Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

新学習指導要領中学校理科における「仮説」の確かめ

2010-10-02 | 水圏環境教育センター
 自然観察の基本は3つある。それは自然を観察し「気づき発見し」,「疑問を持ち」,「仮説を立てる」ことである。この一連の作業は,私たちが普段何気なくおこなっている思考ではあるものの,「仮説」と聞くと,戸惑い,難しいあるいはとっつきにくい,といった印象を抱き,普段あまり話題にならない。

 しかし,新学習指導要領では,明確に「科学的な思考表現力」の育成が強調されている。本日,届いた文部科学省発行の「中等教育資料」によると,体験的な学習の推進が新学習指導要領の大きなテーマであるとし,科学的な思考・表現の指導として「問題を見出すこと」「解決可能な課題を設定すること」「仮説の確かための観察,実験の計画」「結果の推論」「結果を図や表にまとめ,分析解釈する」「モデル,原理法則と比較し分析解釈」「仮説を元に結論づける」「観察,実験の見直し」の一連の科学的思考が重要であると述べられている。

 上記のことは,まさに科学の手法を表現したものであり,科学者が実際行っていることである。また,同時に本研究室で実施している近隣の港区立港南中学校における総合的な学習の時間もまさにこの科学的思考・表現力の育成を目指している。

 また,閉伊川大学校におけるわくわく自然塾,キッズアース様に提供している教材のコンセプト,里海探偵団が行く!の里海学習はまさに,この一連の科学的な思考表現の育成を目指しているものである。

 これまでの研究成果で明らかになっていることは,室内の体験よりも野外における体験活動が科学的な思考・表現力をより高めるというものである。

 また,今回複数の著者が述べているが,探究学習の際には,大人が先に結論を出すのではなく,児童生徒の探究活動をできるだけ見守る態度が必要であるとしている。これも私たちが「ラーニングサイクル理論」を用いた「水圏環境教育」として訴えていることに符合している。(『海洋の気づきをもっと子どもたちに』「里海探偵団が行く!」10p, 2010,農文協)

 そうは言っても,科学的な思考・判断力の育成は学校教育だけで限界がある。地域の社会教育施設や研究機関,大学とうまく連携を図ることが必要であり,そうした教育システムづくりがこれからの大きな課題である。