一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

偉大なる将棋バカ

2012-09-19 00:49:36 | 愛棋家
Fuj氏が中をパラパラと見せる。見覚えのある文面が並んでいる。しかしモノスゴイ分量だ。これだけの文章を、誰あろう私自身が書いたわけで、それもスゴイことだと思う。
よく見ると、文章のいくつかに下線が引かれていた。これは画面上のブログをそのままプリントアウトしたのではなく、Fuj氏がいったんワードに落とし、気になった箇所に、下線を引いてからプリントしたものらしい。
読者のコメントは基本的に削除しているが、面白いものは残し、自分なりの一言コメントを記していた。何とも手がかかっているのだ。これを制作?するのに、いったい、何時間かかったのだろう。
聞くと、Fuj氏は9日(日)に、テレビの将棋を観たあとから「作業」を開始。最後のコメントを書き終えたときは、翌日の午前4時になっていたという。それまで彼は、私のブログを見続けていたのだ。そしてプリントは翌日、まとめて行った、とのことだった。
それにしても…と思う。Fuj氏がこのブログを愛読しているのは知っている。しかしプリントアウトまでするものだろうか。
例えば、棋士では米長邦雄永世棋聖や渡辺明竜王のブログが有名だが、それをまるごとプリントアウトしたなんていう話は聞かない。それがふつうである。
しかしFuj氏は、その「まさか」をやった。その感覚が、私には理解不能だ。
「だって大沢さん、この前のジョナ研で、私に『まだブログの読み込みが甘い』って言ったじゃないですか。だからまとめて読もうと思って…」
とFuj氏がつぶやく。ああ、そんなことを言ったかもしれないが、それを聞いてブログをプリントアウトして読み込もう、とは誰も思わない。
私としては涙が出そうなくらい光栄なことなのだが、目の前にある印刷物がこの世の物に思われなくて、的確な反応ができないでいた。
「一公の将棋雑記まとめ」は、すでにW氏らに見せていたらしい。反応はみな同じで、「そこまでやるか!?」というもの。W氏によると、Hanaちゃんなどは、目を丸くしていたらしい。まあ、そうであろう。
午後7時15分、私たちはとりあえず、夕食に出た。店は久しぶりに、駅前にある「ガスト」。参加者は大野八一雄七段、植山悦行七段、W氏、Fuj氏、私の5人である。この組み合わせも、最近はなかったように思う。ふだんはここに、Minamiちゃんが入っているのだ。
5人中4人がおトクなセットメニューを頼む。食事を待つ間、食事の間、将棋界の話題は出るのだが、傍らでFuj氏が例の束を取り出し、何かというとブログの話に持っていってしまう。
「大沢さん、ここでこんなことを書いてましたけど、これはどういう意味ですか」
と聞かれても、こんなこと書いたかなあ…と、ポカンとするだけである。一応答えはするが、Fuj氏の熱心さに呆れる…恐れ入るばかりだ。
ところで女流棋士の話になって、大野七段が、室谷由紀女流初段を知らないと言ったのには呆れた。
パーフェクト室谷女流初段は、女流棋界の時代を担うエースである。その彼女を知らないとは…。大野七段が女流棋士に関心がないのは知っているが、ここまで無知だとは思わなかった。
「ムロヤさんとムロタさん?を間違いちゃいまして…」
と大野七段。名前云々より、室谷女流初段の顔を知らない、ということが信じられない。
…と、そのそばから、またもFuj氏がブログネタにすりかえる。
「3時休みにこの冊子を見せようと思ったんですけど、植山先生との将棋をピリピリムードで考えていたんで、声を掛けられませんでした」
「そりゃそうだよ。あの将棋は気合入れてたから」
「何ですかそれ!(苦笑)」
それぞれFuj氏、私、植山七段の言葉だったのは、説明不要であろう。
と笑っているそばから、また当ブログの話になる。
改めて、冊子がモノスゴイ量だ。「数は力」というが、こうやってまとめられてみると、立派な書物に見えるから不思議である。眠いときも、辛いときも、旅行中も、年末年始も、体調が悪いときも、1日も休まず書いてきた。その集大成がここにある。
手前味噌だが、米長永世棋聖や渡辺竜王のブログよりも、面白い自信がある。
しかし…ここまでブログに注力したものを、何か別の物――いまの仕事の知識に替えていたら、私はもう少し親孝行ができたに違いない。その意味でこの冊子は、「現実逃避の産物」と云えなくもなかった。
それはともかく、この冊子を見るFuj氏の眼が、少年のようにキラキラ輝いている。これからはパソコンがなくても、自分の好きなときに好きな箇所を、思う存分読むことができるのだ。それは例えば、DVDのBOXセットを購入したときの満足感、達成感に似たものではなかったか。
先にも書いたが、束には、黄色い付箋がビッシリ付けられていた。Fuj氏はKyoto大学の出身である。この冊子の中に、一流学校に合格するためのノウハウが詰まっている気がする。
テーマ別に分類する。気になった箇所に下線を引く。太線にする。自分なりの感想を書く。付箋を付ける。分からないところは人に聞く…。回答を得れば、メモをする。
W氏が、「何だかきょうは、Minamiちゃんに来てもらいたかったね」と苦笑交じりにつぶやいたが、その通りだと思った。
Fuj氏は言う。
「将棋バカの話が出たとき、私は大沢さんに大駒1枚敵わないと書きました。それはこのブログを読んだからです。ここまで圧倒的なブログを書く人に、私が勝てるわけがありません。私が将棋バカを名乗るのは10年早いです」
しかし私も思う。これだけの分量をワードに落として、それぞれにコメントを書く熱意と根気。私もこれだけのエントリをよく書いたと思うが、Fuj氏の作業は、それに優るとも劣らないものだった。
Fuj氏はまた、
「今年の年末の、『一公ブログカルトクイズ2012』が楽しみです」
とも言った。
冗談ではない。Fuj氏はすでに、答える側から出題する側に回っている。たぶん、私より当ブログが頭に入っているだろう。彼こそが出題者に適任である。
今年の年末は、Fuj氏に枠を差し上げるから、私が唸るようなクイズを出題してもらいたい。
偉大なる将棋バカ・Fuj氏に、乾杯(完敗)。
コメント (4)
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