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国際放送センター IBC 国際メディアセンター MPC メディア施設 ロンドン五輪

2015年11月28日 22時50分34秒 | 国際放送センター(IBC)
ロンドン五輪 オリンピックのメディア施設 国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC)はこうして整備された~その機能・システムと概要~

■ オリンピック・ロンドン大会(London 2012 Olympic Games) オリンピック・ロンドン大会は、2012年7月27日から8月12日までの17日間開催され、204の国と地域から約11,000人が参加し、26競技302種目の競技が行われた。サッカー競技については、開会式に先立ち、7月25日から行われ、実質19日間の開催期間だった。
 ロンドン大会は、夏季大会としては、30回目の節目であり、ロンドンにとっては、1908年の第4回大会、1948年の第14回に続き、3回目の開催となった。
 2012年は、エリザベス女王の即位60周年にあたり、英国にとっては記念すべき大会となった

  
■ オリンピック・パークの建設
 大会のメイン会場として、オリンピック・スタジアムや競技会場や選手村施設などを備えた「オリンピック・パーク」は、ロンドンで最も貧困な地域で、開発の遅れていたロンドン東部のストラトフォード(Stratford)のロウアー・リー・バレー地区(Lower Lea Valley)に建設することで、この地域を再開発する戦略がとられた。
ロウアー・リー・バリー(Lower Lea Valley)地区は、約200年前の産業革命以降、重化学工場などが立地していた工業地帯で、有毒な化学物質、ガソリン、鉛、タールなどによる土壌汚染が問題になっていた地域であった。これまでこの地域は放置され、汚染土壌の除去など環境対策は行われてこなかった。
オリンピック・パークの建設にあたっては、最初に汚染土壌の除去作業から始める必要があった。最新技術を用いた土壌洗浄装置の導入などにより、100万立方メートルという膨大な量の汚染土壌の浄化が行われた。
 また、ロウアー・リー・バリー地区を流れるリー川も、川底を浚しゅんせつ渫するなど環境整備を行い、川沿いに広大な緑地を整備した。
 オリンピックの開催をきっかけとして、ロウアー・リー・バレー地区は、見事に蘇った。

 こうして整備されたオリンピック・パークは広さ2・5平方キロメートル、敷地内にオリンピックスタジアム(80,000収容:開会式/閉会式/陸上競技)やアクアティクス・センター(17500人収容:水泳[競泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミング、水球]、バスケットボール・アリーナ(12000人収容:バスケットボール)、リバーバンク・アリーナ(20000人収容:ホッケー)、カッパー・ボックス(10000人収容:ハンドボール、近代五種[フェンシング])、ヴェロパーク(12000人収容:自転車競技)などの競技場やIBC/MPCなどのメディア施設が建設された。
また約1万7千人のアスリートやスタッフの宿泊施設、選手村や、ストラトフォード駅前には欧州最大規模のショッピングモール(Westfield)をオープンさせた。
ストラトフォードは一躍、イギリス国内だけでなく世界から脚光を浴びる地域として再開発された。



(LONDON OLYMPIC PARK LOCOG)

■ “Media Complex”  IBC/MPCの建設
 この“オリンピック・パーク”の一画に、“Media Complex”が建設された。国際放送センター(IBC)、メインプレスセンター(MPC)、ケータリング棟、会議棟、そして駐車場棟で構成されている。
   総工費は、3億5500万ポンド(約500億円 当時の為替レート)、2012年6月27日から8月17日までオープンした。
IBCとは、International Broadcasting Centerの略称である。オリンピックの競技やインタビュー、会見などの映像音声を地上波や衛星放送、CATVなどのテレビ、ラジオ、インターネットやモバイルなどのデジタルメディアでサービスする世界各国の放送機関等がオペレーションを行う施設である。
 IBCの設営・運営・管理のすべての業務を担うのはホスト・ブロードキャスターであるOBS(Olympic Broadcasting Services )である。
 映像音声信号のコントロール、配信、伝送、ストレージなど行うシステムが設置されるOBSエリアや各放送機関等がサテライト・スタジオ、ワーキング・ブースなどを設置するスタジオ・エリアが整備される。
 これに対し、新聞、通信社、雑誌などの記事を発信する記者やスチールカメラマンの拠点は、MPC(Main Press Center)と呼ばれる施設だ。
 プレス席、専用ワーキングスペース、フォト・ワーキングルーム、会見室などが準備される。“MPC”の設営・運用・管理は開催地の五輪組織員会、OCOG (Organising Committee for the Olympic Games )が責任を持つ。
 2012年ロンドン五輪では、IBC/MPC合わせて約2万人の放送機関のスタッフ、記者、スチールカメラマンなどのメディア関係者が参加した。



(“Media Complex”  中央の建物がIBC 上部左がケータリング棟 上部中央の4階建ての建物がMPC 上部右が駐車場棟 IBCとMPCの間の小さな建物が会議棟 LOCOG)

▼ IBCの概要 ロンドン五輪
・総床面積約6万平方メートル 2階建て フロアの天井高さ約10メートル
 長さ275メートル×幅104メートル×高さ21メートルの鉄骨構造の建築物 5機のジャンボジェットが格納可能
建物は映像素材を扱う拠点のため、太陽光が入らないように窓がほとんどない
・スタジオ・スペース 約5万2000平方メートル
(フロアの天井高さ10メートル)
・事務棟 約8000 平方メートル  5階建て (IBCの正面部分)
・147のRHB  約1万2000人のRHB要員がIBCに参加
*RHB(Rights Holding Broadcaster):IOCから放送権を取得した放送機関
・1000台のカメラを使用し、5600時間以上の映像をHDで撮影
・52台の中継車を配備
・2200時間以上のHD競技映像をライブ配信
・世界204の国と地域で10万時間以上が放送 48億人が視聴
・五輪の初 3Dを200時間以上配信
・8Kのパブリックビューイング実施(NHK)


(2020年ロンドン五輪IBC/OBSエリア CDT(Contribution, Distribution and Transmission Centre) 出典 L.A. INSTALLATIONS)

▼ MPCの概要 ロンドン五輪
・総床面積2万9000平方メートル 4階建て 事務棟
約5600人のジャーナリストを収容可能
・ワーキングステーション 816室
・フォトワークルーム   288室
・5か所の会見室・ブリーフィング室
・メイン会見室(1か所)
約700人のプレス席 ライブ中継設備(CATVでライブ・サービス)
スチールカメラ席、テレビ・カメラの設置席の設置
9か国語の同時通訳ブース設置
・サブ会見室(1か所)
  約200人のプレス席 同時通訳可能
・ブリーフィング・ルーム(3か所)
  80人のプレス席  同時通訳可能


London Olympic MPC 出典 London Olympic OCOG


London Olympic MPC 出典 London Olympic OCOG

▼ IBC/MPCの共用の関連施設 ロンドン五輪
・総床面積1万2000平方メートルのケータリング棟(catering village プレス用レストラン) 4000席、1日5万食を24時間サービス
  McDonald’s Delicatesen, Barbeque, International buffet
・長さ200メートルのショッピング・アーケード“High Street”
ショップ、銀行、郵便局、トラベル・エージェント、スポーツジム、美容院等を設置。
・約800人のプレスが参加可能な会見場(オードトリアム構造)


ケータリング棟(catering village) 出典 London 2012: International Broadcast Center tour

▼ Media Transport Mall(駐車場)ロンドン五輪
・総床面積約4万平方メートル
・Guest Press Office設置(アクレディ・オフイス)


■ ロンドン・オリンピックの組織
 開催地のロンドンは、ロンドン・オリンピック組織員会(LOCOG:The London Organizing Committee of the Olympic Games Limited)を設立し、オリンピックの招致活動から、準備、大会の運営までを一貫して担当した。ロンドン・オリンピックのホストブロードキャスター(Host Broadcaster)は、国際オリンピック委員会(IOC:International Olympic Committee)の傘下のオリンピック放送機構(OBS:Olympic Broadcasting Service)が務めた。OBSは、2010年2月の冬季オリンピック・バンクーバー大会からは、単独でホストブロードキャスターとなり、放送権を取得した各国の放送事業者(RHB:Rights Holding Broadcasterに国際映像を配信している。
 OBSは、世界12カ国の放送局に、各競技場(Venue)の競技中継を委託した。実際に中継リソースを競技場に配置し、国際信号の競技映像の制作をしたのは開催国の放送局を始め、世界各国の主要放送局である。
 競技中継の国際映像は各競技場に設置されたTOC(Technical Operation Center)からIBC内のCDT(Contribution Distribution and Transmission)に伝送される。ロンドン五輪では、伝送回線は40回線にも上った。
 さらに、記者会見やビューティカメラ(Beauty Camera)映像などが別系統で配信され、ホストブロードキャスターが各放送事業者に分配したのは、合わせて46回線となった。









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2015年11月29日
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Toru Hiroya
廣谷  徹
代表
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