一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

5月15日の大野教室(後編)

2021-07-01 01:34:39 | 新・大野教室

第6図以下の指し手。▲4六銀△3六角▲2三銀△同玉▲3一飛成△4七角成▲2一竜△1四玉(第7図)

私は▲4六銀と出る。これはもちろん角の移動を促したもので、△3六角なら▲2三銀が生じる。といって△2三角は▲2五歩があるので、大野八一雄七段は△3六角と逃げた。私は▲2三銀~▲3一飛成を実現させ、どう考えても下手がいいと思った。
大野七段は「もう受ける気しないな」とつぶやき、△4七角成。私は▲2一竜と取り、大野七段は△1四玉と逃げる。ここ△2二銀は▲1五桂△1四玉▲2二竜があり、さすがに打てなかったようだ。
さて△1四玉には次の手が決め手になる……はずだった。

第7図以下の指し手。▲3九桂△5八馬▲同銀△7九飛▲6九銀△2六金▲5八角△3六銀(第8図)

取ったばかりの桂を▲3九に据えた。これに△4六馬なら▲2七桂で下手勝ち。よって大野七段は△5八馬ときたが、こちらは角が戦力になり、大歓迎だ。
△7九飛には▲6九銀で間に合わす。上手玉は詰めろだから、下手玉に即詰みがなければそれでいい。
そこで大野七段は△2六金と我慢したが、私は▲5八角の王手で自玉のトン死筋を消し、これは私がハッキリ勝ちになった。
ところが……。

第8図以下の指し手。▲3六同角△同金▲1五銀△同玉▲1六歩△2五玉▲3七桂△同金▲2六銀△同玉▲2四竜△2五歩(投了図)
まで、101手で大野七段の勝ち。

ここからの指し手は、頭がおかしくなったとしか思えない。まあ上手玉に詰みありと見て詰ましにいったのだが、詰まなかった。
▲2六銀と打ったとき、大野七段が「ウン?」と言った。不詰めに気付いたのだ。もちろん私も気付いていて、言い訳をすると、このとき盤上に▲3九桂があると思ったのだ。以下△2六同玉▲3七銀で詰むと読んだのだからおめでたい。
△2五歩で、私の投了。なんでこうなっちゃったんだ、と呆然とした。これは指導対局なので、勝ち負けは関係ない雰囲気はある。とはいえ苦戦の将棋を勝ちにしたのに、着地を誤ってすべてをパーにしたのだから、やるせない気持ちである。
感想戦では、第8図では▲2七歩、が大野七段の指摘だった。
本局は、途中図の△7六銀で大野七段が優勢。その後も気持ちよく攻め続け、第5図の△6六同飛も、大野七段はこれで勝てると見たらしい。ただ私の▲2四歩~▲5一飛も結構な反撃で、「やっぱり飛車は大きいね」と大野七段。ここではすでに、下手が指せていたようだ。
戻って大野七段の△6六同飛では、△8二飛▲8六歩△8八歩が正着だったようで、どの変化も下手が芳しくなかった。
これで終わりというところだが、最後に三段格のいつもの少年と平手戦を指す。時間もないので、初手から1手30秒だ。これは相掛かりの将棋になったが、少年が受けを誤り、私が角銀交換の成果を得た。
だが私が▲2一角~▲3二角成~▲2二歩成としたのがダサイ攻めで、少年の攻めのスピードのほうが早かった。
そして終盤、図の△8七飛成が思い切った手。

なんで飛車から突っ込むんだ? と私は▲同金と取ったが、△6七銀成とされた。ああ、▲6九玉△5八角成で詰みか! 私は△6七銀成で△6七角成▲6九玉△8七銀成を読んでいたのだからおめでたい。
感想戦では大野七段に、▲2一角に疑問手の烙印を捺された。ただ、代わる▲2二角(香取りになっている)も、少年にいつでも△2五歩と飛車先を止める手があり、先手が容易でなかった。
食事は大野七段、W氏、Shin氏、私とで、久しぶりにとんかつ屋に行った。私はとんかつ定食を頼んだが、相変わらず美味かった。ここのとんかつはキャベツが多く、ご飯の量も多く、お値打ちである。食後はもう8時で、散会。コロナ禍がなければこのあと喫茶店へ行って雑談、というところだが、そんな日は来るのだろうか。

この日の話は、これで終わらなかった。
大野七段戦の第8図。あそこで本当に即詰みはなかったのか、という疑問である。私の棋力では詰まなかったが、5月19日、自ブログから読者に問うてみた。
するとすぐにコメントがあり、第8図から「▲3六同角△同金▲2三銀△2五玉▲1六銀△2六玉▲2七歩以下で詰んでいませんか?」との指摘である。
いやこれは仰せの通りで、唸った。手順中、▲2三銀(参考図)が好手だ。竜をどこかで▲2五に引きたいから、竜筋を塞ぐ▲2三銀が盲点になっていた。こう詰ましていたら、居玉の会心局?になっていたのに、惜しいことをした。

それにしても、全国に読者がいるのはありがたいことだと、つくづく思った。
(おわり)
コメント
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