一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十三たび大野教室に行く(前編)・対植山悦行七段戦

2012-09-09 00:29:44 | 大野教室
7日(金)の女流王将戦挑戦者決定戦・中井広恵女流六段と中村真梨花女流二段の一戦は、中村女流二段の勝ち。うれしい2度目のタイトル戦登場を決めた。女流王将戦は頑張ってください。応援しています。
一方の中井女流六段は、無念の敗退。こちらは残念だったが、過ぎたことは忘れるのがヒロエの流儀である。次のタイトル戦登場を期待しています。

9月2日(日)は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。「9月2日」はちょっと思い出深い日である。1988年9月2日、私は東北を旅行中で、その日は秋田県角館で、絶世の美女に出会った。あれからちょうど四半世紀、私は人間的にも精神的にも、ちっとも成長していない。しかも現在、まさか将棋を指しに行っているとは思わなかった。
教室には午後2時に入った。きょうも多くの生徒が大野八一雄七段に将棋を教わっていた。Minamiちゃんもいて、学校の勉強中だ。いい心掛けである。
奥の部屋には植山悦行七段。…エエッ、植山七段!? 植山七段は明日(3日)、甲斐智美女流四段と王位戦の対局である。自宅で研究などをしなくていいのだろうか。
まあ相手は女流棋士だからな…といいたいところだが、植山七段はこれまで、清水市代女流六段、矢内理絵子女流四段、甲斐女流四段に公式戦で敗れた「実績」がある。ここは植山七段、フンドシを引き締めて臨まねばならない。
しかしそれでもまあ、今度は植山七段も逃さないだろう。次回の大野教室では、対甲斐戦の快勝譜を並べてもらおうと思う。
さて前日1日(土)は、日本将棋連盟からの派遣で、田村康介六段がゲスト講師として来場していた。また先月は、櫛田陽一六段、上野裕和五段が講師として訪れている。いつも書くことだが、3,500円で2人ないし3人の棋士に教えていただけるとは、過分なことである。
きょうはまず、植山七段に教えていただく。「フフッ」と苦笑いして、植山七段が角を引く。前局は私の快勝だったが、植山七段はつねづね、「指導対局は6割程度のチカラで指している」と語っている。とすれば本音は、4~5割のチカラに留めているのだろう。
私は、もう少し植山七段の本気の指し手を見てみたい、と思うのだ。
将棋は相居飛車。植山七段が早々に△6五歩と位を取ったので、私は左銀を5七に繰り出して反発を目論む。隣には、Kun氏が来て指導対局を受けていた。
植山七段は、薄くなった8筋目がけて、銀を進出してきた。私は▲8七金。△8二飛には▲5九角を▲2六角と転回し、▲8八飛と回って何とか凌ぐ。
植山七段も△2四飛と転回。私は▲6二角成。直後に△2七飛成とされるが、この順はのちに下手が▲7三馬と桂を取れるので、利ありと見ていた。
ではその局面を下に記そう。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、1四歩、2一桂、2三歩、2七竜、3一銀、3二玉、3三歩、4二金、6四金、6五歩、7三桂、7五銀、7六歩、9一香、9三歩 持駒:歩2
下手・一公:1七歩、1九香、2九桂、3六歩、4七歩、4九金、5五歩、5六銀、5七銀、6二馬、6七歩、6九玉、8六歩、8七金、8八飛、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩3

以下の指し手。▲2八歩△3六竜▲7三馬△6六歩▲同歩△4八歩▲同飛△6六銀▲6四馬△5七銀成▲5四馬△2二玉▲3六馬△4八成銀 まで、植山七段の勝ち。

私は▲2八歩と竜を追い、▲7三馬と桂を取る。これは大きな手だ。
植山七段は△6六歩と突き捨てる。私はさして考えず▲同歩。ここで植山七段が席を外した。△6六同銀なら▲同銀△5六竜▲5七銀打△6七竜▲6八歩で凌いでいる。上手、どう指すんだろう…と考えていたら、△6六同銀の前に△4八歩があるのに気付いた。シャレた焦点の歩で、金銀いずれでも取れぬので▲同飛だが、それだと同じ手順で進んだとき、▲6八歩に△8七竜と金を取られてしまう。数手前に△4四歩▲同角と突き捨てた手が利いている。
戻ってきて、植山七段は△4八歩。やっぱり…。こういう手をプロは逃さない。私は読み筋ですとばかり▲同飛。
以下バタバタと駒の取り合いになったが、最終△4八成銀に▲同金は、△3九飛があり下手負け。しかし替わる手も分からず、ここから先は上手の手がしなるばかりと見て、ここで私は駒を投じた。
呵々大笑の植山七段。
「大沢さん、遊んでるでしょう」
最近の植山七段は、勝っても負けても、この言葉を使う。「大沢さんの力があれば、角落ちなら私に楽勝でしょう」といいたいのだろうが、私にそんな実力はない。
感想戦の私の主張。▲7三馬では、▲3七歩と竜をどかすのだった。▲2八歩に続いて▲3七歩は屈服すぎて打つ気がしないが、△2五竜に▲7三馬なら、次の▲9一馬も大きく、下手指せたと思う。
また△6六同銀にも▲4六銀とかわす手はあったかもしれない。これは△6四金も浮いているし、上手が忙しい局面である。
本譜はキッチリ一手負け。▲5四馬のところで誤算に気付いたが、もう修正が利かなかった。
ここで3時休みとなった。
(つづく)
コメント (4)
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