( 昔、神様が、舟をこいで岩礁のあたりに行き、魚たちと遊んだという。その岩礁を聖なる岩として、海に向けて鳥居が立つ。出雲の国・美保関灯台付近である。)
( 前回の続き‥‥)
< 読売新聞 ── 曽野綾子氏と橋本五郎氏の対談から >
曽野>
例えば無農薬野菜。これは「反原発」と同じで、いいに決まっているけど、そう言っている人にいっぺん1個ずつ、春キャベツを植えさせたらいいんです。私もやったことがありますが、朝昼晩と青虫をつぶしても、結局、育てられなかった。涼しい土地とか、冬ならできるのかもしれないが、春はできない。日本人が食べる量のキャベツは無農薬ではまかないきれない。同じ論理ですよ。
無農薬キャベツしか食べたくないと思う人たちは、冬キャベツ以外は食べないか、農薬で育てたキャベツをよく洗うかすればいい。これで全部OKというのはない。だから、無農薬野菜を食べようと思ったら、実に高くつきます。
まさに原発をなくす場合も同じです。やってみないから、論理だけ言えるんです。
橋本>
この世に誰かが100%正しくて、誰かが0なんてものはありえないんです。せいぜい51対49。それが人間の社会だと思う。
曽野>
それが人間の原理だということを教えないから、幼稚になる。善だけでやろうと思っても、できない。だから、せめて次善か、次々善の策を取るんです。
☆
… 昨年後半から、反原発のデモが国会に押し寄せ、そのなかには、孫の世代のために参加するという「年金おじさん」も結構混じっていたようだ。
放射能が怖いと、茨城県あたりから関西に逃げてきて、関西の自治体が東北のガレキを受け入れようとすると、役所に押しかけて「反対!!」を叫ぶ若い母親もいた。
今の日本は、「ちぢみ志向」と、身勝手なエゴイズムが渦巻いている。
自身は豊かな年金生活を確保してその上に胡坐をかき、或いは、自分の夫がリストラされる可能性などは全くないと信じきっている。
何よりも、日本が今程度にはずっと豊かだと、不遜な思いを抱いている人たちだ。
☆ ☆ ☆
< 組閣発表後の安倍首相の記者会見のスピーチから >
最後にくり返しますが、この政権に課せられた使命は、まず強い経済を取り戻していくことであります。
人口が減少していくから成長はむずかしい。確かにむずかしいでしょう。しかし、成長をあきらめた国、成長していこうという精神を失った国には、未来はないと思います。
我々は決断し、そして正しい政策を実行していくことによって成長していく。明るい未来を目指して進んでいく、そういう国づくりを国民とともに目指していきたいと考えております。
☆
今、日本の抱えている最大の課題は、新卒者(高卒、大卒者)に対して、(それぞれの力に応じて、ではあるが)、仕事を選択できるだけの求人数を提供できる社会を取り戻すことである。ここ数年、それができていない。( 「3Kの仕事はイヤ」という若者のことは、また別の次元の話である)。
そのために、経済を建て直すこと。経済が停滞し、国内産業が疲弊し、税収がますます落ち込めば、10%、20%の消費税を上げても、水の泡と消えてしまう。ギリシャがそれを証明している。日本の国家財政は、二度と立ち直れない泥沼に落ち込むだろう。
まずは再稼動できる原発は再稼動し、電力を安定的に提供し、経済を活性化して、若者に前を向かせる。経済を活性化しなければ、そもそも東北地方の思い切った復興策も、全く軌道に乗らない。
脱原発のことは、ゆっくり腰を落ち着けて、取り組んだら良いのです。
「名もなく、貧しく、美しく」 は、日本人らしい生き方で、私もそのように生きたい。
しかし、肉やバターは栄養価が高すぎて健康に良くない。魚は、絶滅するから保護すべきだ。野菜は無農薬でなきゃだめだ、と言っていたら、行き着く先は仙人だ。そういう馬鹿なジイサンや若い母親や、何とかといういきり立った俳優の主張に乗るわけにはいかない。
☆
お正月の最後にもう一言。
あの巨大で、無機質で、低周波を発する風車を、日本列島の山々や海に林立させるのか?
休耕田を、あの黒々としたパネルで埋め尽くすのか?
神々のすむ山や、海や、里を、再び田中角栄の「日本列島改造論」のように、破壊するつもりか?
そういうことをして、何割の電力が賄えるというのか?
その莫大な費用を、誰が出すのか?
神々がすむ山や川や海や里だということを、決して忘れてはいけない。 そう簡単にはいかないのです。
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