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喜多院法興寺

住職のひとりごと

東京にオリンピックがやって来る

2013-09-10 09:39:34 | Weblog
9月9日 よみうり寸評 読売新聞

 {7年後、2020年に自分は何歳になっているか。きのうは多くの人がこの計算をしたことだろう◆その年、東京で夏季五輪・パラリンピックが開催される。再び東京にオリンピックの感動がよみがえる。あの1964年の東京五輪から56年ぶりの開催だ◆日本時間の8日午前5時20分、国際オリンピック委員会(IOC)のJ・ロゲ会長が開催地を「TOKYO」と告げるとブエノスアイレスで、東京で、この瞬間を固唾かたずを呑のんで見守っていた人たちの歓声が沸いた。抱き合い、肩をたたき合い、歓喜の渦ができた◆同じ一つのことで日本人が一つになってこんなにも喜び合ったのはいつ以来だろうか。これで7年後に向け、同じ希望の絆をもって元気にスタートできる◆「五輪という新しい〈坂の上の雲〉を目指すことで〈心のデフレ〉を取り払い、国全体が自信を取り戻すきっかけになる」と猪瀬直樹東京都知事◆そう。〈2020年東京五輪〉は日本の新しい〈坂の上の雲〉になった。そのことを心からうれしく思う。}

 「復興五輪」を掲げる東京五輪の決定から一夜明けた9日、被災地からも歓迎の声が上がった。ただ、復興に向けた課題は山積。「五輪よりも復興を優先してほしい」と複雑な表情を浮かべる被災者もいた。安倍総理は福島原発の放射能について、完全にコントロール出来ていると宣言したが、福島県では東京電力福島第1原発の汚染水漏れや放射性物質の除染が進まない問題を抱える福島市の周辺市民や漁協関係者は不信感がつのっている。福島宮城の県知事達からは歓迎のコメントが寄せられた。7年後のオリンピックまで、福島原発の汚染水や、被災地域の完全復興が完了することを祈りたい。
 

ヤクルトの宮本が引退表明

2013-08-27 08:56:39 | Weblog
8月27日 編集手帳 読売新聞

 {英国の化学者、ファラデーは『ロウソクの科学』に書いている。〈夜にダイヤモンドが光っているなら、それはその上に炎が輝いているからです〉(岩波文庫)。プロ野球・ヤクルトの宮本慎也選手(42)に、光の情景が重なる◆たとえば遊撃手が鋭い打球を横っ跳びに好捕し、起きあがるや一塁に送球してアウトに仕留める。称賛は遊撃手の好守に集まるが、投手の胸には「打たれた!」という苦い敗北感が残る◆宮本選手はむずかしいゴロも正面でさばいてきた。「打ち取った!」と、投手がいい気持ちであとを投げられるように。好守ではなく好投が称賛を浴びるように。テレビで以前、そう語るのを聞いたことがある◆みずからはロウソクの炎に徹し、輝きはマウンド上の宝石たちに譲る。2000本安打、ゴールデン・グラブ賞10度の足跡もさることながら、惜しみない拍手が送られて然しかるべきはその、心のたたずまいかも知れない◆きのう、今季限りでの現役引退を表明した。さみしいけれど仕方がない。〈6〉の背中を見て育った後輩たちのなかからいつか、ロウソクの炎を受け継ぐ人が生まれるだろう。}

「守りに就けないのは引くとき」だとプロ野球・ヤクルトの宮本慎也内野手(42)が26日、東京都内の球団事務所で記者会見し、今季限りでの現役引退を表明した。自らのプロ人生を「仕事として真剣に19年やってきた」と振り返り、今後について聞かれると「外から勉強したい。(ヤクルトに)戻ってきてくれと言われるぐらいしっかり勉強したい」と述べた。1995年にヤクルト入団。95年、97年、2001年と3度の日本一に貢献した。12年には2000安打を達成。今季は控えに回り、代打で出場するケースが増えていた。通算成績は2137試合出場、2121安打、573打点、62本塁打。自ら主役を捨て投手を助け好守ではなく、投手が賞賛されるゲームにする姿勢はヤクルトの伝統として受け継がれることだろう。



特別講演「一隅を照らす落語」露の団姫(まるこ) 

2013-07-12 11:41:28 | Weblog
第15回「教区一隅推進大会」平成25年7月10日
いすみ市岬ふれあい会館で開催
特別講演「一隅を照らす落語」露の団姫(まるこ) 
「愛と優しさ人は育つ」ハープ奏者の永山友美子先生

 第15回南総教区一隅を照らす運動推進大会は、住職と檀信徒730名が参加し、平成25年7月10日、午後一時いすみ市「岬ふれあい会館」で開催された。
     
 午後一時、教区連合檀信徒会の稲垣弘副会長の司会により同檀信徒会の中村方保会計の「開式の言葉」で、福聚協会南総支部の「芽花の会・寺庭婦人・九部画」より、慈覚大師のご和讃他を披露した。続いて法楽は教区仏教青年会の硯山昌祐会長を導師により唄散華聲明を厳修し、般若心経を全員でお唱えした。

主催者を代表して浅野玄航宗務所長の挨拶と教区連合檀信徒会の花崎隆会長の挨拶が続き、細野舜海宗議会議員の祝辞があり、来賓の方々が紹介された。次に大会スローガン「あらゆる命を大切にしょう」「みなのために行動しよう」「自然の恵みに感謝しよう」と同連合檀信徒会の加藤元久前会長が宣言した。

 一隅推進運動の本部長福恵善高師から義援金の感謝の言葉があり、同連合檀信徒加藤澄敏会計から閉式の言葉があつた。
 特別講演を前に河野亮宏教区社会主任から講師の露の団姫師について、上方落語協会に所属、高座の他テレビ、ラジオで活躍。2011年に出家、天台宗の僧侶であることを報告した。

 始めに露の団姫師による「一隅を照らす」創作落語で会場は笑いに包まれた。
オペレッタ作家でアイリッシュ奏者の永山友美子先生は「グリンスリーブ・埴生の宿」等を演奏しながら、母の愛情の深さをユウモア溢れるお話と演奏で講演された。最後に同連合檀信徒会の太田雅美副会長の謝辞で大会を閉じた。
         

「安愚楽牧場」元社長が詐欺容疑で逮捕

2013-06-21 09:01:42 | Weblog
6月19日 よみうり寸評 読売新聞

 {〈安愚楽鍋あぐらなべ〉――仮名垣魯文かながきろぶんの作。明治の初期、牛鍋屋であぐらをかいて鍋をつついた庶民の会話を通して文明開化の世相を描いた◆魯文が今書けば、経営破綻の末、元社長が逮捕された「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)のあれこれを取り上げるに違いない。牧場の社名そのものが安愚楽鍋からとったものだという◆警視庁は18日、同牧場の元社長、三ヶ尻久美子容疑者ら3人を逮捕した。同社の「和牛オーナー制度」の商法が特定商品預託法違反(不実の告知)に当たるという容疑◆顧客は繁殖牛のオーナーとなり、生まれた子牛の売却代金から配当を受けるシステムだが、契約の際の説明が不実◆飼育牛の数を過大に説明したり、架空の牛の耳番号で契約するなど虚偽だった。顧客数7万3000人、同社の負債は4200億円。返金見込みは210億円。この種の消費者被害としては戦後有数の規模◆経営破綻は一昨年8月のこと。被害者にしてみれば契約は不実どころか詐欺。逮捕は遅すぎ、行政の目は甘すぎた。}

 安愚楽牧場への出資者は約7万3千人、被害額は約4200億円にも上り、わが国史上最大の消費者被害で、詐欺容疑に問われている。騙される方もうかつであるが、雑誌の特集記事で、エコノミストが顔を出し「安心して投資できる」とPRしているのを読んで信用したと言う。当時の銀行の金利は年6~7%。同社は年10%超の高配当をうたっていた。100万円から始めて徐々に出資額を増やした出資者も多いという。当初からおかしいと思っていたが、関係省庁まで気がつくのが遅すぎた。出資金はほとんど戻ってはこないであろう。



今が蛍の季節か

2013-06-19 12:10:21 | Weblog

6月19日 編集手帳 読売新聞

 {妻が亡くなり、男のもとには二人の幼い子供が残された。男は子供たちを連れて蛍を見にいった。みどり色の、光の尾をひいて舞う蛍を見て思う。さびしいわが子を慰めようと、亡き妻が蛍に姿を借りてあの世から訪れたのだ、と◆〈其子等そのこらに捕とらへられむと母が魂たま蛍と成りて夜を来たるらし〉。窪田空穂うつぼである。一首の「母」を「父」に、「祖父」や「祖母」に、そっと置き換えて読んだ人もいるだろう。震災から迎えた3度目の、蛍の季節である◆何日か前の本紙・東京版で、東京都板橋区にある「ホタル生態環境館」の記事を読んだ◆福島第一原発の事故で全町避難がつづく福島県大熊町の川から卵を採取したゲンジボタルを、縁あって24年前から繁殖させてきたという。明滅する光に故郷の山や川が映るのだろう。期間の限られた一般公開の日には、涙を流す来館者もいると聞く◆〈太宰忌の蛍ゆきちがひゆきちがひ〉(石川桂郎)。都会の雑踏に暮らす身で、旅に出たときのほかはゆきちがう機会もあまりないが、この梅雨はどうだろう。「もしかして、あなたは…」と、昔の名前を尋ねてみたい虫である。}

 昔は家の近くで蛍を見たが、ヘリコプターでの稲の空中散布の影響と河川のコンクリートで囲まれた事で、蛍に欠かせない「かわにな」貝が減り、蛍がいなくなってしまった。いすみ市では山田川周辺を源氏ほたるの里として、自然保護を実施してうる。「源氏ほたるの里鑑賞の夕べ」は5月29~6月1日まで開催していた。あくまで鑑賞のためで、飛んできた源氏ほたるの捕獲は禁止している。今ならもしかしてほたるの光りが見えるかもしれない。