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欧米のビックスポーツ 観客入り開催開始 「出口戦略」なき日本の無策

2021年07月27日 10時18分23秒 | 東京オリンピック


欧米のビックスポーツ 「観客入り開催」開始 「出口戦略」なき日本の無策

ウィンブルドン大会 2年ぶり開幕 決勝戦は満席で
 6月28日、変異株の新型コロナウイルスの感染が拡大している中で、2年ぶりにテニスのウィンブルドン大会が開幕した。去年は感染拡大のため開催中止となったが、今回は2年ぶりの開催である。
 感染対策としてチケットはオンラインだけで販売され、観客は入り口でウイルス検査の陰性証明や、ワクチンを2回接種してから2週間たっていることの証明などの提示が求められる。
 今回の観客数は、序盤は収容人数の50%に制限され、その後、政府の調査の一環として上限を徐々に上げていき、準々決勝、準決勝、決勝戦は、大規模イベントについての英政府の実証実験の一環で、収容人数およそ1万5000人のセンターコートで満席で行い、ワクチン接種などの事前の確認がどの程度効果があるかなどについて分析が行われる予定としている。
 一方、出場する選手は、ロンドン市内の指定されたホテルに滞在し、会場との間を往復する以外に外出することはできず、公共交通機関の利用も認められていない。
 6月28日、センターコートで行われた開幕戦では、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がと地元イギリスの19歳のジャック・ドレーパーの試合が行われたが、コートサイドの観客席はほぼ満席で、ほとんどの観客はマスクを着用していない。
 大会の運営担当者は「開催にこぎつけるまで、本当に大変だった。政府と話し合いを続け、収容人数について最終的に決まったのも2週間前だった。大会後の状況についても観察を続けていく」と述べた。(NHKニュース 6月29日)
 イギリス政府は大規模なイベントの再開に向けた実態調査をことし4月から行っていて、先月までの第1段階ではサッカーの試合、それに屋内や屋外のコンサートなど、9つのイベントを対象に調査した。
 調査では、観客に入場の際、新型コロナウイルス検査の陰性証明を提示することなどを求めた。
 その結果、およそ1万8000人の観客が入った、サッカーの国内ナンバーワンのクラブチームを決めるFAカップの決勝や、5900人が入場した野外コンサート、それにナイトクラブの集会など9つのイベントに参加した合わせておよそ5万8000人のうち、陽性と確認されたのは28人で、クラスターの発生などはなかったという。
 ただ、この時期はイギリス国内の感染状況が改善していたほか、イベント後に行ったウイルス検査の結果を報告した人は30%前後にとどまり、正確な分析は難しいとしている。
 調査の第2段階では、テニスのウィンブルドン選手権の決勝や、サッカーのヨーロッパ選手権の準決勝と決勝などが対象となっていて、観客は入場する際、ウイルスの簡易検査の陰性証明か、2週間前までにワクチンの接種を2回受けたという証明などが必要になる。


ウインブルドン大会初日の開幕戦は、センターコートで、ジョコビッチと英国の新鋭、ドレイパーが対戦、スタンドは低層階はほぼ満員。


マスクなしの観客がほとんど
出典 WOWOW ON LINE

相次いて「観客入り」開催を開始する欧米のビックスポーツ
収容人数の「100%」から「50%」を容認 「ワクチンパスポート」や「陰性証明書」の提示も

  6月11日に開幕したサッカーの欧州選手権(ユーロ)は、24チームがAからFの6グループに分かれて1次リーグを戦い、上位各2チームなどが決勝トーナメントに進む。6月11日にトルコ―イタリア戦(ローマ)で開幕。7月11日の決勝(ロンドン)まで11か国12都市のスタジアムで計51試合が実施される。
 欧州にとっては各国が熱狂に包まれる超ビックスポーツイベントだ。欧州では東京五輪を凌ぐ人気だ。熱狂的なサポーターはチームを追いかけて移動する。UEFAは、コロナ感染防止対策として、観客受け入れは、①満員、②50%~満員、③20~30%、④無観客のパターンを用意し、各都市に観客受け入れの方針を出すよう指示した。この結果、ブダペスト(ハンガリー)のスタジアムでは、100%(6万1000人)、バクー(アゼルバイジャン 3万100人)とサンクト・ペテルブルク(ロシア 3万500人)は50%、コペンハーゲン(2万500人)は73.5%、それ以外は20~33%となった。
 ロンドンのウェンブリー・スタジアム(9万人収容)では、準決勝、決勝を含む計7試合の開催、観客の受け入れは2段階方式で、予選3試合と決勝トーナメント1回戦は25%(2万2500人)、準決勝2試合と7月11日の決勝は収容数の75%、6万人を入れた。
 欧州選手権では24チームが6組に分かれて欧州全域で1次リーグを戦い、上位各2チームなどが決勝トーナメントに進む。7月11日の決勝まで計51試合が行われる。
 4年に1度開催され、昨年6月に60周年を祝うはずだった大会は、新型コロナの影響で史上初の延期した。

 6月17日、全米テニス協会は今年の「全米オープン」(8月30日~9月12日/アメリカ・ニューヨーク)について、観客数の制限を設けない形で開催すると発表した。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、無観客での開催を余儀なくされた昨年の全米オープン。だが、今年はついに選手たちがファンの大歓声を浴びながらプレーできることになりそうだ。
 全米テニス協会のCEO(最高責任者)を務めるマイク・ダウズ氏は、100%の観客数で全米オープンを開催することについて「今年の全米で、素晴らしいファンの皆様をお迎えできることを大変うれしく思う」とコメント。

 米大リーグ(MLB)のテキサス・レンジャーズは、4月5日に行われるトロント・ブルージェイズとの開幕戦で、球場の定員である4万518人分のすべての観客席を開放して試合を行うと明らかにした。昨年のシーズンは新型コロナウイルスが流行してスタジアムが閉鎖されたが、レンジャーズは観客制限を行わずに再び試合を行う最初の米大手スポーツチームとなった。
 テキサス州のアボット知事は、州内の事業について100%再開し、マスク着用の義務も撤廃する方針を明らかにしていた。一方、医療当局者からは新型コロナウイルス対策の緩和については警告も出ている
 また大谷翔平選手が所属するエンゼルス、ダルビッシュ有投手のパドレス、筒香嘉智外野手のドジャースも6月15日から観客制限を解除した。
 6月15日にロサンゼルス・ドジャースタジアムで開催されたドジャーズ対フィリーズ戦では、観客収容人数は5万2078人、フル収容となった。前日の6月14日は観客規制が行われていて1万5761人、1日で一挙に50000人以上となった。
 米カリフォルニア州政府が、イベント会場などでの入場者制限を6月15日に解除したことを受けての対応である。
 一方、ニューヨークの2球団、ヤンキースとメッツの本拠地では、入場に際し72時間以内のPCR検査での陰性証明、もしくはワクチン接種済の証明が必要としている。
 最新の情報だと、米大リーグ(MLB)では、30球団中、19球団が観客の上限を撤廃しているという。
 カリフォルニア州は、ワクチン接種は進んでいるが、感染者数は約380万人に達し全米で最も多い州で、ワクチン接種は進んいるが、いまだに1日1000人程度の新規感染者を出している。東京都の新規感染者数の倍以上に達している。 
 テキサス州は、感染者数は累計で約300万人、新規感染者1日1200人程度である。
 にもかかわらす、イベント会場などでの入場者制限は撤廃された。これがアメリカのスタンダードだ。

 全英オープン(ゴルフ)の主催者は、英ケント州のRoyal St George’s ゴルフ場で、今年の大会を7月15日から18日まで開催、毎日最大32,000人の観客を受け入れると発表した。
 ロンドン政府は、6月21日、COVID-19感染防止対策の規制を7月19日まで延長すると発表したため、7月15日から18日の間に開催されるトーナメントの観客受け入れが焦点になった。
 主催者の最高経営責任者であるスランバーズ氏は、「観客は、世界最高の選手が競う大会で、非常に特別な雰囲気を作り出すのに大きな役割を果たす。ロイヤルセントジョージズに彼らを迎えることを楽しみにしている」と述べた。

 ビックスポーツを巡るグローバルスタンダードは日本とは明らかに違う。コロナ禍の中でもスポーツイベントをなんとか再開しようとする意気込みがある。
 日本のメディアのメガティブな発想には唖然とする。日本にはポジティブな「出口戦略」はまったくない。



東京五輪 メディア批判 ファクトチェック 五輪バッシングを繰り返すメディアのお粗末 開催実現で「Withコロナの時代のニューノルマル」をレガシーに

深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 速報 東京に4回目の緊急事態宣言 1都3県、北海道、福島は「無観客」

国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)



2021年7月1日
Copyright (C) 2021 IMSSR


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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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海の森水上競技場 負の遺産 負のレガシー レガシー 長沼ボート場 彩湖 陸の孤島 小池都知事 都政改革本部 調査チーム

2021年07月26日 11時12分48秒 | 東京オリンピック
“迷走” 海の森水上競技場


東京オリンピック メディア批判 ファクトチェック 五輪バッシング 盲目的に「中止」唱えるメディアのお粗末 
開催実現で「Withコロナの時代のニューノルマル」をレガシーに


深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 東京都に4回目の緊急事態宣言 1都3県、北海道、福島は「無観客」に

国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)



台風8号、明日にも関東甲信、東北地方に上陸へ 今夜から強い雨
 気象庁によると、台風8号は26日午前6時には日本の東の海上を1時間に30キロの速さで北北西へ進み、中心の気圧は992ヘクトパスカル、最大風速は20メートル、最大瞬間風速は30メートルで、暴風域はないが、中心の南東側600キロ以内と北西側390キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いている。
 台風は今後発達しながら日本の東を北西へ進み、27日には関東甲信、東北地方に上陸するおそれがある。
 今夜から強い雨が降り、27日朝までの24時間に降る雨量は多い所で、関東甲信で80ミリが予想されている。
 「海の森水上競技場」は、東京湾の突端の防波堤をせき止めて建設された「海水」のボート・カヌー競技場、通常でも強い海風吹き、水面は常に波が絶えないという「欠点」を抱えていた。ボート・カヌー競技の大敵は「波」で、「海の森水上競技場」は波対策のために護岸に消波装置が設置されている。しかし、強風に見舞われると波が高くなり、競技開催が不可能になる。
 大会組織委員会は、明日の7月27日(火)に予定していたシングルスカル順位決定予備戦や軽量級ダブルスカル準決勝、4人スカル決勝などの全ての競技の開催を中止した。7月28日も強風が収まらなければ、競技開催は微妙となる



台風8号 出典 tenki.jp


護岸に設置された消波装置 2019年8月 筆者撮影

ボート・カヌー会場の「カキ」問題 予想外の「収穫」に困惑
 東京オリンピック・パラリンピックの関係者が、カヌーやボートの会場となる東京湾で、大量の「招かれざる客」に困惑している。対策費として東京都はこれまでに、約1億4000万円を支出している。
 東京湾に新設された「海の森水上競技場」には、護岸に跳ね返って選手に押し寄せる波を消し去る装置が、総延長5.6キロにわたって多数浮かぶ。
 しかしある時から、その消波装置が沈み始めた。不思議に思った関係者が調べたところ、装置に大量のカキが付着していたのが見つかった。
 解決には、かなりの時間と労力がかかっている。
 カキを取り除くには、装置を陸に引き揚げるか、海中でダイバーが作業しなくてはならない。そうして除去したカキはすでに14トンに上る。
市場価値は数百万円?
 カキの種類は、冬の味覚として日本で人気のマガキだ。とはいえ、この予想外の収穫は有効活用されていないようだ。
 都の担当者は朝日新聞に、「食べること? 考えなかったですね。衛生上の検査が必要だろうし」と話した。
実にもったいない。場所によって値段は異なるものの、除去されたマガキは少なくとも数万ドル(数百万円)にはなるはずだ。
 「海の森水上競技場」は、日本で唯一の、国際基準を満たすボート競技場だ。
 大会終了後、この競技場の維持にかける都の予算は約1億6000万円程度だ。多額の費用がかかるカキ対策を長期的にどうするかが、課題となっている。
(出典 BBC ニュース 7月19日)

 「海の森水上競技場」は、招致段階では69億円が、その後の現地調査等の結果、10倍を超える1038億円を超える整備費が必要なことが明らかになり、2020東京五輪大会の競技会場建設の杜撰な計画の象徴になった。
 小池東京都知事の開催経費縮減策の中で、一時は、建設を中止して既存の施設にへの移転案も検討されたたが、結局、新たに建設する競技場を「スマート施設」と名付け、20年程度使用可能な仮設レベルにして、グランドスタンド棟、フィニッシュ棟、艇庫などを整備し、298億円(スマート案)に縮減して、建設することになった。
 観客席も見直しされ、グランドスタンド棟(2000席 恒久席)の屋根の設置を半分の1000席分にするとともに、仮設席を1万席から4000席に削減して、立見席の1万席を加えると1万6000席(当初計画2万2000席)に縮小した。
 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、東京都に4回目の緊急事態宣言が出され、1都3県と北海道、福島は「無観客」の開催になった。
 もともと、ボート・カヌー競技は、観客動員数が限られているので、唯一、五輪のボート・カヌー競技大会だけが観客でにぎわう競技会になるはずだった。恐らく、「陸の孤島」と呼ばれている「海の森水上競技場」は、観客でにぎわう場面はないだろう。通常の大会は、ボート・カヌー競技の「聖地」とされている埼玉県の戸田漕艇場で開催すれば十分である。
 かくして、「海の森水上競技場」は、2020東京五輪大会の「負のレガシー」のシンボルになるのは必至となった。



暑さ対策で「降雪機」まで登場 海の森水上競技場でテスト
2019年9月13日、観客の暑さ対策として、イベントなどで使用する「降雪機」を使用して観客席に「人工雪」を降り注ぐテストを行った。
 「降雪機」は、氷の塊を粉砕して人工雪を降らせるもので、1分間に1立方メートルあたり、約30~約270キロの降雪能力があるという。この日は約1tの氷を使用して二回に分けて、観客席に人工雪を降り注ぐテストが行われた。しかし、WBGT値(暑さ指数)の変化はなく、観客席の空気を冷やす効果はまったくなかった。「清涼感」を感じてもらう程度の効果だ。報道陣に公開された1回目のテストでは、300kgの氷を使用したが、わずか5分であっというまに終了した。
 海の森水上競技場の観客席(恒久施設)は、約2000席、当初はすべて屋根付きだったが、整備費削減で屋根付き席はほぼ半分になった。大会組織委員会では本番で導入するかどうか検討をするとしている。


「降雪機」テスト 9月13日 筆者撮影



 
「海の森水上競技場」が竣工
 ボート・カヌー(スプリント)の会場となる「海の森水上競技場」が竣工し、2019年6月16日、完成披露式典が行われた。式典では小池百合子都知事が「世界最高峰の試合が繰り広げられ、連日、世界中の多くの方々に感動を与えると確信している。大会後も、様々なイベントで活用して、末永く愛される施設にしたい」と挨拶した。
 競技場のお披露目として、ボートの名門、英オックスフォード大とケンブリッジ大のOBチームを招いて「完成記念レガッタ」も行われた。
 「海の森水上競技場」は、2000m×8レーンのコースや約2000席の観客席、艇庫、フィニッシュタワー、水門、消波装置などが約308億円(2016年最終案より10億円増に修正)で建設された。大会開催時はグランドスタンド(恒久施設 2000席)や仮設席(4000席)や立見席(1万席)の合わせて1万6000席が整備される。
 

海の森水上競技場竣工式 2019年6月 出典 日本ボート協会


海の森水上競技場竣工式 2019年6月 出典 日本ボート協会


海の森水上競技場 背景は東京ゲート・ブリッジ 筆者撮影


(左) グランドスタンド棟  約半分は建設経費削減で屋根なしになり、炎天下で観戦する観客の熱中症対策が大きな課題として残った。
(右) フィニッシュタワー 筆者撮影


艇庫棟


世界ジュニアボート選手権(2020東京五輪大会 テストイベント) 2019年8月 筆者撮影


世界ジュニアボート選手権(2020東京五輪大会 テストイベント) 正面の橋は臨海道路南北線の臨港中央橋  2019年8月 筆者撮影


完成予想図(総工費491億円時の整備計画)  出典 TOKYO2020

「陸の孤島」 海の森水上競技場
 海の森水上競技場の大きな問題は、交通アクセスの問題である。
 海の森水上競技場が立地しているのは、東京湾の埋め立て地の最先端の中央防波堤の外側と内側の水路で、都心部から遠く離れている。
 最寄りの駅は東京テレポートで、現在は公共交通機関の路線バスは途中までしか運航されていなく、専用のシャトルバスでも約30分程度かかる。道路は、今の所、青海ターミナルを抜けて第二航路トンネルを通る臨海道路青海縦貫道の1本だけである。東京ゲートブリッジを経て千葉方面に抜ける東京港臨海道路も通っているが、基本的に都心部と臨海部を結ぶ道路ではない。
 国交省と東京都では、有明地区と中央防波堤地区を結ぶ臨海道路南北線の建設を進め、2020東京五輪大会までには完成させる計画である。海の森水上競技場をまたぐ、臨海道路南北線の臨港中央橋が建設されている。
 この2本の道路に、朝晩は選手や大会関係者、ボランティア、観客が殺到する。東京港臨海道路は中央防波堤地区のコンテナターミナルを往来する大型トラックの通行量が急増しており、大渋滞が懸念される。
 「陸の孤島」と呼ばれる海の森水上競技場、大会開催中は勿論のこと、大会後のイベント開催時の集客などでロケーションがネックになる可能性が大きい。都民が気軽に訪れる場所ではないだろう。

ボート・カヌー競技の天敵 強い風と波 航空機の騒音 沿岸部での開催は無謀?
 カヌー・ボート競技関係者から最も批判の声が強いのが、海の森水上競技場の「強風と波」である。
 カヌー・ボート競技の会場は、沼や川を利用したり、人工のコースを整備したりするが、いずれも内陸で、強い風が吹き、波の懸念が大きい沿岸部で開催されるのは「史上初」という。
 「海の森公園」には、風力発電の風車が立ち並んでいる。沿岸部独特の強い風が常に吹いているからだ。強い風が吹けば波が発生する。海の森水上競技場は、埋め立て地に挟まれた東西の水路がコースになる。五輪が開かれる夏場は南風が多く、競技に不向きな横風になる。護岸が垂直なため波の打ち返しがあり、護岸近くのコースと中央のコースでは不公平になる懸念が大きい。
 都が昨年十月に公表した基本設計では、波風対策として、コース両側を水門で仕切り、コース周囲の護岸に消波装置を取り付ける。風上の南岸に高さ五メートルの防風林も植えるとしている。しかしその効果は、天候が悪化した場合にはほとんどなくなる懸念がある。
 当初からアンフェアな競技運営になりかねないという懸念が関係者から根強く出されているのである


筆者が訪れた日は、真夏の快晴の日だったが、常にかなりの海風が吹いていた。コースの水面には常にさざ波が絶えない。 世界ジュニアボート選手権 2019年8月 筆者撮影


護岸に設置された消波装置 2019年8月 筆者撮影


海の森水上競技場の会場内にある風力発電 2019年8月 筆者撮影

 加えて無視できないのが、近くの羽田空港を頻繁に離発着する航空機の騒音、離発着に備えて、低空で飛行するのでとにかくうるさい。選手や観客にとって、とてもボート・カヌー競技に集中できる環境ではない。


羽田空港への着陸進入路にあるため、5~6分に一度、大型旅客機が低空を通過する 2019年8月 筆者撮影

毎年1億6000万円以上の赤字… 海の森は負のレガシーか?
 大会後の維持管理には早くも難航が予想されている。
 東京都では、海の森水上競技場のレガシーの視点として、アジアの水上競技場として国際大会を開催し、強化合宿などアスリートの強化・育成の拠点とし、一般市民を対象に水上スポーツ体験を楽しんでもらいボート・カヌー競技の裾野を拡大をするとしている。
 そして、具体的な後利用計画としては、国際大会や国内大会を年間30大会を開催、水上スポーツ体験や水上レジャーの機会を提供したりイベント開催も行う。
 年間の来場者数の目標は、競技利用で約31万人、一般市民の来場客が約4万人、合計35万人とした。
 最も重要な管理運営の収支は、収入が1億1300万円、支出が2億7100万円、2億5800万円の赤字を見込んでいる。
 収益の向上策としてネーミングライツの導入など企業広告の獲得やイベント開催、企業研修や学校教育での活用促進を上げている。
 ボート選手登録人数は 9000 人、登録していないボート人口を入れても 2 万人程度(日本ボート協会)と競技人口は極めて少ない。2019年に開催される国内大会は合計11回、そのうち6回が地方の会場で、全日本選手権や学生選手権など5回が戸田漕艇場で開催される。国際大会は海の森水上競技場で8月に開催された世界ジュニア選手権(2020東京五輪大会のテストイベント)が1回だけである。
 9000人の競技人口では、国内大会開催をさらに増やすのは困難であろう。国際競技大会の開催を目論んでも年間1回、開催できるかどうかだ。年間30大会の開催は絶望的だろう。
 一般市民の利用を目論んでも、交通アクセスの悪さがネックになり、周辺の景観から見ても、到底、市民の憩いの場にはならない。
 戸田漕艇場には、大学や実業団の約30チームの艇庫が並び、合宿所も備えて、連日のように練習が行われている。「ナショナルトレーニングセンターボート強化拠点施設」に指定されている。戸田漕艇場から海の森水上競技場に拠点を移すチームはほとんどないだろう。戸田漕艇場は引き続きボート競技の「聖地」として存続していく。
 戸田漕艇場の入場者数(有料)は年間約8万人、施設利用収入は約450万円(平成26年度)とされている。海の森水上競技場の35万人の入場者数、1億5800万円の収入予測は何を根拠にしているのだろうか。
 約300億円をかけて建設された海の森水上競技場、負のレガシーになる懸念が深まった。 


出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局





海の森水上競技場、「スマート施設」として建設
アクアティクスセンターも新設 バレー会場は先送り 4者協議のトップ級会合

 2016年11月29日、東京大会の会場見直しや開催費削減などを協議する国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会合が東京都内で開かれ、見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は、仮設レベルで整備する「スマート案」で海の森水上競技場を整備し、水泳競技場は東京アクアティクスセンターを観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、建設する方針を決めた。 
 一方、バレーボール会場については、有明アリーを新設するか、既存施設の横浜アリーナを活用するか、最終的な結論を出さす、12月のクリスマス前まで先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた宮城県・長沼ボート場はボート・カヌー競技の事前合宿地とすることをコーツIOC副会長が確約し、小池都知事もこれを歓迎するとして、宮城県への配慮を示した上で、海の森水上競技場を建設することで合意した。
 小池東京都知事は、新たに建設する競技場を「スマート施設」と名付け、20年程度使用可能な仮設レベルで、グランドスタンド棟、フィニッシュ棟、艇庫などを整備し、経費を当初の491億円から298億円(スマート案)に、約200億円を縮減した。
 また観客席も見直し、グランドスタンド棟(2000席 恒久席)の屋根の設置を半分の1000席分にするとともに、仮設席を1万席から4000席に削減して、立見席の1万席を加えると1万6000席(当初計画2万2000席)に縮小した。
 小池氏は、仮設というと粗雑な施設という印象を与えるが、「スマート施設」というと耳障りが良いと述べている。
 また東京アクアティクスセンターは座席数を2万から1万5000席に減らし、大会後の減築も取りやめたことで、東京都では683億円から514~529億円に削減されると試算している。

 一方、高騰が懸念されている開催経費の総額については、組織委員会の武藤敏郎事務総長は「総予算は2兆円を切る」との見通しを示し、「これを上限としてこれ以下に抑える」とした。
 これに対し、IOCのコーツ副会長は「2兆円が上限というのは高過ぎる。削減の余地が残っている。2兆円よりはるかに下でできる」と述べ、さらに削減に努めるよう求めた。さらにコーツ副会長は、会合終了後、記者団に対し、組織委員会が示した2兆円という大会予算の上限については、「特に国際メディアの人に対して」と強調した上で、「IOCが2兆円という額に同意したと誤解してほしくない」と了承していないことを強調した。その理由については、「大会予算は収入とのバランスをとることが大切で、IOCとしては、もっと少ない予算でできると考えている。現在の予算では、調達の分野や賃借料の部分で通常よりもかなり高い額が示されているが、その部分で早めに契約を進めるなどすれば、節約の余地がある」と述べた。


小池都知事と上山特別顧問 4者協議トップ級会合 2016年11月26日 筆者撮影

「仮設レベル」で施設を建設 298億円に削減
 2020東京五輪大会の競技施設の建設計画見直しで、都政改革本部の調査チームは2016年11月1日、9月に示した調査報告より計画案を絞り込んだ新たな提言を小池百合子知事に行った。東京都ではこの提言を元に、新たな建設計画まとめ、11月末に開催する国際オリンピック委員会(IOC)、国、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会との4者協議で結論を出すとしている。小池知事は「間に合わないことはないと確信している」と強調した。
 注目されたボート・カヌー(スプリント)会場の見直しについては、海の森水上競技場を整備計画を縮減した上で建設する「恒設案」、仮設レベルで建設する「仮設案」(スマート案)、宮城県登米市にある長沼ボート場の「活用案」の3案を提示した。
 これまでの計画では、海の森水上競技場の整備費は491億円としていたが、調査チームの「恒設案」は付随施設などの見直しで328億円に整備費を減らせるとした。「仮設案」では、グランドスタンド棟と艇庫棟を仮設レベルの構造に変更するなどの工夫を行って、298億円まで整備費を縮減可能とした。
 また五輪終了から50年後までの維持・改修費を合わせた総コストは、「仮設案」が最も低く、約328億~450億円(年間6~9億円)になるという試算を示した。


出典 都政改革本部 調査チーム

建設費300億円に削減へ 都が試算
 2016年10月18日、東京都は、海の森水上競技場の建設費について、これまでの試算の491億円から300億円前後に圧縮できる試算をまとめたことを明らかにした。
 東京都によると、テレビ撮影で利用する桟橋(TVカメラポンツーン)の設置を見送ったことで約60億円を削減をするなど「追加工事が生じた場合の費用」として準備していた約90億円を縮減した。また屋根付きの観客席「グランドスタンド棟」や艇庫棟の規模を縮小し、一部を仮設で整備。施設内の通路の舗装も簡素化し、追加工事に対応する予備費を90億円から大幅に削減することで、総工費は300億円程度に削減可能とした。
 一方、東京都は、IOCに提出している整備費491億円の内訳も公表し、大会運営に必要な観客席や艇庫の整備にかかる「オリンピック経費」として98億円、レクリエーションなど後利用のための整備費「レガシー(遺産)経費」に393億円とした。
 海の森水上競技場をめぐっては、都政調査チームが、整備費を過大と判断し、長沼ボート場(宮城県登米市)への会場変更など見直し案を提言していた。村井嘉浩・宮城県知事も誘致に前向きな姿勢を示し、同ボート場での開催に必要な整備費を「150億~200億円」と試算している。
 小池氏は「長沼」に前向きだったが、大会組織委員会やIOC、競技団体は、海の森水上競技場建設を強く支持していた。
 都は結論が出るまで工事を中断している。会場変更で建設を中止した場合、損害賠償などに約100億円の支出が見込まれるとの試算も明らかにしている。

東京五輪の経費 最大1兆8000億円 四者協議のトップ級会合






4者協議トップ級会合 コーツIOC副会長はシドニーからテレビ電話で参加 2016年12月21日 Tokyo 2020 / Shugo TAKEMI

 2016年12月21日、東京都、組織委員会、政府、国際オリンピック委員会(IOC)の四者協議のトップ級会合が開かれ、組織委員会が大会全体の経費について、最大1兆8000億円になると説明した。組織委員会が大会全体の経費を示したのは今回が初めてである。
 会議には、テレビ会議システムを使用され、コーツIOC副会長がシドニーで、クリストフ・デュビ五輪統括部長がジュネーブで参加した。
 冒頭に、小池都知事が、先月の会議で結論が先送りされたバレーボールの会場について、当初の計画どおり「有明アリーナ」の新設を決めとした。「有明アリーナ」は、五輪開催後はスポーツ・音楽などのイベント会場、展示場として活用すると共に、有明地区に商業施設やスポーツ施設も整備し、地区内に建設される「有明体操競技場」も加えて、“ARIAKE LEGACY AREA”と名付けた複合再開発を推進して五輪のレガシーしたいと報告し了承された。
 「有明アリーナ」の整備費は約404億円を約339億円に圧縮し、東京都、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入して、民間資金を活用する。競技場見直しを巡る経緯について、小池都知事は「あっちだ、こっちだと言って、時間を浪費したとも思っていない」と述べた。
 これに対して、コーツIOC副会長は「協議を通して3つの会場に関して予算が削減できたし、有明アリーナの周りのレガシープランについても意見が一致した。こうした進展を喜ばしく思っている」と称賛した。
 一方、組織委員会は大会全体の経費について、1兆6000億円から1兆8000億円となる試算をまとめたことを報告し、組織委員会が5000億円、組織委員会以外が最大1兆3000億円を負担する案を明らかにした。
 小池都知事は「IOCが示していたコスト縮減が十分に反映されたものということで、大事な「通過点」に至ったと認識している」と述べた。
 これに対して森組織委会長は「小池都知事は『通過点』と行ったが、むしろ『出発点』だと思っている。今回の件に一番感心を持っているのは、近県の知事の皆さんである」とした。
 一方、コーツIOC副会長は、「1兆8000億円にまで削減することができて、うれしく思っている。IOC、東京都、組織委員会、政府の4者はこれからも協力してさらなる経費削減に努めて欲しい」と「1兆8000億円」の開催予算を評価した。
 また開催経費分担について、小池都知事は、「コストシェアリングというのは極めてインターナルというかドメスティックな話なので、この点については、4者ではなく3者でもって協議を積み重ねていくことが必要だ」とし、「東京都がリーダーシップをとって、各地域でどのような形で分担ができるのか、早期に検討を行っていきたい」と述べ、年明けにも都と組織委員会、国の3者による協議を開き、検討を進める考えを示した。

* 開催経費については、2018年12月、大会組織委員会は、総額で「1兆3500億円」というV3を発表している。


▼ 小池都知事、村井宮城県知事と会談
▼ 小池都知事 10月15日に長沼ボート場視察へ
▼ 小池都知事、10月18日に来日するバッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長と会談へ
▼ 都政改革本部 調査チーム 宮城県長沼ボート場を代替地に提言
▼ 森組織委会長 激しく反発
▼ 日本ボート協会は海の森水上競技場を支持
▼ 国際ボート連盟ロラン会長 不快感を示す
▼ 国際ボート連盟 海の森水上競技場支持を正式表明
▼ 戸田監督会は彩湖での開催を要望

「海の森水上競技場」 宮城県長沼ボート場を代替地に提言
 2016年9月29日、2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の検証する都政改革本部の調査チームは調査報告書を小池都知事に提出し、「海の森水上競技場」にも言及し、当初計画の7倍の約491億円に膨れ上がった経費に加えて、「一部の競技者が会場で反対している」「大会後の利用が不透明」などとして、宮城県長沼ボート場を代替地に提言した。長沼ボート場は「復興五輪」の理念にも合致するとしている。


アイエス総合ボートランド(宮城県長沼ボート場)  宮城県登米市
延長2000m、幅13.5m、8コース  (日本ボート協会A級コース認定)

 海の森水上競技場の整備経費の高騰については、湾岸エリアの水路に整備するため様々な課題が存在し、その対策のための整備費が予算の高騰を招いたと指摘し、招致段階では69億円が、その後の現地調査等の結果、1038億円を超える整備費が見積もられ、削減努力後も491億円が必要された。


都政改革本部 調査チーム 調査報告書
 
 ボート協会(NF)は海の森水上競技場を恒久施設として整備することを訴えているが、首都圏のボート・チームや全国の選手の一部はその立地に疑義を持っている。また競技会場として有用性・利便性について疑問が残されている。
五輪開催後のレガシーとしては、収入、ランニングコストなど具体的な収支計画は現時点では不透明な部分が多いとした。


出典 都政改革本部 調査チーム

 他の会場への代替の可能性については、オリンピックのような国際大会が開催可能な河川、湖は国内他地域に複数存在し、これまでも他代替候補地の検討が行われた。代替候補地がオリンピック要件を満たすためには、改修費用や高額の仮設費用が必要とされており。現在は海の森水上競技場が国際競技団体(IF)や IOCが承認した開催地として妥当とされている。
 しかし、仮設費用の大部分が観客席やTVカメラレーン等を設置する仮桟橋工事等のためであり、競技団体との交渉次第では、他代替候補地がより低コストで整備できる可能性はあるとした。
また、整備費の試算額がまったく不明瞭で、仮設費の項目で、他の候補地が約170~180億円計上しているに対し、海の森水上競技場の約28億円とし、仮設費の内、「観客席・外溝・仮桟橋等」は協議中として、経費を計上していない。
余りにも杜撰で不公平な整備費試算の比較である。海の森水上競技場の整備額を不当に低く見せていると批判されてもしかたがないだろう。
 そして、競技開催地については海の森水上競技場に加え、その他代替候補地も含めて再度検証すべきだと結論づけた。


都政改革本部 調査チーム 調査報告書


都政改革本部 調査チーム 調査報告書

 また調査チームでは、今後の課題と必要なアクションとして以下の項目を上げた。
▼海の森競技会場のコスト削減、レガシー収支改善の再検討
例:水位維持のための恒久的な締切堤、遮水工は必要か? 例:仮設化によるコストダウンは可能か?
▼ボート協会(NF)と都オリンピックパラリンピック準備局による具体的なレガシーとしての需要予測の精査
例:ボート施設利用競技団体、利用者予測は? 例:恒久施設としてのランニングコストと収入予測は?
▼代替候補地の再検討
例:候補会場の整備費用、大会後のランニングコストと収入予測は? 例:仮設シナリオの場合コスト試算の再検討 (高額な仮桟橋設備は本当に必要か?等)

迷走! 海の森水上競技場
 都政改革本部の調査チームは調査報告書のこうした提言に対し、激しい反発が起きている。
 森組織委会長は、「IOCの理事会で決まり総会でも決まっていることを日本側からひっくり返すということは極めて難しい問題」と述べ、海の森水上競技場については、「宮城県のあそこ(長沼ボート場 登米市)がいいと報道にも出ているが我々も当時考えた。しかし選手村から三百何十キロ離れて選手村の分村をつくることはダメなことになっているし経費もかかる。また新しい地域にお願いしてみんな喜ぶに決まっているが、金をどこから出すのか。東京都が代わりに整備するのか。それはできないでしょう法律上」と否定的な考えを示した。
 10月3日、海の森水上競技場の視察に来日していた国際ボート競技連盟のロラン会長は、視察後、「(海の森水上競技場は)ボート会場には適切だ。非常に満足しているし、このプロジェクトにも満足だ。今のところ、1つのプロジェクトしか存在しない」と述べた。さらにロラン会長は、「立地もよく、検討すべき点もあるが、最良ということで決定され、現在の準備状況に満足している」と強調した。
その後、ロラン会長は小池都知事と会談し、小池都知事は「都政改革を訴えて今回の知事選に当選をした私として、もう一度オリンピック・パラリンピックにかかる経費、そしてまた、さまざまな環境整備を見直すべきではないか、実はこのことを訴えて知事になったようなものだ。費用の見直しについての世論調査は、80%以上の方が見直しということに賛成をしている。東京オリンピック・パラリンピックを成功させる最善の方法を見出すことを短期間で努めたい」と述べた。
これに対し、ロラン会長は「直前に海の森から変わるかもしれないと報道で知って驚いた。承認済みのことに関して、我々に事前に相談がなかったことが残念。なぜこうなったのか深く知りたい」と不快感を示した。
そして「決定ではなくこれから検証段階であると聞いたが、これは非常に重要なことだ。この報告書は第1ステップであり、報告書を改善するための手伝いをしたい。一部分だけでなく、すべての要素を全面的に検討して結論を出してもらいたい」とけん制した。長沼ボート場に変更する案については、「競技会場は、いろいろな基準を満たさないといけないが、東京から遠く、アスリートにとってベストの経験にならないのではないか。2年前にIOCや東京都などが調査をして専門家がまとめた分析では、宮城開催が将来にわたって地元によい効果をもたらすのかという点で、ほかの候補地に比べて評価が低かった」とした。
また日本ボート協会の大久保尚彦会長は、「長沼(ボート場)、あまりにも田舎だからどんなコースを作ったって、後を使うかという可能が非常に小さい。単に東北復興支援ということでは本当にワンポイントになってしまう。将来のレガシーにまったくならない。私はまだまったく理解できない」と強く反発している
 一方、IOCのバッハ会長は、東京五輪の開催費用の増加について、「東京における建設費の高騰はオリンピック計画だけでなく、東日本大震災からの復興など、そのほかの理由もあるだろう」とし「建設的な議論をしたい」として柔軟に対応する姿勢で、今後東京都や組織委員会と協議を始める意向を示した。
 報告書の提案を実行していくためには、国際競技団体や国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受け直す必要がある上に、海の森水上競技場にこだわっている国内の競技団体や大会組織委員会、そして国などとの調整も必要で、実現には難関は多いと思われる。
小池都知事は難しい決断を迫られた。

小池都知事 村井宮城県知事と会談 海の森水上競技場見直し
2016年10月12日、小池都知事は海の森水上競技場の見直しを巡り村井宮城県知事と会談した。村井宮城県知事は、都政改革本部が宮城県登米市の長沼ボート場を代替候補地として提案したことを歓迎するとしたうえで、長沼ボート場での開催へ協力を求めた。
会談では、村井氏は用意していた資料を差し示して説明しながら、東日本大震災の仮設住宅をボート・カヌー競技選手の選手村として再利用することや、整備中の自動車道による交通アクセスの確保、大会関係者の宿舎に近隣のホテルを活用するなどの計画を示した。 また高校総体のボート会場として毎年活用したいという構想も明らかにした。
会談後、村井宮城県知事は、「被災者の皆さまと話をすると忘れ去られてしまう記憶の風化が非常に怖いとおっしゃる。2020年はちょうど震災から丸10年、多くの皆さまに来ていただいて改めて被災地の復興した姿を見ていただき、改めて被災者を激励してもらいたい」と語った。

 会談終了後、小池知事は、「選択肢としての一つだが、思い入れは十分に受け止めた」と述べた。

 これに先立ち、村井宮城県知事は前オリンピック・パラリンピック担当大臣で組織委員会理事の遠藤利明氏や武藤敏郎事務総長と会談した。
 会談では、組織委が長沼ボート場について9つに課題を指摘した。

▼選手村の分村の設置
長沼ボート場は東京・有明地区の選手村から遠距離にあるため、選手村の分村の設置が必要で、オリンピックで1300人以上、パラリンピックで250人以上の宿泊施設を用意しなければならない。仮設住宅の転用で対応すると、パラリンピックの選手に使ってもらうためには利便性に課題が残る。
▼パラリンピックへのバリアフリー対応
 競技会場には車いすの選手が利用できる間口の広いトイレや、すぐ横にシャワースペースも必要になるとし、会場についても高低差10メートルほどの斜面もあり、パラリンピックの開催に適さない。
▼輸送に難あり
仙台から85キロあり、パラリンピックの選手に負担が大きく、最寄り駅の1つにはエレベーターやエスカレーターがない。
▼会場に斜面が多く、整備が困難
 会場周辺は斜面が多く、放送設備を置くためのスペースの確保などが難しく、周辺道路も狭い。
▼電力通信インフラが未整備
国際映像を配信するための電力や通信関係のインフラが整備されていない。
▼観客や大会関係者の宿泊施設不足
▼選手の移動などに負担大
 空港から距離があり、選手の移動に負担がかかることや、カヌーはスラロームとスプリントが別の会場で実施されることになるためコーチなどスタッフの対応が難しくなる。
▼整備経費増大の可能性
都政改革本部の調査チームの試算ではおよそ350億円とされているが、バリアフリー化や電力・通信、宿泊関係などにかかる費用が含まれていないので整備経費は更に膨れ上がる可能性がある。一方、海の森水上競技場はコスト削減の余地があり結果的に低コストになるのではないか。
▼レガシー(遺産)が残らない
 
 会談後、遠藤理事は、「東京都を含めてそれぞれの組織や団体が時間をかけて丁寧に精査し、現在の計画が最良の場所だと決めた。その中でIOC=国際オリンピック委員会などの理解を得られるのかどうか、難しい課題がいっぱいある。問題点のうち、いくつかはすでにクリアしているということだが、いちばん大きい問題は、現地で負担する費用の問題だと思う」と述べた。
これに対して村井宮城県知事は「組織委員会は消極的で『しょせん無理だ』という感じだった。長沼のボート場でできない9つの理由を挙げていたが、すべてクリアできると考えている。1000年に一度と言われる震災から立ち直ったのだから、やる気を出せば4年あればできる。できない理由よりもやれる方法を考えるべきで、森会長のリーダーシップに期待したい」と述べた。

「復興五輪」は国の責任
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は招致の段階から、東日本大震災からの“復興”を掲げ、「復興五輪」を国や組織委員会は繰り返し強調してきた。しかし、競技開催計画策定の中で、「復興五輪」は雲消霧散してしまっている。カヌー・ボート競技会場の見直し問題をきっかに「復興五輪」というスローガンにどう取り組むのか、もう一度、考え直す必要があると考える。「復興五輪」への取り組みを牽引するのは、組織委員会や都ではなくて国であろう。丸川五輪相は、組織委員会や都の取り組みに委ねるのではなく、主体的に「復興五輪」に向けて手腕を発揮する責任がある。
2020年東京オリンピック・パラリンピックをレガシー(未来への遺産)にするためにも……。



競技場整備計画の杜撰さの象徴 海の森水上競技場
 東京五輪のボート・カヌー競技場が整備される「海の森公園」は、ごみと建設残土で作られた中央防波堤内側の埋立地で、1230万トンのごみが高さ約30メートルにわたって積み上げられた“ごみ山”だった。
この土地を東京都は緑あふれる森林公園にして東京湾の玄関口にふさわしい臨海部のランドマークにしようとするのが「海の森プロジェクト」である。工事は2007年から始まった。広さ約88ヘクタール、日比谷公園の約5.5倍の広大なスペースに約48万本の木々が植えられる計画だ。
高度成長期の“負の遺産”を、未来への遺産(レガシー)に変えようという狙いは大いに評価したい。
しかし、海の森水上競技場の建設計画は迷走に迷走を重ね、2020東京五輪大会の競技場整備計画の杜撰さの象徴となった。


海の森公園  出典  東京都

膨張した建設費 69億円が1038億円 15倍に膨張
 2020東京五輪大会のボートとカヌー(スプリント)の競技場となる海の森水上競技場は、この“海の森公園”の防波堤内の埋立地に挟まれた水路を締め切る形で施設を整備する計画である。
 招致計画では、水門や観客席の工事で整備費を約69億円とした。当然必要とされる周辺工事費が一切含まれていない。極めて杜撰な整備計画だった。
 その後の東京都の調査で、軟弱な地盤強化や潮流を遮る堤防の追加工事、コースの途中にある中潮橋の付け替え工事、護岸からの跳ね返り波を防止する消波装置の設置などが必要とわかり、あらためて整備を積算すると当初計画の15倍の1038億円に膨れ上がることが判明した。

舛添前都知事 建設費を491億円に圧縮
 舛添前都知事は、東京都が担当する施設整備費は、当初計画では938億円だったが、その後の見直しで約5倍の4584億円に膨れ上がる分かり、これでは東京都の財政がもたないとして施設整備費の大幅削減に乗り出した。
 「海の森水上競技場」は杜撰な整備計画のシンボルとなり、観客席の仮設施設への変更や水門の形状の変更、護岸延長の縮小、会場レイアウトの変更などにより整備費を約491億円に約半分に圧縮した。
 見直された計画では、延長約350メートルの締め切り堤などの施設や、水門2基、揚排水施設を整備、また風速シミュレーションの結果を踏まえて、防風林の整備や、ボートの航行時に発生する波を弱める消波装置の設置も行う。
 実施設計では会場周辺の水面や空を引き立たせるために、水門などの土木施設については、鮮やかさを抑えた色彩を採用するとした。
 建築棟は、グランドスタンド棟(S造2階建て延べ5613平方メートル)、艇庫棟(S造2階建て延べ5977平方メートル)、フィニッシュタワー(S造5階建て延べ746平方メートル)などを整備する計画である。
 観客席は、五輪開催時には、グランドスタンド棟で2000席(恒久席)、仮設席で1万席、立ち見席で1万席、関係者席(仮設)で2000席、合わせ2万4000席を確保し、五輪開催後は2000席(グランドスタンド棟のみ)に減築する。
 しかし、この約491億円の巨額な経費で整備される海の森水上競技場巡って、数々の疑念が噴出している。


491億円の内訳  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局


海の森水上競技場完成予想図  出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局




海の森水上競技場基本計画 出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局



ボート・カヌー競技の天敵 強い風と波 航空機の騒音 沿岸部での開催は無謀?
 カヌー・ボート競技関係者から最も批判の声が強いのが、海の森水上競技場の「強風と波」である。
 カヌー・ボート競技の会場は、沼や川を利用したり、人工のコースを整備したりするが、いずれも内陸で、強い風が吹き、波の懸念が大きい沿岸部で開催されるのは「史上初」という。
 「海の森公園」には、風力発電の風車が立ち並んでいる。沿岸部独特の強い風が常に吹いているからだ。強い風が吹けば波が発生する。海の森水上競技場は、埋め立て地に挟まれた東西の水路がコースになる。五輪が開かれる夏場は南風が多く、競技に不向きな横風になる。護岸が垂直なため波の打ち返しがあり、護岸近くのコースと中央のコースでは不公平になる懸念が大きい。
 都が昨年十月に公表した基本設計では、波風対策として、コース両側を水門で仕切り、コース周囲の護岸に消波装置を取り付ける。風上の南岸に高さ五メートルの防風林も植えるとしている。しかしその効果は、天候が悪化した場合にはほとんどなくなる懸念がある。
 当初からアンフェアな競技運営になりかねないという懸念が関係者から根強く出されているのである


筆者が訪れた日は、真夏の快晴の日だったが、常にかなりの海風が吹いていた。コースの水面には常にさざ波が絶えない。 世界ジュニアボート選手権 2019年8月 筆者撮影


護岸に設置された消波装置 2019年8月 筆者撮影


海の森水上競技場の会場内にある風力発電

 また海水であることから、淡水と違って浮力が違うことで競技に与える微妙な影響やボートが塩害で腐食する懸念などの問題点も噴出している。
 オリンピックのシングルスカル元日本代表の武田大作氏は、「五輪を含め国際大会が海で行われることは信じられない。ボートやカヌーはバランスが重要。横風は非常に影響を受けやすい。(海の森水上競技場は)選手の立場からはやりにくい」とし、「東京の団体は戸田の漕艇場を利用している。大学の寮のような生活をしていて1階がボート置き場、2階が居住できるようになっており食事もできるので環境が良い。わざわざ環境が悪い海の森水上競技場に行く人はないと思う」(ひるおび! TBS 2016年10月4日)と述べている。
 また戸田漕艇場を拠点にしているボート競技団体で構成する戸田監督会の和田卓事務局長は「(海の森水上競技場)は居住できないんじゃないかな。極端にいうとなかなか難しい。騒音もひどいし、周りになにもないし、移動するための経費だとか環境だとかを考えたら100%いかないと思う」(報道ステーション テレビ朝日 2016年10月3日)と語っている。戸田漕艇場の艇庫は、合宿所やトレーニング施設も備えていて、自炊をして練習を行っている。


戸田漕艇場 出典 blogs.c.yimg.jp

 こうした中で、埼玉県戸田市は、戸田監督会と連携して、戸田ボートコース(戸田漕艇場)の隣にある彩湖での開催を提案している。彩湖は荒川の遊水地で、全長は8.1キロメートルもあり、2000メートルのコース設営には十分だ。高規格の堤防に囲まれ、風は静かで波の影響もほとんどない。淡水湖なので塩害もない。敷地内にはプロ野球ヤクルトの2軍練習施設やサッカー場などがありスペースは十分確保できる。戸田市が元建設業者に見積りを依頼したところ、国際規格のコースが約47億円の費用で整備が可能という試算がされたという。海の森水上競技場の整備経費の約10分の1である。そこで、戸田市では彩湖での競技場計画を立て、図面も完成させて、舛添要一前知事時代の2014年9月に東京都や五輪組織委員会に要望したが、「五輪組織委員会、日本ボート協会で海の森で合意している」との回答のみだったという。五輪組織委員会では、彩湖は荒川が増水した場合に水を逃がす調整池なので競技場造るのは難しく、施設の工事には陸域の掘削など大規模な整備が必要となるなど大きな問題がり、検討はしたが断念したとしている。
これに対して、戸田監督会の和田卓事務局長は「近くの戸田ボートコース場は、貯水池に作ったもので今も貯水池として機能を有している。同じように彩湖をボート場にしても貯水池の機能を阻害するものではない。そもそも海の森水上競技場は海水で競技には不向き」と語っている。(ワイドスクランブル テレビ朝日 2016年10月5日)

 ちなみに1964年東京オリンピックのボート・カヌー競技会場となった戸田ボートコース(戸田漕艇場)は、6コースしかなく、8コースが必要とされている国際規格を満たさないので五輪開催は不可能だ。
 ボート競技はコースに白波が立っただけでレースを行うか行わないという判断をするほど、風と波の影響は受けやすい。
 海の森水上競技場で、果たして円滑な競技運営を行う確固たる自信が五輪組織委員会や日本ボート協会にあるのだろうか。
 真夏の東京は、ゲリラ豪雨や台風など気象が極めて不安定な季節であることも見逃せない。

疑惑の目が向けられた海の森水上競技場の入札
 「海の森水上競技場」のグランドスタンド棟や水門などの整備工事は、入札が行われ、2016年1月、新国立競技場を受注した大成建設を中心とする異業種共同企業体(JV)が248億9832万円で受注した。
しかし、入札は異例づくめで、 “疑惑”の目が向けられている。
応札したのは、大成建設など4社(河川工事)、東洋建設など2社(建築工事)、水ing(ポンプ据え付け)、水門門扉(日立造船)の共同企業体(JV)だけであった。
 また、落札価格が248億9832万円、予定価格は248億9863万9860円、落札率は99.9%、異例の落札率だった。
応札した事業体が1つだけであったことについて、東京都の担当者はポンプの据え付けや水門などの工事は専門性が高く「施工条件が厳しかったのでは」と話しているという。
 その一方で、技術点は60点満点で36点、他の五輪競技場の落札者の点数と比較すると極めて低いのが目立つ。
 今回は技術審査委員の6人のうち5人は東京都港湾局の職員、1人は五輪準備局職員、全員が都庁の職員で、第三者の委員は誰もいない。審査の公平性や不明朗さへの疑念が生まれてくる。 さらに官製談合と指摘する声さえも囁かれている。
 こうした疑惑に対し、東京都は十分な説明性が求められるのは当然だろう。


海の森水上競技場基本計画 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

491億円で本当に収まるのか?
 海の森水上競技場の基本計画の整備費の内訳をみると、今回、発注される約249億円の工事は、グランドスタンド棟や水門などの整備工事で整備費全体の約半分にすぎない。実は平成28年度以降措置する想定額として182億円の整備費がすでに記されている。国際競技団体等と協議中の施設、約60億円、工事中のセキュリティへの対応費、10億円、大会後の改修費12億円、今後追加工事が生じた場合の対応費、90億円などである。この想定額というのが曖昧な数字で根拠がない。
 風や波の影響が懸念されている海の森水上競技場については、開催準備がさらに進みと、国際競技団体から追加工事要請が次々と舞い込むことが予想される。約60億円の想定で本当に収まるのだろうか?
 また地盤補強工事や護岸工事は難工事が予想され、想定外の工事追加の発生が懸念される。まだまだ整備費の不確定要素は大きいと見るのが自然である。
 みるみる内に経費が膨れ上がった新国立競技場の迷走の二の舞になるのではと不安視するのは筆者だけであろうか?




国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)

2016年10月9日 初稿
2019年9月15日 改訂
Copyright (C) 2019 IMSSR


******************************************************
廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
******************************************************


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東京五輪 開会式 演出 映像技術 相次ぐ辞任 コロナ禍 異例の開会式 リオデジャネイロ五輪開会式 平昌冬季五輪開会式

2021年07月23日 06時33分24秒 | 東京オリンピック
東京オリンピック 開会式 演出 映像技術 相次ぐ辞任 コロナ禍 異例の開会式




小林賢太郎氏を解任 五輪開会式演出担当、ホロコーストを揶揄
 7月22日、2020東京五輪大会組織委員会は、23日の開会式でショーの演出担当を務める予定だった元お笑い芸人の小林賢太郎氏の解任を発表した。過去にユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を題材にしていたとみられるコントの動画が拡散し、SNS(ネット交流サービス)で批判されていた。
 過去にユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をコントの題材にしていたとみられる動画が拡散し、SNS(ネット交流サービス)で批判されていた。
 動画は、小林氏のお笑いコンビ「ラーメンズ」時代のコントとみられ、映像内で「あのユダヤ人大量惨殺ごっこやろうって言った時のな」とホロコーストを揶揄する発言している。五輪憲章はあらゆる差別を禁止し、東京五輪も大会ビジョンの一つに「多様性と調和」を掲げており、その理念とは完全に反している。
 とりわけ、ユダヤ人の人権問題は、各国の人々にとってきわめて敏感なテーマで、国際オリンピック委員会(IOC)としても、とても許容するわけにはいかないだろう。
 小林氏は、開会式の演出を担う「開会式クリエイター」チームを束ねる「Show Director」と務め、開会式の演出陣の中心的な役割を果たしていた。
 組織委員会は、開会式の演出で、小林氏が一人で担当した部分はないとして、予定通りの演出で開会式を行うことを明らかにした。

 組織委が発表した小林氏のコメントは以下の通り。
 小林賢太郎と申します。 私は元コメディアンで、引退後の今はエンターテインメントに裏方として携わっています。
 かつて私が書いたコントのセリフの中に、不適切な表現があったというご指摘をいただきました。確かにご指摘のとおり、1998年に発売された若手芸人を紹介するビデオソフトの中で、私が書いたコントのセリフに、極めて不謹慎な表現が含まれていました。
 ご指摘を受け、当時のことを思い返しました。思うように人を笑わせられなくて、浅はかに人の気を引こうとしていた頃だと思います。その後、自分でも良くないと思い、考えを改め、人を傷つけない笑いを目指すようになっていきました。
 人を楽しませる仕事の自分が、人に不快な思いをさせることは、あってはならないことです。当時の自分の愚かな言葉選びが間違いだったということを理解し、反省しています。不快に思われた方々に、お詫(わ)びを申し上げます。申し訳ありませんでした。
 先ほど、組織委員会から、ショーディレクター解任のご連絡をいただきました。ここまで、この式典に関わらせていただけたことに感謝いたします。
小林賢太郎
(出典 毎日新聞 7月22日)
 ここまでくると、もういう言葉を失う。
 開会式演出担当者の人権意識の低さが次々に露呈している。五輪開会式の演出もまともできない日本のレベルの低さを世界にアピールする結果になった。

五輪開会式の楽曲作曲担当 小山田圭吾氏辞任 開会式の曲の一部削除
 7月23日、東京五輪組織委は、午後10時から、急遽行われた緊急記者会見で、五輪開会式のクリエーティブチームのメンバーとして音楽を担当していたミュージシャン、小山田圭吾氏の辞任を発表し、小山田氏の担当した開会式のオープニングの楽曲の内、4分間を削除するとした。
 小山田氏は90年代の音楽雑誌でのインタビューなどで、障がいを持つ同級生をいじめていたことを得意げに語っていた。組織委員会が開会式の楽曲担当メンバーの一人と発表した直後から、小山田が当時の記事がネット上で拡散。「多様性と調和」を掲げる東京五輪・パラリンピックにふさわしくないとの批判がSNS上で相次いだ。
 これに対し、小山田氏は16日、ツイッターで謝罪の文章を掲載して、続投を表明、これに対して組織委員会は「把握していなかったが、不適切な発言」とするコメントを発表し、「現在は高い倫理観をもって創作活動に献身するクリーエーター、貢献はたいへん大きなもので、最後まで準備に尽くしてもらいたい」と、続投の方針を明言していた。
 しかし、小山田氏に対する批判は収まらず、同氏はツイッターで辞任を申し出た。
 続投の方針を明言していた組織委員会は夜になって急転。続投を「誤った判断」とし、小山田氏の辞意を受理した。
 会見に臨んだ武藤総長は「小山田氏の行為は断じて許されるものではないと強く思っているが、真摯な謝罪と反省言葉を述べていたので、受け入れてもいいのではと考えた。開会式まで時間もないので。クリエーティブチーム楽曲をここで変えるは難しいと言っていた」と、いったんは続投とした理由を説明。「引き続きお願いしても許されるかも、と考えた。このような事態になり、判断するに至った。判断が甘かった」と謝罪した。
 そして、小山田氏が作曲したオープニング映像のバックに流される楽曲、約4分は使用しないことを明らかにした。

■ 組織委員会が発表したコメント
 「本日、オリンピック開会式 クリエーティブチームのメンバーである小山田圭吾氏から、東京2020組織委員会に対し、その職を辞任するとの申し出がありました。
 組織委員会は、小山田氏の行為は断じて許されるものではないと考えますが、先日、本件についての反省とお詫びを受け入れ、開会式が迫っているなか、引き続き準備に努めていただくことを表明しました。しかし、これは誤った判断であると考えるに至り、この辞意を受け入れることといたしました。
 この間、多くの皆様に不快な思いをさせたこと、混乱を招いたことを心からお詫び申し上げます」

電通の責任重大 
 相次いで開会式の担当者が辞任したことで、開会式のプロデュースを電通に「丸投げ」している体質の欠陥が露呈したといえるだろう。
 勿論、「丸投げ」をしている組織委員会の責任は免れるものではない。
 しかし、開会式・閉会式を始め、五輪関係の主要イベントを独占している電通の責任は重大だろう。
 渡辺直美さんの容姿を侮辱して辞任した演出統括のクリエーティブディレクターの佐々木宏氏、その後任で統括を努める日置貴之氏、いずれも「電通ファミリー」のイベント・プロデューサーである。
 今回開閉会式の演出陣として起用された人たちは、佐々木宏氏や日置貴之氏が選んだ人たちでいわゆる「電通ファミリー」に名を連ねるイベント・クリエーターであろう。
 辞任した小山田氏を始め、こうしたイベントクリーエーターを武藤事務総長を始め、組織委員会の幹部はほとんど知らないのは間違いない。組織委員会の幹部とは「違う」世界で活躍している人たちだからである。電通グループの「いいなり」で、演出陣が選ばれたのであろう。
 その電通がモラル崩壊を起こし、渡辺直美さんを侮辱したり、いじめを自慢したりというお粗末な不祥事を続発させた。五輪大会の掲げる理念を全く理解しない「電通ファミリー」は、最早、五輪にかかわる資格はない。
 さらに問題なのは、電通にスポンサーを握られているテレビ、新聞メディアは、電通の責任を追及しないことだ。

国立競技場で開会式リハーサル 日本の祭りの演出も
 東京オリンピック開幕まで、あと4日となり、7月18日、本番会場の国立競技場で、開会式のリハーサルが本番と同じ時刻に行われ、その映像の一部が公開された。
 今回公開されたのは、およそ30秒ほどで、式典の詳細や最終聖火ランナー、そして聖火の点火方法などは明かされない。
 映像を見ると、パナソニックが開発した最新技術を駆使したプロジェクションマッピングが開会式の演出で威力を発揮すると思われる。平昌冬季五輪で世界にインパクトを与えたインテルのドローン編隊飛行も夜空を彩る見込みだ。また、日本の祭りの様子を取り入れ、「和」の演出も窺える。「アドバイザー」として残った野村萬斎氏が主導したもとだろう。
 東京オリンピックの開会式のコンセプトは、「United by Emotion」、「世界中の人々を感動でつなぐ力」との意味が込められている。
 2016リオデジャネイロ五輪や2018平昌冬季五輪では、それぞれの国の歴史や、民族、文化を、プロジェクションマッピングはレーザー光線などの映像機器や音響を駆使して、壮大な「物語」を、スタジアムで演じて、視聴者に大きな感動を与えた。
 2020東京五輪大会の演出陣には、アニメやコントなどを得意とする演出家が加わっている。これまでの「重厚長大」路線とは一味違う演出が期待される。
 しかし、東京大会の開会式で、一体どんなメッセージを伝えるのか、大いに注目される。
 新型コロナウイルスのパンデミックの中で迎える前代未聞のオリンピック、いよいよ、今週金曜日の23日に開幕する。


 出典 FNNオンライン(以下)







インテル・ドローンショ― 出典 Twitter




 東京オリンピックの開会式は、7月23日(金)、夜8時から11時30分の3時間半にわたって、に五輪大会のために建設した国立競技場で開催される。
 開会式でには、当初計画では200カ国から約11,000人が参加する計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大による規模縮小で、参加人員は大幅に減る見通しだ。観客も当初計画では、約6万人を想定していが、東京で感染者が激増し、7月8日、東京都に4回目となる緊急事態宣言が発令された。期間は7月12日から8月22日、五輪開催期間中はすべて含まれる。
 これを受けて、開会式と閉会式を含む、都内と首都圏3県、それに北海道、福島で開催されるすべての競技は無観客で行うことが決まった。
 開会式は、異例の無観客で行われる。IOCやIF、NOC、スポンサー企業などの大会関係者は別枠で、当初は1万人程度が参加するとしていたが、世論から厳しく批判され、大幅に削減する方向で検討している。
 テレビ中継は、OBSが史上初の4K/HDR、5.1サラウンド音声でライブ中継、NHKが8K、22.2ch音声でライブ中継を国際映像として配信する。
 テレビ放送を行うのはNHKで、NHK総合、BS1、BS4K、BS8Kでライブ中継放送する(20:00~23:30)。またデジタルプラットフォーム、NHK+でもサービスされる。
 一方、フジテレビが録画で「開会式ハイライト」(23:00~25:00)を放送する。
 2018年12月に開始された新4K8K衛星放送にとって、最大のビックイベントなる。放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の調査によると、新4K8K衛星放送の視聴可能機器は850万5000台に達し、約25%程度の世帯に普及したとされている。高精細映像4Kの臨場感と迫力が楽しみである。
 コロナ禍の2020東京五輪大会、「高繊細4K8Kテレビで『巣ごもり視聴』」で楽しむのが「with コロナの時代のニューノーマル」になるだろう。

 開閉式の制作は、電通が担当することが決まっているが、1年延期に伴い締結している業務委託契約の期間延長など改定を行った。式典は簡素化を図りながらもコロナ禍を踏まえたメッセージを演出内容に反映するする内容に変わるが、延期に伴う人件費や調達済資材の保管料などの経費増や演出内容の見直しに伴う経費増で、予算の上限額を35億円増の165億円に引き上げた。開閉会式の予算増額は今回で2度目になる。招致時では91億円を見込んだが、演出内容の具体化に伴い2019年2月に130億円まで引き上げた。
 2012年ロンドン大会の開閉会式の経費は160億円といわれ、東京2020大会はこれを上回る史上最高額となる。

五輪開閉会式責任者が辞任 渡辺直美さん侮辱
 2021年3月18日、東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)が辞任した。開会式に出演予定だったタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するようなメッセージを演出チームのLINEに送った責任をとった。
 問題は17日に「文春オンライン」が報じて表面化した。佐々木氏はこの日に大会組織委員会の橋本聖子会長に辞意を伝え、18日未明に謝罪文を公表した。
 謝罪文によると、佐々木氏は昨年3月5日、開閉会式の演出を担うチーム内のLINEに、渡辺さんの容姿を侮辱するような内容の演出を提案した。メンバーから反発があり、提案は撤回したという。謝罪文では「大変な侮辱となる私の発案、発言で、取り返しのつかないこと。心から反省して、ご本人、そして、このような内容でご不快になられた方々に、心からお詫び申し上げます」とした。
 2021年2月、森喜朗前会長が女性蔑視発言の責任を取り辞任したばかりの不祥事である。
 組織委の橋本会長は、記者会見で「不適切であり、大変遺憾。組織委がジェンダー平等の推進を重要施策として掲げている以上、辞意を受け入れることとした」と述べた。
 
 開閉会式の演出をめぐっては、組織委は2020年12月末、コロナ禍に伴う式典の簡素化や演出変更を短期間で進めるためとして、狂言師の野村萬斎氏を統括とする7人の制作チームの解散を発表した。代わって電通出身の佐々木氏を総合企画の責任者に据え、権限を一本化する新体制に衣替えした。
 解散したチームの7人のチームのメンバーは、野村氏は佐々木氏の他に、映画監督の山崎貴氏、歌手の椎名林檎氏、映画プロデューサーの川村元気氏、障がい者の芸術活動を支援するクリエーティブプロデューサーの栗栖良依(くりすよしえ)氏、振付家のMIKIKOの5氏である。
 佐々木氏と野村氏や他のメンバーとの確執も背景にあったとされている。
 大会関係者によると、五輪開幕まで約4カ月に迫り、演出内容はほぼ固まり、本番に向けたリハーサルの準備が進んでいる段階に入っているという。橋本会長は「継承すべきところは継承し、すばらしい開閉会式になるよう、早急に新たな体制を整える」と述べた。
 女性蔑視発言で辞任した森喜朗前会長から引き継いで1カ月。ジェンダー平等など改革を進め、聖火リレーで大会機運を盛り上げようとしてきた橋本新体制に新たな不祥事が水を差した。
 2020東京大会の「負のレガシー」にまた新たな項目が追加された。

■電通出身の佐々木氏 CMで活躍
 辞任した佐々木氏は広告大手電通出身で、多くの人気CMを手がけたことで知られる。ソフトバンクの「白戸家シリーズ」、コーヒー飲料「BOSS」の「宇宙人ジョーンズシリーズ」、JR東海の「そうだ京都、行こう」などで数々の賞に輝いた。
 五輪との関わりでは、2016年リオデジャネイロ大会の閉会式で、次の開催地の東京をPRする「フラッグハンドオーバーセレモニー」を企画演出。これが高い評価を受け、東京大会でも演出チームに加わることになった。
 リオでは当時の安倍晋三首相をスーパーマリオ役でサプライズ登場させた。

『AKIRA』主人公のバイクが… 渡辺直美も絶賛した「MIKIKOチーム開会式案」 「週刊文春」スクープ
 「週刊文春」は、2021年3月31日号で、東京五輪開会式の執行責任者だった振付演出家・MIKIKO氏のチームが作成した開会式案の全貌を公表した。MIKIKO氏が責任者を降ろされた直前に、IOC側にプレゼンして称賛を受けた約280ページに及ぶ資料を「週刊文春」が入手して明らかにした。日の目を見ることなく、“なかったこと”にされた開会式案で、資料は昨年4月6日付、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、開催延期が正式決定した直後のものだという。
「IOC側は『よくここまで準備してくれた』と大喜びでした。コロナに関するメッセージを盛り込む必要はあるが、現状の企画書に手を加えれば大丈夫。殆どの関係者がそう考えていました」(組織委員会幹部)と「週刊文春」は伝える。ところが、その約1カ月後の昨年5月11日、MIKIKO氏は電通の代表取締役から責任者の交代を通告され、後任に就いたのが、佐々木宏氏(66)だった。
 しkし佐々木氏も、タレントの渡辺直美の容姿を侮辱する演出案を披露したことを理由に3月18日、辞任を表明する。  
 「週刊文春」によれば、組織委員会の橋本聖子会長は「大会まであと4カ月に迫る中で、一から作り上げるのは困難。佐々木チームの案をベースとして、新たなものを作り上げるのがベスト」などと述べたという。
 4月1日、東京2020大会組織委員会は、週刊文春や「文春オンライン」が五輪開閉会式の演出内容を明らかにした記事を巡り、発行元の文芸春秋に対して書面で厳重抗議したと発表した。「極めて遺憾。演出内容は機密性の高い秘密情報」とし、内部資料を掲載して販売することは著作権の侵害にあたるとして掲載誌回収やオンライン記事の全面削除、資料破棄などを求めた。
 組織委員会の対応は極めて異例である。 MIKIKOチーム開会式案がそのまま日の目を見ることは事実上、ないだろうが、現在進行中の開会式案のコンセプトに反映されているものはあるのかどうか、大いに注目される。

『開会式・閉会式のコンセプトは「Moving Forward」
 式典コンセプトの策定にあたっては、2020年12月に総合統括を辞任した後も、「アドバイザー」として残った野村萬斎氏がサポートし、開会式・閉会式の共通コンセプトは「Moving Forward」に決まった。
 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている中で、開催される大会だからこそ、スポーツの力で世界中をつなげ、未来に向かって希望を生み出す場にするという思いが込められているという。
 また、開会式のコンセプトは「United by Emotion」。「これまでの日々を共に進んできた世界中の人々への感謝や称賛、未来への希望を感じることができる時間を作りたい」という願いが込めた。
 一方、閉会式のコンセプトは「Worlds we share」。「たとえ同じ場所にいられなくても、同じ感動をシェアできたことを忘れずに、未来へとつなげていけるセレモニーを目指すという。

演出統括は電通出身の日置貴之氏 ショーディレクターは元「ラーメンズ」の小林賢太郎氏
 7月14日、大会組織委員会は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は開会式・閉会式のコンセプトも明らかにし、制作体制、クリエイティブチームメンバーを発表した。
 4つの式典の制作進行管理などを統括するエグゼクティブプロデューサーには電通出身で、スポーツブランディングジャパン代表取締役の日置貴之氏が就任した。
 開会式・閉会式ともにショーディレクターを務めるのは、劇作家・演出家の小林賢太郎氏、小林氏は多摩美大で落語研究部を復活させ、卒業間近にお笑いコンビ、「ラーメンズ」を結成、芸能活動を開始した。
 「NHKの爆笑オンエアバトル」に出演して知名度を上げて、コントのツアー公演を行い、お笑いコンビとして幅に広い人気を獲得した。その一方で、コント作家としても活躍。2020年11月に、芸能活動を引退し、コント作家、演出家として再出発した。
 小林をショーディレクターに起用したことで、開会式の演出の雰囲気が窺い知れる。
 聖火台デザイナーは聖火台デザイナーにはイタリアの「Designer of the year」を史上最年少で受賞するなど海外でも高い評価を受けるデザイナーで建築家の佐藤オオキ氏が起用された。
 さらに、田中知之氏(FPM)やナカムラヒロシ氏(i-dep、Sotte Bosse)、種田陽平氏なども参加。または小山田圭吾氏(Cornelius)らが作曲を担当し、映像ディレクターの児玉裕一氏らが映像監督として参加する。

<プロデューサーチームメンバー>
エグゼクティブプロデューサー  :日置貴之(東京2020組織委員会)
エグゼクティブプロデューサー補佐:マルコ・バリッチ
エグゼクティブプロデューサー補佐:ピアース・シェパード他
<開会式クリエーター>
Show Director  林 賢太郎
Director of Choreography 平原 慎太郎
Music Director 田中 知之
Video Director 辻川 幸一/Video Director 児玉 裕一/Video Director 小島 淳二/ Video Director 井口 皓太  
Scenographer 種田 陽平/Set Disigner 冨澤 奈美/Art Director 浜辺 明弘
Creative Adviser Concept 福部 明浩/Composer 小山田 圭吾/Composer 徳澤 青弦 Composer 原 摩利彦/Composer 景井 雅之 
Costume Designe若林 ケイジ/Costume Designeスズキ タカユキ/Costume Designe 櫻井 利彦 
Hair & Make-up 冨沢 ノボル Assistant Music Director ナカムラ ヒロシ Mime Artist が~まるちょば  Writer 樋口 卓治 他

<閉会式クリエーター>
Show Director 小林 賢太郎
Director of Choreographer 平原 慎太/Music Director 田中 知之/Scenographer 種田 陽平/Set Disigner 冨澤 奈美/Art Director 浜辺 明弘/Writer 樋口 卓治/Hair & Make-up 冨沢 ノボル/Video Director 田中嗣久/Video Director 平牧 和彦/Video Director 近藤 樹/Painter 中山 晃子/Director of Choreography 山田 うん/Composer 徳澤 青弦/Assistant Music Director ナカムラ ヒロシ/Costume Designer 若林 ケイジ/Stylist 森田 晃嘉/Costume Designer 飯嶋 久美子 他





リオデジャネイロ五輪開会式はこうなる
 2016年8月4日、リオデジャネイロ五輪の開会式最終リハーサルがマラカナン・スタジアムで本番さながら進行で行われた。
 開会式は約4時間、ダンスや光の芸術、花火、ブラジルの歴史が演じられ、有名人も登場する。
 リオデジャネイロ五輪組織委員会は、会見で、開会式のコンセプトは、多民族国家ブラジルらしい人種や宗教の存在を表す「多様性」、地球の「自然」、世界を笑顔で迎える「喜び」の3点と述べた。

リオ五輪開会式、「寛容」をテーマに表現
2016年08月05日 17時41分


 演出は多民族国家ブラジルらしい「多様性」と「自然」、「笑顔」の三つの柱から構成される。ファベーラ(貧民地区)での抗争を描いた映画「シティ・オブ・ゴッド」の監督で今回演出を担当するフェルナンド・メイレレス氏(Fernando Meirelles)は、「これら三つの柱の上に『寛容』をテーマに表現する。現在、世界で起きている様々な問題を解決したいというメッセージを届けたい」などと意気込みを語った。
 開会式の演出の指揮をとるメイレレス氏は、ブラジル・サンパウロ出身の映画監督で、2002年制作の映画「シディ・オブ・ゴッド(City of God)」は、2004年アカデミー賞で監督賞にノミネートされた。リオデジャネイロのファヴェーラ(スラム)の子供達の抗争を描いたこの作品は世界中で高く評価された。
 さらに、メイレス氏は、「カーニバルは外せない」と語り、カーニバルが今大会の開会式のキーワードになるとした。
 開会式にはサンバチームやプロのダンサー200人が出演。ボランティア約5000人が支える。
 7月31日に行われた開会式リハーサルでは、特別に鑑賞することが許された観客が招待された。主催者側は開会式の内容について秘密を守るように約束をさせていたが、舞台の写真やストーリーの断片がネット上に流出する事態となり、地元紙も開会式の概要を報道している。
 ブラジル出身のスーパーモデル、ジゼル・ブンチェンさん(Gisele Bündchen)が、ボサノバの名曲「イパネマの娘」役で登場する。ブンチェンさんが、リオの若く美しい女性について歌ったボサノバの名曲「イパネマの娘(The Girl from Ipanema)」役で登場。「ファベーラ」(貧民街)出身の黒人の少年が演じる強盗に襲われる。警察官らに追われた少年がジゼルの元に逃げ戻ると、ジゼルは少年を守る行動に出るというストーリーである。
 リオで発生する暴力行為について頻繁に伝えている地元紙ジア(O Dia)は、「美しく完璧な」ドレスリハーサルでもこのシーンは異色だったと報道。しかしある出演者はこの場面が式全体を台無しにしていると批判し、「われわれは苦言を呈した」「内容が変更されることを望む」と語ったという。(出典 AFP 2016年8月2日)
 開会式は、現地時間、8月5日20時に、リオデジャネイロ、マラカナン・スタジアムで開幕する。


8K/Super Hi-Vision、VR(Virtual Reality) 次世代映像サービスに挑戦 リオデジャネイロ五輪


「イパネマの娘」を演じたジゼル・ブンチェンさん(Gisele Bündchen)


出典 Rio 2016(以下)

















開会式の費用はロンドンの10分の1!
開会式を担当するのはブラジル映画監督フェルナンド・メイレレス(Fernando Meirelles)とプロデューサーのダニエラ・トマス(Daniela Thomas)で、2012年ロンドン五輪の開会式の10分の予算で行うとした。
監督メイレレスは、「ロンドンのようにお金使うことは恥だ。この国では保健衛生や教育お金を必要としている」と述べた。
そして「だから私たちは狂ったようにお金を浪費しない。低予算で開会式を演出することを私は非常にうれしく思う。それがブラジルのために理にかなっているのだ。」と語った。



聖火リレー リオデジャネイロの第一走者はサンバ・ダンサーのSelminha Sorriso


聖火リレーを歓迎するリオデジャネイロ市民 出典 Rio2016


平昌冬季五輪開会式


出典 Pyeongchang2018








開会式の夜空を飾ったIntel Drone1218機の編隊飛行 出典 Intel


開会式の夜空を飾ったIntel Drone1218機の編隊飛行 出典 Intel





リオデジャネイロ五輪 波乱の幕開け 競技場の全貌

ロシア・ドーピング問題 タイムライン 最新情報
VR(Virtual Reality) Super Hi-Vision 次世代映像サービスに挑戦 リオデジャネイロ五輪
NHK 8Kスーパーハイビジョン試験放送開始 リオデジャネイロ五輪 8K番組表 パブリックビューイング
リオデジャネイロ五輪 インターネット配信はオリンピックの“救世主”になるのか?
ブラジル政治混乱 政治腐敗 混乱極める五輪開催都市リオデジャネイロ、そして東京
地獄へようこそ 治安の悪さ 世界的に突出 リオデジャネイロ





国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)

2016年8月5日
Copyright (C) 2016 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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東京オリンピック 新型コロナウイルス 呪われた東京五輪 菅首相 バッハ会長 尾身会長

2021年07月16日 19時16分01秒 | 東京オリンピック
東京オリンピック 新型コロナウイルス 呪われた東京五輪 菅首相 バッハ会長





IOCバッハ氏「コロナ持ち込まない」 五輪開幕控え菅首相と会談
 7月14日、菅義偉首相は、東京五輪が来週開幕するのを前に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と首相官邸で会談した。新型コロナウイルスの緊急事態宣言下でも「安全・安心の大会」を実現できるよう万全の対策を取ることで一致。バッハ氏は「コロナのリスクをわれわれが持ち込むことは絶対にない」と明言した。
 首相は「新型コロナに直面する今だからこそ、人類の努力と英知を結集し、難局を乗り越え、日本から世界に発信したい」と強調。さらに「全ての参加者が感染対策をはじめ適切な行動を取ることが大会成功には不可欠だ」と述べた。
 バッハ氏は、東京大会に参加する選手の85%、IOC関係者全員がワクチン接種を終えていることを報告した。
 会談後、バッハ氏は記者団に「日本国民にリスクとなるような(大会での感染予防策をまとめた)プレーブック(規則集)の違反があったとの報告は届いていない」と説明。「大会に参加する人たちは何度も検査を受ける。検査体制はしっかり効力を発揮し、成功している」と述べた。

バッハ会長「感染状況改善したら有観客で」…菅首相との会談で要望
 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、14日に首相官邸で行われた菅首相との会談で、23日開幕の東京五輪について、新型コロナウイルスの感染状況が改善した場合は有観客での開催を要望していたことが分かった。
 複数の政府関係者が明らかにした。バッハ氏は8日にテレビ会議形式で行われた政府や大会組織委などとの5者会談でも「東京などの感染状況が改善されれば(無観客を)見直すべきだ」と要請した。これに対して菅総理は、感染状況について大きな変化が生じた場合には改めて5者協議を開いて対応を検討する、とした。
 5者会談後の共同声明には、観客の扱いについて「感染状況に大きな変化が生じた場合、5者会談で対応を検討する」との一文が盛り込まれた。
 東京五輪は、首都圏1都3県と北海道、福島県の競技会場で無観客となることが決まっている。
 東京では、連日、1000人を超える新規感染者が出て、全国的に見ても感染拡大が進んでいる中で、バッハ会長の「無観客見直し発言」は、余りにも無神経な発言として、批判を浴びている。


菅首相・バッハ会長会談 7月14日 出典 IOC NEWS

東京都モニタリング会議 「感染急拡大」早期の第3波超えも
 東京都のモニタリング会議で、専門家は「都内では感染が急速に拡大している」と指摘し、現在の増加比が続くと、4週間後には、7日間平均が2400人を超え、変異ウイルスの影響などで感染拡大が加速すると、早期に、年明けの第3波を超えると強い懸念を示した。
 会議では、都内の感染状況と医療提供体制を、」いずれも最も高い4段階の「警戒レベル」を継続した。
 新規陽性者の7日間平均は、14日時点でおよそ817人となり、約625人だった1週間前の7月7日時点の1.31倍となった。
 新規感染者は現在の増加比が続くと、2週間後の7月28日には、7日間平均が今の1.72倍のおよそ1402人となり、4週間後の8月11日には、今の2.94倍のおよそ2406人になると分析した。
 第3波のピークは1月11日のおよそ1816人、2406人はこれを大きく越えることになる。
 さらに専門家は、人流増加や感染力が強い変異ウイルスの影響で、増加比がさらに上昇すれば、想定より早く第3波を超えるとして強い懸念を示した。
 一方、14日時点の入院患者は、1週間前の7月7日より350人増えて2023人となり、6月下旬の1200人台から、わずか3週間で2000人台に急増したと指摘した。
 重症の患者は54人で、先週から8人減ったが、新規陽性者数や入院患者数の急増から遅れて増加する可能性があり、この状況が続けば、医療提供体制がひっ迫の危機に直面すると強い危機感を示した。
都内繁華街の人出は減少 “一定の協力得られている”
 モニタリング会議では、都内7か所の繁華街の人出が、緊急事態宣言の期間に入った7月12日からの3日間で、夜間は6.3%、昼間は2.3%、それぞれ減少し、一定の協力は得られていると報告された。
 国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「人流が十分に下がる状況が続き、今から2週間後あたりで新規陽性者数がピークを越していくことを期待したい。今からできることはとにかく人流を下げることだ」と述べた。
 「緊急事態宣言」で「人流抑制」、そして飲食店規制、酒類販売規制に頼る感染防止策は、完全に行き詰っていることが明らかになった。ワクチン、検査体制、感染源のトレース、医療体制の充実、飲食店規制、酒類販売規制以外にやるべき感染防止策があるのに怠ったツケが出ているのは明らかだ。

東京に4回目の緊急事態宣言
 7月8日、政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・菅義偉首相)の会合を開き、東京都に4回目となる緊急事態宣言の発令を決めた。沖縄県への宣言と首都圏3県、大阪府への「まん延防止等重点措置」は延長する。期間はいずれも12日から8月22日まで。
 一方、北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5道府県に適用中の「重点措置」は7月11日をもって解除する。
 東京は感染再拡大が止まらず、7月7日には新規感染者920人に急増してパンデミック第五波が確実視され、五輪開催期間やお盆休みの対策強化が必要と判断した。菅首相は東京への宣言発令について「再度感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない。先手先手で予防的措置を講ずる」とし、「国民にさまざまな負担をかけることは、大変申し訳ない思いだ」と述べる一方、ワクチンの効果などを見極めた上で宣言を「前倒しで解除することも判断する」と述べた。
 菅首相は、東京五輪に関し「全人類の努力と英知で難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」と強調。「安心安全な大会を成功させ、歴史に残る大会を実現したい」と表明した。
 「緊急事態宣言」対象の東京と沖縄では、飲食店に対して酒類提供停止と午後8時までの営業時間短縮を要請する。「重点措置」の区域でも酒類提供を原則停止とし、知事の判断で緩和できるようにする。首相は「(要請に応じる)飲食店に対しては協力金を事前に支払うことを可能とする」と語った。

1都3県、北海道、福島は「無観客」 宮城、福島、茨城(学校連携のみ)は「有観客」
 これを受けて、7月8日夜、大会組織委員会、東京都、国、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)は「五者協議」を開催し、「緊急事態宣言」が発出された東京都内の全会場の無観客開催にすることで合意した。また「緊急事態宣言」が発出されていない埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県や、茨城、宮城、福島、静岡、北海道の会場については、それそれの地域の感染状況を踏まえて、自治体の首長と協議の上、具体的阻止を決めることで合意した。「無観客」でもIOCなど大会関係者は運営に関わる人に人数を絞った上で入場を認める方針。
 「五者協議」に引き続き、東京都以外で競技会を開催する、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県や茨城、宮城、福島、静岡、北海道も加わり、「関係自治体等連絡協議会」が開かれ、茨城、宮城、福島、静岡、北海道は、「収容定員の50%」か「上限1万人」の少ない方で、「有観客」で開催することに合意した。
 しかし、その後、合意内容は直ちに撤回され、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県は「無観客」、茨木は「学校連携」のみとすると発表した。
 北海道は、札幌で開催されるサッカー予選の5セッションは「収容定員の50%」か「上限1万人」の少ない方で、有観客することで合意していたが、鈴木北海道知事は、記者会見で、試合終了が午後9時を過ぎる試合については引き続き検討するとし、首都圏の1都3県から観客が訪れないように大会組織委員会に求めたことを明らかにした。
 北海道は、翌7月9日、一転して、サッカー予選は「無観客」とする発表した。感染が拡大している首都圏などから来訪者で道外からの人流が増えることで、感染拡大の懸念に配慮した措置である。
 また、7月10日、福島あずま球場で開催されるソフトボール予選6試合(日本対豪州戦を含む)と野球予選1試合(日本対ドミニカ戦)はすべて「無観客」とすると発表した。
 野球・ソフトボールの福島開催は、東京2020大会の開催意義として掲げている「復興五輪」のシンボルとなっていただけに、関係者や地元市民の落胆は大きい。
 この結果、2020東京五輪大会では、42会場で750セッションが開催されるが、この内、「無観客」は37会場724セッション、96.5%にも及び、「有観客」は、茨城、宮城のサッカー予選と静岡の自転車競技の5会場26セッションとなった。
 大会組織委員会は、1年延期前には448万枚のチケットの販売を完了していたが、今回の措置で、ほとんどが払い戻しの対象となり、大会組織委員会のチケット収入約900億円は宙に浮くことなる。大会組織委員会の収入(V5)は、合計7210億円、約12.5%を占める。大会組織委員会の財政調整額は150億円を計上しているが、900億円の収入が消えれば、大幅な赤字転落は必至である。
 大会組織委員会が赤字になった場合は、一義的には東京都が負担、東京都が負担しきれない場合は、国が負担するという原則になっている。
 東京都と国で、「負の遺産」の押し付け合いが今後激化するだろう。


五者協議 7月8日 提供 TOKYO2020

感染防止対策の大失敗 その責任は菅首相と尾身会長
 結局、万策尽き果てて、5回目の「緊急事態宣言」、五輪「無観客」に追い込まれ、菅首相や尾身会長のコロナ対策の無策ぶりが露呈した。海外からの見方は、日本は、感染者数は圧倒的に少ないのに、なんでそんなにうろたえているのかという見方が支配している。
 菅首相や尾身会長が進めたコロナ対策は、「緊急事態宣言」と「重点措置」での「人流抑制」、それに飲食店や酒類をスケープゴードにするだけで、感染拡大防止には効果がなく大失態となった。
 いまだにワクチン接種率は世界でも最低水準、検査体制の充実も進まず、感染源のトレースもやらない、医療逼迫の懸念はいうが医療体制の充実は進めない。尾身会長の率いる専門家グループも感染拡大の分析と予測には熱心だが、どうしたら感染拡大を阻止できるのか、対策は何も提言しない。お粗末な専門家は資格を剥奪すべき。
 そのお粗末さのツケが、四回目の「緊急事態宣言」と「無観客」になったということだろう。
 東京で900人超の感染者が急増して第五波を招いたのは、「五輪」はまったく関係なく、菅首相と尾身会長の感染防止策の大失態。
 菅首相と尾身会長(分科会の専門家たち)は、その責任をとるべきである。
 今回のコロナ対応で、日本はまた世界に「お粗末」さを曝してしまった。


菅首相  出典 首相官邸ホームぺージ

やっぱりおかしい! 尾身茂会長 「五輪観客」提言以外に何もしていない
 6月18日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らは、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う新型コロナの感染拡大リスクに関する提言を政府と大会組織委員会に提出した。現在の感染状況では、「会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましい」と無観客開催が望ましいとした。
 また観客を入れる場合は「観客数は現行の大規模イベント開催基準よりも厳しい基準にすべき」で、「観客は開催地の人に限る」、「感染拡大・医療逼迫(ひっぱく)の予兆が探知されれば、無観客とする」といった提言も盛り込んだ。
 五輪開催を巡る観客対策では、尾身会長を始め分科会有志は極めて「具体的」な提言をまとめた。
 しかし、最大の問題は、五輪観客問題にこれだけ熱心なのに、肝心なコロナ感染防止対策については、まったく何も具体的な提言をしていないことだ。まるで五輪だけをスケープゴードにすれば、コロナの感染拡大は収まるといっているような印象がある。
 今、コロナ対策で最も重要なのは、10都道府県に出している緊急事態宣言を沖縄を除いて7月20日を期限に解除して、東京や大阪など7都道府県が「まん延防止等重点措置」に移行するにあたって、どんな感染防止対策を行うかである。
 飲食店の対策が焦点になっていて、酒類の提供や営業時間の制限、人数制限などの対応が注目された。
 長引くコロナ禍の中で、感染防止対策の規制は、度重なる延長、延長で、飲食店は、困窮を極めている。また観光・旅行関係者も限界だ。
 規制緩和でリバウンドの懸念、しかし困窮した飲食店などに対する規制緩和、こうした状況の中で、求められるのは知恵を振り絞った建設的なコロナ対策である。しかし、尾身会長ら分科会は、いっさい建設的な提言を出していない。口を開けば、感染拡大の懸念と「人流抑制」、それに五輪問題だけだ。
何のための専門家分科会なのか、ほとんど役に立っていない。建設的な提言を出すために何か努力をしたのか?
 コロナ禍を克服する最大の武器は、ワクチン接種、それに疑問はないだろう。
 しかし、昨年からワクチンの確保や接種体制について、尾身会長や分科会は、一切、具体的かつ建設的な提言を出していない。なぜワクチン問題について発言しないのか。唖然というほかない。
 コロナ感染拡大防止対策として、「PCR検査体制の充実」や「医療体制の充実」、「感染経路の追跡」、「保健所体制の充実」が肝要であることは、昨年来、専門家から指摘されていた。
 しかし、尾身会長は「PCR検査体制の充実」は否定的で、その他の対策について、何か具体的に提言をした気配はない。
 医療逼迫が懸念されるなら、コロナ病床や重症者用病床を拡充すれば解消すると思うが、医療体制充実に関する提言も一切ない。「コロナ専門病院」も東京都は2棟を整備したが、その後、まったく動きがない。
 Withコロナの時代の社会を考えるなら、医療体制充実こそ必須だろう。
 医師会の医療体制充実に向けての取り組みや建設的な提言もない。
 一方で、ワクチン接種に関する医療機関の取り組み積極的で、ワクチン接種率の急上昇の主役になっている。ワクチン接種で医療機関に対して報酬が支払われることが大きいとされている。コロナ患者を受けいれると医療機関の負担は大きく、経営的メリットがないので尻込みするのでコロナ医療体制はなかなか改善しない。
 こうしたジレンマに対して、尾身会長や分科会は何も発言しない。
 筆者が、今、専門家としての分析が最優先で欲しいテーマは、イギリスの感染状況の分析である。イギリスでは、ワクチン接種率が国民の半分を超え、一時、感染者が激減したが、ここにきて新規感染者が激増している。6月18日には、1万人を超えた。なぜ、新規感染者が急増したのか、ワクチン未接種の人に感染が広がっているのか、1回目の接種では効果がないのか、あるいは新規株に対してはワクチンの有効性がないのか、知りたいことは山ほどある。
 こうした疑問に答えるのか尾身会長ら分科会の専門家の責任で、今、全力を上げて取り組まなければならないテーマであろう。
 尾身会長ら分科会のメンバーに忠告する。五輪観客問題を議論する時間があったら、こうした今最も重要なコロナ感染防止対策について具体的な提言を議論する時間に割いて欲しい。それが専門家として責務だ。
 五輪は「無観客開催」になっても、コロナの感染拡大はまったく収束しない。
 肝心なのは、いかにしてコロナ禍を克服して、「日常生活」を取り戻すことだ。


新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長 記者会見代表映像

東京2020大会 新型コロナウイルス感染リスクに関する提言

東京五輪、国民が支持を表明しにくい日本
 6月12日、BBCニュースは、「東京五輪、国民が支持を表明しにくい日本」という記事を掲載した。
 日本は今、「五輪開催支持」を唱えるには匿名でしかできない状況に覆われて、「『東京五輪の開催には賛成です、アスリートの皆さんに5年間の努力を存分に発揮させてあげたいと思います』とコメントをくれた人は、匿名を希望した。なぜなのか? 理由はたいてい次のようなものだ。
 「万が一職場や関係者にご迷惑がかかってしまった場合に責任問題にもなりかねない」』と伝えた。
 五輪賛成派に対する「魔女狩り」は、激しさを増している。
 BBCは、こうした「異論が許されない」風潮に危惧を抱く。
 ジャーナリストの佐々木俊尚氏のコメントを取り上げ、「アスリートが五輪に出たいと言えない、やってほしいという声があげられなくなっている。健全な議論には何が必要かを論じることができない」と嘆いているとした。

妥協なき議論
 佐々木氏によれば、知識の暗記を中心とし、授業でディベートを行わない日本の学校教育も原因の一つとしてあげられるという。それが議論の二極化と、妥協を許さない状況を招いているとしている。
 佐々木氏は、「五輪開催に賛成の人、組織委員会や自民党は攻撃されるからと、きちんと説明しなくなってしまった。説明しても無駄だろうとなってしまっている」と説明する。
 佐々木氏はまた、「ゼロリスク」を求める国民性も背景にあると言う。
「歴史をさかのぼると、原発安全神話というのがありました。リスクはあるんだけれど、エネルギー安定提供が大事だと言うと、少しでも危険があるならやめろという声があがり、絶対に安全と言わないといけない」
「今回も、多少の感染はあるかもしれないけれどという説明をすると怒りだしてしまう」という。(BBCの記事より)

感染拡大が一向に収束しないフラストレーションが「五輪反対」に
 「五輪開催中止」や「延期」が70%~80%に達した背景には、一向に収束の見通しが現れない「閉塞状況」のフラストレーションが、メディアの「反五輪」の大合唱に煽られたからであろう。
 しかし、読売新聞が実施した6月初めの世論調査では、「五輪開催支持」が50%となり、「風向き」は変わった。
 その背景には、「集団接種」、医療機関の「個別接種」、そして「大規模選手」が軌道に乗り始め、ワクチン接種が急速に進んだ。その結果、国民の先行きに対する不安感が無くなってきたことがあるだろう。日本は企業社会、「職域接種」が本格化すれば、ワクチン接種率は飛躍的に改善され、国民の五輪に対する意識はさらに改善することが予想される。
 五輪開催支持の獲得の切り札は、ワクチン接種にかかっているといっても良いだろう。

コロナ禍の時代の「ニューノーマル」 五輪開催のレガシーに
 東日本大震災からの「復興」を掲げた「復興五輪」はすでに雲散霧消してしまっている。変わって掲げられたのは、「コロナに打ち勝った証」の大会である。
 新型コロナウイルスの感染収束は、長期間続くことを覚悟した方がよいだろう。その間、社会・経済を維持するためには、with Coronaの時代の「ニューノーマル」が必須となる。東京2020大会がコロナの時代の「ニューノーマル」が提示できれば、新たな五輪のレガシーになるだろう。
 「開催中止」、「開催支持」、感情的な議論ではなく、冷静に科学的にどうやったら「安全・安心」な大会開催が可能なのか、建設的に考えたらどうか。

東京五輪開催、G7全首脳が「力強い支持」 菅首相
 6月13日、菅義偉首相は、英コーンウォールで主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後に記者団の取材に応じ、東京2020大会の開催について「全首脳から大変力強い支持をいただいた」と述べ、五輪の成功に決意を新たにしたと述べた。
 菅首相は「感染対策の徹底、そして安全・安心の大会について説明し、全首脳から大変力強い支持をいただいた」と説明。「改めて主催国の首相として心強く思うとともに、東京大会をなんとしても開会・成功しないといけないとの決意を新たにした」と語った。
 サミットの首脳宣言では東京大会を「新型コロナウイルス克服に向けた世界の団結の象徴」と位置付け、「安全、安心な方法での開催」への「支持」を盛り込んだ。
 メディアは、このファクトを踏まえて、「五輪中止」の大合唱から、どうやったら「安全・安心」な大会として開催できるのか、建設的に提言する「条件付き」賛成論に転じたら如何だろうか。

東京五輪・パラ “選手ら1日7人程度の感染確認 ”組織委が試算
 6月11日、東京2020大会組織委員会は、コロナ対策を検討する専門家会合で、大会期間中、選手や関係者に1日に7人程度(五輪大会の会期は17日間)の感染が確認されるという試算を示した。
 ワクチン接種を進めることで、感染者数は大幅に削減可能だとしている。
 先月行われた海外選手が参加したテスト大会での陽性者の数などを基に、組織委員会や東京都などが試算した。
 試算によると、大会期間中の選手と関係者を合わせて7万7000人として、1日当たり7人程度の感染が確認されるとした。
 また、入院は最大で選手が1人程度、大会関係者が10人程度、軽症や無症状での宿泊療養は、最大で合わせて57人程度とした。
 試算は、ワクチン接種を反映していない厳しい条件で算出したもので、実際は大幅に減る可能性があるとしている。
 一方、東京都は、東京五輪の期間中に海外から訪れる選手や関係者のうち、1日当たり7・7人の新型コロナウイルス感染者が確認され、最大で入院患者が11・7人、宿泊療養者が57・6人ほどになるとの試算を公表した。
 東京都の試算も、5月上旬に海外選手を招いて開催した4回のテスト大会を参考に算出している。
 都などによると、テスト大会に参加した選手ら約700人のうち、陽性となったのはコーチ1人だったのを基に感染者が出る割合を0・2%と仮定。五輪期間中は154人程度が感染すると見込む。
 さらに、過去の大会で選手らの滞在期間が約20日とするデータから1日当たりの感染者を7・7人と計算した
 組織委員会は、こうした試算をもとに、医療逼迫を引き起こさないように、大会の医療・療養体制を確保し、ワクチン接種や国内の人の流れの対策に重点的に取り組むことで、感染防止の徹底を図るとしている。
 こうした試算が100%妥当性があるかどうかは別にして、大手新聞やテレビニュースでは一切報道せず、NHKや共同通信、東京新聞だけが伝えている。メディアの五輪に対するネガティブ報道姿勢は問われるべきであろう。

出場を決めた選手の80%がワクチン接種済み IOC
 6月10日、国際オリンピック委員会(IOC)のクリストフ・デュビ五輪統括部長は、東京オリンピックに出場を決めた選手の80%が新型コロナウイルスのワクチンを接種したと明らかにした。 これまでIOCはワクチン接種について義務ではないとしてきたが、今後さらに接種を進めるため、大会まで接種が可能な期間は各国のオリンピック委員会や選手一人一人に連絡を取り続けるとしている。
 そして、変異ウイルス流行などで感染拡大の続く国・地域の五輪委が、東京大会に参加する際にコロナ対策の指針「プレーブック」に記載された検査に加え、自主的に追加検査を受けることを申し出ていることも明らかにした。IOCのクリストフ・デュビ五輪統括部長は記者会見で「こうした国々の代表団は日本に入国できるようにするため、追加的な対策をとる意向を見せている」と述べ、日本国民を含め、すべての参加者にとって安全な大会にすると改めて強調した。
 また、理事会では大会の出場選手のうちこれまでに76%に当たるおよそ8500人の選手が出場権を獲得したことが報告され、残りについてはランキングや最終的な予選で決まるという見通しが示された。
 大会の感染対策をまとめた「プレーブック」の最終版は来週公表される予定だが、デュビ五輪統括部長は、海外から日本に入国するメディアや関係者について「14日間の隔離を行うことは絶対だ。それが大会の大前提だ」と述べて、ワクチンを接種していても14日間の行動制限を例外なく行うことを強調した。

海外メディア、GPSで行動管理 組織委・橋本会長
 6月8日、東京2020大会組織委員会の橋本聖子会長は、海外から来日するメディアについて、入国後、14日間は事前に登録されたところ以外に外出することがないようスマートフォンのGPS機能などで厳格に行動管理をすることや、宿泊先を組織委が監督できる施設に限定する考えを示した。「民泊や友人宅、少人数の宿泊は取りやめていただく」と述べた。メディアの滞在するホテルは、限定されて約350超から150に集約するとした。
 また、大会に必要な医療スタッフについて、「医師は9割程度、看護師は8割程度の確保の見通しが立っている」との認識を示した。月内に必要数を確保できる見通しという。
 組織委はこれまで、医師は1日あたり最大230人程度、看護師は同310人程度を想定していた。橋本会長によると、医師の残りの1割は、公募に応じたスポーツドクターで対応する方針。看護師については、「ワクチン接種の応募との重複を避けつつ、東京都看護協会などと最終調整に入る予定」としており、今月中に調整する考えを示した。




深層情報 Media Close-up Report 呪われた東京五輪 速報 緊急事態宣言」下でも五輪開催 コーツIOC副会長

「五輪開催」すべき 盲目的に「中止」唱えるメディアのお粗末 根拠なし パンデミック・リスク 
開催実現で「Withコロナの時代のニューノルマル」をレガシーに


朝日新聞社説批判 「中止の決断を」に反論する 五輪は開催すべき

朝日新聞は東京五輪の「オフイシャルパートナー」を返上せよ

東京オリンピック 尾身会長批判 五輪リスク 「ワクチン」「検査体制」「医療体制」一体何を提言したのか


「ぼったくり」は米国五輪委員会 バッハ会長は「ぼったくり男爵」ではない メディアはファクトを凝視せよ






国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)



2021年6月1日
Copyright (C) 2021 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
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東京オリンピック スポンサー返上 朝日新聞 朝日新聞社はオフイシャルパートナーを返上せよ

2021年07月15日 15時47分44秒 | 東京オリンピック



東京オリンピック 朝日新聞は東京五輪の「オフイシャルパートナー」を返上せよ


朝日新聞社説 2021年5月26日

5月26日朝刊 朝日新聞社説 「東京五輪 中止の決断を求める」

 朝日新聞社は、2020東京五輪大会の「オフイシャルパートナー」になり、東京五輪大会の協賛社に名を連ねている。朝日新聞社が大会組織委員会に支払う協賛金は、約60億円(推定)以上とされ、昨年末、「1年延期」に伴い、追加の協賛金を支払うことに合意している。
 朝日新聞社は、「tier2」の「オフイシャルパートナー」になることで、呼称の使用権(東京2020オリンピック競技大会、東京2020パラリンピック競技大会など)やマーク類の使用権(東京2020大会エンブレム、東京2020大会マスコット)を得て、朝日新聞のPRに利用することができる。
 60億円以上支払って五輪開催をサポートをすることで、五輪のブランド力を利用して部数拡大やメディアとしてのプレゼンスに寄与させるのがその狙いであろう。
 ライバルの読売新聞社、毎日新聞社、産経新聞社もいずれもスポンサーに加わっており、朝日新聞社としても五輪で遅れをとるわけにはいかない。
 5月26日、朝日新聞は「中止の決断を首相に求める」という社説を掲載。「誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い」として、「五輪を開く意義はどこにあるのか」と疑問を投げかけ、「そもそも五輪とは何か。社会に分断を残し、万人に祝福されない祭典を強行したとき、何を得て、何を失うのか。首相はよくよく考えねばならない」として、五輪開催をほぼ全否定した。
 しかし、朝日新聞社は「オフイシャルパートナー」を続けて、五輪のブランド力をフルに活用することで営業力の強化につなげる一方で「五輪中止」を社説で掲げるのは、まったく納得できない。
 朝日新聞社は、社としての方針と紙面は違うと釈明するが、「見識」が求めらるジャーナリズムとしては、余りにも恥ずべき発言だろう。
 朝日新聞は、今後、紙面で五輪開催を後押しするようなポジティブな内容の記事は掲載するべきでない。社説の主張と相反する記事も排除してほしい。
 「オフイシャルパートナー」は即刻、撤退すべきだ。

東京五輪観客上限1万人 スポンサーなどは大会関係者で別枠
 6月21日、東京2020大会組織委員会と政府、東京都は、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表者を交えた5者協議をオンラインで開き、東京五輪の観客上限を会場定員の50%以内で最大1万人と決定した。今後感染状況が悪化し、緊急事態宣言などが再発令された場合は無観客も検討する。
 IOCやNOC(各国国内委員会)、IF(国際スポーツ競技団体)、スポンサー関係者、メディア関係者は、「観客」ではない大会関係者であるとして、最大「1万人」の枠には含めず、別枠とした。
 朝日新聞は、東京五輪大会の「オフイシャルパートナー」、スポンサー枠の無料チケットが配られて、開会式や閉会式、主要競技場に「大会関係者」として別枠で入場可能である。合計で何枚のスポンサー枠の無料チケットを入手できるのか不明だが、配られたチケットを使用して、朝日新聞社の幹部はスタジアムで観戦するのだろうか。
 朝日新聞の紙面では、「五輪観客上限1万人」や「大会関係者別枠」を厳しく批判して「無観客」を主張しておきながら、スポンサー枠の無料チケットを使用して朝日新聞社の関係者が観戦したとするなら、それは決して納得できない。
 それでも「社の方針」と「社説」や「記事」は別だと主張するのだろうか。そうした姿勢で読者を納得させることができるのだろうか。
 一刻も早く、スポンサー枠の無料チケットを返上すべきだ。

東京五輪開催、G7全首脳が「力強い支持」 菅首相
 6月13日、菅義偉首相は、英コーンウォールで主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後に記者団の取材に応じ、東京2020大会の開催について「全首脳から大変力強い支持をいただいた」と述べ、五輪の成功に決意を新たにしたと述べた。
 菅首相は「感染対策の徹底、そして安全・安心の大会について説明し、全首脳から大変力強い支持をいただいた」と説明。「改めて主催国の首相として心強く思うとともに、東京大会をなんとしても開会・成功しないといけないとの決意を新たにした」と語った。
 サミットの首脳宣言では東京大会を「新型コロナウイルス克服に向けた世界の団結の象徴」と位置付け、「安全、安心な方法での開催」への「支持」を盛り込んだ。
 国際政治の舞台では、「五輪開催支持」が明らかになり、東京2020大会は開催に向けて動きが加速されるだろう。
 朝日新聞は、このファクトを踏まえて、「五輪中止」論から、どうやったら「安全・安心」な大会として開催できるのか、建設的に提言する「条件付き」賛成論に転じたら如何だろうか。


深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 速報 「緊急事態宣言」下でも五輪開催 コーツIOC副会長 G7全首脳が「力強い支持」菅首相 世論調査「開催支持」50%(読売新聞) 「1万人上限」観客受け入れ

「五輪開催」すべき 盲目的に「中止」唱えるメディアのお粗末 根拠なし パンデミック・リスク 
開催実現で「Withコロナの時代のニューノルマル」をレガシーに


朝日新聞社説批判 「中止の決断を」に反論する 五輪は開催すべき

東京オリンピック 渡航中止勧告 開催に影響なし 過剰反応 メディア批判

国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)



2021年5月27日
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廣谷 徹
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東京オリンピック 尾身会長批判 五輪リスク ワクチン 検査体制 医療体制

2021年07月10日 06時09分49秒 | 東京オリンピック
東京オリンピック 尾身会長批判 感染防止対策で何を提言したか



新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長 記者会見代表映像


深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 速報 東京に4回目の「緊急事態宣言」 1都3県と北海道、福島は「無観客」



感染防止対策の大失敗 その責任は菅首相と尾身会長
 結局、万策尽き果てて、5回目の「緊急事態宣言」、五輪「無観客」に追い込まれ、菅首相や尾身会長のコロナ対策の無策ぶりが露呈した。海外からの見方は、日本は、感染者数は圧倒的に少ないのに、なんでそんなにうろたえているのかという見方が支配している。
 菅首相や尾身会長が進めたコロナ対策は、「緊急事態宣言」と「重点措置」での「人流抑制」、それに飲食店や酒類をスケープゴードにするだけで、感染拡大防止には効果がなく大失態となった。
 いまだにワクチン接種率は世界でも最低水準、検査体制の充実も進まず、感染源のトレースもやらない、医療逼迫の懸念はいうが医療体制の充実は進めない。尾身会長の率いる専門家グループも感染拡大の分析と予測には熱心だが、どうしたら感染拡大を阻止できるのか、対策は何も提言しない。お粗末な専門家は資格を剥奪すべき。
 そのお粗末さのツケが、四回目の「緊急事態宣言」と「無観客」になったということだろう。
 東京で900人超の感染者が急増して第五波を招いたのは、「五輪」はまったく関係なく、菅首相と尾身会長の感染防止策の大失態。
 菅首相と尾身会長(分科会の専門家たち)は、その責任をとるべきである。
 今回のコロナ対応で、日本はまた世界に「お粗末」さを曝してしまった。

印象論で恐怖を煽るな! 尾身氏提言
 医師で民法・医事法を専門とする米村滋人・東大教授は「東京五輪まで時間が残されておらず、もはや大がかりな対策をとるのは難しい。政府などに配慮した結果、事実上観客ありの開催が決まった時期の公表となった」とし、提言の内容には「目新しい内容はなく、根拠となるデータも乏しい。科学の知識を役立て、社会的決定につなげていくことがこの間の課題だったが、何ら克服できていない」と批判した。(朝日新聞 6月19日)
 今回の提言は納得できるリスク軽減策の説明を望む〝国民目線〟の印象を受けるが、感染症に詳しい専門家の中には、これまでの分科会の対応を「恐怖をあおっているだけでだ」と一蹴している人もいるという。  
 これまで、プロ野球やJリーグを有観客で開催してきて、クラスターが発生したということはない。スポーツイベントでの感染リスクを印象論でなくエビデンスをもって論証していない。 
 尾身氏は、国立競技場に入ったことはあるのだろうか。「6万人収容」の壮大なスタンドに、1万人や2万人の観客を入れてもほとんど「密」にはならず、十分な間隔が維持できる。また国立競技場は、熱中症対策で、「風」をうまく取り込む構造になっていて、中に入ると、「風流」が確保され、換気という点では抜群だ。
 尾身氏は、感染防止対策をプレイブックV3については、選手や大会関係者の感染防止対策として、評価をしている。
 大会の盛り上がりで「気の緩み」が問題だとするが、印象論でエビデンスがない。
 やっぱり、尾身提言には納得できない。
 メディアは、尾身提言を無批判に受け入れて、政府のコロナ対策への批判を大合唱して繰り返す。尾身提言に異論を唱える専門家の意見に耳を貸そうとしない。
 事実を冷静に分析して報道する姿勢を欠いたメディアには猛省を促したい

やっぱりおかしい! 尾身茂会長 「五輪観客」提言以外に何もしていない
 6月18日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らは、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う新型コロナの感染拡大リスクに関する提言を政府と大会組織委員会に提出した。現在の感染状況では、「会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましい」と無観客開催が望ましいとした。
 また観客を入れる場合は「観客数は現行の大規模イベント開催基準よりも厳しい基準にすべき」で、「観客は開催地の人に限る」、「感染拡大・医療逼迫の予兆が探知されれば、無観客とする」といった提言も盛り込んだ。
 五輪開催を巡る観客対策では、尾身会長を始め分科会有志は極めて「具体的」な提言をまとめた。
 しかし、最大の問題は、五輪観客問題にこれだけ熱心なのに、肝心なコロナ感染防止対策については、まったく何も具体的な提言をしていないことだ。まるで五輪だけをスケープゴードにすれば、コロナの感染拡大は収まるといっているような印象がある。
 今、コロナ対策で最も重要なのは、東京や大阪など7都道府県が緊急事態宣言を7月20日を期限に解除して「まん延防止等重点措置」に移行したするが、リバウンドを防ぐためにどんな感染防止対策を行うかである。一方で長引い緊急事態宣言で、国民が疲弊していることも考慮すべきだ。
 飲食店の対策が焦点になっていて、酒類の提供や営業時間の制限、人数制限などの対応が注目された。
 長引くコロナ禍の中で、休業要請や時短営業などの規制措置の度重なる延長、延長で、飲食店は、困窮を極めている。また観光・旅行関係者も限界だ。
 筆者の疑問は、飲食店の営業時間を1時間~2時間短縮させて、一体、どれほど感染防止に役立つのか。飲食店や酒の提供をスケープゴードにしているが本当に感染感染拡大の大きな要因なのか? 印象論でなく、エビデンスが欲しい。感染源のトレースを科学的にいつまでたっても行わない体制が悪い。分科会には感染症の専門家がならんでいるのから、エビデンスを示すことは、やろうと思えばできると思う。国民に顔が向いていない分科会の姿勢は、即刻、改める必要がある。
 規制緩和でリバウンドの懸念、しかし困窮した飲食店などに対する規制緩和、こうした状況の中で、求められるのは知恵を振り絞った建設的なコロナ対策である。ワクチン接種の促進、検査体制の充実、それに医療逼迫を避ける医療体制の充実などコロナ対策は山ほどある。
 しかし、尾身会長ら分科会は、いっさい建設的な提言を出していない。口を開けば、感染拡大の懸念と「人流抑制」、それに五輪問題だけだ。
 一体、何のための専門家分科会なのか、ほとんど役に立っていない。建設的な提言を出すために何か努力をしたのか?
 コロナ禍を克服する最大の武器は、ワクチン接種、それに疑問はないだろう。
 しかし、昨年からワクチンの確保や接種体制について、尾身会長や分科会は、一切、具体的かつ建設的な提言を出していない。なぜワクチン問題について発言しないのか。唖然というほかない。
 コロナ感染拡大防止対策として、「PCR検査体制の充実」や「医療体制の充実」、「感染経路の追跡」、「保健所体制の充実」が肝要であることは、昨年来、専門家から指摘されていた。
 しかし、尾身会長は「PCR検査体制の充実」は否定的で、その他の対策について、何か具体的に提言をした気配はない。
 国民が望んでいるのは、誰でもいつでも、感染の不安を感じたら身近な場所で検査が受けられてたり、帰省したり出張したりする時に容易に検査が受けられる体制であろう。できれば無料、さもなければ保険適用の格安の経費で受けられようにする。ニューヨークでは誰でも無料で何回でも検査が受けれれる。
 医療逼迫が懸念されるなら、コロナ病床や重症者用病床を拡充すれば解消すると思うが、医療体制充実に関する提言も一切ない。「コロナ専門病院」も東京都は2棟を整備したが、その後、まったく動きがない。
 Withコロナの時代の社会を考えるなら、医療体制充実こそ必須だろう。
 医師会から医療体制充実に向けての取り組みや建設的な提言もない。分科会もメンバーに医師会の代表者が入っていことを鑑みて、医療体制に触れない。
 一方で、ワクチン接種に関する医療機関の取り組み積極的で、ワクチン接種率の急上昇の主役になっている。ワクチン接種で医療機関に対して報酬が支払われることが大きいとされている。一方、コロナ患者を受けいれると負担が大きく、経営的メリットがないので尻込みすることで、コロナ医療体制はなかなか改善しない。
 こうしたジレンマに対して、尾身会長や分科会は何も発言しない。
 筆者が、今、専門家としての分析が最優先で欲しいテーマは、イギリスの感染状況の分析である。イギリスでは、ワクチン接種率が国民の半分を超え、一時、感染者が激減したが、ここにきて新規感染者が激増している。6月18日には、1万人を超えた。なぜ、新規感染者が急増したのか、ワクチン未接種の人に感染が広がっているのか、1回目の接種では効果がないのか、あるいは新規株に対してはワクチンの有効性がないのか、知りたいことは山ほどある。
 こうした疑問に答えるのか尾身会長ら分科会の専門家の責任で、今、全力を上げて取り組まなければならないテーマであろう。
 尾身会長ら分科会のメンバーに忠告する。五輪観客問題を議論する時間があったら、こうした今最も重要なコロナ感染防止対策について具体的な提言を議論する時間に割いて欲しい。それが専門家として責務だ。
 五輪は「無観客開催」になっても、コロナの感染拡大はまったく収束しない。
 肝心なのは、いかにしてコロナ禍を克服して、「日常生活」を取り戻すことだ。

 筆者は、五輪開催の行方を、尾身茂氏一人だけにすべてを委ねる風潮には断固反対をする。尾身氏は、五輪開催について異論を唱える専門家とどれだけ真摯に対話を重ねたのだろうか。尾身氏の主張をすべて「善」とするメディアの姿勢も問題がある。「有観客」開催でも感染リスク限定的とする専門家や「有観客」のメリットについても耳を傾けるべきだ。
 「五輪開催反対」、「支持」という二者択一ではなく、どうやったら開催できるのか、できないのか、きちんと議論をしてもらいたい。「無観客」、「有観客」も同様だ。
 現代の科学技術では、感染者数の予測や状況ごとの感染リスクなどを分析しようとすれば可能だろう。その成果を元に科学的、論理的な分析を進めるべきだ。

東京2020大会 新型コロナウイルス感染リスクに関する提言

東京五輪開催、G7全首脳が「力強い支持」 菅首相
 6月13日、菅義偉首相は、英コーンウォールで主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後に記者団の取材に応じ、東京2020大会の開催について「全首脳から大変力強い支持をいただいた」と述べ、五輪の成功に決意を新たにしたと述べた。
 菅首相は「感染対策の徹底、そして安全・安心の大会について説明し、全首脳から大変力強い支持をいただいた」と説明。「改めて主催国の首相として心強く思うとともに、東京大会をなんとしても開会・成功しないといけないとの決意を新たにした」と語った。
 サミットの首脳宣言では東京大会を「新型コロナウイルス克服に向けた世界の団結の象徴」と位置付け、「安全、安心な方法での開催」への「支持」を盛り込んだ。
 尾身会長も、このファクトを踏まえて、「五輪中止」論を放棄して、どうやったら「安全・安心」な大会として開催できるのかを提言する建設的な提言に姿勢を改めるべきだろう。いつまでもネガティブな印象論の発言を繰り返すだけでなく、本来の政府のコロナ分科会の役割である「感染防止対策」の提言をすべきだ。感染拡大への懸念の表明でなく、具体的な「対策」を検討することに全力を上げて欲しい。
 



「開催は普通はない」 警告を繰り返す政府・分科会尾身茂会長
 2021年6月2日、衆院厚生労働委員会で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「今の感染状況での開催は普通はない」、「開催する場合は関係者がその理由を明確に説明する重要」とし、「五輪を開催すれば国内の感染や医療の状況に必ず何らかの影響を起こす。感染リスクや医療逼迫の影響について評価するのはプロフェッショナルの責任だ」と警鐘を鳴らして、「政府に行ってもIOCに届かないと意味がないのでどこに我々の考えを述べたらいいのか、早い時期に我々の考えを正式にしかるべき場所に表明するのが我々の責任」と述べ、緊急事態宣言の期限がくる20日までに五輪開催のリスク評価に関する提言をまとめる考えを示した。

 この尾身発言に対して、菅政権は不快感を示し、田村厚生労働大臣は、「自主的なご研究の成果の発表ということだと思う」と述べ、丸川五輪相は「感染症に対処する枠組みが基本的には国民の皆様にお願いをするという中での発言。他方、我々は「スポーツの持つ力」を信じて今までなってきた。まったく別の地平から見てきた言葉をそのまま行っても通じづらいというは私の実感だ」と反発した。
 その後、田村厚生労働大臣は「『勝手な研究』と言ったと受け取られたと思うが、自主的な研究は非常に重要だ。誤解を招いたとしたら言葉の使い方を改めなければならない」と述べ、「参考になるものはしっかり取り入れると言いたかった」と強調した。


菅義偉首相 記者会見代表映像

 菅首相は、「(提言)は専門家の方々の感染対策はしっかりやるべきだ」という意見として受け止めている。しっかり対応していきたい」と述べ、党首討論では「国民の命と安全を守るのが自分の責任だ。その前提が崩れたら、(五輪は)やらない」と強調し、表向きには冷静さを保っている。
 しかし、政権内部には、「彼らが一体何を知っているのか。人の流れや五輪競技について分かるのか」「現場を知らない作文だ」「なんの権限があって提言するのか」と感染症対策の専門家が五輪開催に対する発言を強めていることに、いら立ちを強める。

 菅首相はこれまで、緊急事態宣言発令などを発表する記者会見に毎回、尾身氏の同席を求め、外出自粛や休業要請など政策決定の根拠について「先生からもよろしいですか」と発言を促し、いわば「二人三脚」で対応してきた。
 ここにきて、五輪開催のリスク最小化を求める尾身氏らの声を完全に否定すれば、「国民に行動制限を強いるときだけ専門家の権威に頼り、都合の悪いときは無視する」として、「ご都合主義」との批判を浴びる懸念が生まれる。専門家への世論の共感が広がれば、五輪開催の意義や「安全・安心な大会」の根拠を十分に説明できていないと指摘される首相への不満が、さらに激しくなる懸念もある。

竹中平蔵氏 「尾身発言」を批判「明らかに越権」「ひどい」
 「尾身発言」に対して、批判をしたのは慶応大学名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏だ。
 6月6日、竹中氏は、読売テレビの報道番組に出演して、尾身茂会長がの「今のパンデミックの中での五輪開催は普通はない」などと発言したことを「明らかに越権」「ひどい」と強く批判した。
 竹中氏は「こないだの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね」と述べ、「本当にエビデンスがないと私も思いますけど、人流を止めればいいんだとか、なってるでしょ。しかし、人流を止めてロックダウンした国でも抑えられなかったんですよ」と尾身氏の言う「人流」と感染拡大に関しては「エビデンスがない」とした。
 さらに「専門家として、個人で言うのはいいが、、国会で(分科会の)座長として言ってるんですから、あれは明らかに、矩(のり)を踰(こ)えている」と批判した。
 人材派遣会社の「パソナ」は、2020東京五輪大会のオフイシャルサポーターになって、五輪大会業務における人材派遣を一手に握る。大会組織委員会が調達する人材はほとんどすべて「パソナ」を通さなければならない。完全に随意契約で、競争のない調達は、委託費に歯止めがかからず、往々にして破格の高額になる場合が多い。
 東急エージェンシーが受託した「本大会に向けての準備業務」のディレクター業務は1人当たり1日35万円に上ることが明らかにされ、高額の人件費が批判を浴びた。このディレクター業務の人材派遣は、東急エージェンシーから再委託され、「パソナ」が担うシステムになっている。「パソナ」は組織委の調達する人材派遣業務で膨大な利益を挙げているのではないかという疑念が生まれる。
 その「パソナ」の会長が竹中平蔵氏なのである。「パソナ」の大会組織委員会に対する人材派遣業務の不透明さは問われるべきだろう。
 にもかかわらず、竹中氏の「明らかに越権」の主張は、筆者は基本的に支持する。

「GoToトラベルキャンペーン」で失態 尾身氏
 尾身茂氏は、政府に対して新型コロナウイルス感染症対策を提言する分科会の会長である。感染症対策を提言するのがその責務である。
 しかし、これまで、尾身氏は新型コロナウイルス感染防止対策で、しっかりした提言を行っていいない。それどころか、専門家としての知見に欠く姿勢が目立つ。
 その典型は、「GoToトラベルキャンペーン」の実施開始時の発言である。
 尾身氏は、経団連のフォーラムで、実施開始に懸念の声があがる中で、「旅行自体に問題はない」との見解を述べ、「旅行自体が感染を起こすことはない。もしそれが起きていれば日本中は感染者だらけ」感染拡大を防ぐために旅行を控える必要はないとの見解を示した。 ただ旅行先で飲み屋や接待を伴う店などで3密の状況になったり大声を出すなどの行動を取れば、感染の可能性があるが移動自体は感染拡大につながらないと説明した。
 しかし、「GoToトラベルキャンペーン」の開始で、東京などから地方に感染が拡大して、パンデミックが日本全国に拡大して「第三波」を引き起こした。
 12月になると、窮地に陥った尾身氏は、感染状況が4段階のうち2番目に深刻な「ステージ3」相当と分科会がみている地域の一部について、観光支援策「Go To トラベル」を一時停止するよう求めた。明らかに後手後手に回った発言である。
 感染拡大が抑えられない現状に危機感をあらわにし「(この状態が続けば)さらなる(対策の)強化が必要だということだ」とも語り、国による追加の対応策の検討が必要との考えを示した。
 結局、GoToトラベルと同時に開始されたGoToイートは、年末年始の2020年12月28日から21年1月11日まで「全国一斉一時停止」することになり、その後、この措置は延長され再開のめどは立っていない。
 GoToは、感染拡大による経済停滞が直撃した飲食業や観光業、地域経済を助けようと、2020年7月22日から国内旅行に対する政府からの補助金(Go Toトラベル)が出されたのを皮切りに、10月1日からは飲食店利用に対する補助金(GoToイート)も開始。観光庁の発表によれば、11月末時点で4000億円以上の政府支援が投入され、延べ6800万人以上が利用した。菅政権肝いりの経済対策である。
 GoToが引き起こした「第三波」で、2021年1月初めには1日約1000人の新規感染者を記録した。後手後手に回った尾身氏の責任は大きい。

「ワクチン接種」「検査体制充実」「医療体制拡充」 何も提言をしない尾身氏
 新型コロナウイルスの感染防止対策の決め手は、ワクチン接種であることは、昨年末から世界各国の常識となっていた。国民のワクチン接種率は先進国で最低、明らかにワクチン政策で日本は世界遅れをとって、大失敗した。
 その責任は政府にるが、政府に対してコロナ対策を提言する分科会の責任も大きい。尾身氏は「ワクチン接種」についてその体制整備などについて何も目立った提言をしていない。
 ようやく自治体の集団接種、医療機関の個別接種、そして大規模接種会場に加えて、企業や大学などの「職域接種」も開始される。こうしたワクチン接種体制に対して、尾身氏は何も提言していないのはお粗末である。率先してワクチン接種体制に発言をすべきであろう。
 検査体制についてもまったく同様である。安倍政権の時代から、「検査体制充実」が唱えられていたが、一向に「検査体制充実」は進んでいない。専門家として「検査体制充実」にどのように取り組むのか提言は一切ない。
 「医療体制」に関しても、医療体制の逼迫への危機感は唱えるが、「医療体制拡充」に対する提言はない。コロナ専門病院の整備、重症病棟の拡充、医療従事者の確保など提言しなければならない課題は山積している。
 コロナ対策で重要な柱は、「ワクチン接種」、「検査体制充実」、「医療体制強化」あろう。これらの課題に対して、尾身氏は何も役割を果たしていない。
 「五輪」に対しては、積極的に発言を繰り返しているが、あたかも「五輪中止」がされれば新型コロナウイルス感染拡大は収まると誤解するような印象を与える。
 長引くコロナ禍の中で、困窮している飲食店関係者や観光・交通関係者の悲痛な叫びに向き合っているのだろうか。
 尾身氏が全力を上げて取り組むのは、「ワクチン接種」、「検査体制充実」、「医療体制強化」であろう。今年秋までに国民全員にワクチン接種を完了するために、専門家として知恵を振り絞って有益な提言を考えて欲しい。
 分科会の対策の発想は、緊急警戒宣言やまん延防止等重点措置などの「人流抑制」が中心、前世紀型のコロナ対策である。今世紀型の「ワクチン接種」、「検査体制充実」、「医療体制強化」の発想がない。
 尾身氏は「政府に行ってもIOCに届かないと意味がない」と述べ、五輪リスクの提言をまとめて、国際オリンピック委員会(IOC)に直接伝えたいとしている。
 しかし、頭を冷やして冷静に考えて欲しい。尾身氏は政府のコロナ対策分科会の会長、五輪に関する提言は、政府と大会組織委員会にすべきで、その両者とのコミュニケーションをなぜしようとしないのか。まったく責任放棄である。
 本末転倒な尾身氏の姿勢は、感染防止策を提言する政府の分科会としての役割を放棄している。








2020年6月10日
Copyright (C) 2021 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
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東京オリンピック 大会ボランティア フィールドキャスト 感染症ガイドライン

2021年07月01日 06時31分22秒 | 東京オリンピック


大会ボランティアにPCR検査実施 ほとんどは1回だけ 「フィールドキャスト 新型コロナウイルス感染症ガイドライン」組織委公表
 6月30日、東京2020大会組織委員会は、「フィールドキャスト 新型コロナウイルス感染症ガイドライン」を公表した。大会運営の中枢を担う大会ボランティアは、選手や大会関係者、観客など多くの人と接するために感染リスクの懸念が高い。
 大会組織委員会では、6月22日に公表した「ワークフォース」向けのプレイブック第3版を元に、よりフィールドキャスト向けに特化した実践的なガイドラインを作成し、「大会スタッフの行動スタイル」、「PCR(スクリーンニング)検査及びワクチン接種」、「事態(発生時)対応」の3つで構成されている。
 この内、PCR検査については、海外から来日後14日以内の関係者に接触する大会ボランティアは、「7日に1回程度」、アスリートに接触する大会ボランティアは、「役割に応じて、「4日又は7日に1回程度」、その他の大会ボランティアは、「1回」とした。
 ほとんどの大会ボランティアは、業務実施日数にかかわらず1回しかPCR検査が行われない。これで、ボランティアの「安心・安全」の確保はできるのだろうか、極めて疑問である。
 一方、ワクチン接種については、義務ではないとした上で、接種後は各症状が現れる可能性があるため、接種時期については、各人の業務・活動の区分を十分に考慮するとしている。
 一般論を記述しただけで、具体的なワクチン接種体制については何も記述されていない。









出典 フィールドキャスト 新型コロナウイルス感染症対策のガイドライイン TOKYO2020


東京オリンピック ボランティア タダ働き やりがい搾取 動員 ボランティアは「タダ働き」の労働力ではない!

ボランティア1万人辞退 コロナ感染不安




2021年7月1日
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