一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ将棋会(中編)

2013-03-07 00:07:44 | 将棋ペンクラブ
ちょっと上手に厳しいが、私はそれで応じる。A氏の四間飛車に、私は金銀を盛り上げて対応する。見物していたKun氏が「大野先生の指し手みたいですね」と言った。
A氏は向かい飛車に振り直す。6五の地点でチャンチャンバラバラとなり、私は△6五同金と金を取り返す。が、▲8五飛と飛びだされて眩暈(めまい)がした。
私はやむなく△6四金だが、▲8二飛成と王手で飛びこまれては、早くも上手敗勢である。
それでも私は未練がましく指す。しかしA氏に左右挟撃され、私はいよいよ苦しい。ここで▲3五歩と銀取りに打たれたら辛かったが、別の手だったので、こちらから△3五歩と打つ。▲4七銀(引き)に△3六桂(王手角取り)▲同銀△同歩…と進んでは、一遍に勝負になった。
ここはA氏もじっくり考えたいところだが、そろそろ飲み会の時間が迫っている。M氏が来て、秒読みをが始めた。こうなるとA氏も慌てる。それに乗じて私も巧妙に寄せ、薄氷の勝利となった。
私もいろいろ悩みは多いのだが、将棋の出来は平均点以上だった。
指し将棋はここまで。午後4時半からは同じ「魚百」で飲み会である。会費はひとり4,000円也。
私はM氏やH氏のテーブルに着いたが、A氏に請われてそちらに移る。きょうはじっくり文章談議をしようのハラだ。同じテーブルにはKun氏とOh氏がいた。
私は飲まないが、最初の1杯だけビールを頼み、乾杯した。
さてA氏は昨年、東武東上線の掌編集を上梓した。それが好評で、このたび増刷になったという。それはめでたいが、A氏が遠くに行ってしまったように思える。
そんな私の気持ちを察してか、A氏が、
「大沢さんの文章はボクの目標だから」
と言う。「大沢さんは毎日ブログを更新してる。ボクも見習わなくちゃいけないと思ってますよ」
歯の浮くようなお世辞とはこういうことをいう。その手には乗らないぞ、と思うが、先方もマジ顔で言うから、こちらもついニンマリしてしまう。
私は「文章とはリズムである」、A氏は「文章はスピードである」を標榜している。「いい文章とは何か」など、文章談議に花を咲かせた。
しかし女流棋士の話になったとき、「室谷由紀のどこがいいんですか」とA氏が言ったのには呆れた。私は無視して、
私「本田小百合もなあ…。あと10センチ背が高けりゃ…」
A氏「本田さんはあの身長だからいいんです」
私「……」
A氏は小柄な女性が好みで、私のそれとは反対である。たしかに本田女流三段は小柄だから「本田小百合」だともいえ、それは理解できる。しかし、室谷さんのどこがいいの? はないだろう。あの美しさが分からないとは、アンタの目は節穴か!? と返したくもなる。A氏の美的感覚は、やっぱり謎だ。
A氏が、当ブログの「ベストエントリ2012」を教えてくれるという。ベスト3を聞いたが、将棋以外のエピソードばかりで、私はピンと来なかった。
と思えば、隅にいるOh氏が、
「最近は大沢さんのブログを読んでないけど、旅行記が多くない? 将棋ブログなのに」
と言う。
ちょっと耳が痛いが、旅行記は旅行記で、別の読者がいるのだ。要するに、ハナシの好みは人それぞれということだ。
いろいろ料理が運ばれてくるが、どれも美味い。そこへM氏が来て、折り入って話がある、と言った。ちょっとイヤな予感がする。
聞くと、愛棋家の澤田多喜男氏は将棋ペンクラブ大賞の二次選考委員を第1回から務めていたのだが、氏が昨年亡くなった。そこで、その二次選考委員の職を、私に引き継いでほしいという。
二次選考(複数人いる)はかなり重要なポジションで、一次選考は、将棋ペンクラブ会員から推薦された観戦記や著書を、10数点まで篩にかける。これは私もかつてやったことがある。
二次選考はここからさらに、5~6点まで絞る。そこから専門委員の手で大賞が決まるから、かなり重要な作業である。当然文章に対する厳しい目を持ち合わせていなければならない。
澤田多喜男氏といえば不朽の名著「横歩取りは生きている」の著者であり、その名前は全国区である。しかし私はといえば、「将棋ペン倶楽部」への投稿は多いものの、書いているブログは変質的なものばかり。私がその後継とは畏れ多いが、M氏の顔には、「あなたしかいない」と書いてある。
私も△4五角戦法の愛好家、という点ではご縁も感じるが、やはり荷が重い。
しかし断れる雰囲気ではなく、まあ1年か2年の任務だろうからと、了承した。
きょうはこのことのために呼ばれたのだろうか…。
さらにみなと雑談していると、ゲスト棋士が来場した。上野裕和五段であった。
(つづく)
コメント (3)
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