一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

1月24日の川口大野・植山教室(1)

2016-01-27 00:18:58 | 大野・植山教室
24日(日)は「川口大野・植山教室」に行った。今年から教室名に「川口」が加わり、新規開業鉄道の新駅みたいに長ったらしくなった。次はアタマに「埼玉」と付くのではないか。
戸を開けると、Fuj氏が「飛んで火にいる夏の虫…」とつぶやくのが聞こえた。中に入ると、ものすごい生徒だった。大野八一雄七段は4面指しの真っ最中。自由対局も2局あった。奥の部屋では、植山悦行七段が4面指しを行っていた。自由対局も数局あった。
大野七段に新年の挨拶をする。みなはとうに済ましているが、私は今年の初将棋なので、やむを得ない。
「マッチ売りの少女が来ますよ」と大野七段がいう。
翻訳すると、今日は和田あき女流初段が来るらしい。つまり3月19日に行われる「女流棋士との親睦将棋会2016」の売り込みが予想されるが、これは私も申し込む予定なので、問題ない。おカネも用意してあるので、今日払うつもりだ。
さて、新年第1局は大野七段にお願いする。もちろん角落ちである。

第1図までの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲2六歩△5三銀▲2五歩△4二玉▲2四歩△同歩▲同飛△3二玉▲3六歩△2二銀▲3七桂△4二金▲4五桂(第1図)

2016年、私の第1手は▲7六歩からスタート。飛車先の歩を交換し、▲3六歩から▲3七桂。矢倉に組む手もあるが、駒落ちの下手では自由に指したい。
18手目、私は▲4五桂と跳ねた。

第1図以下の指し手。△4四銀▲4六歩△5二飛▲4八銀△5五歩▲4七銀△3四歩▲9六歩△3三桂▲9七角△4五桂▲同桂△同銀(第2図)

「早速来ましたね」と大野七段。すぐに△4四銀と上がった。ここ△2三歩は▲5三桂不成が狙いの手で、△2四歩▲6一桂成まで下手十分となる。この手順は「2014年会心の一手」の再現になってしまう。
大野七段は△5二飛と中央に転戦する。△8四歩すら省略し、完全に私の作戦(▲2五飛戦法)を狙い撃ちしている。
大野七段は△3三桂。これを▲同桂成ではおもしろくないと見て、私は▲9七角と上がった。
大野七段は△4五桂から捌いたが…。

第2図以下の指し手。▲4八金△5一金▲2五飛△3三桂▲2九飛△2四歩(第3図)

ここで▲4六歩△5四銀(△5六歩は▲同歩△同銀▲5三歩△同金▲5六銀)▲4二角成△同飛(△同玉は▲2二飛成)▲5三金と攻めたいが、△1五角の王手飛車があり不可(追記:▲5三金では▲3四飛△3三銀▲5四飛の十字飛車で下手十分。よって▲4六歩の時に△2三歩▲2九飛△5四銀で、一局の将棋となる)。▲4八金はやむを得なかった。
△5一金に▲2五飛がおもしろい手。△5四銀なら▲4六桂で、次に▲3四桂跳ねを見て下手十分。大野七段はすっかり考え込み、△3三桂と我慢した。しかしここに桂を打ってくれれば、下手は一安心だ。
△2四歩にはどう指すか。

第3図以下の指し手。▲5八金左△2三銀▲7七桂△4四歩▲6六桂△4三金▲4六歩△5四銀▲同桂△同飛(第4図)

▲2四同飛と指したいが、△2五歩とフタをされ、▲4六歩△2三銀▲同飛成△同玉▲4五歩で二枚換えの駒得になっても、直後の△2九飛が厳しく、下手勝てない。私は▲5八金左と玉頭を厚くしたが、△2三銀とガッチリ守られてしまった。
私は▲7七桂と跳ねる。「いい手だねえ」と大野七段がつぶやく。これは上手の銀が△5四銀と退却した時、▲6六桂で銀を殺す意味だ。
「ほおぅ…相変わらず大沢さん、いつもおもしろい将棋を指す」
とFuj氏が妙な感心をしていた。
大野七段は仕方ない、という感じで△4四歩と突く。私は予定通り▲6六桂と打ったが、これはおもしろくなかった。ここで考えていたのは▲7五桂だ。以下△6二金の一手に▲8三桂不成とする。いわゆる「一公桂」だ。これで隅の桂香を取れば上手の戦力がダウンし、下手が優位に進められる。
しかしそう指せなかったのは、この教室で筋のいい手を教えられているからで、▲7五桂なんていう手を指したら笑われる、と余計な考えを巡らせてしまったのがマズかった。
本譜は銀桂交換の駒得になったが、先に1歩損しているので、意外に利がない。これなら▲7五桂と打っておけば…と悔やんだがもう遅い。△5四同飛の局面でははっきり言って、緊張の糸が切れた。

第4図以下の指し手。▲6八銀△9四歩▲8六角△8四歩▲8二銀△8五歩▲7五角△7四歩▲8四角△8六歩▲同歩△7五歩▲同角△8七歩▲8一銀成△8八歩成▲9一成銀△6四桂▲6六桂△5二飛▲6五桂△7八と▲5四香△同金▲同桂△2五桂▲4五歩△5四飛▲5三金△同飛▲同桂成△3七桂打▲9二飛△3三玉▲3七金△同桂不成▲4四歩△同玉▲2二飛成△2九桂成(投了図)
まで、87手で大野七段の勝ち。

私は▲6八銀と上がったが、△9四歩が来た。私は角を先逃げし▲8二銀だが、こんなTod銀を打つようではダメである。それなら先に▲7五桂と打ったほうが、私らしかった。
以下は下手に疑問手のオンパレードで、最後は「2人がかりで終わっちゃったね」という終局になった。狙い通りに上手の飛車を取ったら、渡した金桂であっという間に受けなしにされてしまったのだから、お話にならない。先に上手がやむを得ず打った△3三桂がポンポン跳ねて、飛車を取って終局とは、下手は不愉快になるばかりである。

蛇足ながら、慌てて△6八とと駒得に走らないのが上手の技で、このと金は7八に居座り、玉の退路を塞ぐのがいいのである。となれば、▲5四香では▲7九香と打つのだったか。しかしそれでも下手がつまらない将棋だが。
感想戦。第3図からの▲6六桂で▲7五桂を述べたが、大野七段の見解は、その手でも下手がいい、とのことだった。
また第3図で▲2四同飛は、大野七段は△2三銀▲2九飛△2四歩を予定していたらしい。ただこれなら歩損を回復した下手がいいはずで、私推奨の△2五歩に、大野七段も賛同してくれた。
しかし感想戦で自説が通っても、ほとんど意味がない。新年第1局は惨敗し、前途多難のスタートとなった。
(つづく)
コメント (2)
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