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五輪経費隠し 2197億円 関連経費 レガシー経費 五輪開催経費に含めるべきだ

2019年02月06日 08時01分38秒 | 東京オリンピック

政府 国の支出は「2197億円」と反論
 止まない経費隠蔽体質! 


 
 1月29日、桜田義孝五輪相は、政府が2013年度~19年度に計上した東京五輪・パラリンピックの関連予算の総額が2197億円にのぼるとの調査結果を発表した。このうち60%以上の1380億円が、これまでに公表した国の負担額1500億円の枠外の経費で、今の時点で東京五輪大会の国の負担額は、2880億円と倍近くに膨らむことが明らかになった。
 
 2018年10月、会計検査院は、2020東京五輪大会の開催経費について、「直接費」と「関連経費」を合わせた「五輪関連支出」として、国は2017年度までに8011億円を支出している指摘した。
 「五輪関連支出」8011億円の中には、競技場周辺の道路輸送インフラの整備(国土交通省)やセキュリティー対策(警察庁)、熱中症に関する普及啓発(環境省)などの約280事業に対し、約6500億円が使われていたことを明らかにした。また280の事業には気象衛星の打ち上げ、燃料電池自動車などの購入補助費、ICT化促進や先端ロボット、自動走行技術開発、外国人旅行者の訪日促進事業、日本文化の魅力発信なども含まれている。
 これまでに組織委が公表した大会開催予算(V2)の総額は1兆3500億円、その内、国の負担分は、新国立競技場整備費の一部、1200億円とパラリンピック経費の一部、300億円の合わせて1500億円としていた。今回、会計検査院が指摘した「五輪関連支出」の内、約6500億円は開催経費として計上していない。
 会計検査委員は大会開催経費の透明性を確保するためにその全体像を明らかにするよう求めた。

 2018年12月、大会組織員会は、大会開催予算(V3)の総額を1兆3500億円とし、その内、新国立競技場整備費を1200億円、パラリンピック経費300億円の合わせて1500億円を国の負担額とし、従来通り直接経費のみを計上し、「関連事業費」はゼロとしていた。会計検査院の指摘については、会計基準が違うなどとして考慮しなかったとした。
 V3予算をまとめるにあたって、大会組織委員会は、国際オリンピック委員会(IOC)から「開催経費削減」を強く求めれていた。しかし、開催準備が進むにつれて、次々に新たな経費や経費増が生じ、経費削減どころか、V2予算を上回る懸念すら浮上したと思われる。ようやくなんとか懸命に努力して、V2予算と同額を維持したというのが真相だろう。こうした状況では、大会組織委員会が会計検査院の指摘と向き合うのはあり得ない。大会開催経費の透明性の確保は二の次で、「同額維持」が至上命題だった。

 今回の国の調査は会計検査院の指摘を受けて実施したもので、「大会運営や機運醸成、大会成功に直接資する」とみられる各省庁の事業を抽出し、2020東京大会の招致が決まった2013年度以降の事業費の合計額を算出したとしている。
 国の支出、2197億円には、すでに大会開催予算で計上している「直接経費」の新国立競技場整備費の一部、517億円と、パラリンピック経費の一部、300億円の817億円が含まれるが、これとは別に、メダル数増のための「競技力強化」(1010億円)やテロ対策といった「セキュリティー」(214億円)などの「関連事業費」が1380億円に上っていることを明らかにした。
 これまで、大会開催経費については、国の負担額が「直接経費」のみの1500億円とする姿勢を崩さなかったが、今回、初めて関連経費の1380億円を加えることを公式に認めた。
 しかし、会計検査院が指摘した「五輪関連支出」経費の内、未計上な事業支出は約6500億円にも上る巨額な支出である。今回明らかになった1380億円は氷山に一角に過ぎない。
 五輪開催経費の透明性を確保するために会計検査院の指摘に真摯に向き合ったとは到底思いない。
 相変わらず、世論の批判をかわすために、大会開催経費を極力抑えようとする隠蔽体質が見え隠れする。
 新国立競技場整備費1200億円には、今回、国の予算に計上した517億円のほかにスポーツ振興くじ(toto)の収益分など683億円も投入される。こうした額を含めると実態上の五輪開催経費の国の負担総額は、2197億円ではなく、2880億円に膨れ上る。

 大会組織委が公表した大会開催予算額(V3)は1兆3500億円、これとは別に東京都はすでに五輪関連費として8100億円を見込んでいる。これに今回、国の支出の増加分、1380億円を加えると、開催経費はすでに2兆2390億円に上っている。
 桜田五輪相は「当初の予定(1500億円)より膨れあがった」と認め、「できる限りコストを抑制できるように努めていく」とした。
 しかし、国の五輪関連予算については、19年度の補正予算や20年度当初予算でさらに大幅に増えることが予想され、国の負担額は総額でいくらになるのか、まったく不透明になった。
 大会開催経費の「青天井体質」に歯止めはかかっていない。



出典 新国立整備スケジュール 2018年10月12日 JCS


筆者撮影  2018年10月31日


出典 新国立整備スケジュール 2018年9月18日 JCS


出典 新国立整備スケジュール 2018年9月18日 JCS



 11月30日、桜田義孝五輪担当相は、2020東京五輪大会に、国が2013~2017年の5年間に支出した経費は53事業で「1725億円」とする調査結果を公表した。会計検査院の「8011億円」という指摘に対し、内閣官房が精査して反論したものである。
 しかし、国は「五輪開催経費」をまったく理解していない。いや理解していながら、世論の反発を避けるために、膨れ上がった「五輪開催経費」をなるべく低く見せるための「偽装」をしていると言ってもよいと思える。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、「五輪開催経費」を、大会開催に直接関わる一過性の「大会開催経費」と大会開催後も持続的に社会の発展に寄与する「レガシー経費」に分けて、「大会開催経費」のみ「五輪開催経費」とするとしている。
 「大会開催経費」は、もっぱら大会開催時に必要とされる一過性の経費で、競技施設では、大会後には取り壊される仮設施設やオーバーレイ、会場の警備費、シャトルバス運行などの輸送費、大会運営費などである。一方、恒久施設の競技場建設費や周辺整備費、道路などのインフラ整備費などの五輪関連経費は「レガシー経費」としている。
 ところが、国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪大会の開催を一過性のものとせず、持続的に社会の発展に寄与する「レガシー」を残すことを義務付けている。
 ここ数年、巨額に膨れ上がった五輪開催経費の負担に開催地の住民が反発し、相次いで開催都市に立候補しようとしていた準備を進めていた都市が辞退に追い込まれている。
 国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織員会は、巨額に膨れ上がった五輪開催費への世論の反発を避けるために、五輪開催経費を抑制するとともに、なるべく低額に見せる必要があった。
 その便法として、「大会開催経費」と「レガシー経費」を分離させ、「大会開催経費」を「五輪開催経費」としていると考えるべきだ。一方で「レガシー」を残すことを義務付けているのはまったく論理矛盾だろう。
 2020東京五輪大会の開催経費と検証するにあたって、「大会開催経費」も「レガシー経費」も「五輪開催経費」とすべきである。国民が知りたいのは、一体、五輪大会開催の「五輪開催経費」は総額でいくらになり、何に使われるかである。
 「レガシー経費」は、極めて広範囲に渡る事業が含まれるので、「五輪便乗の無駄遣い」がないかどうかを厳しくチェックする必要がある。
 また、「五輪開催経費」をなるべく低く抑えるために、本来は「五輪開催経費」に該当するのに、一般行政経費として処理する「五輪経費隠し」も監視しなければならない。
 「五輪経費隠し」、「無駄遣い」、「五輪便乗」、国民の信頼感を失わないために、五輪予算の全体像を明らかにすることが必須である。
 2020東京五輪大会のスローガンは、““DISCOVER TOMORROW”、大会ビジョンの3つのコンセプトは、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」である。そして「2020年は市場最もイノベーティブで、世界にポジティブな変革をもたらす大会」を目指すとしている。
 
 「3兆円」のレガシーをどう実現してくれるのだろうか。次世代の日本のために、五輪大会開催を「負の遺産」にしてはならない。

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登場したオリンピックの“レガシー(Legacy)”
 国際オリンピック員会(IOC)は、オリンピック競技大会を開催するにあっって、“Legacy”という理念を強調し、IOCの使命と役割として、「オリンピック競技大会の“遺産”を、開催都市ならびに開催国に残すことを推進すること」(To promote a positive legacy from the Olympic Games to the host cities and countries)を「オリンピック憲章」の中で掲げている。
 この“Legacy”(レガシー)という言葉は、オリンピック100年にあたる2002年に定められた「オリンピック憲章」に新たに登場した。
  「レガシー」とは、オリンピック競技大会を開催することによって、単にスポーツの分野だけでなく、社会の様々な分野に、“有形”あるいは“無形”の“未来への遺産”を積極的に残し、それを発展させて、社会全体の活性化に貢献しようとするものである。開催都市や開催国にとって、大会開催が意義あるものにすることがオリンピックの使命だとしているのである。
 その背景には、毎回、肥大化する開催規模や商業主義への批判、開催都市の巨額の経費負担、さらにたびたび起きる不祥事などへの批判などで、オリンピックの意味が問い直され始めたという深刻な危機感があった。
 その反省から、IOCは、開催都市に対して、単に競技大会を開催し成功することだけが目的ではなく、オリンピックの開催によって、次の世代に何を残すか、何が残せるか、という理念と戦略を強く求めこととした。
 そして、国際オリンピック委員会(IOC)は、「2013 OLYMPIC LRGACY」を採択して、開催都市に対して、レガシー(Legacy)を重視する開催準備計画を定めることを義務付けた。
 
五輪改革、「アジェンダ2020」
 2013年、リオデジャネイロで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ロゲ前会長と交代したバッハ会長は、オリンピックの肥大化の歯止めや開催費用の削減に取り組み、翌年の2014年の「アジェンダ2020」を策定する。
 「アジェンダ2020」は、合計40の提案を掲げた中長期改革である。
 そのポイントは以下の通りだ。
* 開催費用を削減して運営の柔軟性を高める
* 既存の施設を最大限活用する
* 一時的(仮設)会場活用を促進する
* 開催都市以外、さらに例外的な場合は開催国以外で競技を行うことを認める
* 開催都市に複数の追加種目を認める 
 そして2020東京大会を「アジェンダ2020」を最初に適用する大会と位置付けた。
 バッハ会長のオリンピックの生き残りをかけての五輪改革である。

大会開催基本計画で示されたアクション&レガシープランの基本理念
 2015年1月23日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会(森喜朗会長)は、東京都内で理事会を開き、大会開催基本計画案を承認した。
 基本計画では、開催開催のスローガンとして““DISCOVER TOMORROW”を掲げ、大会ビジョンの3つのコンセプトして、「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」を示し、「アクション&レガシー」の基本理念を明らかにした。そして「2020年は市場最もイノベーティブで、世界にポジティブな変革をもたらす大会」を目指すとした。
 この基本理念に基づいて、(1)スポーツ・健康(2)街づくり・持続可能性(3)文化・教育(4)経済・テクノロジー(5)復興・オールジャパン・世界への発信-を5つの柱とし、地域スポーツの活性化やスマートエネルギーの導入、東日本大震災の復興状況の世界への発信などに取り組むとし、アクションプランのロードマップも明らかにした。
 16年リオデジャネイロ五輪開幕前に具体的な行動計画をとりまとめとしている。またパラリンピックを2度開催する初の都市となることから、武藤敏郎事務総長は「共生社会、多様性と調和を大会ビジョンに入れているので、重視したい」と話した。

アクション&レガシープラン2016を公表
 リオデジャネイロ五輪の直前の2016年7月、大会組織委員会では、「5本の柱」に基づいて、2016 年から2020 年までの具体的なアクションプラン、「アクション&レガシープラン2016」を策定した。IOC総会で採択された「アジェンダ2020」の趣旨も具体的に大会運営に反映させ、東京2020大会を「アジェンダ2020」によるオリンピック改革のスタートの年にするとしている。
 このプランは、2020年まで毎年夏を目処に更新しながら「アクション」を実施し、2020東京大会終了後、「アクション&レガシーレポート」をまとめるとしている。

 「アクション&レガシープラン」のキャッチフレーズは「東京 2020 大会に参画しよう。そして、未来につなげよう」で 、2020東京大会は「東京を中心に開催」される、 「スポーツの祭典」で、大会そのものは、①分野的、② 地域的、③時間的に限られたイベントだが、これを単なる一過性 のイベントとするのではなく、できるだけ多くの人が参画し、多く の分野で東京 2020 大会がきっかけとなって変わったと言われる ような、広がりのある大会としたいしている。
 そして具体的には、 スポーツだけでなく、文化・教育、経済・テクノロジーなど様々 な分野と連携し、 東京だけでなく、オールジャパン、そしてアジア・世界に ポジティブな影響を与えたいとしている。 こうした取組はリオ 大会後の 2016 年の秋から開始して、大会後の2020 年以降にもつなげるとしている。
 2020東京大会のレガシーは、スポーツだけでなく「文化・教育、経済・テクノロジーなど様々 な分野」をターゲットにし、一過性のものではなく持続的に次世代につなげていくことを目指しているのである。
 「アクション&レガシープラン」を実現するためには、国を始め、東京都や地方自治体、企業、組織などに経費負担が発生する。その中核となる国は、巨額の「レガシー経費」を予算化することが必須となる。「レガシー経費」は「五輪開催経費」なのである。


アクション&レガシープランの推進体制 国は「各分野のアクションを推進」する義務を負っている 推進予算は大会開催のレガシー実現のための「五輪開催経費」












アクション&レガシープラン 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

五輪大会開催経費 「1725億円」 国、会計検査院に反論
 11月30日、桜田義孝五輪担当相は、2020東京五輪大会に、国が2013~2017年の5年間に支出した経費は53事業で「1725億円」とする調査結果を公表した。会計検査院の「8011億円」という指摘に対し、内閣官房が精査した。
 桜田氏は、五輪関係の経費とそれ以外の経費の線引きを明確に示したと説明し、「透明性を確保し、国民の理解を得るために今後も支出段階で集計、公表していく」と述べた。
 2020東京五輪大会に開催経費については、2017年12月22日、大会会組織委員会は、総額「1兆3500億円で、東京都が「6000億円」、大会組織委員会が「6000億円」、国が「1500億円」を負担するとした。
 これに対し、11月4日、会計検査院は「1500億円」を大幅に上回る「8011億円」が、すでにこの5年間で支出されたとの指摘を国会に報告し、政府に経費の全体像を分かりやすく示すよう求めた。

 東京都は、すでに「8000億円」の他に、五輪関連経費として「8100億円」を投入することを明らかにしていて、会計検査院の指摘の「8011億円」や、今後支出する経費も加えて試算すると、「3兆円」に膨れあがることが明らかになった。
 
 内閣官房では、大会に関連すると指摘された計8011億円の286事業について、(1)選手への支援など「大会の準備、運営に特に資する事業」(1725億円)(2)気象衛星の打ち上げなど「本来の行政目的のために実施する事業」(826億円)(3)道路整備など「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」(5461億円)の三つに分類し、五輪大会開催のための国の支出は(1)の「1725億円」だとした。

(1) には、新国立競技場の整備費の国の負担分(744億円)やパラリンピックの準備費(300億円)が、(2)は気象衛星の打ち上げ関連費用(371億円)など29事業、826億円が含まれている。
 (3)は首都高速などの道路整備費(1390億円)、水素社会実現のための燃料電池自動車などの購入補助費(569億円)など208事業で合わせて5461億円と大半を占めている。
 このほか、会計検査院が指摘した8011億円に含まれていないが、大会に直接関連する事業として国立代々木競技場など5施設の整備や改修のための国庫補助金を直近5年間で約34億円支出したと明らかにした。

「レガシー経費」は「五輪開催経費」
 国際オリンピック委員会(IOC)は、開催都市に対して、単に競技大会を開催し成功することだけが目的ではなく、オリンピックの開催によって、次の世代に何を残すか、何が残せるか、という理念と戦略を強く求め、開催都市に対して、レガシー(Legacy)を重視する開催準備計画を定めることを義務付けている。
 レガシーを実現する経費、「レガシー経費」は、開催都市に課せられた「五輪開催経費」とするのが当然だ。
 五輪大会は、一過性のイベントではなく、持続可能なレガシー(Legacy)を残さなければならないことが開催地に義務付けられていることを忘れてはならない。
 気象衛星の打ち上げ関連費用も首都高速などの道路整備費も水素社会実現のための燃料電池自動車などの購入補助費も、ICT化促進や先端ロボット、自動走行技術開発、外国人旅行者の訪日促進事業、日本文化の魅力発信、アスリート強化費、暑さ対策、バリアフリー対策、被災地の復興・地域活性化事業、すべて2020東京大会のレガシーとして次世代に残すための施策で、明らかに「レガシー予算」で「五輪開催予算」だ。
 とりわけ「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」は「五輪開催経費」から除外したが、事業内容を見るとすべて「レガシー経費」に含まれるのは明らかだ。

 新国立競技場の建設費を「五輪開催経費」に含めて、「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」は五輪開催経費が除外する姿勢はまったく論理矛盾である。
 新国立競技場は、大会開催時は、開会式、閉会式、陸上競技の会場として使用されるが、その期間はわずか2週間ほどである。しかし、新国立競技場は大会開催後、50年、100年、都心中心部のスポーツの拠点にする「レガシー」として整備するのではないか。 
 国の仕分けに基づけば、まさに「本来は行政目的の事業で、大会にも資するが、大会に直接資する金額の算出が困難な事業」の事業、「レガシー経費」の範疇であろう。ところが新国立競技場の経費だけは「大会の準備、運営に特に資する事業」に分類し、「五輪開催経費」だとしている。国の仕分けはまったく整合性に欠け、ご都合主義で分類をしたとしか思えない。単に五輪大会への関与の濃淡で、仕分けすべきではない。「レガシー経費」をまったく理解していない姿勢には唖然とする。
 東京都が建設するオリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナ、海の森水上競技場なども同様で、「レガシー経費」である。

 通常の予算では通りにくい事業を、五輪を「錦の御旗」にして「五輪開催経費」として予算を通し、膨れ上がる開催経費に批判が出ると、その事業は五輪関連ではなく、一般の行政経費だとする国の省庁の姿勢には強い不信感を抱く。これでは五輪開催経費「隠し」と言われても反論できないだろう。
 2020東京大会のレガシーにする自信がある事業は、正々堂々と「五輪開催経費」として国民に明らかにすべきだ。その事業が妥当かどうかは国民が判断すれば良い。
 東京都が五輪開催経費を「6000億円」のほかに、「大会に関連する経費」として、バリアフリー化や多言語化、ボランティアの育成、「大会の成功を支える経費」として無電柱化などの都市インフラ整備や観光振興などの経費、「8100億円」を支出することをすでに明らかにしている。国の姿勢に比べてはるかに明快である。

 「3兆円」、かつて、都政改革本部が試算した2020東京オリンピック・パラリンピックの開催費用の総額だ。今回の会計検査院の指摘で、やっぱり「3兆円」か、というのが筆者の実感だ。
 いまだに「五輪開催経費」の“青天井体質”に歯止めがかからない。
 開催1年前の2019年度には、国の五輪開催予算がピークに達すると思われる。
  

「3兆円」は「モッタイナイ」!
 「3兆円」、都政改革本部が試算した2020東京オリンピック・パラリンピックの開催費用だ。これまでオリンピックを取り巻く最大の問題、“肥大化批判”にほとんど向きあわないないままで、開催準備を進めてきたツケが表面化したのである。
 2020東京大会の開催にあたって最も重要なポイントは、次の世代を視野にいれた持続可能な“コンパクト”なオリンピックを実現することである。
 「アジェンダ2020」はどこへいったのか。国際オリンピック委員会(IOC)は、2020東京大会を「アジェンダ2020」の下で開催する最初のオリンピックとするとしていたのではないか。 招致委員会が世界に宣言した「世界一コンパクな大会」はどこへいったのか。
 開催費用を徹底的削減して次世代の遺産になるレガシーだけを整備すべきだ。今の日本に世界が目を見張る壮大な競技施設は不要だし、“見栄”もいらない。真の意味で“コンパクト”な大会を目指し、今後のオリンピックの手本を率先して示すべきだ。
 日本は超少子高齢化社会が突入する。1964年の東京五輪とは“時代”が違う。その“時代認識”を踏まえた東京オリンピック・パラリンピックでなければならない。
 「3兆円」は「モッタイナイ」!





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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




2018年11月8日
Copyright (C) 2018 IMSSR





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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