くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

そこまで、どこまで、アイ・ラブ・ユー その9

2007-07-23 13:24:48 | 連載もの そこまで、どこまで、アイ・ラブ
「あのさあ・・・」
 ようやく、宮城が口を開いた。
「何だ、どうした?」
 三鷹が穏やかな口調で訊く。
「いや、俺にも分からないんだけどさ。なあ、俺って、そんなに自分勝手かなあ?」
(そりゃあ、そうでしょう)
と、4人は思った。しかし今、そんなことを言う必要はない。
「彼女が何か言ってきたのか?」
 三鷹が念を押す。
「俺の気持ちがよく分からない、ってさ」
 宮城は手のひらを自分に向けて、腕時計を眺めた。文字盤を腕の内側にしてつけている。ヒップな男だ。
「このあいだ、ウチの親に初めて会わせたんだけど、そのときの紹介の仕方が気にくわないらしいんだよね。何かそういうことを、あいつは言うんだよね」
「うーん、それだけでは内容がよく分からんが・・・」
「お前さあ、もうちょっと、びしっとしたほうがいいんじゃねえか。女にそんなことを言わせるなよ」
 尾上が厳しい口調で言うと、黒川が(やめとけよ)と、目くばせをする。
「俺は、あいつを甘やかしたりはしてないよ」
「ま、まあまあ。本気でケンカしたわけじゃないんだろ」
「こっちから電話してみたらいいじゃん」
「問題はだな、お前の気持ちだ」
「ふあーあ」
 宝田が突然、大きくあくびをした。
 三鷹が(この重たい雰囲気に何を・・・)という目で睨んだ。
 しかし、宝田も気を遣うあまり、わけの分からない行動をとってしまったのだ。
 彼は張りつめた雰囲気が、とくに苦手な男であった。
 張りつめた雰囲気を打破するために、大仰に屁をたれたりもする男であった。
 ともかく、だ。
(宮城を興奮させてはいけない)
 これが、このような状況下での、4人の合言葉であった。


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