※アイリアノス(200A.D.頃)『ギリシア奇談集』(第1~14巻)岩波文庫
第8巻(04)「ポリアルコスの贅沢について」:贅沢なペットの葬式!
アテナイ人ポリアルコスはすこぶる贅沢な男で、それが昂じて果ては愛玩していた犬や鶏が死ぬと、その豪奢な葬儀を行い、知友を招き、墓石を建て、墓碑銘を刻ませた。
《感想1》「犬」の葬儀に関しては、現代日本人の「ペットを愛するゆえのお葬式」と、贅沢好きなので「贅沢なペットの葬式」を行うこの古代アテナイ人ポリアルコスとは、動機が異なる。Cf. ただし現代日本人にもポリアルコスのような動機が混じっていることはある。
《感想2》「鶏」の葬儀に関しては、古代ギリシア特有の事情がある。「闘鶏」はギリシアの国技だった。勝利した強壮な「鶏」の葬儀を贅沢に行うのは、当時としては十分ありうることだったろう。
《感想2-2》アイリアノス第2巻(28)「闘鶏の起源」によれば、ペルシア戦争(BC499-BC449)に勝利を収めた後、アテナイ人は「毎年1回、国が主催して劇場で鶏を闘わせること」を法で定めた。理由はこうだ。テミストクレスが国軍を率いてペルシア軍に向かおうとするとき、鶏が喧嘩しているのを見た。それが気合の入った喧嘩だったので、彼は全軍を立ちどまらせて言った。「この鶏どもは、祖国のためとか、神々のためとか、先祖のために戦うのでもなければ、名誉や自由や子孫のために戦うのでもない。ただ銘々が《負けたくない》、《相手に屈したくない》、その一心からなのだ。」彼はこのようにアテナイ人を激励し、そして彼らは勝利した。(※BC480サラミス海戦で勝利!)テミストクレスは彼らを鼓舞した事件「闘鶏」を、記念として残すことにしたのだ。
第8巻(09)「僭主アルケラオス、寵愛の美少年に弑(シイ)されること」:「自分」を愛する以上に、「僭主の地位」を愛した主人を殺害した!
マケドニアの僭主アルケラオスは、彼が寵愛していた美少年クラテウアスに殺害された。クラテウアスは「主人[アルケラオス]が美少年[クラテウアス]に対して抱いているのに劣らぬ愛着を、僭主の地位に対して抱いたため」に、自分を愛してくれたアルケラオスを殺害した。その少年は3、4日僭主の地位にあったが、他の者たちの陰謀にかかって命を落とした。
《感想》愛の嫉妬はすさまじい。「自分」を愛する以上に、「僭主の地位」を愛した主人を殺害した。Cf. 現代日本なら「家庭or自分」を愛する以上に、「仕事」を愛する夫と離婚する妻に似るかもしれない。
第8巻(04)「ポリアルコスの贅沢について」:贅沢なペットの葬式!
アテナイ人ポリアルコスはすこぶる贅沢な男で、それが昂じて果ては愛玩していた犬や鶏が死ぬと、その豪奢な葬儀を行い、知友を招き、墓石を建て、墓碑銘を刻ませた。
《感想1》「犬」の葬儀に関しては、現代日本人の「ペットを愛するゆえのお葬式」と、贅沢好きなので「贅沢なペットの葬式」を行うこの古代アテナイ人ポリアルコスとは、動機が異なる。Cf. ただし現代日本人にもポリアルコスのような動機が混じっていることはある。
《感想2》「鶏」の葬儀に関しては、古代ギリシア特有の事情がある。「闘鶏」はギリシアの国技だった。勝利した強壮な「鶏」の葬儀を贅沢に行うのは、当時としては十分ありうることだったろう。
《感想2-2》アイリアノス第2巻(28)「闘鶏の起源」によれば、ペルシア戦争(BC499-BC449)に勝利を収めた後、アテナイ人は「毎年1回、国が主催して劇場で鶏を闘わせること」を法で定めた。理由はこうだ。テミストクレスが国軍を率いてペルシア軍に向かおうとするとき、鶏が喧嘩しているのを見た。それが気合の入った喧嘩だったので、彼は全軍を立ちどまらせて言った。「この鶏どもは、祖国のためとか、神々のためとか、先祖のために戦うのでもなければ、名誉や自由や子孫のために戦うのでもない。ただ銘々が《負けたくない》、《相手に屈したくない》、その一心からなのだ。」彼はこのようにアテナイ人を激励し、そして彼らは勝利した。(※BC480サラミス海戦で勝利!)テミストクレスは彼らを鼓舞した事件「闘鶏」を、記念として残すことにしたのだ。
第8巻(09)「僭主アルケラオス、寵愛の美少年に弑(シイ)されること」:「自分」を愛する以上に、「僭主の地位」を愛した主人を殺害した!
マケドニアの僭主アルケラオスは、彼が寵愛していた美少年クラテウアスに殺害された。クラテウアスは「主人[アルケラオス]が美少年[クラテウアス]に対して抱いているのに劣らぬ愛着を、僭主の地位に対して抱いたため」に、自分を愛してくれたアルケラオスを殺害した。その少年は3、4日僭主の地位にあったが、他の者たちの陰謀にかかって命を落とした。
《感想》愛の嫉妬はすさまじい。「自分」を愛する以上に、「僭主の地位」を愛した主人を殺害した。Cf. 現代日本なら「家庭or自分」を愛する以上に、「仕事」を愛する夫と離婚する妻に似るかもしれない。