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くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

モノクローム、夢の世界

2006-08-02 11:35:37 | 写真

Tokyobeach500
梅雨明けした日曜日のお台場
壮年のウィンドサーファーがカッコ良かった

 写真というのは、現実の風景を複写するモノだと、ずっと思っておりました。いわば記録手段なのだと。
 しかし、そうではないということが分かってから、俄然面白いものになりました。
 記録するのは間違いないけれど、その過程で技術的な手を加えると、まるで現実とは思えないような世界が展開していくのですね。


Kanmanmoribuild350_1

 写真でありながら、絵のようでもあり、心理の奥底に潜む風景のようでもある。
 決定的ではなく、示唆的である。
 そういう写真が、一番好きです。そういう写真を撮っていきたい。
 だから、僕が写真を撮ろうとするときの過程は、絵を描くときとかなり似ている。

 ある風景を撮りたいという動機が起こる前に、心の中には茫漠とした理想の風景が浮かんでいる。
“動機”以前の状態、いわば“静機”とも言える状態があるのです。
(※この心理状態を、開高健は見事に文章化していました)
 その風景を再現するためのロケーションハンティングがあり、露出があり、プリントがある。
 カメラを持って外に出れば、どうしても撮りたくなるような光景もたくさんあります。しかしそれよりも、写真を使って作り出してみたい風景が、心の中にあるのです。

Jyogashima300

 そして、その実現に最適なのが、モノクローム。
 想像の幅が広くて、あたりが柔らかい。時間の感覚が無限大で、どこかに優しい郷愁がある。
 スピードと能率を要求される今の世の中で、僕はますますモノクロームの世界に入り込んでいくようです。