Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

ポイントレイズ・ナショナル・シーショアを訪問。

2009-03-11 | シーグラントカレッジプログラム
本日が最後の調査となった。ポイントレイズは,1700年代に発見された。この半島は,はじめは島であったが少しずつ移動して大陸と繋がったという地理学的にも興味深い場所であり,またクジラやエルクなど様々な野生生物の宝庫であり自然観察学習にも最適な場所である。ポイントレイズ・ナショナル・シーショアとして国により保護されている。http://www.nps.gov/pore/

フランシス・ドレイクはアメリカ西海岸からイギリスへ帰ろうとしたのだが,霧のため海岸線が全く見えない。そのため,詳細な海岸線を記録することが出来なかった。イギリスのドーバー海峡に似ていることから,当初Nova Alvion(New Englandという意味)と名付けられた。

フランシス・ドレイクの船は,ここで5週間休み,船底の修理をした。この時,とても気の優しいMiwoks族というNative Americanが栽培した作物や,漁獲したサーモンや貝そしてツノジカを提供してくれたという。

このポイントレイズにあるドレイク湾を訪れる。そこの観察ポイントの一つLimantour Beachに降り立つ。北西から風が入り,ちょうど海に向かって強い風が吹き,砂が舞って不思議な幾何学模様を描く。全長4kmほどの海岸である。砂浜の両端は切り立った断崖が見える。岩手県の北山崎を連想させる。

また,この周辺は海も含め一帯が自然公園になっており,数多くのハイカーが訪れている。ジョンミューアのレッドウッドもこの近くにある。(残念ながら,漁民や漁船など人々の生活と海とが繋がっている形跡は全くない。)

帰国を前に,この浜辺で3ヶ月を振り返った。

様々な研究者や教育者がたくさんいて,いろいろな取組を行い,そして連携し合うこと。様々な意見を多くの人々が納得できるように合意形成を図っていくことが重要なポイントだ。

また,こうした人々が横に繋がるだけでなく,縦にも繋がることも大きな特徴だ。横のつながりとは,その同じ年代に並行して,同世代でそれぞれの異なる地域において大きな影響力を持つ意見や考え方が,お互いの交流を深めることでさらにより良いものが作られていく。19世紀ー20世紀前半の自然環境保護運動に取り組んだジョンミューアや自然観察学習運動ジョン・バラの他,エマーソン,ホイットマン,エレン・スワローなどである。「大学教育は人民のために」というランドグラントカレッジとも関連する。(実は日本のお雇い外国人もこのランドグラントカレッジから派遣されている。)

さらに,時代は進み1960年代にはレーチェエル・カーソンによる自然文学で環境保護運動が起きる。この運動が一つのきっかけとなりシーグラントカレッジが誕生したことは以前述べたとおりである。

そして,カーソンと時を同じくして,ハービーホワイトはローレンス科学館を設立し科学教育をスタートさせる。楽しく科学を学習できる科学教育システムを世界へと発信している。

世界規模の環境問題が起きている中,現在,海洋教育者と呼ばれる人々,シーグラントカレッジやCOSEEのような大学の教育機関に所属する人々が,海洋リテラシー普及のためにつながりを持ちながら,各地で活躍しているのである。今年の大きなテーマはクライメートチェンジだ。

もちろん,一つの国だけでは成功しない。多くの国が連携し協働し合うことによってはじめて実現するものだ。日本の果たすべき役割は何なのか?これからどのように国際的役割を果たしていくのか。日本の特色は何なのか?(海洋の分野でいえば,里海であろう)いずれにしても,一人一人の取り組みと一人一人をつなげるシステムが重要だ。

Point Reyes National Seashore Visiting
http://www.nps.gov/pore/