一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

悪夢の社団戦(中編)

2009-08-28 00:13:19 | 社団戦
会場に戻って、LPSAブースを覗く。この日もLPSAの女流棋士が大勢繰り出し、接客をしていた。
藤森奈津子女流三段、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段、大庭美夏女流1級、大庭美樹女流初段、藤田麻衣子女流1級…。現役組は、前日の第3期マイナビ女子オープン予選一斉対局でことごとく敗退しており、会場へ足を運ぶのも苦痛だった女流棋士もいたと思う。
しかしブースを出展し、ファンと交流を図るのも重要な任務である。ブースのレギュラーメンバーが敗戦のショックで休むようだったら、私はその女流棋士のファンを辞めるつもりでいたが、当然のごとく全員が顔を出し、私は彼女たちをあらためて見直した。なお後半には、植山悦行七段、中井広恵女流六段も見えた。
第2局開始。私はまたも後手番となった。先手が早めに☗2五歩を決めてきたので、私は向かい飛車に振る。だがこちらの右銀が7二→6三→5四→4五と、だんだん玉から離れていき、苦戦を自覚した。
しかしそこから先手の緩手に乗じて何とか盛り返し、勝勢になったので、私はここで初めて扇子を開く。中倉彰子女流初段の「夢」と揮毫されたカラー扇子である。1局目は中倉宏美女流二段の扇子を用意したが、開く機会はなかった。
ところが「勝利宣言」をしてからも、私が慎重に時間を使うので、観戦していたチームメートが、「また一公さん、やり損ねたんじゃないか?」と心配したようだ。
しかしこの将棋は逃さない。最後に先手玉を即詰みに討ち取り、何とか勝ち名乗りを上げることができた。1勝するのがこんなにシンドイものだとは思わなかった。チームも5勝2敗で勝利。
3局目は、LPSA金曜サロン常連のKK氏が在籍するチームと対戦。私は当初1回休む予定だったが、けっきょく4局戦うことになった。戦前はこれが当然と考えていたが、こんなにプレッシャーがかかるのなら、1回ぐらい休まないと体がもたない。
それはともかく、3局目でやっと私の先手番となった。後手の作戦は4手目☖3三角戦法だったが、☖5二金右と上がったりして、一向に狙いが分からない。
私は矢倉に組んだが、後手が飛車先不突きを活かして☖8四角と上がり、矢倉崩しの布陣を敷いて、ここで私はまたもや作戦負けを自覚した。では、その局面を記してみよう。

先手 一公:1七歩、1九香、2六歩、2八角、2九桂、3八飛、4七歩、4八銀、5五歩、6五歩、6七金、7六歩、7七銀、7八金、7九玉、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩2
後手:1一香、1三歩、2一桂、2二銀、2三歩、3一玉、3二金、4三金、4四歩、4五銀、5三歩、6二飛、7三桂、7四歩、8三歩、8四角、9一香、9三歩 持駒:歩

後手が☖5四銀と出てきたので、☗4六角のまま☗5五歩と突く。しかしこれは自ら角道を止めて損だった。以下☖4五銀に☗2八角とこちら側に引いたのがまた疑問。ここはまだしも☗6八角だった。
決定的に悪手だったのは☖6五歩を素直に☗同歩と取ってしまったことで、それが上の局面である。ここでは☖3六銀と出られて次の☖2七銀成が受からずツブレだと考えていたが、後手は☖6五同桂☗6六銀にズバリ☖6六同角と切り、☗同金に☖2七銀と打ってきた。
見るからに単純な手だが、存外この手も厳しかった。☗4八の銀が邪魔をして、飛車が横に逃げられない。仕方のない☗3九飛に☖2八銀成と角をタダで取られ、これがまた飛車取り。本当は7九まで逃げたいのだが、私は泣く泣く☗6九飛。
後手は☖3八成銀と活用する。ここで☗5七銀は☖6五桂が利いているから無効。渋々☗6五金と桂を外したが、☖4八成銀~☖5八成銀がまた飛車に当たり、もうイヤになった。金曜サロンならここで投了というところだが、ほかの6局がまだ中盤戦たけなわなのに、大将の私が早々と投げるわけにはいかない。チームの士気に係わる。ここが団体戦のつらいところである。
私は小刻みに時間を使い粘りに出るが、指せば指すほど悪くなってゆく。勝利をほぼ掌中に収めている相手は指すのが楽しくて仕方ないだろうが、こちらはどん底状態だ。
最後は☖8五金と縛られ必死がかかり、無念の投了となった。チームの皆さんに迷惑をかけたことはもちろんだが、こんなにひどい将棋を指した自分が情けなかった。チームも1勝6敗で完敗した。
4局目の間に時間ができたので、再びLPSAブースへ向かう。と、将棋ペンクラブ幹事のM氏にお会いする。M氏は先日の将棋ペンクラブ大賞選考会の文芸部門で、見事「優秀賞」を受賞された。
「このたびは優秀賞、おめでとうございます」
「ありがとうございます。9月18日のペンクラブ贈呈式には来てくれますよね」
9月下旬といえば、19日(土)~23日(水・祝)が秋のゴールデンウィークで、5連休の企業も多い。むろんウチもそうで、このチャンスを逃したら、次は6年後である。だから私もこれを大いに活用し、17日(木)の夜から沖縄に飛ぶか北海道へ向かうかと考えていたが、M氏に直々に誘われては、今年も贈呈式に伺わざるを得ない。とはいえ、これも楽しみな年中行事である。
「ゼヒお邪魔させていただきます。あ、あと、次号の会報にも投稿させていただきますので、よろしくお願いします」
「あ、そうですか。なんという題ですか?」
「はあ…『聖夜前日のドラマ』です」
将棋ペンクラブ関係ではほかにも重鎮が見えており、湯川博士先生がいらしたが、畏れ多くて挨拶はしなかった。しかし奥さまの恵子さんには、丁重に挨拶をしておく。恵子さんはにこやかに応対してくれた。どうやら恵子さんにも、私を認知していただけたようである。
LPSAブースに行くと、藤森女流三段が私の着けているゼッケンを見て、、
「そのピンクのゼッケン、よく似合いますね」
と、にこやかに言う。ピンクのゼッケンなんか似合わないと思うのだが、藤森女流三段はしきりに褒めてくれる。ところがこれが強烈な皮肉で、それに気付いたのは、その日の打ち上げの席でのことだった(2日前の「謝罪文」を参照)。それほど私は、余裕をなくしていたのだ。
そんな状態で4局目が開始された。しかし私は、その対戦相手を見て、ギョッとした。ちゅ、中学生ではないか!!
(つづく)
コメント (2)
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