一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十四たび大野教室に行く(前編)・僥倖の勝利

2012-09-17 00:04:26 | 大野教室
きょうは冒頭からクイズ。私は15日(土)に「大野教室」に行ったが、そこでFuj氏にあるものを見せられた。それはA4判の用紙が束になったもので、テーマ別に8つあった。果たしてそれは何か。
ちなみにこれを見せられた私たちは、目を丸くし、呆れ、絶句したあと、Fuj氏に最大級の賛辞を贈ったのである。超難問ではあるが、このブログの読者なら、答えられるだろう。まさか、と思ったそれが答えである。ヒントは、私に関係あり。

というわけで改めて、15日は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。午後1時45分に入ると、講師の大野八一雄七段が、Fuj氏、Ii君、Sa君に指導対局を行っていた。ほかにスタッフのW氏。
奥の部屋では、特別講師の植山悦行七段がHanaちゃんに指導対局を行っていた。
まずは植山七段に教えていただく。
「手合いは?」
「角落ちでお願いします」
「グフフ」
という挨拶代わりがあって、対局開始。私の居飛車明示に、植山七段は素早く右銀を繰りだす。私は居玉のまま突っ張った。しかし植山七段に8筋を破られそうだ。私は玉の薄い将棋は得意ではないが、植山七段との指導対局では、よくこんな展開になる。
大野七段との対局を終えたSa君、Ii君が入ってくる。いつの間にかこちらのほうが、局数が多くなってしまった。
私は▲2五飛と浮き、▲7六銀と耐える。このとき上手の8筋は△8二飛・8六銀。下手は▲7八金・8八角・8九桂というところ。ここで植山七段は△7七歩。▲同桂の一手に△同銀成▲同角△8九飛成▲6九銀。
ここで△8六桂▲6八金△7八歩なら下手負けと読んでいたが、植山七段は△7三桂と味よく跳んだ。
私は△8五桂を防いで▲8六歩。これを植山七段は軽視していたようだ。けっこう植山七段が苦考しているので、これは下手悪くないのかと思い始めた。
右で指しているHanaちゃんは相変わらずの「Hana攻め」。私には通用するが、本局は相手が悪い。ガリガリ攻めているが、植山七段にいなされている。ついに自陣の美濃囲いに手がついた。
植山七段が中座したとき、Hanaちゃんは▲4四金。すでに敗勢だが、さらにココセが出た。△4四同銀が、自動的に△1八金▲同香△同歩成▲3九玉△2八銀までの詰めろになってしまう。
植山七段が戻ってきて、△同銀。ここでHanaちゃんが投了した。感想戦では、植山七段の丁寧な講義があった。これがすこぶる勉強になるのである。
Hon氏が来たようだ。きょうはこの7人で終わりそうである。土曜日にしては、ちょっと少ない。世間では3連休だが、それと関係があるのだろうか。
私は▲3五歩と桂頭を攻める。是非ない△4三金に、▲3四歩△同金▲2六桂△3五金▲3四歩△4二銀▲4四角△4六金▲4三歩△同玉▲3五角。
ここで植山七段は△4八歩と手裏剣を放ってきた。前局も4筋の歩が切れ、△4八歩の痛打を喰らった。指導対局で勉強になるのは、上手の歩の使い方である。たかが歩、されど歩。上手の手にかかると、たった1歩でも、死命を制すほどの強力な武器になる。
ここで3時休みになったが、私は盤の前を離れられない。お菓子も口にせず、こんこんと読み耽る。その局面が下である。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、1三歩、2三歩、3三桂、4一金、4二銀、4三玉、4六金、4八歩、5四歩、8九竜、9一香、9三歩 持駒:銀、歩4
下手・一公:1七歩、1九香、2六桂、2八飛、2九桂、3四歩、3五角、4九金、5七歩、5九玉、6五銀、6九銀、7四歩、7八金、8六歩、9七歩、9九香 持駒:桂、歩3

再開後の指し手。▲4四歩△3二玉▲3三歩成△同銀▲4八金△7七歩▲同金△6八歩▲同玉△6七歩▲同金△8八竜▲7八桂△6六歩▲同金△4五金▲5四銀!△3五金▲4三歩成△2二玉▲3四歩△2四銀▲3三歩成(恥のやり直し)△同銀▲同と△同玉▲3四歩△4二玉▲4三歩 まで、一公の勝ち。

私はハッと我に返り、お菓子を食べつつ考える。本局の私は、けっこう気合が入っていた。
大野七段が様子を見に来たが、口出しはせず退室した。
約30分経って、再開。私はとりあえず▲4四歩。これには△5二玉や△5三玉もあるが、植山七段は△3二玉。私は桂を取って▲4八金と戻したが、この瞬間△7七歩が飛んできた。全然考えてなかった手だ。以下歩の連打で踊らされて、△6六歩。これを私は▲同金と取ったが、▲4六角と金を取ったほうが分かりやすかった。
本譜は△4五金と粘られ、めんどうなことになった。
こんなところで角を逃げていたら勝てない。私は▲5四銀と出る。△3五金に、▲4三歩成~▲3四歩。しかし△2四銀(△4二銀もあったと思う)と上がられ容易でないことに気付き、▲3三歩成の指し直し。植山七段が苦笑いをした。しょせん私は、高島弘光八段にはなれないということだ。
私はふつうに銀を取り、再び▲3四歩。△4四玉は▲5五銀で詰む。これは▲6六同金が生きた形だ。よって▲3四歩には△2四玉とされたら分からなかったが、植山七段は△4二玉。私は▲4三歩と叩く。この歩をしばらく眺めること数秒、植山七段が投了した。
「▲1四桂がピッタリで…。その手は指させたくないもんね」
投了以下△3二玉は▲3三銀△3一玉▲1四桂△同歩▲2三飛成で上手玉は必至。下手玉は詰まない。
終盤は負けにしたかと観念したときもあったが、何とか残した。しかしこの将棋、精査すれば、下手が負けていたように思う。
指導対局において、下手が終盤まで善戦すると、そこから下手が多少ヘマをやっても、「ここまで巧く指したのだから」と、上手が勝ちを譲ってくれることがあるような気がする。とくに植山七段に多い気がする。
感想戦。私は、△7三桂で△8六桂を恐れていたというと、それはのちに▲8五飛と回る手があり、優劣不明とのことだった。ただ、△8六桂には▲同角と取るつもりだったので、それなら私が負けていただろう。いずれにしても、僥倖だった。
自由対局では、Fuj氏とHanaちゃんが対局中である。私は次に、大野七段に教えていただくことになった。
(つづく)
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