きょう1月26日は中倉宏美女流二段のお誕生日。おめでとうございます。
その宏美女流二段は先日の女流名人位戦で藤田綾女流初段に負け、今年度の公式戦成績は2勝5敗となった。あとは3月に開幕する倉敷藤花戦を残すのみだが、もしこの初戦に負けると2勝6敗で終了、1年前とまったく同じ成績となる。
宏美女流二段は一昨年秋ごろから居飛車急戦の勉強を始め、それまでは居飛車でも振り飛車でも穴熊が多かったがキッパリとやめた。対振り飛車には「▲5七銀左」を採用し、玉の薄い将棋に新境地を開き、いわゆる脳ミソに汗をかく将棋を指すようになった。新規の研究会にも参加したという話もある筋から聞き、彼女の意気込みは本物だと思った。
私は大いに感銘を受け、2012年の中倉宏美は期待できる、と当ブログにも書いたりした。
ところが冒頭にも書いたとおり、その努力が成績には反映されず、宏美女流二段は黒星が先行した。そんな折り、宏美女流二段と島井咲緒里女流二段らのトークショーが阿佐ヶ谷であった。10月下旬のことである。このとき宏美女流二段が言った言葉を私は忘れない。
「最近は1週間に2日、将棋を忘れる日を作るようにしています」
文言は正確ではないかもしれぬが、大体こんなニュアンスだった。これを聞いて私は、自分の耳を疑った。将棋棋士たる者、片時も将棋を忘れないのが当たり前。それが本能だと思う。それを忘れる日を作るなんて、言ってることがおかしくないか?
2日間も将棋から離れていて、焦燥感は生まれないのか。否それ以前に、「禁断症状」みたいなものは現れないのか。駒を持ちたくならないのだろうか。定跡書を読みたくならないのだろうか。
当時も当ブログに書いたが、せっかく多くのファンを前にしたのだから、「一日24時間、将棋のことを考えてます」と答えてほしかったところである。以前彼女が自分の腕に「将棋命」と書いた意気込みは、どこに行ったのだろう。
誤解を恐れずに言えば、将棋棋士は自分の趣味が仕事になった、稀有な職業である。私のようなグータラ社会人が、休日に仕事を忘れるのとは訳が違う。そんな重大な事柄なのに、それをファンの前で臆面もなく吐露してしまう宏美女流二段のココロがよく分からなかった。
宏美女流二段は、もうタイトルを諦めてしまったのだろうか。だが、昨年9月に本田小百合女流三段がタイトル初挑戦を決めたとき、彼女は33歳だった。それまでの「タイトル戦初登場・岩根忍女流二段・28歳」の記録をを大幅に塗り替え、年齢を重ねてもタイトル戦に出られることを証明して見せたのである。
本田女流三段の通算勝率は5割ちょっと。宏美女流二段のそれは5割をちょっと欠けるくらいだから、両者の才能はそれほど変わらない。唯一違っていたのが、努力の差だったのではあるまいか。片方は24時間将棋のことを考え、片方は忘れる日を作った。勝利の女神がどちらに微笑むかは、火を見るより明らかであった。
宏美女流二段は昨年、上記のトークショーを始め、ラジオ番組にゲスト出演したり、ふだんの活動がテレビ番組にも取り上げられたりした。しかし私は、宏美女流二段が勝利したことで、メディアに登場してもらいたかった。
今年の宏美女流二段はどうするのだろう。どうなるのだろう。研究会も自然解散になった、という噂も聞いた。しかし私は今年もう一年だけ、宏美女流二段を熱烈に応援したいと思う。
2013年度は、最低でも勝ち越してもらいたい。これは決して無理な希望ではない。もしこれが叶わなかったら、宏美女流二段を「女流棋士ファンランキングトップ10」から外す、くらいの覚悟でいる。
…と、宏美女流二段の誕生日に、また宏美女流二段を怒らせるようなことを書いてしまった。しかし彼女がこれに発奮して、対局にどんどん勝ってくれるなら、それでも構わない。
その宏美女流二段は先日の女流名人位戦で藤田綾女流初段に負け、今年度の公式戦成績は2勝5敗となった。あとは3月に開幕する倉敷藤花戦を残すのみだが、もしこの初戦に負けると2勝6敗で終了、1年前とまったく同じ成績となる。
宏美女流二段は一昨年秋ごろから居飛車急戦の勉強を始め、それまでは居飛車でも振り飛車でも穴熊が多かったがキッパリとやめた。対振り飛車には「▲5七銀左」を採用し、玉の薄い将棋に新境地を開き、いわゆる脳ミソに汗をかく将棋を指すようになった。新規の研究会にも参加したという話もある筋から聞き、彼女の意気込みは本物だと思った。
私は大いに感銘を受け、2012年の中倉宏美は期待できる、と当ブログにも書いたりした。
ところが冒頭にも書いたとおり、その努力が成績には反映されず、宏美女流二段は黒星が先行した。そんな折り、宏美女流二段と島井咲緒里女流二段らのトークショーが阿佐ヶ谷であった。10月下旬のことである。このとき宏美女流二段が言った言葉を私は忘れない。
「最近は1週間に2日、将棋を忘れる日を作るようにしています」
文言は正確ではないかもしれぬが、大体こんなニュアンスだった。これを聞いて私は、自分の耳を疑った。将棋棋士たる者、片時も将棋を忘れないのが当たり前。それが本能だと思う。それを忘れる日を作るなんて、言ってることがおかしくないか?
2日間も将棋から離れていて、焦燥感は生まれないのか。否それ以前に、「禁断症状」みたいなものは現れないのか。駒を持ちたくならないのだろうか。定跡書を読みたくならないのだろうか。
当時も当ブログに書いたが、せっかく多くのファンを前にしたのだから、「一日24時間、将棋のことを考えてます」と答えてほしかったところである。以前彼女が自分の腕に「将棋命」と書いた意気込みは、どこに行ったのだろう。
誤解を恐れずに言えば、将棋棋士は自分の趣味が仕事になった、稀有な職業である。私のようなグータラ社会人が、休日に仕事を忘れるのとは訳が違う。そんな重大な事柄なのに、それをファンの前で臆面もなく吐露してしまう宏美女流二段のココロがよく分からなかった。
宏美女流二段は、もうタイトルを諦めてしまったのだろうか。だが、昨年9月に本田小百合女流三段がタイトル初挑戦を決めたとき、彼女は33歳だった。それまでの「タイトル戦初登場・岩根忍女流二段・28歳」の記録をを大幅に塗り替え、年齢を重ねてもタイトル戦に出られることを証明して見せたのである。
本田女流三段の通算勝率は5割ちょっと。宏美女流二段のそれは5割をちょっと欠けるくらいだから、両者の才能はそれほど変わらない。唯一違っていたのが、努力の差だったのではあるまいか。片方は24時間将棋のことを考え、片方は忘れる日を作った。勝利の女神がどちらに微笑むかは、火を見るより明らかであった。
宏美女流二段は昨年、上記のトークショーを始め、ラジオ番組にゲスト出演したり、ふだんの活動がテレビ番組にも取り上げられたりした。しかし私は、宏美女流二段が勝利したことで、メディアに登場してもらいたかった。
今年の宏美女流二段はどうするのだろう。どうなるのだろう。研究会も自然解散になった、という噂も聞いた。しかし私は今年もう一年だけ、宏美女流二段を熱烈に応援したいと思う。
2013年度は、最低でも勝ち越してもらいたい。これは決して無理な希望ではない。もしこれが叶わなかったら、宏美女流二段を「女流棋士ファンランキングトップ10」から外す、くらいの覚悟でいる。
…と、宏美女流二段の誕生日に、また宏美女流二段を怒らせるようなことを書いてしまった。しかし彼女がこれに発奮して、対局にどんどん勝ってくれるなら、それでも構わない。