小泉純一郎が細川護熙を都知事選に担ぎ出しました。原発の是非を選挙の争点にしたわかりやすい選挙を展開しようとしています。ワンフレーズポリティクスの面目躍如といったところかもしれませんが、ちょっと待っていただきたい。
小泉純一郎は悪名高き御用学者の竹中平蔵と組んでアメリカのような市場原理主義を推進し、結果として日本をアメリカと同じような格差社会にしてしまった張本人です。「抵抗勢力」や「米百俵の精神」などといったワンフレーズで選挙運動をして、何も考えていない有権者から不毛な票をかき集めて、大勝。そして郵政を民営化してはみたものの、国民の流動資産が自動的にアメリカに流れることになり、郵便事業は縮小して地方は不便になり、職員は腐敗、堕落して郵便物を捨ててしまう事件が続発しました。小泉は何をやっていたかと言うと、ブッシュ大統領の前でサングラスをかけてプレスリーの物まねをしていました。郵政の持つ巨大な流動資産を自由に使う派閥が気に入らず、郵政を民営化することで派閥が自由に金を使えないようにするのが目的だったはずですが、何ひとつ果たすことができずに終わりました。結局「自民党をぶっ壊す」と言いながら、ぶっ壊したのは日本という国だったという情けない話です。
そんな小泉純一郎が都知事選にしゃしゃり出てきたのは、何か裏があるはずです。
核燃料の廃棄場所がないから反原発というわかりやすい論理ですが、廃棄場所が見つかりました、原発を再稼働しましょうという理屈に直結する恐れがあります。
前回の都知事選にも出た弁護士の宇都宮健児は、共産党、社民党、緑の党の推薦を受けています。万が一にも共産党が推薦する候補が都知事に当選したら、自民党にとっては悪夢のはじまりです。今回の細川の出馬は、宇都宮つぶしである可能性が高いと推測します。
つまり、小泉純一郎は原発を争点にしながらも、宇都宮健児さえ落選すれば、舛添要一でも細川護熙でも、どちらが当選してもいいという肚なのです。
もし原発を争点にするのであれば、東日本大震災が発生する前の、前回の安倍晋三内閣で、原発の安全性について厳しく追求した共産党が知識と調査の積み重ねでは他党を圧倒しており、原発反対の共産党対守旧派で原発推進の自民党という構図にならなければなりません。
しかし、そういう構図になると困る人がたくさんいます。森喜朗なんかは、お得意のパフォーマンスで細川護熙をケチョンケチョンに言っていますが、いつぞやの小泉劇場でビール片手に小泉を非難した姿にダブります。今回もおそらく小泉が裏から糸を引いてのあの発言でしょう。そもそも「オリンピックを人質にするのは卑怯」という言葉は意味不明ですがうまい言い方で、とてもサメの脳みその森喜朗が思いつくとは思えません。
東京都民は真実をしっかり見極めないと、とんだ茶番に付き合わされることになります。