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国連防災世界会議 福島原発事故 福島第一原発 原発災害 東日本大震災5年

2015年03月20日 17時57分37秒 | 東日本大震災

国連防災世界会議に「違和感」あり

 2015年3月14日から仙台市で開催された第3回国連防災世界会議は最終日、全体会合を開き、「仙台宣言」(Sendai Declaration)と、2030年までの新たな国際的な防災行動指針「仙台防災枠組」(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)を採択した。東日本大震災を体験した開催国として評価を上げたようである。
 「仙台防災枠組」は、 2005年に神戸で開催された会議で採択された「兵庫行動枠組」の後継となるもので、(1)災害による死亡率(2)被災者数(3)経済損失(4)医療や教育施設の被害(5)防災戦略を持つ国の数(6)途上国支援(7)早期警報システム-の7項目を掲げ、「減災」に向けて、世界各国が一致して取り組むことになった。
 「仙台防災枠組」には、当初は、具体的な数値目標を設定して、実効性を挙げようとしたが、技術的に数値を設定するのは困難として、導入は見送られた。その代わりに具体的な目標については死亡率や被災者数を「大幅削減」と表現し、「減災」に向けての実行力を挙げようとしている。
日本が打ち出した「Build-back better」(被災前より災害に強い復興)」の行動指針も取り入れられ、強靭化への防災投資や、途上国への国際協力も拡充するとしている。

 会議での各国のスピーチを聞いていると、頻繁に登場してきたキーワードは、Disaster Risk Reduction(DRR 減災)、Resilience(強靭化)、Build-back better(より良い復興)、Support(支援・援助)、そしてGlobal warmingである。
日本が国を挙げて強力に推進しているのが、「国土強靭化」、海岸線の堤防工事や、高台移転、かさ上げ工事など東北地方を中心に猛烈な勢いで進んでいる。趣旨は違うが、実態は「日本列島改造」のまさに再来に見える。15メートルの巨大な防潮堤に囲まれ、かさ上げで、「丘」が並ぶ光景は、「ふるさと」とはほど遠い。三陸海岸の豊かな自然に育また穏やかな海岸線はもう見ることはできないのか?「命を守る」防災対策は必須であるということは良く理解はできるが……。
 膨大な財政資金を背景に防災関連の公共事業関連企業が潤うだろうが、本当に被災者や国民のためになっているのか冷静に考えることも必要だろう。
今回の防災会議で、違和感を覚えたことがある。
それは「原発」である。 東日本大震災の災害は、「津波」と「原発」だったのではないか。防災会議開会の3日前、4年目の迎えた3.11に、国内のテレビ、新聞には福未だに放射能汚染でふるさとに帰れない被災者の方々や汚染水問題など福島第一原発関連のニュースや企画で溢れていた。しかし、各国の参加者から「原発」はほとんど関心を呼ばなかったように見受けられる。
 会期中に、350余りの公式パブリックフォーラムが開催されたという。しかし、このの中で、筆者が確認したのは、「原子力防災と自治体の役割~その教訓と課題~」(脱原発をめざす首長会議)と「原発災害後の地域連携と復興への道のり」(相馬地方市町村復興フォーラム実行委員会)、「原発事故から4年~福島の学びと地域づくりへの道: 地元NPOの視点から」(防災世界会議ふくしまCSO連合)の3つだけ。福島第一原発の問題を正面から取り上げたフォーラムはなかった。「原発」災害は、「災害」ではなくて人災・事故と見なしていたのだろうか。それともあえて避けて通ったのだろうか。

 その一方で、途上国の参加者を中心に、“Global warming”というキーワードは何回も聞いた。バヌアツを襲った巨大サイクロンのニュースは会場を駆け巡った。各国の関心は、地震より巨大台風や高潮に集まっていたように思える。
 「仙台防災枠組」の採択は難航し、最終日の18日昼の決着をめざし、前日は徹夜で議論したが、紛糾して決着がつかず、さらに翌日も延々“マラソン”会議が続き、ようやく採択されて会議が終わったのは、19日未明だった。
その主な対立点は、地球温暖化などの気候変動で途上国の災害が深刻化しているなかで、先進国側が防災においてもより重い責任を負うべきだという途上国側の主張である。
 12月にパリで開催される気候変動会議・COP21の前哨戦が始まっていた。

 日本は阪神大震災に続いて東日本大震災という巨大地震に見舞われ、大きな犠牲を払った世界でも数少ない「地震大国」である。その教訓と知見を世界に向けて語り継ぎ、「減災」に向けて貢献し続けていくことが求められている。



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2015年3月20日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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コメント (1)
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