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浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(106)-6 百田氏の誤り:⑥岸首相が防衛庁長官に「自衛隊出動」を命じ、⑥-2長官が「国民の敵になりかねない」と「拒否」した事実はない!

2021-10-13 14:23:22 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「日本の復興」の章(385-455頁)  

(106)-6 百田氏の誤り⑥:岸首相が防衛庁長官に自衛隊の「治安出動」を命じていないし、防衛庁長官がそれを「拒否」した事実もない!(416-417頁)
E-7 百田尚樹『日本国紀』は新安保条約の反対派のデモに関し、「岸は治安のために、防衛庁長官に自衛隊の出動を要請するが、赤城宗徳(ムネノリ)長官は、『自衛隊が国民の敵になりかねない』と言って拒否した」(百田456頁)と述べる。
E-7-2  百田氏の誤り⑥:「岸は治安のために、防衛庁長官に自衛隊の出動を要請」し、防衛庁長官が「拒否」したと百田氏は述べるが、これは事実として誤りだ。岸が首相として防衛庁長官に自衛隊の「治安出動」を命じたことはない。首相が命じていれば、指揮系統として法的に防衛庁長官が「拒否」することはできない。(417頁)
E-7-2-2  赤城長官が断ったのは、岸に対してでなく、「治安閣僚懇談会」で佐藤栄作・池田勇人が自衛隊の出動を要請したときだ。(417頁)

(106)-6-2 百田氏の誤り⑥-2:防衛庁長官が「国民の敵になりかねない」と自衛隊出動を「拒否」した事実はない!「素手では勝てる自信がない」という理由で拒否した! 
E-7-3 赤城宗徳(ムネノリ)防衛庁長官は、「自衛隊が国民の敵になりかねない」と言って自衛隊の出動を拒否したわけでない。「部隊を出す以上勝たねばならないが・・・・素手では勝てる自信がない」という理由で拒否した。(417頁)
E-7-3-2 「治安閣僚懇談会」での防衛庁長官の発言を順に追うと以下の通りだ。(a)「部隊を出す以上勝たなければならない」、(b)「それには銃を使用しなければならない」、(c)「しかし全学連と言えども国の若者である。国軍に国民を撃てとは私に命じられない」、(d)「軍人たちに聞いたら、素手で[部隊を]出したのでは勝てる自信がないって云う」、(d)-2「丸はだかで、武器も持たずに出動すれば、機動隊よりも弱体だ」。(417頁)

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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻1」(9)「ダプネ」:愛神クピードは鉛の矢でダプネを、金の矢でアポロンを射た!河神ペネイオスの娘ダプネは月桂樹になった!

2021-10-13 11:16:32 | Weblog
(1)アポロンがクピードを侮辱した!
アポロンの最初の恋人は、河神ペネイオスの娘ダプネだった。この恋を呼び覚ましたのは、クピード(キューピッド)の残忍な怒りだった。巨大な蛇ピュトンを弓矢で退治して思いあがっていたアポロンが、クピードを侮辱した。「きみは弓矢で、えたいの知れない恋の火とやらを燃え立たせることで満足している。弓矢の誉れを、横取りしないでくれ。」(32頁)
(2)「恋心を逃げ去らせる鉛の矢」と「恋心を掻き立てる金の矢」!
ウェヌス(ヴィーナス)の息子クピードが、アポロンに答えた。「ぼくの弓はあなたを射るのですよ。あなたの誉れは、ぼくの誉れにかないっこありません。」こう言って、クピードは羽ばたきながら、矢筒から2本の矢をとりだした。1本は恋心を逃げ去らせる鉛の矢、もう1本は恋心を掻き立てる金の矢だ。(32-33頁)

(3)愛神クピードは鉛の矢でダプネを、金の矢でアポロンを射た!
愛神クピードは鉛の矢で、河神ペネイオスの娘ダプネを射た。また金の矢で、アポロンを射た。ダプネは美しく愛らしい娘だった。だがダプネは、言い寄る男たちを嫌った。そして父親である河神ペネイオスに「わたしをいつまでもお嫁にやらないでほしい」と頼んだ。だがダプネを垣間見たアポロンは、たちまち恋の虜となり、ダプネと結ばれることを望んだ。(33-34頁)
(4)アポロンの恋は炎々と燃えるが、ダプネは逃げ去る!
アポロンの恋は炎々と燃え、その胸は火の海と化した。神は、はかない恋を期待で養った。ダプネは、そよ風よりも素早く逃げ去ってしまう。アポロンが訴える。「ペネイオスの娘よ、お願いだ、待ってくれ!わたしはあらくれた男でない。デルポイの地も、クラロスも、テネドスも、パタラの市(マチ)も、わたしの支配に服している。ユピテルが、わたしの父だ。」(34-35頁)

(5)逃げるダプネが、河神ペネイオスに「別のものに姿を変えてください」と祈った!
ダプネは怖がって逃げ走る。アポロンは恋心の導くまま、足を速めて後を追う。神と乙女はひた走りに走った。父ペネイオスの河波が目にはいった時、ダプネが祈った。「助けてお父さま!もしこの流れが神性を持っているのなら、恋い慕われるもととなったこの美しい姿を無くして、別のものに変えてくださいますように!」(35-36頁)
(6)ダプネは月桂樹に変わった!
ダプネが祈り終えると同時に、彼女の手足はけだるい無感覚に包まれ、柔らかな腹部は薄い樹皮で覆われる。髪は葉に、腕は枝に変わり、足は不動の根となった。頭も梢(コズエ)のかたちをとる。輝くばかりの美しさだけが、もとのままに残っていた。ダプネは月桂樹に変わった。(36-37頁)

(7)「いとしい月桂樹よ、わたしの髪はつねにおまえで飾られるだろう」!
それでも、アポロンの恋心は変わらなかった。「いとしい月桂樹よ、わたしの髪も、竪琴も、矢筒も、つねにおまえで飾られるだろう。歓呼の声が凱旋を知らせ、カピトリウムの丘に長い行進が見られるとき、ローマの将軍たちの頭を飾るのもお前だ。・・・・そして、髪を切ったことのないこの私の頭がいつも若々しいように、おまえも、常緑の葉の美しさを保つがよい。」


ベルニーニ「アポロンとダフネ」(1622-25)ボルゲーゼ美術館

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