一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ将棋会(後編)

2013-03-08 00:11:51 | 将棋ペンクラブ
上野裕和五段はC級2組所属の中堅棋士で、かつて理事も務めたことがある。ほとんど知られていないが、当時は縁の下の力持ちとして、大車輪の活躍だった。
その後上野五段は理事選に落ち、現在に至る。なぜに上野五段のような良識派が落ちるのか、投票する棋士の思考回路はよく分からぬ。
昨年はめでたく結婚。「将棋序盤ガイド・振り飛車編」を上梓し、そちらの売れ行きも好調らしい。今回上野五段が参加に至ったわけはよく分からぬが、会員の中に知己がいたのだろう。
その上野五段には昨年秋「大野教室」でお会いし、角落ちで指導対局をいただいた。その将棋は中盤までこちらが優勢だったのに、終盤でうっちゃられた。まるで何かに魅入られたようで、私は棋士の懐の深さを、身をもって感じたのだった。
上野五段がいらっしゃれば、当然指導対局と相成る。最初はマグネット盤を出したが、棋士相手にそれはちょっと…ということで、板盤と掘り駒を出した。居酒屋でも将棋盤を出して平然としているのは、ジョナ研と何ら変わらない。
なおこの掘り駒はOh氏所有の逸品。Oh氏は駒製造の仕事をしているらしい。
といっても指すのはM氏。まずは二枚落ちで挑戦した。私たちは雑談のつづき。
A氏がつげ義春のエッセイ本を出す。マンガ家・つげ義春といえば怪作「ねじ式」で有名だが、エッセイも出していたらしい。
そのエッセイの中のフレーズと、私がエントリした文章の中に、酷似した表現があるという。
これはもちろん偶然だが、A氏はつげ義春の文章を評価しており、ここで改めて、私の文章の確かさを再認識したとのことだった。
もっとも私は、文章はうまくない。A氏はここを錯覚している。
上野五段-M氏の指導対局は、M氏の勝ち。M氏が手強いと見た上野五段は矢倉に変化したのだが、それでも的確に咎められたという。
続いてOg氏が角落ちで挑む。言うまでもないが、みんな将棋が好きである。
私たちは雑談の続き。こういうダラダラした時間がなんとも心地よい。
指導対局はOg氏の勝ち。飛車を見捨てて切り込んでいった手が好判断だったようだ。
さらにKun氏が角落ちで挑む。それが終盤戦に入ったころだったか、そろそろ「締め」の時間が来た。飲み放題メニューなので、「持ち時間」も決まっていたのだ。
しかしここでお開きにはできない雰囲気である。私たちはいったん会計を済ませ、改めて入店、という形を取った。
ところがここからすごいのが将棋ペンクラブで、仕切り直しとなったのに、ほとんどの会員が新規の注文をしない。これでは、追加料金なしで居座ってしまった形である。私はウーロン茶を頼んだが、気が気でなかった。
上野五段-Kun戦もKun氏の勝ち。将棋ペンクラブもなかなかの手練れがそろっている。
私と上野五段は、部屋の隅のところで隣り合わせになっている。「ところで…」と上野五段が私に切り出し、しばし政治の話になった。
腹を割って話し合う。お互い唸るところもあり、実に有意義な時間となった。
ところで上野五段は現在、順位戦C級2組で降級点2つ。今期の成績も3勝6敗で、3月に行われる最終局に敗れると、フリークラス行きとなる。
そんな大事な時期にこのような会に顔を出していいのかと思うが、私は「最終局を指す時は小便チビリませんか?」とアホなことを訊いている。
しかし上野五段は、
「いえ、それほどでも…。いつもどおりです」
と平静だった。
最終局は阿部光瑠四段とらしい。なかなか難敵だが、上野五段のこと、ギリギリで助かってくれるだろう(しかし結果は、周知のとおり)。
上野五段はここで退席。しかし将棋ペンクラブが指導対局料を払った形跡はなかった。さすが将棋ペンクラブ、「貧乏は強い」のであった。
「魚百」の延長は1時間前後だったろうか。この分の会計は1,890円。あまりにも安すぎて、申し訳ない気持ちだった。
2次会も用意されており、それはこの近くの居酒屋で行うようだった。現在は午後8時20分。いまから飛んで帰れば9時からの2時間ドラマに間に合うのだが、まあここはみなに付き合う一手だろう。
M氏はそのまま退席し、6人で飲むことになった。居酒屋に入るが、テーブルが空いていない。人数だけ告げ、表でしばし待つ。
と、H氏も帰宅の意を示した。というわけで、2次会の参加者は、A氏、Kun氏、Oh氏、Og氏、私の5人となった。
6人掛けのテーブルに座る。なぜかお通しが6人分出てきたが、まずは全員飲み物を頼んで、乾杯。
と、早速テーブルに将棋盤を出して、将棋が始まった。やっぱりこの人たち、将棋バカだ…。
ポテトフライが2人分運ばれてきた。しかしA氏が怪訝な顔をしている。A氏はポテトサラダを頼んだらしい。この店、よくいえば鷹揚、悪くいえばいい加減、という感じか。
Oh氏が、「大沢さんは(日本語のほかに)何語をしゃべれるの?」と言う。ずいぶん唐突である。いや私は、日本語のほかには何もしゃべれませんよ。
聞くと、Oh氏はKeio大学の出身で、英語がペラペラ。自分が二カ国語をしゃべれるから、私たち大学出も何語かをしゃべれると独り合点していたのだ。やはり成人男子たるもの、英語ぐらいしゃべらねばダメなのだろうか…。
将棋は▲Kun-△Og戦(先後はうろ覚え)になっている。Og氏がだいぶいいと思ったが、結果はKun氏の勝ち。感想戦では、ずっと先手有利で推移していたようだ。
ただ▲6五銀・6六歩、△6二玉・6三金・7五馬の局面で、Og氏が△6六馬と歩を取ったので、▲6四歩が痛打になった。△6六馬では△6四歩▲5六銀を入れてから△6六馬なら、後手が十分だったのではなかろうか。
その後も将棋盤を中心に、将棋談議に花が咲いた。
ここは1時間半あまりでお開き。個別の精算のときに一点だけ腑に落ちないことがあったが、まあそこはそれ、実に楽しい将棋ペンクラブ将棋会であった。
コメント (4)
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