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コロナワクチン 製造物責任 アストラゼネカ ほとんどの国で製造物責任免責

2020年11月30日 15時01分06秒 | 新型コロナウイルス



AstraZeneca社 ほとんどの国で製造物責任免責
 英AstraZenecaは社、COVID-19ワクチンに関連する将来の製造物責任の申し立てから、供給協定を結んだほとんどの国で保護されているとロイター通信に語った。
 同社の首脳は、「ワクチン接種から4年以内に副作用が派生した場合は、企業としてリスクを負うことができない特殊な状況にある」とし、「契約では、免責を求めているが、ほとんどの国では、国の利益になるとして、そのリスクを国が負うことになると受け止めている」と彼は述べた。
 AstraZenecaは、米国、英国、ヨーロッパの国々や他の国々や組織と契約を行い、合計20億回分を無利益で供給することで製造物責任のリスクを回避している。その見返りとしてアストラゼネカは生産と開発資金に対して各国政府からの支援を確保している。(出典 Reuters 7月30日 AstraZeneca to be exempt from coronavirus vaccine liability claims in most countries)

 現在、世界で37のワクチン候補を臨床試験行っていて、認可されたら何億人もの人々に予防接種を行う準備を進めている。しかし、ワクチンの接種で副作用が発生した場合に損害賠償金を誰が支払うのかという問題は、ワクチンの供給体制を整備する上で難題である。

 EU当局はロイター通信に対して、今週、重篤な副作用が発生した場合などの製造責任はファイザー、サノフィ、ジョンソン&ジョンソンのCOVID-19ワクチン候補の供給契約を行う際の重大な論点の1つであると述べた。
 米国にはすでに、公衆衛生上の緊急事態対応で、治療薬やワクチンなどの公共の健康危機をコントロールする製品は、故意の不正行為を除いて、損害賠償責任から免責する法律(Public Readiness and Emergency Preparedness Act[PREP Act])がある。
 この法律で、治療薬やワクチンの開発企業は、副作用が発生した場合の損害賠償からから逃れることができる。
 数種類のワクチンは、秋には医療関係者などを対象に接種が開始される見通しである。ワクチンの安全性は、大規模臨床試験で確認するとしているが、何億人を対象に重篤な副作用が発生する可能性はゼロではないと思われる。こうしたリスクにどう対応するのか、リスクマネージメントの検討も必要だろう。




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新型コロナウイルス 治療薬・ワクチン 開発最前線 ~レムデシベル アビガン モデルナ オックスフォード大学/アストラ・ゼネカ Johnson & Johnson臨床試験 勝者は誰が?~

ワクチンの種類 遺伝子ワクチン ウイルス・ベクター・ワクチン プロテイン・ベース・ワクチン 不活性化ワクチン

トランプ大統領 新型コロナに感染

オックスフォード大/アストラゼネカ ワクチン 抗体とT細胞の「二重防御」の可能性 飛躍的進歩か

英AstraZeneca 米で治験再開 「説明のできない」有害事象発生 最終段階の治験一時中断

AstraZeneca 日本での治験8月にも開始 「特例承認」目指す

英アストラ・ゼネカ社 4億本のワクチンを欧州に提供

オックスフォード大学 臨床試験を開始 5000人にボランティアが対象



2020年11月30日
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イーライリリー 抗体治療薬 モノクローナル抗体 トランプ大統領

2020年11月30日 08時10分32秒 | 新型コロナウイルス


一躍脚光を浴びたモノクローナル抗体治療薬 トランプ大統領の治療に使用
 2020年10月2日、トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染して、重篤化して、首都ワシントン郊外のウォルター・リード軍医療センターに入院した。入院前にはホワイトハウスで酸素吸入を受けていたと報じられた。その後、症状が改善し、米東部時間10月5日午後6時40分頃に退院した。主治医による経過観察と治療はしばらく継続されるというが、わずか中3日の超スピード退院である。
 トランプ氏の医師団は様々な薬剤を使用して治療に当たったが、その1つが「モノクローナル抗体(中和抗体)カクテル」と呼ばれる臨床試験段階の未承認薬である。まだ臨床試験データが揃っていないため、安全性や効果がまだ十分に立証されていなが、人道的見地からの特例措置として使用が認められている。医師団の中には不安の声も上がっていたという。一方で、医療専門家は、トランプ氏の症状は、それでも投与したほうが良いと考えるほど深刻だったのではないかと指摘する。
 トランプ大統領に使用されたのは、米製薬大手リジェネロンが開発している「モノクローナル抗体(中和抗体)カクテル」の「REGN-COV2」で、効果があったとする見方が出され、抗体治療薬に対する関心が一気に高まった。
 リジェネロン社によると、人道的見地からの特例措置としてREGN-COV2の投与を受けた人はトランプ大統領だけではなく、これまでに「まれで特例的な状況」にあった10人未満がこの治療薬を投与されたという。
 医療上のプライバシーのため、同じく新型コロナ陽性と判定されたメラニア・トランプ大統領夫人や政府高官らがREGN-COV2を投与されたかどうかは明かせないとした。

トランプ大統領 新型コロナに感染 ペンス副大統領側近も

モノクローナル抗体とは?
 抗体医薬品では、モノクローナル抗体が注目されている。
 ヒトの体内のウイルスに感染した細胞やがん細胞などの「異物」(抗原)に対して、免疫細胞のB細胞がこれらの異物(抗原)を攻撃するために、特定の「目印」を持つ「異物」(抗原)に結合する抗体をつくる。
 たとえば、ほとんどのがん細胞は他の正常な細胞にはない特定の目印を持っている。 「もし、その特定の「目印」だけに結合して攻撃する抗体を大量に作成することができれば、治療薬として期待できる」という発想から生まれたのがモノクローナル抗体治療薬である。
 モノクローナル抗体は、ただ1種類のB細胞が作る抗体のコピー、つまりクローンです。モノは「単一」、クローナルは「混じりっけのない集合」を意味する。





出典 中外製薬 HP

 モノクローナル抗体は、新型コロナウイルスに対する素早い反応を免疫系に促すと期待されている。考え方としては新型コロナ回復者の血漿を用いる治療法と似ているが、モノクローナル抗体は単なる血液からの抽出物ではなく、バイオ技術によって人工的にに作られる点が異なる。
 抗体は、免疫系が病原体に反応して作り出すY字型のたんぱく質で、重要な役割は2つある。
 1つは、ウイルスに取り付き、ウイルスが細胞に侵入して複製するのを防ぐこと。もう1つは、病原体に目印を付け、免疫を担う他の細胞やたんぱく質が退治できるようにすることだ。
 ワクチンは体に抗体を作らせる。一方、モノクローナル抗体や回復者の血漿を用いた治療は、患者の体内に直接、抗体を送り込む。どちらもウイルスと闘う免疫系にアドバンテージを与えるのが目的だ。
 新型コロナ回復者の血液から抽出する血漿には、様々な種類の抗体が含まれる可能性があるのに対して、モノクローナル抗体は特定の抗原(ウイルス)を攻撃する。新型コロナウイルスを対象としたモノクローナル抗体は、鼻や口でウイルスが生存できないようにし、肺に到達して深刻な症状を引き起こすのを防ぐ。
「理論的には、『そもそも肺に行けるようなウイルスがいない』という状態を作りたい」。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の感染症専門医であり、COVID-19予防試験ネットワーク(CoVPN)を率いるマイロン・コーエン氏はそう説明する。「心配すべきは鼻への感染ではなく、下気道への感染です」
 米製薬大手イーライリリーをはじめとする多くの企業は、新型コロナ回復者の血液を調べて抗体の開発に役立てようとしている。リジェネロン社の場合は、ヒトの免疫系を持たせたいわゆるヒト化マウスに新型コロナウイルスを感染させ、抗体を作り出すヒトの免疫細胞を抽出した。
 その中から、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質に最もよく結合する抗体を作れる細胞がどれかを調べる。スパイクたんぱく質は、ウイルスがヒトの細胞に侵入する際に鍵の役割を果たす。
 こうした選別過程を経て、特定の1種類(モノ)の抗体のみを作るクローン細胞の株が生み出される。それを使って作られるのが「モノクローナル」抗体だ。
 リジェネロン社ではハムスターの卵巣由来の細胞を用いて抗体を大量に生産している。巨大なタンクの中で細胞を培養し、そこから抗体を抽出する。(米紙ワシントン・ポスト)
 最終的にでき上がるREGN-COV2には、新型コロナウイルスへの結合のしかたが少しずつ異なる2種類のモノクローナル抗体が含まれる。エイズウイルス(HIV)に対して複数の抗ウイルス薬を併用する「カクテル」療法と同じように、この抗体の「デュオ」もウイルスに対してより効果的だと考えられている。

効果と安全性は?
 REGN-COV2は効果と安全性の確認がまだ取れていないため、試験段階にある治療薬ということになる。米食品医薬品局(FDA)は、回復者の血漿や抗ウイルス薬「レムデシビル」と違い、REGN-COV2に対しては緊急使用許可を出していない。
 あらゆる治療法は、臨床試験において検証が行われるのが原則だ。患者を、その薬を投与するグループと、効果がないとされるプラセボ薬を与えるグループにランダムに振り分け、結果を比較する。リジェネロン社のREGN-COV2は、こうした試験の初期段階にある。完全な結果がまだ公表されていないこともあり、この治療薬の使用を懸念した医療関係者もいた。まして大国のリーダーに使うとなるとなおさらだ。
 リジェネロン社は9月29日に投資家およびメディア向けの会見を開き、最初の275人の患者に実施した臨床試験の暫定的な結果を発表した。それによると、自分自身の抗体が十分に作られていなかった患者に対し、REGN-COV2を8グラム投与(血管に注入)したところ、鼻の中のウイルス量が減少した。また、症状が軽減する傾向も見られたが、統計的に有意な差が出るには至っていないという。同社はなるべく早い時期に正式な結果を発表したいとしている。
 リジェネロン社と提携してREGN-COV2の予防的治療薬としての効果を検証しているCoVPNのコーエン氏は、今のところモノクローナル抗体の安全性に問題はなく、「安全でないと考えるべき理由もありません」と話す。ウイルスのスパイクたんぱく質を攻撃するものですので、どう考えてもヒトの組織には干渉しないとする。
 しかし、抗体治療には懸念材料がつきまとう。その1つが、特定の状況下ではかえってウイルスがヒトの細胞と結合する能力を高めてしまい、病状を深刻化させる可能性だ。
 抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれるこの現象は、少なくともREGN-COV2を用いた動物実験では見られていない。ただし、この結果を記した論文はまだ査読を終えていない。
 リジェネロン社のボウイ氏によれば、これまでに2000人以上が臨床試験に参加し、データを追跡している独立した委員会で安全性への懸念が示されたこともないという。「安全性は私たちの最大の関心事であり、常に注意深く見守っていますが、今のところ問題は起きていない」としている。
(要約 「解説:トランプ米大統領に投与、モノクローナル抗体とは」 National Geographic 2020年10月6日)


米イーライリリー社 抗体治療薬の臨床試験で被験者の登録を停止
 米製薬大手イーライリリー社は13日、新型コロナウイルス感染症(COVID19)抗体治療薬の臨床試験で被験者の登録を停止したことを明らかにした。安全性への懸念が理由。広報担当は電子メールによる発表文で、米政府の支援を受けて進めている臨床試験は、独立したデータ安全性監視委員会(DSMB)から停止の勧告を受けたと述べた。データ委員会が停止を勧告した理由について詳しい情報は明らかにしていない。
 広報担当キャスリン・べイザー氏は「当社は今回の臨床試験に参加する被験者の安全性を慎重に確保するという独立DSMBの決定を支持する」と述べた。
 今回中断されたのは、カナダのアブセレラ・バイオロジクスと共同開発するモノクローナル抗体薬「LY-CoV555」の治験。ウイルスを中和する2種類の抗体を組み合わせ、重症者に注射する。米国立衛生研究所(NIH)が主導する、新型コロナの入院患者を対象とした治験を実施中だった。
 同社株は13日午後の米株市場で一時3.8%下落した。(Bloomberg 10月13日)

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アストラゼネカ コロナワクチン 厚労省 1億2000万回分のワクチン供給で合意 武田薬品 5000万回接種分を国内供給<

2020年11月25日 18時05分54秒 | 国際放送センター(IBC)


厚労省 AstraZenecaと1億2000万回分のワクチン供給で合意
 8月7日、加藤勝信厚生労働相は、AstraZeneca社とOxford大が共同開発をしているワクチン候補、ChAdOx1 nCov-19について、1億2000万回分の供給を受けることで、基本合意したことを明らがにした。加藤厚労相によると、2回の投与が必要なら6000万人分となる。 まず来年の1─3月に3000万回分の供与を受けるとしている。
 日本が支払う金額は、明らかにされていないが、米国の例を参考に推定すると約2600億円程度と思われる。
 AstraZeneca社とOxford大は、英国やブラジルで最終段階の第3相臨床試験を開始しており、9月中には欧米諸国で実用化することを目指している。日本国内でも8月から臨床試験を始める予定で、日本国内での「特例承認」目指す。
 厚生労働省は、米製薬大手Phizerと、同社とBioNTech社が開発中のワクチン、BNT162についても、安全性などが確認されて承認されれば、2021年6月末までに、日本に対し6,000万人分ワクチンを供給を受けることですでに基本合意している。BNT162は、米国内で3万人の治験者を対象にした最終段階の第三相臨床試験開始している。
 政府は、東京オリンピック・パラリンピック開幕前の来年前半までに1億2000万人分のワクチンの確保を目指しているという。
 一方、トランプ政権は11月3日の大統領選挙までにワクチンの接種を大規模に開始することで、再選に向けて優位に立とうとする戦略である。
 東京五輪開催を目指す安倍政権、再選を目指すトランプ大統領、ワクチン開発は政権の命運を左右する命題になっている。

武田薬品 モデルナのワクチン5000万回接種分を国内供給
 10月29日、武田薬品工業は29日、米モデルナ社が開発中のワクチン候補「mRNA-1273」を日本国内向けに供給することで、同社と厚生労働省と合意したと発表した。発表によると武田薬は日本国内での製造販売承認取得後に5000万回接種分を2021年前半から日本国内で供給することを予定している。
 また、モデルナ社は、米国においてmRNA-1273 、100 µgの接種用量にて実施中の臨床第3相試験に向けて、30,000例の被験者登録が完了し、既に2万5000人余りが2回目の投与を受けているという。同社はこれまで、ワクチンの有効性に関する初期の分析結果を11月遅くまでに得られる可能性があるとしている。



新型コロナウイルス 治療薬・ワクチン 開発最前線 ~レムデシベル アビガン モデルナ オックスフォード大学/アストラ・ゼネカ Johnson & Johnson臨床試験 勝者は誰が?~

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モデルナModerna  BioNTech /Pfizer 最終段階の第三相臨床試験開始 「年内の実用化可能」
Moderna ワクチン価格32-37ドル


モデルナのコロナワクチンで患者全員が抗体を獲得-初期臨床試験 27日ごろから後期大規模治験へ

米モデルナ、臨床試験延期の報道 株価一時7%安

米モデルナ社の新型コロナワクチン、mRNA-1273 前期治験で有望な結果 米政府 約5億ドルの開発費支援

Mederna RNA-1273 最先端の遺伝子技術を駆使して開発するmRNAワクチン

モデルナ ワクチン、mRNA-1273の第2相(フェ―ズⅡ)臨床試験を開始





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アストラゼネカ 治験再開 治験中断 副作用

2020年11月24日 06時43分39秒 | 新型コロナウイルス


英アストラゼネカ、米でコロナワクチン治験再開
 
 10月23日、英製薬大手アストラゼネカ社は、米国内で中断している新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)について、米食品医薬品局(FDA)から承認が得られたとして再開したことを明らかにした。
 アストラゼネカは9月、オックスフォード大学と共同開発しているワクチン候補、「ChAdOx1 nCov-19」の最終臨床試験で、被験者1人に説明できない疾患が生じたことから治験を世界的に中断した。その後、9月12日、英国、ブラジル、南アフリカで再開、10月2日、日本でも治験を再開した。しかし同社は守秘義務を理由に、参加者にどのような有害事象が出たのか情報を開示していない。
 アストラゼネカ社とオックスフォード大学と共同開発しているワクチン候補、「ChAdOx1 nCov-19」の最終段階に入っていた臨床試験(治験)の一時中断を明らかにしたのは、9月8日、これまで順調に開発が進んでいた中での中断で衝撃を与えた。 
 アストラゼネカ社の発表によると、最終臨床試験で、被験者に説明できない疾患が発生したため、臨床試験を中断するとした。規制当局が独立した調査により安全性データを検討して、再開可能かどうかを決定するまでの間、世界中で行われているすべての臨床試験は一時停止した。
 New York Times紙によると、英国の治験で脊髄に炎症が起きる横断性脊髄炎が被験者の女性、一人に確認されたという。横断性脊髄炎はウイルスの感染によってき引き起こされる場合が多いとされる。この疾患がワクチンと関係がわるかどうかは不明という。
 アストラゼネカ社は「原因不明の病気」の場合の「日常的な」休止と説明し、オックスフォード大学の広報担当者は、「大規模な治験では、偶然に病気が発生することが日常的に起きるが、これを個別に検討して慎重にチェックする必要がある」と語った。
 BBCによれば、オックスフォード大のコロナウイルスワクチンの治験が保留されるのは2回目。 大規模な臨床試験は日常的に行われ、接種者の病気の原因がすぐに明らかにならない場合には、接種者が病院に入院することが発生した場合に治験は停止される。
 関係者によると、臨床試験は数日で再開できるとしている。
 このニュースを最初に伝えた医療情報ウェブサイトのSTATによると、症状が出たのは英国で治験に参加していた女性で、「横断性脊髄炎」という神経疾患が見られたが改善傾向にあり、早ければ9日に退院する見込みだという。7月にも治験参加者に神経症状が出たために一度中断したが、検査した結果、多発性硬化症が原因でワクチンとは無関係だったという。
 英FT誌は、治験は来週前半にも再開される見通しだと報じた。

 9月10日、世界保健機関(WHO)の主任科学者ソミヤ・スワミナサン氏は「治験の過程では浮き沈みがあるもので、備えをしなければならないということに気付かせる警鐘だ」と述べ、「落胆する必要はない。こうしたことは起こるものだ」との見方を示した。

 一方、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、10月12日に中断したコロナワクチンの治験について、データ安全性モニタリング委員会(DSMB)からの勧告を受け、早ければ来週にも再開する方向で準備を進めていると明らかにした。(Reuters 10月23日)
 また米Pfizer と独BioNTechは、10月中旬から11月上旬までに、ワクチン候補のBNT162の承認を得ることが可能だと確信しているとCNNの独占インタビューで語り、「BNT162は優れたプロファイルを備えており、ほぼ完全なワクチンと考えている」と自信を示した。
 両社は、年末までにBNT162を1億回、2021年には最大13億回の投与を計画していると述べている。

 こうした中で、9月8日、米ファイザーや英アストラゼネカなど欧米の製薬会社9社は、それぞれ開発を進める新型コロナウイルスのワクチンに関し、「高い倫理的、科学的基準に基づく開発や治験を継続する」との共同声明を発表した。トランプ米政権が、大統領選前に、臨床試験(治験)終了前に例外的にワクチン投与を認める「緊急使用許可」に踏み切る可能性が取り沙汰される中、拙速な使用に懸念を示した格好で、ライバル企業同士が結束するのは異例。「当局が求める大規模な最終治験を通じ、安全性と有効性が示された後に、承認や緊急使用を申請する」と明言し、治験終了前の申請を否定した。



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Moderna ワクチン価格32-37ドル 最終段階の第三相臨床試験開始 「年内の実用化可能」 SanofiとGlaxoSmithKline(GSK) 米BARDAから21億ドル

2020年11月17日 07時52分22秒 | 新型コロナウイルス


SanofiとGlaxoSmithKline(GSK) 米BARDAから21億ドル Moderna ワクチン価格32-37ドル
 7月31日、仏製薬大手サノフィ(Sanofi)と英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は、ワクチン開発費として米BARDAから最大21億ドル(約2250億円)の支援を受け、1億回分を提供すると発表した。欧州連合(EU)も3億回分の供給を受けることで合意したとしている。
 米国はこのワクチン候補を、「ワープスピード作戦(OWS)」の対象に選定したが、このワクチン候補は、まだ第1相臨床試験も行っておらず、9月に開始して、年末までに最終段階もの第3相試験を行う予定だ。
 両社は「良好なデータが得られれば、2021年上半期に米国の承認申請を得て、世界で年間最大10億回分の接種量のワクチンを生産する予定」としている。
 一方、8月5日、J&Jは、1億回分の供給で米政府と合意したと発表した。ワクチン供給に対し、J&Jは米政府から10億ドル(約1050億円)超を受け取る。日本や欧州連合(EU)とも協議中とされている。
 また、Moderna社は、mRNA-1273の提供価格について、小規模契約向けでは32─37ドル(2回接種で64-74ドル)に設定したと明かした。これはPhizer社が米国向けに設定した価格(2回接種で40ドル)を上回る水準。同社では、大規模契約には価格を引き下げるとも述べた。

Moderna  BioNTech /Pfizer 最終段階の第三相臨床試験開始 「年内の実用化可能」
 7月27日、Moderna社は、開発中のCOVID-19ワクチン候補、mRNA-1273について、米国立衛生研究所(NIH)の支援を受けて全米3万人の治験者を対象とした大規模臨床試験を開始したと発表した。トランプ政権が進めるワクチン開発促進策「ワープ・スピード作戦」の第一弾となる。
 この臨床試験は全米87カ所の医療施設で行われる。mRNA-1273を始め、Oxford/ Astra Zeneca 、Johnson & Johnson、Novavaxなどのコロナワクチン候補を対象にした臨床試験は、30州と首都ワシントンで実施され、うち半数程度は感染者が多いテキサス、カリフォルニア、フロリダなどで行われる。
 mRNA-1273の接種は、呼吸器疾患がない健康は3万人の成人に対して、2回接種して、安全性や抗体反応を誘発するなどの効果を確認する。1回だけの接種による効果についても調べる。
 治験者に接種するワクチンは100マイクログラムの容量した。用量を100マイクログラムとしたことについて、免疫効果の最大化と副作用の最小化にする最適な水準と説明している。治験者は1年間追跡する。
 一方、BioNTech SE社とPfizer社は、共同開発しているCOVID-19ワクチン候補、BNT162について、全米3万人の治験者を対象とした大規模臨床試験を開始したと発表した。米国で開始後、アルゼンチン、ブラジル、ドイツなど世界の約120の医療機関でも治験を実施する方針。18〜85歳のボランティアに2回投与し、安全性と、感染や発症の予防に有効かどうかを評価する。半数は比較のためプラセボを接種する。
 こうした中、米当局者は、コロナワクチンについて、年内の実用化は可能との認識を示した。
 米国立衛生研究所(NIH)のコリンズ所長は「年内に安全で有効なワクチンを提供するのはハードルの高い目標だが、米国民にとって望ましいことだ」とした。(Reuters 7月27日)
 Moderna社は、年内に5億回分のワクチン供給を目指し、2021年以降、供給数を年最大10億回分に引き上げる方針。
 27日、Modernaの株価は8%超、Pfizerは1.6% 、BioNTechは4.2%.値上がりした。
 大規模臨床試験開始の前日、Moderna社は、BARDA(米生物医学先端研究開発局)から追加のワクチン開発資金、4億7200万ドル(約500億円)の支援を受けた。 
 この結果、Moderna社は合計9億9500万ドル(約1065億円)の巨額の開発資金を手にしている。



新型コロナウイルス 治療薬・ワクチン 開発最前線 ~レムデシベル アビガン モデルナ オックスフォード大学/アストラ・ゼネカ Johnson & Johnson臨床試験 勝者は誰が?~

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