一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

佐々木勇気七段と佐々木大地五段

2021-07-06 00:31:35 | 男性棋士
将棋界には3人の佐々木姓がいる。ひとりは2001年デビューの佐々木慎七段。手厚い棋風の振り飛車党で、振り飛車の著書も何冊か上梓している。
混同しがちなのは佐々木勇気七段と佐々木大地五段だ。
勇気七段は2010年10月、16歳でデビュー。大地五段は2016年4月、20歳でデビュー。プロ入りは5年半の差があるが、生誕は勇気七段が約10ヶ月年長なだけなので、ちょっと間違えてしまう。
それぞれの活躍を挙げれば、勇気七段は藤井聡太四段の「デビュー30連勝」を阻止したことで有名だ。これはテレビ朝日「ミラクル9」でも出題されたくらいだから、将棋ファンとして必須の知識といえる。
竜王戦は堂々の1組在籍、順位戦も前期B級1組に昇級し、若手実力棋士のひとりである。
大地五段の活躍も凄まじい。大地五段は奨励会三段リーグの次点2回で四段昇段したのだが、デビューから1年未満に規定の成績(いい所取り.650以上)を取り、あっさりと順位戦参加を決めた。その後も

・2017年 第48期新人王戦決勝三番勝負進出
・2018年 第59期王位戦リーグ入り
・2019年 第60期王位戦リーグ入り
・2020年 第45期棋王戦挑戦者決定二番勝負進出
・2020年 第61期王位戦リーグ入り
・2021年 第62期王位戦リーグ入り(残留)
・2022年 第63期王位戦リーグ(確定)
・第46回(2018年度)将棋大賞 連勝賞
・第47回(2019年度)将棋大賞 最多対局賞

と、目を瞠る活躍である。王位戦のリーグ入りが多いが、これは陥落しても翌期には復帰したということである。王位リーグは若手実力者がリーグ入りしやすいといわれるが、それにしたって4連勝ないし5連勝が必要なわけで、そこを4期連続リーグ入りは隠れた大記録といえる。
通算勝率は195勝84敗の.6989。つまり、デビューしてからいまだに「いい所取り.650以上」なわけだ(ちなみに勇気七段のそれは309勝152敗.6702。ふたりの対戦成績は1勝1敗である)。
ところが竜王戦と順位戦においては、ランキング戦6組とC級2組なのだ。これが現代将棋界の七不思議である。
しかし順位戦を見ても、勝率約7割の大地五段だから、つねに好成績である。ところが毎期、あと一歩のところで昇級を逸してしまう。ではその戦績も記してみよう。

第76期 48位・8勝2敗
第77期 7位・8勝2敗
第78期 5位・8勝2敗
第79期 3位・7勝3敗

第76期は8勝を挙げたが、昇級者(3位が8勝)のほかにも5名8勝者がおり、下位の大地四段は昇級ならず。仮の話だが、9勝すれば昇級できていた。
第77期も8勝を挙げたが、10勝者1人、9勝者1人、さらに順位2位の石井健太郎五段が8勝を取ったので、無念の頭ハネとなった。
第78期も8勝を挙げたが、9勝者が3人出て、またもや次点。5位の8勝で昇級できないとは極めて異例である。
第79期はさらに順位を上げて臨んだが、この期は7勝3敗。9勝者が2名出たが、残る1名は5位・大橋貴洸六段の8勝2敗だった。結果論を言っても詮無いが、もし8勝すれば大地五段が上がれていた。
なお大地五段はこの期の大橋六段戦、2期前の石井五段戦に直接対決で敗れている。大地五段の実力は認めるが、肝心な将棋で勝てていないのだ。
竜王戦も見てみよう。竜王戦は順位戦より間口が広いので、順位戦よりは昇級できそうだが、そうでない。

第30期 2回戦で金井恒太六段に負け→昇級者決定戦・1局目で小倉久史七段に負け
第31期 1回戦で門倉啓太五段に負け→6局目に牧野光則五段に負け
第32期 3回戦で梶浦宏孝四段に負け→4局目に杉本和陽四段に負け
第33期 3回戦で高野智史四段に負け→5局目(決勝)に池永天志四段に負け

本割も昇級者決定戦もよく勝っているのだが、全勝の勢いがないので、最後で力尽きてしまう。
そして今期の竜王戦と順位戦はどうなっているかというと、

第34期竜王戦6組 4回戦で長谷部浩平四段に負け
第80期順位戦C級2組 ○●

である。竜王戦は4回戦で長谷部四段に敗れ、現在昇級者決定戦で待機中。5組昇級にはあと3勝が必要だ。
順位戦C級2組は、2回戦で新人の井田明宏四段に敗れた。しかし大地五段の実力なら、残り8局を全勝する可能性はかなりある。9勝なら昇級できるだろう。
五段のC級2組・ランキング戦6組では、対局料も高くはないだろう。頑張る棋戦を絞るのはよくないが、もはやそうも言っていられまい。今年度はこの2棋戦を頑張るしかない。
コメント
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