一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十三たび大野教室に行く(後編)・対大野八一雄七段戦

2012-09-10 00:08:49 | 大野教室
きょうの詰将棋は中編で、とても解く気がしない。早々に諦めて本棚を見ると、3日発売の「将棋世界」10月号が置いてある。棋士のもとには、最新号が早く届くのだ。
中を見ると、研修会を卒業して10月に女流棋士デビューをする竹俣紅さんのグラビアが載っていた。竹俣さんはまだ中学生で、彼女の美貌に関しては軽視していたのだが、いやはやなかなかの美人である。
竹俣さんはLPSAの設立イベントのとき、石橋幸緒女流四段と記念対局を行っている。当時私はその観戦記を「将棋ペン倶楽部」に投稿し、その一部はこのブログでも紹介した。あの女のコが…と思うと、感慨深いものがある。
いまはまだアレだが、竹俣さんの2、3年後が楽しみである。
ソファーに座っていると、大野八一雄七段に、(近くにあるリモコンで)クーラーの温度を下げるよう言われる。かなり低い温度に設定されているのだが、それでも暑い。部屋は将棋熱が充満していて、男臭いのだ。これでは女性も敬遠しそうだ。
休み時間は雑談に重きを置き、ちょっと長めの3時休みを終えると、私は大野七段の前に座った。と、大野七段に、奨励会のM君と指すよううながされた。
M君とは前回も戦い、コテンパンにされた。彼と平手では手合い違いの気もするが、まあやっぱり、平手になってしまう。
彼に振ってもらい、私の先手。▲7六歩△8四歩に考えてしまう。△3四歩なら横歩取りに持ち込んで何とかなりそうなのだが、王道の△8四歩は、意外に先手の指す手がむずかしい。
結局三間飛車に振ったが、M君は△6五歩の仕掛け。これは取れないから駒組を進めるが、M君も着々と陣容を整えていく。
そしてベストの態勢で、△7五歩。この、△6五歩に△7五歩を絡めた仕掛けに私は弱く、Fuj氏に2連敗している。本局も何かさえない指し手で、飛車角交換から△7九飛と打たれたところで、早くも先手敗勢になってしまった。
ということは逆転の目もなく、ここで私は投了した。
M君は先日4級に昇級したが、以前の不安な言動はみじんもなく、いまは自信に満ちあふれている。この調子でどんどん昇級していってほしい。
続いて大野七段に教えていただく。角落ち。私はもちろん居飛車。大野七段の攻めを私が受ける展開になった。私の金銀がまたも上擦っているが、盛り上がっているともいえる。大野七段が▲5五桂を取りに来ている間に、私はと金を作る。この取引は下手に分があると思った。
指導対局を終えた植山悦行七段が覗きにくる。下手は7三にと金ができ、▲7五角は間接的に敵陣を睨んでいる。金銀3枚の守りも健在だ。
いかにも大沢さんらしい指し手だ、とばかり植山七段が苦笑する。
大野七段は△8四銀と打った。角・と金両取りだ。私は角を見捨てて▲6三歩成。そして△7五銀▲同銀。ここで大野七段は△4三金と逃げかけたが、それではジリ貧になると見て、△6三金▲同と△7四歩、の勝負手を放ってきた。その局面が下である。

上手(角落ち)・大野七段:1一香、1四歩、2一桂、2三歩、3一桂、3二玉、3三銀、3四歩、4四歩、7四歩、8一飛、9一香、9三歩 持駒:角、銀、桂
下手・一公:1七歩、1九香、2八飛、3六歩、3七桂、4六歩、4七銀、5五歩、6三と、7五銀、7六金、8六歩、8七金、8八玉、9五歩、9九香 持駒:金2、歩4

以下の指し手。▲7四同銀△7五桂▲7七金寄△6七銀▲5三と△3九角▲6七金△同桂成▲2九飛△5七角成▲2五桂△4七馬▲3三桂成△同玉▲4二銀△2二玉▲3三金 まで、一公の勝ち。

△7四歩には▲6四銀を考えた。少しでも敵玉に近づけるためである。しかし拠点を残すのも味が悪いので、迷ったすえ▲同銀。以下華々しいやりとりのあと、私が上手玉を華麗に詰ませて、終局した。ところが…。
私は感想戦で▲6四銀を述べる。以下△7五桂▲7七金△6七銀▲4三金△同桂▲同と△同玉▲2三飛成△8七金▲7九玉!!△5七角▲8九玉は、打ち歩詰めで下手勝ち。「詰まないの!?」と大野七段が驚いたが、やはり詰みはないようだ。
では下手が勝ちかというとそうではなく、本譜▲2九飛引きに△5七角成が緩手。ここは△6六角成▲同金△8六飛で、下手玉が詰んでいた(大野七段の指摘)。ということは次の△4七馬でも、△6六馬があったわけだ。
大野七段は、飛車の横利きが消えたときの△7九馬を狙っていて、実戦では△6六角成(馬)に気が付かなかったという。
ではやはり、▲7四同銀が敗着ということか。もっともその前、私の▲6四歩では、▲7二とと飛車取りに突っ込むのがよかったという。変化は省くが、こうして敵飛をいじめれば、下手に負けはなかったという。
いずれにしても、終盤で下手玉に即詰みが生じていたことは反省材料である。上手のミスで勝てても、あまりうれしくない。
「ずぅっと上手がおもしろくない将棋でした」
と大野七段がまとめる。植山七段と似たようなコメントをしたので、W氏が苦笑した。
さて、夕食である。あす対局の植山七段とMinamiちゃんは帰宅。参加者は大野七段、W氏、Fuj氏、M君、私の5人。お店はM君のリクエストで、いつものとんかつ屋になった。こうした席ではいつも話題に上ることがある。「大野教室」で最も将棋バカは誰か? というものだ。民主主義的な方法は、生徒各自に3名記入してもらう、というものだが、Fuj氏は当確として、あとの2名が分からない。
試みに、M君に「大野教室の将棋バカ」を選んでもらうと、「Fujさんと大沢さん…」と即座に返ってきたので驚いた。なぜFuj氏と私が並列に出てきたのか分からぬ。私の将棋バカぶりは、相当あとのほうだろう。
きょうも美味しくとんかつを食べて、食後は駅前の喫茶店でおしゃべり。M君は帰宅している。喫茶店では、ここでもFuj氏の将棋談議が炸裂した。話に熱を帯びて、なんだか訳の分からぬ符号を述べ始めたので、それは何の将棋かと問うと、
「LPSA中学生女子名人戦です」。
私はその将棋まで把握していない。もう一度書こう。これでどうして、私と彼が同格の将棋バカになるのか分からぬ。彼の将棋バカぶりは、私と大駒一枚違うと信じる。
コメント (3)
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