渓流の入口付近で釣る同僚
アマゴ釣りに連れてってもらいました。
職場の同僚は渓谷釣りのベテランです。
以前頂いたアマゴの燻製は、絶品でした。
休日出勤の代休の月曜日に、行くことになりました。
釣りといえば、子供が幼い頃の投げ釣りやサビキ釣り、小学校の頃のバス釣りのお供をした程度です。
今回は、鮎竿や糸、魚籠など、ほとんどを貸してもらいました。
唯一、鮎足袋だけ買いました。
午前1時過ぎに起き、3時に同僚の自宅に到着です。
そこからオフロード車のランドクルーザーに乗り換えて、現地に向かいます。
このランクルですが、曲者です。
15年ほど前の車で、足回りがヘタッて左右に振られるのです。
山道に入ると、気分が悪くなってきました。
車酔いです。
辛抱できず、途中で運転させてもらいました。
不思議なもので、自分で運転すると少し楽になりました。
予定では、幹線道路から30分ほど林道に入るつもりだったそうです。
そこまでは、とても持ちそうにありません。
急遽変更して、近くにある渓流に入ることになりました。
初めてだし体力に不安があるので、初心者に優しい本流での釣りを希望していました。
同僚は普段険しい渓流釣りばかりのようで、前の週に現地まで行って偵察してくれたようです。
申し訳ないとは思うけど、仕方ありません。
この辺の地図は頭に入っているようで、なんなく渓流の入口に着きます。
川の水量が少ないとの情報があるそうです。
ど素人のあっしには厳しいかもしれません。
同僚も、この渓流に入るのは初めてらしいです。
夜が明けてきました。4時半です。
半袖の速乾下着の上に、長袖シャツを着ますが寒いです。
ジャージを貸してもらって助かりました。
まだ胸がムカムカしていますが、期待の方が大きいので元気です。
入口は小さな石がゴロゴロしています。
思ったよりも水量もあり、気持ちの良い渓流です。
少し入ると、両脇が崖で急斜面だし、川には大きな石がゴロゴロです。
入って10分もしないうちに、川の中の石に足を取られて腰まで入ってしまいました。
ポケットに携帯電話が入っていましたが、滑ったのと同時に取り出したので無事でした。
古いカシオのデジカメを持って行きましたが、デイバックに入れてあったので濡れませんでした。
慌てて、キッチン用の保冷パックに入れました。
そこからは、釣りというより沢登りです。
デイバックと魚籠を肩にかけ、伸ばした竿があるので、登りづらいです。
渓流釣りは、一つのポイントで2回ほど餌を入れると、もう釣れないそうです。
だから、上に上に行かないと釣れないのです。
最初はブドウ虫の餌ではじめましたが当たりがきません。
途中から餌をイクラに変えたら、当たりがくるようになりました。
アワセが難しいです。
手に感じた時点では遅すぎるのです。
渓流にある木や葉っぱに針が引っかかり、何度も仕掛けが切れてしまいます。
続けて切れると、イライラしてきます。
そんな時に、一匹釣ると嬉しくてイライラが吹っ飛びます。
渓流を上りながら竿を振っていたら、5時間はあっという間でした。
お昼前に、大きな滝壺のところに出ました。
道はないので、横の急斜面を登って迂回し、やっとの思いで下りました。
滝つぼに下りたものの、そこから下の川までは7mほども高さがあるのです。
どうして帰るのか、不安で仕方ありません。
同僚は悠々と滝壺で釣りをしています。
「大丈夫、大丈夫、あかんかったら滑り降りたらええねん」と言います。
滝つぼで大物を狙います
経験者の言うことを信じたわけではありませんが、ジタバタしても仕方ないと諦めました。
この滝壺で20cmオーバーのアマゴが釣れました。
釣ったというより、勝手に針に引っかかったという感じでしょうか!
これを「向こう合わせ」と言うらしいです。
5匹釣れましたが、2匹は小さいのでリリースしました。
ボウズだけは嫌でしたが、免れました。
前日のスポーツ紙には、釣果3匹とあったそうなので初心者なら上出来でしょう。
腹ごしらえをして、帰ることにします。
下を覗くと、足がすくみます。
20mのザイルを持ってきているそうですが、それを掛ける木は1本しかありません。
枝が細い上に、崖の途中にあります。
60kgほどの体重なので木は大丈夫そうですが、そこに行くまでが大変です。
腰が引けています。
滑ったら、7m下まで落ちてしまいます。
でも・・・、行かないと下りられません。
こんなに心臓がバクバクしたのは久しぶりです。
写真では平坦に見えてしまいますが・・・
ザイルを持ち、思い切って下りると、すねを岩に思いっきりぶつけました。
ズボンに血が滲んでいます。
あとで傷口を見ると、脛が腫れあがっていました。
下りたとたんに足が震えてきました。
これじゃあ、渓流釣りじゃなく、冒険の範疇です。
この怖さを経験したためか、ここからは気分的に楽になりました。
60歳近いおっさんが始めて行くようなところではなかったようです。
あの怖さも、二日経つと薄らいできて・・・また行ってもいいかな?と思ったり・・・
永久貸与と言われて手渡された竿が手元にあります。
魚のかかった時の手の感触が残っています。
あの感触を求めて、ゆっくりのんびり釣ってみたいものです。・・・