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G7伊勢志摩サミット 安倍首相 オバマ大統領 広島 首脳宣言 成果

2023年04月24日 21時28分17秒 | G7伊勢志摩サミット
G7伊勢志摩サミットの成果は? 安倍首相はリーダーシップを発揮できたか? 
2016年G7主要国首脳会議


▼ 存在感を示せなかった安倍首相 議長としてのリーダーシップは発揮できたのか?
▼ 世界経済をけん引することを目指した「伊勢志摩経済イニシアチブ」など共同声明発表 伊勢志摩サミット閉幕
▼ 圧倒的な存在感を示したオバマ大統領 広島訪問17分に及ぶ演説“核なき世界”へのメッセージ 被爆者との対話
▼ 三重県営サンアリーナに設置された国際メディアセンター(IMC)
▼ 伊勢志摩サミット 10の閣僚会合を開催
▼ 開催地選定のポイント
▼ サミットの“ジンクス”



伊勢神宮を参拝するオバマ大統領と安倍首相((2016年5月26日午前11時過ぎ)




伊勢神宮を参拝するG7首脳とEU(ヨーロッパ連合)の欧州理事会議長と欧州委員会委員長 ((2016年5月26日午前11時過ぎ)


英虞湾を背景に記念写真(午後13時30分)


ワーキングセッション2日目

G20大阪サミット2019開催 20カ国・地域首脳会議
伊勢志摩サミット・G7外相会合 広島で開催
国際放送センターIBC(International Broadcasting Centre)サービス・システム G7伊勢志摩サミット・G8北海道洞爺湖サミット



安倍首相はリーダーシップをどう発揮するのか? 伊勢志摩サミット5月26日、27日開催
  2016年、今年は伊勢志摩サミット開催の年である。5月26日と27日に三重県の賢島で開催される。日本でG7主要国首脳会議が開かれるのは、2008年の北海道洞爺湖サミット以来、8年ぶりである。前回のサミットでは、安倍首相は直前に退陣し、議長を務めたのは福田首相(当時)だった。
 初めて、国際政治の“晴れ舞台”、G7サミットの議長を務める安倍首相は、G7各国の中で、いかにリーダーシップを発揮し存在感を示すか、真価が問われることになる。
 伊勢志摩サミットの主要議題は、議長国を務める日本で検討が進められ、参加各国との調整が行われてきた。
 その結果、主要議題として、世界経済・貿易、政治・外交、気候変動・エネルギー、質の高いインフラ投資、保健、女性などが取り上げられることになった。 
 2016年、年明け早々、世界経済は中国株の暴落や原油価格の下落で世界同時株安に見舞われ、波乱含みのスタートとなった。資源化価格の下落で、ブラジルなどの新興国の経済は破綻寸前、アメリカの金利引き上げが追い打ちをかける懸念が生まれている。中国や新興国の経済の不透明さが更に増している中で、世界経済の立て直しが最大の焦点に浮かび上がってきた。日本経済も景気に停滞感が生まれ、株価は低迷、アベノミクスの成長戦略に懸念が囁かれ始めている。今回のサミットの最重要課題とされている世界経済の立て直しで焦点の財政出動は認識のG合意にはこぎつけたが、具体策は各国に一任として棚上げにした。
 さらに北朝鮮は、突然、初の「水爆実験」と主張している4回目の核実験を行い世界に衝撃を与えた。北朝鮮にG7としてどう協調して向き合っていくか、北朝鮮問題へ対応も焦点になってった。
 パリ同時テロ以降、G7各国はテロ対策の強化が至上命題になっている。テロ対策についての国際協調や過激派組織ISへの空爆強化、封じ込め策など、G7各国首脳間での突っ込んだ議論が必須だろう。その他中国の海洋進出やウクライナ情勢も重要議題になるだろう。
 また、 中米パナマの法律事務所から流出した租税回避地に関する文書、“パナマ文書”が公開され、世界各国の指導者や有名人による課税逃れ疑惑が発覚し、問題になっている。「パナマ文書」とは、タックスヘイブン(租税回避地)の会社の設立などを手がける中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書。1977年から2015年にかけて作られた1150万点の電子メールや文書類とされている。
 これを受けて、伊勢志摩サミットでは、税率の極めて低い“租税回避地(タックスヘイブン)”を利用した国際的な課税逃れ問題を議論する方向とされている。各国指導者らによる課税逃れ疑惑が表面化したのに加え、テロ組織の資金調達の温床になっている恐れがあり、対策強化を協議すると伝えられている。
 これらの問題は、実は、伊勢志摩サミットに参加しないロシアと中国が“影の主役”と言っても過言ではない。
G7の“地盤沈下”が囁かれる原因は、ロシアと中国が首脳会合に参加しないことだろう。今回のサミットでは、G7の結束強化にとどまらず、ロシアや中国なども含めた協力体制をどう構築していくかが問われるだろう。
 安倍首相は、「北朝鮮やシリア、サウジアラビアとイランの問題など、ロシアの建設的な関与が必要。G7の議長国として大統領と会って話をすることが重要だ」と語り、プーチン大統領との首脳会談に意欲を示していた。
 2016年5月6日、安倍首相はロシア南部の保養地ソチでプーチン大統領と会談した。両首脳は北方領土問題や平和条約の締結問題をめぐり、双方が受け入れ可能な解決策の作成に向けて「新たな発想に基づくアプローチで交渉を進める」として交渉を加速することで一致。9月2、3日に首相がロシアのウラジオストクを訪問し、再び首脳会談を行うことも確認した。
 プーチン氏の訪日について、首相は「最も適切な時期を探っていくことにしよう」と語った。一方、ロシアのラブロフ外相は会談後、記者団に「具体的な日付も含め、詳細について検討した。検討が終了したらロシアと日本の双方で発表するだろう」と述べている。
 一方、2016年4月30日、岸田外相は王毅外相と北京の釣魚台国賓館で会談した。 4年半ぶりに日中外相会談の開催だった。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に、双方が深刻な懸念を表明した。両国関係の改善のため、対話を継続することでも一致したが、中国が南シナ海での海洋進出問題をめぐっては、日中双方に溝が残った。
 王毅外相は、「中日関係は絶えずギクシャクし、たびたび谷間に陥ってしまったが、原因は日本側が一番よく分かっているのではないか」と述べ、南シナ海問題などを巡る日本の対応をけん制し、岸田氏は「日中の外相往来が長きにわたって途絶えていることは望ましくない」と関係改善を呼びかけたと伝えられている。また今年後半に日本で開催予定の日中韓首脳会談についても協議したとみられる。冷え込んだ日中関係の関係改善に一歩踏み出した感はある。
 G7伊勢志摩サミットが意義のあるサミットになるかどうか、安倍首相の難しいな舵取りが求められることになる。(2016年5月1日記)




オバマ氏、米現職大統領として初の広島訪問
 2016年5月10日、オバマ米大統領は伊勢志摩サミット出席のため訪日した際、サミット終了後の27日に広島を訪問すると、日米両政府が発表した。71年前の原爆投下以降、現職の米大統領が広島を訪れるのは初めてである。平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花し、2009年のプラハ演説で自らが提唱した「核なき世界」の理念を改めて広島から世界に発信する方針だ。
 安倍首相は「唯一の戦争被爆国の首相である私と共に世界で唯一核兵器を使用した国の指導者が共に犠牲者に対して哀悼の誠を捧げる。このことがまさに犠牲になった方々、そして今も苦しむ人々の思いに答えるこのだと信じている」と語った。
 オバマ氏は09年に大統領として初訪日した際、記者会見で「広島、長崎を将来訪れることができれば非常に名誉なことだ」と述べていた。しかし広島訪問の決定は米国内への影響などを慎重に検討した結果、訪日直前までずれ込んだ。
 オバマ米大統領は、平和公園の原爆慰霊碑に献花したのち、17分間に及ぶ演説を行い、広島、長崎への原爆投下が引き起こした甚大な犠牲について所感や「核なき世界」への決意を示した。 その一方で、原爆投下について「謝罪」や原爆投下の是非には触れなかった。
 オバマ米大統領の被爆地・広島訪問が実現したことで、世界各国のメディアの関心は、一斉に「広島」に集まった。伊勢志摩サミットのプレゼンスは急速に失われ、G7首脳会合での議論の成果への注目度が一気に消え去ってしまった。圧倒的な存在感を示したのはオバマ大統領だった。
 伊勢志摩サミットの成功を謳うためには、国民を納得させる確かな成果をあげることが必須で、安倍首相の力量がまさにこれから試されることになる。
(2016年5月20日)





原爆慰霊碑に献花するオバマ大統領






被爆者との面会も実現


生中継画面に見入る報道陣(IMC)

安倍首相「リーマン・ショック級の経済危機」強調
 伊勢志摩サミットで、安倍晋三首相が強調したのは、世界経済について“リーマン・ショック級の経済危機”だった
 「リーマン・ショック前の状況に似ている」と安倍首相は首脳会議で4枚の資料を提示して悲観的な景気見通しを示した。
安倍首相は新興国向けの投資の伸び率がリーマン・ショック時を下回ることや、原油や穀物といった商品価格の下落率が当時に匹敵する55%になることなどを指摘して、そのうえで、リーマン・ショックの2カ月前に開いた北海道・洞爺湖サミットで危機を予見できなかったことに触れ「その轍(てつ)は踏みたくない」と訴えた。
“リーマン・ショック級の経済危機”が再来する可能性を強調することで、安倍首相がめざす財政出動を含む政策協調に各国の理解を得るという狙いがあった。

演出された「経済危機」 安倍首相の“思惑”
 しかし、新興国は減速しているが、米国経済は堅調で、原油価格も持ち直しているなど、「危機前」とする安倍首相に各国首脳や海外メディアから異論が噴出した。
ドイツのメルケル首相は、 「『危機』とまで言うのはいかがなものか」と 世界経済の先行きについて、「対応を誤れば、危機に陥る」と強調する安倍首相に異議を唱えた。メルケル氏は会合後、記者団に「世界経済はそこそこ安定した成長を維持している。だが、とくに新興国に弱さがある」と述べている。
フランスのオランド大統領は会見で、今後、危機に陥る可能性は排除できないとしつつも、「今はむしろ、私たちは危機の後にいる」と述べた。
英フィナンシャル・タイムズ紙は「(英国の)キャメロン首相は世界経済について楽観的な見方だ」という英政府報道官の発言を引用し、安倍首相の世界経済の悲観的な見通しに同調していないと伝えた。
英タイムズ紙(電子版)は「世界の指導者は安倍首相の懸念に同調せず」との見出しの記事を掲載。安倍首相の「リーマン級」発言について、国内の政治的難局の打開策だと報じ、公約に反して消費増税を延期するために、差し迫った金融危機への警告にG7首脳のお墨付きを得ようとしたものだと報道した。

消費税率10%への引き再延期
 5月27日、安倍首相は、G7サミットを締めくくる議長会見に臨み、「リーマン・ショック」という言葉を7回も使って「世界経済のリスク」を強調したうえで、「アベノミクスのエンジンをもう一度、最大限ふかしていく決意だ。消費税率の引き上げの是非を含めて検討する」と踏み込んだ
そして、伊勢志摩サミットの直後、6月1日、安倍首相は、記者会見で消費税率10%への引き再延期を発表した。
2014年に消費税率10%への引き延期を表明した際、首相は「リーマン・ショックや東日本大震災」のような重大事がない限り再度の先送りはしないと明言した。そこで再延期にあたっての理由に、“リーマン・ショック級の経済危機”がどうしても必要だったのではないか。
 消費増税は先送りしたいが、安倍政権の看板であるアベノミクスの“失敗”を認めたくない。G7首脳会合の場を利用して、各国首脳から“お墨付き”を得ようとしたと見るのが自然である。

 伊勢志摩サミットの場は、安倍晋三首相にとって、消費増税を先送りする口実づくりの恰好の場であった。「世界経済のリスク」を理由に、「アベノミクスの失敗」という批判をかわしたいという思惑が見え隠れした。
しかし、安倍首相が強調した“リーマン・ショック級の経済危機”は、世界から“失笑”を買ったのは間違いない。
米国経済は堅調で、ニューヨーク株式市場は史上高値を更新し、原油価格も持ち直してしている。焦点の中国経済も、今年のGDP成長率6.5%は達成できという楽観論が出ている。また足踏み状態が続いている日本経済も成長軌道に向けて動き始めたという見方も出始め、日経平均株価も1万8000台をうかがう状況だ。
 “リーマン・ショック級の経済危機”は、一体どこへいったのだろうか?

伊勢志摩サミット首脳宣言要旨(抜粋)
 【世界経済】
 世界経済の回復は続いているが、成長は緩やかでばらつきがあり、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まっている。新たな危機に陥ることを回避するため、適時にすべての政策対応を行い、現在の経済に対応するための努力を強化する。すべての政策手段(金融、財政、構造改革)を個別、総合的に用いる。財政戦略を機動的に実施し、構造政策を果断に進めることについて、取り組みを強化する重要性に合意した。
 過剰な生産能力は、世界的に影響がある課題だ。


議長会見(安倍首相)

伊勢志摩サミット・首脳会合の会場は?
 首脳会合の会場となる三重県志摩市の賢島の志摩観光ホテルは、1951年開業のクラシック(6階建て、延べ床面積約1万8600平方メートル)と、2008年に開業のベイスイート(5階建て、同約1万800平方メートル)の二つの建物がある。 近鉄系列のホテルチェーン「都ホテル&リゾーツ」の国際観光ホテルだ。
クラシックは、本館が木造建築、創業当時のものである。故・山崎豊子さん原作の小説「華麗なる一族」の舞台になったことで知られている。大宴会場「真珠」では主要会合が行われる予定だ。2015年5月から、耐震補強工事と客室の改装のために来春まで休館中である。
ベイスイートは全50室がスイートルームで各国首脳の宿泊施設となる予定だ。志摩観光ホテルには、天皇陛下は皇太子時代を含めて5回も宿泊している。



*志摩観光ホテル・クラシック(左)、志摩観光ホテル・ベイスイート(右)は首脳会合場や首脳等の宿泊施設になる予定(出典 都ホテル&リゾート)


*志摩観光ホテルクラシック 耐震補強・改装工事のために、2015年5月から2016年春まで休館
(出典 都ホテル&リゾート)



*賢島宝生苑 賢島島内にある大型ホテル サミット事務局、各国事務局、サブ・メディア・センター、サミット議長会見場が設置される。各国随行員ホテル等での利用も想定される(出典 賢島宝生苑)


*伊勢志摩ロイヤルホテル 各国首脳会見場が複数設置される。各国随行員ホテル、事務局等での利用も想定される。(出典 志摩市観光協会 ホームページ


G7エルマウ・サミット (出典 G7 Germany Webpage) 伊勢志摩サミットでは英虞湾を背景に撮影

伊勢志摩サミット 国際メディアセンター(IMC)は三重県営サンアリーナに設置

  2015年9月8日、外務省は、伊勢志摩サミットの国際メディアセンター(IMC)を、伊勢市朝熊町の県営サンアリーナに設置すると発表した。
 サンアリーナは延床面積約2万4000平方メートルの三階建て施設。延床面積約1万4000平方メートルのメインアリーナと約4900平方メートルのサブアリーナやトレーニングルーム、会議室などの施設が整備されている。
この他に隣接する駐車場に、IMCのアネックス、鉄骨2階建て、延べ約8000平方メートルの仮設増設棟を建設した。外観は伊勢の街並みの黒壁など、地元の伝統的なデザインを取り入れ、木の丸柱に囲まれた通路などを設置し、「和」を感じさせる建物で、事業費は約28億5000億円。 日本の先端技術、伝統文化を発信する展示スペースや、メディア用の食事の提供スペースも設けた。このアネックスはサミット終了後、数日間一般公開をした後、約3億円かけて取り壊される予定である。
 国際メディアセンター(IMC)は、世界各国から訪れる新聞、雑誌、通信社、そして放送機関などのメディアの取材・編集拠点、約4000人のメディアの参加を見込んでいる。国際メディアセンター(IMC)には、専用ワーキング・ブースや共用ワーキング・スペース(約1020席 2個所)や共用ブリーフィング・ルーム(2か所)、インフォーメーション&ITヘルプデスク、IMCシャトルバス・インフォーメーション、外務省報道官室(外務省事務局)(アネックス)、展示スペース(アネックス)、プレス用レストラン(アネックス)、そして放送機関用の国際放送センター(IBC)が設置される。施設内には、CCTV(館内共聴テレビ)で、G7サミットの様子やイベント・スケジュール、各種案内が放送され、高速のWifi環境も整備された。
 国際放送センター(IBC)は、世界各国の放送機関向けに設置される施設で、首脳会合や議長会見、各国首脳会会見、関連イベントなどの映像・音声のホスト信号が配信される。映像・音声信号を調整、監視、分配するマスター・コントロール・ルーム、IBCブッキング・オフイス、共用編集室、音声ルーム、IP伝送サービスコーナーなどが設置される。  また各放送機関専用のワーキング・ブースや共用ワーキング・スペース、記者リポポジションも整備された。映像・音声メディア機関の拠点が国際メディアセンター(IBC)である。
 国際放送センター(IBC)の施設は、サンアリーナだけなく、賢島内にある賢島宝生苑にサブメディアセンター1(SMC1)と議長国首脳会見場、志摩市の伊勢志摩ロイヤルホテルにサブメディアセンター2(SMC2)(各国首脳会見場)が設置された。
SMC1は、賢島内で取材活動をするメディアの拠点で、志摩観光ホテル・クラシックや志摩観光ホテル・ベイスイートで行われたG7首脳会合やワーキング・デイナー、ワーキング・ランチ、アウトリーチ首脳会合などのENG取材映像(代表取材)の伝送ポイントが設営されと共に、賢島内で取材活動を行う記者やカメラマンの待機場所となった。ENG伝送については、Japanプールは10回、米国プールは3回、ドイツプールは2回、EUは1回の伝送を行った。また、サミットの総括を行う議長国首脳会見場も設置された。
SMC2には、各国首脳会見場、3カ所が伊勢志摩ロイヤルホテル内に整備された。
国際放送センター(IBC)の設置・運営業務やホストブロードキャスター業務は、請負事業者を公募したが応募したのがNHKだけだった。NHKは、外務省と随意契約協議を行い、約7億3400万円で外務省から業務を受託した。



エルマウ サミット ドイツ G7 2015  G7 Germany2015 Schloss Elmau

北海道洞爺湖サミット(2008年) 国際放送センター(IBC)

伊勢志摩サミット 閣僚会合 全国10か所で開催

 2015年7月3日、菅義偉官房長官は記者会見で、伊勢志摩サミット関係閣僚会合について、科学技術大臣会合をつくば市、情報通信関係大臣会合を高松市、教育大臣会合を倉敷市、保健大臣会合を神戸市、農業大臣会合を新潟市、エネルギー大臣会合を北九州市、交通大臣会合を軽井沢町、環境大臣会合を富山市でそれぞれ開催すると発表した。
 すでに公表されている外務大臣会合(広島市)、財務大臣会合・中央銀行総裁会議(仙台市)を含めて、あわせて10会合の開催地がすべて決まった。 
 閣僚会合の開催地を決めるにあたっては、国際社会が直面する様々な課題や、「地方創生」の観点を踏まえたとしている。
 全国各地でできるだけ多くの会合を、各地域の特色を活かして、開催することで、安倍政権の看板政策である「地方創生」を強調する狙いが込められた“開催地選定”となった。
 それぞれの開催地選定のポイントとして、神戸市は、「阪神大震災からの復興と最先端医療の拠点」、つくば市は「世界で最先端の科学技術研究都市」、高松市は「情報通信を利用した遠隔地医療ネットワークの全国初の全県導入」、倉敷市は「江戸時代からの伝統的建造物や街並み、教育・文化を核にした街づくり」、新潟市は「農業特区の先進県、和食文化とおもてなし」、北九州市は「八幡製鉄所と最先端のエネルギー政策実証実験都市」、富山市は「環境モデル都市の推進、国連環境計画の事務所設置」、軽井沢町は「新幹線の開通と交通の利便性、国際的なリゾート地」を挙げている。
この他、仙台市は、「東日本大震災からの復興」、会合場は東北の名湯、秋湯温泉の温泉ホテルだ。広島市は「被爆地 平和と核廃絶」、会合場は瀬戸内海に面した宇品島のホテルである。
 首脳会合が開催される伊勢志摩を念頭に入れた上で、閣僚会合の開催地は、全国各地の地域バランスにも配慮した選定結果となった。九州地方からは北九州市、中国地方からは広島市と倉敷市、四国地方からは高松市、関西地方からは神戸市、日本海側からは富山市と新潟市、関東地方からつくば市、東北地方からは仙台市が選ばれた。
 札幌市は閣僚会合の開催地として立候補していたが選ばれず、唯一、北海道地方での伊勢志摩サミット関連会合の開催はない。
 今回の開催地の選定で注目されるのは、高松市(情報通信関係大臣会合)、倉敷市(教育大臣会合)、北九州市(エネルギー大臣会合)、富山市(環境大臣会合)で、安倍政権の伊勢志摩サミットにかける“意欲”が伺える。
 閣僚会合の会場は、各開催都市にある国際会議場や国際ホテルを使用する。
 科学技術大臣会合(つくば市)は「つくば国際会議場」、情報通信会合(高松市)は「香川国際会議場」、農業大臣会合(新潟市)は「朱鷺メッセ」が会場となる。
  一方、保健大臣会合(神戸市)や「神戸ポートピアホテル」、エネルギー大臣会合(北九州市)は「リーガロイヤル小倉」、外務大臣会合は「グランドプリンスホテル広島」、教育大臣会合(倉敷市)は「倉敷アイビースクエア」と大型国際ホテルなどを会場とした。
 ユニークなのは、財務大臣・中央銀行総裁会議で秋保温泉の「ホテル勘助」、温泉地のホテルで開催される。年明け早々、中国経済の先行き不安と原油安で世界同時株安に見舞われた2016年、温泉でくつろぎながら各国の叡智を集めて、世界経済の安定に向けて有意義な会合になるように期待したい。



NHKニュース 2015年7月3日


外務省 伊勢志摩サミット 閣僚会議

広島外相会合 G7外相平和公園訪問が実現
  伊勢志摩サミットの閣僚会合の中で、最も重要な会合でトップを切って開催されたのはG7外相会合である。
 4月10日と11日、G7外相会合は被爆地、広島市で開催された。広島市は首脳会合の開催地としも立候補していた。
 会合場は瀬戸内海に面した宇品島にあるグランドプリンスホテル広島で行われ、国際プレスセンター(IMC)や国際放送センター(IBC)は広島国際会議場に設営された。
広島外相会合で世界中のメディアから最も注目されたのは「広島宣言」や共同声明でもなく、核保有国の米英仏を含むG7外相がそろって平和記念公園を訪れ、原爆平和記念資料館や原爆ドーム視察し、原爆慰霊碑に献花したことであった。G7の核保有国の外相が平和記念公園を訪れるのは初めて、とりわけ原爆を投下した米国の現職の国務長官が参加する意義は大きい。
 広島外相会合の開催が決まると、討議の内容もさることながらG7外相の平和記念公園を訪問が実現するかどうかが最大の焦点になった。
 広島市にG7外相が訪れる以上、原爆死没者慰霊碑がある平和記念公園を訪問するのは「自然の流れ」で地元では「当然」と受け止めていた。
 しかし、核保有国の米英仏が応じるかは微妙な情勢といわれていて、とりわけ原爆投下国の米国の動向が注目されていた。
 仮に、G7外相の平和記念公園を訪問がなんらかの形でも実現しなければ、広島外相会合開催の意義がなくなる懸念が生まれていた。
 さらに政府は、核軍縮への今後の方向をまとめた「広島宣言」を発表するため各国と調整を続けており、「核兵器の非人道性」など日本の主張をどこまで盛り込めるかが注目されていた。
 次は、伊勢志摩を訪れるオバマ大統領の平和記念公園の訪問が実現するかが
最大の焦点になった。
 ワシントンで開催された核セキュリティサミットの流れを引き継ぎ、伊勢志摩サミットで日本がリーダーシップをとって停滞している核軍縮・不拡散への取り組みをさらに前進させる契機にして欲しいと期待が集まった。



原爆死没者慰霊碑に献花したG7外相

広島宣言を採択して閉幕
 5月末に開催される伊勢志摩サミット前に、広島市で開かれていたG7外相会合は2日間の日程を終えて閉幕した。
 11日午後、岸田外務大臣が記者会見し、共同声明と注目されていた「広島宣言」を発表した。
 「広島宣言」は、G7外相会合が被爆地・広島で開催されたことから、外相会合として初めて核軍縮・不拡散に特化した独立文書としてまとめられて、原爆投下を「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難」と表現し、世界の政治指導者に被爆地の広島や長崎への訪問を促すし核軍縮の必要性を訴えた。
 核兵器自体に対して「非人道性」という指摘を避け、原爆投下の被害を「非人間的」と記述して、核保有国の米英仏との合意に持ち込んだものと見られる。核の抑止力で世界秩序の維持を掲げ核の保有を正当化する米英仏は、核兵器自体を「非人道的」とすることはできないのである。
 また、核兵器の保有の実態を明らかにしていない中国を念頭に置き、「核兵器保有の透明性を向上させたG7の核保有国の努力を歓迎する」としたうえで、に、「他国にも同様の行動を求める」とし透明の向上を求めている。
 共同声明では、欧州で頻発するテロの深刻化を受けて、「テロ・暴力的過激主義対策」を全面に出した内容となった。テロを「全世界的な喫緊の安全保障の脅威」として、テロへの具体的な対抗策を盛り込んだ「G7テロ対策行動計画」を伊勢志摩サミットで採択することなどを盛り込んでいる。
岸田外相は記者会見で、「G7各国外相が平和記念公園を訪れたことと合わせて、国際社会で核なき世界を作っていく機運を再び盛り上げる歴史的な一歩になった」とG7広島会合の成果を述べた。
 核軍縮・核不拡散に向けて初めて独立文書を採択した点は評価できる。しかし、核廃絶に向けて、核保有国と非核保有国が一致して一歩前進できたかだどうかは「広島宣言」からは読みとれない。被爆地・広島の人々の願いは、やはり核廃絶であろう。


伊勢志摩サミットはこうして決まった!
▼ 8つの自治体が開催地に“名乗り”
 2015年4月1日、菅官房長官は記者会見で、来年日本で開かれるサミット=主要国首脳会議の開催地について、現在、名乗りを上げている8つの自治体のなかから選ばれることになるという見通しを述べた。「いずれにしてもドイツで行われる、ことしのサミットに安倍総理大臣が行く前までには決定するということだ」とした。
 サミット=主要国首脳会議は2016年、8年ぶりに日本で開かれることになっており、これまでに開催地として仙台市、新潟市、長野県軽井沢町、浜松市、名古屋市、三重県、神戸市、広島市の8つの自治体が名乗りを上げている。この内、三重県は、当初は関係閣僚会合の開催地として、今年1月に最後に立候補したが、その後、「首相サイドの働き掛けで」(時事通信 4月1日)首脳会合の開催地(賢島)に切り替えたと伝えられている。


■ 2016年サミットの候補地

出典 NTV News Zero 2016年、サミットはどこで?  2015年4月13日

▼ 開催地選定のポイント “警備”と“保養地”
 首脳会合の開催地の選定で、ここ数年、重要視するのは“警備”のしやすさ。
 反グローバルリズムの抗議デモによる混乱や、テロなど不測の事態の対処が課題である
 北海道洞爺湖サミットでは、反グローバルリズムを唱える団体が、札幌市や洞爺湖町周辺に次々と集まり、サミット抗議活動を行った。7月5日には,札幌市内で行った「ピースウォーク」には、海外の団体も加わり、約2,000人が参加したという。
札幌市内と首脳会合が開かれた洞爺湖ウインザーホテルとは、かなり距離があり、会場付近はまったく混乱がなかった。
 また最近、世界各地で相次いで起きているイスラム過激派組織のテロの目標にされることも懸念されている。
 複数のメディアは、警察庁が警備上の観点から、開催地として三重県・賢島か長野県軽井沢町が望ましいとの報告を上げたと伝えている。
 軽井沢町は、首脳会合開催の誘致活動にいち早く熱心に取り組んで、他の候補地に先行していて、“本命”視されていた。皇室の静養地でVIPの訪問が多く、警備で実績があることや、保養地として高い評価を得ていたことがその背景にある。ただ、なぜ軽井沢かという理由づけが難しいとされていた。
 最近のサミットは、豊かな自然環境に囲まれた“保養地(リトリート)”を各国は好んで開催地に選んでいる。安倍首相も「美しき日本」を世界に熱心にアピールしていることも見逃せない。
 今年の6月7日と8日にドイツが議長国で開催するサミットは、オーストリアとの国境に近いアルプス山麓にあるエマウル城が舞台となる。
 こうした観点で誘致をした8つの候補地を見ると、長野県軽井沢と三重県賢島が“有利”だとされていた。
 また「交通の便」の良さや、宿泊施設が十分に確保できるかどうかなども評価のポイントとなる。
 さらに、今回の開催地選定にあったって政府首脳が繰り返し強調していたのが、“メッセージ性”である。首脳会合の開催地に政治的なメッセージを込め、国際社会に向けてG7サミットの開催の意義を発信しようとするものである。
 単に、豊かな自然環境に囲まれた“保養地(リトリート)”とか、警備がしやすいだけでは要件を満たさないとされていた。

■サミット候補地の“メッセージ性”
仙台市       東日本大震災からの“復興” 防災・減災を発信
新潟市       米や日本酒 和食のもてなし文化
長野県軽井沢町 世界的なリゾート地
浜松市       世界文化遺産富士山 徳川家康ゆかりの地・歴史と文化
名古屋市     交通の利便性 国際会議の開催実績
三重県志摩市  伊勢神宮の歴史、伝統文化と自然景観や食
神戸市       国際貿易都市 阪神大震災20年の“復興”による防災・減災都市
広島市       被爆地 平和と核廃絶


▼ “急浮上”した三重県・賢島
  三重県・賢島は、英虞湾に浮かぶ景勝地。海に囲まれて、本土側からは橋以外に交通手段がなく、警備上の観点で評価が高いという。北海道洞爺湖サミットの首脳会合の会場となったウインザーホテル洞爺は、洞爺湖を見渡す山頂に建ち、麓から登る道路は1本しかないという“警備”上の観点からはまたとない立地条件だった。
 また伊勢神宮も付近にあることもあって、三重県は「伊勢志摩サミット」として、自然だけでなく日本の伝統文化もアピールできるとして、有力な開催地として“急浮上”しているという。
 これに対して、仙台市は「東日本大震災からの復興」、国連世界防災会議の成功がアピールのポイントだ。しかし、大型国際ホテルが少なく、首脳会合を開催地としては宿泊施設の確保に懸念があるとされていた。
 阪神大震災から20年を迎えた“震災復興”を掲げる神戸市は、市街地であり要人警護などの交通規制など市民生活への影響が大きくなるのが懸念材料だ。“豊かな自然環境”という点では、賢島や軽井沢には一歩及ばないと思える。
また広島市は「被爆地・平和と核兵器廃絶」、オバマ米大統領の初訪問を呼び掛けている。“ヒロシマ”の持つ政治的“メッセージ性”は鮮明ではあるが、その“メッセージ性”にG7各国が納得するかにかかっている。


▼ 難航したサミット開催地の選定
 選定作業は、「警備のしやすさや話題性など、様々な要素が絡み合うだけに、一筋縄ではいきそうにない」(4月19日 讀賣新聞)という報道もされている。
 サミット開催地の選定にあたっては、「警備」が、最重要のポイント、その中で軽井沢町と伊勢志摩・賢島が“有力”と見られてきた。賢島は、人の出入りが規制しやすく、軽井沢町は皇室や要人がたびたび訪れていて、要人警護の経験が豊富だとされている。
 賢島については、「ただ、利便性で見ると、志摩市は首都圏から交通の便が悪く、『各国政府関係者の移動が困難』との声もある」(4月19日 読売新聞)とマイナス面を指摘する声もあったとされている。
自然豊かな保養地、警備のしやすさ、宿泊施設・交通の便という3要素を全て満たし、しかも“メッセージ性”が込められる候補地はなく、政府関係者は「どこも一長一短で決め手に欠く」と漏らしていたという。
 開催地の決定は、ドイツ・エルマウ・サミットに安倍総理が出発する日までギリギリまで延ばされた。
 最終的には安倍首相の判断で、賢島が2016G7首脳会合の開催地に選ばれたとされている。


▼ 伊勢志摩サミットを選択した安倍首相
 2015年6月5日夕方、安倍首相はウクライナとG7ドイツ・エルマウに出発したが、羽田空港で記者団に対し、来年のサミット開催地は、三重県志摩市賢島と決定したと表明した。「世界のリーダーたちに、日本の美しい自然と豊かな文化や伝統を肌で感じてもらいたい」と述べ、「伊勢・志摩サミット」とするとした。
 安倍首相の「日本の文化や伝統」を重視するという強い意向が感じられる。
 サミット開催地の発表は、前の年の首脳会合(ドイツ・エルマウ・サミット)で、次の議長国(日本)が各国首脳に正式に発表するのが慣例なっている。一方、サミット開催の準備には、会議場や施設の確保や通信・交通などのインフラ工事、警備体制などで最低1年以上の期間が必要とされている。
 開催地の決定をぎりぎりまで待って発表するというのは異例と言えるだろう。
「今回の選定作業は、安倍総理と菅官房長官らの間で極秘裏に進められた。5日、総理に会った政府与党幹部の一人は、発表を控え気合の入った様子に驚いたと語るなど、安倍政権として5日のサプライズ発表を演出するために相当力を入れていたことが伺える」(JNNニュース 2015年6月5日)と伝えている。



G7エルマウ・サミット ワーキング・ディナー (出典 G7 Germany Webpage)

伊勢志摩サミット 警備対策が最大の課題に
 2015年9月17日、政府は伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)準備会議の第2回会合を開き、「警備対策の基本方針」を決定し公表した。無人機「ドローン」によるテロやサイバーテロへの対策強化などを指摘している。政府主催の大規模国際会議に向けた警備対策の基本方針を公表するのは初めてとしている。
 基本方針では、各国首脳・要人の安全確保に加えて会議の円滑運営を目的としている。世界のサミットで多発する反グローバリズム勢力による暴動のほか、日本特有の極左・右翼集団によるテロ事件、重要インフラに対するサイバー攻撃などを想定。不審者の入国やテロ関連物資流入を防ぐ水際対策や、民間企業を含めた関連機関との連携強化も掲げた。
(参考 毎日新聞 2015年09月18日 東京朝刊)
 11月に発生したパリ同時多発テロが伊勢志摩サミットの警備対策強化を加速させている。
 テロの標的が警備の手薄ないわゆる「ソフトターゲット」向けられたことが衝撃を与えている。サミット開催地周辺や政府機関、空港だけでなく、国内各地の市民が集まる繁華街や広場、スタジアム、商業施設などの警備をどうするかが課題になっている。


伊勢志摩サミット サイバー攻撃 2016年サミットは格好の標的に テロの主戦場は“サイバー空間”
 国際政治の晴れ舞台、2016年伊勢志摩サミットや2020年東京オリンピック・パラリンピックはサイバー攻撃の恰好の標的になると思われる。攻撃者にとってのデモンストレーション効果は極めて大きい。
 日本年金機構が“サイバー攻撃”を受け、国民年金や厚生年金などの加入者と受給者の個人情報、約125万件が外部に流出した事件は、改めて、高度化したネットワーク社会の“危うさ”を露呈した。
“世界最高水準のICT”をキーワードに日本は、今、一斉に動き出している。超高速ブロードバンドやワイヤレスブロードバンド(5G・WiFi)、さらに4K、8Kの高繊細放送も実施して、“世界で最高水準”の「ICT立国”を目指そうとする計画である。2020年東京オリンピック・パラリンピックがターゲットだ。
  こうした中で、“サイバー攻撃”をどう撃退していくのか、日本の最大の課題である。2016年サミットは、その“前哨戦”だろう。
 「ICT立国」を掲げるなら「サイバーセキュリティ立国」を同時に掲げなければならいことを忘れてはならない。

2015年6月17日

伊勢志摩サミット サイバー攻撃 2016年サミットは格好の標的に” テロの主戦場は“サイバー空間

伊勢志摩サミットの開催経費は?
 伊勢志摩サミット開催に要する予算総額が約600億円に上り、うち警備関連費が約340億円になる見通しだとされている。前回2008年の北海道洞爺湖サミットとほぼ同水準だが、政府筋によると、国際会議開催に関しては、既存の資機材やノウハウを活用できるため前回より減額されるのが通例で、総額、警備費の水準維持は実質的な増額に当たるという。 (毎日新聞 2015年11月24日)
パリ同時多発テロ後の緊迫した情勢の中で、セキュリティ対策で、情報収集強化や警備態勢に万全を期すためだとしている。
 しかし、全体のサミット関連の予算の執行にあたっては経費節約に最大限努力をしなければならない。サミットで整備される施設が利用されるのは、首脳会合で約3日、閣僚会合(10か所)では約2日程度で、会議が終了したらすべて撤去する施設であることを忘れてはならない。
過去のサミット開催では不祥事も発生したり、民主党政権時代には「事業仕分け」でサミット開催経費の無駄遣いが指摘されたりした。
 サミットやオリンピックなどの国家的イベントの予算管理は往々にして“甘え”が生まれる。建設費を巡って“迷走”を繰り返した新国立競技場の失態を忘れてはならない。約340億円とされる警備費も聖域ではない。
 すべてのサミット開催経費には透明性、説明性を徹底する必要があるだろう。


伊勢志摩サミットの経済効果、開催後5年間で1110億円
 百五銀行のシンクタンク、百五経済研究所は、外国人観光客数の増加や国際会議開催件数の増加などで、三重県内の経済効果は、開催後の5年間で約1110億円に上るとの試算を発表している。
 試算では、外国人観光客の宿泊者数は2014年に比べ5倍の年90万人になると想定。観光消費額は131億円増え、外国人観光客の増加による経済効果は年185億円とした。
 そして三重県の国際会議開催件数は2009~2013年の5年間の平均で2.6回と低水準だが、サミット後は、数百人規模の国際会議が年30回開催されるとし、その効果を37億円とした。
以上を合計すると年222億円の経済効果があり、5年間で1110億円になると試算した。
 さらに国内観光客数の増加による経済効果も試算。県外からの観光客数が年240万人増え、その経済効果は年495億円になり、開催後1~2年は持続すると試算した。
 また同研究所では、運営事業費などによるサミットの直接的な経済効果が全国で510億円あり、このうち三重県内は130億円に上るとの試算も発表している。
 しかし、北海道洞爺湖サミットの開催地洞爺湖地域を見ると、サミット開催後5年間も観光客の増加など波及効果が持続すると想定するのは現実的ではなさそうである。伊勢志摩地域で、持続的な波及効果を得るには、相当の努力が必須だろう。サミット開催の経済効果が“夢物語”にしないためにも……。


「伊勢志摩サミット」で何をアピールするのか?
  安倍首相は、伊勢志摩サミット決める際に、「世界のリーダーたちに、日本の美しい自然と豊かな文化や伝統を肌で感じてもらいたい」と述べ、「日本の文化や伝統」を重視したいという強い意向を示した。
 すぐに連想されるのは、伊勢志摩の風光明媚な自然や伊勢神宮、伊勢海老などの海の幸の和食だろう。
 しかし、2016年、日本がG7首脳にアピールしなければならないのは、次世代の日本の成長戦略のカギを握るICTやIOT、人工知能AI、第五世代移動通信システム5G、そして4K/8Kの超高精細映像技術などだろう。G7首脳が一堂に会するサミットは日本の先端技術をアピールする格好のショールームだろう。


暗雲 4K8K放送 2020年までに“普及”は可能か
5G・第5世代移動体通信 “世界に先駆け”2020年東京オリンピックに向けて実現へ


サミットの“ジンクス”
  サミット開催には、最近、奇妙な“ジンクス”がある。
 2000年の九州・沖縄サミットは、開催地に選定した小渕恵三首相が、病に倒れ、森喜朗首相が議長役を務めた。
 2008年の北海道洞爺湖サミットでは、開催地に決めたのは安倍晋三首相(第1次政権)、しかし、「健康問題」で退陣し、福田康夫首相が議長役を果たした。サミット開催地を決めた首相と議長役を務めた首相は違っていたのである。
また、サミットの議長役を務めた首相は、いずれも1年以内に退陣している。
 安倍首相は7月の参院選前に、消費増税をどうするのかを決定するとした。一気に政局の季節に突入する。
 果たして安倍首相は国際政治での晴れ舞台で「サミット議長」という大役を確実に果たし、日本のプレゼンスを世界に示すことに成功したのだろうか。伊勢志摩サミットの開催経費は600億円、“実り豊かな”サミットになったといえるのだろうか。オバマ大統領の“広島訪問”にすっかり主役の座を奪われた気がするのは言い過ぎだろうか。





国際メディアサービスシステム研究所




2016年8月1日改訂
Copyright (C) 2016 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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G7広島外相会合 原爆慰霊碑 ケリー国務長官 広島宣言 最新情報  伊勢志摩サミット

2023年04月24日 21時26分15秒 | G7伊勢志摩サミット
G7伊勢志摩サミット広島外相会合開催
~ケリー米国務長官 原爆慰霊碑に献花~




出典 広島外相会合支援推進協議会 ホームページ

G7伊勢志摩サミットの成果は? 存在感を示せなかった安倍首相


 2016年は伊勢志摩サミット開催の年である。5月26日と27日に三重県の賢島で開催される。日本でG7主要国首脳会議が開かれるのは、2008年の北海道洞爺湖サミット以来、8年ぶりである。前回のサミットでは、安倍首相は直前に退陣し、議長を務めたのは福田首相(当時)だった。
 初めて、国際政治の“晴れ舞台”、G7サミットの議長を務める安倍首相は、G7各国の中で、いかにリーダーシップを発揮し存在感を示すか、真価が問われることになる。
 伊勢志摩サミットの閣僚会合の中で、最も重要な会合の一つは、外相会合である。首脳会合に向けて、国際情勢の課題を外相間で議論を行い首脳会合の“地ならし”をする重要な会合だ。4月10日と11日に広島で開催される。
 ベルギーの連続爆弾テロ事件から間もない時期の国際会議の開催とあって、広島は厳戒態勢に包まれている。
 政府はG7外相会合の開催地として被爆地、広島市を選んだ。伊勢志摩サミット開催にあたって、平和と核廃絶のメッセージ性をアピールするのがその狙いだろう。広島市は首脳会合の開催地としても立候補していた。
 広島外相会合に参加するのは、ジョン・ケリー米国国務長官,パオロ・ジェンティローニ・イタリア外務・国際協力大臣,フィリップ・ハモンド英国外務英連邦大臣,ステファン・ディオン・カナダ外務大臣,フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー・ドイツ連邦外務大臣,ジャン=マルク・エロー・フランス外務・国際開発大臣及びフェデリカ・モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員。
 議題はテロ・暴力的過激主義,難民問題,軍縮・不拡散,海洋安全保障等の国際社会が直面する喫緊の課題や,北朝鮮,中東,ウクライナといった地域情勢が取り上げられる。
 4月10日午後から、グランドプリンスホテル広島で全体会合が始まり、過激派組織「イスラム国」(IS)などのテロ対策や暴力的過激主義や難民対策を議論、各国が連携を強めることで一致した。シリア、イラク、アフガニスタン、イラン、リビアなどの情勢についても議論を繰り広げた。議長の岸田外相は「価値を共有するG7の間で率直で予定の時間を大幅に超える白熱した議論が行われた」と述べている。
 しかし、ドイツのシュタインマイヤー外務大臣は機体のトラブルで到着が遅れ、初日のセッションは欠席した。
 夕方は、宮島の世界遺産・厳島神社を訪問し、舞楽(舞を伴う雅楽)を鑑賞した。その後宮島でワーキング・ディナーを開き核実験や弾道ミサイル発射など挑発を繰り返す北朝鮮の問題や、南シナ海での中国の海洋進出問題などについて意見を交わした。到着が遅れていたドイツのシュタインマイヤー外相はワーキング・ディナーから合流した。
 4月11日午前は、核軍縮・不拡散問題やウクライナ情勢を協議。午前11前、原爆投下国である米国のケリー国務長官をはじめ、核保有国の英仏を含むG7外相が広島市の平和記念公園を訪問し、広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花した。G7の核保有国の現職外相が同公園を訪れるのは初めてで、被爆地、広島外相会合の中で、最も注目される象徴的なイベントだ。ケリー国務長官が献花をした際に、“おじぎ”をしなかっった点について、昼に行われた外務省のブリーフィングで、ドイツの記者から、その理由について質問が出たが、川村泰久報道管は、「ケリー国務長官に直接聞いて欲しい」としてコメントを避けた。隣にいた岸田外相が深々と礼をしていたのに対し、ケリー国務長官の直立の姿勢は、単に日米の献花のマナーの違いだったのだろうか、それとも他に何か理由があったのだろうか、筆者も気になった。
 原爆死没者慰霊碑に献花の後に、ケリー国務長官の提案で予定になかった原爆ドームも訪れた。ケリー国務長官の被爆地・広島訪問に対する積極姿勢がうかがえる。

広島宣言を採択して閉幕

 5月末に開催される伊勢志摩サミット前に、広島市で開かれていたG7外相会合は2日間の日程を終えて閉幕した。
 11日午後、岸田外務大臣が記者会見し、共同声明と注目されていた「広島宣言」を発表した。
 「広島宣言」は、G7外相会合が被爆地・広島で開催されたことから、外相会合として初めて核軍縮・不拡散に特化した独立文書としてまとめられて、原爆投下を「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難」と表現し、世界の政治指導者に被爆地の広島や長崎への訪問を促すし核軍縮の必要性を訴えた。
 核兵器自体に対して「非人道性」という指摘を避け、原爆投下の被害を「非人間的」と記述して、核保有国の米英仏との合意に持ち込んだものと見られる。核の抑止力で世界秩序の維持を掲げ核の保有を正当化する米英仏は、核兵器自体を「非人道的」とすることはできないのである。
 また、核兵器の保有の実態を明らかにしていない中国を念頭に置き、「核兵器保有の透明性を向上させたG7の核保有国の努力を歓迎する」としたうえで、に、「他国にも同様の行動を求める」とし透明性の向上を求めている。
 共同声明では、欧州で頻発するテロの深刻化を受けて、「テロ・暴力的過激主義対策」を全面に出した内容となった。テロを「全世界的な喫緊の安全保障の脅威」として、テロへの具体的な対抗策を盛り込んだ「G7テロ対策行動計画」を伊勢志摩サミットで採択することなどを盛り込んでいる。
岸田外相は記者会見で、「G7各国外相が平和記念公園を訪れたことと合わせて、国際社会で核なき世界を作っていく機運を再び盛り上げる歴史的な一歩になった」とG7広島会合の成果を述べた。
 核軍縮・核不拡散に向けて初めて独立文書を採択した点は評価できる。しかし、核廃絶に向けて、核保有国と非核保有国が一致して一歩前進できたかだどうかは「広島宣言」からは読みとれない。被爆地・広島の人々の願いは、やはり核廃絶であろう。



外相会合 セッション1


岸田外相とケリー国務長官

ケリー米国務長官、広島初訪問に「感極まった」

 平和記念公園を米国務長官として初めて訪れたジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は報道陣に「衝撃を受けた」と語った。
 ケリー国務長官は、平和記念公園を初めて訪れた米国務長官となったことについて「非常に大きな名誉だと感じたとともに、感極まるものだったことを個人レベルで表明したい」と述べた。また、平和記念資料館(原爆資料館)について「驚異的」で「人間としてのすべての感受性を揺さぶられる衝撃的な展示だった」と語った。さらに今回、広島を訪問したことでどんなメッセージを発信したいかと尋ねられると「すべての人が広島を訪れるべきだ」と述べた 原爆資料館では、ケリー長官は芳名帳に「世界中の全ての人がこの資料館を見て、その力を感じるべきだ」と記入。「この資料館は、われわれに核兵器の脅威を終わらせる責務だけでなく、戦争そのものを避けるため全力を注ぐ義務があることをあからさまに、厳しく、切実に思い出させる。戦争は、最後の手段でなければならない。決して最初の選択肢であってはならない」などと記した。


「謝罪はしない」と米国務省高官
 ただ、被爆地訪問に先立ちケリー長官は10日、岸田文雄(Fumio Kishida)外相との会談で「今回の訪問は、過去についてのものではない。現在と未来のためだ」と語った。
 一方、ケリー長官に同行している国務省高官は同日夜、第2次世界大戦(World War II)中に約14万人が犠牲となった米軍による広島への原爆投下についてケリー長官が公式に謝罪することはないと発言。「国務長官の広島訪問は謝罪のためかと聞かれれば、答えは『ノー』だ」と記者団に述べた。(。(AFP=時事/AFP BB NEWS 4月11日)



原爆死没者慰霊碑に献花するG7外相(4月11日 午前12時前


原爆死没者慰霊碑に献花するG7外相(4月11日 午前12時前)


ホストブロードキャスター(NHK)は原爆死没者慰霊碑に献花するG7外相の様子を生中継、IBCで各メディアに配信した(4月11日 午前12時前)


原爆死没者慰霊碑(4月11日 午前10時)


厳島神社を訪問


舞楽の鑑賞(厳島神社)

実現したG7外相平和公園訪問

 G7の核保有国の米英仏の外相が平和記念公園を訪れるのは初めてである。とりわけ原爆を投下した米国の現職の国務長官が参加する意義は大きい。米国内では、未だに原爆の投下は戦争終結を早めたとして原爆投下を正当化する世論が根強い。“広島訪問は原爆投下の「謝罪」”と受け止めて反発する意見も多くこれまで実現しなかった。
 広島外相会合の焦点は、アジェンダや共同声明の内容はさることながら、G7外相の平和記念公園を訪問問題が最大の焦点になっていた。
 広島市にG7外相が訪れる以上、原爆死没者慰霊碑がある平和記念公園を訪問するのは「自然の流れ」で、地元では「当然」と受け止めていた。
 しかし、核保有国の米英仏が応じるかは微妙な情勢だとされ、とりわけ原爆投下国の米国の動向が注目されていた。
 仮に、G7外相の平和記念公園を訪問がなんらかの形でも実現しなければ、広島外相会合開催の意義がなくなるという懸念が指摘されていた。
 G7外相平和公園訪問が実現して岸田外相や外務省は胸をなでおろしているだろう。
 政府は、外相会合の共同声明とは別に、核軍縮への今後の取り組みの方向をまとめた「広島宣言」を発表したいとしている。「核兵器の非人道性」など日本の核廃絶に向けた主張をどこまで盛り込めるかが注目される。
 オバマ米大統領が主導してワシントンで開催された核セキュリティサミットでは、核物質がテロリストに渡らないよう国際社会が管理を強化するとした共同宣言を採択した。核テロ防止のために核不拡散を徹底しようとするもので、「イスラム国」(IS)や北朝鮮を念頭に置いた内容とされている。核保有国も核テロ防止であれば合意は容易である。しかし、核廃絶へ向けた議論までは至らなかった。米英仏という核保有国と非核保有国が一致して、核廃絶へ向けた力強いメッセージを打ち出せるかどうか、議長国日本の手腕が問われている。
 次は、伊勢志摩を訪れるオバマ大統領の平和記念公園の訪問が実現するかが焦点になってきた。
 2009年4月5日、オバマ大統領は、チェコの首都プラハ・フラチャニ広場で演説し、核保有国のアメリカが核兵器廃絶の先頭に立つことを宣言した。いわゆる核廃絶宣言である。この歴史的な演説と「核なき世界」に向けた姿勢が評価され、オバマ大統領はこの年のノーベル平和賞を受賞したのである。
 ワシントンで開催された核セキュリティサミットの流れを引き継ぎ、伊勢志摩サミットで日本がリーダーシップをとって停滞している核軍縮・不拡散への取り組みをさらに前進させる契機になることを期待したい。


広島宣言「核の非人道性」盛らず 政府、保有国に配慮
 日本政府は、「広島宣言」に、日本が国際会議の決議案でたびたび主張してきた「核兵器の非人道性」を盛り込まず、「核兵器の使用が壊滅的結末を想起させる」との表現にとどめる方針を固めた。核保有国の米英仏に配慮した。
 「広島宣言は」外相会合の議長国・日本がとりまとめ、G7外相が「核兵器のない世界」を目指す意志を示すものとして11日に発表する。日本政府は従来、被爆国として「核兵器の非人道性」に言及して核軍縮を訴えており、宣言の表現は事実上の後退となる。
 日本政府が「核兵器の非人道性」への言及を断念したのは、昨年の核不拡散条約(NPT)再検討会議での議論が影響している。一部の非核保有国が「核の非人道性」を核兵器の法的禁止の必要性の根拠にし、米国など核保有国が強く反発した。日本が昨秋の国連総会で「核の非人道性」を強調する核廃絶決議を提案した際には、米英仏がそろって棄権した。
 米英仏を含むG7外相は、外相会合にあわせて平和記念公園を訪問することが予定され、オバマ米大統領の広島訪問も検討されている中で、日本政府は、宣言をめぐって議論が紛糾することを避ける判断をした。外務省幹部は「米英仏にとって『非人道性』は自国の安全保障に挑戦する急進派の代名詞になっており、説得は困難だ」と話してという。(出典 朝日新聞 4月8日)


広島宣言、外務省訳に異論 「非人間的な苦難」は意訳?
 主要7カ国(G7)広島外相会合で採択された「広島宣言」の文言を巡り、一部の核問題研究者やNGO関係者らが外務省が発表した日本語訳に疑問符をつけている。核兵器使用の被害の甚大さや核軍縮・不拡散を訴えた文書だが、核保有国を含む各国の立場を乗り越え、かつ被爆地の納得を得るため意訳したのではないかとの指摘だ。
 宣言では「広島及び長崎の人々は、原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験」とある。この「非人間的な苦難」の部分は採択した英文の正式文書の「human suffering」を訳したものだ。
 長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎センター長は「『非人間的苦難』と訳すのには無理がある」とツイート。NGO核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲・国際運営委員も「広島の世論も考え、『非人間的』と強引に訳して、非人道ではないがそれに近い言葉を勝ち取った。深刻な誤訳」とブログに記した。
 様々な国際会議で通訳や翻訳を手がける「オフィス赤谷」の赤谷慶子社長は朝日新聞の取材に、「非人間的苦難」にあたる英文は「inhuman suffering」、または「inhumane suffering」とし、「今回は『人的苦痛』と訳すのが適切だ」と話す。ただ「直前に『甚大な壊滅』という強い言葉があるので、ぎりぎり許される意訳だ」とも述べた。
 政府はこれまで国際会議では、被爆国として核軍縮に向けて核兵器の「非人道的結末」に言及。「humanitarian consequences」との英文を使ってきた。核軍縮問題に携わったことがある外務省の元幹部は「米国らに配慮し、日本語のみ強い言葉を使いたかったのでは」と話す。
 外務省幹部は「より広く核の悲惨さを訴える意味で、『非人間的な苦難』と訳した」と説明している。

■広島宣言の本文
The people of Hiroshima and Nagasaki experienced immense devastation and human suffering as a consequence of the atomic bombings and have rebuilt their cities so impressively.

■外務省の訳
広島及び長崎の人々は、原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験し、そして自らの街をこれほどまでに目覚ましく復興させた。

■赤谷慶子さんの翻訳
原爆投下により、広島と長崎の人々は甚大な壊滅と人的苦痛を経験したが、自らの街をこれほど見事に復興させた
(出典 朝日新聞 4月13日)
 
 「核の非人道性」の表現のニュアンスをなんとか込められないかという思いが「非人間的な苦難」の役につながったのではないかと筆者は考える。「人的苦痛」という訳の方が自然だろう。核兵器を巡る米英仏の核保有国と議長国日本とのせめぎ合いを彷彿させる。


被爆地・広島訪問検討へ オバマ米大統領、伊勢志摩サミット参加後
 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は9日、オバマ米大統領の補佐官らが、オバマ氏が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に参加後、被爆地広島を訪れる可能性について検討を始めたと報じた。広島滞在は数時間という。米政権高官の話としている。
 同高官は広島訪問が実現した場合、大統領就任直後の2009年に「核兵器なき世界」の実現を訴えた「プラハ演説」を思い起こさせるような演説を行う可能性があると示唆したという。
 同紙は、最終的な決断はまだされていないと指摘。現職大統領が被爆地を訪問すれば、原爆投下への謝罪と解釈されて米国内で批判にさらされ、今年11月の大統領選に影響が出るマイナス面もホワイトハウスは十分認識していると説明した。
 オバマ氏が09年に初訪日し天皇、皇后両陛下と面会した際、深々とお辞儀したことがやゆされ、後に共和党側から「謝罪をするために世界を回っている」と批判されたことにも触れた。(共同通信 4月10日)
 ケリー国務長官は、G7外相会合終了後の記者会見で、「いつか米大統領もその『すべて』の一人となり、ここに来られることを願っている」と語った。米国に帰国後、オバマ氏と会い、「ここで見たこと、そしていつか(オバマ氏が)訪問することがいかに重要かを確実に伝える」と述べ、オバマ大統領の広島訪問を促すとした。
 4月13日、ワシントンで行われたホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は記者会見で、「初めての核兵器の使用によって犠牲者が出た街ほど、『核なき世界』を目指す上で象徴的であり、力強い場所はない」と述べ、5月26、27日に開催される伊勢志摩サミットに合わて、広島訪問を前向きに検討していることを明らかかにした。



原爆ドーム


原爆資料館

核軍縮及び不拡散に関するG7外相広島宣言(仮訳 外務省)
 2016年4月11日

 我々は,世界にかつてない恐怖をもたらした第二次世界大戦から71年を経て,我々が広島で会合することの重要性を強調する。広島及び長崎の人々は,原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験し,そして自らの街をこれほどまでに目覚ましく復興させた。
 この歴史的会合において,我々は,国際社会の安定を推進する形で,全ての人にとりより安全な世界を追求し,核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメントを再確認する。この任務は,シリアやウクライナ,そしてとりわけ北朝鮮による度重なる挑発行為といった,多くの地域における悪化する安全保障環境によって一層複雑なものとなっている。
 我々は,EU3+3とイランとの間の包括的共同作業計画(JCPOA)の合意及び継続的な履行を歓迎する。これは,核兵器不拡散条約(NPT)が国際的な不拡散体制の礎石として強靱であることを示している。我々は,JCPOAが完全にかつ厳格に履行され,また,そのために国際原子力機関(IAEA)の検証活動が鍵となるとの決意を有している。
 我々は,全ての側面において,我々のNPTへの強いコミットメントを強調する。我々は,未だNPTの締約国となっていない国々に対し,遅滞なくかつ無条件で加入するよう求める。我々は,NPTの三本柱(不拡散,軍縮及び原子力の平和的利用)全てにわたり,その規定の完全な履行を強く支持する。我々は,IAEA及びその保障措置制度の中心的役割を再確認する。
 いかなる国も核兵器の実験的爆発を行うべきではなく,包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を達成すべく,全ての国は遅滞なくかつ無条件でCTBTに署名・批准すべきである。優先事項として,我々は,ジュネーブ軍縮会議に対し,核兵器又はその他の核爆発装置に用いるための核分裂性物質の生産を禁止する条約についての交渉を即時に開始するよう要請する。
 長年をかけて,核兵器国の核戦力は大幅に削減された。核兵器のない世界に向けた更なる進展は,単独であれ,二国間であれ,又は多国間であれ,我々が,国際安全保障を向上させつつ,断固とした,現実的な,そして漸進的なアプローチをとることのみにより達成できる。NPT第6条に従い,我々は,今後も世界規模での継続的な核兵器の削減に関する永続的かつ積極的な支持者であり,全ての国に対してそのような努力をするよう要請する。
 我々は,透明性を向上させたG7の核兵器国によりとられた努力を歓迎する。我々は,他国にも同様の 行動を求める。
我々は,全ての国家に対し,核兵器国と非核兵器国との間を含む,全ての国家間での核軍縮・不拡散に関する有意義な対話を促進することができる実践的かつ現実的なイニシアティブに関して我々と協働するよう求める。
 国家主体及び非国家主体への大量破壊兵器の拡散を阻止するため,機微な品目及び技術に関する各国の輸出管理を引き続き強化することは極めて重要である。全ての国は,国連安全保障理事会決議1540号を含む全ての関連の国連安保理決議を完全に履行しなければならない。我々は,全ての国に対し,国際的な輸出管理レジームのガイドラインに整合した形で輸出管理を執行することにより,不拡散という目標に貢献するよう呼びかける。
 我々は,2016年核セキュリティ・サミットの最終コミュニケ及びアクション・プランを積極的に実施し,本分野におけるIAEAの中心的役割を支持していく。
我々は,原子力の平和的利用にコミットし,引き続きIAEAと協力し,最高水準の不拡散,原子力安全及び核セキュリティを推進していく。
 何十年間にわたって,我々のような政治指導者やその他の訪問者が広島及び長崎を訪れ,深く心を揺さぶられてきた。我々は,他の人々が同様に訪問することを希望する。 我々は,核兵器は二度と使われてはならないという広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしている。



G7広島外相会合場はグランドプリンスホテル広島
  G7外相会合や関連イベントは、広島の中心地から南へ約6キロ、瀬戸内海に面した宇品島にあるグランドプリンスホテル広島で行われる。
 宇品島は、瀬戸内海に面した“陸続きの島“、明治時代の開拓によって陸続きとなった。島内にはホテルやマリーナ、工場、倉庫などがあるが、島の西側の大部分が公園になっていて貴重な原生林も残っている。 広島市民の“緑のオアシス”ともいわれている



グランドプリンスホテル広島

広島国際会議場に設置される国際プレスセンター(IMC)や国際放送センター(IBC)

▼ 国際プレスセンター(IMC)
 国際プレスセンター(IMC)は平和記念公園内の広島国際会議場に設営される。
IMCには、G7各国プレスオフイスや記者会見場、共用ワーキングスペース(約240席)、ダイニングスペース、放送機関等が使用する国際放送センター(IBC)などが設置される。
共用ワーキングスペースでは,インターネット環境(有線、無線),コピー機等を配備される。

▼ 国際放送センター(IBC)
 国際放送センター(IBC)は放送機関や映像を配信する通信社やインターネットメディアのための施設で、国際メディアセンター(IMC)内に開設される。
ホスト映像の配信や,記者リポートポジションの設置、放送機関が独自に取材したユニー映像の自局への伝送サービスなどを行う。


G7広島外相会合の取材は?>
 広島外相会合の会議場の冒頭取材やファミリーフォトなどの関連イベントなどの公式行事は,警備上の理由等から、映像はホストブロードキャスター,写真はホストスチルカメラマン、そして外相会合参加国代表取材メディアによる代表取材となる。
広島外相会合で最も注目されている平和記念公園訪問や原爆死没者慰霊碑に献花は代表取材となるだろう。
ホスト映像は国際放送センター(IBC)で配信され、ホスト写真は画像提供クラウドサービスで公開され、各メディアに提供されるので利用可能だ。
 記者会見やG7各国外相の空港到着や出発は、各メディアは自由に映像や写真を撮影可能だ。


外務省広島外相会合 取材情報


広島国際会議場


広島国際会議場


共用プレスワーキングスペース(IMC/IBC)


国際放送センター(IBC)


ホスト映像の分配コーナー(IBC)


NHK、民放のSNG車(IBC)


出典 広島県警察





G7伊勢志摩サミットの成果は? 存在感を示せなかった安倍首相
G7北九州エネルギー大臣会合 「北九州イニシアチブ」を採択して閉幕 日本にLNGの国際市場創設
エルマウ サミット ドイツ G7 Germany2015 Schloss Elmau
G7伊勢志摩サミット サイバー攻撃 2016年サミットは格好の標的に テロの主戦場は“サイバー空間”
G7伊勢志摩サミット ~ICT立国”のショーケースを伊勢志摩サミットで!~





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2016年4月4日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
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G7エルマウ・サミット メルケル首相 安倍首相 国際メディアセンター

2023年04月24日 19時48分31秒 | G7伊勢志摩サミット
G7エルマウ・サミット2015 G7Germany Schloss Elmau2015

G7エルマウ・サミット閉幕 共同宣言採択
  ドイツ南部エルマウで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は8日午後、自由や民主主義、法の支配、人権の尊重といった原則を確認し、「主権および領土の一体性の堅持に一致団結する」とした首脳宣言を採択して閉幕した。
海洋秩序と海洋安全保障については、対中国を念頭入れて、「威嚇、強制または武力行使、大規模な埋め立てを含む現状変更を試みるいかなる一方的行動に強く反対する」とした。「大規模な埋め立てを含む」という表現を入れて、中国による南シナ海での岩礁埋め立てを指摘した上で、「強く反対」と明記した。これまでより強い表現となり、 日米が協力して、G7各国首脳に危機感を訴えたことが功を奏したといえる。
 しかし、欧州各国は地理的に離れていることで南シナ海への危機感は薄く、むしろ中国との経済関係を重視したいという思惑も見え隠れし、日米との温度差が現れているという。
またウクライナ危機については、昨年3月のクリミア半島併合を改めて非難し、停戦合意の完全履行がない限り、対ロシア制裁をG7として結束して継続する決意を示した。対ロシア制裁は、「ウクライナ東部の停戦合意の完全履行とウクライナの主権の尊重に明確に関連されるべきだ」としている。
 制裁継続で合意はしたが、エネルギーの供給をロシアに頼っているなどロシアとの関係が深い欧州各国や「北方領土」を巡ってロシアとの関係改善を図りたい安倍首相とオバマ大統領との間には、ここでも“温度差”が生まれている。
また温室効果ガスについては、2050年までに10年比で最大70%削減を視野に努力する新目標を掲げた。日本は、温室効果ガスを2030年度までに13年度比で26%削減するという新しい表明した。この目標を達成するには、原子力発電の対応を含め、日本のエネルギー政策に大きな課題を背負ったと思える。
 安倍晋三首相は、G7サミットの終了後に記者会見し、「北方領土の問題を前に進めるため、(ロシアの)プーチン大統領の訪日を本年の適切な時期に実現したい」とプーチン氏の年内訪日を目指す考えを改めて表明した。
 首相は「私はプーチン大統領との対話をこれからも続けていく」と強調したが、2016年伊勢志摩サミットへのロシアの参加については「現時点では、ロシアを含めたG8で意味のある議論を行えるとは考えがたい」と否定的な考えを示したという。
 しかし、来年の伊勢志摩サミットまで1年、ロシアのサミット復帰は最大の焦点になると筆者は考える。
 いずれにしてもG7エルマウ・サミットで鮮明になったのは、“影の主役”、ロシアと中国の存在である。
 2016年伊勢志摩サミットでもロシアと中国への対応が主要テーマになることは間違いないだろう。

2015年6月9日

G7サミット・エルマウ開幕
 G7サミット(主要7か国首脳会議)が6月7日、アルプス山麓のリゾート地、ドイツの南部のエルマウで開幕した。
 昨年に引き続き、“ロシア抜き”の首脳会議となった。
 今回の首脳会合の焦点は、ウクライナ情勢を巡る対ロシアへの対応で米国と欧州で温度差が生じ始めている中で、“制裁継続”などについてG7の合意がどのようにできるかである。議長を務めるメルケル首相はプーチン大統領とパイプ役を果たしながら、今回、G7をどのようにまとめるのか手腕が問われる。
 経済問題では、欧州各国にとって重要なギリシャ危機への対応が議論される。
 また温室効果ガス削減など地球温暖化対策についてG7での合意を目指す。 
 過激派組織IS(「イスラム国」への対応や感染症対策なども主要なテーマである。
 日本が重きを置いているのは、対中国問題、AIIB・アジアインフラ投資銀行への対応や中国の南シナ海での海洋進出問題だ。しかし、AIIBについては、参加を表明しているイギリスやフランス、ドイツ、イタリアと参加を見合わせている日本、アメリカ、カナダの間で立場の違いが鮮明になっている。また中国の南シナ海の岩礁埋め立てを巡っても、中国との経済関係を重視する欧州各国との間で温度差がある中で、G7でどのような合意がされるのか注目される。

2015年6月8日

温室ガス40~70%減で一致 G7、宣言を採択 2050年目標
朝日新聞 6月9日
G7:対中国、領土現状変更を批判 サミット閉幕
毎日新聞 6月9日
東・南シナ海「緊張を懸念」…G7首脳宣言
読売新聞 6月9日
G7「結束」保てるか サミット閉幕
日本経済新聞 6月9日
中国の南シナ海埋め立てに「強い反対」明記 首脳宣言採択し閉幕
産経新聞 6月9日


メルケル首相(G7サミット議長会見)

メルケル首相(G7サミット議長会見)

ワーキング・セッション

ワーキング・ディナー

歓談するG7首脳

コンサートでG7首脳を歓迎(シュロス城)

アウトリーチとG7

記者リポートポジション


首脳会議場 エルマウ城

アルプスホルンの演奏で歓迎

民族衣装を着た子供たちに囲まれたオバマ大統領とメルケル首相(クルン)

ランチを楽しむオバマ大統領とメルケル首相(クルン)

アルプスの山並みを背景にしたG7首脳

散策するG7首脳

安倍首相夫妻

安倍首相夫妻とメルケル首相夫妻

散策する昭恵夫人

オバマ大統領とメルケル首相

安倍首相とメルケル首相

(出典 G7Germany Photo)

G7サミット・エルマウ
  G7サミット・エルマウは、2015年の6月7日と8日に、ミュンヘンから100キロメートルほど離れた高原にあるリゾート保養地で開催される。
 参加する首脳は、フランス、イタリア、日本、イギリス、アメリカ、カナダの7か国で、ロシアは参加しない。2014年3月、G7は、ロシアのクリミア併合に対抗し、強く警告する措置として、ロシアのG8への参加停止を決めた上で、2014年にロシアのソチで開催予定のサミットをボイコットして、ベルギーのブリュッセルで開催した。エルマウ・サミットでもロシアを排除してG7で開催する。
 今回の会合は、世界経済や外交、安全保障、成長戦略について焦点を当てる。各国首脳は、気候変動対策や保健衛生問題、貿易やサプライチェーン基準(supply chain standards)、女性の活用についても議論する。

 エルマウ城は、上部ババリア西山脈にある風光明媚な土地で、G7の首脳会合の開催地として理想的な場所である。2014年の初めにメルケル首相が開催地として決めた。
 ミュンヘンから100キロメートルほど離れたクルン村(Village of Krun)の近くにある。オーストリアとの国境に横たわるヴッテルシュタイン山地(Wetterstein mountain range)の山麓に位置し、標高約1,000メートルの高原にある。







エルマウ城
G7 Germany2015 Schloss Elmau


国際メディアセンター(IMC)

  国際メディアセンター(IMC)は、ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)のオリンピック・アイス・スポーツ・センター(Garmisch Olympia Stadium)に設置される。
このスポーツ・センターは、ドイツのアイスホッケーチームのホーム・アリーナである。
1935年にオープンし、1936年の冬季オリンピックのフィギアスケートの会場となった。1996年にはアイスホッケーのワールドカップが開催された。ウインタースポーツの街、ガルミッシュ‐パルテンキルヘンのシンボルである。
ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)はドイツ南端部の観光・保養都市。ウインタースポーツの施設が多数あるリゾート地である。








Garmisch Olympia Stadium 国際放送センター(IMC)
G7 Germany2015 Schloss Elmau

  国際メディアセンター(IMC)では、ワークスペースと食事が提供される。約900のワークステーションと87のTVとラジオ機関用の専用ブース、電子メディア用の配信機能を備えたスペースが設けられる。
プレス・ワークステーションは、Wifiサービスと電話が設置される。プリンターやコピー機、FAXが利用可能で、PCワークステーションやISDNラインも少量ではあるが設置される。
 ブリーフィングセンターは、会議場となるエルマウ城に近くに、仮設で建設される。


プレス取材情報

■ G7サミット関連の会合やイベントに係る詳細な取材マニュアルは、首脳会合の直前にGerman G7 Presidency websiteに掲載する。

■ 映像(ビデオ・写真)取材は“制限”
G7サミット関連の会合やイベントは、取材場所が制限されているため、各国プレスの取材は制限される。ホストブロードキャスター(ビデオ)や公式カメラマン(写真)が代表取材を行い、各メディアに配信する。写真はGerman G7 Presidency websiteからダウンロード可能である。
取材場所に入れないメディアには、プレスセンターのCCTV(館内放送)で、G7サミット関連の会合やイベントを視聴することができる。
G7サミット関連の会合やイベントの取材を希望する各国メディアは、各国のプレス担当に申込みをしなければならい。ドイツ国内のメディアは、メールで申し込むことができる。(medienbetreuung@bpa.bund.de)

■ ホスト・フィード(ワールド・フィード)
 G7サミット関連の会合やイベントの映像については、ドイツの公共放送や民間放送局が“Berlin model”に基づき、ホスト・ブロードキャスターとなって、“ホスト・フィード(ワールド・フィード)”を行い、各メディアに対して無償で配信する。ZDF、ARD Main Berlin Studio、EBUが担当する。

■ 記者リポート・ポジション
 記者リポート・ポジションは、プレスセンターのあるGarmisch-Partenkirchenに設置され、アルプスの山並みを背景にライブのリポートが実施できる。SNG車を持ち込む放送機関は、車種、自動車NO、高さ、幅、長さ、重量などの情報や必要な電力を記載して申し込むこと。各社独自で記者リポート・ポジションを設営することはできない。
また、首脳会合場のSchloss Elmauを背景にした記者リポート・ポジションも少数、ブリーフィングセンターに設置される。この場所には、各社はSNG車を持ち込むことはできない。ブリーフィングセンターの記者リポート・ポジションに入るためには“Aufsager Briefingcenter Elmau” (Stand-up Briefing Centre Elmau)という特別なパスが必要である。またプレスセンターからの移動は、用意された交通機関を利用しなければならない。プレスは、各社の車両で移動できない。
Munich Airportにも、記者リポート・ポジションが設置される。SNG車を持ち込む放送機関は、車種、自動車NO、高さ、幅、長さ、重量などの情報や必要な電力を記載して申し込むこと。各社独自で記者リポート・ポジションを設営することはできない。

■ メディアセンター内のワークステーション
テレビ・ラジオ放送機関用のワークステーションはEBUが管理、申し込みはEBUに行う。

■ 利用する無線の登録
無線を使用するメディアは、使用する周波数をGerman Federal Network Agencyに登録しなければならない。未登録の周波数はブロックされる。





伊勢志摩サミット 最新情報 2016年サミット開催地
エルマウ サミット ドイツ G7 Germany2015 Schloss Elmau
北海道洞爺湖サミット国際放送センター(IBC)
伊勢志摩サミット サイバー攻撃 2016年サミットは格好の標的に
テロの主戦場は“サイバー空間”
伊勢志摩サミット ICTサミット “ICT立国”のショーケースを伊勢志摩サミットで!
国際放送センター(IBC)で使用される映像信号フォーマット(Video Signal Format)
IBC International Broadcasting Center System
国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR) 設立についてのご案内





東京オリンピック競技場 最新情報 東京ベイソーン ヘリテッジゾーン
“迷走”五輪公式エンブレム
新国立競技場 新デザイン案決定 大成建設・梓設計・建築家の隈研吾氏のチーム 維持管理費・長期修繕費 ライフサイクルコストはどうなる?
新国立競技場は“負のレガシー”(負の遺産)になるのか?
新国立競技場建設費 2520億円破綻
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか?
リオデジャネイロ五輪 競技場の全貌が明らかに 開催まであと半年 準備は間に合うか?
オリンピックのメディア施設 国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC)はこうして整備される ~その機能・システムと概要~
IBC(国際放送センター)・MPC(メインプレスセンター)
“迷走”を始めた2020年東京オリンピック・パラリンピックのメディア施設整備~

ロンドン五輪 リオ五輪 北京五輪 オリンピックのメディア拠点 IBC(国際放送センター) MPC(メイン・プレス・センター)/ MPC(メイン・プレス・センター)
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2015年5月22日
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廣谷  徹
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北九州エネルギー大臣会合 天然ガス LNG 国際市場 伊勢志摩サミット

2016年05月02日 15時32分34秒 | G7伊勢志摩サミット
G7北九州エネルギー大臣会合 「北九州イニシアチブ」を採択して閉幕 日本にLNGの国際市場創設 2020年代前半に 構想表明


G7北九州エネルギー大臣会合 フォトセッション


会合場内に展示された水素カーを視察する参加者

 2016年5月2日、北九州市で開かれているG7エネルギー大臣会合は、油田・ガス田開発投資の重要性や、天然ガスの国際取引市場の整備に協力して取り組むとする共同声明共同声明「北九州イニシアチブ」をまとめて閉幕した。
 日本は、「LNG市場戦略~流動の高いLNG市場と“日本LNGハブ”の実現に向けて~」という構想を表明し、液化天然ガス(LNG)の国際市場を2020年代前半までに日本国内に創設するとした。需給に見合った取引形態を確立し、LNGの価格の安定化を目指す。
 過去40年間、世界で最も拡大したエネルギー源は天然ガスで、特にアジア各国ではLNG(液化天然ガス)の輸入が大幅に拡大している。1969年に東京ガスと東京電力が輸入を開始、日本の電力・ガス会社が相次いでLNGを導入して、日本が世界のLNG市場の発展をけん引したとされている。
最近は、日本が世界のLNG生産量の三分の一を輸入する最大のLNG消費国となっている。また中国や韓国もLNGの輸入を開始し、LNG輸入国は中東、中南米、東欧にも拡大し、世界のLNGの需要は2014年で約2.5億トンが2020年には約3.5億トンに伸びると予想されている。
一方、2000年代後半の米国のシュールガス革命以降、シェールガスの生産コストは激減、中長期的は米国産ガスの価格は、原油に比較して“定位”で推移する見込みだ。
 LNGの取引は、これまではいわゆる国際取引市場が存在せず、相対の長期契約が主で、「仕向地条項」で転売等が制限された上で、価格設定は“石油価格連動”であった。
 今後のLNGの取引のあり方として、長期契約は必要最小限とし、短期契約やスポット取引を活用し、転売や裁定取引を可能にしてLNGの需給を反映した価格設定を目指して、価格の安定化・透明化を図ろうとするものである。
 こうした中で、LNG国際市場の実現の必要性が指摘されるようになった。
 日本は最大消費国として、世界に先駆けて市場を創設し、天然ガスの大規模貯蔵施設を国内に建設するなど、LNG流通のハブ(拠点)の地位を目指すとしている。目標は2020年前半、あらゆる取り組みを加速するとした。
 G7の会合では、油田やガス田への開発投資が、急激な価格の乱高下の影響を受けて不安定になり、原油や天然ガスの乱高下につながり、世界経済を不安定にするという認識を各国共有した。将来の原油供給不足や価格高騰を防ぐため、油田への開発投資を促すことでも一致した。LNGについては、長期間の購入契約や、転売禁止などの取引条件を見直し、活発な取引を後押しするために需給の動向が反映可能な国際市場の整備で各国が協力することも一致した。

 G7エネルギー大臣会合は、5月26日、27日に開催される伊勢志摩サミットに向けた閣僚会合の一つである。閣僚会合の合意内容は首脳会合に反映される。1998年から不定期に開催され、日本では北海道洞爺湖サミットの際に、青森市で開催された。九州での閣僚会合の開催は、2000年の九州・沖縄サミットの際に開かれた蔵相会合(福岡)と外相会合(宮崎)以来となる。今回のエネルギー大臣会合は、北九州市が水素エネルギーなど環境・エネルギーを積極的に推進している先進都市ということが評価されて選ばれた。






伊勢志摩サミット 最新情報 2016年G7主要国首脳会議

伊勢志摩サミット・G7外相会合 広島で開催 ~伊勢志摩サミット 最初の閣僚会議~

エルマウ サミット ドイツ G7 Germany2015 Schloss Elmau

伊勢志摩サミット サイバー攻撃 2016年サミットは格好の標的に テロの主戦場は“サイバー空間”

伊勢志摩サミット ICTサミット “ICT立国”のショーケースを伊勢志摩サミットで!





国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




2016年5月2日
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伊勢志摩サミット2016年開催

2015年06月06日 16時17分31秒 | G7伊勢志摩サミット
伊勢志摩サミット2016年開催 ~三重県志摩市賢島~
 2015年6月5日夕方、安倍首相はウクライナとG7ドイツ・エルマウに出発したが、羽田空港で記者団に対し、来年のサミットは開催地は、三重県志摩市賢島と決定したと表明した。「世界のリーダーたちにに、日本の美しい自然と豊かな文化や伝統を肌で感じてもらいたい」と述べ、「伊勢・志摩サミット」とするとした。
 安倍首相の「日本の文化や伝統」を重視するという強い意向が感じられる。
 サミット開催地の発表は、前の年の首脳会合(ドイツ・エルマウ・サミット)で、次の議長国(日本)が各国首脳に正式に発表するのが慣例なっている。一方、サミット開催の準備には、会議場や施設の確保や通信・交通などのインフラ工事、警備体制などで最低1年以上の期間が必要とされている。
 開催地の決定をぎりぎりまで待って発表するというのは異例と言えるだろう。
「今回の選定作業は、安倍総理と菅官房長官らの間で極秘裏に進められました。5日、総理に会った政府与党幹部の一人は、発表を控え気合の入った様子に驚いたと語るなど、安倍政権として5日のサプライズ発表を演出するために相当力を入れていたことが伺える」(JNNニュース 2015年6月5日)と伝えられている。
 伊勢志摩サミットの開催にあたって、そのキーワードは「ICT」と「サイバー攻撃」だと筆者は考える。とりわけ国際政治の晴れ舞台のサミットは、サイバー攻撃の格好の標的になるだろう。(下記の記事参照)
 残された時間はあと1年である。

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(志摩観光ホテル 出典 都ホテル&リゾート)

(志摩観光ホテル クラシック 出典 都ホテル&リゾート)
*志摩観光ホテルクラシックは、耐震補強・改装工事のために、2015年5月日から2016年春まで休館

(英虞湾夕景 出典 都ホテル&リゾート)

伊勢志摩サミットの発表までの経緯
2016年サミット開催地決定へ
 5月29日午前の記者会見で、菅義偉官房長官は記者の質問に答えて、主要国首脳会議(サミット)開催地に関して、「警備、宿泊施設、会議場、交通アクセス、あらゆる観点から検討を行っている最中である。6月7~8日にドイツで開催されるサミットも迫っているのでそろそろ決定する必要がある」としながらも、「最終的にどこに決めてどうやって発表するかも決まっていない」として、ドイツ・エルマウで発表する可能性も示唆した。
2015年5月29日

安倍首相出発前の発表なし=サミット開催地-関係者見通し
時事ドットコム 2015年6月4日
サミット開催地、決定大詰め 来年日本で、8日までに発表
朝日新聞 2015年6月3日
サミット開催地、5日にも発表 首相、総合的判断を強調
共同通信47ニュース 2015年6月1日
サミット候補地:選定が大詰め さて、どこに決まる?
毎日新聞 2015年6月1日
仙台、志摩、広島 首相、サミットの開催地絞り込み
産経新聞 2015年5月31日。

サミット開催地の選定大詰め
 2016年に日本で開かれる主要国首脳会議(サミット)開催地の選定作業が大詰めを迎えている。
3月の記者会見で、菅官房長官は、すでに名乗りを上げている8か所の候補地から選定し、6月にドイツで開かれるサミットまでに決めたいと述べていた。
選定作業は、「警備のしやすさや話題性など、様々な要素が絡み合うだけに、一筋縄ではいきそうにない」(4月19日 讀賣新聞)という報道もされている。
サミット開催地の選定にあたっては、「警備」が、最重要のポイント、その中で軽井沢町と伊勢志摩・賢島が“有力”と見られてきた。賢島は、人の出入りが規制しやすく、軽井沢町は皇室や要人がたびたび訪れていて、要人警護の経験が豊富だとされている。
 「ただ、利便性で見ると、志摩市は首都圏から交通の便が悪く、『各国政府関係者の移動が困難』との声もある」(4月19日 読売新聞)。 基本的には開催地は8か所の中から選定する方向と見られる。

サミット開催地の選定大詰め(読売新聞)
2015年4月20日

2016年サミット開催地

■ 8つの自治体が開催地に“名乗り”
 2015年4月1日、菅官房長官は記者会見で、来年日本で開かれるサミット=主要国首脳会議の開催地について、現在、名乗りを上げている8つの自治体のなかから選ばれることになるという見通しを述べた。「いずれにしてもドイツで行われる、ことしのサミットに安倍総理大臣が行く前までには決定するということだ」とした。

 サミット=主要国首脳会議は来年、8年ぶりに日本で開かれることになっており、これまでに開催地として仙台市、新潟市、長野県軽井沢町、浜松市、名古屋市、三重県、神戸市、広島市が名乗りを上げている。
 この内、三重県は、当初は関係閣僚会合の開催地として、今年1月に最後に立候補したが、その後、「首相サイドの働き掛けで」(時事通信 4月1日)首脳会合の開催地(賢島)に切り替えたと伝えられている。


■ 開催地選定のポイント “警備”と“保養地”
 首脳会合の開催地の選定で、ここ数年、重要視するのは“警備”のしやすさ。
反グローバルリズムの抗議デモによる混乱や、テロなど不測の事態の対処が課題である
 北海道洞爺湖サミットでは、反グローバルリズムを唱える団体が、札幌市や洞爺湖町周辺に次々と集まり、サミット抗議活動を行った。7月5日には,札幌市内で行った「ピースウォーク」には、海外の団体も加わり、約2,000人が参加したという。
札幌市内と首脳会合が開かれた洞爺湖ウインザーホテルとは、かなり距離があり、会場付近はまったく混乱がなかった。
また最近、世界各地で相次いで起きているイスラム過激派組織のテロの目標にされることも懸念されている。
複数のメディアは、警察庁が警備上の観点から、開催地として三重県・賢島か長野県軽井沢町が望ましいとの報告を上げたと伝えている。
 筆者は神戸市のポートアイランドも、警備上の観点からは、好条件かと思うが、“豊かな自然環境”という点では、賢島や軽井沢には一歩及ばないと思える。
 最近のサミットは、豊かな自然環境に囲まれた“保養地(リトリート)”を各国は好んで開催地に選んでいる。安倍首相も「美しき日本」を世界に熱心にアピールしていることも見逃せない。
 今年の6月7日と8日にドイツが議長国で開催するサミットは、オーストリアとの国境に近いアルプス山麓にあるエマウル城が舞台となる。
 こうした観点で誘致をした各自治外を見ると、長野県軽井沢と三重県賢島が“有利”ではないかと言われている。
 また、「交通の便」の良さや、宿泊施設が十分に確保できるかどうかなどが評価のポイントとなる。



Schloss Elmau (出典 G7 Germany Webpage)


2014 G7 in Burussels (出典 G7 Germany Webpage)

■ “急浮上”した三重県・賢島
 三重県・賢島は、英虞湾に浮かぶ景勝地。海に囲まれて、本土側からは橋以外に交通手段がなく、警備上の観点で評価が高いという。北海道洞爺湖サミットの首脳会合の会場となったウインザーホテル洞爺は、洞爺湖を見渡す山頂に建ち、麓から登る道路は1本しかないという“警備”上の観点からはまたとない立地条件だった。
 また伊勢神宮も付近にあることもあって、三重県は「伊勢志摩サミット」として、自然だけでなく日本の伝統文化もアピールできるとして、有力な開催地として“急浮上”しているという。
 これに対して、仙台市は「東日本大震災からの復興」、国連世界防災会議の成功がアピールのポイントだ。また広島市は「被爆地・核兵器廃絶」、オバマ米大統領の初訪問を呼び掛けている。
 「浜名湖や世界遺産・富士山の自然」を掲げている浜松市、日本海に臨む新潟市は地域の魅力や和食・おもてなし文化」をアピール、名古屋市は過去の国際会議の開催経験、そして神戸市は「防災・減災、国際都市」を強調している。


■ 開催時期は、5月下旬も視野に入れて検討か
 複数のメディアでは、開催時期について、梅雨入り前の方が、悪天候の影響を回避しやすく、首脳のヘリコプターでの移動や警備がやるやすいとしている。保養地で開催される場合は、天気に恵まれている季節の方が、日本の豊かな自然のアピールにつながるとしている。7月には参院選が予定され、その前にサミットを開けば選挙戦を有利に展開できるとの思惑もありそうだと伝えている。

■ “ロシア・サプライズ”?
 今年6月のドイツ・サミットでも、ロシアを“排除”し、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア、カナダ、日本、ドイツのG7体制で開催されることが決まっている。
昨年のサミットは、当初はロシアが議長国で、ロシア南部ソチで開く予定だった。しかし、ロシアによるクリミア併合に抗議し、米国が主導して“ロシア排除”を決定し、開催地も変更して、ベルギーのブリュッセルで急遽開催した。
 今年3月、プーチン大統領は、欧米を牽制(けんせい)するために核兵器を臨戦態勢に置く可能性があったと明言した。こうした核戦力をちらつかせる強硬な姿勢に対し、G7各国のロシアへの反発姿勢は更に強まっていると思える。
 プーチン大統領との“信頼関係”を築いてきたとされる安倍首相の頭の片隅には、“ロシア”のキーワードもあるかも知れない。しかし、最近のウクライナ情勢は一向に好転する様相を見せていない。
 来年のサミットに“ロシア復帰”のサプライズの可能性はまったくないのか?。

▼ 安倍首相、ロシア式典欠席へ 期限直前まで熟考姿勢示す
 菅義偉官房長官は28日の記者会見で、安倍晋三首相がロシアから招待されていた5月9日の対独戦勝70周年記念式典に欠席すると発表した。政府関係者によると、安倍政権は直前まで対応を検討したが、ウクライナ問題でロシアと対立する米国を刺激するのは得策ではないと判断したという。
だが、首相は、北方領土問題の解決に向けたロシアとの平和条約交渉やプーチン大統領との関係を重視。今月に入っても出席の可能性を選択肢から外さなかった。
(朝日新聞 2015年4月28日)

一方、ドイツのメルケル首相は5月10日、欧米の首脳が軒並み記念式典を欠席した中で、G7の中で唯一、モスクワを訪問したのである。ロシアのプーチン大統領と並んで、クレムリン近くの無名戦士の墓に献花し、その後に首脳会談を行い、ウクライナ情勢を話し合った。ドイツは6月に開かれるG7サミットの議長国、メルケル首相は、これに先立って、プーチン大統領と関係打開の“本音”を探っておきたかったのと思われる。
 独政府によるとメルケル氏は、対独戦勝70周年記念式典を欠席するが、翌日にプーチン氏と共に献花することについて、電話でプーチン氏に直接提案したという。
タス通信によると、プーチン、メルケル両氏は今年、今回の首脳会談までに2回会談し、電話で16回意見交換しているという。
(出典 朝日新聞 2015年5月11)

▼ プーチン氏訪日へ調整 首相、側近の議長と面会
 安倍晋三首相は21日、ロシアのナルイシキン下院議長と東京都内のホテルで約15分間、面会した。外務省幹部によると、ナルイシキン氏はプーチン大統領のメッセージを口頭で首相に伝えたという。首相はプーチン氏の今年中の訪日を改めて求めたとみられる。
(朝日新聞 2015年5月22日)
(出典 朝日新聞 2015年5月11)

■ サミットの“ジンクス
 サミット開催には、最近、奇妙な“ジンクス”がある。
 2000年の九州・沖縄サミットは、開催地に選定した小渕恵三元首相が、病に倒れ、森喜朗元2相が議長役を務めた。
2008年の北海道洞爺湖サミットでは、開催地に決めたのは安倍首相(第1次政権当時)、しかし退陣し、福田首相が議長役を果たした。 
 今度こそ、安倍首相は、国際政治での晴れ舞台で、“サミット議長”という大役を担うことができるのだろうか。


■ 関係閣僚会議の開催地も注目
 2016年春から、首脳会合に先立って、関係閣僚会議が、日本の各地で開催される。その開催地も、通常、すでに名乗りを上げた8自治体から選ばれる。
 2008年の北海道洞爺湖サミットでは、 「気候変動・クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話」(千葉市)、「開発大臣会合」(東京都)、「労働大臣会合」(新潟市)、「環境大臣会合」(神戸市)、「アフリカ開発会議」(横浜市)、「エネルギー大臣会合(青森市)、「内務・司法大臣会合」(東京都)、「財務大臣会合」(大阪市)、 「科学技術大臣会合」(名護市)、「外務大臣会合」(京都市)の10会合が開催された。

出典 外務省 北海道洞爺湖サミット 開催地

 いずれにしても、今年の6月7日と8日に、ドイツのアルプス山麓にあるエマウル城で、サミットが開催される。会議の中で、翌年の開催国が、開催地など概要を各国に表明するのが慣例になっており、安倍総理大臣がドイツに行く前までには、2016サミットの概要を決めなければならない。
 4月26日には、統一地方選挙後半戦の投票日、開催地の選定に漏れた候補地への影響に対する“政治的配慮”から、発表は投票日後になると思われる。また、連休中は、安倍首相は日米首脳会談で訪米しており、帰国後、5月中には開催地が発表されるのではないかと観測されている。





国際放送センターIBC (International Broadcasting Centre) サミット APEC サービス・システム
東京オリンピック IBC国際放送センター MPCメインプレスセンター
国際スポーツ競技会・オリンピック 国際放送センターIBCシステム
北海道洞爺湖サミット国際放送センター(IBC)
国際放送センター(IBC) IMF世銀総会 東京国際フォーラム 2012年10月
国際放送センター(IBC)で使用される映像信号フォーマット(Video Signal Format)
IBC International Broadcasting Center System
国際放送センター(IBC) 設営・運営業務実績


国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR) 設立についてのご案内



2015年4月4日(6月5日改訂)
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伊勢志摩サミット 放送・通信・メディア 

2015年06月05日 20時56分40秒 | G7伊勢志摩サミット
伊勢志摩サミット 放送・通信・メディア 何が必要か

 伊勢志摩サミット開催にあたっては、首脳会合場や拡大会合場を始め、ワーキング・ランチやワーキング・ディナー、関連イベント会場等の準備が必要なのは勿論だが、サミット関連報道の拠点となる国際メディアセンターの整備や通信・回線インフラの整備も重要である。 キーワードは“ICT”サミット。準備期間はほぼ1年、時間との競争である。

■ 注目記事
サミット開催地 三重県志摩市賢島 伊勢志摩サミット



北海道洞爺湖サミット IMC 洞爺湖町ルスツリゾート

◆ 国際メディアセンター(International Media Center)
 国際メディアセンターは、新聞・放送・通信社・雑誌・インターネットなど報道関係者の取材・編集・送出拠点である。
 放送関係者が使用する国際放送センター(IBC  International Broadcasting Center)や新聞・通信社・雑誌などが使用するプレス・エリア、プレス事務局など関連施設が設置される。参加するプレスは、邦人プレス3000人、海外プレス1000人、合わせて4000人程度が想定された。(北海道洞爺湖サミットの場合)。さらに議長会見場1か所と各国首脳会見場5か所程度が設置される。国際メディアセンターの延べ床面積は約1万平方メートルが必要となる。
 米国の主要放送局(ABC、CBS、NBC、CNN、FOX)は、大統領が出席する国際会議にあたって、“US Pool”を組み、ホスト国が準備する国際メディアセンターには入らず、独自に別個、“US Pool”専用のプレスセンターを設立し、取材・編集・送出拠点とする。
 こうしたスペースも準備しなければならない。
 既設の建造物で、十分なスペースが確保できて利用可能な場所が確保できない場合には、“仮設”等で新たに建設する必要がある。
 伊勢志摩サミットの開催地、賢島には、こうした国際メディアセンターを設置可能な既存の施設や仮設で建設する十分なスペースがないだろう。賢島の島外の近辺で設置場所を探すことになるだろう。


◆ 2015エルマウ・サミットの国際メディアセンター(IMC)
 国際メディアセンター(IMC)は、ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)のオリンピック・アイス・スポーツ・センター(Garmisch Olympia Stadium)に設置される。
このスポーツ・センターは、ドイツのアイスホッケーチームのホーム・アリーナである。
1935年にオープンし、1936年の冬季オリンピックのフィギアスケートの会場となった。1996年にはアイスホッケーのワールドカップが開催された。ウインタースポーツの街、ガルミッシュ‐パルテンキルヘンのシンボルである。
ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)はドイツ南端部の観光・保養都市。ウインタースポーツの施設が多数あるリゾート地である。








Garmisch Olympia Stadium 国際メディアセンター(IMC)


記者リポート・ポジション


◆ 回線インフラの整備
 国際メディアセンターを始め、首脳会合場や各国代表の事務局、首脳や各国随行員の滞在するホテルなどには、高速大容量の光回線ネットワークが必須である。
サミット関連報道に係る映像・音声などの情報や各国代表が使用する情報回線、一般の電話回線、インターネット回線など大量のトラフィックを安定的に処理する必要がある。通常は既存のネットワーク基盤ではオーバーフローするので、新たに高速大容量の光回線ネットワーク基盤を構築しなければならない。
北海道洞爺湖サミットの場合も、大規模な光回線ネットワークの整備を実施した。


◆ 超高精細映像の登場で映像フォーマットが複雑化
 サミット関連の映像フォーマットは、九州沖縄サミットからHD(2K)が基本となった。HD-SDI 1080/59.94iと呼ばれる日米方式のHD映像・音声フォーマットである。
これに加えて、2016年には、4K/8Kフォーマットが登場してくる。総務省では、2016年中にBS放送で4K/8K試験放送を開始する予定で準備を進めている。2016年サミットでも、テスト・ケースとして何らかの取り組みを行うことが想定される。4K/8Kのパブリック・ビューイングは確実に実施されると思える。
一方で、コンピューターやスマホ、タブレットなどの移動体端末向けの映像・音声サービスも取り組む必要がある。最近話題になっているウエアラブル端末向けのサービスも試験的に行う必要があるのではなかろうか。
 また、サミット関連の報道を行う国内外の放送局や通信社は、通常のHD(2K)の映像を使用するだろう。
 こうした超高精細映像、HD映像、移動体通信向けの映像に対応するためのシステムも2016年サミットは必須となるだろう。



出典 4K8Kの推進に関する現状 総務省

◆ 4Gから5Gへ
 移動体通信は、次々と高速化して、3Gから、LTE、そして4G(LTE Advanced)、さらに2020年までには5Gを実現する計画が進行中である。
サミット開催地エリアでは、4Gの実現、5Gについては、実証実験に取り組む格好の機会だと思う。


◆ フリーWIFIサービスの整備
 諸外国に比べて遅れていると言われているフリーWIFIサービスをサミットエリアで実施する必要があると思われる。


2020年に向けた情報通信基盤整備の戦略 総務省

★ 最新記事
伊勢志摩サミット 放送・通信・メディア 何が必要か
伊勢志摩サミット サイバー攻撃 2016年サミットは格好の標的に” テロの主戦場は“サイバー空間
伊勢志摩サミット ICTサミット “ICT立国”のショーケースを伊勢志摩サミットで!

2015年5月16日
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伊勢志摩サミット ICTサミット

2015年06月05日 20時19分58秒 | G7伊勢志摩サミット

伊勢志摩サミット ICTサミット
“ICT立国”のショーケースを伊勢志摩サミットで!


(伊勢志摩サミットの首脳会合場に予定されている志摩観光ホテル 出典 都ホテル&リゾート)

 “ICT”とは、コンピューターやインターネット・SNS、スマートフォンやタブレット、ウエアラブル端末、4Kや8Kの高精細放送、そしてバックボーンとなる情報通信や情報処理の先端技術の総称である。ICTは現代のあらゆる分野で、情報通信社会を支える。以前はIT(情報技術)と呼んだが、2000年代半ば以降、総務省や企業などが使用し始め、現在では“ICT”を使用する場合が多い。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックのキャッチフレーズは、世界で最高水準の“ICT”社会の実現、今、日本は国を挙げて世界で最高水準の“ICT立国”を実現しようと、全力“疾走”を始めている。“ICT”は日本の“成長戦略”の大黒柱でもある。
 2020年のいわば“前哨戦”として、サミットは格好の機会である。サミットを“ICT”戦略の“実証実験”と位置づけ、モデル・ショーケースとして取り組みを進めることが意義あると考える。


■ 超高速大容量の光ファイバーネットワークの基盤整備
“ICT立国”の基盤インフラ整備。
 100Gbps光ネットワークの整備 400Gbpsの実証実験
■ 超高速ブロードバンド・サービス(FTTH)

 サミット開催地で1Gbpsのブロードバンドを実現
■ 4G、5Gの移動通信サービスの確保
“ スマホの爆発的な普及やタブレット、携帯電話に対応する移動通信の基盤インフラ。2020年に向けて飛躍的に普及するという予測があるウエアラブル端末への対応も肝要
■ 無料公衆Wifiサービスの整備
“ 海外に比べて遅れているといわれている無料公衆Wifiサービス網の整備。
 4G、5Gと同様、移動体端末を支える基盤インフラである。

■ 4K8K 高精細放送の実験放送
“ 2016年中に、4K放送3chと8K放送1chが実験放送を開始する。
パブリックビューイング。
4K8Kの大画面モニターを設置してサミット情報を上映し高精細放送の“魅力”を体感してもらう。

■ 空港、駅、ホテル、施設、会議場での“ICT”サービス

*多言語サービス
*デジタルサイネージ 
スマホと連動させて多言語のデジタルサイネージ
*オープンデータ・サービス
 空港情報 交通情報 観光情報 レストラン情報 ナビゲーション
*ウエアラブル端末サービス
  サミット情報 会議情報等 多言語サービス
    空港情報 交通情報 観光情報 レストラン情報 ナビゲーション



出典 2020年に向けた情報通信基盤整備の戦略 総務省 

■ サイバーセキュリティ対策
 “サイバー攻撃”対策は、テスト・モデルというレベルの対応ではない。
まさに“実戦”である。
 G7の首脳が一堂に揃うサミットは、“サイバー攻撃”の絶好の標的となる。ネットワーク社会が進展すればするほど、“サイバー攻撃”のリスクは飛躍的に増加して問題が深刻化する。攻撃者は、国内のみならず世界各地から攻撃をしかけてくる。マルウェア、標的型攻撃、DDoS攻撃、ウエッブの改ざん、攻撃者は、次々と“新種”を生み出し手段を巧妙化させ、攻撃規模を拡大させて、“防御”をますます困難にさせている。
サイバー攻撃で、機密情報が流出したり、大会運営に支障が出たり、ウエッブが改ざんされたり、放送やインターネット・サービスが中断したりすれば、世界で最高水準の“ICT立国”を目指す日本の評価は大きく損なわれる。
また電気、交通、通信などの重要インフラ企業も攻撃の標的になると思われる。
まさに“サイバー空間”での“テロとの闘い”が繰り広げられるだろう。
 世界最高水準の“ICT立国”は、世界最高水準の“サイバーセキュリティ立国”でなければならない。


■ サミットのレガシー(未来への遺産)
 日本で開催するサミットも、東京サミット(3回)、九州沖縄サミット、北海道洞爺湖サミットと2016年サミットは6回目となる。
北海道洞爺湖サミットの開催にあたって、国や北海道の開催地は、基盤整備費も含めると約374億円の経費を負担している。
一方、北海道経済連合会がまとめた北海道洞爺湖サミットの“経済効果”は、“直接効果”で約350億円、サミット後の国際会議などの開催や観光客の増加などの“ポスト・サミット効果”で約284億円あったとしている。
 2016年サミットの開催でも、300億円から500億円規模の開催経費が見込まれるだろう。

オリンピック競技大会を開催するにあっって、国際オリンピック員会(IOC)は、 “Legacy”という“理念”を強調するようになった。 ここでは“未来への遺産”と訳したい。
この“Legacy”(レガシー)という言葉は、オリンピック100年にあたる2002年に定められた「オリンピック憲章」の中に、新たに掲げられた。
「レガシー」とは、オリンピック競技大会を開催することによって、単にスポーツの分野だけでなく、社会の様々な分野に、“有形”あるいは“無形”の“未来への遺産”を積極的に残し、それを発展させて、社会全体の活性化に貢献しようとするものである。開催都市や開催国にとって、開催が意義あるものにすることがオリンピックの使命だとしている。
 巨額の経費を支出して開催されるオリンピックを、“意義”のあるものしていこうとあうるのが“Legacy”(レガシー)の理念である。

サミット開催にあたっても、単に“一過性”の“経済効果”だけでなく、開催地に“レガシー”(未来への遺産)として何を残すかを視野に入れた開催計画を考える必要があるのではなかろうか。


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サミット開催地はどこに決まる? 主要国首脳会議2016
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北海道洞爺湖サミット国際放送センター(IBC)
国際放送センター(IBC) IMF世銀総会 東京国際フォーラム 2012年10月
IBC International Broadcasting Center System


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サミット開催地 放送・通信・メディア IMC(国際メディアセンター)

2015年05月16日 08時25分49秒 | G7伊勢志摩サミット
サミット開催準備 放送・通信・メディア 何が必要か

 サミット開催にあたっては、首脳会合場や拡大会合場を始め、ワーキング・ランチやワーキング・ディナー、関連イベント会場等の準備が必要なのは勿論だが、サミット関連報道の拠点となる国際メディアセンターの整備や通信・回線インフラの整備も重要である。 キーワードは“ICT”サミット。準備期間はほぼ1年、時間との競争である。

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サミット開催地はどこに決まる? 主要国首脳会議2016



北海道洞爺湖サミット IMC 洞爺湖町ルスツリゾート

◆ 国際メディアセンター(International Media Center)
 国際メディアセンターは、新聞・放送・通信社・雑誌・インターネットなど報道関係者の取材・編集・送出拠点である。
 放送関係者が使用する国際放送センター(IBC  International Broadcasting Center)や新聞・通信社・雑誌などが使用するプレス・エリア、プレス事務局など関連施設が設置される。参加するプレスは、邦人プレス3000人、海外プレス1000人、合わせて4000人程度が想定された。(北海道洞爺湖サミットの場合)。さらに議長会見場1か所と各国首脳会見場5か所程度が設置される。国際メディアセンターの延べ床面積は約1万平方メートルが必要となる。
 米国の主要放送局(ABC、CBS、NBC、CNN、FOX)は、大統領が出席する国際会議にあたって、“US Pool”を組み、ホスト国が準備する国際メディアセンターには入らず、独自に別個、“US Pool”専用のプレスセンターを設立し、取材・編集・送出拠点とする。
 こうしたスペースも準備しなければならない。
 既設の建造物で、十分なスペースが確保できて利用可能な場所が確保できない場合には、“仮設”等で新たに建設する必要がある。


◆ 2015エルマウ・サミットの国際メディアセンター(IMC)
 国際メディアセンター(IMC)は、ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)のオリンピック・アイス・スポーツ・センター(Garmisch Olympia Stadium)に設置される。
このスポーツ・センターは、ドイツのアイスホッケーチームのホーム・アリーナである。
1935年にオープンし、1936年の冬季オリンピックのフィギアスケートの会場となった。1996年にはアイスホッケーのワールドカップが開催された。ウインタースポーツの街、ガルミッシュ‐パルテンキルヘンのシンボルである。
ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)はドイツ南端部の観光・保養都市。ウインタースポーツの施設が多数あるリゾート地である。








Garmisch Olympia Stadium 国際メディアセンター(IMC)


◆ 回線インフラの整備
 国際メディアセンターを始め、首脳会合場や各国代表の事務局、首脳や各国随行員の滞在するホテルなどには、高速大容量の光回線ネットワークが必須である。
サミット関連報道に係る映像・音声などの情報や各国代表が使用する情報回線、一般の電話回線、インターネット回線など大量のトラフィックを安定的に処理する必要がある。通常は既存のネットワーク基盤ではオーバーフローするので、新たに高速大容量の光回線ネットワーク基盤を構築しなければならない。
北海道洞爺湖サミットの場合も、大規模な光回線ネットワークの整備を実施した。


◆ 超高精細映像の登場で映像フォーマットが複雑化
 サミット関連の映像フォーマットは、九州沖縄サミットからHD(2K)が基本となった。HD-SDI 1080/59.94iと呼ばれる日米方式のHD映像・音声フォーマットである。
これに加えて、2016年には、4K/8Kフォーマットが登場してくる。総務省では、2016年中にBS放送で4K/8K試験放送を開始する予定で準備を進めている。2016年サミットでも、テスト・ケースとして何らかの取り組みを行うことが想定される。4K/8Kのパブリック・ビューイングは確実に実施されると思える。
一方で、コンピューターやスマホ、タブレットなどの移動体端末向けの映像・音声サービスも取り組む必要がある。最近話題になっているウエアラブル端末向けのサービスも試験的に行う必要があるのではなかろうか。
 また、サミット関連の報道を行う国内外の放送局や通信社は、通常のHD(2K)の映像を使用するだろう。
 こうした超高精細映像、HD映像、移動体通信向けの映像に対応するためのシステムも2016年サミットは必須となるだろう。



出典 4K8Kの推進に関する現状 総務省

◆ 4Gから5Gへ
 移動体通信は、次々と高速化して、3Gから、LTE、そして4G(LTE Advanced)、さらに2020年までには5Gを実現する計画が進行中である。
サミット開催地エリアでは、4Gの実現、5Gについては、実証実験に取り組む格好の機会だと思う。


◆ フリーWIFIサービスの整備
 諸外国に比べて遅れていると言われているフリーWIFIサービスをサミットエリアで実施する必要があると思われる。


2020年に向けた情報通信基盤整備の戦略 総務省


2015年5月16日
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