宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(106)-4 百田氏の誤り④:安保賛成側の過激行動に触れず、バランスを欠き、安保闘争の実態を単純化し誤りだ!

2021-10-11 20:34:01 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「日本の復興」の章(385-455頁)  

(106)-4 百田氏の誤り④:安保賛成側の過激行動に触れず、バランスを欠き、安保闘争の実態を単純化し誤りだ!(416頁)
E-5 百田尚樹『日本国紀』は新安保条約に関し、安保反対側は「傘下の労働組合や学生団体などを扇動して」(百田455頁)と安保反対側の「過度な運動」(過激な運動)ばかりを強調する。これは安保賛成側の過激行動に触れず、バランスを欠き、安保闘争の実態を単純化し誤りだ。(416頁)
E-5-2  安保賛成側も、同じように賛成する傘下の団体に「協力」を求めていたのが事実だ。賛成側にもかなりの過激な行動が見られた。実際、「安保闘争」を境にして、一部の団体による、いわゆる「街宣カー」の活動が始まった。(416頁)
E-5-3  いつの時代にもある一つの法案に対する過激な賛成論、反対論は存在する。そのどちらか一方のことを大きく取り上げ、もう一方の過激さに触れないのは著しくバランスを欠いた記述だ。安保闘争の実態を単純化してはいけない。(416頁)

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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻1」(7)「デウカリオンとピュラ」:大洪水でデウカリオンとその妻ピュラだけが死ななかった!投げた石から新しい人間が生まれた!

2021-10-11 11:08:59 | Weblog
(1)デウカリオンとピュラ!
ユピテルは人類を滅ぼすため大洪水を起こしたが、デウカリオンという男とその妻ピュラ二人だけが、パルナソスというひときわ高い山の頂に、小さな筏(イカダ)に乗ってたどり着き助かった。デウカリオンは正義を愛する男であり、ピュラは敬神の心あつい女だった。彼らのために、ユピテルは大洪水を終わらせた。(25-26頁)
(2)テミス女神の神託!
世界は復旧したが、そこは空漠な荒れ果てた大地で、深い静けさが包んでいた。「今や、人類は、私たち二人が残っているだけだ。」デウカリオンが言い、妻ピュラとともに泣いた。助けを求め二人は聖なるテミス女神の神殿で祈った。テミス女神は「大いなる母の骨を、背後に投げよ!」という神託を授けた。(プロメテウスの子)デウカリオンが、(エピテウスの娘)ピュラに言った。「『大いなる母』とは大地のことだ。『骨』とは大地のふところに包まれた石のことだ。テミス女神は『石を背後に投げよ』とわれわれに命じたのだ!」(27-29頁)
(3)投げた石から新しい人間が生まれた!
2人は神殿を出て、それぞれが石をうしろの方へ投げた。すると石はしだいに柔らかくなり、また外形も徐々に大きくなっていった。そして神の思召(オボシメ)しによって、男の手で投げられた石は男の姿をとり、女が投げた石からは女が新生した。そういうわけで、われわれ人間は石のように頑健で、労苦に耐える種族となった。(29-30頁)

《感想》ギリシア神話には、かくて人類の起源譚が3つある。(すでに述べた2つの起源譚①②に、もう1つ③が加わる。)
①土くれを、イアペトスの子プロメテウスが雨水と混ぜ合わせ、万物を支配する神々の姿に似せて人間を捏ね上げた。(「巻1」(2)「人間の誕生」)(Cf.『旧約聖書』「創世記」第2章は「土のちりで人(※アダム)を造った」と述べる。) 
②大地ガイアが、死んだ巨人族のあたたかい血潮に生命を与え、それを人間の形に変えた。(「巻1」(4)「巨人族(ギガンテス)」)
③大洪水で生き残ったデウカリオンとピュラが背後に投げた石から人間が生まれた。(「巻1」(7)「デウカリオンとピュラ」)

《参考1》『旧約聖書』「創世記」第1章は「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」とのみ述べる。さらに第2章で人間の起源譚が詳しく述べられる。「主なる神は土のちりで人(※アダム)を造り、命の息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった。主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた。・・・そして主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてき・・・・た。・・・・主なる神は人(※アダム)を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人(※アダム)のところへ連れてこられた。」

《参考2》『旧約聖書』「創世記」第8章は「神はノアと、箱舟の中にいたすべての生き物と、すべての家畜とを心にとめられた。神が風を地の上に吹かせられたので、水は退いた。・・・・箱舟は七月十七日にアララテの山にとどまった。・・・・箱舟から出たノアの子らはセム、ハム、ヤペテであった。・・・・この三人はノアの子らで、全地の民は彼らから出て、広がったのである。・・・・」(※『旧約聖書』では今の全人類はノアの子孫だ。『変身物語』(ギリシア神話)では、今の全人類はデウカリオンとピュラの子孫および「投げられた石から生まれた人間」の子孫だ。)

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