一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

順位戦A級1年目で8勝1敗の成績を取った棋士

2021-03-02 00:44:51 | データ
斎藤慎太郎八段は先日のA級順位戦最終戦に勝ち、名人挑戦を決めた。
「A級1年目に名人挑戦」「8勝1敗」はともに素晴らしいが、ではかつて同じ状況だった棋士は、名人戦の成績はどうだったのだろう。
まず、A級1年目で名人挑戦を決めた棋士を見てみる。なお、本割でプレーオフがあった場合、勝敗のあとに「☆」を付けた。
また、順位戦と名人戦七番勝負は、1975年度まで5期の差がある。よって第30期までは、順位戦はそのまま。名人戦は、それに「5」を加えてください。

第19期 山田道美八段(7勝2敗☆)→大山康晴名人に1勝4敗
第36期 森雞二八段(7勝1敗)→中原誠名人に2勝4敗
第41期 谷川浩司八段(7勝2敗☆)→加藤一二三名人に4勝2敗
第52期 羽生善治四冠(7勝2敗☆)→米長邦雄名人に4勝2敗
第53期 森下卓八段(7勝2敗☆)→羽生善治名人に1勝4敗
第54期 森内俊之八段(7勝2敗)→羽生善治名人に1勝4敗
第74期 佐藤天彦八段(8勝1敗)→羽生善治名人に4勝1敗
第75期 稲葉陽八段(8勝1敗)→佐藤天彦名人に2勝4敗
第79期 斎藤慎太郎八段(8勝1敗)→渡辺明名人

第75期の稲葉八段まで、8名を数えた。奪取は谷川八段、羽生三冠、佐藤天八段。先の2名は永世名人になり、佐藤天八段も名人3期を獲った。

次に、「本割8勝以上」の戦績で名人戦に登場した棋士を調べてみる。ここでも、プレーオフで勝った棋士には☆を付ける。

第5期 升田幸三八段(8勝1敗)→木村義雄名人に2勝4敗
第10期 花村元司八段(8勝2敗☆)→大山康晴名人に0勝4敗
第16期 二上達也八段(8勝1敗)→大山康晴名人に0勝4敗
第17期 升田幸三九段(8勝2敗)→大山康晴名人に1勝4敗
第23期 有吉道夫八段(8勝2敗)→大山康晴名人に3勝4敗
第26期 中原誠二冠(8勝0敗)→大山康晴名人に4勝3敗
第28期 大山康晴十段(8勝2敗)→中原誠名人に3勝4敗
第29期 大内延介八段(8勝2敗)→中原誠名人に3勝4敗1持将棋1千日手
第30期 米長邦雄八段(8勝1敗)→中原誠名人に3勝4敗
第38期 米長邦雄王位(8勝1敗)→中原誠名人に2勝4敗
第40期 加藤一二三十段(8勝1敗)→中原誠名人に4勝3敗1持将棋2千日手
第46期 谷川浩司王位(8勝1敗)→中原誠名人に4勝2敗
第51期 米長邦雄九段(8勝1敗)→中原誠名人に4勝0敗
第55期 谷川浩司竜王(8勝1敗)→羽生善治名人に4勝2敗
第58期 丸山忠久八段(8勝1敗)→佐藤康光名人に4勝3敗
第60期 森内俊之八段(8勝1敗)→丸山忠久名人に4勝0敗
第62期 森内俊之竜王(9勝0敗)→羽生善治名人に4勝2敗
第64期 谷川浩司九段(8勝1敗☆)→森内俊之名人に2勝4敗
※羽生三冠も8勝1敗だった。8勝1敗で挑戦者になれなかったのは史上初。
第66期 羽生善治二冠(8勝1敗)→森内俊之名人に4勝2敗
第70期 羽生善治二冠(9勝0敗)→森内俊之名人に2勝4敗
第71期 羽生善治三冠(8勝1敗)→森内俊之名人に1勝4敗
第72期 羽生善治三冠(8勝1敗)→森内俊之名人に4勝0敗
第74期 佐藤天彦八段(8勝1敗)→羽生善治名人に4勝1敗
第75期 稲葉陽八段(8勝1敗)→佐藤天彦名人に2勝4敗
第77期 豊島将之二冠(8勝1敗)→佐藤天彦名人に4勝0敗
第78期 渡辺明三冠(9勝0敗)→豊島将之名人に4勝2敗
第79期 斎藤慎太郎八段(8勝1敗)→渡辺明名人

A級は休場者の関係で、11名で行われることがある。それで過去、8勝2敗で挑戦のケースが5回あった。しかし挑戦者の全敗に終わっている。
8勝0敗は1回、8勝1敗は17回、9勝0敗は3回。奪取はそれぞれ、1回、10回、2回である。挑戦者の分がややいいが、順位戦は1年をかけて行われるので、そこまで挑戦者の好調が持続されていないと思う。
ここで「A級1年目」に「8勝1敗」を取った棋士を見ると、

第74期 佐藤天彦八段(8勝1敗)→羽生善治名人に4勝1敗
第75期 稲葉陽八段(8勝1敗)→佐藤天彦名人に2勝4敗

のみとなる。七番勝負の結果は1勝1敗であり、第79期の七番勝負は、データ的にはまったく分からない。
渡辺名人と斎藤八段の対戦成績も、2勝2敗の五分。渡辺名人は作戦巧者だが、斎藤八段も若さの強味がある。これは面白い七番勝負になりそうである。
コメント (2)
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