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朝日新聞は高校野球関係者のコロナ感染者を公表せよ

2021年09月08日 09時31分10秒 | 東京オリンピック


朝日新聞は高校野球関係者のコロナ感染者を公表せよ 選手1人陽性 朝日新聞記者も濃厚接触者で待機
 コロナ禍の中で開催された甲子園大会は、停滞する前線による豪雨にも見舞われ、大会運営は大きな打撃を受けている。
 昨日は、試合開始時間が3時間も遅れ、最終試合の第四試合は、夜7時10開始、終了は9時30頃、前代未聞の競技運営となった。朝日新聞は、五輪大会の運営で夜間の競技開催について厳しく批判した。高校野球なら9時過ぎまでの開催は「目をつぶる」のか。「開催ありき」と五輪を批判した。「開催ありき高校野球」となぜ批判しない。
 さらに雨の離京であわせて4日間の延期を余儀なくされている。暑さなどから選手の健康を守るために「休息日」がほとんど消えた。朝日新聞は選手の健康問題の配慮はやめたのか。
 懸念されたコロナ感染者が発生していることも大きな問題だ。
 8月14日、1回戦で愛工大名電に勝利し、2回戦に進出した東北学院(宮城)の選手1人が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性が判明したと発表された。
 陽性が発覚した選手は13日に発熱。13日夜と14日の朝の2回、PCR検査を行い、ともに陽性反応が出た。14日朝のPCR検査では、他に陽性者はいなかった。当該選手やチームのメンバーは濃厚接触者についての保健所の判断が出るまで、宿舎でそれぞれ個室で待機した。
 翌15日、大会本部は、選手2人と練習補助員1人に加え、チームと大会本部との調整などを担う主催者の朝日新聞記者の計4人が濃厚接触者として保健所に認定されたと発表した。4人はそれぞれの宿舎で待機中で、12日と14日に受けたPCR検査では陰性だった。陽性となった選手は15日に選手宿舎から宿泊療養施設へ移ったという。
 問題は、感染ルートである。選手2人と練習補助員1は、厳しく行動管理がなされていると思われるので、朝日新聞記者がなんらかの「感染源」となった懸念も残る。朝日新聞は、一刻も早く、調査を行い、結果を公表すべきだろう。勿論、プライバシーについては十分な配慮が必要だ。

 最大の問題は、選手やチーム関係者以外の大会関係者や学校関係者のコロナ感染情報が一切明らかにされていなことである。五輪関係者のコロナ感染者を連日報道して厳しく追及した朝日新聞は、高校野球については沈黙している。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、毎日、「選手」、「大会関係者」、「メディア」、「委託業者」などを「海外」と「国内」に分けてコロナ感染者数を公表した。朝日新聞は、同様に高校野球関係者のコロナ感染者を公表すべきだ。
 甲子園地域に開催期間中に滞在している代表校の関係者は、1校当たり約30人として計49校で約1500人、学校関係者が1日あたり最大4000人、それに大会関係者や関連業者などが加わり、1日当たり5000人近くが大会に関わっていると思われる。
 一方、開催地兵庫県のコロナ感染状況は、まさに感染爆発で「制御不能」状態に陥っている。8月12日は史上最高の728人の新規感染を出し、入院病床率は50%超である。兵庫県の陽性率は、20.4%と20%を超えている。5000人に全員にPCR検査を実施すると、20%という数字は過剰だが、数十人程度の陽性者が出るのは当然と思われる。甲子園大会の場合、PCR検査を毎日全員に対して実施していないが、それにしても大会関係者で、「感染者1人」というのは不自然である。
 なぜ朝日新聞は、関連業者やメディアを含めて大会関係者の陽性者の数と内訳を明らかにしないのか。五輪大会は厳しく批判する一方で、高校野球は「目をつぶる」のか、説明を求めたい。
 また、五輪報道については、「バブルに綻び」として、大会関係者が宿泊施設を抜け出して外出する姿を追いかけた。周辺のコンビニ等に「張り込み」取材を行い、大会関係者や外国人メディアが飲料などを買う姿を報道して批判を浴びさせた。
 高校野球関係者の「バブル体制」は実施していないが、外出自粛が求められている。甲子園エリアに滞在する大会関係者が市内に外出する様子の「張り込み」取材はしないのか。地元兵庫県は感染爆発の状況である。
 朝日新聞は、主催者としてメディアとしての責任を果たして欲しい。



朝日新聞社説批判 「中止の決断を」に反論する 五輪は開催すべき

朝日新聞は東京五輪の「オフイシャルパートナー」を返上せよ


5月26日朝刊 朝日新聞社説 「東京五輪 中止の決断を求める」




2021年9月1日
Copyright (C) 2021 IMSSR


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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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東京五輪 メディア批判 ファクトチェック 五輪バッシング 

2021年09月06日 12時06分59秒 | 国際放送センター(IBC)


東京オリンピック メディア批判 五輪バッシング 盲目的に「中止」唱えるメディアのお粗末


羽鳥慎一モーニングショー批判 玉川徹批判 ファクトチェック 検証 五輪バッシング報道

東京オリンピック 尾身会長批判 五輪リスク 「ワクチン」「検査体制」「医療体制」一体何を提言したのか

「ぼったくり」は米国五輪委員会 バッハ会長は「ぼったくり男爵」ではない メディアはファクトを凝視せよ

深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 速報 世論調査で「開催支持」50%に 東京五輪開催、プレイブックV3公表 1都3県、北海道、福島は「無観客」

国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




東京オリパラ閉幕 メディアは東京オリパラに対する報道姿勢を検証せよ
 9月5日、東京パラリンピックの閉会式が、13日間の熱戦に幕を閉じた。大会では22競技539種目が開催され、日本は前回リオデジャネイロ大会でゼロだった金メダルを13個獲得。銀は15個、銅23個で、総メダル数は51と過去3大会を大きく上回り、史上最多だった2004年アテネ大会の52個に迫り、パラアスリートの活躍で、多くの「感動」と「勇気」をもらった。
 閉会式は、「多様性の街」をテーマにした演出だったが、なにか雑然とパーフォーマンスが続き、開会式の「片翼のない飛行機」のようなインパクトはなかった印象を持った。
 その中で強烈なインパクトがあったのは「Paris2024」のパラ・アスリートたちのパーフォーマンス、五輪の閉会式に引き続き、「Paris2024」の圧勝。さすが「文化と芸術」の国、フランスには脱帽。
 五輪・パラの閉幕を迎え、最大の問題はメディアの報道姿勢である。五輪に対しては徹底的なバッシングを浴びせ、パラリンピックに対してはまったく沈黙する。その「手のひら返し」姿勢には唖然である。
 コロナ感染状況は、五輪開催時よりパラリンピック開催時の方がはるかに悪化、東京の感染者数は、パラリンピック開催直前には5000人(8月18日)を突破、医療逼迫は現実化して、感染しても治療も受けられない状況に陥っていた。五輪開催時に朝日新聞は、繰り返し医療逼迫の懸念を唱えていた。パラリンピック開催については医療逼迫は黙認するのか。
 パラリンピックの参加者は約4400人、規模は五輪の約半分以下だが、超ビックな国際イベントには変わりはない。
 障害者の祭典、「共生社会」の実現という大義名分があれば、コロナ感染拡大のリスクを黙認していいのか。五輪バッシングに奔走したメディアは、パラリンピック開催に沈黙した「手のひら返し」報道姿勢を明快に説明すると共に、報道対応を冷静に検証すべきだろう。
 朝日新聞は、一面で東京本社社会部長・隅田佳孝の署名記事で「大会を通して突きつけられた社会の自画像から目を背けず、選手たちがまいてくれた気づきの種を育てよう。その先に大会のレガシーはある」と五輪レガシーについて言及する始末。
 また社説では、「パラ大会閉幕 将来に何をどう残すか」と見出しで、「障害の内容や程度は違っても、自らが秘めている能力に気づき、伸ばすことによって、新たな世界が開ける。13日間にわたる選手たちの躍動を通じて、人間のもつ可能性を肌で感じ取った人は多いだろう」として、「選手のプレーに感動し、それをただ消費して終わるのではなく、次代につながる、まさにレガシー(遺産)を残すことに英知を集めねばならない」とレガシー論を述べている。
 まさに「なにをかいわんや」である。朝日新聞は、東京オリンピック・パラリンピックを全否定して「開催中止」を主張したのではないか。
 その一方で、菅首相は突如、退陣表明。日本は一転して政局の季節に突入した。安倍長期政権とそれ引き継いだ菅政権、日本の政治は節目を迎える。
 いずれにしてもコロナ禍で開催された2020東京オリンピック・パラリンピックは、1964大会に並ぶ、「歴史に残る」大会になったのは間違いない。

東京パラリンピック開幕 パンデミックの中での「強行」ではないのか?
 朝日新聞は、五輪開会式の日(7月23日)の朝刊で、「五輪きょう開会式 分断と不信、漂流する祭典」という見出しで社説を掲載、「東京五輪の開会式の日を迎えた。鍛え抜かれたアスリートたちがどんな力と技を披露してくれるか。本来ならば期待に胸躍るときだが、コロナ禍に加え、直前になって式典担当者の辞任や解任が伝えられ、まちには高揚感も祝祭気分もない。(中略)
 社説はパンデミック下で五輪を強行する意義を繰り返し問うてきた。だが主催する側から返ってくるのは中身のない美辞麗句ばかりで、人々の間に理解と共感はついに広がらなかった。分断と不信のなかで幕を開ける、異例で異様な五輪である」とした。
 そして、「感染防止を最優先で この1年4カ月は、肥大化・商業化が進んで原点を見失った五輪の新しい形を探る好機だった。実際、大会組織委員会にもその機運があったという。ところがいざ実行に移そうとなると、関係者の思惑が絡み合い、何より国際オリンピック委員会(IOC)と、その背後にいる米国のテレビ局や巨大スポンサーの意向が壁となって、将来につながる挑戦にはほとんど手をつけられなかった」と厳しく批判した。
 これに対して、パラリンピックの開催式が行われた翌日、朝日新聞は、1面で「<視点>共生社会へ、人々つなぐ大会に」という見出しの記事を掲載した。
 パラリンピック・アスリートに対しては、「大会延期決定から1年。選手たちは自国開催への思いを声高に語ることはできず、もどかしさを抱く」としてアスリートを思いやるコメントをのせた。
 そして、「残された体の機能を最大限に生かし、競技で表現する選手の姿は、たしかに心に響くものがある。それでも、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、大会を開く意義は何か。記者も問い直す日々が続く。この大会が、違いを認め合い、わたしたちが生きる希望を見いだせるきっかけになれば、と願う。(中略)4400人の選手たちがそれぞれの思いを胸に臨む。人々がつながるための気づきがきっとある」とパラリンピック開催を「歓迎」し「賛美」するコメントで締めくくった。
 「五輪」と「パラリンピック」に対するこの違いは一体、どうなっているのだろうか。まったく納得できない。「五輪」のアスリートの思いにはまったく「無視」して、「パラリンピック」のアスリートには「共感」を寄せる、朝日新聞はその姿勢の違いを論理的に説明すべきだ。
 「五輪」に対する批判記事を執筆した朝日新聞の記者や論説委員、それに有識者や外部評論家は、パラリンピック開催についてどう考えているかコメントすべきだ。沈黙するのはあまりにもお粗末な対応だろう。
 パラリンピックもさらに深刻化したコロナ・パンデミックの中で「強行」された国際スポーツイベントなのである。

朝日新聞社説 パラリンピック開催は支持「安全対策に万全期して」
 今日(8月24)、東京パラリンピックは開会式を開催する。
 朝日新聞は、五輪開催については激しく攻撃を繰り返していたが、パラリンピック開催についてこれまで沈黙を続けていた。
 新型コロナウイルスの「感染爆発」という危機的な状況の中で、「世界各地から選手を招き、万単位の人を動員して巨大な祭典を開くことに、疑問と不安を禁じ得ない」としたが、開催については、「手のひら返し」をして「延期」や「中止」を主張せず、「安全対策に万全期して」して開催して欲しいとする。
 その一方で、「五輪を強行しながらパラを見送れば、大会が掲げる共生社会の理念を否定するようで正義にもとる。そんな思いも交錯して、五輪が終わった後、議論を十分深める機会のないまま今日に至ったというのが、率直なところではないか」と「言い訳」をした。
 「議論を十分深める機会」がなかったとして、世論の責任に転嫁しているが、朝日新聞はパラリンピック開催については「議論を十分深める」ことを行ったのか。これまで沈黙していたのではないか。メディアとしての責任を問う。
 そして、パラリンピック大会開催意義として「選手たちの輝き」を上げ、「大会では障害の程度に応じて多様な競技が展開される。一人ひとりが向き合っているハンデやその前に立ちはだかる壁を、自らに重ね合わせてプレーを見れば、人間のもつ可能性に驚き、励まされることだろう」とし、「純粋なスポーツとしてパラに関心を寄せ、楽しむ人も広がっている。選手たちの安全と健闘を心から祈る」と締めくくった。「五輪」とは一変して「暖かさ」にあふれたコメントだ。
 五輪大会中止を掲げた社説と読み比べて、五輪大会とパラリンピック大会に対する報道姿勢の違いに唖然とする。五輪のアスリートには「輝き」や「人間のもつ可能性に驚き、励まされる」ことはないのか。偏見に満ち溢れた不公正な論評に対して筆者はまったく納得しない。朝日新聞は五輪大会でのアスリートの姿に「感動」や「勇気」を感じ取っていないのか。
 繰り返すが筆者は、障害者の世界最大のスポーツの祭典であるパラリンピックの開催意義は高く評価し、コロナ禍でもその開催を強く支持している。コロナ禍だからこそ「感動」と「勇気」がもらえる大会開催は極めて大きな意味がある。
 朝日新聞は、朝日新聞のコマーシャルで、「スポーツは希望になる」として、1964東京大会の開催に尽力した朝日新聞記者の田畑政治氏を取り上げ、「若者が世界に挑戦する舞台を作り続けた」とし、「憧れを絶やすな」「スポーツのすそ野を広げていく」と宣言している。五輪バッシングを激しく続けた姿勢はどこにいったのか。
 しかし、新型コロナウイルスの感染状況は五輪開催時より更に深刻化して、「感染爆発」、「災害クラス」、医療崩壊は現実化して中での開催を批判しない朝日新聞などのメディアは糾弾に値する。

朝日新聞社説 パラリンピック開催は支持「安全対策に万全期して」


朝日新聞社説(8月24日) 「東京パラ大会 安全対策に万全期して」 上記の「東京五輪 中止の決断を求める」の社説と読み比べて欲しい


パラリンピック明日開幕 メディアは、パラリンピックの開催中止をなぜ主張しない
 明日8月24日から、8月8日に閉幕した2020東京五輪大会に引き続き、8月24日から9月5日まで、パラリンピックが開催される。22競技、539種目が1都3県の21の競技会場で開催され、約4400人が参加する世界最大の障害者スポーツの祭典である。
 コロナ禍の大会開催となり、一般観客はすべての会場で受け入れないが、「学校連携プログラム」による小中高生の感染は認めることになった。

 五輪閉幕後も新型コロナウイルスの感染拡大は、更に加速し、「感染爆発」、「制御不能」、「災害レベルの感染猛威」という事態を迎えている。
 全国の新規感染者数(8月20日)は2万5876人、五輪が開幕した時は4377人(7月23日)は4377人、約6倍増、東京では1359人に対して5405人で約4倍と感染爆発が止まらない。
 8月22日、組織委員会は、東京パラリンピックの選手2人を含む、大会関係者30人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表した。パラリンピック関係者の1日の陽性者数としては、過去最多を記録した。
 医療逼迫の懸念は五輪時よりはるかに高まっている。
 東京の入院者数(軽傷中等症)は3968人に達し、病床使用率は66.5%、重症者数は271人に重症床使用率は69.1%、入院が必要な患者が病床が足らなくて入院できないケースが常態化している。医療崩壊が現実化しているのである。
 競技会場で大会関係者に傷病者が出た場合に受け入れる「指定病院」の都立墨東病院が、救急で重症者を受け入れは行うが、「新型コロナウイルス感染症を最優先としながら対応する」という。苦渋の選択である。こうした動きは他の病院にもあるという。都立墨東病院は「開催の是非」を議論すべきだとした。(8月19/20日 朝日新聞)
 こうした状況の中で、五輪バッシング報道を繰り返した朝日新聞や毎日新聞はパラリンピック開催の是非を論評する記事を掲載しない。唯一、「パラ学校観戦 割れる判断」(8月18日朝刊)だけが論評記事である。
 あれだけ、五輪開催については激しく批判していた報道姿勢とは一変をしたのには唖然とする。
 五輪開催時には、医療崩壊を理由に五輪開催を激しく批判したに対し、パラリンピック開催については、医療崩壊が現実化しているにも関わらす、開催を一切批判しない。
 メディアとしての責任をどう考えているか。パラリンピック開催に関する批判をファクトを踏まえて掲載すべきだ。
 新型コロナウイルスの感染状況は、五輪開催を直前に控えた7月上旬より、今の方がはるかに深刻化している。もはや「感染爆発」、「制御不能」、「災害レベル」の感染猛威なのである。
 「オリンピック」と「パラリンピック」とでは開催の理念が異なり、「パラリンピック」は障害者スポーツの祭典であることは十分理解した上で、その開催意義は高く評価したい。
 にもかかわらず、残念だが、今の深刻なコロナ禍の中では、五輪大会以上に、アスリートや大会関係者の感染拡大リスクは「制御不能」と言わざるを得ない。
 また五輪開催で、国民の感染対策に「気の緩み」が生じると激しく批判したが、パラリンピック大会の開催で「気の緩み」は懸念しなくてよいのか。論理的に説明して欲しい。
 朝日新聞や毎日新聞は、こうした状況を踏まえて、「パラリンピック」開催是非について、社説などで見解を表明すべきだろう。「沈黙」はメディアとしての責任放棄である。

メダリストの涙の裏に「追い詰められた1年」の苦悶を見た
 五輪開催に対してメディアは連日のように激しい「五輪バッシング」を浴びせ続けた。
 BBCニュース(6月12日)は、「(日本)国内の議論は極めて感情的なものとなった。異なる意見は許されず、開催に前向きな思いをもつ人はそれを表明するのを恐れた。その影響はアスリートにも及んだ。白血病から復帰して競泳の東京五輪代表に内定し、多くの人に感動を与えた池江璃花子選手には、出場辞退を求める声がソーシャルメディアで寄せられた。彼女は、「このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然の事」である反面、「それを選手個人に当てるのはとても苦しい」とツイートした。中村知春選手も、「東京オリンピック・パラリンピックをやりたい、と声を大にして言えないのは、それはアスリートのエゴだとわかってるから。 別に何も考えてない訳じゃない」とツイッターに投稿した」と伝えた。
 アスリートが五輪に出たいと言えない、開催してほしいいう声が上げられなくなっていた。
 アスリートを追い詰めたのは、メディアの激しい「五輪バッシング」だったのは間違いない。
 メダルを獲得して表彰台に上がったアスリートには、笑顔と同時に涙があった。筆者は、涙の裏に、コロナ化で練習もできない一方で、目標としている五輪大会開催に激しい批判が浴びせられて苦悶し続けていた姿をアスリートの姿を見た。
 柔道、競泳、卓球、ソフトボール、そして史上最年少の金メダリストが出たスケートボード、五輪大会には、「感動」と「勇気」がもらえる。
 五輪バッシングを浴びせ続けてアスリートを苦境に追い込んだメディア、五輪大会の「感動」と「勇気」を伝える資格がない。

「金メダルラッシュ」 コロナ禍の中で「感動」と「勇気」を与えてくれるアスリート
 2020東京五輪大会は、開会式のNHK中継番組が、56・4%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)という「驚異的」視聴率を獲得し、1964年東京五輪の61・2%に迫った。瞬間最高は61・0%に達したという。
 序盤戦の日本人選手の活躍は目覚ましく、「金メダル」ラッシュである。柔道では阿部詩選手と阿部一二三選手の兄妹が揃って金メダルに輝く。兄妹の同時金メダルは初の快挙である。競泳400メートル個人メドレーでは大橋悠依選手が完勝して金メダル、新種目のスケートボードでは堀米雄斗選手も金メダルを獲得した。
 そして、今日(7月26日)は、スケートボード女子ストリートで13歳の西矢椛選手が日本選手で史上最年少となる金メダルを獲得、また、16歳の中山楓奈選手が銅メダルを獲得した。五輪大会の新競技で2人の10代のメダリストが誕生した。夜になって柔道男子73キロ級で、大野将平選手が二連覇を達成した。
 こうした日本人選手の大健闘で、東京五輪大会の熱気は一気に高まった。アスリートの活躍は、コロナ禍で閉塞感が溢れる中で、ひときわ感動と勇気をもたらしてくれる。
 朝日新聞は、7月26日の朝刊の1面トップで初めて、「大橋 堀米 阿部一 阿部詩 金 兄妹で『金』 家族とともに」という見出しで、五輪大会での選手の活躍を讃える記事を掲載した。スポーツ面でも同様な趣旨の特集記事を掲載している。五輪大会に対する「熱気」を明らかに高める記事だ。
 これまで、朝日新聞は、五輪大会に対して痛烈な批判を繰り返してきた。その姿勢はどこにいったのか? 
 同様に、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」などの情報番組や毎日新聞なども同じ責が問われる。
 金メダルラッシュが続けば五輪批判はやめるのか? 余りにも節操がないお粗末な報道姿勢である。
 とりわけ朝日新聞は「五輪開催中止」を声高に社説に掲げて、五輪開催の意義を否定したことを忘れたのだろうか。
 メディアは報道姿勢の一貫性が求められる。さもないとメディアとして最も重要な「信頼性」を失う。
 こうしたメディアに、五輪のアスリートのもたらす「感動」と「勇気」を伝える資格がない。

五輪開会式の楽曲作曲担当 小山田圭吾氏辞任 開会式の曲の一部削除
 7月23日、東京五輪組織委は、午後10時から、急遽行われた緊急記者会見で、五輪開会式のクリエーティブチームのメンバーとして音楽を担当していたミュージシャン、小山田圭吾氏の辞任を発表し、小山田氏の担当した開会式のオープニングの楽曲の内、4分間を削除するとした。
 小山田氏は90年代の音楽雑誌でのインタビューなどで、障がいを持つ同級生をいじめていたことを得意げに語っていた。組織委員会が開会式の楽曲担当メンバーの一人と発表した直後から、小山田が当時の記事がネット上で拡散。「多様性と調和」を掲げる東京五輪・パラリンピックにふさわしくないとの批判がSNS上で相次いだ。

電通の責任重大 
 相次いで開会式の担当者が辞任したことで、開会式のプロデュースを電通に「丸投げ」している体質の欠陥が露呈したといえるだろう。
 勿論、「丸投げ」をしている組織委員会の責任は免れるものではない。
 しかし、開会式・閉会式を始め、五輪関係の主要イベントを独占している電通の責任は重大だろう。
 渡辺直美さんの容姿を侮辱して辞任した演出統括のクリエーティブディレクターの佐々木宏氏、その後任で統括を努める日置貴之氏、いずれも「電通ファミリー」のイベント・プロデューサーである。
 今回開閉会式の演出陣として起用された人たちは、佐々木宏氏や日置貴之氏が選んだ人たちでいわゆる「電通ファミリー」に名を連ねるイベント・クリエーターであろう。
 辞任した小山田氏を始め、こうしたイベントクリー・エーターを、武藤事務総長を始め組織委員会の幹部はほとんど知らないのは間違いない。組織委員会の幹部とは「違う」世界で活躍している人たちだからである。電通グループの「いいなり」で、演出陣の人選が進めれたのでであろう。
 その電通がモラル崩壊を起こし、渡辺直美さんを侮辱したり、いじめを自慢したりというお粗末な不祥事を続発させた。「多様性と調和」を掲げる五輪大会の理念を全く理解しない「電通ファミリー」は、最早、五輪にかかわる資格はない。
 さらに問題なのは、電通にスポンサーを握られているテレビ、新聞メディアは、電通の責任を追及しないことだ。

「無観客開催要請」をした仙台市長、ファクトを踏まえないお粗末 五輪反対ポピュリズムのシンボル
 7月13日、郡和子仙台市長は、宮城スタジアム(宮城県利府町)で21~31日にある東京五輪男女サッカー競技を無観客試合とするよう、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長に文書で要請した。県外の観客が市内を経由して移動し、滞在するケースが想定され、新型コロナウイルス感染再拡大を懸念していることがその理由だ。
 これに対して、宮城県の村井嘉浩知事は、県内では現在、プロ野球やJリーグなどの大規模会場で、観客を1万人以上入れて開催しているのに、「五輪サッカーのお客は観戦できませんというのは、極めて不平等」と強調。「他のイベントと同じ扱いをする」とした。
 県は、試合がある6日間のうち、観客が1万人になるのは2日間で、残りは約3千~約8千人だと説明。東北地方の人が7、8割で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ている首都圏の4都県からは1割前後という。
 さらに村井知事は「東京から通常仕事などでお越しの人数を考えると、それほど大きな人数ではない」と説明。「重点措置などにならない限りは、このままの形で進められるのでは」との考えを示した。
 仙台市内でも、楽天のホームグランドの仙台球場ではプロ野球、コンサートや各種イベントが頻繁に開催され、首都圏からも多くの参加者も訪れている。隣の利府町ではサッカーJリーグも開催され、首都圏の観客は仙台市内に宿泊する。感染リスクを主張するなら、なぜ、こうしたイベント開催を容認しているのか、筆者にはその理由が理解できない。
 また、ビジネスや観光で仙台を訪れる人は、五輪の観客をはるかに上回っているのは間違いない。感染リスクは、こうしたビジネスや観光の人流の方がはるかに大きい。なぜ、仙台市はビジネスや観光の人流を抑制する対応をとらないのかまったく整合性に欠ける。感情的な五輪バッシングとしか思えない。
 郡和子仙台市長の「無観客要請」発言は、反五輪のネガティブ発想に凝り固まった科学的根拠やファクトを無視している。
 新型コロナウイルスの不安を扇動するような姿勢では、withコロナのニューノーマルの時代は乗り切れないは明らかだ。

「残念だが無観客」 メディアは「残念」というな!
 2020東京五輪大会の観客は、1都3県、北海道、福島では「無観客」開催になることが決まった。
 テレビ情報番組のコメンテーターは、「残念ですが、無観客になりました」と「残念」という言葉を付け加える。
 「五輪中止」、「無観客」の大合唱を繰り返し続けながら、「残念」というのはまったく筋が通らない。「無観客は当然」と言って欲しい。
 とにかく、メディアの五輪バッシングは眼に余る。
 筆者は、「無観客」の決定はやはりおかしいと思う。
 プロ野球、Jリーグなどの試合は、「収容人員の50%」か「1万人上限」で、有観客で開催している。その結果、パンデミックが発生していない。
 この点では、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、「日本のプロスポーツが有観客で開催されている。五輪と別の対応で理解に苦しむ」と無観客に不満を示したが、まったく同感である。
 五輪大会のチケット購入者の70%以上は、首都圏とされている。遠方から来る観客は少ない。そもそも感染者急増は東京の問題で、地方は沈静化している。そして海外からの観客はいない。首都圏での無観客は根拠が薄い。北海道や福島についても、首都圏かくる観客は一体どの位いるのだろうか。データが示されていなく、感染リスクのエビデンスがない。
 茨木県の「学校連携」で小中高の生徒を受けいれる判断は極めて合理的だ。教師が引率し感染防止対策を取れば、感染リスクはほとんどない。一般市民の観客とは違い、生き帰りに飲食店で酒を飲んだり、大騒ぎをする可能性はない。県外から来る可能性もない。
 EURO2000の決勝戦はイングランドのウェンブリー・スタジアムで6万人の観客を入れて開催した。観客にはワクチン証明書か陰性証明書の提出を義務付けたが、マスク着用の義務はない。英政府は、大規模イベントの「実証実験」として6万人の観客を容認した。英国では「イベント調査プログラム」(Events Research Programme)があり、このプログラムで承認されると、特例で現在政府の行っている規制より大人数の観客を受け入れることが可能になる。
 英国内では各地でパブリックビューイングも開催され、熱狂的なファンで会場は埋め尽くされた。マスクをしている人はいない。
 これに対して、日本人はあまりにも過度の「完璧主義」に凝り固まっているのが問題だろう。「一人も感染者を出してはならない」という姿勢は現実的ない。
 この発想では、with Coronaのニューノーマルの時代は生き残れない。


朝日新聞社説批判 「中止の決断を」に反論する 五輪は開催すべき


1都3県、北海道、福島は「無観客」 宮城、福島、茨城(学校連携のみ)は「有観客」
 これを受けて、7月8日夜、大会組織委員会、東京都、国、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)は「五者協議」を開催し、「緊急事態宣言」が発出された東京都内の全会場の無観客開催にすることで合意した。また「緊急事態宣言」が発出されていない埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県や、茨城、宮城、福島、静岡、北海道の会場については、それそれの地域の感染状況を踏まえて、自治体の首長と協議の上、具体的阻止を決めることで合意した。「無観客」でもIOCなど大会関係者は運営に関わる人に人数を絞った上で入場を認める方針。
 「五者協議」に引き続き、東京都以外で競技会を開催する、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県や茨城、宮城、福島、静岡、北海道も加わり、「関係自治体等連絡協議会」が開かれ、茨城、宮城、福島、静岡、北海道は、「収容定員の50%」か「上限1万人」の少ない方で、「有観客」で開催することに合意した。
 しかし、その後、合意内容は直ちに撤回され、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県は「無観客」、茨木は「学校連携」のみとすると発表した。
 北海道は、札幌で開催されるサッカー予選の5セッションは「収容定員の50%」か「上限1万人」の少ない方で、有観客することで合意していたが、鈴木北海道知事は、記者会見で、試合終了が午後9時を過ぎる試合については引き続き検討するとし、首都圏の1都3県から観客が訪れないように大会組織委員会に求めたことを明らかにした。
 北海道は、翌7月9日、一転して、サッカー予選は「無観客」とする発表した。感染が拡大している首都圏などから来訪者で道外からの人流が増えることで、感染拡大の懸念に配慮した措置である。
 また、7月10日、福島あずま球場で開催されるソフトボール予選6試合(日本対豪州戦を含む)と野球予選1試合(日本対ドミニカ戦)はすべて「無観客」とすると発表した。
 野球・ソフトボールの福島開催は、東京2020大会の開催意義として掲げている「復興五輪」のシンボルとなっていただけに、関係者や地元市民の落胆は大きい。
 この結果、2020東京五輪大会では、42会場で750セッションが開催されるが、この内、「無観客」は37会場724セッション、96.5%にも及び、「有観客」は、茨城、宮城のサッカー予選と静岡の自転車競技の5会場26セッションとなった。
 大会組織委員会は、1年延期前には448万枚のチケットの販売を完了していたが、今回の措置で、ほとんどが払い戻しの対象となり、大会組織委員会のチケット収入約900億円は宙に浮くことなる。大会組織委員会の収入(V5)は、合計7210億円、約12.5%を占める。大会組織委員会の財政調整額は150億円を計上しているが、900億円の収入が消えれば、大幅な赤字転落は必至である。
 大会組織委員会が赤字になった場合は、一義的には東京都が負担、東京都が負担しきれない場合は、国が負担するという原則になっている。
 東京都と国で、「負の遺産」の押し付け合いが今後激化するだろう。

感染防止対策の大失敗 その責任は菅首相と尾身会長 メディアは批判の矛先をバッハ会長でなくて菅首相と尾身会長に向けるべきだ
 結局、万策尽き果てて、5回目の「緊急事態宣言」、五輪「無観客」に追い込まれ、菅首相や尾身会長のコロナ対策の無策ぶりが露呈した。海外からの見方は、日本は、感染者数は圧倒的に少ないのに、なんでそんなにうろたえているのかという見方が支配的である。
 菅首相や尾身会長が進めたコロナ対策は、「緊急事態宣言」と「重点措置」での「人流抑制」、それに飲食店や酒類をスケープゴードにするだけで、感染拡大防止には効果がなく大失態となった。
 いまだにワクチン接種率は世界でも最低水準、検査体制の充実も進まず、感染源のトレースもやらない、医療逼迫の懸念はいうが医療体制の充実は進めない。尾身会長の率いる専門家グループも感染拡大の分析と予測には熱心だが、どうしたら感染拡大を阻止できるのか、対策は何も提言しない。お粗末な専門家は資格を剥奪すべきだろう。
 そのお粗末さのツケが、四回目の「緊急事態宣言」と「無観客」になったということだろう。
 東京で900人超の感染者が急増して第五波を招いたのは、「五輪」はまったく関係なく、菅首相と尾身会長の感染防止策の大失態。
 菅首相と尾身会長(分科会の専門家たち)は、その責任をとるべきである。
 メディアは五輪批判の矛先をバッハIOC会長に向けるのではなくて、感染防止に失敗した菅首相と尾身会長の責任を追及すべきだ。
 今回のコロナ対応で、日本はまた世界に「お粗末」さを曝してしまった。

東京五輪観客上限1万人 5者協議決定 感染拡大なら無観客検討
 6月21日、東京2020大会組織委員会と政府、東京都は、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表者を交えた5者協議をオンラインで開き、東京五輪の観客上限を会場定員の50%以内で最大1万人と決定した。今後感染状況が悪化し、緊急事態宣言などが再発令された場合は無観客も検討する。
 IOCやNOC(各国国内委員会)、IF(国際スポーツ競技団体)、スポンサー関係者、メディア関係者は、「観客」ではない大会関係者であるとして、最大「1万人」の枠には含めず、別枠とした。
 また子供たちに観戦機会を提供する「学校連携観戦チケット」も「別枠」とした。
 開会式については、議論に上らなかったが、一部報道で大会関係者を含めると「2万人」と伝えられてが、組織委の武藤敏郎事務総長は「(出席する)大会関係者は観客ではない。(2万人より)少ない数字になる」とした。8月24日開幕のパラリンピック大会は7月16日まで観客上限の判断を先送りした。
 五者協議の冒頭挨拶で、小池百合子知事(68)は「感染状況や医療体制に急激な変化がある場合、状況に応じては無観客を含め、対応を検討する必要がある」と述べ、無観客の可能性に言及した。
 また、菅首相は、5者協議に先立ち、大会期間中に緊急事態宣言を発令した場合には「安全安心のために無観客も辞さない」と明言している。
 しかし、五輪が本当に有観客で開催することが可能なかどうかは、コロナ感染状況によって最終的に決まることになる。6月21日に11都道府県に出されていた「緊急事態宣言」が沖縄県を除いて解除され、東京都など7都道府県は「まん延防止等重点措置」に切り替え、埼玉、千葉、神奈川の3県は「まん延防止等重点措置」が延長された、期限は7月11日で、その時点で、感染防止措置がどうなるかによって、無観客も含めて対応が変わる可能性が残る。不透明な状況が7月11日まで続きそうだ。
 
 
 IOC、IPC、組織委員会、都、国の五者協議 6月21日 提供 TOKYO2020

「反五輪」、「無観客」の大合唱 ネガティブ報道に邁進するメディア
 5者協議で、「観客上限を会場定員の50%以内で最大1万人」が決まると、予想していた通りテレビ、新聞などメディアは、「尾身提言」を無視した暴挙と大合唱である。
 記者や評論家、テレビのコメンテーターは、いずれも「暴挙」としないと立場が守れないと非難を浴びせかける。
 しかし、有観客で五輪大会を開催すると、本当に感染拡大リスクはいわれているほど飛躍的に高まるのか筆者は大いに疑問を持つ。果たして、大会開催リスクを、冷静に科学的に分析しているのだろうか。
 新聞やテレビには感情論に走るタイトルが躍る。冷静な分析は一切ない。最近は、ヒステリック」とも思われる激しい発言が多く、異論に耳をかさない姿勢は批判に値する。
 東京新聞は、政治部長の評論で、「国民の命を危険にさらしてまでなぜ…五輪「観客1万人開催」を掲載した。「1万人開催」で本当に、国民の命が深刻にさらされる状況になるのか、国民の不安を煽っているとしか思えない。
 一方、朝日新聞は、「抱きしめた後、羽交い締め 五輪に突き進むIOCの力学 『ぼったくり男爵』 今年上半期の流行語大賞があれば、ノミネートに値するインパクトがある」とした。
 しかし、筆者は、IOCの肥大化体質や「五輪貴族」に対しては厳しく批判はするが、「ぼったくり」は米国オリンピック員会で、IOCではない。IOCの資金の流れをしっかり分析して発言してもらいたい。印象論だけで書いたお粗末な記事である。ファクトを大切して欲しい。

 テレビや新聞は、連日のように「五輪中止」の大合唱を繰り広げて、選手や大会関係者の感染防止対策「頑や五輪の観客問題などで徹底したネガティブ報道を重ねているが、五輪大会が始まり、日本選手の活躍が目覚ましくなってきたら、手の平を返したように「頑張れ!日本」と報道するのだろうか。筆者はまったく納得がいかない。テレビや新聞で五輪批判を続けるコメンテーター、ジャーナリスト、評論家は、五輪大会でのアスリートの活躍を見る資格がない。道理が通らない。
 とりわけ、五輪のスポンサーでありながら、五輪中止を唱えた朝日新聞はどうするのか。「頑張れ!日本」、「日本、金メダル獲得!」を掲げた紙面が踊るようだったら、無節操の誹りは免れない。メディアとしての信頼感を喪失する。それ位の覚悟を持った上で、「五輪中止」の大合唱を繰り広げるべきだ。
 コロナ禍の陰鬱な状況が続く中で、「感動」と「勇気」をもらえる五輪大会は、一筋の「光明」と考える。五輪に対して建設的な提言をせず、無節操にメガティブ報道を続けるメディアは、競技会のTV中継に「目隠し」して見ないことを勧告する。

朝日新聞社説批判 「中止の決断を」に反論する 五輪は開催すべき

朝日新聞は東京五輪の「オフイシャルパートナー」を返上せよ

変質する「感染リスク」の根拠 感情論でファクトをないがしろに
 「有観客開催」はコロナ感染リスクを高めるという主張は、IOCや政府、組織委員会の感染防止対策が明らかになる従って大きく変遷していることは見逃せない。
 当初は、海外から来日する選手や大会関係者が、新型コロナウイルスを持ち込み、日本国内で感染拡大をもたらすという主張だった。しかし、ワクチン接種や検査体制、行動規制などの強化で、選手や大会関係者が感染源になる懸念は薄らぎ、感染リスクはパーフェクトではないにしても、かなり効果がることを認識し始めた。選手や大会関係者、パートナー、メディアなど分野別に出された「プレイブック」、コロナ対策指針は、評価が高く、尾身茂分科会長でさえ、評価をしている。
 代わって、感染リスクの焦点は、五輪開催によって巻き起こされる「人流」による感染者増に移っていた。
 その根拠は、五輪を開催すれば、通常のスポーツイベントとは比較にならいほどの膨大な「人流」が発生し、感染者を増大させ、医療逼迫を起こすという懸念である。
 しかし、「人流」ついていえば、観客数は海外観客もなくなり国内だけで1日で最大20万人程度とされている。ところが、首都圏の「人流」を分析すると、通常時は1日で、東京都で679万人(都内在住で都内への通勤・通学者)、都内に流入する隣接三県で282万人(都内への通勤・通学者)のあわせて約1000万人、さらに買い物など私事で外出する人は数百万人を超えるだろう。五輪開催期間は、外出自粛や在宅勤務などの影響で、約半減とみても700~800万人と推計される。
 「700~800万人」の「人流」がある中で、「20万人」という数は大きな意味があるのだろうか。専門家は本気で「人流」の分析をしているのだろうか。
 印象論だけで、「人流」増→感染増加をいう構図を主張するのが妥当なのか疑問だ。専門家は、科学的なエビデンスを示して警告をすべきだろう。
 また遠方からの観客の移動が問題だとするが、チケットの購入者の70~80%程度は競技場隣接地域の住民で、遠方から新幹線や航空機を使用して泊りがけで観戦に来る人は限定的だということが明らかになっている。
 大野裕埼玉県知事は、埼玉県内で開催される競技の観客について、県外の観客の受け入れは止めるべきだと発言したが、埼玉県の住民の80万人以上が毎日、県境を越えて東京に通勤・通学をしていることが分かっているのだろうか。埼玉県内で開催されるのはバスケットボール(埼玉スーパーアリーナ 約37000人)、男女サッカー(埼玉スタジアム 約63000人)、ゴルフ(朝霞カンツリー倶楽部)、射撃(陸上自衛隊朝霞訓練場)の4競技、1日の観客数は最大で3万人程度、その内県外から来る人は約半分の1~2万人程度、毎日の「80万人」の感染リスクと冷静に比較して欲しい。

 「人流」について、明確な科学的エビデンスが示せないとわかると、専門家は「五輪で開放的になった東京で気が緩んで数百人規模で感染増加も」と警告する。
 五輪開催のお祭りムードの高まりで、開催が「外出」「飲みに行く」口実に
なり、スポーツバーで応援する人や友人同士で集まる人が増えるとする。五輪の観戦後に仲間と食事に行くことも、感染拡大のリスクがあるという。
 「お祭りムード」の助長がやり玉に上げられた。何か論理的で科学的でない。首を傾げるばかりだ。

「お祭りムード」を巻き起こすのは「元凶」はメディア 「お祭りムード」を懸念するなら五輪報道を自粛したら如何?
 「お祭りムード」を巻き起こす主役は、テレビ・新聞・雑誌などメディアの五輪報道であることは間違いない。連日、新聞の1面の記事で、「日本選手、メダル獲得!」とか「世界新記録誕生!」などの記事や写真が氾濫する。テレビは、史上最高の放送時間で関連番組を放送する。
 その威力は絶大で、日本全国の国民に五輪大会を熱狂に巻き込む。
 「お祭りムード」の高まりで気の緩みが生じて感染リスクが増すと専門家は警告するが、それを主張するならメディアの五輪報道に「自粛」を要請するのが筋だろう。「1万人上限」の観客規制が行われ、競技場で観戦が可能なのは1日最大で20万人程度、パブリックビューイングも中止となり、市民は盛り上がりようがない。唯一、メディアの報道である。テレビや新聞のメディアの皆さん、感染リスクの高まりを主張するなら、そのリスクを低減するために「報道自粛」を宣言したらいかが。
 また、テレビや新聞のメディアは、「大会関係者」の人数の規模を批判する。しかし、「大会関係者」の中には、約2万人のメディア関係者も含まれる。
 海外から来日するメディア関係者の感染拡大リスクを盛んに懸念するが、メディア関係者の7~80%は国内メディアである。大手メディアの中には1社で数百規模の取材陣を繰り出す。「大会関係者」の人数削減は必要だが、メディア関係者だけを「聖域」にするのは納得できない。日本のメディアは、率先して取材陣削減を行い、「大会関係者」の削減に協力すべきだろう。
 開会式に出席するIOCやIF、スポンサーなどの大会関係者の削減だけを主張して、数千人は優に超えると思われるメディア関係者を削減しないのは筋が通らない。
 
感情論に支配されるメディアと世論
「五輪反対の世論」には2種類ある。一つは、与えられた試算や研究者の意見など科学的根拠をもとに反対する世論。もう一つは、感情的な世論」と社会学者の 佐藤俊樹氏は主張する。(朝日新聞 6月12日)
 そして「科学を生かせず、感情的な反対論を生み出した」とする。
 筆者は、五輪開催の行方を、尾身茂氏一人だけにすべてを委ねる風潮には断固反対をする。尾身氏は、五輪開催について異論を唱える専門家とどれだけ真摯に対話を重ねたのだろうか。尾身氏の主張をすべて「善」とするメディアの姿勢も問題がある。
 「五輪開催反対」、「支持」という二者択一ではなく、どうやったら開催できるのか、できないのか、きちんと議論をしてもらいたい。「無観客」、「有観客」も同様だ。
 現代の科学技術では、感染者数の予測や状況ごとの感染リスクなどを分析しようとすれば可能だろう。その成果を元に科学的、論理的な分析を進めるべきだ。



東京五輪「開催」50%、「中止」48%…読売世論調査
 6月6日、読売新聞社は、4~6日に実施した全国世論調査で、東京五輪・パラリンピックについて聞くと、「開催する」が50%、「中止する」は48%で、世論が二分されたと報道した。「中止」を求める声は、前回(5月7~9日調査)の59%から11ポイント減った。「開催」の内訳をみると、「観客数を制限して開催」が24%(前回16%)、「観客を入れずに開催」は26%(同23%)だった。海外から来る選手や関係者への感染対策は、十分だと「思わない」が63%と多数を占めたとしている。
 一方、JNNが実施した世論調査では、東京オリンピック・パラリンピックについてJNNの世論調査で尋ねたところ、「開催すべき」と答えた人が44%に達する一方、「中止すべき」「延期すべき」もそれぞれ31%、24%と回答が割れたと伝えた。
 世論調査の数字を見ても、確実に開催支持が増えている。



「開催中止」の大合唱 思考停止状態のメディアのお粗末

 2020東京五輪大会「中止」を唱える声が、溢れかえっている。
 毎日のように、テレビのワイドショーや情報番組、ラジオ番組に主演するコメンテータは異口同音に、声高に「中止」を主張する。新聞や週刊誌も「中止」を掲げる記事が連なり、過激な論調で溢れかえる。2020東京五輪大会は、まさに四面楚歌である。
 まるで、東京五輪を中止すれば、新型コロナウイルスの感染拡大は収まるといっているがごとくの感がある。世論調査で五輪中止を支持する人が7割~8割に達する背景には、緊急事態宣言が延長、延長を重ねながらい一向に感染拡大が収まらない状況に対するフラストレーションがたまって爆発寸前な状況があるだろう。
 「中止」を主張する根拠は、新型コロナウイルスの感染拡大リスクである。緊急事態宣言を出しして一向に感染拡大が収まらない中で、五輪を開催して感染拡大を更に加速させることになるリスクをどうして負わなければならないのかということである。
 次に多いのは、オリンピックの商業主義化や肥大化を批判してオリンピックの存在そのものに反対する「反五輪主義」である。
 その二つの論点を混ぜ合わせて、「開催中止」を主張する。
 筆者は、五輪の商業主義や肥大化、五輪組織の腐敗体質については厳しく批判をして五輪改革の必要性を主張している。とりわけ2020東京五輪大会の開催費用膨張や国立競技場など大盤振る舞いの競技会場の建設については厳しく批判を続けてきた。
 しかし、今の時点で、五輪開催か中止かを議論するためにには、「新型コロナウイルス」の問題は、「反五輪主義」の論点とは切り離して議論すべきだ。
 この数日気になるのは、テレビに出演するコメンテーターは、「開催中止」ほぼ一色で、「開催中止」を主張しないと「流れに乗れない」とまさに思考停止に陥っている。週刊誌や雑誌は「五輪中止」を派手な見出しに掲げ、読者を引き付けて販売部数の拡大を図る。
 まさに五輪「魔女狩り」の様相を呈している。五輪開催支持を唱えると「白い目」で見られるのを避けているのだろうか。しかし、五輪を批判するのは合理的で科学的な論拠に基づいて発言すべだ。


週刊現代6月5日号の新聞広告

コロナ感染防止対策で何が欠けているか冷静に分析を
 新型コロナウイルスの感染リスクの懸念を述べるなら、開催にともなって一体どこの部分に感染リスがあるのか、冷静に見つめて欲しい。
 「医療体制」を圧迫するというなら、本当に感染者や重症者がどの位でそうなのか、「医療崩壊」は起きる可能性があるのか検証をしてほしい。
 東京都のコロナ病床使用率は、40.6%、重症病棟使用率は16.4%である。五輪開催で「医療体制崩壊」が引き起こされる可能性がるのだろうか。
 4月下旬、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会は、選手や選手団スタッフ、大会関係者、メディアに分けて、新型コロナウイルスのプレーブック(規則集)を公表した。2月に公表した第1版よりかなり厳しい内容となった。
 入国前には、▼出国前14日間の経過観察、▼出国前96時間以内に2回のウイルス検査、▼出国前72時間以内の陰性証明を提出、▼COCOAと健康観察アプリのダウンロード、▼各団体・組織ごとにコロナ対策責任者(CLO:COVID19 Liaison Officer)の設置、▼日本での治療費を賄う保険加入、▼日本入国時に空港での検査を義務付ける。
 選手は、一定の条件を満たせば入国初日から練習が認められ、入国後3日目の検査で陰性となれば試合に参加できる。
 2月に初めて策定した第1版では4日に1回だった検査も、原則毎日に改定された。
 検査で陽性が確定した場合、競技に出場することはできない。濃厚接触者も隔離される。
 選手に同行するチーム役員やスタッフも毎日検査を実施。すべての大会関係者も最初の3日間は毎日検査を義務付けられる。滞在中は、活動計画書に記載した活動に限定。移動に関しては、原則として組織委が用意する大会会専用車両だけ利用することが許され、で公共交通機関は使用できない。
 大会関係者やメディアは、入国後3日間はホテルで待機、毎日検査。条件を満たせば一部活動可能。4日目から会場などで活動可能。検査は、選手との接触度合いに応じて毎日~7日に一度実施。
 しかし14日目までは、外出は競技会場など限られた場所に限定され、繁華街、飲食店、ショッピング、観光は不可。
 食事については、コロナ対策が実施されている場所(大会会場におけるケータリング施設、宿泊先内レストラン、自室内でのルームサービスやデリバリー)に限定されるなどこれまでの大会とはまったく様変わりした。
 さらに、IOCはファイザーのワクチンを無償提供、選手や大会関係者の約75%はしでのワクチンを接種済で、開催時に選手村に入る人の約80%がワクチンを接種しているとIOCでは予想している。
 こうした状況でパンデミックが起きることはほぼ考えられない。テレビやラジオ番組のコメンテーターは、こうしたコロナ対策を果たして読み込んでいるのだろうか。
 その上で、開催に伴う選手や大会関係者、メディアの感染リスクをどう評価しているのか、冷静に科学的に分析をして評論してほしい。
 (参照 下記 「五輪選手ら入国の影響『限定的』 東大院准教授ら感染者試算」)

 新型コロナウイルスの感染拡大リスクが懸念されるのは、「人流」増加であろう。
 海外からの観客は断念したので、問題は国内の観客やイベント開催による「人流」増加である。
 大会組織委員会と東京都は、代々木公園や井之頭公園に大規模パブリックビューイング会場の設置を予定している。この他、大会期間中には関連イベントも計画され、人流増加で、感染リスクが高まることが懸念される。パブリックビューイングや関連イベントの開催にあたっては、規模は最小限にした上で、十分な感染防止対策を講じる必要があるだろう。観客を入れるにしても、観客数は制限されるの当然だろう。しかし、大規模イベント開催に伴う観客制限、上限「5000人」は緊急事態宣言下の東京都のルールである。
 飲食店もデパートも、ショッピングセンターも市場も「閉鎖」するのではなく、感染防止対策を講じて営業するのである。そうしなければ、長引くコロナ禍の中で社会はもたない。
 なぜ五輪大会だけはだめなのか、なぜプロ野球やJリーグならいいのか、筆者にはその理由が理解できない。合理的に科学的な説明をしてほしい。

 まるで五輪大会を中止すれば、コロナ禍は収まるような発言が満ち溢れている。
 新型コロナウイルスのパンデミックは収束しないのは、一重に国や都などのコロナ感染防止対策に「失敗」したからである。口を開けば、「マスク着用」、「三密回避」、「外出自粛」を繰り返す。「人流抑制」に頼るコロナ対策は、まったく前世紀の発想、現代の感染防止対策は、ワクチン、治療薬、検査体制、医療体制であろう。コロナ禍に見舞われてすでに2年近く経つが、今世紀型のこうした対策は、まったく進んでいない。ワクチン接種は、先進国は最下位、検査体制はいまだに拡充されていない。ロンドンやニュー欲ではだれでも無料で検査を受けることができる。医療体制の充実ついても、コロナ専門病院の整備は、東京都は2か所を整備したがその後、まったく進展がない。病床数の顕著な拡充もない。医療体制が逼迫しているなら、医療体制を公的資金を投入してなぜ拡充しないのか。感染拡大防止に重要な情報が得られる感染ルートの追跡は、保健所の負担が大きいとして東京都などは、止めてしまった。ほとんど役に立たなかったアベノマスクに260億円を投じ、GO TO トラベルには初期で1兆3500億円以上、「延長」で約1兆円を予算化しながら、検査体制や医療体制の充実は一向に進めない。新型コロナウイルスの感染拡大は、まさに「人災」といえる。
 メディアは、五輪をバッシングするのではなく、菅政権のコロナ対策を批判することに傾注すべきだ。

「Withコロナの時代のニューノルマル」を示せ
 新型コロナウイルスは、いまだかってない強力な感染力を保つ感染症である。
 人類はこのウイルスと長期間戦っていかなければならない。感染者がゼロに近い状態になるには数十年は必要だろう。あるいは、永遠に来ないかもしれない。
 その間、世界はコロナ感染リスクをある程度抱えながら、社会・経済活動を維持していかなければならない。
 Withコロナの時代のニューノルマルの確立が、社会全体に求められる。スポーツイベントやコンサート、飲食産業、ショッピングセンター、どうやって維持していくか、その知恵が問われている。
 「安全・安心な大会」を達成して、「Withコロナの時代のニューノルマル」を五輪開催で是非示して欲しい。
 2020東京五輪大会開催のレガシーは「Withコロナの時代のニューノルマル」に違いない。


五輪選手ら入国の影響「限定的」 東大院准教授ら感染者試算

 5月23日、東京大大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師が、選手や関係者の入国による東京都内の感染拡大は限定的で、国内在住者の人流増加の抑制がポイントとなるとの試算をまとめて公表した。
 試算は、緊急事態宣言の解除日や国内のワクチン接種のペースなど複数の条件で影響を検証した。
 海外の選手や関係者ら入国者数は10万5千人、ワクチン接種率が50%として試算した結果、都内における1週間平均の新規感染者数で約15人、重症患者数で約1人、上昇させる程度にとどまり、「入国・滞在の影響は限定的」(仲田氏)と結論づけた。
 この試算では海外選手らが日本の居住者と同じように行動すると仮定しており、仲田氏らは「現実には選手らは選手村などである程度隔離されるため、影響はより小さくなる可能性がある」としている。
 一方、国内居住者の観戦やパブリックビューイングなどの応援イベントによる人流増加のリスクは大きいとした。  6月中旬に緊急事態宣言を解除し、ワクチン接種が全国で1日60万回進むと仮定したケースでは、五輪を中止した場合の新規感染者は10月第3週に822人とした。
 五輪を開催した場合では、無観客などで国内居住者の人流増加を完全に抑制できれば20人程度の増加にとどまるが、応援イベントなどによって人の流れが1%増えるだけでも180人程度増加する可能性があるとし、仲田氏は「国内居住者の人流をいかに抑制するかを考えるのがより重要だ」と指摘した。  
 また政府が目指す1日100万回のワクチン接種を達成することで増加は抑えられ、重症者数も現状より大幅に悪化することはないとしている。
 仲田氏らは「『新型コロナウイルス禍の応援様式』を推奨し、街中で大勢の観戦は禁止すべきかもしれない」としている。
(参考 産経新聞 5月23日他)

米の「渡航中止」勧告報道 騒ぎ過ぎたメディアのお粗末 
 米国務省は24日、日本への渡航を最も警戒レベルが高い「渡航中止」に引き上げた。オリンピックまで、2カ月を切ったタイミングで、米国が日本の感染状況を深刻に捉えたことで、世界各国が東京五輪開催を不安視する声を強めるとして、各メディアは一斉に、開催は窮地に追い込まれるという論調を繰り広げた。

 しかし、米国務省が日本への「渡航中止」勧告を出したことは、そんな「深刻」なことなのだろうか。冷静に見る必要がある。
 米国務省の渡航警戒レベルは、レベル2の「注意を強化」(韓国、シンガポール、ベトナムなど16ヵ国)、レベル3の「渡航再検討」(韓国、中国、タイ、オーストラリア、イスラエルなど42ヵ国)、そしてレベル4の「渡航中止」は、感染拡大が深刻なインド、ブラジル、ロシアを始め、ドイツ、フランス、スペイン、カナダなど150ヵ国(日本を含めると151ヵ国)にも及び、世界の主要国の大半が含まれているのである。
 勿論、日本がレベル4に引き上げられたことは、しっかり受け止めて感染防止に努めなければならないのは当然だが、危険極まる深刻なパンデミックに襲われている国と見なしたわけでなないだろう。
 渡航情報は、米国務省が公開情報のほか、米疾病対策センター(CDC)の分析などをもとに、数日間隔で更新していが、CDCの判断基準は主に直近28日間の感染者数が人口10万人あたり100人を上回れば、検査数に関係なく、最高レベルに該当する。日本は今月8日以降に100人を超えており、23日時点では119人になっていたという。
 またCDCは日本については「ワクチン接種を終えた人でも変異株に感染し、感染を広める可能性がある」と指摘している。
 しかし、変異株の感染拡大は、日本だけでなく、米国内で進行しているのに、バイデン政権は、「ピークは越えた」として「安全宣言」を出している。変異株のリスクは、日米は同程度のはずである。
 感染者数にしても、米国は、1日に30万人近い新規感染者を出したが、最近は2~3万人に激減、ワクチン接種率も大半の州で50%を超えたとしている。
 しかし、まだ、1日に新規感染者約2万7000人、死者1325人(5月28日)が発生している。これに対して日本は、新規感染者約3700人、死者95人にとどまる。米国は感染者で約7.3倍、死者で約14倍にも及んでいるのである。
 日本の感染状態を「さざ波」と呼ぶのは言語道断だが、数字の意味は冷静に見つめる必要がある。
 また、米国務省は米国民への入国規制や飛行機の運航状況なども踏まえているという。
 そもそも日本は、米国をコロナの感染国として、米国からの入国を認めていない。
 とにかく、米国の「渡航中止」勧告で、なぜ五輪中止論が加速するのか、筆者にはまったく理解できない。
 米ブルームバーグ通信は、日本への「渡航中止」勧告については、「アメリカは、オリンピック開幕まで2か月を切った東京の計画に疑問を投げかけた」「開催の準備ができていることを国民と国際社会に納得させるのに苦労している国にとって新たな打撃だ」などと伝えた。
 この報道に盲目的に引きずられて、日本のメディアは、こぞって、開催は窮地に追い込まれると伝えた。
 ジャーナリストとして、事実を分析する冷徹な目が失われているのは残念である。
 ちなみに、米ホワイトハウスのサキ報道官は「我々の立場は変わっていない」と述べ、引き続き開催に向けた日本の努力を支持する意向を示し、米国五輪・パラリンピック委員会(USOPC)も、「選手やスタッフに対する感染予防策を講じるほか、日本への渡航前と到着後、五輪期間中にも検査を受けるので米国選手の安全な参加に自信を持っている」として東京五輪への米国代表の出場に影響はないとする声明を出した。




深層情報 Media Close-up Report 「呪われた」2020東京五輪 速報 「緊急事態宣言」下でも五輪開催 コーツIOC副会長

国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)



2021年5月24日
Copyright (C) 2020 IMSSR



******************************************************
廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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