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東京オリンピック 開催経費 1兆4238億円 招致段階から倍増 組織委員会最終報告

2023年06月07日 09時56分19秒 | 東京オリンピック
東京五輪経費1兆4238億円 招致段階から倍増 最終報告
小池都知事の五輪改革 迷走「3兆円」のレガシー (7)


東京五輪談合 腐敗の連鎖

東京五輪贈収賄 汚職まみれの東京五輪Ⅰ

東京五輪贈収賄 汚職まみれの東京五輪Ⅱ


開催経費 1兆4238億円 「無観客」でV5予算より1000億円減額
 2022年6月22日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、総額1兆4238億円に上る大会経費を最終報告明らかにした。招致活動段階の立候補ファイルで示した7340億円からほぼ倍増したことになる。
 このうち新型コロナウイルスの感染拡大による大会の1年延期に伴う経費は2940億円増を想定していたが、原則無観客開催に伴う警備費用などの減額により738億円増にとどまった。
 大会経費の費用分担は、組織委が6404億円、東京都が5965億円、国が1869億円となった。組織委は競技や開会式・閉会式などの式典の大会運営費や事務局経費全般、都は東京アクアティクスセンターなどの施設整備費、国は国立競技場建設とパラリンピック経費を主に負担した。
支出の詳細が初めて公表され、聖火リレーに98億円、開閉会式に153億円、人件費に327億円かけたことなどが明らかになった。
 「一年延期」関連では、コロナ対策費として計353億円を国と都が負担した。また当初900億円を見込んだチケット収入はわずか4億円にとどまったが、大会延期に伴う保険金500億円、東京都が使わなかった予算約400億円などを充当して不足分を埋め合わせたとする。
 この結果、組織委員会の収入、支出は同額となりとなり、「収支均衡」、「赤字」はないとした。
開催経費は2013年の招致段階のファイルでは7340億円と記載した。
組織委員会では、2016年以降、毎年12月に最新の予算を公表してきた。
組織委が初めて公表した2016年12月の第一弾予算(V1)では1兆5000億円、予備費最大3000億円を含めると1兆8000億円と見積もった。しかも、この金額には五輪開催に伴う会場周辺の整備や道路整備などのインフラ整備費は含まれていなかった。国や東京都が負担する「大会関連経費」と位置付けた金額を加えた総額は「3兆円」を超えるとの警告がされた。
 五輪開催経費の削減を掲げて当選した小池百合子都知事は「1兆、2兆、3兆と。お豆腐屋さんじゃない」と皮肉ったのもこの時期である。
組織委と都、国の費用分担が決まった翌年の2017年の第2弾予算(V2)では、1兆3500億円(予備費を含めると最大1兆6500億円)という見積り額をまとめた。組織委員会、東京都、国の負担額も初めて明示した。
 その後は、V4まで1兆3500億円の同額で推移した。
 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で五輪史上初めて1年の延期が決まると、1年延期費用やコロナ対策費などが増えて同年末に公表したV5では1兆6440億円に膨張した。その後、無観客開催が決まって警備費などの経費が抑えられて簡素化が可能になり、懸念された支出増加は押さえられ、最終的には1兆4238億円となった。

「収支均衡」は「帳尻合わせ」 事実上は赤字
 組織委員会は「収支均衡」で、「赤字」が出なかったとするが、予算上の「救済」が、事実上は行われれたいた。
 2020年末のV5では、1年延期、コロナ対策よる経費増と無観客による収入減で、組織委員会の収支が「赤字」に転落するのを防ぐために「共同実施事業負担金(安全対策)」と名付けた経費項目を設け、組織委員会の経費から減額し、628億円を東京都の経費に積み増した。内訳は仮設費等が301億300万円、エネルギー60億4700万円、テクノロジー47億5700万円である。この3つの経費項目はすでに組織委員会と都との負担が決まっていている項目である。特段の安全対策を講じた様子は見受けけられない。むしろ無観客で減額されているはずである
 「共同実施事業負担金(安全対策)」という名目は、見るからに曖昧で不明瞭な経費項目で、事実上の組織委員会の「救済」策で見なすことができる。
 最終報告では、この項目は628億円から219億円が減額され、計409億円が東京都の経費に積み増されている。さすがに「共同実施事業負担金(安全対策)」では不明瞭だとしたのか、工事が完了して支出内容が固まったとして仮設費やエネルギー・インフラ費、テクノロジー費の支出項目で振り分け東京都の支出とした。明らかに409億円は組織委員会「救済」の赤字補填だろう。
 東京都の負担金の総額は、新型コロナの感染拡大で「無観客開催」となって、V5予算7202億円から約1000億円も減額され5965億円となり、409億円は楽々吸収された。










出典 Tokyo2020

 約450ページにわたる公式報告書は、「コロナ禍という困難の中、責務を果たした」と総括し、「マーケッティングを活用したオリンピック・パラリンピック・ムーブメントの推進」として、「スポンサーシッププログラムの推進」と「ライセンシング・プログラム」の推進を成果として挙げた。
 さらに「大会を支える確実な財務運営」として、「大会費用を含めた総費用の低減及び適正な調達手続き実施」も強調している。また大会が残したレガシーとして、「大会幹部らの発言でジェンダー平等に関する議論を活性化させた」との認識も示した。
 しかし、スポンサー選定を巡る贈収賄事件や大会運営入札を巡る組織的な談合事件が明るみに出て、組織委員会の総括は雲散霧消してしまった。
 組織委は今月末に解散し、残務処理を進める清算法人に移行する。清算対応費用として144億円を計上しており、決算で残った財産があれば都に戻される。

会計検査院 五輪経費は約1兆7000億円 前回から約2800億円増 開催経費の「算定不十分」と指摘
 2022年12月21日、会計検査院は東京2020の開催経費ついて、約1兆7000億円に上ったと発表した。大会組織委員会は6月に最終報告として開催経費は約1兆4238億円(組織委員会=6404億円、東京都=5965億円、国=1869億円)だったとしたが、検査院は開催経費として「算定すべき項目が不十分」として2803億円を上積みした。
 検査院が国負担分を対象に調べたところ、大会に向けた強化合宿などの選手強化費や選手にドーピングの違反事例などを伝える対策費など1837億円、国が組織委に派遣した職員の人件費43億円など計約2226億円の国費が含まれていなかったとした。また日本スポーツ振興センター(JSC)が支出した国立競技場や代々木競技場の整備費の一部や組織委や地方公共団体などの助成金、1026億円の内、576億円が大会経費に入っておらず、この財源はスポーツ振興くじ(toto)の売り上げで、検査院は実質的な国負担分と見なした。算定漏れの開催経費は計2803億円とした。
 この結果、国が負担した大会開催経費は114事業、3641億円(JSC支援額を含む)になり、これに組織委員会の6404億円、東京都の5965億円を加えると、大会開催経費の総額は、「1兆6989億円」(重複額48億円は減額調整)に上っったと指摘した。
 「1兆6989億円」は開催経費の「直接経費」のみで、会計検査院はこの他に、国はインフラ・道路整備経費や気象衛星打ち上げ、水素自動車普及対策などの「大会開催県連経費」が329事業、1兆3002億円あったと指摘している。さらに東京都は、無電柱化やバリアフリー対策、多言語化対策で6854億円(当初は8100億円)の「大会関連経費」を公表している。こうした「大会開催関連経費」も加えると東京五輪2020の開催経費は、「3兆6845億円」になり、夏季五輪史上最高額となるのが確実となった。
 「コンパクト五輪」を掲げた東京五輪2020は、開催経費に関しては完全に破綻したといっても良い。

 組織委、東京都と共に3者で開催経費を負担した国は大会前後を通じて自ら総経費を公表せず、会計検査院は「国際的なイベントの場合、国が経費全体を明らかにする仕組みを検討すべきだ」と指摘した。


東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組み状況等 会計検査院 2022年12月

 2017年、国会は検査院に対して、東京五輪2020開催に伴う国の取り組みや施策の状況を検査するよう要請し、検査院はこれまでに2回報告している。今回は大会開催後初めての報告で、かつ最終検査結果となる。
 会計検査院の1回目の報告は、2018年12月に行われ、国の東京五輪2020の大会開催経費支出は、約8011億円(2013年~2017年の5年間)と算定した。
 主な項目は、▽予測精度向上のための気象衛星打ち上げ、▽水素社会実現のための燃料電池車購入補助金、▽首都高速道の整備費、▽暑さ対策事業、▽被災地の復興と地方の活性化などである。さらに、▽オリンピックムーブメントの普及、▽メダル確保のための競技力強化や、▽日本の技術力発進、▽外国人旅行者の訪日促進、▽日本文化の魅力発進など、ありあらゆる事業が東京五輪2020関連経費として予算化された。

 会計検査院の2回目は、2019年12月に報告され、一回目より、約2600億円増えて、約340の事業、1兆600億円(2013年~2018年の6年間)とした。

 これに対して、2020年1月23日、東京五輪2020を所管する内閣官房大会推進本部は会計検査院に反論し、1兆600億円の内、国立競技場の建設費や選手の強化費用など2669億円は「大会関連経費」として認めるが、残りの7931億円は、「本来の行政目的の事業」などとして五輪開催とは関係ないとした。たとえば選手村と各競技会場を結ぶ環状2号線などの国道の整備には1772億円が支出されているが、大会開催開催経費にはあたらないとした。
 
 2021年1月22日、政府は「1年延期」された東京五輪大会に対する国の支出について、2022年度当初予算案までの総額が3959億円になったと発表した。新型コロナウイルス感染症対策費として809億などが追加された。「3959億円」は2013~2021年度予算の9年間の総額。
 「3959億円」の主な項目
▽選手の育成など競技力の強化関連の費用 約1299億円、
▽警備のための費用      約536億円、
▽国立競技場の整備に伴う費用 517億円、
▽パラリンピック交付金    379億円

 2022年6月に組織委員会が公表した最終報告では、国は、国立競技場の整備費=1240億円、コロナ感染対策費の国負担分=251億円、パラリンピック助成金=379億円など、計1869億円を「開催経費」負担額とした。
 しかし、会計検査院の最終報告では、国の「開催経費」負担額は「3641億円」と算定し、日本スポーツ振興センター(JSC)の大会支援額=2026億円を含めると約「4668億円」だったとした。
 さらに会計査院は、「大会開催経費」とは別に、「大会や大会を通じた新しい日本の創造にも資するが、大会に直接資する金額を算出するのが困難な事業等」を「大会関連経費」と定義し、その金額を計1兆3002億円と算出した。会計検査院が各省庁の予算項目を丹念に調べ上げて、東京五輪2020関連として計上している費目を積み上げた金額である。
 国の「開催経費=4668億円」と「大会関連経費」=1兆3002億円を合計すると、国の開催経費負担額の総計は、1兆7670億円に達することが明らかになった。
 検査院は各省庁の大会関連経費を集計した金額も項目ごとに公表した。例えば、▽大会の確実な成功に寄与するための「国際テロ情報収集ユニット」新設▽都や組織委などの検討会でまとめられた暑熱対策舗装整備▽大会における新型コロナウイルス対策に資する感染症対策▽競技会場周辺のトイレなどのバリアフリー化――。いずれも大会「開催経費」からは切り離されているが、大会運営に必須の経費に違いない。
 これにより、国、都、組織委が負担した「広義の大会経費」は「3兆6845億円」に上った。ついに「3兆円」を優に上回ったのである。
 国は2021年1月、五輪大会を担当する内閣官房オリパラ事務局が開催経費「3959億円」を公表したが、大会開催後は公表していない。検査院は「予算が総経費の見込み額を示したものでない上、国は大会後も総経費を取りまとめていない」と指摘。今後も国としての公表予定がないとし「国際的な大規模イベントで相当程度国が関与することが見込まれる場合は、国民の理解に資するよう十分な情報提供を行うべきだ」との所見を示した。

「五輪便乗」 大判振る舞いの五輪開催予算
 五輪開催経費を「青天井」にする膨張主義体質は、国や東京都に根深く根ざしている。
東京五輪2020を「錦の御旗」にして、予算獲得に奔走した各省庁の姿勢が目に浮かぶ。「錦の御旗」の振りかざすことで、「便乗予算」がまかり通った様子が透けて見える。本当に大会開催に必要な予算なのか厳しくチェックする姿勢に欠けていたのではないか、検証が必要と思われる。五輪開催経費の「青天井」体質からの脱皮が必須だろう。



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2022年1月1日
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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
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Media-closeup Report 深層情報 Think before you trust Trueth and Justice
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