一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

7月4日の4時から男(後編)

2021-07-29 02:00:37 | 新・大野教室
多面指しは難しい。ふつうのアマは1局の将棋を脳内で考えるのが精一杯だから、そこに別の将棋が入り込む余地はない。だけど女流棋士などは、段位に関係なく、3面指しでも4面指しでも難なくこなす。さすがにプロを名乗るだけあって、この芸当には唸らざるを得ない。
飛車落ちの少年は、いつもの定跡通り。下手の仕掛けまでいつも同じ形で面白くないが、もし変化するなら、それは上手の義務だろう。
お嬢ちゃんもいつもの銀多伝。たまには平手で思いっきり指したいだろうが、いまは我慢してもらうしかない。
この将棋は、私が△8五金と寄り△9五金を見せた手に対し、お嬢ちゃんが▲9四歩(第1図)と伸ばしたのが好手。歩をすっと伸ばす感覚がいい。本局で私が最も感心した一手だ。

そこから一進一退の攻防があったが、最後は私が観念して、△2七銀(第2図・詰めろ)の形作り。

ここでお嬢ちゃんはしばらく考え、ハッシと▲2三竜。以下△同玉▲3二銀△1二玉▲2三金△1一玉に、▲2一銀成(第3図)が好手。

以下△同玉▲3二成銀△1一玉▲2二成銀まで、お嬢ちゃんの勝ちとなった。
お嬢ちゃんは亀の歩みながら強くなっている。このままいけば女流棋士も夢ではない。

少年との一戦は、中盤で私が相手の金を剥がしたが、それでも下手は銀冠が残って、堅い。しかも私も△6九金と変な形で残って、やはり飛車落ちの分だけ悪い。
そこで、△7三桂を守るべく△6三金と打ったのが悪手。ここは桂をあげてもいいから、△6一金と、▲5一馬と▲7一銀取りに打つべきだった。
本譜は△2四香の飛車取りに▲6五桂打(第1図)が厳しい。私は「しょうがない」と△2四香としたが、少年に「王手ですよ」と言われ愕然とした。王手放置で別の手を指すなんて、石田和雄九段みたいだ。

本来ならここで投了だが、続けさせてもらう。私は△6五同桂と取ったがこれも疑問っぽく、以下▲同桂△同銀▲同飛で下手優勢。そして最後は▲6五桂△4三玉▲6二銀成という手順で、私の投了となった。
続いて強豪女性と平手戦。うっかり振駒にしてしまったが、とんでもない。私が先手にしてもらった。
将棋は私の三間飛車に、女性の居飛車穴熊。私は▲5七銀形にしたあと▲4五歩と伸ばしたがこれが悪手で、すかさず△4四歩と反発された。こっちは▲3七桂を跳ねてないので、▲同歩△同銀に▲4五歩と打てない。ここで大きく形勢を損ねた。
いっぽう女性は△4二飛と増強して好調。これは負けたと思った。
その後女性がトイレに行き、しばらくしたあと、女性の持ち時間が減るのを潔しとせずチェスクロックを中断にしたのだが、今度は私のスマホに某所から電話が入り、盛大に中断になってしまった。
しかし戻ってみると、女性が△4四の銀を△3三に引いていた。私は攻勢に来られたらツブレと覚悟していたので、これはありがたかった。
私は▲4六歩とキズを消したあと▲5五歩から▲5六金と、高美濃の金を上がった。これはのちの▲4八飛を見たものだが、ちょっと下品だったようである。
将棋は難解な攻防のまま終盤に突入したが、▲3四歩の王手に女性が△2三玉と逃げたのが小ミスで、私は▲4五角と据え、次に▲3三歩成の両王手を見せた。
これが存外受けにくく、私の勝勢となったようである。
私の玉も▲1九に落とされたが、▲2七馬の存在が強大で、いわゆる「Z」状態。そのまま女性が投了した。
感想戦では本譜△4四歩で後手が大作戦勝ち。そのあとは△5五歩▲同歩△同銀▲5六歩△4六銀(参考図)を目指せば女性が必勝だった。

女性がひるんだあとは私の▲5六金が悪手で、大野八一雄七段に「▲5五歩は筋のいい手で感心したのに、ここは▲5六銀と立つ一手でしょう」と叱責された。大野七段がこれだけ怒るのは珍しいことで、それだけ私の▲5六金が悪かったということだ。
将棋は自然な手を指すのが一番、と教えられた。
これにてきょうの将棋は終わり。結局Shin氏とは指せなかった。やはり何人もの棋客と指そうと思ったら昼から行かなければいけないが、私も休日は録りだめしたテレビ番組を見なければならず、時間がないのだ。
食事は大野七段、W氏、Shin氏らと行く。「楽」は食後ものんびりできるので重宝なのだが、休み。トンカツ屋も休みだったので、町中華屋へ入った。
私はラーメンと半チャーハンのセットを頼み、美味しくいただいた。
コメント
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