漢字検定～こんな世の中で

酒を飲むと呂律が回らなくなるのはよくあることですが、あまり度合がひどい場合はアルコール以外の要因が考えられます。私がまさにそういう状態で、ビールの中ジョッキ２杯とワインをボトル半分くらいで呂律は回らない上に目の前にいる上司の名前さえ思い出せなくなります。最近では素面のときでも、毎日会っている同僚の名前を忘れたりします。脳に障害があるとしか思えません。
浅草キッドの水道橋博士が若年性アルツハイマーになったと「平成教育学院」で告白していました。私なら将来を絶望してしまうところなのに、芸能人はどこまでも前向きなんだなとある意味で感心しました。水道橋博士は、回復のために漢字検定の勉強をはじめ、２級に合格したと同じ番組内で言っていました。漢字検定が脳によさそうなのは何となくわかります。漢字は日頃ボヤッとしか把握していないことが多く、いざ書こうとすると意外に書けないものです。まして日常的にパソコンや携帯電話で文章を打っていて、読む文章も画面の活字や活字が印刷されたものであることが多いとなれば必然的に漢字に疎くなっている筈です。水道橋博士に倣って、私も漢字検定を受けてみようかなと思いはじめました。
会社の同僚は随分前からワインの教室に通っていて、この間ソムリエの試験を受けたと言っていました。ソムリエの資格がすぐに仕事に役立ったり収入が増えたりする訳ではありませんが、同じワイン教室に通う人と知り合いになることで世界が広がります。また専門家の言うことにはそれなりの深みがありますから、聞いて損にはならないとのことでした。いうなればそんなに役に立たない資格ほど、人の気持ちには役立つんですね。運転免許は役に立ちますが、持っていることが生活に潤いを与えてくれるわけではありません。
漢字検定を受けても金銭的な利益はありませんが、試験を受けるというストレスをかけることで生活に張りが出たり、参考書を買うために行った本屋さんでいい本に巡り合うこともあるかもしれません。実利でないものを求めることで、こんな世の中でも人は生き延びていきます。次の健康診断で、肺に影でも見つからないかなと密かに願いつつ。