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算数問題の発展形を考える

2015-08-09 07:59:50 | ブログ
 先月のブログで記した小学校の算数問題に関して、その中の難問の一つを解くことに集中し、何らかの展開があったと思われるので、ここに紹介します。

 問題は、参考文献のQ42として提示されているもので、ここに転載させてもらうと、次のようなものである。

 「次の数字を使って下の式を完成させてください。
    1 2 3 4 5 6 7 8
   [( )/( )]÷[9/( )]=( )/( ) 」

 提示されている式中の未知数をA,B,C,D,Eで表現すると、
   (A/B)÷(9/C)=D/E
となる。A/Bは、分子がA、分母がB、すなわちB分のAという分数、9/C,D/Eも同様である。

 この問題の答として紹介されているものは、
   (4/8)÷(9/6)=1/3,(2/4)÷(9/3)=1/6など
というものである。

 しかし、いずれの答も、数字5,7を使っていないし、最初の回答例では数字2、次の回答例では数字8も使っていない。従って、紹介されている答は、問題の適切な回答となっていないと考えられ、不満である。

 そこで、未知数として2桁の数字も許すことにし、1~8のすべての数字を使うような解が存在するのか否か、探求することにした。

 まず、未知数の中に2桁の数字と1桁の数字が含まれるとすると、2桁の数字は3個、1桁の数字は2個でなければならないことは、すぐ分かる。

 次に、未知数として5を含む5の倍数が使えないことも理解できる。もし5の倍数を未知数に使うと、数字5のダブル使用になるためである。そこで、未知数の1つは、5Xの形のものに限られることになる。

 5Xの候補として、51(3×17),52(4×13),54(6×9)および56(7×8)が考えられる。51,52の素因数には17,13のような素数が含まれるので、式の中に配置しにくそうである。そうすると、残る候補は、54と56ということになる。

 次に、左辺または右辺に1桁の7が現れ、その反対辺に2桁の7の倍数が現れるのではないかという予想の下に、2桁の7の倍数、14,21,28,42,56,63,84を考える。

 これら7の倍数のうち、54と組合わせられるものは、21,28,63だけである。また、7の倍数と56の組合せは、素数7が消去されて答の式の中に残らないだろう。

 そこで、21,28,63と54との組合せについて式を満たすか否か試してみる。ここで、1桁の7を式の中に残すように、AまたはDが7と仮定してみる。

 未知数A~Eの間の関係を式に書くと、
   9BD=ACE
となる。

 AまたはDの一方を7とし、他方を7の倍数21,28,63とし、Eを54と仮定すると、BとCの間の関係式ができるから、残った数字を使ってこの関係式を満足するBとCを探せばよい。

 このような試行をした結果、次の式が条件を満足することが分かった。
   (7/8)÷(9/12)=63/54

 つまり、A=7,B=8,C=12,D=63,E=54である。

 そうすると、この式の両辺に8/63を掛けた
   (7/63)÷(9/12)=8/54
もまた答となる。

 大人の数学を用いてこのような問題を解こうとしても難しい。一応組合せ論の分野に入る問題と思われるが、一般に組合せ問題は、解決のための適切なアルゴリズムがないことで知られる。この問題の場合も、ただ1回だけ用いる数字の配列と素因数分解のような整数の特性との間には何の関連もないので、未知数の候補を絞り込んだ上で、複数の候補の組合せの良し悪しを試行錯誤してみるしか方法がない。

 小学校の算数は、大人の数学へと進むための基礎的な入門コースであるとともに、数学とは一線を画し、パズルに見られるようなトリックに満ちた独自の分野でもあることを知る。

 参考文献:
 大人脳力開発倶楽部編著「お父さん、できる?小学校の算数」(バジリコ)

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