くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

そこまで、どこまで、アイ・ラブ・ユー その10

2007-07-25 22:39:43 | 連載もの そこまで、どこまで、アイ・ラブ
「俺、あいつのために、一所懸命なんだぜ」
 宮城が言う。
「うん。見ていて分かるよ、それは」
 三鷹が律儀に頷いてみせる。
「予備校の時間割だって、俺が組んでやったんだ」
「そうか、そうか」
「俺がこの世に生まれてきたのは、あいつを幸せにするためだと思うんだよ」
 理想を追い続ける19歳の青年の言葉ではある。
 キルケゴールを愛読する彼は、心根が優しく、純粋な男なのだ。 
 しかしそれにしても、三鷹を相手に言う言葉でもない。
 三鷹も居心地が悪くなったらしく、
「あ、うん..」
 相づちを打つのをやめてしまった。
 開け放った窓からは、蛙の大合唱が聞こえてくる。
 彼らのいる住宅街は、すぐ背後に水田をひかえていた。
 のどかな、郊外にあるベッドタウンである。
 再び、電話が鳴った。宮城が受話器を取り上げた。


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2 コメント

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michikoどの (ハヤト)
2007-07-28 12:08:00
青いですね。蒼いですね。
かくいうワタクシも、当時のことを想い出すと、そりゃあもう赤面ものです。くふふ。
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俺がこの世に生まれてきたのは、あいつを幸せにす... (michiko)
2007-07-28 10:03:52
う~~ん、さすが19才の泉川、言うことが青いっ!

でも振り返ってみれば、21才で結婚したから
あんまり人のことは言えないか・・
しかも失敗したし。。
ましてお話でありますからして・・(笑)
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