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Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

閉伊川ワカサギ博士は【 https://note.com/tsuyoshi_sasaki】に移行します

Birch Aquariumにおける教育活動を視察。

2009-01-24 | シーグラントカレッジプログラム
Birch Aquarium はスクリプス海洋研究所の付属施設である。 

 バーチアクアリウムの特徴は,小さい水族館であるものの,教育施設として充実していることである。教室が2カ所設置されており,教室の中には様々な生物の展示や,実験施設、屋外には無脊椎動物を中心とした生物を常備して教育にいつでも使えるようにしている。

 すべて,ラーニングサイクルをベースにしたIBL(inquiry based Learning-探究学習,探求学習)理論を用いている。写真は,Invitation(招待)の場面である。小学3年生を対象にケルプの生態系学習をハンズオン(体験学習)で実施している。子どもたちの様子を担任の教師2名と保護者が後ろで観察しているだけでなく,教師や保護者にとっても初めて聞く話であり興味深そうに聞き入っていた。もちろん,しっかり講師料をとる。50分で30人学級に対し2万円ほどである(小中高教育)。

 教育担当者は常勤で4人,スーパーバーザーが1人,非常勤が11人いる。また,ボランティアは別に登録されている。ボランティアの中には,スクリプス海洋研究所の元研究者も含まれている。また,飼育担当者は専門に飼育を担当する。また,水族館に来れない子どもたちのために出張することもあるようだ。
Birth Aquarium
Exhibit and class room was used IBL. Students study about kelp ecosystem by hands-on activity.
$20,000/50 minutes. 4 educators, 1 supervisors, 11 part time educators, many volunteers including former SIO researcher.

 こうした,しっかりとした人員を配置することは重要であるが,人員を配置するためのペイできるシステムを作ることはさらに重要であろう。

 次に目を引くのは,スクリプス・エクスプロ・ギャラリーである。ここにも専門家が複数配置されている。スクリプス海洋研究所での研究成果を市民にわかりやすく解説している。彼らが考えているのは,研究者,科学者は特別な存在ではなく身近であり,科学はみんなのものである,ということを理解してもらうこと,そして海洋科学の社会的価値を高めることを目的としているのだろう。

 予算は大学からの資金とと寄付金によってまかなっているようである。シーグラントカレッジからの予算措置はないという。

 単なる娯楽施設でなく,学校教育の場として頻繁に活用され,保護者も一緒になって参加し,科学を学ぶ施設として活用されているところが印象に残った。


カルフォルニアシーグラント本部を訪問

2009-01-22 | シーグラントカレッジプログラム
カルフォルニア大学サンジエゴ校スクリプス海洋研究所(SIO,Scripps Institute of Oceanography)を訪問した。ここにはカルフォルニアシーグラントカレッジがおかれている。シーグラントカレッジの組織,予算,シーグラントカレッジの地域への波及効果を調査する目的で訪れた。シーグラントは商務省のNOAAに設置されている政府機関である。本部はワシントンDCにある。全米各地での海洋研究と教育ならびに市民への普及を目的に1960年代に設置された。全米の30大学にシーグラントカレッジが配置されている。MIT,フロリダ大学など,州立大学を中心に各州に一つおかれている。ただし,カルフォルニアだけは2つ配置されている。カルフォルニアシーグラントは主に,大学院生,ポストドクターへの多大なる支援を実施しており,その波及効果は計り知れないという。確かに,3大海洋研究機関に数えられるだけある。年間予算は12億円。そのうち4億円が政府から,8億円は地元企業や寄付だという。この金額のほとんどが,カルフォルニア州を中心とした研究活動の競争的資金として活用される。デルタスメルトの研究者の一人もこのスカラーシップを受けていた。ただ,高校生以下の教育,一般市民への教育には500万円が投じられているが,シーグラント全体では2%が教育に当てられることからすると,カルフォルニアシーグラントの一般教育への投入は少ないといえる。
visit SIO,Scripps Institute of Oceanography to meet director of california sea grant. this sea grant make strong effort to research. budget is $12M/y including $4M from NOAA. Educational budget is $50,000/y for camp sea lab.


ワカサギ博士デルタスメルト生息地へ

2009-01-18 | シーグラントカレッジプログラム
  デルタワカサギの生息地サンフランシスコ湾の奥にあるSuisun湾を訪れた。デルタスメルトは日本のワカサギの近縁種である。カルフォルニアワカサギと私は呼んでいる。サンフランシスコ湾の奥にあるサクラメント川河口域周辺が生息地であり,世界で唯一ここにのみ生息する。論文で見たことはあるが,現地へ訪れるは初めてだ。
 緑豊かなベイエリアのバークレーを離れ,80号線沿いにSuisun市へ向かう。Suisun市が近づくとたくさんの羊と牧草地帯が見えはじめた。見渡す限り草地である。「これが本来のカルフォルニアだ。」とエミングトン氏はいう。さらに続けて,「あの大木は入植後植えたもの。本来のカルフォルニアではない。」
 リオビスタロード沿いはあたり一面牧草地とウインドミル(風力発電)が目立つ。農家をやめて,風力発電で億万長者が出ているという。
 リオビスタロードを途中右に折れ,コリンズビレという小さな村に向かう。そこにはSuisun湾に沿って彼のプロパティがある。プロパティに到着し,Suisun湾を望む。湾と行ってもサンフランシスコ湾のさらに奥にある。ここは,デルタスメルトの生息地であったが,姿を見かけることはないようだ。現在はバスが目立つという。穏やかである。波一つない。バスを釣るためであろう,小型ボートが沖合に浮かんでいる。私もデルタスメルトを探して,水面をのぞく。透明度は非常に悪い。悲しさがこみ上げる。I'm really sad! 地元の住民に話を伺う。「かつてはこの上流にあるサクラメント川に数多くの銀ザケが遡上したんだ。もちろん,デルタスメルトもね。今は全くいない。バスがいるぐらいだ。」「子供の頃(50年前)はここで泳いでいたんだ。」「子供の頃,ここの水は飲むことができたんだよ。」「デルタスメルト?いないね。」「なぜいないか?それは,水路のせいだ。上流の水を南の方に持って行っているんだよ。」「淡水がなくなって,多くの魚がダメージを受けているんだ。」この50年の自然の大きな変容を物語っている。閉伊川第一堰堤でも,漁師E.M氏が「昔は飲めたんだよ。今はだめだが。」と話ていたことを思い出す。しかし,閉伊川のそれ以上の変容である。
 Suisun湾は広大で、穏やかだ。しかし,彼方にみえる対岸のピッツバーグまでこの状態が続いていると思うと,残念でならない。
 帰路はリオビスタロードを西へ走り,リオビスタ市へ。スペイン語で,川を見渡す,という意味だ。サクラメント川が坂の下に見える風光明媚な場所である。川の様子を探る。小山田橋下と同じような透明度である。川幅は200m程度であろうか?。今回の調査では,デルタスメルトの生息を確認できる情報は得られなかった。

AGU(アメリカ地球物理学会)でのGIFTワークショップ

2008-12-24 | シーグラントカレッジプログラム
AGU(アメリカ地球物理学会) GIFT ワークショップがサンフランシスコ市内のモスコーニセンターで開催された。
GIFT ワークショップは,学校教員のためのワークショップである。AGU自体は大規模な学会で,全世界60カ国から地球物理学者が集う。春と秋に開催される。日本からも多くの研究者が発表に訪れていた。
GIFT ワークショップは,おもに大学の研究者による専門的な研究の紹介だ。参加料は教育者であれば無料である。昼食付きであった。
内容は,
1世界極地年にあわせた極域研究の紹介
2氷河の研究者による極域の研究紹介
3岩石に含まれる元素の変化の研究紹介
4高校生を対象としたスバールバル諸島における研究を元にした学習教材の紹介
この事例発表では,高校の先生が研究成果を元にLinne Valley Date Analysisという学習教材を作成し,サンプリングデータを班ごとに考えさせるというワークショップを実施した。大変興味深いものであった。他に,北アメリカの氷河年代を考えさせる教材の紹介があった。この教材の面白ことは、実際の研究が用いられていることである。
6大深度掘削の研究者による教育者のためのウエブサイト
 NGTA、NESTA、DLESE、ACEXなどHPを立ち上げて教育普及に取り組んでいる研究者から話題提供があった。日本のCHIKYUの紹介があり,船の大きさに会場の先生たちは驚いていた。
 隣席した20代の中学校の女性教員に話を伺った。「今回のAGUには近隣の中学校の教員が5名参加している。」「あなたのクラスで何人ぐらい科学に興味を持っているか?」と尋ねると「全員」と答えた。また、「私の受け持っているクラスでは5人ぐらいは科学者になりたいと思っている。」とも話していた。
なぜ,「学会の参加に熱心か」と尋ねると,「もちろん科学が好きであるし,毎年指導力向上のための講習会へのが求められ、学会に参加するたびに認定証が発行される。給与にも反映する。但し,上限が5時間なので私はもっと参加しているのであまり意味を感じない。」と話した。
AGU GIFT workshop in San francisco
workshop for science teacher
Aspect:
Scientist and teacher collaborate to make educational materials using scientific data.
Many school teacher involved in Gift workshop.


ユースアンドオーシャンプログラム「タコ見るのはじめて!!」

2008-12-14 | シーグラントカレッジプログラム
 本日,ユースアンドオーシャンプログラムが開催され,LHSの大学職員が地元の中学生にタイドプールでの体験活動を実施した。日本でも同じような活動が全国各地で実施されている。違いは何であろうか?

 まず,一つは中学生を対象に大学のEducatorが主体となって海洋での体験活動を実施していることである。日本では,NPOなどが主体となっているが,このマリンサイエンスアカデミーでは,NSF(全米科学財団)の支援を受けて,現場に出向いて体験活動を指導している。その考え方には,研究者が教育に参加することによって,自分たちの研究の社会的評価が上がると言うこと,そして教育することによって将来の研究者と育てるという事につながるということが背景にある。
 二つ目はサンフランシスコ近郊のオークランド市にある学校に通う小学生たちは全く海で遊んだことがないことである。日本も,最近は少ないといわれているが,それ以上である。サンフランシスコ周辺は,カルフォルニア海流で冷たく,海水浴ができないと言うことも理由の一つである。
 三つ目として,科学の喜びを実感させることに大きなポイントを置いていることである。なぜ,このような海に行ったこともない子ども達がマリンサイエンスアカデミーに参加するのであろうか?その理由は,海はとても未知の世界であり,わくわく,どきどきという体験が,普段海とほとんど関わりのない生活をしている彼らにとって強烈なインパクトを与えるからである。マリンサイエンスアカデミーのねらいなのだ。発見する喜び,感動する喜び,それを自然を通して体で体験させる。日本でも五感を使ってといわれるが,ちょっとニュアンスが違う。日本は古来より,自然に親しむことで豊かな心をはぐくんできた,そのことが理科の目標として強調される。もちろん,発見する喜び,感動する喜びも同様に強調されるが,今回のアメリカでのイベントでは前者の部分はなく,発見する喜び,感動する喜びが強調される。
 この体験を通して,自分たちで新しい発見をする,すなわち科学をする喜びを実感するのである。この点が,重要である。こうした考え方は,既に50年前からR.カープラスによってラーニングサイクルとして提唱されている。それを長年にわたり実践している。実際に,本日参加協力した大学4年生のアレックスは,小学校の頃,海の体験プログラムを体験し,将来はマリンバイオロジストになりたいと強い希望を抱き,難関を突破してUCBに入学したという。すでにPHD進学を考えているようだ。
 四つ目は,海洋生物を食べないことである。食べると言うことは産業的に利用する,応用すると言うことに繋がる。今日の態度プーリングではタコをつかまえて喜々としていたが(写真),おいしそう,どうやって食べるという発言は全くなかった。日本では,科学的な発見の喜びと言うよりは,どうやって食べるか?つまりどうやって自然から恵みをいただくかという考えの方が先行する。たとえ,東京湾のある地域で採れた魚でも。
 これから大切になっていくことは,お互いのこうしたリテラシーの違いを理解し合うことであろう。まず,私たち日本人は,海の発見する喜び感動を通して科学の楽しさ喜びできるだけ多くの人々が体験すること,そして日本の独自の自然観をもっと海外の人々に紹介していくことであろう。このことが,持続可能な社会の実現に繋がっていくのではないだろうか?

Mare staff conducted Youth and the Ocean for Middle school ( Lionel Wilson College Preparatory School) in Half moon bay near San Francisco.
aspects: University staff conduct hands-on activities in ocean,
Students don't so much familiar with ocean less than Japan.
The academy aim to enhance the enhance awareness of ocean especially scientific thinking.
On the contrary, Japanese apt to think about the ocean as the place to get food.
When they catch the octopus, they may apt to think whether it is possible to eat or not.
I think we need both thinking to sustainable development for future.






MBL : 女性海洋研究者・教育者を生み出す

2008-12-11 | シーグラントカレッジプログラム
UCBのLHSには,海洋教育に従事する女性が多い。その一人に,研究内容を伺ったところ,ウッズホール海洋生物学研究所で,ジョージスバンクに生息する鱈個体群の研究をしたという。ウッズホール海洋生物学研究所(Marine biological Laboratory in Woods Hole)は1888年に設立された。設立当初の東海岸は水質汚染が甚だしかったようである。日本では明治の中頃である。このような状況を改善するために,水質の調査研究を進め水質改善を科学的に進めると共に,家庭教育の重要性を説きHome Ecology (Home Economics)を提唱したのは,Ellen Swallow 女史である。このMBLを創設するきっかけを作った方でもある。創設する際に,女性のための夏期海洋生物学講座を開設するよう提案したといわれている。この講座で学んだ一人がレーチェルカーソンである。また,50人以上のノーベル賞受賞者が出ているが,数多くの女性研究者や教育者が海洋分野に進出しているのは,こうした先達の影響なのであろう。

第2回水圏環境リテラシー教育推進プログラムシンポジウム

2008-12-03 | シーグラントカレッジプログラム
「第2回水圏環境リテラシー教育推進プログラムシンポジウム」サブテーマーリテラシー教育における人材育成の将来像ーが東京海洋大学で開催された。http://www.kaiyodai.ac.jp/event/1101/11856.html
本シンポジウムでは今年度の成果概要として「水圏環環境リテラシー学」「水圏環環境リテラシー学実習」「水圏環境コニュニケーション学」「水圏環境コニュニケーション学実習」が報告された。また,各地域で活躍する,教育者,漁業者(岩手県指導漁業士),NPOから活動の報告と大学のリテラシー教育について期待を寄せていただいた。本プログラムでの大きなテーマは水圏環境教育ということであるが,最も重要視しているところは「つながり」「恊働」ということであろう。例えば,環境と人間生活は対立するものでない,人間と人間の関わりもつながりを持っている,合意形成という言葉もキーワードであろう。また,それらはおのおの地域だけの問題ではなく,水圏環境を媒体として地球全体にまでつながるということでもあろう。社会と科学とのリンク,トランスサイエンスということにも関わって行くであろう。細分化された学問をリンクさせるという意味もある。こうした理想にどれだけ近づけるか,水圏環境リテラシー教育に期待するところは大きい。

National Marine Educators Association

2006-05-10 | シーグラントカレッジプログラム
 日本語訳では,全米海洋教育者会議とでも訳したらどうか,アメリカでは海洋教育に携わる教育者が集まり,毎年研究発表会を開いている。ホームページ(http://www.marine-ed.org/)を見ると幼稚園から大学まで一貫して国を挙げて取り組んでいる事がわかる。。その中で目につくのはocean literacy という言葉である。日本語では海洋リテラシーとでも訳そう。リテラシーつまり海に関する技術や能力のことである。もうすでに,昨年11月に海洋学者を始め政府の役人,教師が集まり7つの基本原理を決めている。なんと,啓蒙用のOne Big Ocean という歌まで作っている。マトリックスまで作りパンフレットして各地に配布している。その中には,海は人と密接に関わっている。海を理解することはとても大切なことである。海は未開拓の学問である。どんどん研究しなければいけない。というような内容が書かれている。日本はどうか?実はまだここまでの議論は,海洋国とはいえできていないのである。

ご挨拶その3

2005-03-12 | シーグラントカレッジプログラム
これまで以上に多くの沿岸地域が短時間のうちに危機的状態におちる中で,われわれはあたらしい挑戦,必要性,技術の世紀に入った。この本の目的は,シーグラント講座のあたらしい世界で違いを見いだすために紹介し手助けすることである。


2000年8月
メリーランド州シルバースプリングにおいて
国立シーグラント大学プログラム 総裁 ロナルド・C。バイアード

ご挨拶その2

2005-03-09 | シーグラントカレッジプログラム
 すなわち,他の連邦政府の海洋や沿岸のプログラムから生じたシーグラントが位置づけた野外奉仕活動によって知識の創造と、知識の伝達の一体化したものであり,効果的に働いている。

 将来的に、沿岸地域における突出した勢いと莫大な人口増加そして経済的発展は、予想されている。このような人口増加は環境や経済的な問題の中心であることと関連し、これらの課題はシーグラントにとって新しい課題であり、この国の社会的政治的議題を次の世紀に向けて重要な地位を占める。

 このような複雑な課題への取り組みは物理的,生態的,社会的システムの知識と理解への前代未聞の要求を生み出すことになるだろう。参加者に対し科学を基盤とした総合的でわかりやすい情報を提供することは大変重要である。

 シーグラントの支持者と参加者から要求されていることは、同様に急激に増大している。生態系や、天然資源管理に関するアプローチの出現とともに,問題に対する解決策は、個々の複雑な問題に応じて、地域的にそして地方的に徐々に拡大していくだろう。将来的にはシーグラント公開教育プログラムにとって面白い前代未聞の機会の前兆となる。