ドナウ川の白い雲

ヨーロッパの旅の思い出、国内旅行で感じたこと、読んだ本の感想、日々の所感や意見など。

ローマの街角で … ヨーロッパを旅するヨーロッパの若者たち 2 

2012年10月12日 | 西欧旅行…旅の若者たち

    ( 観光客でいっぱいのスペイン階段 ) 

 街を歩いているだけで、心楽しい。そういう気分になるのは、パリを除けば、ローマだろう。

 ローマは、バロックの街だと言われる。

 ミュージシャンがパフォーマンスするナヴォーナ広場も、ライトアップされたトレビの泉も、オードリー・ヘップバーンが降りてくるスペイン階段も、とにかく劇的な空間で、欧米をはじめ世界からやって来た旅行者たちが、ウキウキと歩いている。オシャレなアンティークのお店があり、ジェラードの名店があり、広場にはレストランのテラス席が並ぶ。

   ( ライトアップのトレビの泉 )

 と思えば、フォロ・ロマーノや、コロッセオや、チルコ・マッシモや、それにパンテオンなど、古代ローマ帝国の遺跡が街の中にゴロゴロとある。テヴェレ川の対岸のサンタンジェロ城も、本来はローマの皇帝たちの墓所である。

 そして、その隣には、カソリックの総本山、バチカンが、今も多くの信者や観光客を集めている。

           ★

 市民からネズミ出没の苦情が出て、ローマ市議会がてんやわんや。下水道を掃除したのはいつなのか? 調べてみたら、清掃したという最も新しい記録が、ローマ帝国末期! 古代ローマが建設した下水道を、掃除もせず使い続けてきた町でもある。 ( 塩野七生 『イタリアからの手紙』新潮文庫から )。

         ★

 ヴァチカンから、ローマの街を横断して、スペイン広場まで、石畳の道をてくてく歩いた。

 途中、ナヴォーナ広場を目指していて、道に迷う。地図はあるが、自分の位置がわからなければ、どうしようもない。

         ( ローマの競技場の跡、ナヴォーナ広場)

 知らない広場に迷い込んだ。庶民的な雰囲気の広場で、テントが張られ、花屋、肉屋、八百屋などの市が立っていた。近所のマダムたちが、朝の買い物のために集まっている。

 誰かに道を尋ねようと思って見渡すと、小さなリュックザックを背負った長身の女の子が、石造りの建物の角にたたずんでいた。一人旅の女子高校生か?

 おぼつかない英語で、「エクスキューズ・ミー。道に迷いました。ナヴォーナ広場に行きたいのです。行き方を教えてください」。

 すると、「私にはわかりません。何となれば (Because) 、私も旅行者ですから」 と、英文法どおりの律儀な答えが、緊張した顔で返ってきた。

 「ありがとう」。

 もちろんアメリカ人やイギリス人の英語ではない。英語圏以外。ドイツかな??

 振り返ると、相変わらず、市の様子をじっと眺めている。一人旅だからこその鋭敏になった感受性で、何かを感じ、考えているのだろう。

 旅は心を成長させる。

 日本の高校生、大学生諸君。旅に出て、自分一人の足でしっかり立つ、その感覚を身につけよう。 

 小さな 「グループ」 にとにかく所属して、その中で、傷つかないよう、傷つけないよう、気を使ってばかりの青春なんて、若者の生き方ではない。

 「グループ」に依存しないこと。群れないこと。「グループ」に友情なんか生まれない。友情が生まれるとしたら、何かを成し遂げようとする「チーム」だ。

          ★

 あとで、カンポ・ディ・フィオーリ広場 (花の広場) という綺麗な名の広場だと知った。

 リュックザックを背負った一人旅の女子高生の姿が、印象に残った旅であった。

 

 

 

 


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