喜多方学校給食を考える会の仲間が集まって、地元JAの学校給食野菜部会長の花見明さんの圃場を見学させていただきました。
場所は塩川町会知。大川と日橋川(ここから下流を阿賀川、山都町で只見川と合流して新潟県に入ると阿賀野川に呼び名が変わります)の合流点のすぐ横にあり、長年この川によって堆積された砂地の土壌が広がるエリアです。会津盆地のほぼど真ん中。喜多方ではこのような砂状土は珍しく、根菜類の栽培が盛んで菜場と呼ばれています。圃場の眼前に長く伸びる大きな堤防を登ると目の前に開ける大川の向こうには「立川ごんぼ」で有名な会津坂下町立川地区が見えました。
花見家は代々栽培した野菜を喜多方市内で引売りしてきており(現在はJAの直売所中心)、ご本人曰くパイナップルとバナナ以外は全て作っている(笑)との事。消費者の好みも売る難しさも知り尽くしています。
2時間ほどお時間をいただいて、ハウスや路地の畑を視察。ミニかぼちゃやトマト、枝豆、大根、キャベツ、じゃがいも、里芋、長芋、トウモロコシ、そして今回訪問の最大の目的である人参が整然と植わっていました。どれも管理が行き届いていて、見事な畑でした。
「農業は草との戦いだ。草が実をつける前に取り除けば畑はどんどん草が減る」
「新規の人が有機をやりたがるが、最初に借りられる畑は大概耕作放棄された荒れた土地で、そういう畑では良い作物が取れない」
「堆肥入れないと野菜のエグみが出てしまう」
「見た目の良い野菜とおいしい野菜は相反するもの。柔らかいキャベツはおいしいが、割れやすく輸送に向かない。だから学校給食が求める形が揃ったきれいな野菜は美味しいとは限らない。そこが難しいところ」
遠藤喜多方市長は、熱塩加納町で長年行われている地場の有機野菜をふんだんに利用した米飯給食を市内すべての小中学校にも提供すると公約を掲げてきました。
その命を受け、現在教育委員会は喜多方市産の農産物の利用率を上げるようとしており、かなりの効果が上がっているのですが、残念ながら有機栽培、無農薬栽培と言うところまでは手が届いていません。
実際のところ旧喜多方市では毎日センター方式で2400食分を調理しており、これら大量の野菜を市内の農家だけで揃えるのは大変な苦労をしています。
花見さんはその先頭に立ち、部会員を増やすことや自身の経験から作物ごとに適切な栽培方法を指導したりと奔走しています。部会員は40名ほどまで増えましたが、高齢化が進んでいるようです。
「若い人はトマトやアスパラなど市場向けの栽培には一生懸命だが、給食に使うような普通の野菜は作りたがらない。みんな給食は規格が厳しいというけど、それは市場に出すときも同じだよ。」
実際にほ場を見学して、花見さんからは栽培技術に対する自信と誇り、供給責任を果たそうとする強い責任感が見えました。
おそらく「環境負荷、安全性、風土、需要と供給」のバランスを考えると今のやり方はベストといえるでしょう。裏を返せば、我々が望む給食の有機化は一筋縄では行かないと強く感じました。
残念ながら、こうした篤農家の皆さんの多くは、有機農業に懐疑的です。それは手間がかかること、病害虫などで壊滅的な被害を受ける心配があること。収入の安定化が難しいこと。(そして大きな声では言えないが有機農家には変わり者が多いこと)(ちなみにこれらの課題は個人レベルでは乗り越えている有機農家もたくさんいますが、体系化されておらず、面的広がりにまでつながっていないケースが多いのは事実です。)
「有機農業は一番難しい農法だ。素人がいきなりできるものではない。」さらに経験上、「どんなにいい野菜を作っても消費者は2割以上高くなると手を出さない。」
では突破口はどこか?
おそらくは先に挙げた「環境負荷、安全性、風土、需要と供給」の4つのバランスがどこかで『大きく』崩れた時でないと動き出すことは難しいでしょう。
有機農業は(やや語弊があるかもしれませんが)誕生以来ずっと慣行栽培とは棲み分けて広がってきました。パイを奪うのではなく新たに創ってきたのです。しかし学校給食の有機化は、地産地消が進んでいるところほど地元の慣行栽培農家と競合することとなります。
我々はまずは『小さく』4つのバランスを崩していくしかないようです。
場所は塩川町会知。大川と日橋川(ここから下流を阿賀川、山都町で只見川と合流して新潟県に入ると阿賀野川に呼び名が変わります)の合流点のすぐ横にあり、長年この川によって堆積された砂地の土壌が広がるエリアです。会津盆地のほぼど真ん中。喜多方ではこのような砂状土は珍しく、根菜類の栽培が盛んで菜場と呼ばれています。圃場の眼前に長く伸びる大きな堤防を登ると目の前に開ける大川の向こうには「立川ごんぼ」で有名な会津坂下町立川地区が見えました。
花見家は代々栽培した野菜を喜多方市内で引売りしてきており(現在はJAの直売所中心)、ご本人曰くパイナップルとバナナ以外は全て作っている(笑)との事。消費者の好みも売る難しさも知り尽くしています。
2時間ほどお時間をいただいて、ハウスや路地の畑を視察。ミニかぼちゃやトマト、枝豆、大根、キャベツ、じゃがいも、里芋、長芋、トウモロコシ、そして今回訪問の最大の目的である人参が整然と植わっていました。どれも管理が行き届いていて、見事な畑でした。
「農業は草との戦いだ。草が実をつける前に取り除けば畑はどんどん草が減る」
「新規の人が有機をやりたがるが、最初に借りられる畑は大概耕作放棄された荒れた土地で、そういう畑では良い作物が取れない」
「堆肥入れないと野菜のエグみが出てしまう」
「見た目の良い野菜とおいしい野菜は相反するもの。柔らかいキャベツはおいしいが、割れやすく輸送に向かない。だから学校給食が求める形が揃ったきれいな野菜は美味しいとは限らない。そこが難しいところ」
遠藤喜多方市長は、熱塩加納町で長年行われている地場の有機野菜をふんだんに利用した米飯給食を市内すべての小中学校にも提供すると公約を掲げてきました。
その命を受け、現在教育委員会は喜多方市産の農産物の利用率を上げるようとしており、かなりの効果が上がっているのですが、残念ながら有機栽培、無農薬栽培と言うところまでは手が届いていません。
実際のところ旧喜多方市では毎日センター方式で2400食分を調理しており、これら大量の野菜を市内の農家だけで揃えるのは大変な苦労をしています。
花見さんはその先頭に立ち、部会員を増やすことや自身の経験から作物ごとに適切な栽培方法を指導したりと奔走しています。部会員は40名ほどまで増えましたが、高齢化が進んでいるようです。
「若い人はトマトやアスパラなど市場向けの栽培には一生懸命だが、給食に使うような普通の野菜は作りたがらない。みんな給食は規格が厳しいというけど、それは市場に出すときも同じだよ。」
実際にほ場を見学して、花見さんからは栽培技術に対する自信と誇り、供給責任を果たそうとする強い責任感が見えました。
おそらく「環境負荷、安全性、風土、需要と供給」のバランスを考えると今のやり方はベストといえるでしょう。裏を返せば、我々が望む給食の有機化は一筋縄では行かないと強く感じました。
残念ながら、こうした篤農家の皆さんの多くは、有機農業に懐疑的です。それは手間がかかること、病害虫などで壊滅的な被害を受ける心配があること。収入の安定化が難しいこと。(そして大きな声では言えないが有機農家には変わり者が多いこと)(ちなみにこれらの課題は個人レベルでは乗り越えている有機農家もたくさんいますが、体系化されておらず、面的広がりにまでつながっていないケースが多いのは事実です。)
「有機農業は一番難しい農法だ。素人がいきなりできるものではない。」さらに経験上、「どんなにいい野菜を作っても消費者は2割以上高くなると手を出さない。」
では突破口はどこか?
おそらくは先に挙げた「環境負荷、安全性、風土、需要と供給」の4つのバランスがどこかで『大きく』崩れた時でないと動き出すことは難しいでしょう。
有機農業は(やや語弊があるかもしれませんが)誕生以来ずっと慣行栽培とは棲み分けて広がってきました。パイを奪うのではなく新たに創ってきたのです。しかし学校給食の有機化は、地産地消が進んでいるところほど地元の慣行栽培農家と競合することとなります。
我々はまずは『小さく』4つのバランスを崩していくしかないようです。
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