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4K8K衛星放送 BS4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン NHKBS4K 民放BS4K 4K番組 瀕死の4K8K放送

2024年06月17日 16時04分30秒 | 4K8K


出典 4K8KbsJP
「瀕死」の4K8K放送 視聴者不在のNHKと民放系列
 6月22日から6月30日の1週間、NHKと民放系列局がタッグを組んで「BS4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン」を始める。各局がいつも以上に4K8Kコンテンツに力を入れ、ドラマ、旅、バラエティ、音楽、グルメ番組を集中編成する。キャッチフレーズは「すごいぞ4K8K」、臨場感あふれる高精細映像や迫力のある5.1サラウンド音声が楽しめるとしている。
 しかし、放送されるコンテンツを見ると、あまりにも寂しいラインアップに唖然とする。
 目玉の番組としてBSフジ4Kは「皇室のみやび皇居三の丸尚蔵館の名宝」、番組そのものは立派な仕上がりだが、なんと再放送。
 BS朝日4Kは、「あなたの知らない京都旅~1200年の物語~2時間SP」、毎週放送している通常番組拡大版で新鮮味はまったくない。
 BS-TBSは「麺鉄 メン食い鉄道絶景の旅 新緑の中国地方」、「麺鉄 メン食い鉄道絶景の旅」も通常番組。
 NHKは「BS時代劇 大岡越前7」、新たに枠を作ったわけでなく、前作の「鳴門秘帖」が終わったので新たに始まった通常番組である。
BS日テレ4Kだけが、特集枠で新作「昭和名曲マネ歌謡祭」を放送する。
 そのほかの4Kチャンネル編成は、民放系列は相変わらず、古い時代劇やドラマ、HD番組のアップコンバートで埋め尽くされている。ピュア4K番組は一向に増えない。
 NHKは、4K番組比率はほぼ100%としているが、古いアーカイブ番組を4Kリマスターと称し放送、高精細の迫力ある映像とは程遠い。4K制作番組はやたらと再放送が多い。夜のゴールデンアワーの主力番組でも再放送がずらりと並ぶ日もあり、一日中、再放送番組で埋め尽くされている。
 視聴者を無視したお粗末な対応である。魅力的な4Kコンテンツの充実はまったくなく、これでは4K放送の普及拡大につながらない。
 NHKの8K放送は、一般家庭の受信世帯はほぼ無いに等しいと思われる。


「すぐそこの別世界」を掲げるNHK 出典 NHK

 新4K8K衛星放送は、次世代の高精細テレビサービスの切り札として総務省、NHK民放各社、家電業界、総力を挙げて2018年12月に立ち上げてから5年がたった。4Kテレビの累積普及台数は1469万台(4K8K対応チューナーを含む 2023年10月 JEITA)に達し、所有率は21.8%(A-PAB 2023年10月)となっているが、実際に4K8K放送を見ている視聴者は極めて限定されていて、普及拡大は遅々として進まない。その原因はひとえに4Kコンテンツの貧弱さにある。NHK、民放系列の責任は大きい。
 新4K8K衛星放送を開始した時のふれこみは、「こんどのテレビは、別世界」、「別世界」のサービスは未だに現れない。

出典 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)




イチオシ!ピュア 4K番組表 高精細ピュア4K番組を見よう! NHKBS/民放系列BS4K

新4K8K衛星放送 苦難のスタート





2024年6月17日
Copyright (C) 2024 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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平昌五輪 4K NBC HDR NHK 8K OBS

2022年01月19日 12時51分16秒 | 4K8K
平昌冬季五輪 4Kに乗り出したNBC



北京冬季五輪最新情報はこちら
深層情報 北京冬季五輪2022 競技会場 国際放送センター(IBC)・4K8K 5G ・高速新幹線 最新情報




 NBCユニバーサルは、平昌冬季五輪の開会式や、アイスホッケー、フィギアスケート、ショートトラック、スピードスケート、ジャンプ、スノーボード(ビックエア)の4K HDRコンテンツを、一日遅れでケーブルテレビや衛星放送、インターネットでサービスする。
 2月10日から2月26日まで、毎日、一日最大4つのイベントが全米の視聴者に届けられる。



 NBCユニバーサルが、五輪競技映像をUHD(4K HDR)で全米で配信するのは五輪史上、初めてで、臨場感あふれた繊細画質、UHD(4K HDR)映像サービスを、ケーブルテレビや衛星放送を通して視聴者に届けられる。
 リオデジャネイロ五輪では、ホストブロードキャスターのOBSは五輪競技中継4K映像をライツホルダーに初めて配信したが、NBCユニバーサルは4K映像・音声信号は技術的な検証・テストを行うとして、一般の視聴者サービスまでは実施しなかった。 
 NBCユニバーサルの五輪映像は、従来通りHD画質で配信し、地上波放送局やケーブルテレビ、衛星放送、インターネットでサービスされた。
平昌冬季五輪では、NBCユニバーサルは、OBSが配信した4K HDの競技映像を、使用し、で一括して4K HD五輪特別番組を制作した。
4K HD五輪コンテンツは、ケーブルテレビ・サービスを行っているComcast、AT&Tの一部門全米第一で2100万件の契約者がいるDirecTV、全米第二位で約1300万件の契約者を抱えるDish Networkに提供され、競技開催から“1日遅れ”で放送された。HDで放送されるチャンネル・サービスに影響を与えないように配慮したと思われる。
 視聴者が4K HDRコンテンツを楽しむためには、ケーブルテレビや衛星放送プロバイダーと契約し、各社専用の4K HDRセットボックスを設置して、4K HDR対応のテレビ受像機を購入しなければならない。
 スポーツ中継はライブが基本、1日遅れでサービスする4K HDRは、臨場感あふれた高品質の映像が売り物にしても、魅力的なコンテンツにはならないだろう。競技の結果を知ってからから見るスポーツ中継は、醍醐味がない。全米で平昌冬季五輪を4K HDRで視聴した人は極めて限定的だと思える。

脚踏み状態が続く米国内の4Kサービス
 ケーブルテレビのComvastや、米国では地上波には4K放送の計画なし、コムキャストや衛星放送のDirecTV 、Dish Networkは4Kサービスに積極的だが、テレビ放送サービスのABC、CBS、NBSの三大ネットワークは、4Kサービスに乗り出す計画を明らかにしていない。これに対し、OTTサービスのNetflixやAmazonTVやYutubeなどインターネットを利用するコンテンツ・プロバーダーは4Kサービスに積極的で4Kサービスを開始している。
米国では、SD画質の映像からHD画質への移行が、日本に比べてゆっくりしたスピードで進み、放送機関はHD化の設備投資がようやく終わり、各家庭にもHDテレビ浸透した段階だとされている。
 その一方で、NetflixやAmazonTVなどのOTTサービスに押されて、“放送離れ”が深刻になり、各放送機関の視聴率と広告売り上げが減少していくという危機感が生れている。こうした状況の中で、各放送機関は、もう一度、4Kサービスに乗り出すために、カメラを買い替えたり、放送設備の更新したりする4K投資をしても、広告や配信料などの収入は増える見込みはほとんどないとしている。
 “HD化”の際も、各放送機関はHD化投資の重荷を背負い経営難に苦しんだことを忘れていはいない。
各放送機関のスタンスは、4Kが十分に視聴者に普及するまでは4K放送を始める計画はないし、直ぐに4Kが普及するとは考えらず、現時点では4Kへの投資の負担は見合わないとしている。4Kコンテンツの配信をする帯域が十分あるCATVや衛星テレビが先行して4Kサービスを開始して、十分4K 視聴者を増やすことに成功してからでも遅くはない。その時にK4サービスに見合う配信料(ケーブルテレビや衛星放送)の値上げをしてくれたら、4K投資は採算に合うとする姿勢なのである。
 米国では、2010年に華々しく登場した3Dテレビが、地上波テレビ放送局も巻き込んで次世代のテレビとして旋風を巻き起こしたが、結局、わずか2年足らずで放送中止に追い込まれ、大量の3Dテレビが家庭に残されたという“失態”演じられた。
4Kテレビの普及にもこの“失態”が後遺症として残っている懸念も指摘されている。


DIRECTV 4K ULTRA HDのHP
エンタテインメント、ドキュメンタリー、旅番組を始め、4Kスポーツ中継では、NCAA Basketball,Ntional Hockey Assosiation,Premier League Soccer(イギリス)などをサービスする


平昌冬季五輪 IBC(国際放送センター)    出典 SVG


平昌冬季五輪 IBC(国際放送センター)CDR   出典 SVG

初めてUHD(4K)の映像制作に乗り出したOBS
 平昌冬季五輪で、OBSは初めて、4K中継車を配置して、アイスホッケー、カーリングフリースタイル(モーグル)、スノーボード(ハーフパイプ)の4つの競技と閉会式の4K SDRのライブ中継を実施する。
 これに対し、NHKは8K HDR中継車2台、22.2サラウンド音声中継車2台を、平昌の五輪会場に送り込み、開会式、フィギアスケート、ショートトラック、スキージャンプ、スノーボード(ビックエア)を、それぞれ10台の8K中継カメラを配置して、合計90時間の8K HDR、22.2サラウンド音声のライブ中継を実施する。
 NHKが中継した8K HDR映像・音声は、OBSがIBCで4K HDRにダウンコンバートして、ホスト映像として配信された。
 また、8K HDR映像は、4K SDRに変換して、OBSが制作した4K SDR映像・音声信号と共に、ライツホルダーにホスト映像として配信された。
 8K HDRは、現在の技術水準で実現できる世界最高のクォーリティを誇り、その臨場感あふれる繊細な映像は4Kをはるかに凌ぐ圧倒的な迫力がある。
 NHKはIBCの中に350インチの8K HDR大スクリーンを設置した“8K Theater”を設け、世界のメディアに8K HDR映像の素晴らしさをアピールしている。
 IBCで配信された8K HDR映像を、NHKはこれを日本に伝送し、昨年開始した8K試験放送(衛星放送)で、OBSが制作した4K競技映像(4K SDR)と共に放送した。
 また、全国のNHKの放送局や全国5か所の会場でパブリック・ビューイングを開催して、8K HDR映像の迫力を視聴者に実感してもらった。
 ただし、家庭用の8K専用の衛星チューナーや受像機はまだ市販されていないため一般の家庭では視聴できない。
 NHK以外のライツホルダーで、8K HDRを視聴者サービスに利用した放送機関はなかったが、いくつかの放送機関は調査・研究目的で8Kコンテンツの配信を受けて、2020年の東京五輪では、8Kシネマやパブリック・ビューイング・サービスの検討を始めていると伝えられている。
 アメリカのNBCユニバーサルは、ホスト映像として配信された開会式や、フィギアスケート、ショートトラック、スピードスケート、ジャンプ、スノーボード(ビックエア)の4K HDR競技映像を使用して、4K HDRの五輪中継番組を制作し、ケーブルテレビや衛星放送局に配信した。米国内で人気の競技、アイスホッケーについては、OBSが制作した4K SDRコンテンツを、NBCが独自に4K HDRに変換して配信に、視聴者に送り届けたのである。
 勿論、NBCユニバーサルにとっては、ソチ五輪を上回る冬季五輪では最大の2600時間に及ぶHDの五輪映像が主力で、4K HDRサービスは極めて限定的なものに留まっている。
 一方、BBCは、iPlayeでは、すでに自然番組など4Kサービスを開始しているが、平昌冬季五輪の4Kサービスの実施は見送った。ワールドカップ・モスクワ大会でのBBCの対応が注目される。

 結局、OBSは、8K HDR; 4K HDR; 4K SDR; HD1080iの4種類のホスト映像をライツホルダーに配信した。OBSは独自で、小型の4K中継車も使用して、4K SDR中継コンテンツも制作したのである。

 OBS技術責任者のサラムーリス氏は、「世界の放送機関を見ると、日本や韓国などアジアでは4K HDRにシフトしているが、他の地域では視聴者のテレビは、まだSDRが主流である。こうした地域の視聴者は4K SDRが魅力的だろう。しかし、こうした地域でも4K HDRは次世代のメディアとして重要だろう。そこで、すべてのニーズを満たすために、我々はライツホルダーと真剣な議論を行うことが必要だと考えている」と語っている。

8K/4Kの中継コンテンツ制作
 NHKは開会式、フィギアスケート、ショートトラック、スキージャンプ、スノーボード・ビックエアの5競技で8K中継を実施し(HSSM[High Speed Slow Motion]映像は4Kのアップコンバート)、8K HDRコンテンツで制作した。
 フィギアスケートとショートトラックでは、メインの中継カメラとして池上通信機製のSHK-810 8Kカメラが使用された。
HSSM(High Speed Slow Motion)再生用の中継カメラとしてはSONY 製の2台の4K・8倍速スローモーション映像撮影用カメラ、HDC-4800が使用された。このHSSM映像 は、8Kにアップコンバートされ、SHK-810 8Kカメラの8K映像とミックスされた。8KのHSSM中継カメラも初登場し、NHK技術研究所が開発した8K 120-fps camera のNHK STRL中継カメラ、1台が設置された。
 スキージャンプでは、池上通信機製のSHK-810 8K camerasとHSSM(High Speed Slow Motion)再生用としてSONY 製の4Kカメラ、HDC-4800 カメラが使用された。
 今回のオペレーションに課せられた重要な課題は、8K HDRコンテンツを制作しても、それを放送利用するのはNHKだけで、他の放送機関で、放送コンテンツをしてサービスするところなない。OBSとしては、8K HDRを4K HDRや4K SDRにダウンコンバートして、最終的には4K SDRとして世界各国の視聴者に配信できるように、互換性を持たせた信号フォーマットでオペレーションを行うことが必要だった。 そこで今回のオペレーションでは、NHKとBBCが共同開発したHLG(ハイブリッドログガンマ)HDR規格が採用された。
 NHKはUHD衛星試験放送で、8K HDRと4K SDR(OBS制作の中継コンテンツ)を放送し、NBCユニバーサルは、全米のケーブルテレビや衛星放送に4K HDRを配信した。
 
 2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、あと2年、HDに代わって4Kが主役の座に就くのか、4K HDRと4K SDRはどちらが主流になるのか、8Kは世界にどれだけ浸透するのか、まだまだ不透明だ。


NHK 8K中継車


NHK 8K中継カメラ 出典 SVG

4K HDRサービスを開始したXfinity
 ComcastグループのXfinityは、ケーブルテレビで平昌冬季五輪の4K HDRサービスに乗り出した。
Xfinityは、全米で最大のメディア企業、Comcast社の子会社、ケーブルTV、インターネット、電話のいわゆる“Triple Play”を推進する情報・通信の中核企業である。
 NBCユニバールはComcast社に買収され、2013年3月には、Comcast社の子会社となっている。XfinityはNBCと並んで、Comcast社グループの情報・通信戦略を担っている。
 NBCオリンピックの社長のGary Zenkel氏は、「五輪は常に最先端の放送技術の幕開けを創る。平昌五輪の開会式や競技の4K HDRサービスは、米国内で、高品質のスポーツ番組の実現を示す偉大なショーケースとなるだろう」と語った。
また、Xfinityの副社長のMatthew Strauss氏は、「Xfinityサービスは、スポーツとエンタテインメントで、視聴者が高画質・高音質の映像を体験できる最も強力なツールだ。オリンピックは、息を飲むような圧倒的な感動が得られるスポーツ・イベントである。Xfinityが、NBCユニバーサルと提携して、オリンピック競技を4K HDRを全米で初めて視聴者にサービスすることができることになり光栄だ」と話した。



平昌冬季五輪で、NBCが行う4K HDRサービスは、開会式や、ホッケー、フィギアスケート、ショートトラック、スピードスケート、ジャンプ、スノーボード(ビックエア)などで、2月10日から2月26日まで、競技開催から一日遅れで、毎日最大4つのイベントが視聴者に提供される。
4K HDRの映像は、Xfinityから提供される4K UHDセットボックス X1を設置し、市販の4K HDR対応のテレビ受像機で視聴する。
視聴者は、高画質のHigh-Dynamic Range (HDR) と高音質の Dolby Atmos の三次元音声で、臨場感があふれたコンテンツを楽しむことが可能だ。
XfinityのX1は、双方向・多機能のエンターテインメント・セットボックスで、ライブの放送からXfinityオンディマンド・サービス、さらにNetflixや音楽アプリを一つのセットボックスで利用できる。


Xfinityの4K UHDセットボックス X1(XG1v4 TV Box) 
出典 Xfinity

4K HDR
 4K HDRは、現在のHD(1,920 x 1,080 pixels)の4倍の800万ピクセル(3,840 x 2,160 pixels)の高画質で、さらにWide Color Gamut (WCG)という画像表現技術を利用して、画面で表現可能な色(色域)やコントラスト(輝度)の領域を、これまでより飛躍的に拡張して、より臨場感あふれたクリヤーな映像を視聴者に提供可能にした。
HDRとは“High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)”の頭文字を取ったものである。これまでは、HD(1920×1080)や4K(3,840 x 2,160)といった「解像度」や自然界の色再現を目指した「色域」は性能が飛躍的に向上させたが、HDRは、“明るさ情報”、「輝度」の性能を改善し、表現できるダイナミックレンジを拡張して、高画質化を実現したものである。
ハイダイナミックレンジにより、輝く光の色彩から髪の毛の色まで、明るい部分や暗い部分の映像の明暗や色表現がクリヤーに再現できる。
4K HDRが次の時代の映像フォーマットの主流になるのはかどうかが焦点だ。


出典 情報通信審議会資料







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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年2月15日
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廣谷  徹
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国際メディアサービスシステム研究所
代表
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(IMSSR)
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8K放送 NHK BS左旋波

2020年01月17日 09時35分08秒 | 4K8K
NHK BS8K BS左旋波で放送開始

NHK BS8Kは、午前10時から午後10時10分で、毎日、約12時間、放送する。8K放送は定時枠を基本とした編成ではなく、番組の内容に応じた柔軟編成となるとしている。
 BS8Kが力を入れているのは、毎週日曜日の夜7時から時間枠で、集中的に8K大型番組を編成する。しかしほとんどの時間は、新作のリピート放送や旧作の再放送が多い。
 音楽の分野では「世界三大オーケストラの響き」と題し、「ウィーン・フィル」、「ベルリン・フィル」、「ロイヤル・コンセルトヘボウ」の三つのオーケストラの演奏会を放送、FIFAワールドカップ・ロシア大会で8K中継を行った8K中継車を、そのままヨーロッパに転戦させて収録した。NHKは8K中継車を2019年度中に1台増やし、合わせて4台にする予定だ。2020東京五輪大会では8K中継車、4台体制で臨む。
 また歌劇団の公演も、5組全て新作を収録して放送する。
 美術番組では、フランスとの国際共同制作で進めている「ルーブル美術館 美の殿堂の400年」を4回にわたって放送する。
 さらに「黄金のマスク」をはじめ4,000点以上の秘宝をその魅力と秘められた物語に迫る3回シリーズのドキュメンタリー、「シリーズ ツタンカーメンの秘宝」やゴッホが描いた日没を迎える数分間に空に不思議な色が現れる「マジックアワー」の力作を描く「マジックアワー ~ゴッホが描いた空の光~」、中世の街並みが残る世界遺産の街、ベルギーのブルージュに伝わる伝統楽器、カリヨンの演奏を伝える「カリヨン 時を超えるブルージュの鐘」なども放送する。
 紀行番組では、「メキシコ・ユカタン半島 驚異の大自然 神秘の水中鍾乳洞 セノーテ」や「北米イエローストーン 躍動する大地と命」、「南米イグアスの滝」、「アジアの巨大遺跡 ミャンマー パガン遺跡」などを放送する。

 8Kは70mmで撮影された映画のリマスター版製作にも威力を発揮する。
 1968年に制作された「2001年宇宙への旅」はSF映画の「金字塔」と言われているが、この映画は当時、最高の画質を求めて70mmフィルムで撮影された。
 現在は、70mmフィルムのプロジェクターがほとんど消え去り、一部の施設でしか上映するのは不可能になった。この貴重な映像資産、70mmフィルム映画が高画質を誇る8Kで蘇ることにになる。来年3月には「マイフェアレディ」の8K版を放送する予定だ。70mmフィルム映画の8Kリマスター版製作は今後注目される。
 来年3月には、ノーベル文学賞を受賞した作家、カズオ・イシグロ原作の「浮世の画家」を8K特集ドラマで放送。カズオ・イシグロ作品のテレビドラマ化は初となる
 また「大相撲」や「NHK杯フィギュア」などの大型スポーツ中継や随時編成される。
 オデジャネイロ五輪、平昌五輪、サッカーW杯モスクワ大会などのこれまでに放送した豊富な8Kスポーツ中継・コンテンツも放送する計画だ。
 勿論、2019年の「ラグビーW杯」、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」も8Kライブ中継されるだろう。
 NHKでは、8Kクォーリティで制作・放送する“ピュア8K”の比率は、約60%程度としている。


NHK 平成31年度8Kチャンネル編成イメージ

NHK 8K週刊番組表

 フランスとの国際共同制作「ルーブル美術館 美の殿堂の400年」については、“またまたルーブル美術館”かという印象が強い。ことあるごとにルーブル美術館という発想の貧困が見え隠れする。筆者も美術番組には興味があり、NHKや民放の番組はよく見るが、単なる美術館紹介番組はもう飽きた。高繊細・高画質を掲げる8K番組であるにしても、多くの視聴者の思いも同じであろう。モナリザやミロのビーナスは8Kで撮影すると、どのように見えるのか程度は興味があるが、作品を丁寧に紹介されても興味はわかない。そもそも多くの視聴者は、ルーブル美術館を訪れ、現物の作品を見ているのではと考える。もっとも8K撮影は映像資料アーカイブとしてはは意味があるだろうが、放送番組としては如何か?。
 美術番組が視聴者の興味と感心を引き付けるのは、単なる作品の紹介ではなく、作品や作者のストリー性である。それには制作者の取材力が試される。高繊細・高画質だけを「売り物」にしても、最早、視聴者はついていかないだろう。NHKの番組制作能力の真価が試される番組だ。
 コンサート番組は、22.2サラウンドの高音質が「売り物」だ。しかし、パブリックビューイングならともかく、22.2サラウンドの音響システムを備えている家庭は果たしてどの位いるのだろうか。そもそも8Kテレビ自体の家庭への普及はほとんど進まないが実態だろう。そもそも22.2サラウンドの音響システムは市販されたいない。
 一方、「ラグビーW杯」や「2020東京五輪大会」などの大型スポーツ中継は期待は持てるだろう。リオデジャネイロ五輪、平昌五輪、サッカーW杯モスクワ大会などの8Kアーカイブコンテンツも興味深い。
 NHKの8K放送の最大の問題は、一般家庭に8Kテレビがまったく普及しないと見られていることである。「究極の二次元テレビ」で超高繊細を掲げても、その威力が発揮できるのは100インチクラス以上の大型テレビとされている。日本の一般家庭で、100インチのテレビを設置可能な世帯は果たしてどの位あるのだろうか?
 NHKでは、有機ELのフイルム製の超薄型8KテレビをLGやASTROと共同開発してInter BEE2018で展示した。フィルムは厚さわずか1mm、88インチのパネルである。「壁かけテレビ」にすれば一般家庭でも設置できるのではしている。
 しかし、富裕層の豪邸なら、シアタールームなどで100インチクラスの大型画面で8Kコンテンツを楽しむことはできるだろうが、一般家庭のリビングルームでは100インチクラスの大型画面は大きすぎ、圧倒されて番組を楽しむどろこではないだろう。そもそも一般家庭で見るテレビ番組は、ニュース・情報番組、娯楽番組がほとんどで8Kでは放送していない。かといって100インチクラスの「壁掛けテレビ」と40インチクラスの液晶テレビをふたつ置くほどのスペースはない。
 8K放送を一般家庭に普及させようとするサービス・モデルは基本的に無理がある。
 膨大な受信料を投入して8K放送を開始したNHKはその普及をどう実現するのか、公共放送として大きな責任を背負った。 


NHK 8K中継車 SHC1 リオデジャネイロ五輪、平昌冬季五輪、2018FIFA ワールドカップ・ロシア大会では2台(SHC1/SHC2)を投入して8K中継を実施


22.2マルチチャンネル音声中継車 SA1 NHK

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NHK技研公開2015 8K SHV スーパーハイビジョン

2019年11月21日 06時16分28秒 | 4K8K
8Kスーパーハイビジョン 実用放送開始へ準備着々
NHK技術研究所公開


 2015年5月28日から31日まで、東京世田谷区砧にあるNHK技術研究所では、恒例の「技研公開2015」が行われている。公開初日には、10時からの開場にもかかわらず、9時過ぎから大勢の参加者で玄関は埋まり、開場時間を10分も早めるほど例年になく盛況であった。人気の理由は、“8K”、次世代の“4K”の次の世代を目指す、世界で最高水準の超高精細映像技術だ。
 NHKは、8Kの映像技術では、世界の中で、他社の追随を許さない“断トツのNO1”の座を確保している。
今年の講演、研究発表、展示は、まさに8K一色、2016年試験放送開始、2018年実用放送開始、そして2020年がまさに本番、東京オリンピック・パラリンピックでの本格放送開始というロードマップを踏まえて、その熱い意気込みが感じられる



技研公開2015 東京・世田谷・砧 2015年5月28日




苦難のスタート 新4K8K衛星放送
徹底検証 新4K8K衛星放送番組ラインアップ NHK 民放 BS4K8K
5G・第5世代移動体通信 “世界に先駆け”2020年東京オリンピックに向けて実現へ
5G NR標準仕様の初版策定が完了 3GPP



 8K超高精細映像サービスの実施に向けての放送設備のポイントは、(1)局外設備(ロケ撮影機材、中継車、伝送設備)、(2)局内設備(スタジオ設備、編集設備、送出設備、送信設備、アーカイブシステム[コンテンツ制作には重要なシステム])、(3)送受信設備(衛星、受信地点に設置するデコーダー)などである。
 さらに受信側の設備も新たに必要になる。パブリックビューイングなら、8K対応のデコーダー、スクリーンやプロジェクター、音響設備、各家庭なら8K対応のデコーダーやテレビの必要である。
以上が全部揃わないと、8Kサービス開始とはいえないだろう。2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと5年、時間の余裕はない。



““8K”制作機器の展示 技研公開2015 2015年5月28日


出典 4K8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告


総務省 4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告


総務省 衛星・地域放送課


■ 8Kサービス実現の決め手は伝送
 8Kサービスの実現には、NHKなどの放送局側の設備はともかく、8Kコンテンツをどうやって“伝送”するかがポイントだ。“伝送路”の確保である。
とにかく8Kの映像音声データは、膨大なビット数である。
 現行のHD(2K)で使用されているHD-SDI 1080iの映像ビットレートは、1.5Gbps(非圧縮)、高画質の1080P60で約3Gbps(3D-SDI)、これが4Kになると2160P30で約6Gbps、2160P60で12Gbpsになる。 さらに8Kになると、4320P60(非圧縮・フルスペック NHK規格)で約72Gbps、120P(非圧縮・フルスペック NHK規格)で約144Gbps、HD-SDIの約100倍と飛躍的に増える。
 8Kの場合は、非圧縮・フルスペックでは余りにも膨大なビットレートになるので、デュアルグリーン方式と呼ばれる、色信号をフルスペックに比べて3分の1に削減すると共に、(G)の画素数を、青(B)や赤(R)の画素数の2倍とする方式を採用して、本来の8Kの解像度を余り損なわないで全体のデータ量の3分の1縮減を実現させている。この方式を使用すると24Gbps(60P)(映像信号のみでは約20Gbps)が実現され、現在使用されている8Kの主流になっている。


出典 NHKスーパーハイビジョンの伝送技術 NHK

■ 8K非圧縮映像 100Gbps回線でIPマルチキャスト伝送実験に成功
 2014年2月、情報通信研究機構(NICT)は「さっぽろ雪まつり」の4Kと8Kの映像を非圧縮で、東京と大阪間に双方向でIPマルチキャスト伝送を行う実験を行い、世界で初めて成功した。
 実験に使用した通信基盤は、JGN-X(NICTのテストベッド[試験環境])の100Gbps基幹回線を活用し、東京~大阪~北陸間で、8K映像及び4K映像の非圧縮データを複数拠点へIPマルチキャストで伝送できる仕組みを構築した。
 100Gbps基幹回線は、NTTコミュニケーションズが整備を進めている企業向けの100Gbpsのインターネットサービス網である。
伝送した映像素材は、8Kカメラと4Kカメラで撮影した「さっぽろ雪まつり」のライブ映像と、あらかじめ録画された8K映像と4K映像を使用した。
今回の実験では、8Kの伝送は24Gbps、4Kでは12Gbpsのビットレートで行われた。
 NICTでは、100Gbps回線上での大容量の送信を、安定的に運用できる仕組みをJGN-Xで構築している。今回の実験で、最大40Gbpsの大容量の送信を実現し、非圧縮8K映像のような20Gbpsを超える大容量通信と制御パケットを同時に高精度に監視することができるようになり、安定的な大容量伝送の道を開いた。
 8K試験放送や実用放送を実施するためには、放送局間や中継現場や取材拠点と放送局間で、8K映像音声素材を非圧縮で伝送可能な基盤整備が必要である。
 今回の実験では、24Gbpsの伝送ビットレート(デュアルグリーン方式)までは成功したが、今後は8Kの非圧縮・フルスペックの最大72Gbps(60P)の伝送や144Gbpsb(120P)の伝送路の確保に向けて開発を進める必要がある。


出典 情報通信研究機構(NICT)“さっぽろ雪まつり”の8K非圧縮映像IPマルチキャスト伝送実験

■ 100Mbpsに圧縮される8KBS衛星放送 その画質は?
 「伝送路を確かなものにする」、今年の「技研公開」のキーワードである。
 伝送ビットレート24Gbps(デュアルグリーン方式)という膨大なデータ量の映像音声信号は、そのままでは地上波や衛星やケーブルでは到底送信できない。
そこでどうやって視聴者に“8K” の映像音声信号を送り届けるかが8Kの技術開発の最大の課題なのである。

 8K放送のプラットフォームとしては、地上波では周波数帯域に空きがなく、衛星を使用せざるを得ない。
 総務省では、2016年に開始する8K試験放送の技術仕様(BS放送、東経110度CS放送)を定めている。
 それによると、新たな変調方式、16APSKを採用すると共に、次世代符号化方式、HEVC/H.265を使用して圧縮効率を高め、24Gbps(60P)を約100Mbpsに圧縮して衛星波に載せて送信しようとするものだ。
 NHKでは映像については、約85Mbpsにまで圧縮し、新たな装置の開発でリアルタイムの符号化/復号を実現した。音声については、22.2ch音声(約25Mbps)を、MPEG-4 AACで約1.4Mbpsに圧縮している。
 さらに、これらの映像と音声を束ねて伝送するために、MPEG-H MMTという多重化・多重分離機能も開発された。
 ちなみに遅延は、エンコーダー・デコーダー双方合わせて3.5秒である。
 “8K”サービスを実現するためには、ひとえに圧縮技術が決め手である。
 圧縮比を高めると、画質が低下したり、色調が劣化したり、被写体の動きが“ガクガク”するというデメリットが発生することが懸念される。超高精細画質を誇る“8K”映像の品質が確保できなければ“8K”の意味はない。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技中継を“8K”でサービスする場合には、陸上やサッカーなどの中継で、“動きの速い”映像を鮮明に表示できるかが勝負である。
 72Gbps(60P)の非圧縮映像で視聴すればなんの問題もないだろう。要は約85Mbpsにまで“超”圧縮して送信された映像がどうなるかである。
 今年の展示では、お台場に設置した中継カメラとNHK技術研究所内に設置したカメラの8K映像をNHK技術研究所内に設置された“制作システム”でスイッチィングして放送実験用の映像音声を制作した。その映像音声を符号化装置で圧縮し、さらにMMT(MPEG Media Transport)と呼ばれる次世代メディア伝送方式で多重化して、光ファイバーでNHK放送センターに伝送した。そして、NHK放送センター内の送信設備で、約100Mbpsに圧縮した“8K”映像音声を、BS衛星に送り、BS17chの放送波として実験放送を行った。その放送波をNHK技術研究所内のパラボラアンテナ(現在のBSアンテナ)で受信して“8K”テレビモニターで表示した。
 “8K”テレビモニターに映された映像は、見た目には解像度等は問題なく“きれいな”映像であった。しかし、肝要なのはスポーツの動きの速い映像で、スムーズな映像の表示が確保できるのか焦点だ。



出典 8K衛星放送実験の概要 NHK技術研究所

■ 光ファイバーの8K非圧縮伝送
 次世代高速大容量化の幹線光ファイバーは、1chあたり100Gbpsが実現している。NTT Comの企業向けインターネット接続サービス「スーパーOCN 100ギガビットイーサーネットサービス」で、すでに商用化されている。さらに波長分割(WDM)多重光伝送装置を使用すると80ch以上の伝送が現在の技術でも可能になっている。
“8K”中継地点などから、次世代幹線光ファイバーを使用し、72Gbpsの8K非圧縮映像の伝送基盤の環境も整い始めている。


■ CATVの“8K”サービス
 CATVは、同軸ケーブルを使用して各家庭に100chを超える映画や番組、ニュースなどをサービスしている場合が多い。
 こうした既存の同軸ケーブルのインフラを利用して、“4K”や“8K”の次世代高精細映像の配信を行うには難問が多い。
“4K”サービスの場合は既存の設備最大限利用しながら、現状の地上波やBS波の“2K”サービスに影響を及ぼさないで実施できるように工夫している。“4K”1chは約33Mbpsだが、これを約29Mbpsと約4Mbpsの2つに分割し、約4Mbpsの残りの約24Mbpsで、現状の地上波やBS波を配信するという方式である。
「複数搬送波伝送方式」と呼ばれている。
競争が激化している映像マーケットで、“4Kも見れます”という付加価値サービスは、CATVオペレーターにとって有力なツールだろう。
 もっとも配信される“4K”コンテンツが魅力的かどうかによるが……。

“8K”サービスの場合は更に難題である。
“8K”は、1chで約100Mbps(4Kは約33Mbps)が必要となる。(いずれもBS試験放送のスペック)
100Mbpsを同軸ケーブルで送信するために、まず変調方式を現状の64QAMから256QAMにグレードアップして、CATV1chで約39Mbpsの送信を可能にし、これを2ch使用し、さらに64QAM1chを使用して約29Mbpsを送信しようとするスキームだ。
 つまり、256QAM×2と64QAM×1の3chを使用して、“8K”サービスを実施しようとするモデルだ。
そこまでしてサービスを実現しても、“8K”サービスのニーズが実際どれだけあるのか筆者は疑問を抱く。
勿論、“4K”や“8K”サービスを利用するためには、各家庭は専用のデコーダーやテレビモニターを設置しなければならない。


■ 地上波利用した“8K”放送
“8K”サービスの普及を加速するには、地上波でサービスするのが一番だろうが、地上波は衛星やCATVに比べて更にハードルが高い。
 今年の展示では、地上波を使用した“8K”サービスの伝送実験が公開されていた。昨年の熊本県人吉で実験したが、今回は大都会の真ん中で、現状の地上デジタル放送に影響を与えず、良好に受信できるかを実験した。UHF31chの帯域を使用し、10Wで送信、4096QAMという“超高度”な変調方式を使用するなどして、ビットレートは77Mbpsを確保し、砧-渋谷間の約8kmの距離で送受信を実施している。
 受信アンテナは、通常に使用されている地デジアンテナと比べて、大きさはそんなに違いはないが、輻射器や導波器の棒が。ギャップフィラーに対しても意外と強いと担当者は話していた。
 まだ研究段階だそうである。



8K受信用アンテナ 技研公開2015 2015年5月28日

■ 受信側のコンパクトなデコーダーの開発
 当然のことながら、“8K”サービスを受信するためには、専用のデコーダー(セットボックス)が必要である。今回の展示で使用した“8K”のデコーダーはNHKが制作したラックタイプの装置だった。このラックタイプの大きさをコンパクトにして、現在使用されているセットボックス並みの大きさにしないと“8K”実用化段階にはふさわしくない。
 NHKの担当者は、「LSI化が可能なのでコンパクト化の問題はあまり心配していない」としている。要は技術的な仕様をきちんと作れれば大丈夫とのことである。
 さらに価格設定がどのくらいになるかも重要だ。セットボックスを販売するのは家電メーカーだが、価格が高いと普及の妨げになるだろう。
 勿論、“8K”テレビ受像機の開発も重要である。すでに市販モデルも登場しているし、小型化も進んでいるので技術的には問題はないだろう。
 これも要は価格水準である。



符号化・復号装置 技研公開2015 2015年5月28日

■ 8Kは誰がどうのように利用するのか? 
8Kのサービスモデルは再考の余地

 8Kの映像を改めてみると、大画面で見ればその画質の素晴らしさは感心させられる。今回特に気が付いたのは、“発色”の良さである。色調の表現は素晴らしい。HDと比較するとその差は歴然だ。
 しかし、映像の素晴らしさの有意差が現れるのは、大スクリーンで視聴した場合だけと大半の人は思うだろう。
 筆者も、InterBeeなどで、32インチクラスまでのモニターで、脇に置いてあるHD(2K)と比較して何回か見たことがあるが、画面に近づいてよく見ればその違いははっきりわかる。しかし、数メートル離れた場所で見てもほとんどその違いはわからない。さらに“4K”と比較したらその違いはまったくわからないであろう。
  また解像度が良すぎて、見ていて目が疲れると感じるには筆者だけであろうか? に解像度を上げて隅々まではっきり見えることで、余計な部分まで見えて、むしろ邪魔になると感じるむきもあるだろう。人間の生理的な“目配り”の能力を超えているのである。“そんなに細かい部分まで見えなくてもいい。現状で十分”、素直な感想だろう。
 また視聴者の立場から考えてみると、テレビに求めるコンテンツは、ニュース・バラエティ番組、情報番組が多い。それにスポーツ中継、ドラマにエンターテイメント、ドキュメンタリー番組が加わる。東京オリンピック・パラリンピックなどのスポーツ中継については、そのニーズは多少は理解できる。しかし通常のニュース・バラエティ番組、情報番組にそれほどの解像度の映像のニーズは必要か。

 放送サービスだけで“8K”サービスモデルの展開を考えるのは限界がある。
 サービスモデルの検討にはNHK以外の組織の積極的な参加が必要なのではないか。
 一方で、“8K”のパワーが遺憾なく発揮するのは、劇場公開やイベント、パブリックビューイングだ。この分野では可能性が果てしなく広がるだろう。
 また医療や環境、宇宙、科学技術の分野では超高精細映像技術は極めて重要なツールとなるだろう。
“8K”のサービスモデルは、テレビ放送、家庭へのサービスといった発想を捨てて、もっと幅広い、別の発想での展開を考えるべきだと考える。
 日本は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて“世界の最高水準”の“ICT立国”を目指している。  “8K”は“ICT立国・日本”の大黒柱の技術の一つであることは間違いない。



出典 4K・8Kの推進に関する現状について 総務省





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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2015年5月29日
Copyright(C) 2015 IMSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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新4K8K衛星放送 BS日テレ 4K放送開始 3カ月前倒し 2019年9月

2019年11月17日 14時33分04秒 | 4K8K

徹底検証 新4K8K衛星放送の番組ラインアップ
NHK4K8K BSフジ4K BS-TBS4K BS朝日4K BSテレ東4K




BS日テレ、4K放送開始を2019年9月に 3カ月前倒し
 2018年11月26日、日本テレビホールディングスは、これまでBS日テレの4K放送の開始時期を2019年12月1日としていたが、3カ月前倒して2019年9月とすることを明らかにした。新4K8K衛星放送は2018年12月に各社が一斉にサービスを開始していたが、同社は「さまざまな状況・諸条件を考えた経営判断」として、BS日テレでは、1年間遅らせて、2019年12月に4K放送を始めるとしていた。
 3か月前倒しで4K放送を開始する理由について、ラグビーワールドカップ2019(9月20日開幕)で国際映像が4Kで制作されることが決定し、4K放送設備の完成が前倒し可能であることが確認できたことなどを受けて総合的に判断したとしている。放送時間や番組編成などの詳細については検討中とした。
 BS日テレ4Kの放送開始で、NHK4K8K、BS-TBS4K、BSテレ朝4K、BSテレ東4Kが勢揃いすることになり、新4K8K衛星放送のサービス体制がようやく整った。
 来年の2020東京五輪大会を控え、新4K8K衛星放送を巡る各社の競争が本格化しそうだ。

ラグビーW杯 NHK、J-Sportsが新4K8K衛星放送で中継放送
 ラグビーW杯のNHKの放送は、総合テレビでは日本対アイルランド戦など3試合、BS1(HD)では開幕戦の日本対ロシア戦や日本対サモア戦(録画)、日本対スコットランド(録画)、決勝リーグ戦の28試合を放送する。
 新4K8K衛星放送への取り組みが注目されたが、4K放送については、開幕戦の日本対ロシア戦や対アイルランド戦、対サモア戦(録画)、対スコットランド戦(録画)と一次リーグの日本戦の全4試合や決勝リーグの準決勝1試合と決勝の2試合の合計5試合、8Kについては、NHKが独自に8K中継を行い、日本対アイルランド戦や準決勝1試合、決勝の3試合のみにとどまった。
大会の放送ナビゲーターとして元日本代表の五郎丸歩選手が起用され、試合中継や関連番組への出演する。
 日本テレビは地上波だけで19試合を放送する。日本テレビはラグビー中継に力を入れていて、世界最高峰のプロリーグ「スーパーラグビー」の放送権を獲得し、系列のBS日テレで放送している。
 「スーパーラグビー」には、日本で唯一のプロ・ラグビーチーム、サンウルブズが参加、今年で4シーズンを迎える。ラグビーW杯に向けてラグビー人気を沸き立てようとする戦略である。
 中継放送に櫻井翔や上田晋也、舘ひろし、小島瑠璃子を起用するなど、幅広い視聴者を獲得する作戦だ。
 BS日テレ4KでのラグビーW杯の新4K8K衛星放送は、まだ白紙としているが、4K放送実施に向けて検討していると思われる。
 一方、CATVの最大手、J:COMは、J-SportsのHD・4チャンネルと合わせて、4K・4チャンネルで全48試合を放送する。(生中継のみ) またNHKのB1(HD)で31試合とともに4K放送の5試合も放送し、4Kサービスの普及・拡大に期待を寄せる。




新4K8K衛星放送番組表 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)


Inter Bee2018のオープニングセッションで勢揃いした新4K8K衛星放送を開始する9事業者の代表 それぞれ新4K8K衛星放送の意気込みを語ったが……


新4K8K衛星放送開始セレモニー  APAB

新4K8K衛星放送 苦難のスタート 視聴者は4K8Kに冷やか 腰が引けている民放4K







新4K8K衛星放送の放送事業者  総務省


苦難の船出 新4K8K衛星放送 “ゼロ”からのスタート
 民放の新4K8K衛星放送のコンテンツは、ほとんどが、すでに放送しているBS(HD)放送のコンテンツを4Kで制作し、BS(HD)とBS(4K)のサイマル放送で対応する。BS(4K)のオリジナル・コンテンツは見当たらず、視聴者は従来のBS(HD)で同じコンテンツを楽しむことができる。
 しかも民放のキラーコンテンツである地上波のドラマ、バラエティ、エンターテイメント、情報番組、スポーツ中継などは新4K8K衛星放送では、一切、放送予定がない。予想通り、民放の収入を支える地上波の人気番組は温存した。
 しかも、新4K8K衛星放送の4Kコンテンツは「TBS系では全体の7~8%、テレビ東京系でも来年1月段階で13%程度にとどまる見込み」(朝日新聞 10月6日)で、大半がHD(2K)番組のアップコンバート・コンテンツとなる見通しだ。しかも民放系4局はいずれもショッピング番組で埋め尽くされている。
 BSフジ4Kでは、12月17日(月)から23日(日)までの1週間で、4K制作番組は、定時番組と特集番組を合わせて16時間35分、全体の約10%にすぎない。残りはすべてHD番組のアップコンコンテンツ、これでは4Kチャンネルとは到底言えないだろう。
 この状況で、「こんどのテレビは別世界」を掲げる「新4K8K衛星放送」と言えるのだろうか? 問題は深刻である。
 ライブのニュース報道番組は、チャンネルの活性化にある程度は寄与するだろう。BS TBS 4KやBS フジ 4K、BS テレ東4Kは、いずれも月曜日から金曜日の平日の夜にライブでニュース報道番組を開始するが、二局ともBS(HD)放送とサイマルサービスなので、4Kチャンネルの吸引力がどれほどあるのか疑問が多い。
 新4K8K衛星放送は、地上波放送があり、BS(HD)放送があり、そしてモアチャンネルとして誕生する。標準アナログテレビ(SD)からデジタルハイビジョンテレビ(HD)に移行した時は、SDを終了させて、ハイビジョン(HD)に切り替えた。視聴者は強制的にハイビジョンテレビを設置しなければならなかった。4Kテレビを設置して、新4K8K衛星放送を見るか見ないかは視聴者の選択に任せられる。ハイビジョン(HD)の移行の際とは環境がまったく違う。
 しかし、新4K8K衛星放送のコンテンツのラインアップには、新たに視聴者を獲得する魅力的なコンテンツが見つからない。
 テレビが視聴者を引き付けるのは、情報性、ライブ性、娯楽・エンターテイメント性にあふれたコンテンツの魅力ある。高繊細・高画質だけでは視聴者はもはや飛びつかない。
 しかも、ここ数年、若者のテレビ離れは深刻だ。スマホが映像メディアの主役になっている。テレビ番組、ネット動画、映画などもスマホで視聴する若者が急増している。こうした視聴者が求めているのは、4K8Kの高画質ではなく、スマホで気軽に楽しめる「面白い」コンテンツなのである。大画面でしか味わえない4K8Kは、いわば「重厚長大」サービス、「気軽でコンパクト」なサービスを求める若者のテレビ離れを果たして阻止することができるのだろうか。
 日本民間放送連盟・研究所では、日本の広告費は、2019年には、インターネットの広告費が地上波テレビの広告費を上回ることが確実としている。2019年の地上波テレビの広告費は1%減、これに対してインターネットの広告費は9%増と予想している。2019年はまさに象徴的な年になりそうだ。

 2018年9月、4Kテレビの累計出荷台数は約500万台に到達した。しかし、ほぼすべてが4Kチューナーが付いていない「4K対応テレビ」だ。このままでは新4K8K衛星放送は誰も見ることができない。新4K8K衛星放送の普及の最大の難関はこの500万台に、まず4Kチューナーを設置してもらうことだ。“ゼロ”からのスタートである。そして頼みの綱は2020東京五輪大会に向けての買い替え需要をあてにするほかない。果たして新4K8K衛星放送はどの位の視聴者を獲得できるのだろうか?
 Inter BEEのオープニングセッションでのキーノートスピーチで放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の福田俊夫理事長は、「苦難のスタート」とした。またNHKの児野明彦専務理事は「東京五輪大会までの時間がタイトで、普及の面ではハンディがあった」とした。
 新4K8K衛星放送は多難な船出になった。



相次いで発売されたチューナー付き4Kテレビ 大勢の人だかりが……  Inter BEE 2018


勢揃いした4Kチューナー 果たして何台売れるか CEATECH 2018



暗雲 4K8K放送 2020年までに“普及”は可能か
8Kスーパーハイビジョン  NHK技術研究所公開 その最先端技術は? 試験放送開始準備着々
有働由美子 news zero批判 ニュースになっていないnews zero ニュースキャスター失格 あさイチの成功

5G・第5世代移動体通信 “世界に先駆け”2020年東京オリンピックに向けて実現へ
5G NR標準仕様の初版策定が完了 3GPP
5G周波数割り当ての審査方針総務省公表 地方を重視 通信事業者の重荷に







国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年12月10日 初稿
2019年2月4日  改訂

Copyright (C) 2019 IMSSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
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4K8K放送 東京オリンピック 新4K8K衛星放送 ロードマップ 右旋 左旋 暗雲 苦難のスタート 

2018年12月01日 17時28分36秒 | 4K8K

新4K8K衛星放送 苦難のスタート



新4K8K衛星放送開始 A-PAB


新4K8K衛星放送開始 総務省

熱気を欠いた4K8Kテレビ商戦 新4K8K衛星放送に視聴者は冷やか? 普及に暗雲
 2018年12月1日、新4K8K衛星放送が開始された。
 ここ数年4K対応テレビは売れ行きが好調で、2018年9月、累計出荷台数は約500万台に達した。しかし、そのほぼ全部が4Kチューナーを設置しないと新4K8K衛星放送は見れない4Kテレビなのである。この500万台にいかにして4Kチューナーを付けてもらうかがまず課題になる。“ゼロ”からのスタートなのである。そして頼みの綱は買い替え需要だ。しかし視聴者は眼は冷ややかである。新4K8K衛星放送は苦難のスタートとなった。

 今年の秋になってようやくチューナー内蔵4Kテレビや4Kチューナーの発売が本格し、舞台が整った。
 日本国内で初めて、4Kチューナー内蔵テレビを発売したのは東芝映像ソリューションで、2018年6月6日からBS/CS 4K内蔵液晶レグザ「BM620Xシリーズ」3機種(55V型[23万前後」、50V型[19万前後]、43V型16万前後])を売り出した。
 また4Kチューナ「TT-4K100(オープン価格 市場想定価格は4万円前後)を2018年11月に発売した。
 BS/CS-4Kチューナーに加えて地上/BS/110度CSチューナも備え、別売のHDDを接続すれば録画も可能で、2TBで約129時間の4K番組が録画できる。
 しかし、いずれも10月以降に送付される「BS/CS 4K視聴チップ」を製品に装着しないと視聴することはできない。
 ちなみに東芝映像ソリューションは中国の新興家電製品メーカー、ハイセンスの配下に入っている。ハイセンスは2018FIFAワールドカップの公式スポンサーとなり世界化から注目を浴びた企業である。
 続いて、シャープは4Kチューナー内蔵テレビ、「AQUOS 4K」の新モデル3機種を2018年11月から発売、「4T-60AN1」(60型 市場想定価格280,000円前後)、「4T-C50AN1」(50型 市場想定価格200,000円前後)、「4T-C45AL1」(45型 市場想定価格155,000円前後)である。
 さらにシャープは「世界初」の8Kチューナー内蔵8Kテレビを3機種(60型、70型、80型)も発売するとし、CEATEC2018に出品し注目を浴びた。
 三菱電機は4Kチューナを内蔵した液晶テレビ「REAL 4K XS1000シリーズ」を10月18日に発売を開始した。40型「LCD-A40XS1000」、50型「LCD-A50XS1000」、58型「LCD-A58XS1000」の3機種で、BS4Kのダブルチューナーや4K番組が録画できるUltraHDブルーレイを内蔵する上位機種だ。58型は市場想定価格は34万円前後とされている。
 4Kチューナーについては、10月5日にピクセラがAndroid TVやNetflix も視聴可能な機種を発売、パナソニックは4Kビエラのリモコン1つで操作が可能な「TU-BUHD100」、さらにシャープなども相次いで発売している。市場想定価格は3万円台前後である。

 相次いで4K8K関連製品が発売されたが、家電業界によれば2011年の地デジHD化の際のような視聴者の熱気は感じられないという。

 CATV業界では、4Kに積極的に取り組んでいる。全国のCATV各社の制作番組をサービスする4Kチャンネルを開始したり、4K8K試験放送の再送信にいち早く取り組んだりして準備を進め、12月1日には新4K8K衛星放送の再送信を開始する。しかしCATVで4Kチャンネルを視聴するためには、ほとんどの家庭は4K対応セットボックスを新たに設置しなければならない。
 日本ケーブルテレビ連盟の吉崎正弘氏は、「4K対応セットボックスの普及の目標は80万台」としている。CATVの契約者は全国で約3000万世帯、80万世帯は、そのわずか3%に満たない。視聴者の新4K8K衛星放送への冷めた眼がはっきりと見える。

 潤沢な受信料収入に支えられたNHKは、新4K8K衛星放送に積極的に取り組んでいるが、普及拡大のカギを握る民放各局は、既存の地上波(HD)やBS(HD)放送と新4K8K衛星放送を両立させるビジネスモデルが描けず、及び腰である。新4K8K衛星放送の4Kコンテンツは「TBS系では全体の7~8%、テレビ東京系でも来年1月段階で13%程度にとどまる見込み」(朝日新聞 10月6日)という。
 新4K8K衛星放送の普及には魅力的な4K8Kコンテンツを視聴者にいかに提供するかに尽きるだろう。視聴者を引き付ける魅力的な4K8Kコンテンツのラインアップが果たせたのだろうか?
 総務省は、新4K8K衛星放送の視聴世帯を2020年で「50%」を目標に掲げているが絶望的であろう。「こんどのテレビは別世界」、けっしてバラ色ではなくて苦難の道を歩む「別世界」になりそうだ。


勢揃いしたチューナー内蔵4Kテレビ CEATEC2018


シャープが発売するチューナー内蔵8Kテレビ


CEATEC2018で注目を浴びた主役はIoT、AI、5G、そしてVR 4K8Kはほとんど存在感がない


人気を集めたKDDIのVRシュミレーター

徹底検証 新4K8K衛星放送番組ラインアップ NHK 民放 BS4K8K 魅力的なコンテンツを揃えられたか?


新4K8K衛星放送 2018年12月1日開始 BS日テレは1年遅れ
 2017年1月24日、総務省は4K8K放送を認める認定書を10社に交付し、新4K8K衛星放送、11チャンネルが2018年12月1日から順次開始されると発表した。
新4K8K衛星放送のうちBS「右旋円偏波」を使用する4K放送は、NHKと民放キー局系5局の計6チャンネル。NHKと民放系4局は2018年12月1日に、日本テレビホールディングス系のBS日テレは、一年遅らせて2019年12月1日に放送を始める。
(2019年9月、ラグビーW杯開催前に前倒しして放送開始)
 BS日テレは、「(新4K8K衛星放送の)事業性や受信機の普及状況」などを総合的に判断していきながら、来年12月の前倒しを含めて、対応、準備を進めるとしている。
 新4K衛星放送のビジネスモデルを構築するのは容易ではない。HD地上波放送は相変わらず“主力”で、そのコマーシャル収入で成り立つ民放にとって、新4K衛星放送は、収益性の乏しい所詮衛星放送のモアチャンネルにすぎず、いわば当面は“お荷物”となる。HD地上波放送で熾烈な視聴率競争を繰り広げ、コマーシャル収入を確保しなければならない民放は、主力コンテンツのトレンディドラマやエンターテインメント番組、スポーツ中継などのキラー・コンテンツは、相変わらず、収入源のHD地上波放送“最優先”で展開せざるを得ない。さらにようやく育て上げたBS(HD)放送のコンテンツも維持しなければならない。新4K8K衛星放送は、高繊細画質が売り物にしても、一体どれだけの視聴率を獲得し、どれだけのスポンサー収入が確保できるのか見通しは立たない。新たに経費を投入して新4K衛星放送のために魅力的なオリジナル・コンテンツを制作するのは極めて難しい。地上波(HD)やBS(HD)放送コンテンツを4K制作し、新4K衛星放送でサイマル放送するサービス・モデルは現実的だが、それでは新4K衛星放送の普及につながらず、新たな収入源にもつながらないというジレンマがある。また新4K衛星放送でキラーコンテンツを放送すると、キー局の番組の再送信に頼る地方系列局のダメージが大きいことも見逃せない。
 民放各局は新4K衛星放送のビジネスモデルが未だに描けないのである。
 BS日テレの「1年延期」はこうした新4K衛星放送の事業性を取り巻く状況が如実にあらわれている。他の各局も同様であろう。 

 BS「左旋波」では、NHKの8K放送と民間の放送事業者、WOWOW、SCサテライト放送(ショップチャンネル)、 QVCサテライト(QVC)、東北新社(映画エンタテイメント・チャンネル)の4K放送が認可された。NHKとSCサテライト放送、 東北新社は2018年12月1日、QVCサテライトは2018年12月31日、WOWOWは、2年遅れで、2020年12月1日に開始する。
 WOWOWは、新4K8K衛星放送の申請にあたって、BS「右旋波」については、「第一志望」としたが、認可後に現行のHDサービスの帯域再編に応じる「特定申請」としなかった。「第2希望」は「左旋波」とした。
 総務省では、6社が応募したBS「右旋波」は、割り当てる周波数が不足するため、あらかじめ明らかにしていた「比較審査」を実施し、「右旋波」の認定で“優先権”が得られる「特定申請」としなかったWOWOWを「右旋波」から除外し、「左旋波」で認定した。WOWOWが4Kサービス開始が2年遅らしたのは、「左旋波」4Kサービスの事業性に懸念を示したと思われる。

 一方、BS「右旋波」全体については、現状ではNHKと民放系5局に割り当てる4K放送、6チャンネル分の帯域が不足するため、NHKや民放などがBSデジタル放送(HD)で使用している帯域を一部を返上するさせて帯域再編成を行い、BS7チャンネルと17チャンネルに2トランスポンダに、6チャンネル分の帯域を確保した。そしてBS「右旋波」を「第一希望」としたNHKと民放キー局系の5局に割り当てた。

 東経110 度CS「左旋波」については、スカパー・エンターテイメントと放送サービス高度化推進協会(A-PAB)(試験放送)を認定した。
 スカパー・エンターテイメントは、4Kで8チャンネル分の帯域を確保し、4Kサービスに対する積極姿勢が目立った。「スカパー!」はこれまで保有してきたJリーグの放送権をインターネットスポーツ中継サービスの「ダ・ゾーン」に奪われてキラー・コンテンツを失い、契約者数を大きく減らして経営的に大きなダメージを蒙った。こうした中で、4Kサービスで新規契約者を獲得して攻勢に転じることができるかどうか、スカパー・エンターテイメントは瀬戸際に立たされている。










総務省 報道資料

BS、CS、「左旋波」、「右旋波」、混乱必至 そしてコンテンツ不足 視聴者不在の4K8Kサービス
 「BS左旋円偏波」や「東経110度CS左旋偏波」は、対応するパラボラアンテナを新たに設置しないと視聴できない。さらに分配器、分波器、ブースター、ケーブル等の宅内受信設備の交換もは必要となる。マンションや事業所などで、共聴設備を利用して視聴している場合は、共聴設備の更新をしなければならない。果たしてどれだけの視聴者が「左旋波」を利用するのだろうか。
 まったく未知数の「左旋波」に頼らざるを得ない4K8K放送は暗雲が立ち込めている。
 「左旋波」の登場で、テレビ(空中波)は、“複雑怪奇”となった。
 地上波-BS、HD-CS、4K-BS(右旋)、4K-CS(右旋)、4K-BS(左旋)、4K-CS(左旋)、8K-BS(左旋)、新たに登場したHDR、ほとんど一般の視聴者は理解できないだろう。
 総務省では、「右旋波」を利用する4K・8K放送は、「左旋波」が十分普及するまでの“暫定措置”としている。4K・8K放送の視聴環境は数年おきに目まぐるしく変わるだろう。
 4K・8K放送のスキームは、“視聴者無視”と言わざるを得ない。
 さらに、光回線を利用するIPTVのひかりTVやインターネットを使用するNETFLEX、AMAZON TV、Fulu、アクトビラなどのテレビサービスも加えると一般の視聴者は収拾がつかななくなる。多チャンネル、マルチメディア時代という言葉は、華やかに聞こえるが受け手の負担は極めて重くなるだろう。
 4K8Kの超高繊細映像で臨場感があふれた映像が楽しめるというが、視聴者は本当にそのサービスを求めるいるのだろうか?
 視聴者のテレビ離れが問題化している中で、4K8Kサービスを開始する放送事業者は、その自信があるのだろうか?
 日本はこれから超高齢化社会に突入なかで、求められているのは視聴者に“優しいテレビサービス”だろう。

 また放送される4K8Kコンテンツの品質も大いに問題である。視聴者が望んでいる魅力的なコンテンツをNHKや民放、放送事業者は本当に揃えることができるのだろうか。依然としてテレビサービスの主力はHD地上波放送で、所詮、4K8Kサービスはモアチャンネルの衛星放送で影は薄い。地上波や衛星波のHD化が成功したのは、SD(標準画質)サービスにHDを強制的に完全に置き換えたからである。現実的な対応は、地上波や衛星放送(HD)のコンテンツを4Kで制作し、新4K8K衛星放送では4Kで時差サイマル放送をするスキームだ。しかし、これでは新4K8K衛星放送の普及はいつまでたっても進まない。さらに4Kコンテンツ不足を補うためにHDをアップコンバートして“4K”として放送するケースも多発する懸念がある。こうした放送を“4Kチャンネル”とするのはあまりにもお粗末だ。
 テレビが視聴者を引き付けるのは、コンテンツの魅力である。大きな共感を得るドラマ、速報性と情報性を備えたニュース・情報番組、楽しめるバラエティ番組、知的な興味に答える教養番組、その多様性にあふれた強力はコンテンツ・パワーだ。 “高画質”なら視聴者を引き付けられるというのは幻想にすぎない。テレビは“面白く”なければならい。新4K8K衛星放送は果たしてこうした視聴者の期待に答えられるだろうか。

 そして4K・8K放送を開始することで地上波とBSで合わせて6チャンネルを握ることになったNHKの肥大化も重大だ。高市早苗総務相は「NHKのBS放送全体のチャンネル数は見直す」と述べている。
 NHKはチャンネル再編を行い巨大化批判に答える責務を背負う。

 総務省が策定した4K・8K推進に向けた“新ロードマップ”では、2020年に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K放送を楽しんでいる」と記述されているが、果たしてこうした目標の実現が可能なのだろうか、筆者は大いに疑問視している。問題山積の新4K8K衛星放送、「多くの視聴者」に普及させるのに残された時間は2年しかない。


新4K8K衛星放送を視聴するのは至難の業 ほとんどの視聴者は理解不能  資料 電波監理審議会会長会見用資料


課題山積にもかかわらず4Kテレビは売れ行き好調とし、2020年は52.4%の世帯普及率を達成するとする総務省 しかし、2018年の30.9%という数字と、A-PAB調査の約6%とは落差がありすぎる 30.9%は何が根拠になっているのか?  資料 総務省

新4K8K衛星放送に冷淡な視聴者 
 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)では、全国の20歳から60歳の男女5000人を対象に「4K8K市場調査」実施し、4K8K放送についての認知・理解度や関心度を調査(2018年9月末)した。
 4Kを「知っている」と答えた人は26.5%で三分の一に満たず、前回調査から微減している。「視聴したい」とした人は39.9%、これも微減している。4Kテレビを持っているいる人は、6.0%、2016年の初回調査と比較して2.5%増にとどまる。ようするに4K8K放送の関心度はほとんど高まっていないし、「持っている」人もほとんど増えていない。
 12月1日に4K8K放送が開始されることについては、12.2%の人が「知っている」とし、初回調査はからは認知度が高まっているが、それでも一割程度にとどまる。
 また、4K8K放送を視聴するためには、専用チューナーが必要なことを知っている人も増えてはきたが22.7%に留まる。
 総務省、各放送機関、家電企業が一体となって、周知・広報活動に全力を挙げてきたが、この調査結果には愕然としているだろう。
 4K8K放送に対する視聴者の冷めた目線がはっきりと表れている。








A-PAB 「4K8K市場調査」




4K8Kチャンネル NHK2チャンネル、民間放送事業者最大21チャンネル確保へ
 2015年7月23日、総務省は「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」の「第二次中間報告」でロードマップ(2015)を取りまとめ、衛星基幹放送による超高精細度テレビジョン放送(4K・8K放送)の実用放送を、2018年の放送開始を目標とするとした。
 2016年3月、総務省はこのロードマップに基づき、「4K・8K放送の伝送路」や「4K・8K放送のチャンネル数」について決定した。
 「4K・8K放送の伝送路」については、高精細度テレビジョン(HD)放送又は標準テレビジョン(SD)放送はBS・CS「右旋円偏波」として、超高精細度テレビジョン(4K・8K)放送は、BS・CSの「左旋円偏波」を基本的な伝送路として位置づけた。「右旋円偏波」で行う4K放送は、現行の視聴環境を踏まえて、立ち上がり期に4K・8K放送の普及促進を図るための暫定措置とした。
 4K・8K放送の基本的な伝送路となるBS「左旋円偏波」は11チャンネルのうち8、12、14chの3チャンネル、110度CS「左旋円偏波」は13チャンネルのうち9、11、19、21、23chの5チャンネルを明示した。
 焦点の「4K・8K放送のチャンネル数の目標」は、NHKは、BS「右旋円偏波」で4K放送1チャンネル(BS17チャンネルのトランスポンダーを3チャンネルに分割してその1チャンネル)、BS「左旋円偏波」で8K放送1チャンネル(4K放送であれば2~3チャンネル分の帯域に相当)とした。ただし「左旋円偏波」による放送の受信環境が一定程度整備され、左旋円偏波によるBSによる4K・8K放送が普及した段階で、NHKのBSのチャンネルの数を見直すとしている。
 民間放送事業者(民放、衛星放送)は、BS「右旋円偏波」で4K放送2チャンネル(BS17チャンネル帯域を3チャンネルに分割してその内の2チャンネル)、帯域再編が実施されトランスポンダーがもう一つ利用できる場合は、4K放送3チャンネルが増やして、合わせて5チャンネルとした。
 またBS「左旋円偏波」で4K放送6チャンネル、110度CS「左旋円偏波」で4K放送10チャンネル(5つのトランスポンダーを2チャンネルに分割)、これにNHKの8K放送1チャンネル分を加えると、合わせて4K放送で18チャンネル程度とした。帯域再編が実施されてトランスポンダーが2つ利用できる場合は、4K放送3チャンネル分が増えて、21チャンネル程度となる。
 この方針に基づいて、総務省では「4K・8K放送」に新規放送事業者を募集を開始した。


電波監理審議会会長会見用資料

4K・8K実用放送 10放送事業者が申請
 2015年10月17日、総務省は2018年秋に始まる4K・8K超高精細画質のBS衛星放送への参入申し込みを締め切った。
 NHKは「BS右旋円偏波」で4K/1チャンネル、「BS左旋円偏波」で8K/1チャンネルの割り当ての認定申請をすでに別途行っている。
 今回申請した民間放送事業者は、「BS右旋円偏波」ではBS朝日、BSジャパン、BS-TBS、BS日本、BSフジ、WOWOWの6事業者が申し込んだ。この内、WOWOWは「第一希望」とし、「第二希望」で「BS右旋円偏波」を申請した。
 「BS左旋円偏波」ではSCサテライト放送(ショッピングチャンネル)(第一希望)、QVCサテライト(QVC)、東北新社(映画エンタテイメント・チャンネル)、そしてWOWOW(第2希望)が名乗りを上げた。
 「東経110度CS左旋偏波」では、SCサテライト放送(ショッピングチャンネル)(第2希望)やスカパー・エンターテイメントがあわせて9チャンネルの4K放送を申請した。
 4K放送ではスポーツ中継やドラマやエンターテインメント番組、ドキュメンタリーなどの4K画質で制作されたコンテンツだけでなく、HDコンテンツを4K画質にアップコンバートして放送される可能性が大きい。新たな4Kコンテンツの調達が追い付かないからだ。HDをアップコンバートしたコンテンツが並ぶチャンネルを“4Kチャンネル”と呼ぶのはふさわしくない。
 総務省は、4Kチャンネルについては、「右旋波」と「左旋波」で、合わせて12チャンネルを割り当てる方針とで、この内NHKは1チャンネル、民放は各系列ごとに1チャンネルを割り当てられるが、残りの6チャンネルは、参入を申請した既存のBS放送事業者らから選ぶとしている。
 NHKは総合テレビ、教育テレビの地上波2チャンネル、BS2チャンネル、4Kチャンネル、8Kチャンネル、合わせて計6チャンネルを持つことになる。NHKの巨大化批判はさらに強まり、その対応は必須の状況となるだろう。
 さらに2020年ごろまでに「BS左旋円偏波」と「東経110度CS左旋偏波」では追加割り当てを行う予定である。



放送政策の動向と展望 2016年11月 総務省

“4Kテレビ”で4K放送が見れない! 視聴者不在4Kサービス
 最大の問題は現在普及している約500万台の4Kテレビでは新4K8K衛星放送は視聴できないことだ。4Kチューナーを購入して設置してもらわなければならない。
 また4Kチューナー内蔵の4Kテレビが必要となる。4K放送を楽しむには単に4Kテレビを買えばよいと誤解している視聴者が未だに多い。
 さらに「BS右旋波」で放送される4Kの6チャンネルは、現在のパラボラアンテナや共聴設備で視聴できるが、「BS左旋波」や「東経110度CS左旋波」は、「左旋波」に対応するパラボラアンテナを新たに設置しなければならない。
 分配器、分波器、ブースター、ケーブル等の宅内受信設備の交換も「左旋波」を受信するためには必要となる。事務所やマンションなどで、共聴設備で視聴している場合は設備の更新をしなければならない。これが難問である。
 一方、CATV、IPTV(ひかりTV)、インターネットTV(NETFLIX、アクトビラ、Amazonプライムなど)は、現在販売されている4Kテレビで、4Kサービス専用のセットボックスを設置するれば「右旋波」、「左旋波」ともに視聴可能だ。また「スカパー!4K」も、すでに提供されている4K対応専用チューナーを設置すれば視聴可能だ。
 電子情報技術産業協会(JEITA)では、総務省や家電業界と協力して、こうした状況について周知活動を始めている。
 しかし、家電業界は、「大画面を買うなら4K」と4Kテレビの販売に全力を上げ、4Kテレビは飛ぶように売れていが、果たして消費者にきちんと納得をしてもらって販売しているのだろうか? 疑念が大いに生じる。
 新4K8K衛星放送を見るためには、視聴者にまた新たな負担が生じる。既存のHDの地上波や衛星チャンネル(HD)で、番組は“溢れる”ばかりに放送されている。それを上回る魅力的なコンテンツが4K8Kで提供されなければ、視聴者は新4K8K衛星放送に見向きもしないだろう。視聴者のテレビ離れが問題化している中で、新4K8K衛星放送を開始する放送事業者はその自信があるのだろうか?







平昌冬季五輪開会式 出典 PyeongChang2018

平昌冬季五輪 NHKは8K中継90時間実施 初めてUHD(4K)の配信に乗り出したOBS
 平昌冬季五輪で、ホストブロードキャスターのOBSは初めて、4K中継車を配置して、アイスホッケー、カーリングフリースタイル(モーグル)、スノーボード(ハーフパイプ)の4つの競技と閉会式の4K SDRのライブ中継を実施した。
 これに対し、NHKは8K-HDR中継車2台、22.2サラウンド音声中継車2台を、平昌の五輪会場に送り込み、開会式、フィギアスケート、ショートトラック、スキージャンプ、スノーボード(ビックエア)を、それぞれ10台の8K中継カメラを配置して、合計90時間の8K--HDR、22.2サラウンド音声のライブ中継を実施した。
 NHKが中継した8K-HDR映像・音声は、OBSがIBCで4K-HDRにダウンコンバートして、OBSが制作した4K-SDR映像・音声信号と共に、ホスト映像としてライツホルダーに配信された。
 NBCは、8K-HDRをダウンコンバートした4K-HDR競技映像を使用して、米国内の衛星放送やケーブルテレビで、全米初の4K-HDR放送サービスを開始した。
 8K HDRは、現在の技術水準で実現できる世界最高のクォーリティを誇り、その臨場感あふれる繊細な映像は4Kをはるかに凌ぐ圧倒的な迫力がある。
 NHKはIBCの中に350インチの8K HDR大スクリーンを設置した“8KTheater”を設け、世界のメディアに8K-HDR映像の素晴らしさをアピールしている。
 NHKは4K・8K中継を日本に伝送し、昨年開始した4K・8K試験放送(衛星放送)で、NHKが制作した8K競技映像を、OBSが制作した4K競技映像(4K SDR)と共に放送した。
 また、全国のNHKの放送局や全国5か所の会場でパブリック・ビューイングを開催して、8K-HDR映像の迫力を視聴者に実感してもらった。
 ただし、家庭用の8K専用の衛星チューナーがまだ市販されていないため、まだ一般の家庭では視聴できない。
 NHK以外のライツホルダーで、IBCでホスト映像として配信された8K HDRを視聴者サービスに利用した放送機関はなかったが、いくつかの放送機関は調査・研究目的で8Kコンテンツの配信を受けて、2020年東京五輪では8Kシネマやパブリック・ビューイング・サービスの検討を始めていると伝えられている。

平昌冬季五輪のNHKの8K中継システム
 NHKはフィギアスケートとショートトラックでは、メインの中継カメラとして池上通信機製のSHK-810 8Kカメラを使用した。
 HSSM(High Speed Slow Motion)再生用の中継カメラとしてはSONY 製の2台の4K・8倍速スローモーション映像撮影用カメラ、HDC-4800が使用され、8Kにアップコンバートされ、SHK-810 8Kカメラの8K映像とスイッチングして使用された。8KのHSSM中継カメラも初登場し、NHK技術研究所が開発した8K 120-fps camera のNHK STRL中継カメラ、1台が設置された。
 スキージャンプでは、池上通信機製のSHK-810 8K camerasとHSSM(High Speed Slow Motion)再生用としてSONY 製の4Kカメラ、HDC-4800 カメラが使用された。
 今回平昌冬季五輪では、8K-HDRコンテンツを制作しても、それを放送利用するのはNHKだけで、他の放送機関で、8Kコンテンツを放送サービスするところなかった。OBSは、8K HDRを4K HDRや4K SDRにダウンコンバートして、世界各国の放送機関に配信した。そのために互換性を持たせた信号フォーマットでオペレーションを行うことが必要で、NHKとBBCが共同開発したHLG(ハイブリッドログガンマ)HDR規格が採用された。
 NHK日本国内の4K8K試験放送で、8K-HDR(NHK制作)と4K SDR(OBS制作)の競技中継を放送し、NBCユニバーサル(NBCの親会社)は全米のケーブルテレビや衛星放送に4K-HDRを配信した。米国内で初めての4K-HDRサービスが開始された。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、あと2年、HDに代わって4Kが主役の座に就くのか、4K-HDRと4K-SDRはどちらが主流になるのか、8Kは世界にどれだけ浸透するのか、まだまだ不透明だ。

4Kサービスにいち早く乗り出した「スカパー!」
 2015年3月、「スカパー!」は、独自に“プレミアムサービス4K専門チャンネル”を立ち上げ、東経124/128度CS(右旋波)で4K放送を開始した。
 スカパー!の4K放送は、プロ野球、Jリーグ(2017年サービス終了)などのスポーツ中継や音楽、エンターテインメント、ドキュメンター番組などを提供する「スカパー!4K総合」、映画を提供する「スカパー!4K映画」(PPV:ペイパービュー・サービス )、4Kの魅力を体験できる「スカパー!体験」の3つのチャンネルだ。 
 「スカパー!4K総合」と「スカパー!体験」は、専用パラボラアンテナ、4K専用チューナーと4Kテレビを設置する必要があるが、“プレミアムサービス”(HD画質で約160チャンネルをサービス)の契約者には無償で提供される。
 「スカパー!4K映画」は、ハリウッド映画の4Kスキャニングリマスター版を中心にサービスする。PPV(ペイパービュー・サービス)で、見たい番組を1日単位で購入し、視聴料を後払いするシステムである。
 さらに、スカパー・エンタテインメントは、東経110 度CS「左旋波」で8チャンネルの4K衛星放送を開始する。「スカパー!」は4Kサービスの開始で、契約者減に歯止めをかけ、攻勢に転じることができるのだろうか、存立を賭けた大きな勝負となった。





4K8K放送“新ロードマップ”公表
 2015年7月23日、総務省は「4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合」を開催し、第二次中間報告をまとめ、4K・8K推進に向けた“新ロードマップ”を公表した。 2014年9月に公表された“ロードマップ”の改訂版である。
 “新ロードマップ”によると、2016年にBS17チャンネルを使った4K・8K試験放送をNHKとNHK以外の基幹放送事業者の2者で開始し、2017年には110度CS(左旋波)で4K試験放送を開始、2018年にはBS17チャンネルと110度CS(左旋)で4K実用放送、さらにBS左旋においても、4K・8K放送の実用放送を開始するとしている。2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、「4K8K放送が普及して、多くの視聴者が市販のテレビで4K8K放送を楽しんでいる」とした。また2025年頃の4K8K放送の主要伝送路にはBS「左旋波」と110度CS「左旋波」を伝送路とすることも定めた。BS「右旋波」の4K8K放送は暫定的なサービスで、視聴者は4K8K放送に再び翻弄されることが明らかになった。



総務省 4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告

HDR方式を採用 4K8K試験放送の技術仕様を公表
 次世代放送推進フォーラムとNHKは、それぞれ4K8K試験放送の技術仕様の概要を公表した。
 次世代放送推進フォーラムの技術仕様は、伝送方式はMMT・TLVの多重化方式を採用し、新たな高度広帯域の衛星伝送方式で行い、伝送容量はBS衛星放送の場合、4K放送で約35Mbps、8K放送で約100Mbpsで、トランスポンダー1つで、8K×1chまたは4K×3chの伝送が可能としている。
 使用スロット数としては、4Kについては60スロットまたは40スロット、8Kについては120スロットとし、1トランスポンダ全体は120スロットとなっている。変調方式としては16APSK、またはQPSK方式を採用する。
 映像のフォーマットについては、フレーム周波数は4K・8K放送とも59.94Hzとし、表色系はYCbCr 4:2:0、画素ビット数は10bitとしている。
 焦点のHDRに対する方針は、4K・8K放送ともHDR(High Dynamic Range)方式を採用することとした。
 その他、圧縮符号化(映像)はH.265/HEVC、マルチメディアサービスは汎用性の高いHTML5、受信制御には、B-CASに代わってセキュリティを強化した新CASを採用することした。
 超高精細映像で、世界の主流に一躍躍り出た4K-HDRは、現行の4K-SDRに比較するとその画質の優位性は明らかである。しかし、いま販売されている4K-SDRテレビとの互換性はない。数年後は、4K-HDRが主流になるのは明らかであろう。いま4Kテレビを買わされる視聴者の立場をどう考えているのだろうか? 
 NHKは、全国の放送局に設置する8Kの受信装置の標準システムの概要を明らかにし、8KデコーダーLSIを搭載した受信装置を開発し、これに85インチのHDR対応の8Kモニターを接続して8K試験放送を受信するとした。受信装置は、22.2チャンネルの音声出力があり、対応する音声アンプとスピーカーシステムを設置すれば22.2チャンネル音声サービスが可能になる。
 NHKは全国の放送局でこの受信設備を利用して、8K試験放送を一般の視聴者に公開する。
 受信装置には、4Kテレビ用の出力端子も装備され、8K試験放送を4Kにダウンコンバートして4Kテレビでも視聴可能にする。


総務省 第二次中間報告後の取組状況 付属資料

キーポイントⅠ キーポイントⅠ 暗雲たちこめた4K8K放送 ビジネスモデルが描けない民放4K
 2014年9月に取りまとめられた「4K・8K放送ロードマップに関するフォローアップ会合」では、BS17chを使用して、4K試験放送(最大3チャンネル)及び8K試験放送(1チャンネル)を、「時分割方式」で、それぞれ最大1日12時間放送することを目標に掲げていた。
 今回決まった4K8K試験放送では、4K試験放送で2チャンネル一日1時間程度、8K試験放送で一日6時間程度、合わせて1日7時間程度にとどまった。
 とりわけ4K試験放送サービスの“貧弱さ”が目立つ。2014年6月、NextTV-Fが124/128度CS衛星を利用して開始した“Channel 4K” (2016年3月31日終了予定)よりもサービスは大幅に後退してしまった。しかも開始は2016年12月1日にずれ込んだ。“一日12時間、3チャンネルで4K試験放送”という総務省の目論見は早くも崩れた。
 民放各局は、未だに4Kサービスに乗り出すことに消極的になっているといわれている。HDの地上波とHD衛星デジタル放送、4Kの衛星波を併存させるビジネスモデルが描けないからだろう。民放各局はHD地上波のコマーシャルを収入源として経営が成り立っている。モア・サービスである新4K8K衛星放送が新たな収入源として期待ができれば積極的になるだろうがその可能性が読めない。一方でモアチャンネルである4Kチャンネルに視聴者を引き付けるには制作経費をかけてキラー・コンテンツを放送しなければならない。しかし、4Kチャンネルに視聴者を引き寄せれば引き寄せるほど、収入源の地上波が空洞化していくというジレンマを抱えている。民放各局は、24時間、365日、魅力的な4Kコンテンツを確保できるのだろうか?
 さらに民放キー局と系列地方局の関係も深刻だろう。民放キー局が、新4K8K衛星放送で、人気ドラマやエンタテインメント番組、スポーツ中継などキラーコンテンツを放送すると、キー局のキラーコンテンツの再送信に頼っている系列地方局のダメージは極めて大きく、番組配信料やコマーシャル収入が激減し経営が立ちいかなくなる懸念がある。当面、系列地方局との関係に配慮して、民放キー局は4Kチャンネルに力を入れることはできないのではないか? HD地上波のコンテンツ制作を4Kで行い、新4K8K衛星放送で時差サイマル放送する程度は可能だがそれで4Kチャンネルの普及が促進されるとは思えない。2020年、「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が4K・8K放送を楽しんでいる」というロードマップは“空中分解”寸前という危機感が広がっている。
 一方、8Kについては、未だに家庭用の8Kテレビや8Kチューナーが発売されていない。8K液晶モニター(85型)をシャープが発売したが、価格は約1600万円、とても家庭用とはいえない。8K試験放送を始めても一般家庭の視聴者は誰も見れないのである。公共放送NHKの放送サービスの基本は「広く、あまねく」、受信料制度で運営される放送サービスとして8K放送を開始するならこの原則を守らなければならない。8Kパブリックビューや医療分野での利活用は、放送サービスではない。8Kの「広く、あまねく」サービスの基盤整備は2018年までに構築できるのだろうか? 新4K8K衛星放送は、放送技術の“研究開発”レベルを超え、放送サービスなのである。NHKの経営責任が問われる。
 ロードマップでは、2018年中に新4K8K衛星放送を開始するとしている。早くも暗雲が立ち込めている。

キーポイントⅡ 深刻 誰も見ないNHK-8K 
 一方、8Kについては、問題はさらに深刻だろう。
 世界で最先端を行く超高精細8Kの技術は、NHKが独走している。NHKの技術陣が総力を挙げて開発しているだけあって、2018年の8K実用放送の実現は問題ないだろう。民放各局と違って視聴料に守られた豊富な財源や技術陣に支えられているNHKは別格だ。
 しかし、技術開発は、往々にして、技術優先主義に陥って、何のために利用する技術開発なのか、どうやって使うのか、ユーザーの利便性は何かを検証することを怠るケースが往々にして発生する。新しい技術開発は常にサービス・モデル、そしてビジネス・モデルを念頭に置いて取り組むことが必須だ。
 8Kのサービス・モデルをNHKはどう考えているのだろうか? 家庭に普及させるというモデルが現実なのだろうか、冷静に分析する必要がある。
 筆者は8K映像をたびたび視聴している。大画面で見る8K映像は、確かに息を飲むような高精細映像で迫力がある。映画館、劇場、公共施設等でのパブリック・ビューイングでは素晴らしい超高精細映像技術に間違いない。
 しかし、50~60インチ程度のモニターで8Kと4Kモニターを視聴して比べてみると、画面に目を近づけてみれば確かに、一目瞭然、8Kの映像の素晴らしい解像度ははっきり分かるが、4~5メートル程度離れて視聴すると有意差がはっきりわからない。さらに4K-HDR(high dynamic range imaging)が登場して、4Kと8Kの有意差はさらにほとんどなくなり、一般家庭用のテレビは4K-HDRで十分であろう。
 勿論、100インチクラス以上の大画面では8Kは威力を発揮するが、一般の家庭ではほとんど無縁だろう。8Kでは録画機が開発されてないのでライブで視聴せざるを得ないという問題が極めて大きい。
 4Kテレビは価格が下がってきたこともあって、売れ行きは好調だが、さらに高額の8K対応のテレビやチューナーを買う視聴者は果たしてどれ位いるのだろうか? 
 なにより問題なのは8Kコンテンツを制作するのはNHKだけで、圧倒的に不足していることだ。このような状況の中では2020年、8Kの一般家庭の普及は絶望的だろう。視聴者は8Kに見向きもしない。
 新4K8K衛星放送は、早くも暗雲が立ち込めている。

キーポイントⅢ “左旋”の登場で混迷
 2014年年9月)の中間報告で、大きな課題として残された2018年以降の4K8K実用放送について、新たに左旋円偏波を使用して実施することが盛り込まれ、環境の整備を今後急ピッチで行う方針を新たに定めた。
 衛星から送信される電波は、右回りの右旋円偏波(右旋)と左周りの左旋円偏波(左旋)がある。右旋と左旋は、お互いに干渉しないので、双方を同時に使用して衛星放送を実施することができる。BS右旋は、日本に割当られ、BS左旋は韓国に割当られていた。CSは、右旋と左旋、共に、日本に割り当てられ、右旋はCSデジタル放送、左旋は通信用として使用されている。
 その後、各国間で国際調整が行われ、日本もBS左旋が利用可能になった。総務省では2020年ごろまでに、利用可能な11基のトランスポンダーの内、BS8、12、14の3チャンネル(トランスポンダー)を4K8K放送に割り当てるとしている。これで8K放送の1チャンネル、4K放送の6チャンネル(トランスポンダの帯域を3分割)の伝送路がBS「左旋円偏波」で確保されることになった。
 現在、静止軌道上でBSデジタル放送を行っている衛星「BSAT-3a」「BSAT-3b」「BSAT-3c」は、右旋(現行の衛星放送で使用)のみで、左旋に対応していない。2017年後半に打ち上げる予定の「BSAT-4a」は、Kuバンドのトランスポンダーを右旋用に12台と左旋用に12台を搭載しており、左旋を利用して、最大で8Kで12チャンネル、4kで36チャンネルの放送が新たに可能になる。
 しかし、「左旋波」を受信するためには、左旋用のパラボラアンテナや建物内配線、分配器やブースターなどの機器、チューナーなどの新たな設備が必要となるなど、視聴者の負担も生じ、「左旋波」の普及には難題を抱えている。


放送政策の動向と展望 2016年11月 総務省


「右旋波」、「左旋波」、「BS」、「CS] 4K8K放送の受信は複雑で視聴者に重荷  資料 ジョーシン WEB

 東経110度CS衛星については、現行の東経110度CS、N-SAT-110が耐用年数を迎えることから、スカパーJSATは後継機としてJCSAT-15を2016年12月22日に打ち上げた。
 JCSAT-15は、「右旋波」に加えて「左旋波」の13台のトランスポンダーを搭載し、総務省ではこの内、5トランスポンダーを使用して、4K放送、10チャンネル(トランスポンダーを2分割)の帯域を新4K8K衛星放送用に確保した。
 この内、8チャンネルがスカパー・エンターテインメントに割りてられ、「J Sports1」、「J Sports2」、「J Sports3」、「J Sports4」、「スターチャンネル」、「日本映画+時代劇4K」、「スカチャン1 4K」、「スカチャン2 4K」をサービスする。
 また東北新社の「映画エンタテイメント・チャンネル」やSCサテライト放送の「ショップチャンネル」も「スカパー!」のプラットフォームに入り、「スカパー!」は合わせて10チャンネルの4Kサービスを開始する。さらにWOWOW4Kも「スカパー!」のプラットフォーム入る予定だ。
 これらの4Kサービスは、2019年夏を目途に、NTTの光回線を使用したフレッツ・テレビを通しても開始する予定だ。
 ちなみに東経110度CS衛星の「右旋波」については、「スカパー!」の従来の有料多チャンネルHD放送を始め、すでにサービスをしている「スカパー!4K総合」と「スカパー!体験」の2つのチャンネルを提供する。映画を提供する「スカパー!4K映画」(PPV:ペイパービュー・サービス )は2018年3月31日、サービスを終了した。
 また、BS「左旋波」については、SCサテライト放送「SHOP 4K」、QVCサテライト「4K QVC」、東北新社「ザ・シネマ4K」、WOWOWの4Kサービスの4チャンネルとNHKの8K放送の1チャンネルが割り当てられている。 
 一方、BS「右旋波」については、従来の衛星放送(HD)に加えて、NHKと民放系列の合わせて6チャンネルの新4K8K衛星放送が加わる。
 総務省では、2025年ごろにはBSと東経110度CSの「左旋波」を、4K8K放送における中核的な伝送路として位置付けて、多用な4K8K放送サービスを実現させるとし、そのために「右旋波」と同程度の「左旋波」の受信環境の整備に着手したいとしている。


キーポイントⅣ  BS「右旋波」の再編の実施
 総務省は、BS「右旋波」にNHKと民放系列5局の新4K衛星放送を実施するために、4K放送6チャンネル分の帯域を確保する必要があった。現在4K8K試験放送で使用しているBS17チャンネルは、放送が終了するので、新4K衛星放送3チャンネルの帯域として確保されている。残りの4K/3チャンネル分の帯域を生み出さなければならない。
 BSデジタル放送を放送している放送衛星(BSAT3A)は、8つのトランスポンダを搭載しているが、それぞれのトランスポンダ(中継器)1台当たりの帯域(1チャンネル)は48ス ロットという単位で分割されて使用している。1スロットで伝送可能な容量は約1Mbps、1秒間に1メガビットのデータを送信可能な帯域である。
 民放系列の衛星放送は1チャンネル、48スロットの帯域を2分割して、24スロットづつに分けて使用している。(NHKのBSデジタル放送2チャンネルは別扱い)
 総務省では各局が使用している帯域を放送サービスに影響のない範囲で返上してもらい、「幅寄せ」を行って「帯域再編」を実施して空いた帯域(7ch)と4K8K試験放送の帯域を使用することで、NHKと民放5局で新4K8K衛星放送を可能にした。
 BS日テレ、BS-TBS、BS朝日、BSフジ、BSジャパンは24スロットから16スロットに削減され、NHK-BS1も23スロットから20スロットへ、NHK-BSプレミアムは21.5スロットから18スロットに削減された。この結果、120スロットの空き帯域が生れ、40スロットに三分割されて、新4K8K衛星放送3チャンネルの追加が可能になった。


キーポイントⅤ  ケーブルテレビやIPTV、インターネットTVは4K8Kで先行
 IPTVやケーブルテレビ、インターネット・サービスでは相次いで4K実用放送を開始している。
 BSやCSの衛星放送で、4Kサービスを開始するには、新たな帯域を確保しなければならない。既存の衛星チャンネルは満杯で新たな4Kチャンネルが入り込む余地はほとんどない。そこで、苦肉の策として“左旋”利用が登場するということになるが、受信環境が複雑になるのが大きな課題だ。地上波は満杯、まったく論外で、総務省も地上波で4K放送を始める予定はない。
 それに比べて、大量のチャンネルのサービスが可能なケーブルテレビやIP-TVは、新たなサービスの4Kにも対応しやすいという優位性がある。
 「NTTぷらら」などが運営している「ひかりTV」は、2014年10月から、NTT東日本・NTT西日本の光回線「フレッツ 光ネクスト」を利用した4K-IPによる日本で初の「4KコンテンツVOD」を開始した。現在、約13000本の4Kコンテンツがラインアップされている。
 また2015年11月より4K-IP放送サービス、2チャンネルを立ち上げた。総合編成チャンネルの「ひかりTV 4K」(放送時間 10:00~26:00)、12月からは「エンタメ&トレンドニュース 報道チャンネル」(放送時間 10:00~26:00)を開始した。さらに2016年12月からは吉本興行と連携し、アイドルチャンネル「Kawaiian for ひかりTV 4K」を開始するなど4Kサービスに対する積極姿勢が目立つ。
 「ひかりTV」は、いち早く次世代超高精細映像、HDR(HLG)対応のVODサービスや4K-IP放送サービスに乗り出した。
 「ひかりTV」対応の4Kテレビは、5メーカー、60機種に広がり、スマホ向けの4Kサービスも開始した。
 「ひかりTV 」の視聴者は、光回線「フレッツ 光ネクスト」の加入と4K専用のセットボックスの設置と必要となる。シャープAQUOSや東芝REGZAの一部の機種では、光テレビ専用4Kチューナーが内蔵されている4Kテレビも発売されている。
 スマートフォンに4KVODコンテンツをダウンロードして、外出先や旅行先で視聴できるサービスも行っている。
 一方、 スカパー!は、IP-TVの“プレミアサービス光”で、 東経124/128度CSでサービスしていいる4K専門チャンネル、「スカパー!4K総合」や「スカパー!4K映画」、「スカパー!体験」の3つのチャンネルを、サイマル・サービスを開始した。

 総接続世帯数約2,600万を抱えるケーブルテレビ(CATV)も4K8Kサービスに積極的で、新たなビジネスチャンスと位置付けいてる。
 CATVの最大手、J:COMでは、2014年6月に4K試験放送を開始し、2015年5月に4K VODの実用サービスを開始した。
 2015年12月1日、全国のCATV事業者が協力して、4K専門チャンネル、「ケーブル4K」の放送を開始した。全国各地域のCATV事業者が地域の特色を生かした番組を制作して放送し、地域の生活を支えるメディアとしてプレゼンスを示したいとしている。
 現在62社がサービスを提供しており、将来的には、計120社以上のケーブルテレビ局がサービスを開始する予定だ。
「チャンネル4K」は、全国のケーブルテレビ各局などが制作したドキュメンタリーや紀行番組を毎日、朝6時から夜12時まで配信している。
 またチャンネル銀河、ファミリー劇場、ヒストリーチャンネルなどの専門チャンネルと連携して、スポーツ、エンターテインメント、趣味番組などの4Kコンテンツもあわせて放送する。 
 CATVでは、いち早く「4K試験放送」の再送信を行い、12月開始の新4K8K衛星放送も再送信することが決まっている。CATVは新4K8K衛星放送普及の中核になりそうだ。


急成長している動画配信サービス インターネットTV(OTTサービス)
 ここ数年、インターネット回線を利用する動画配信サービスが急成長している。
 こうしたサービスは、OTT(Over-The-Top)と呼ばれているが、光回線の普及やLTEなどの移動体通信の高速化などの通信環境の基盤整備で、地上波や衛星波などの「空中波」との有意差はなくなり、超高精細の映像も容易に配信可能になった。
 インターネットTV(OTTサービス)事業者は、4Kサービスに意欲的だ。

▼ NETFLIX 4K
 2015年9月2日、日本に“上陸”する予定の世界最大のインターネットTV・オペレーター、“NETFLIX”は4Kもサービス開始している。“NETFLIX”は、映画やドラマが月額定額料金で“見放題”サービスがキャッチフレーズ、インターネット環境があれば、テレビ、スマホ、タブレット、PCなど多様な端末でサービスが利用可能だ。パナソニック、東芝、シャープ、LGでは、コントローラーに“NETFLIX”ボタンを搭載したテレビを日本国内で発売している。“NETFLIX”の4Kコンテンツは、プレミアム・サービスの契約をすれば視聴可能になる。

▼ Amazonプライム・ビデオ 4K
 2015年9月25日、世界のメディア企業の“巨人”、Amazonは、動画配信サービス“Amazonプライム・ビデオ” を日本で開始した。Amazonプライム会員になり、年会費を払えば、他のプライム会員の特典の付加サービスとして、“Amazonプライム・ビデオ”が提供するすべての映像コンテンツをいつでも見放題で楽しむことができる。“Amazonプライム・ビデオ”は、AndroidおよびiOSのスマートフォンやタブレット、ゲーム機器、SmartTVなど様々な端末で視聴可能なサービスである。サービス開始と同時に、超高精細4K Ultra HD映像のコンテンツも提供し-ている。

▼ 4Kアクトビラオ
 2014年12月11日、パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、日立の5社のエレクトロニクス企業によって設立されたアクトビラは、“4Kアクトビラ”を立ち上げ、有料VODサービスを開始した。また2015年7月6日、4Kストリーミング・サービスも開始した。4K-VODサービスでは、映画やドラマ、ドキュメンタリー、グルメ番組、旅番組、スポーツなどを提供、4Kストリーミング・サービスでは、「NHKオンディマンド」のコンテンツ、自然番組やドラマ、旅チャンネルの旅番組を提供していが、コンテンツ不足は否めない。

▼ dTV 4Kサービス
 2015年11月25日、エイベックス通信放送は動画配信サービス「dTV」で、4Kコンテンツの配信を開始した。
 4Kサービスに対応しているのは、ソニーモバイル製スマートフォンのXperia Z5シリーズの最上位機種、世界ではじめて4Kシスプレイを搭載したスマートフォンで、5.5インチ4K(2160 × 3840)ディスプレイを搭載している。
 テレビへの4K配信についても、Android TV搭載の機種、ソニー「ブラビア」シリーズ、パナソニック「ビエラ」シリーズで対応機種が、今冬に発売される。
 4Kコンテンツの第一弾としては、人気音楽パーフォーマンス・グループ、「AAA」(トリプルA)のミュージックビデオシリーズ、さらに初の4Kオリジナルドラマも制作してサービスを開始した。
 「dTV」は、NTTドコモとエイベックス・グループが設立したエイベックス通信放送が運営しているモバイル端末向けを中心にした動画配信サービス、契約者数は約468万件(2015年3月末)、配信コンテンツ約12万本、日本では最大の動画配信サービスである。2017年2月、スポーツ配信で急成長しているDAZNと提携し、「DAZN for docomo」(HD)のサービスを開始。
 モバイル端末向けに4K動画配信を実現した技術開発力は評価できるが、スマホなどの小さな画面で4Kを視聴しても、超高精細の威力はほとんど発揮できないだろう。また4K動画視聴するとその通信料の負担が大きく現実的サービスとは思えない。

 こうしたインターネットTV(OTTサービス)は、いずれも4Kサービスに乗り出しているが、まだ開始して間もなく、コンテンツ不足が最大の課題である。しかし急成長している次世代動画配信サービスの勢いは今後も目を離せない。


総務省 衛星基幹放送による超高精細度テレビジョン放送に関する今後のスケジュール 2015年12月25日

8Kのサービス・モデルを描けないNHK その責任は?
 超高精細8K技術は非放送系の分野からは、注目を浴びている。
 医療分野やまたセキュリティ・システムの分野でも超高精細8Kの導入が始まろうとしている。8Kの監視カメラの映像は、微細な部分まで写り込むのでセキュリティ管理には威力を発揮する。
 しかし、医療分野もセキュリティ分野の利活用も、放送法で規定されたNHKの業務範囲ではない。受信料を財源とするNHKは、放送サービスに還元しなければならない義務を負う。8Kの開発の目的を放送分野以外を主軸にすることは認められない。パブリックビューイングも放送サービスではない。NHKは8K放送サービスを実現しなければその正当性が失われるこことを認識しなければならない。2020年、「多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K放送を楽しんでいる」環境を作り出す責務をNHKは追っている。それが実現できなければ、放送機関としてのNHKの膨大な額の8K投資は受信料の“無駄遣い”と批判されるに値する。肝心なのは、一般家庭で8K放送を、一体、何人が視聴しているかである。 
 これまでNHKが8K放送サービスに投じられた膨大な財源を地上波やBSデジタル放送のHDコンテンツの充実に振り向ければ、はるかに視聴者の利益になったであろう。受信料の値下げも容易に可能だった。
 8K放送の普及をどの程度実現できるのか、NHKは経営責任が問われる。


NHK 8K中継車
 
視聴者不在の超高精細4K・8K放送
 地上波デジタル放送(HD)、BSデジタル放送(HD)、BS-4K8K放送(右旋)、BS-4K8K放送(左旋)、110度CS(SD/HD)、110度CS(左旋 4K)、124度/128度CS(HD/4K)、4K-HDR、4K-SDR,あまりにも複雑過ぎて、筆者ですら一度では理解できない。
 まして一般の視聴者が理解するのはほとんど不可能だろう。それぞれの4K8K放送を受信するためには、専用のアンテナや共聴設備、ブースターや分配器、チューナー、対応受像機を更新する必要がある。互換機タイプの機器もすでに一部は開発され、多少は整理はされるだろうが、これだけ複雑怪奇になったテレビ・サービスに一般の視聴者はついて行くことができるのだろうか? しかも、数年おきに放送方式が目まぐるしく変わっていく。視聴者不在のスキームと言わざるを得ない。
 新4K8K衛星放送を開始するために、無理やりこれまで高画質で放送していたHD-BSデジタル放送の帯域を減らして画質を落としサービスを落とした。
 また未知数の左旋波まで繰り出すことで、受信設備更新させるなど視聴者に新たな負担を課すことになる。
 明らかに新4K8K衛星放送を開始するために相当な“無理”を強いているいることが明らかだ。こうしたスキームに視聴者は納得するのだろうか。
 超高精細4K・8K放送の伝送路は、衛星波などの空中波はあきらめて、光回線やインターネット経由のサービスとして、「放送」サービスから切り離したらどうか。衛星波はHDデジタル放送を充実させていけば十分で、その方が視聴者の利益にかなうだろう。むしろ地上波の帯域は、放送利用を縮小させて、AI-IoT時代の基盤となる第五世代移動通信5Gの帯域にあてるべきだろう。
 NHKと民放各社等は4K8Kのコンテンツ制作に徹することで、放送とコンテンツ制作分離を行う方が合理的だ。4K8Kサービスを衛星波で行う「新4K8K衛星放送」こだわる総務省の姿勢も問われる。

 総務省が策定したロードマップでは、2020年に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K放送を楽しんでいる」と記述されているが、新4K8K衛星放送は果たして何人の視聴者が見るのだろうか? 残された時間は2年しかない。
 
 1964年東京オリンピックでは、カラーテレビが、レガシー(未来への遺産)となった。
 それがきっかで、日本は映像技術で世界の最先端に躍り出て、その後のHDの開発でも日本は世界をリードした。4K8Kは2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシー(未来への遺産)になるのだろうか? 負のレガシー(負の遺産)に転落する懸念はないのだろうか?







初稿2016年11月20日 月刊ニューメディア掲載原稿加筆
2018年12月2日 改訂
Copyright (C) 2018 IMSSR





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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
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リオデジャネイロ五輪 8K番組表 8Kスーパーハイビジョン パブリックビューイング

2016年08月02日 22時35分19秒 | 4K8K
NHK 8Kスーパーハイビジョン試験放送開始



 NHKは2016年8月1日から開始する8Kスーパーハイビジョン試験放送の番組内容や放送スケジュールを発表した。
 この内、注目のリオデジャネイロ五輪関連では、8月6日から28日まで開会式や閉会式、陸上競技、競泳、柔道、サッカー、バスケットボールの5競技を生中継や録画で放送する。
 8Kスーパーハイビジョン試験放送は、視聴可能な家庭用の8Kテレビや8K用セットボックスはまだ発売されていないため、一般の家庭では視聴できない。
 NHKでは、NHKふれあいホール(東京・渋谷)、NHK技術研究所(東京・砧)、NHK放送博物館(東京・愛宕山)、丸ビル「MARUCUBE」(東京・大手町)、パナソニックセンター東京(東京・有明)、グランフロント大阪(大阪・北区)の6カ所で、パブリック・ビューイングを行うと共に、全国の放送局に8Kスーパーハイビジョン試験放送の受信設備を設置して、リオデジャネイロ五輪の超高精細映像で臨場感を実感してもらうとしている。



総務省 第二次中間報告後の取組状況 付属資料


NHK 8K中継車


リオデジャネイロ五輪で使用する8Kカメラ(池上通信機)

リオデジャネイロ五輪 スーパーハイビジョン試験放送 放送予定(2016年8月6日~22日)
(放送日時は日本時間)

8月6日 (土) 8:00~13:00 開会式LIVE
8月7日 (日) 10:00~12:00  女子柔道48キロ級 男子60キロ級①VTR
8月8日 (月) 10:00~13:00  女子柔道48キロ級 男子60キロ級②VTR
8月9日 (火) 10:00~13:00  女子柔道48キロ級 男子60キロ級③VTR
8月10日(水) 10:00~13:00  競泳①LIVE
8月11日(木) 10:00~13:00  競泳②LIVE
8月12日(金) 10:00~13:00  競泳③LIVE
8月13日(土) 10:00~13:00  競泳④LIVE
8月14日(日) 8:30~11:55  陸上①LIVE
        13:00~14:30 陸上VTR
8月15日(月) 8:30~11:55  陸上②LIVE
8月16日(火) 8:30~10:55  陸上③LIVE
        14:00~15:00  陸上VTR
8月17日(水) 8:30~11:55  陸上④LIVE
13:00~14:00  陸上VTR
8月18日(木) 8:45~11:55  陸上⑤LIVE
         13:00~14:00  男子バスケットボール準々決勝①VTR
         16:00~17:00 男子バスケットボール準々決勝②VTR
8月19日(金) 10:00~11:55  女子バスケットボール準決勝①VTR
         13:00~14:50 女子バスケットボール準決勝②VTR
8月20日(土) 10:00~11:55  男子バスケットボール準決勝①VTR
         13:00~14:50 男子バスケットボール準決勝②VTR
8月21日(日) 10:00~13:55  男子サッカー決勝LIVE
          14:00~15:50  女子バスケットボール決勝VTR
8月22日(月) 10:00~10:55  閉会式LIVE
         14:00~17:00 男子バスケットボール決勝VTR


NHKスーパーハイビジョン試験放送 番組表
(2016年8月6日~28日 リオデジャネイロ五輪特別編成)

NHKスーパーハイビジョン試験放送 番組表
(8月29日以降 通常時編成)



リオデジャネイロ五輪 波乱の幕開け 競技場の全貌

ロシア・ドーピング問題 タイムライン 最新情報

VR(Virtual Reality) Super Hi-Vision 次世代映像サービスに挑戦 リオデジャネイロ五輪
NHK 8Kスーパーハイビジョン試験放送開始 リオデジャネイロ五輪 8K番組表 パブリックビューイング
リオデジャネイロ五輪 インターネット配信はオリンピックの“救世主”になるのか?
ブラジル政治混乱 政治腐敗 混乱極める五輪開催都市リオデジャネイロ、そして東京
地獄へようこそ 治安の悪さ 世界的に突出 リオデジャネイロ
リオデジャネイロ五輪開会式はこうなる


暗雲 4K8K放送 2020年までに“普及”は可能か
8Kスーパーハイビジョン 試験放送開始 準備着々 NHK技術研究所公開
5G・第5世代移動体通信 “世界に先駆け”2020年東京オリンピックに向けて実現へ
5G NR標準仕様の初版策定が完了 3GPP




国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




2016年7月26日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
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President
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東京オリンピック 4K8K 超高精細テレビ

2015年04月10日 18時03分56秒 | 4K8K

4K/8K 次世代高精細テレビ
日本は世界の主導権を握れるか


■世界の映像コンテンツ見本市、“MIPTV/MIPCOM”  
フランス地中海のコートダジュールと呼ばれる海岸線にあるカンヌ。フランス国内は勿論、ヨーロッパ各国から人気のある保養地である。穏やかな気候に恵まれ、真っ青な地中海と真っ青な空が広がるこの町は、海辺には高級リゾートホテルやマンションが立ち並び、ヨットハーバーには豪華なクルーザーが停泊している。

 この町の中心にある国際会議場、パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(Palais des Festivals et des Congrès)は、毎年、カンヌ映画祭が開催されることで世界中に知れ渡っている。この会議場では、カンヌ映画祭だけでなく、MIPTV、MIPCOM、カンヌ国際広告祭、NRJミュージック・アワード、国際ゲーム・フェスティバルなどが開催され、ほぼ1年中、イベントや国際会議が催されている。
 この国際会議場で、毎年4月に開かれるMIPTV、10月に開かれるMIPCOMは世界最大の“映像コンテンツ見本市”である。世界各国からテレビ、映画、インタネーネット、モバイル、DVD、ゲーム、広告、ライセンス、通信、ありとあらゆる映像コンテンツ機関が集まり、ドラマや映画、エンターテインメント、ドキュメンタリー、自然番組、旅紀行番組、教育・子供番組、ゲームなどの映像コンテンツの“売り買い”のビジネスを行う“見本市”である。
MIPCOM2014のデータによれば、参加国数は109ヵ国、参加者数は14,030人、参加企業数4,754社、参加バーヤーは4,500人、展示場フロア面積は、23,705平方メートルというまさに巨大な見本市である。


■ 注目を浴びた“4K”
 MIPCOM2014でひときわ注目を集めたのが“4K”。
 世界で最も熱心に4Kの開発に取り組んでいるSONYは、会議場の一部屋を借り切って、「SONY 4Kシアター」を設置、間中、「SONY 4Kセッション」と名付けて“4K(Ultra HD)”の映像の素晴らしさをPRするイベントを3日間で13回も開催したのである。
中でも、BBCやNHKの“4K”番組のスクリーニング(試写会)には、立ち見をする参加者もいたほど盛況だった。
「SONY4Kセッション」には、BBCやNHKの他に、RAI、フランスTV、SKY、ユーロサット、レッドブル、アトランティックなどが加わって、“4K”のプロモーションを行った。

MIPCOMの会場でも、次世代の超高精細映像、“4K”の注目度は一気に高まり、“4K”映像コンテンツの制作が各国で加速し始めているように思える。
もっともヨーロッパでは、未だにSDの“PAL”の“横長画面”デジタル方式が主流である。HD化もすべて完了してない中で、“4K”を冷ややかに見る関係者もいる。しかし、BBCやフランスTV、RAIなどは、HDの先を見据えている。
 2020年、“4K”が主役になるのは確実な流れだろう。
 テレビに関しては、SD(標準テレビ)からHD(ハイビジョン)への移行に際しては、日本が主導権を持って世界をリードした。HD(ハイビジョン)から“4K(Ultra HD)”の移行については、再び日本は主導権を持てるのだろうか。


■世界最初の「テレビオリンピック」 1964年東京大会
 1964年10月10日、今は取り壊された国立競技場で開かれた開会式は、未だに多くの人々にとって忘れなれない“思い出”の一つだろう。真っ青に晴れ渡った青空を背景に、赤々と燃え上がる聖火は未だに目に焼き付いている。
この開会式の中継に、NHKは初めてカラーテレビで生中継を行った。
その他、閉会式やレスリング、バレーボール、体操、柔道など8競技がカラーで中継された。
テレビ中継の実施には、NHKを中心に、日本の放送関係者が総力をあげて、取り組んだ。撮像管の開発から衛星中継までの一連の機器は、国産で開発したという。電話回線用の通信衛星を利用して世界に初めて生中継にも成功した。
またスローモーションVTR、接話マイクなど新しいテレビ技術も登場した。東京五輪は、「テレビオリンピック」ともいわれたのである。                      
東京五輪は、世界に日本の放送技術力の高さを示すとともに、日本の映像処理技術や映像関連企業が世界に大きく飛躍する機会ともなった。


■4K/8Kの2020年東京大会
 そして、2020 年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定した。
世界中で多くの人々がテレビ観戦を楽しむオリンピック・パラリンピックは、これまでも放送関連技術の発展で、大きな役割を果たしてきた。
2020 年には4K(Ultra HD)サービスは“キーワード”になるだろう。
さらに、次の次の世代の超繊細映像“8K(スーパーハイビジョン)”の開発もNHKを中心に急展開を、“出番”を待っている。 “8K(スーパーハイビジョン)”サービスも実現させることで、東京オリンピック・パラリンピックで、臨場感があふれた超高精細の映像を、日本国内だけなく世界中に配信し、その“感動”を伝えることができれば、東京で再び開催する意味も増すのではないか。
同時に日本の最先端技術を世界に発信する機会とする絶好の舞台だということも忘れてはならない。



出典 2020年に向けた情報通信基盤整備の戦略 総務省




“ウエアラブル端末 NTT Future Vision 2020
サイバー攻撃  “正念場”は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催
「サイバーセキュリティ大国」 2020年東京オリンピック・パラリンピックのキーワード 人材確保に危機感
“進化”するサイバー攻撃 マルウェア 
標的型攻撃(DoS攻撃/DDoS攻撃 「サイバーセキュリティ立国」の脅威)


東京オリンピック 競技場 東京ベイゾーン ヘリテッジゾーン
東京オリンピック IBC国際放送センター MPCメインプレスセンター
国際放送センター(IBC)システム オリンピック 国際スポーツ競技大会
“4K”“8K” BS試験放送 NHKと民放で実施へ
4K放送 見るには 衛星 光回線 インターネット CATV 東京オリンピック
5G・第5世代移動体通信 “世界に先駆け”2020年東京オリンピックに向けて実現へ
東京オリンピック レガシー(未来への遺産) 次世代に何を残すのか?






2015年4月10日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
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