一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

四十二たび大野教室に行く(その4)・パーティーの是非

2013-03-13 00:14:20 | 大野教室
植山悦行七段が自分の将棋の解説を買って出るのは珍しい。それほど、大きな逆転負けだったということだろう。
1回戦は勝ち、2回戦で先崎学八段に当たった。植山七段の先番で、相矢倉に進む。先崎八段は早めに△6四角と覗くが、数手後▲4六銀の形で▲5八飛と回られ、青くなった。次の▲5五歩が受からないのだ。
後手陣は△6二銀・7三歩型なので、△5二飛や△5三銀の応援が利かない。さりとて△6五歩と突いても、△7三歩型なので△同銀と取られてしまう。
先崎八段は△4二角と後退したが、植山七段は▲5五歩と突いて好調。以下6筋の歩も切り、▲5四歩と抑え、▲5三銀と打ちこんでは、早くも植山七段の必勝形となった。気の早い棋士なら、ここで投了してもおかしくない。
植山七段、▲4二銀成と角を取る。が、当然に見えたこの手を植山七段は、激しく後悔した。
ここは▲6四歩と垂らすところ。歩成は許せないと△6二歩と受ければ、▲5二銀不成と突っ込む。次の▲4三銀成~▲5三金が受からず、これは先手必勝である。
「(▲6四歩が入れば)大沢さんでも勝てますよ」
と植山七段は自嘲気味に言った。私の実力ではそれでも怪しいが、先手を持って楽しいことは確かだ。
本譜、▲4二銀成でも先手が優勢だったのだが、ここから先手の指し手が微妙に狂ってゆく。
先崎八段は劣勢だから、指し手に迷いがない。悪手に悪手を重ねるような手を指して、植山七段を幻惑してゆく。
逆にマズいのが植山七段だ。あの将棋をどうしておかしくしたんだ…と後悔するいとまもなく、背後からは秒読みが迫ってくる。疑問手と悪手を連ねた末、ついに形勢が入れ替わり、後手勝勢となった。
最後は△5五銀と華麗な捨て駒が出て、植山七段投了。あああ…これは痛い敗戦。私は掛ける言葉がなかった(実際は何か言ったが)。
さて、夕食に出る。きょうの参加者は大野八一雄七段、植山七段、W氏、Fuj氏、Minamiちゃん、私。私を除いて、いつものメンバーだ。
きょうは久しぶりに、海鮮居酒屋に行く。一昨年の秋、何度かお邪魔した店だ。そのときは野月浩貴七段も参加してくださり、帰りの電車では興味深い話を聞かせていただいた。また野月七段にお会いできればと思う。
店に入る。きょうは大野七段が割引券を持っているらしい。
店員さんに飲み物を聞かれて、私とFuj氏は何かを頼まねばと思案する。けっきょくウーロン茶を4つ(!!)頼んだのだが、これは悪手だった。きょうは酒を飲みに来たのではなく食事に来ただけだから、飲み物は無視してよかったのだ。
運ばれてきたウーロン茶の2つは、大野七段とW氏に回した。そして勘定も各自で払っていただく。私は自分勝手なのである。とはいうものの、大野七段とW氏には悪いことをした。
まぐろ丼を美味しく食べて、店を出る。このあとはガストにておしゃべりである。
私はちょいと小腹がすいたので、パスタを頼む。私の大食漢に、植山七段が呆れていた。
政治の話などを交えて、楽しいときを過ごす。女流王位戦は佳境で、中井広恵女流六段は白組で3勝1敗。最終局の矢内理絵子女流四段戦に勝てば、悪くてもプレーオフだ。…と思ったら、「清水さんと同じ4勝1敗になったら、順位の差で清水さんの白組優勝でしょう」とFuj氏が言う。
陥落は順位が関係するが、挑戦争いのほうもそうだったか? それじゃ十段リーグといっしょか。よく分からぬが、中井女流六段が最終局に勝てば、白組の優勝は叶うと思った。
その中井女流六段、4回戦の清水市代女流六段に負けて、今期公式戦連勝は「10」で止まった。ジョナ研の一部では、2ケタ連勝したのだから、ご褒美にパーティーを開こう、という話もあった。
それはやぶさかではないが、かつて中井女流六段には、19連勝で焼肉パーティーを催したのだ。それなのに10連勝程度でパーティーとは、かえって中井女流六段に失礼ではないか? 中井女流六段だってそれを良しとはしないだろう。
やはりパーティーは、タイトル奪取のときが妥当ではなかろうか。
むしろ大野七段がすごい。大野七段は今期勝ち星なしの10敗。むかし芹沢博文九段が、順位戦B級2組で「全敗宣言」をし、18手で投了などを織り交ぜて公約を達成したことがあった。…が、これは芹沢九段が不貞腐れていたからできた記録。だが大野七段の場合は、ほとんどを1分将棋まで頑張り、優勢に将棋を進めた上での敗戦で、堂々の大記録なのである。
こちらのケースこそ、厄祓いを兼ねてのパーティーを催すべきに思われた。
植山七段が講師を務めている、「わらび将棋教室」の話になる。前述したように、植山七段側に不手際があって、開講日が不定期になってしまった。
今月の開講は9日(土)と23日(土)だが、植山七段は所用でどちらも不在。9日は大野七段、23日は中井女流六段が務めることになった。私は両方ともお邪魔したいが、こればかりは当日になってみないと分からない。
話が一段落したころ、大野七段が私に、
「人間マジメに生きてれば、そうは悪い人生にならないよ」
と言った。そうなんだろうか。でも、少し肩の荷が下りた気がした。
コメント (2)
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