Johnson & Johnson 臨床試験を7月後半開始に前倒し Modernaは準備完了
6月10日、Johnson & Johnson社は、ワクチン開発を加速させ、当初9月に開始を予定していた第1/2相臨床試験を7月後半に前倒しして開始することを明らかにした。
同社は、先月3月、米国政府と契約を結び、2021年までにワクチンを10億回分以上を生産する製造能力を整備するとしている。
「これまでの試験データは良好で、規制当局と協力して、ワクチン開発をさらに加速することができた」と述べた。
臨床試験は、米国とベルギーで行われ、18歳から55歳までの1,045人の健康なボランティアと65歳以上のボランティアを対象に、ワクチンの安全性と有効性をテストする。
米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)では、ワクチンの早期開発を目指して、コロナウイルスワクチン候補を有望な少数の候補に絞り、最大15万人の被験者を登録して効果を確かめる最終段階の第3相大規模臨床試験を実施することを計画している。
臨床試験の候補に選ばれるためには、夏の終わりまでに前期安全性試験(第1/2相臨床試験)を完了する必要があるという。
Johnson & Johnson社は、2021年の第1四半期には臨床試験を終えて、大規模試験に加わり、ワクチン実用化を加速したいとしている。
しかし、その可能性について、同社は、どれだけの新型コロナウイルスが社会に循環しているかに依存するとしている。
「発生率が年に1%か4%では、ワクチン開発の環境はまったく異なる。(発生率が下げると治験対象者の確保が困難になるため)臨床試験の結果が早期に得られるかどうかは発生率に左右されので、計画が通りに十分な臨床試験結果が得られるかどうかは極めて予測不可能だ」と述べた。
一方、6月11日、モデルナ(Moderna)社は、7月に開始する最終段階の第3相臨床試験に向けて、治験者に接種するmRNA-1273の準備を終えたと発表した。
治験者に接種するのは100マイクログラムの容量のワクチンとした。用量を100マイクログラムとしたことについて、免疫効果の最大化と副作用の最小化にする最適な水準と説明。治験者は1年間追跡する。
同社では2021年からは最大10億回接種できるワクチンの生産が可能になるとし、製造についてはスイスの製薬会社ロンザ・グループと提携した。
この臨床試験は、米アレルギー感染症研究所(NIAID)と共同で実施、30,000人の治験者を対象として行い、ワクチン候補がCOVID-19の発症を防ぐ効果があるかどうかを最終的に確かめる第3相試験である。
ニューヨーク株式市場では、取引開始直後、モデナ株は3.2%上昇して61.98米ドルになり、年初から約3倍に値上がりした。
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BARDA NIH(米国立衛生研究所) NIAID(米国立アレルギー・感染症研究所) CDC(アメリカ疾病予防管理センター)
国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)
2020年6月11日
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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
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