに決まっているが、金をどこから出すのか。東京都が代わりに整備するのか。それはできないでしょう法律上」と語った。
 一方、IOCのバッハ会長は、東京五輪の開催費用の増加について、「東京における建設費の高騰はオリンピック計画だけでなく、東日本大震災からの復興など、そのほかの理由もあるだろう」とし「建設的な議論をしたい」として柔軟に対応する姿勢で、今後東京都や組織委員会と協議を始める意向を示した
 小池知事は報告書を受けて、都が整備を進めるボート会場など3施設の抜本的見直しや国の負担増、予算の一元管理など、各提案を実行するには、国際競技団体や国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受け直す必要がある上で、国や大会組織委員会などと調整が必要で、実現には難関は多いと多いと思われる。
 “混迷”と“迷走”はさらに深刻化した。やはり新国立競技場や五輪エンブレムだけではなかった。


小池新都知事の最大の難問 五輪開催費用“3兆円” 競技場整備大幅見直しへ 早くも険悪! 小池新都知事と森五輪組織委員会長

主導権争い激化 2020年東京オリンピック・パラリンピック 小池都知事 森組織委会長 バッハIOC会長
“迷走”海の森水上競技場整備
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか?
“選手村は一つ”、“選手村はオリンピックの魂” の矛盾 どこへ行った五輪改革
アクアティクスセンターは規模縮小で建設を検討か? 国際水泳連盟・小池都知事会談
唖然とする“五輪専門家”の無責任な発言 膨れ上がった施設整備費
“陸の孤島” 東京五輪施設 “頓挫”する交通インフラ整備 臨海副都心



2020年東京オリンピックの競技場・施設

 東京オリンピックの競技は、1964年の東京オリンピックでも使用された代々木競技場や日本武道館など過去の遺産を活かした「ヘリテッジゾーン」と、有明・お台場・夢の島・海の森など東京湾に面した「東京ベイゾーン」を中心に行う計画であった。
選手村から半径8キロメートルの圏内に85%の競技場を配置するという「世界一コンパクトな大会」がキャッチフレーズである。
競技場は、「既存施設」と「新設」で対応するとし、「既存施設」は、改修や増設工事が伴う場合があり、「新規建設」は、「恒久施設」と「仮設施設」に分けられている。
これまでに、全体で28競技のうちサッカー(予選)を除く、27競技の競技場が決まった。

五輪競技場の恒久施設
 五輪競技場の「新設」(恒久施設)は、8万人収容可能なスタジアムへ建て替えられる新国立競技場(メインスタジアム)を始め、有明アリーナ(バレーボール)、大井ホッケー競技場(ホッケー)、海の森水上競技場(ボート、カヌー)、夢の島公園(アーチェリー)、オリンピック アクアティックセンター(水泳・飛び込み・シンクロナイズドスイミング、水球)、有明テニスの森(テニス)[改修]、武蔵野の森 総合スポーツ施設(近代5種、バドミントン)の9施設である。
 国が主管する施設整備は、新国立競技場だけで、8か所の施設整備は東京都が担当し、経費を負担する。但し、新国立競技場については、既述した通り、東京都が約448億円を負担することが決まっている。

オリンピックアクアティクスセンター
 オリンピックアクアティクスセンターは、「競泳」、「シンクロナイズド・スイミング」、「飛び込み」で使用可能で、大規模な国際大会が開催可能な“国際水準の水泳場”として整備計画が立てられた。整備費は招致計画では総工費321億円としていたが、その後の見直しで683億円と約倍以上経費が膨れ上がった。
 建設時には延床面積5万7850平方㍍、約2万席の観客席とするが、大会後は、屋根を低くして3階席を撤去するなどして、観客席を5000席まで減らし、延床面積を3万2920平方㍍まで縮小する計画である。国際大会開催時には観客席は1万席から最大1万5000席(仮設席を含む)に拡張可能とした。メインプール(50m×25m)、サブプール(50m×25m)、飛込プール(25m×25m)が整備される。
 五輪開催後は、大規模な競技会を開催する国際水泳場としてだけでなく、都民のための水泳場としても活用するとしている。メーンプールとサブプールの床や壁を可動式にすることで多様な目的に使えるようにした。サブプールを使用しない大会時には都民が利用できるように工夫をしている。
 2016年1月14日、本体工事については、大林・東光・エルゴ・東熱異業種特定建設共同企業体が、46,980,000,000円(税込価格)で設計・施工工事を落札した。予定価格は538億円(本体工事)、落札率は87%だった。
 しかし、約300メートルほどの近接した場所に東京辰巳国際水泳場があるのに、なぜ巨額の税金を投じて「二つ」も整備するのか、当初から“過剰施設”の象徴だとして批判にさらされていた。
 東京辰巳国際水泳場は、1993年に開館し、世界水泳や五輪選考会など国内外の主要大会が開かれてきた水泳競技の“聖地”。50メートルのメインとサブのプール、飛び込みのプールがあり、一般にも開放している。事業費は181億円、維持費は年間4億7000万円。2008年には、五輪競泳の金メダリスト北島康介選手が、200メートル平泳ぎで世界新記録を出したことで有名な水泳競技場である。
 ところが、辰巳水泳場は、観客席は固定席が約3600席、仮設席が約1400席、合わせて約5000席が限界である。国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準は観客席1万2000席、この基準を満たすためには、大幅な拡張工事が必要だが、建物が運河に面していて工事は不可能とされていた。
 また辰巳水泳場は、水深が両サイドの約半分は2メートルしかなく、国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準「水深2メートル」は満たしているが、推奨基準「水深3メートル」は満たしていない。「水深2メートル」の部分があるとシンクロナイズドスイミングの競技開催では支障がでるとされている。さらに辰巳水泳場は、国際オリンピック委員会(IOC)の要求基準、コース幅2.5メートルも満たしていない。
 このため東京都は、一回り大きい“国際水準の水泳場”としてオリンピックアクアティクスセンターを新設することとし、辰巳水泳場は水球会場として使うことにした。
 当初は、オリンピック アクアティクスセンターに併設してウォーターポロアリーナ(水球競技場)建設する計画だったが、建設は中止した。、
 

オリンピックアクアティクスセンター(資料:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

都政改革本部調査チーム 大幅な見直しを提言
 調査チームは、国際水泳連盟や国際オリンピック委員会(IOC)の要求水準から見ると五輪開催時の観客席2万席という整備計画は過剰ではないかとし、大会開催後は減築するにしても、レガシーが十分に検討されているとは言えず、「国際大会ができる大規模な施設が必要」以上の意義が見出しづらいとした。
 「5000席」に減築するしても、水泳競技の大規模な国際大会は、年に1回、開催されるかどうかで、国内大会では、観客数は2700人程度(平均)とされている。(都政改革本部調査チーム)
 また「2万席」から「5000席」に減築する工事費も問題視されている。今の整備計画では、総額683億円の内、74億円が減築費としている。
 施設の維持費の想定は、減築前は7億9100円、減築後は5億9700万円と、減築による削減額はわずか年間2億円程度としている。(都政改革本部調査チーム) 減築費を償却するためにはなんと37年も必要ということになる。批判が起きるのも当然だろう。
 施設維持費の後年度負担は、深刻な問題で、辰巳水泳場だけでも年五億円弱が必要で、新設されるオリンピックアクアティクスセンターの年6億円弱を加えると約11億円程度が毎年必要となる。国際水泳競技場は赤字経営が必至で、巨額の維持費が、毎年税金で補てんされることになるのだろう。
 大会開催後のレガシーについては、「辰巳国際水泳場を引き継ぐ施設」との主張が中心で、検討は十分ではなく、水泳競技を通じて何を目標として、何をレガシーにしたいのかをより具体的に示すことが必要とした。
 仮にオリンピックアクアティクスセンターが建設された場合、辰巳国際水泳場の大会後の利用計画がなく、まだ検討中であることも問題だとした。
 辰巳国際水泳場の観客席を増築する選択肢は「北側に運河があるから」との理由だけで最初から排除されており、検討が十分とは言えないと指摘し、
オリンピックアクアティクスセンターは、恒久席で見ると一席あたりの建設費が1000万円近くも上り、コストが高すぎるとした。
 結論として、代替地も含めてすべての可能性を検証すべきで、オリンピックアクアティクスセンターの現行計画で整備する場合でも、さらなる大幅コスト削減のプランを再考することが必要だと指摘した。


有明アリーナ
 有明アリーナは、地上5階建てで、延べ面積約4万5600平方メートル。座席数は仮設席を含めて大会開催時には仮設を含めて約1万5000席を確保するが、五輪開催後は、約1万2700席に縮小する。メインアリーナはバレーボールコート4面又はハンドボールコート3面で競技可能な規模に、サブアリーナ はバスケットボールコート2面が配置可能な規模とする。整備費は、招致計画では、総工費約176億円としていたが、見直し後は約404億円に膨れ上がった。
 五輪開催後は、ワールドカップや日本選手権といった国内外の主要な大会の会場として利用するほか、コンサートなどの各種イベント会場としても活用する。そのためメーンアリーナの床はコンクリート製とし、機材搬入用の大型車が通れるようになっている。 またショップやレストランを充実させたりすることで、五輪開催後は、首都圏での新たな多目的施設を目指す。
2016年1月14日、本体工事は、竹中・東光・朝日・高砂異業種特定建設共同企業体が36,028,800,000円(税込価格)で設計・施工工事を落札した。

都政改革本部調査チーム 既存施設で開催 有明アリーナ建設中止も 
 都政改革本部調査チームでは、バレーボール会場は既存のアリーナや大規模展示場を改修するなどして開催は可能とし、まず競技開催計画の変更を検討すべきと提言した。
 既存のアリーナに会場変更する場合の候補として、「横浜アリーナ」を改修して使用する案を有力視している。
 また新設する場合でも、五輪開催後は他の既存施設でバレーボール競技大会の開催は十分運用可能なことから、有明アリーナの開催があまり見込めないとし、イベントやコンサートなど多目的展示会場の施設を目指すべきだとした。
 関東圏ではコンサートなどの利用に関しては、数万人を収容するアリーナクラスへの需要は高い水準が続くと見込まれているとしている。
 しかしイベント会場を目指すにしても、建設費については類似施設に比べ高く、404億円からさらにコストダウンの努力が必要とした。
 一方で2020年以降の適切な座席数を見積もる必要や、コンサート会場として施設整備など民間事業者を巻き込んだ事業計画の詰めが必要としている。既存施設での利用など開催計画の再検討や、新設の場合にもイベント利用に向けた計画の詰めやコストの見直しが求められた。
  これに対し、10月13日、日本バレーボール協会の木村憲治会長は、都政改革本部の調査チームのヒアリングに出席し、「国際基準である1万5000人を収容できる体育館が欲しい」と述べ、計画通り有明アリーナの建設を求めた。
 有明アリーナ建設用地については、約183億円の用地取得費を有明アリーナの整備費とは別枠で処理していることから、“五輪経費隠し”として批判されている。


有明アリーナ(資料:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

有明体操競技場
 有明体操競技場は、敷地面積約10ヘクタール、延床面積約3万2000平方メートルの体操競技場と、延べ約5000平方メートルのウオームアップ施設を整備する計画である。座席数は約1万2000席。階数や構造、二つの建物を1棟にまとめるか、2棟で建設するかは基本設計の中で決める方針である。2015年6月、基本設計の実施事業者を公募型プロポーザル方式で選定し日建設計に決まった。
 有明体操競技場は当初計画では、「仮設施設」として、組織委員会が総工費約89億円で整備し、大会後は取り壊す方針だったが、「大会後に有効活用せずに取り壊すのはもったいない」との意見が出ていた。その後、資材の高騰などでさらに総工費が膨れ上がり、「恒久施設」として建設する場合と比較してもあまり経費に大きな差がなくなったが判明し、大会終了後、10年間をメドに存続させ、再活用する“半恒久”施設として整備することになった。 展示場やイベント会場などで10年程度利用し、都の関連企業の「東京ビッグサイト」が管理運営を行う方針である。整備費は約259億円、東京都も整備費を負担することで組織委員会と合意しているが、負担の割合はまだ明らかにされていない。東京都では、未だに組織委員会が管理する「仮設施設」として仕分けしているので、五輪開催費用に計上していない


有明体操競技場(資料:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

海の森水上競技場
 海の森水上競技場(ボート、カヌー)は、防波堤内の埋立地の間を締め切る形で競技施設を建設するが、会場レイアウトの変更や護岸延長の縮小などにより整備費を大幅に圧縮し、延床面積3万2170平方メートル規模とする。建設費については、招致ファイルでは、約69億円としたが、地盤強化や潮流を遮る堤防の追加工事が必要とわかり、五輪開催決定後、改めて試算すると、約1038億円の膨れ上がることが明らかになった。これを受けて、東京都では、計画を見直し、現在では総工費の概算を約491億円と見込んだ。
 五輪開催後は、国際大会開催可能なボート、カヌー場として活用するとともに、海の森公園と連携した“緑のネットワーク”を構成し、サイクリングコースや整備都民のレクリエーションの場、憩いの場とする計画だ。水辺を生かした水上イベントなどのイベントも開催して、多目的に活用するとしている。
 大成・東洋・水ing・日立造船異業種特定建設共同企業体が24,898,320,000円(税込価格)で設計・施工工事を落札した。
 海の森水上競技場については、整備費が約500億円と巨額の経費がかかることや、埋め立て地の先端に立地するた強風や波の影響を受けやすく、海水によるボートへの塩害の懸念もあり、さらに航空機の騒音も激しいために批判にさらされ、都改革本部の五輪調査チームは宮城県の長沼ボート場に会場変更をして建設中止をする提案をした。


海の森水上競技場(資料:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)




葛西臨海公園(カヌー[スラローム])
 カヌー(スラローム)の競技場は、水路に人工的に流れを作り出し、競技を実施することができる国内で初めてのカヌー・スラロームコースである。葛西臨海公園に建設する計画だったが、隣接地の都有地(下水道処理施設用地)に建設地を変更した。葛西臨海公園の貴重な自然環境を後世に残すという設置目的などに配慮して、公園内でなく隣接地に移して整備する。 大会後は、葛西臨海公園と一体となったラフティングも楽しめるレジャー・レクリエーション施設となるように計画を練り直した。
 東京都の施設として整備するので、整備経費、約73億円は東京都が負担する。


葛西臨海公園(資料:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

大井ホッケー競技場
 大井ホッケー競技場は、大井ふ頭中央海浜公園内のサッカー用の第一球技場敷地にメーンピッチ(決勝など)を新設、サッカーやアメフト用の第二球技場敷地にサブピッチ(予選)を改修整備する計画である。
座席数は、メーンピッチが大会時には仮設を含めて約1万席、大会後は約2600席、サブピッチは仮設を含めて大会時5000席、大会後は536席とする。
 立候補ファイルでは、公園内の野球場6面をつぶしてメーンピッチ、サブピッチを整備する計画でいたが、地元の軟式野球連盟などが3万8千人分の反対署名を提出し、東京都で見直し作業を進めていた。 野球場は、五輪開催時は一時閉鎖し大会運営に使うが、大会後はこれまでどおりの利用が可能となる。
 総事業費は約48億円を見込んでいる。
 
大井ホッケー競技場(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

アーチェリー場(夢の島公園)
 アーチェリー場も夢の島公園内の緑地を極力減らさない方向で会場計画を見直した上で建設する。
当初計画では、円形広場南側の緑地部分に新設するとしていた「予選会場」「決勝会場」を、公園内にある陸上競技場にスタンドを仮設するなどして決勝会場として整備し、円形広場に予選会場を作るよう計画を変更した。
 取り壊す予定だった「東京スポーツ文化館」も大会の選手控室として活用する。
 整備費は約24億円。
 夢の島公園は、運河と水路に囲まれた43haの総合公園、ごみの最終処分場であった東京港埋立地夢の島を整備して作られた。熱帯植物館や各種スポーツ施設、バーベキュー広場などが整備され、四季折々の花が咲き乱れる都会のオアシスに生まれ変わっている。せっかく整備した緑地を潰して五輪施設を建設することに対しては、都民から強い批判を受けていた。

夢の島公園(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

有明テニスの森公園
 有明テニスの森公園は、当初計画では既存の屋内外のコート計49面を、35面のコートや観客席などに再整備し、ショーコートを2面、建設するとしていた。しかし、日本プロテニス協会ら複数の競技団体から「コートの減少を最小限にとどめてほしい」といった要望や、ショーコートを整備予定のイベント広場についても、近隣住民らから存続を希望する声が寄せられていた。 こうした要望を受け、新計画では、コートの配置を変更することで大会開催時には37面を整備し、大会終了後には元の49面に復元。また、2面整備予定のショーコートは1面を大会後撤去し、イベント広場に戻すとした。整備費約144億円。

有明テニスの森公園(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

武蔵野総合スポーツ施設
 武蔵野総合スポーツ施設(仮称)は、東京都調布市の東京スタジアムの隣接地の約3万3500平方メートルの敷地にメインアリーナとサブアリーナを建設する。
 メインアリーナは、バレーボール4面、バスケットボール4面が可能な競技フロアを備え、観客席は固定席で6662席、仮設席対応も含めると約11000席が収容可能である。大規模なスポーツ大会やイベントの開催も可能である。
 サブアリーナは、バレーボール2面、バスケットボール2面が設営可能なフロアが整備され、可動畳で武道競技の開催も可能である。屋内プールも設置し、50m、8コースの国際公認プールとなる計画である。さらにトレーニングルームやフィットネススタジオ、カフェ等も設ける。 隣接地には陸上競技場、「西競技場」(既設)も整備されている。
 整備費は351億円。 近代五種[フェンシング、バドミントン]の競技場となる。


武蔵野総合スポーツ施設(仮称)(資料:東京都)

建設中止や会場変更をする競技施設
 夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)、夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)、若洲オリンピックマリーナ(セーリング)、ウォーターポロアリーナ(水球)、有明ベロドローム(自転車・トラック)の5か所は建設中止となり、他の既存施設に振り替える。
 夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)と夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)は、招致計画では、建設費を364億円としたが、見直しの結果、683億に膨張した。幕張メッセに会場変更となる。
 若洲オリンピックマリーナ(セーリング)は、招致計画では、建設費を92億円としたが、見直しの結果、土手の造成費が新たに必要となることが明らかになり、417億円に膨れ上がった。江の島ヨットハーバー[藤沢市]が会場となる。
 バトミントンは、武蔵野森総合スポーツ施設(東京都調布市)、バスケットはさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)、セーリングは江の島ヨットハーバー(藤沢市)、水球は東京辰巳国際水泳場、馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)は馬事公苑(世田谷区)に会場変更することが決まっている。
 また、自転車・トラックは、伊豆ベロドロームに会場変更することが決まった。

五輪競技場の仮設施設
 「仮設施設」では、皇居外苑コース(自転車[ロードレース])、お台場海浜公園(トライアスロン・水泳)、潮風公園(ビーチバレー)、海の森クロスカントリーコース(馬術・クロスカントリー)、有明BMXコース(自転車[BMX])、陸上自衛隊朝霞訓練場(射撃)が整備される。整備にかかる経費は原則として五輪組織員会が負担する。但し周辺整備費や道路などの交通基盤整備費は東京都の負担となるだろう。

 馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)は夢の島競技場内に仮設施設を建設する予定だったが、建設を中止し馬事公苑に会場を変更した。
 自転車(ロードレース)は、当初計画ではスタート地点が皇居、ゴール地点が武蔵野の森公園としていたが、スタートとゴール共に都心で大勢の観客が訪れやすい皇居外苑に変更した。
 自転車(トラック)については、有明ベドロドームは建設中止となり、「伊豆ベドロドーム)に、自転車競技(マウンテンバイク]についても建設中止となり、「伊豆サイクルスポーツセンター」に変更となったが、有明BMXコース(BMX)については、当初予定通り有明地区に整備する仮設施設で開催することになった。




有明BMXコース(左)と有明ベロドローム(右)(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

 そのほか「仮設施設」では、皇居外苑コース(自転車競技[ロードレース])、お台場海浜公園(トライアスロン[水泳])、潮風公園(ビーチバレー)、海の森クロスカントリーコース(馬術[クロスカントリー])が建設される。


お台場海浜公園(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)


潮風公園(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)


海の森クロスカントリーコース(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

サッカーの予選開催競技場 
 サッカーの予選開催競技場は、札幌ドーム(札幌市)、宮城スタジアム(宮城県利府町)、埼玉スタジアム2002(さいたま市)、横浜国際総合競技場(横浜市)の4か所がすでに決まっている。組織員会では、4か所に加えて、茨城県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)、豊田スタジアム(愛知県豊田市)、吹田市立スタジアム(大阪府吹田市)の3か所を追加したいとして国際サッカー連盟と調整中である。

選手村
 中央区晴海の東京ドーム3個分に及ぶ広大な都有地、約13万4000ヘクタールの敷地に、14~17階建ての21棟のマンション型の選手村と商業施設が建設される。工事費は約954億円。選手村の居住ゾーンは3街区に分けて、約1万7000人の五輪関係者が宿泊可能な施設となる。各住戸は、東京湾の風景が望めるつくり。周辺環境、海からのスカイラインを考慮し、様々な高さの建物を配置するとしている。
 大会終了後は分譲マンションとして販売する計画で、超高層住宅棟2棟を建設し、住宅棟21棟、商業棟1棟に整備して、5650戸のニュータウンに衣替えする。2016年7月、三井レジデンスなど11社で構成する民間事業者グループが開発事業を受注し、2017年1月には着工する。基本的に国や都の財政負担なしに整備する方針だ。日本の気候に応じた伝統的な建築技術と最先端の環境設備と融合した環境負荷の少ない街づくりを体現する1つのモデルとなることを目指す。
 しかし、東京都は選手村用地の盛り土や防潮堤の建設を始め、上下水道や周辺道路の整備に410億円を投入して計画だ。大会後は臨海ニュータウンになるので、社会資本整備投資経費として理解できるが、東京都の五輪開催経費、選手村整備費にはまったく算入していない。
 また都有地約13万4000ヘクタールを、周辺価格の約10分の1という“破格の優遇措置”で事業者グループに売却したことで、疑念が生まれて批判が集まっている。



選手村(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

IBC/MPC
 東京オリンピックの世界の報道機関の拠点、国際放送センター(IBC International Broadcasting Center)とメインプレスセンター(MPC Main Press Center)は東京ビッグサイト(江東区有明地区 東京湾ベイエリア)に設置される。
 国際放送センター(IBC / International Broadcasting Center)は、世界各国。の放送機関等のオペレーションの拠点となる施設である。IBCの設営・運営は、五輪大会のホスト・ブロードキャスター(Host Broadcaster)であるOBS(Olympic Broadcasting Services )が行う。
 IBCには、国際映像・音声信号のコントロール(Contribution)、分配(Distribution)、伝送(Transmission)、ストレージ(VTR Logging)など行うシステムが設置されるエリアや各放送機関等がサテライト・スタジオや放送機材、ワーキング・ブースなどを設置する放送機関エリアなどが整備される。
 メインプレスセンター(MPC / Main Press Center)は、新聞、通信社、雑誌等の取材、編集拠点である。共用プレス席、専用ワーキングスペース、フォト・ワーキングルーム、会見室・ブリーフィングルームなどが準備される。
IBCとMPCには、約2万人のジャーナリストやカメラマン、放送関係者などのメディア関係者が参加する。
世界の各放送機関に対し、国際映像(ホスト映像)を配信するOBS(Olympic Broadcasting Services )エリアや、世界の各放送機関が使用する専用スペース・エリアが用意される。
 東京ビックサイトは、江東区有明地区の東京湾ベイエリアにある国際展示場で、敷地面積24万平方メートル、延べ床面積23万平方メートル、会議棟、西展示棟、東展示棟からなる日本で最大のコンベンションセンターである。
 東京ビッグサイトには、十分なスペースを確保するために既設の西展示棟南側に、延床面積約6万5000平方メートルの5層階の「増設棟」を、約228億円の整備費で建設される。広さ約2万平方メートルの展示ホールや会議施設、事務所などが設けられる。
 国際メディアセンターとなる東京ビッグサイトについては、東京都は、既存の施設の他に十分なスペースを確保するために西展示棟南側に延べ面積約4万4000平方メートル(当初計画)を、約228億円で増築する予定である。 この増築棟は、当初計画ではメイン・プレス・センター(MPC)を設置するとしていたが、その後、MPCは館内の他のスペースに移し、増設棟は五輪施設としては使用しない方針を示し、五輪施設整備予算の枠から除外した。


国際放送センター・メインプレスセンター(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

 新規に競技場を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費など“後年度負担”が確実に生まれる。施設利用料などの収入で賄えるのであれば問題ないが、巨額の“赤字が毎年生まれるのでは、“レガシー”(未来への遺産)どころか”“次世代”への“負の遺産”になる懸念が大きい。“新設”は極力抑えるのが適切だろう。五輪開催期間は、オリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。
 また忘れてはならないのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、“ヘリテッジゾーン”と“東京ベイゾーン”の選手村から半径8キロメートル圏内に85%の競技場を配置して開催するとしていた。「世界一コンパクトな大会」の“公約”は消え去ってしまった。

 それにしても東京五輪の「招致ファイル」は一体、なんだったのだろうか?
舛添要一東京都知事は、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」と述べている。
 結局、杜撰な招致計画のツケを負担させられるのは国民である。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック、あと4年を切った。新国立競技場の迷走、五輪エンブレムの撤回、政治とカネにまつわるスキャンダルで舛添前都知事の辞任、そして、都政改革本部の整備計画大幅見直し、“混迷”はまだ収まりそうもない。






2016年10月7日
Copyright (C) 2016 IMSSR







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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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強制撤去される街がある (どかされる住民の想いは)
2015-10-23 04:00:34
記事内容は確かに 国立競技場建設課題ではあるが その近隣区住民達の課題は東京都が 観客ための避難場所・バリアフリ-にと豪語しているが 前東京オリンピックで住民達の土地を買収。東京都にたいし 建物を建てるように要求。それで今の町が縮小されたが残ったわけ。しかし現代に至っては、その恩すらも忘れている。住民達をないがしろの政策に激怒する。国立問題を取り上げるなら、そのオリンピック開催によって 強制移転させられる住民達のことをもっと取り上げていただきたい。住民達のを土地から追い出すことに対し怒りを覚えます。あの場所は住民達の物。
オリンピックについて (浅沼 宗)
2015-12-09 22:03:41
東京で開催するから東京オリンピックなんじゃないですか?埼玉とか千葉とか神奈川とか辞めたらいいと思います!もっと国民の意見聞くべきだと思います!復興も進んでないのに!
経済シュミレーションは出来ているのか (会社員)
2016-11-02 18:22:19
サラリーマンから見て、偉い人達は2020年以降の日本経済、グローバル経済のシュミレーションはできているのか・・・本当に疑問に思う。日本は既に貧乏の仲間入りをしているはず。大手、中小、正社員、非正規社員等々の格差は政策も見えず国民の安心できる生活観は見えにくい。計画維持派の偉い人達は、一般人の実生活、将来への不安の現実を理解しているのか?東京五輪以降の経済、国民の生活不安が続いた場合、偉い人達「経費拡大に異議なし」の人達は苦しむ国民に責任を取ってくれるのだろうか。寄付を惜しまない海外のお金持ちと、日本のお金持ちのポリシーの差も含め、非常に将来に不安を感じる。聞きたい。2020年以降の経済シュミレーションはできて真剣に考えてますか!理解に苦しんでます。

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