一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

加藤一二三九段の正月番組

2016-01-19 23:20:50 | 男性棋士
正月のテレビ番組に、加藤一二三九段が2回登場した。ひとつは7日放送の「アウト×デラックス初夢スペシャル」、もうひとつは10日放送の「平成教育委員会2016冬」(いずれもフジテレビ)である。
「アウト×デラックス」は、社会生活に「アウト」な人間を呼んでいじるというもので、加藤九段はセミレギュラーで出演している。
なぜに加藤九段なのかといえば、対局時の大食漢、盤を勝手に移動する、盤面を逆側から見る、タイトル戦で旅館の滝を止める、など棋士らしからぬ?行動がウケて、「アウト」と認定されたからであろう。
とはいえ加藤九段を出演させて、笑いが取れるのか?
たとえば桐谷広人七段は、株主優待券を病的なまでに消費する、という行動が受けた。テレビではこれを実際に見せることで、お茶の間の人気者になった。しかし加藤九段の奇行は、ナマでは行えない。まさか対局中にスタッフが乗り込むこともできない。
しかし加藤九段はふだんの言動も面白いし、テレビ出演すればそれなりに受けるはずだ。事実加藤九段は、高尚ななぞなぞをマツコや矢部浩之に出題したりして、しっかり彼らのハートを掴んでしまったのである。
話を戻し、今回の「アウト×デラックススペシャル」である。私は途中から観たのでアレだが、今回は高嶋ちさ子率いる楽団相手に、加藤九段がベートーヴェンの「運命」を指揮する、というものだった。
加藤九段は音楽家からレクチャーを受けて、そこそこ形にする。いざ本番である。しかし結論を書けば、最終的には失敗だった。一見うまく指揮しているように見えたが、高嶋ちさ子曰く、「途中からは指揮を見ないで弾いていました」とのことだった。
ま、予定調和である。この結果はお茶の間でも予想できた。元がおふざけの番組だし、このくらいの軽さでいいのだろう。
ただその4日後の11日、「さんま・玉緒のあんたの夢をかなえたろか」(TBS)では、お笑いの出川哲朗が、ある高校の吹奏楽部に呼ばれ、見事な指揮をやってのけた。
指揮を成功させれば、お笑いから感動に昇華する。フジテレビではできなかったが、TBSはできた。もしフジテレビがもう一歩踏み込んだ番組作りを目指したなら、加藤九段に猛練習を課したはずだし、楽団も加藤九段の指揮に忠実に従ったはずである。
私はここに、フジテレビの凋落を見た。

8日は「平成教育委員会」。加藤九段は昨年に続いての出場だ。先生の北野武は米長邦雄永世棋聖と交流があり、テレビで将棋を指したこともある。よって、加藤九段もリラックスして出演したと思われる。
スタッフは加藤九段の「怪答」に期待しているはずだが、番組ではそれはなかったと思う。
むしろ番組の中盤で、詰将棋が問題として出題され、加藤九段が「解説」したのは愉快だった。
番組では適当にいじられ、加藤九段の存在感もそれなりにあった。
が、将棋ファンとしては複雑なところもある。今年度の加藤九段の成績は、0勝16敗。前年度は6連敗のあと1勝、そして17連敗である。加藤九段はA級時代に21連敗をしたことがあるから現状は屁でもないが、「全敗するならオレにもできる」。
テレビに出続けて、成績が下がってしまっては本末転倒だ。晩年の芹沢九段では困るのである。加藤九段の勝利を切に願う。
コメント
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