宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(106)-2 百田氏の誤り②:新安保条約は「共通の危険」に対する「共同防衛」義務を規定!日本は米軍の「施設及び区域」防衛の義務がある!

2021-10-09 16:26:20 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「日本の復興」の章(385-455頁)  

(106)-2 百田氏の誤り②:新安保条約が規定するのは「共通の危険」に対する「共同防衛」義務であり、日本にはアメリカ軍の日本国内の「施設及び区域」を防衛する義務がある!(415頁)
E-3 百田尚樹『日本国紀』は新安保条約について次のように評価する。「岸信介首相は・・・・ついに1960年、日米安保を改正した新条約に調印した(新安保条約)。これによりアメリカには有事の際に日本を防衛するという義務が生じ、さらに今後は日本の土地に自由に基地を作ることはできなくなった。そして国内の内乱に対してアメリカ軍が出動できる、いわゆる『内乱条項』も削除された。」(百田455頁)

E-3-2 百田氏の誤り②:アメリカには「有事の際に日本を防衛するという義務」が生じたとのみ百田氏は言うが、これは一面的だ。新安保条約の「共同防衛」の規定によって、「日本」にも相応の義務が発生したことを述べない点で百田氏は誤っている。(415頁)
E-3-2-2 「共同防衛」の規定によって、「日本」が追うべき義務は次の通りだ。第3条は「締約国は・・・・武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる」と記す。また第5条は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。・・・・」と記す。(415頁)

《感想》要するに、新安保条約が規定するのは「共通の危険」に対する「共同防衛」義務であって、一方でアメリカには日本を防衛する義務があり、他方で日本にはアメリカ軍の(日本国内の)「施設及び区域」を防衛する義務がある。

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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻1」(5)「リュカオン」:人類と名のつくものを滅ぼし去らねばならない!リュカオンは「神かどうかを試す」ためユピテルを殺そうとした!

2021-10-09 11:33:22 | Weblog
(1)父なる神ユピテルは「神々をあなどり、野蛮な殺戮を好む」人類に溜息をついた!
大地(ガイア)が、巨人族(ギガンテス)のあたたかい血潮に生命を与え人間を生み出した。けれどもこの新しい種族(人間)も、神々をあなどり、野蛮な殺戮を好んで、暴力をふるった。父なる神ユピテル(ゼウス)は天の頂(イタダキ)からこのことを見て、溜息をついた。そして神々を招集して言った。「わたしは、人類と名のつくものを滅ぼし去らねばならない。わたしはこの世界で半神たち、つまり妖精(ニンフ)や、牧神や、獣神や、山に住む森神という田園の神霊たちをかかえている。彼らの地上での安住を認めてやらなくてはならない。」(19-20頁)
(2)「リュカオンが催した忌まわしい宴」:人類は滅ぼし去らねばならない!
ユピテルはあの「リュカオンが催した忌まわしい宴」に、大きな怒りを覚え、この会議を招集した。ユピテルは言った。「諸君ら神々をも従わせ支配しているこのわたしに、凶暴で鳴るリュカオンが罠をしかけた。このような事態にいたった今、彼ら半神たちの安全はもはや十分に保証されない。」人類は滅ぼし去らねばならない!(20頁)

(3)凶暴で鳴るアルカディアの王リュカオン!
ユピテルは言った。「今の時世についての人類の悪い評判が偽りであることを望みつつ、わたしはオリュンポスの頂から降り、人間の姿に身をやつして、地上をめぐり歩いた。いたるところ、罪悪に満ちていた。わたしは凶暴で鳴るアルカディアの王リュカオンの屋敷を訪れた。わたしは神の来臨を合図で知らせた。ひとびとは祈り始めた。リュカオンは敬虔なこの祈りをあざ笑った。」(20-21頁)
(3)-2 リュカオンは「神なのか、人間なのか」見分けるためユピテルを殺そうとした!
「それからリュカオンは言った。『ここにいるのが神なのか、人間なのか、はっきりした見分け方で、吟味してやろう。真実は、疑いをいれることはないだろう』と。その夜、わたし(ユピテル)がぐっすりと眠っているとき、彼は不意を襲って、わたしを殺そうとした。これが彼の選んだ、真実を試す方法だった。」(21頁)
(3)-3 わたしは懲罰の雷電を放って屋敷を倒壊させ、逃げ出したリュカオンを狼にした!
「リュカオンは、これだけでは飽き足りなかった。宴の時、モロッシアの国から人質として送られて来ていたある男の喉を剣でたち切ると、まだ死にきっていないからだを、煮えたぎる熱湯で軟らかくゆで、残りを火にかけて焼いた。それをわたし(ユピテル)の食卓に給した。」神に対する何という冒瀆!「すぐさまわたしは懲罰の雷電を放って屋敷を倒壊させ、逃げ出したリュカオンを狼にした。」(21-22頁)

(4)人間は「受けるにふさわしい罰を受けねばならぬ」とユピテルは言った!
ユピテルはこうしてひとつの家を滅ぼした。だがユピテルはさらに言う。「滅びるのにふさわしいのはひとつの家だけではない。大地のひろがる限り、荒々しい『狂乱』が支配している。・・・・みんなが、受けるにふさわしい罰を受けねばならぬ。」こうして人間は「大洪水」によって滅びる運命となった。そしてユピテルは「前の人間たちとは違った、驚くべき起源の新種族を生み出す」ことを約束した。(22頁)


《参考》『旧約聖書』「創世記」第6章(抄):時に世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ちた。神が地を見られると、それは乱れていた。すべての人が地の上でその道を乱したからである。そこで神はノアに言われた、「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。 あなたは、いとすぎの木で箱舟を造り、箱舟の中にへやを設け、アスファルトでそのうちそとを塗りなさい。・・・・わたしは地の上に洪水を送って、命の息のある肉なるものを、みな天の下から滅ぼし去る。地にあるものは、みな死に絶えるであろう。ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二つずつを箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい。それらは雄と雌とでなければならない。・・・・また、すべての食物となるものをとって、あなたのところにたくわえ、あなたとこれらのものとの食物としなさい」。 ノアはすべて神の命じられたようにした。

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