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大阪都構想 住民投票 検証 反対派勝利

2015年05月24日 22時03分23秒 | 政治

大阪都構想 住民投票 検証
なぜ僅差で「反対」派が勝利したのであろうか?


 2015年5月17日、橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が掲げた「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われ、1万741票差で反対が上回った。
都構想は廃案となり、大阪市は政令指定市として存続する。橋下氏は同日夜の記者会見で政界引退の意向を表明した。
投票率は66・83%、過去最高だった1951年の大阪市長・市議選の71・98%には及ばなかったものの、最近10年で最も高かった2009年の衆院選の65・00%や、大阪府知事選とのダブルで行われた11年の市長選の60・92%を上回った


■ 事前の世論調査では、反対派が圧倒的に優勢
 朝日新聞社と朝日放送(ABC)が実施した世論調査(電話調査)によると、大阪市をなくして五つの特別区を設けるいわゆる「大阪都構想」については、「賛成」の33%を「反対」の43%が、10%の差を付けて上回っている。
 このうち維新支持層では「賛成」が91%を占めるが、自民支持層では「反対」が61%、公明支持層では「反対」が7割強。無党派層では「賛成」は23%で、「反対」の40%が上回った。
 大阪都構想に「賛成」と答えた人に理由を四つの選択肢から一つ選んでもらうと「行政のむだ減らしにつながるから」が50%、「大阪の経済成長につながるから」が27%。
  「反対」と答えた人の理由は「住民サービスがよくならないから」27%、「橋下市長の政策だから」25%などに分散した。
 大阪市の橋下徹市長の支持率は43%、不支持率は39%だった。支持率は今年2月と4月の43%と変わらなかったが、不支持率は42%からわずかに下がったとしている。
 この世論調査を実施した5月9日と10日の時点では、橋下徹市長の「大阪都構想」への支持は得られているとは言えず、「反対」は10%の差を付けて優勢であった

 
■ 「反対派が圧倒的に優勢」の分析
 政党支持層別で見ると、維新支持層では「賛成」が91%を占めるが、自民支持層では「反対」が61%、公明支持層では「反対」が7割強。無党派層では「賛成」は23%で、「反対」の40%が上回り、維新支持層を除いて「反対」が優勢であった。
 無党派層でも「反対」が圧倒的に優勢だったのである。
 筆者の推測だが、全世代に渡って、「反対」が優勢で、「シルバー世代の反乱」というには“的外れ”であろう。
 その一方で、「女性票」の動向は、今回の住民投票の結果を見るにあたって極めて重要だろう。
「僕の態度振る舞いに対する嫌悪感」、告示後、橋下氏も女性の支持が広がらないという危機感を抱いていたという。橋本氏の人柄や政治手法については、大阪の女性層からの評判は芳しくなく、むしろ反発されていたといわれている。
都構想に反対する超党派の議員らによる女性グループは、「都構想NO」などと書かれたプラカードを掲げてパレードしたが、そのキーワードは「大阪のおばちゃんをなめたらあかんで」だった。

 出口調査でも極めて明白にその傾向が出ていることは見逃せない。
年代別・男女別の「賛成」「反対」を見てみると、60代と70代の男女の差はほとんどないが、50代では、「反対」は男性の場合は42.2%に対し、女性は50.4%、40代は、男性の場合は33.8%に対し、女性は43.9%、その差は20%という“大差”、30代は男性が28.4%、女性が44.7%、その差は“16%”、20代は男性が32・9%、女性が43.7%だった。
 ポイントは「大阪都構想」の問題よりも、橋本氏に対する“好き嫌い”だったのではないか



(出典 読売テレビ 開票特番 出口調査 2015年5月17日)

■ “風が吹いた” 好調、不在者投票・期日前投票 
 66・83%という予想外の高い投票率の要因の一つは、期日前・不在者投票。市選管によると、当日有権者数は約210万4千人の17%に当たる約35万9千人が期日前・不在者投票した。
大阪府知事選との「ダブル選」で注目を浴び、“維新旋風”を巻き起こした2013年の大阪市長選の約23万人を軽く超え、さらに民主党が政権交代を果たした2009年8月の衆院選(大阪市内の投票率65・00%)の約26万9千人をも大幅に超えた。


(注) 期日前・不在者投票期間は公示日から投票日の前日までの期間で、今回の住民投票の場合は20日間、それぞれ選挙によって期間の長さが違う
 
予想以上に不在者投票・期日前投票が増えたのは、今回の住民投票で、いわゆる“風が吹いた”と筆者は考える。

■ どんな“風が吹いた”か?
 橋下市長を先頭に、維新は、住民投票の成否に“命”をかけた。
全国から地方議員や国会議員秘書らをビラ配り要員として集め、「1千人態勢」で臨み、維新幹部は「都構想のために立ち上げた政党。持てる資源すべてを住民投票につぎ込んだ」と話していたという。
討論会やテレビ番組で答えに詰まり反対派に押された印象が残らないよう、橋下氏は自分以外の出演を原則認めなかったという。維新は市議らに「街頭演説100回、集会50回」のノルマを課し、「日報」を出すことを義務づけたと伝えらえている。
また統一地方選の前半戦直後から、テレビCMを展開。さらに日替わりで新聞にチラシを折り込むなどの広報戦略に、計約4億円を投入したという。
 終盤戦になると「負けたら辞める」と訴えかけて、“背水の陣”で臨んでいることを訴えかけた。
投票所の当日も、全国から集めた約1千人を365カ所の投票所に配置し、橋下氏の「ラストメッセージ」を載せたチラシを市民らに配り、橋下氏も宣伝カーで市内の投票所を駆け回り、最後の猛烈な運動を展開した。
こうした選挙運動が“功を制した”のだろう、無党派層の20代から50代を中心に“風が吹き”、1週間前は、10%の差があったのを一気に巻き返し、“互角”の闘いまで持ち込んだと筆者は分析する。
“風が吹いた”のは、「シルバー世代の反乱」ではなく、「賛成」に回った無党派層の20代から50代である。
“風”は投票日の当日も“吹きまくり”、投票日夕方には、投票所は“若者”が列をなしていたという情報も伝えらえている。
 また、自民党支持層では、大阪府連レベルでは都構想に反対であったが、菅官房長官が記者会見で「二重行政を解消するのは当然」などと、都構想を後押しする発言を繰り返したことも影響し、自民支持層の賛否が割れ、「賛成」が42.7%まで達したと思われる。(産経新聞 出口調査)
結果、わずかに「賛成」は及ばず、1万741票差で反対が上回った。



(出典 朝日新聞社と朝日放送[ABC] 出口調査)

■ 高齢者が政治の主導権を握る
 日本は、超高齢化社会に突入している。
 2015年、65歳以上の高齢者人口は、約3277万人、26%に達している。2025年には、約3472万人、28.7%になると予測されている。
その中軸になるのは、昭和22年、23年、24年生まれの“団塊の世代”だ。



“団塊の世代”は、「戦後復興期」の“貧しい日本”に育ち、「受験戦争」と「大学紛争」、そして「就職戦争」を生き抜いた。そして「高度成長」、「環境破壊」、「バブル経済」と「バブル崩壊」を体験している。政治でいえば、自社体制、自民党政権の崩壊、民主党圧勝、まさに日本の激動の時代を過ごしている。その意識は、きわめて“多様”で、“したたか”である。今の20代~50代に比較しても、その“たくましさ”と“自尊心”は際立っている。昔の“高齢者”と同じと思わない方が良い。“保守”だ“革新”だという線引きにはなじまない年代層である。
こうした“団塊の世代”が、この10年は、日本の年代別人口の中で、“最大多数”を占めるのである。
大阪都構想の住民投票の結果を「シルバー世代の反乱」というコメントする向きもあるが、これはミスリードだろう。  「反乱」は“少数派”、“反主流派”に対しての表現である。「シルバー世代」は、“多数派”であり、“主流派”なのである。

 「“じいじ”と“ばあば”をなめたらあかんで!」


■ “大阪都構想”住民投票の結果の意味するもの
 今回の住民投票では、“反対派”が極めて僅差で上回った。しかし、その差はわずか1万票、民意は“賛否互角”と考えた方が良い。
 大阪は、“東京一極集中”で、地盤沈下が進んでいる。日本で人口第二の都市の座は、横浜に譲って久しい。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催で、注目度はいやがうえにも東京に集まるだろう。東京に対抗する都市として、大阪の“活性化”の新たな戦略が必要だろう。過度な“東京一極集中”は日本の“活性化”をも妨げると思う。
 また、「二重行政」の“無駄”への批判は、真摯に耳を傾ける必要がある。大阪府と大阪市は存続しても、「二重行政」是正は、大阪に課せられた大きな課題であろう。
 さらに「二重行政」は、大阪府と大阪市だけの問題ではない。国と都道府県、都道府県と市町村、各省庁間、さまざま段階で、問題が山積している。
 “日本再生”、取り組まなければならない課題は多い。





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2015年5月24日
Copyright (C) 2015 IMSSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
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サミット開催地 放送・通信・メディア IMC(国際メディアセンター)

2015年05月16日 08時25分49秒 | G7伊勢志摩サミット
サミット開催準備 放送・通信・メディア 何が必要か

 サミット開催にあたっては、首脳会合場や拡大会合場を始め、ワーキング・ランチやワーキング・ディナー、関連イベント会場等の準備が必要なのは勿論だが、サミット関連報道の拠点となる国際メディアセンターの整備や通信・回線インフラの整備も重要である。 キーワードは“ICT”サミット。準備期間はほぼ1年、時間との競争である。

■ 注目記事
サミット開催地はどこに決まる? 主要国首脳会議2016



北海道洞爺湖サミット IMC 洞爺湖町ルスツリゾート

◆ 国際メディアセンター(International Media Center)
 国際メディアセンターは、新聞・放送・通信社・雑誌・インターネットなど報道関係者の取材・編集・送出拠点である。
 放送関係者が使用する国際放送センター(IBC  International Broadcasting Center)や新聞・通信社・雑誌などが使用するプレス・エリア、プレス事務局など関連施設が設置される。参加するプレスは、邦人プレス3000人、海外プレス1000人、合わせて4000人程度が想定された。(北海道洞爺湖サミットの場合)。さらに議長会見場1か所と各国首脳会見場5か所程度が設置される。国際メディアセンターの延べ床面積は約1万平方メートルが必要となる。
 米国の主要放送局(ABC、CBS、NBC、CNN、FOX)は、大統領が出席する国際会議にあたって、“US Pool”を組み、ホスト国が準備する国際メディアセンターには入らず、独自に別個、“US Pool”専用のプレスセンターを設立し、取材・編集・送出拠点とする。
 こうしたスペースも準備しなければならない。
 既設の建造物で、十分なスペースが確保できて利用可能な場所が確保できない場合には、“仮設”等で新たに建設する必要がある。


◆ 2015エルマウ・サミットの国際メディアセンター(IMC)
 国際メディアセンター(IMC)は、ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)のオリンピック・アイス・スポーツ・センター(Garmisch Olympia Stadium)に設置される。
このスポーツ・センターは、ドイツのアイスホッケーチームのホーム・アリーナである。
1935年にオープンし、1936年の冬季オリンピックのフィギアスケートの会場となった。1996年にはアイスホッケーのワールドカップが開催された。ウインタースポーツの街、ガルミッシュ‐パルテンキルヘンのシンボルである。
ガルミッシュ‐パルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)はドイツ南端部の観光・保養都市。ウインタースポーツの施設が多数あるリゾート地である。








Garmisch Olympia Stadium 国際メディアセンター(IMC)


◆ 回線インフラの整備
 国際メディアセンターを始め、首脳会合場や各国代表の事務局、首脳や各国随行員の滞在するホテルなどには、高速大容量の光回線ネットワークが必須である。
サミット関連報道に係る映像・音声などの情報や各国代表が使用する情報回線、一般の電話回線、インターネット回線など大量のトラフィックを安定的に処理する必要がある。通常は既存のネットワーク基盤ではオーバーフローするので、新たに高速大容量の光回線ネットワーク基盤を構築しなければならない。
北海道洞爺湖サミットの場合も、大規模な光回線ネットワークの整備を実施した。


◆ 超高精細映像の登場で映像フォーマットが複雑化
 サミット関連の映像フォーマットは、九州沖縄サミットからHD(2K)が基本となった。HD-SDI 1080/59.94iと呼ばれる日米方式のHD映像・音声フォーマットである。
これに加えて、2016年には、4K/8Kフォーマットが登場してくる。総務省では、2016年中にBS放送で4K/8K試験放送を開始する予定で準備を進めている。2016年サミットでも、テスト・ケースとして何らかの取り組みを行うことが想定される。4K/8Kのパブリック・ビューイングは確実に実施されると思える。
一方で、コンピューターやスマホ、タブレットなどの移動体端末向けの映像・音声サービスも取り組む必要がある。最近話題になっているウエアラブル端末向けのサービスも試験的に行う必要があるのではなかろうか。
 また、サミット関連の報道を行う国内外の放送局や通信社は、通常のHD(2K)の映像を使用するだろう。
 こうした超高精細映像、HD映像、移動体通信向けの映像に対応するためのシステムも2016年サミットは必須となるだろう。



出典 4K8Kの推進に関する現状 総務省

◆ 4Gから5Gへ
 移動体通信は、次々と高速化して、3Gから、LTE、そして4G(LTE Advanced)、さらに2020年までには5Gを実現する計画が進行中である。
サミット開催地エリアでは、4Gの実現、5Gについては、実証実験に取り組む格好の機会だと思う。


◆ フリーWIFIサービスの整備
 諸外国に比べて遅れていると言われているフリーWIFIサービスをサミットエリアで実施する必要があると思われる。


2020年に向けた情報通信基盤整備の戦略 総務省


2015年5月16日
Copyright(C) 2015 IMSR

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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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