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アルマ望遠鏡による遠方銀河の観測

2018-07-08 07:51:11 | ブログ
 アルマ望遠鏡を用いて132.8億光年かなたの銀河に酸素を発見したというプレスリリースがあったのを契機として自然科学ダイアログがあったので、このダイアログに参加した。

 アルマ電波望遠鏡が観測したものは、この銀河に含まれると考えられる酸素イオンが出す波長88マイクロメートルの赤外線である。この赤外線の信号は、宇宙の膨張によって大きく引き伸ばされ、波長893マイクロメートル(0.893ミリメートル)の電波となって観測された。

 アルマ望遠鏡が酸素イオンの光を観測したことは、観測された時点(132.8億年前)に活発に星が生まれていて、誕生間もない巨大星が放つ強烈な光によって周囲の酸素原子が電離されていることを示しているという。

 国立天文台の矢治健太郎さんのプレゼンテーションの後、参加者全員で、恒星の質量とその恒星の最期(超新星爆発または白色矮星)、電離した酸素がなぜ波長88マイクロメートルの赤外線を出すのか、などの話題について対話した。観測の対象となった酸素イオンは、3つの電子を剥ぎ取られた酸素原子のようで、Oに下つき添字でIIIを添えて記述され、オースリーと呼ばれているようだ。

 132.8億年前の銀河は、現在の我々の銀河と比べて物質密度が高く、大質量の恒星が発生しやすかったのであろうと推測する。

 大質量の恒星が多ければ、寿命の短い恒星が多くなり、それらが超新星爆発を起こして、銀河内には酸素原子など多くの星間物質が充満することになる。そうであれば、銀河内でOIIIが多いというのも納得できる(なぜそれがO^+やO^++でないのかという疑問が残るが)。

 言い換えれば、古代の銀河は、酸素原子を電離させるような高エネルギー粒子に満ち溢れていたということであろう。宇宙誕生後の数億年以内の宇宙からやってくるというガンマー線バーストもこの状態を示唆しているのかも知れない。

 ここで、古代の銀河と現在の我々の銀河とを、熱力学的な指標で比較できないものか、と考える。現在の銀河は、138億年の宇宙膨張によって古代の銀河よりエントロピーが増大しているのではないかと、考えたくなる。銀河のもつエントロピーを定義できると思われるが、観測される銀河はいわば熱平衡の状態に達していて、二つの銀河のエントロピーを比較することに意味はないのであろう。また、宇宙膨張は、熱力学的なものではなく、気体分子の断熱膨張のような熱力学的な対象とは無関係であるとみる。そうであれば、二つの銀河の熱力学的な比較と言っても、物質・エネルギー密度の比較だけで足りると考える。

 それにしても、検出された波長88マイクロメートルの赤外線が酸素イオン(オースリー)から生じたものであることは、酸素原子の電子配置にまで立ち入った理論的な裏付けが必要である。

 これはおそらく理論的な裏付けがされていることと推察しますが、ダイアログでは明確な説明が聞けなかったのは残念です。今後の課題として残しておくことにしたい。

 参考文献
 アルマ望遠鏡、132.8億光年かなたの銀河に酸素を発見
 https://alma-telescope.jp/news/press/oxygen.-201803

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